(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フロントバンパーフェースにライセンスプレート取付部が形成され、前記ライセンスプレート取付部に取り付けられたライセンスプレートの下端が前記外気導入開口の上端よりも上方に位置することを特徴とする請求項7に記載の車体前部構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年は電気自動車が普及してきており、電気自動車は冷却が必要なエンジンを搭載しないため、フロントバンパーフェースに大きなグリル開口を設ける必要がない。このような場合、グリル開口が設けられていた箇所に意匠パネルが設けられることがある。しかしながら、電波を透過させる電波透過部材が意匠パネルに設けられると、外観が損なわれ得る。同様に、光学式の撮像装置を設けるために光を透過させる光透過部材を意匠パネルに設けた場合にも、車体前部の外観が損なわれ得る。
【0005】
本発明は、このような背景に鑑み、外観を向上できる車体前部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために、本発明のある実施形態は、車体前部構造であって、フロントバンパービーム(50)の前方に配置されるフロントバンパーフェース(14)と、前記バンパーフェースの上方に設けられた意匠パネル部(16)とを備え、前記意匠パネル部が、概ね鉛直に延在する鉛直面(36)と、前記鉛直面に連続する傾斜面(37)とを少なくとも有し、前記傾斜面に電波又は光を透過させる透過部材(3
3)が設けられ、前記透過部材の裏側にレーダ装置(70)又は撮像装置が配置されている。
【0007】
この構成によれば、意匠パネル部を車外の人の目に映りやすい車体上部に配置することができる。また、車外の人の目に入る鉛直面からの反射光と傾斜面からの反射光とは見え方が異なることから、傾斜面に設けられた透過部材と意匠パネル部との境界が鉛直面によって目立たなくなる。しかも、傾斜面は鉛直面に比べて雨や雪などが車両走行時に風圧で滑り落ちやすいため、透過部材の後方に設けられたレーダ装置又は撮像装置の性能低下を抑制することができる。
【0008】
また、上記構成において、前記鉛直面(36)が前記意匠パネル部(16)の上部に配置され、前記傾斜面(37)が前記意匠パネル部の下部に下方に向けて前方へ傾斜して配置され、前記透過部材
が前記傾斜面に配置されて電波を透過させる電波透過部材(33)
を含み、前記鉛直面
に光を透過させる光透過部材(34)
が設けられ、前記電波透過部材の後方に前記レーダ装置(70)が配置され、前記光透過部材の後方に前記撮像装置(72)が
配置されているとよい。
【0009】
この構成によれば、撮像装置が鉛直面の後方に配置されるため、撮像装置がバンパーフェース下方の、車体により近い領域を撮像することができる。また、電波透過部材が傾斜面にあってもレーダ装置は前方の車両を検知できるとともに、軽衝突時にはレーダ装置又は撮像装置に影響が及びにくい。
【0010】
また、上記構成において、前記電波透過部材(33)の上端が前記鉛直面(36)の下端に位置するとよい。
【0011】
この構成によれば、電波透過部材の境界の一部を鉛直面と傾斜面との間に位置させることができ、電波透過部材をより目立たなくすることができる。
【0012】
また、上記構成において、前記光透過部材(34)と前記電波透過部材(33)との間の前記鉛直面(36)の部分には、エンブレム(32)が配置されているとよい。
【0013】
この構成によれば、比較的目立つエンブレムによって光透過部材を目立たなくすることができる。
【0014】
また、上記構成において、前記フロントバンパービーム(50)の前面に取り付けられ、前記フロントバンパーフェース(14)の後方に配置されて衝撃を吸収するセーフティプレート(58)を更に備え、前記意匠パネル部(16)の下端が前記セーフティプレートの前端よりも後方に位置するとよい。
【0015】
この構成によれば、軽衝突時には衝撃が先にセーフティプレートによって吸収されるため、意匠パネル部の変形又は脱落を抑制することができる。
【0016】
また、上記構成において、前記透過部材(33、34)の下端が前記セーフティプレート(58)の前端よりも後方に位置するとよい。
【0017】
この構成によれば、軽衝突時には衝撃が先にセーフティプレートによって吸収されるため、透過部材の変形又は脱落を抑制することができる。
【0018】
また、上記構成において、前記フロントバンパーフェース(14)にライセンスプレート取付面(41A)が形成され、前記意匠パネル部(16)の下端が前記ライセンスプレート取付面よりも後方に位置するとよい。
【0019】
この構成によれば、軽衝突時には衝撃が先にナンバープレート取付面によって吸収されるため、意匠パネル部の変形又は脱落を抑制することができる。
【0020】
また、上記構成において、前記フロントバンパーフェース(14)に外気導入開口(28)が形成され、前記フロントバンパービーム(50)の後方に配置された熱交換器(60)と、前記外気導入開口から取り込んだ外気を前記熱交換器へ導くエアガイド部材(64)とを更に備えるとよい。
【0021】
この構成によれば、外気導入開口を人の目に映りにくい車体下部に配置しつつ、エアガイド部材によって外気導入開口から取り込まれる十分な量の外気を熱交換器に供給でき、熱交換器の冷却性能を失うことなくデザイン性を高めることができる。
【0022】
また、上記構成において、前記フロントバンパーフェース(14)にライセンスプレート取付部(24)が形成され、前記ライセンスプレート取付部に取り付けられたライセンスプレート(74)の下端が前記外気導入開口(28)の上端よりも上方に位置するとよい。
【0023】
この構成によれば、ナンバープレートが外気導入開口を閉鎖することなく、外気導入開口の走行風取り込み性能を阻害することがない。
【0024】
また、上記構成において、前記エアガイド部材(64)の前端が前記セーフティプレート(58)の前端よりも後方に位置するとよい。
【0025】
この構成によれば、軽衝突時には衝撃が先にセーフティプレートによって吸収されるため、エアガイド部材の変形を抑制することができる。また、エアガイド部材に接続された部品の変形も併せて抑制できる。
【発明の効果】
【0026】
このように本発明によれば、外観を向上できる車体前部構造を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0029】
図1は本発明が適用された実施形態に係る電気自動車1の車体前部の斜視図である。
図1に示されるように、電気自動車1は、車室や車室の前方に配置された前部空間3(
図4参照)などを画定する車体4と、左右の前輪5と、左右の後輪(不図示)とを有している。車体4は、左右のフロントピラー7と、左右のフロントピラー7間に設けられて車室の前部を形成するフロントウィンドシールドガラス8とを有している。また、車体4は、車室の前方にて前後に延在する左右のフロントフェンダ10と、左右のフロントフェンダ10間に形成される前部空間3の上方に開放された車体開口3Aを覆うフロントフード12とを有している。
【0030】
左右のフロントフェンダ10の前端はフロントバンパーフェース14によって連結され、フロントバンパーフェース14の上方にはヘッドライト15を備えた意匠パネル部であるフロントパネル16が設けられている。このように意匠パネル部をなすフロントパネル16は車外の人の目に映りやすい車体上部に配置される。車体開口3Aの前部はフロントパネル16によって形成され、車体開口3Aの後部は、車室と前部空間3とを区画するダッシュボード(バルクヘッド)によって形成される。フロントバンパーフェース14及びフロントパネル16は、車体4の骨格部材を前方から覆うカバーフェース部材をなしている。
【0031】
左右のフロントフェンダ10やフロントフード12、車体4の骨格部材は、鋼板のプレス成形品によって形成されている。フロントバンパーフェース14やフロントパネル16は、樹脂の射出成形品によって形成されている。
【0032】
フロントフード12の前部には充電や給電のためのポート用開口12Aが形成されており、ポート用開口12Aにはリッド19を備えたポート装置18が配置されている。フロントフード12は、後端にてヒンジを介して車体4の骨格部材に結合されており、車体開口3Aを開閉可能に閉じる。ポート装置18は車体4の骨格部材に固定されており、フロントフード12が閉じられた時にポート用開口12A内でフロントフード12の上面と概ね面一になるように配置されている。ポート装置18のリッド19はフロントフード12の開閉状態に関わりなく開閉することができる。
【0033】
図2はフロントバンパーフェース14及びフロントパネル16の正面図である。
図2に示されるように、フロントバンパーフェース14は、上側に配置された上フェース部材21と、下側に配置された下フェース部材22との2部材によって構成されている。上フェース部材21と下フェース部材22とは、概ね水平な分割面によって上下に分割されており、同程度の車幅方向寸法を有する一方、上フェース部材21の高さ寸法が下フェース部材22の高さ寸法よりも大きくなっている。
【0034】
上フェース部材21の前面における車幅方向の中央には、ライセンスプレート74(
図5参照)を取り付けるためのライセンスプレート取付部24が形成されている。ライセンスプレート取付部24は、ライセンスプレート74の上部を支持する。そのため、上フェース部材21の上側の(高い)位置に設けられている。上フェース部材21のライセンスプレート取付部24よりも若干低い位置には、複数のセンサ取付孔26が車幅方向に間隔を開けて設けられている。本実施形態では、ライセンスプレート取付部24の右側に2つ、左側に2つの合計4つのセンサ取付孔26が設けられている。各センサ取付孔26には、上フェース部材21の裏側に取り付けられる障害物センサの検出部が配置される。
【0035】
下フェース部材22の車幅方向の中央には、車体4の前方の外気を前部空間3に取り入れるために前後に貫通する横長の外気導入開口28が形成されている。外気導入開口28には、上下方向に延在して上下の壁面を連結する複数のリブ29が設けられており、これにより外気導入開口28はグリル開口部を形成している。下フェース部材22の外気導入開口28の両側方には、フォグライトを取り付けるための1対のフォグライト取付孔30が前後に貫通する態様に形成されている。
【0036】
フロントパネル16は横長の略長円形をなしており、左右の両端部にヘッドライト15が配置される円形のライト用開口31が形成されている。フロントパネル16の車幅方向の中央には、エンブレム32(標章)と電波を透過させる電波透過部材33とが上下に並んで設けられている。エンブレム32はフロントパネル16の上側領域に配置され、電波透過部材33はフロントパネル16の下側領域に配置されている。エンブレム32はフロントパネル16の前面に接着、嵌合などにより接合された略矩形の部材である。一方、電波透過部材33はフロントパネル16に形成された開口孔に嵌め込まれたフロントパネル16とは別の横長の長円形の部材である。
【0037】
更に、フロントパネル16におけるエンブレム32の上方の上端近傍には、光を透過させる円形の光透過部材34が設けられている。光透過部材34は、フロントパネル16に形成された開口孔に嵌め込まれた透明又は半透明な板部材又はレンズであり、エンブレム32や電波透過部材33に比べて小さく形成されている。あるいは、フロントパネル16が透明又は半透明な樹脂成形品に塗装を施して形成されたものである場合には、光透過部材34は塗装を施されていないフロントパネル16の透明又は半透明な部分であってもよい。
【0038】
図3はフロントバンパーフェース14及びフロントパネル16の斜視図である。
図3に示されるように、フロントバンパーフェース14及びフロントパネル16は、中央部が前方に突出する湾曲形状をなしており、それらの左右の側部は端部側ほど後方に位置するように傾斜している。
【0039】
フロントパネル16は、上部にて概ね鉛直に延在する上部鉛直面36と、上部鉛直面36の下端に連続し、下部にて下方に向けて前方に傾斜する下部傾斜面37とを有している。電波透過部材33は下部傾斜面37に配置され、エンブレム32は上部鉛直面36に配置されている。電波透過部材33は、フロントパネル16に設けられるために目立ちやすいが、このようにフロントパネル16の上部鉛直面36と下部傾斜面37との一方に設けられることで目立ちにくくなっている。具体的には、車外の人の目に入る上部鉛直面36からの反射光と下部傾斜面37からの反射光とは見え方が異なることから、下部傾斜面37に設けられた電波透過部材33とフロントパネル16との境界が上部鉛直面36によって目立たなくなっており、これにより車体前部の外観が向上している。
【0040】
フロントパネル16の上部には、車体4の骨格部材に取り付けるための左右1対の外側取付片38及び左右1対の内側取付片39が設けられている。外側取付片38はフロントパネル16から後方且つ上方に延出するパネル取付片である。内側取付片39はフロントパネル16から後方且つ下方に延出するパネル取付片である。
【0041】
上フェース部材21の前面における車幅方向の中央には、横長の略長円形の凹部41が形成されている。ライセンスプレート取付部24は、凹部41の底面41Aにおける幅方向中央且つ上部に配置されている。言い換えれば、凹部41の底面41Aはライセンスプレート取付面をなしている。4つのセンサ取付孔26のうち、車幅方向の中央側の2つのセンサ取付孔26は、凹部41の底面41Aにおける左右の端部近傍に配置されている。
【0042】
下フェース部材22の前面における車幅方向の中央には、外気導入開口28を取り囲んで底面42Aに外気導入開口28が位置するように湾曲形成された環状凹部42が設けられている。そのため、外気は環状凹部42によって外気導入開口28に集められ、外気導入開口28からの外気取り込み量が増大する。
【0043】
2つのフォグライト取付孔30は、環状凹部42の底面42Aにおける左右の側部に配置されている。このようにフォグライト取付孔30がフロントバンパーフェース14の凹んだ部分に設けられるため、フォグライトの照射範囲が縮小されることなくフォグライトの損傷が抑制される。
【0044】
図4は
図2中のIV−IV断面図である。
図3及び
図4に示されるように、電波透過部材33の上端は、フロントパネル16の下部傾斜面37と上部鉛直面36との境界、即ち上部鉛直面36の下端に位置している。上記のようにフロントパネル16に設けられために電波透過部材33は目立ちやすいが、このように電波透過部材33の上端が上部鉛直面36の下端に位置することにより、電波透過部材33がより目立たなくなっている。また、上部鉛直面36の光透過部材34と電波透過部材33との間の部分に比較的目立つエンブレム32が配置されていることにより、光透過部材34も目立たなくなっている。
【0045】
フロントパネル16の下端には、前方に開放された有底の取付孔44(
図4)が形成されている。上フェース部材21の上端には取付孔44に挿入されるべく後方に延出するバンパー取付片45(
図4)が設けられている。フロントバンパーフェース14の上フェース部材21は、バンパー取付片45が取付孔44に挿入されることにより、フロントパネル16の前面と連続するように(面一になるように)前後方向の位置決めをされた状態でフロントパネル16に取り付けられる。
【0046】
上フェース部材21の前面は、上部にてフロントパネル16の下端から下部傾斜面37を延長させるように下方に向けて前方に傾斜して延び、中間部から下部にかけて、下方に向けて後方に若干傾斜するように延びている。凹部41の底面41Aは概ね鉛直に延びている。したがって、凹部41の凹み量(周辺部に対する段差)は、上側で大きく、下側で小さくなるように変化している。即ち、凹部41の周辺部に対する段差が下部において上部よりも小さくなっている。
【0047】
上フェース部材21の後方には、車幅方向に延在するフロントバンパービーム50が配置されている。即ち、フロントバンパーフェース14はフロントバンパービーム50の前方に配置されている。フロントバンパービーム50の後方には、車体4の骨格部材であるフロントバルクヘッド52が車幅方向に延在するように配置されている。フロントバルクヘッド52は、アッパクロスメンバ53、ロアクロスメンバ54、及びアッパクロスメンバ53とロアクロスメンバ54とを連結する左右のサイドステイを備え、正面視で矩形の枠状をなしている。フロントバルクヘッド52は、左右の端部において左右のフロントサイドフレームに結合されている。フロントバンパービーム50は、左右のフロントサイドフレームの前端にエクステンション部材を介して取り付けられている。
【0048】
フロントバンパービーム50は縦長の閉断面形状をなしている。フロントバンパービーム50の前面には、フロントバンパービーム50と協働して略三角形の閉断面を形成するように前方に突出するセーフティプレート58が取り付けられている。セーフティプレート58は、歩行者への衝突時に圧壊することで衝突エネルギーを吸収するエネルギー吸収部材(歩行者保護部材)である。セーフティプレート58は、フロントバンパーフェース14の後面に対して前端が隙間を空けるようにフロントバンパーフェース14の後方に配置されている。セーフティプレート58の前端は、上フェース部材21に形成された凹部41の上部に対応する高さに配置されている。
【0049】
フロントバルクヘッド52の内側(アッパクロスメンバ53とロアクロスメンバ54との間)には、複数の熱交換器60が配置されている。これらの熱交換器60は、IPU(インテリジェントパワーユニット)冷却用やエアコンコンデンサなどである。これらの熱交換器60の後方にはシュラウド61に収容された冷却ファン62が設けられている。熱交換器60や冷却ファン62はフロントバルクヘッド52に支持される。熱交換器60の前方には、外気導入開口28から取り込んだ外気を熱交換器60へ導くエアガイド部材64が設けられている。
【0050】
エアガイド部材64の下壁65は外気導入開口28の下縁の下方から概ね水平に後方へ延びている。エアガイド部材64の上壁66は外気導入開口28の上縁の上方から後方に向けて上方への傾斜角度を大きくするように上方に延びている。エアガイド部材64の前端はセーフティプレート58の前端よりも後方に位置している。このようなエアガイド部材64が設けられることにより、外気導入開口28が人の目に映りにくい車体下部に配置されていても、エアガイド部材64によって十分な量の外気を冷却機器に供給することができる。これにより、熱交換器60の冷却性能を失うことなく高いデザイン性の実現が可能になっている。
【0051】
フロントバルクヘッド52のアッパクロスメンバ53には、熱交換器60の上方に配置され、複数の電気接続用コネクタを接続されるポート装置18の装置主部18Aが支持されている。また、アッパクロスメンバ53とフロントバンパービーム50との間には、支持部材68を介してアッパクロスメンバ53に支持されたレーダ装置70が設けられている。レーダ装置70は、電波透過部材33の後方の電波透過部材33から離間した位置に配置されており、ミリ波を前方に送信し、反射した電波を受信することで、前方の物体の有無及び物体までの距離を検出する。なお、電波透過部材33は下部傾斜面37にあるが、レーダ装置70は前方の車両を問題なく検知できる。一方、下部傾斜面37は上部鉛直面36に比べて雨や雪などが車両走行時に風圧で滑り落ちやすいため、電波透過部材33の後方に設けられたレーダ装置70の性能低下が抑制される。
【0052】
フロントパネル16の上部には、マウント部71が一体に形成されており、このマウント部71には、マルチビューカメラとして車体前方及び車体下方(車体4近くの前方)を撮像する撮像装置72が取り付けられている。撮像装置72は、光透過部材34の後方に光透過部材34との間に若干の隙間を空けて配置されている。このように撮像装置72は、上部鉛直面36に設けられた光透過部材34の後方に設けられることにより、フロントバンパーフェース14下方の、車体4により近い領域を撮像することができる。
【0053】
このように、下部傾斜面37に配置された電波透過部材33の後方にレーダ装置70が配置され、上部鉛直面36に配置された光透過部材34の後方に撮像装置72が配置されるため、軽衝突時にレーダ装置70や撮像装置72に影響が及びにくい。また、フロントパネル16の下端はセーフティプレート58の前端よりも後方に位置しており、軽衝突時には衝撃が先にセーフティプレート58によって吸収されるため、フロントパネル16の変形又は脱落が抑制される。更に、電波透過部材33の下端もセーフティプレート58の前端よりも後方に位置しており、これにより電波透過部材33の変形又は脱落も抑制される。
【0054】
フロントバンパーフェース14の大部分はセーフティプレート58の前端よりも前方に位置しており、ライセンスプレート取付面をなす凹部41の底面41Aもセーフティプレート58の前端よりも前方に位置している。一方、フロントバンパーフェース14の上端及びフロントパネル16の下端は、ライセンスプレート取付面をなす凹部41の底面41Aよりも後方且つセーフティプレート58の前端よりも後方に位置している。即ち、電波透過部材33を含むフロントパネル16の全体がライセンスプレート取付面をなす凹部41の底面41Aやセーフティプレート58の前端よりも後方に位置している。
【0055】
したがって、軽衝突時には衝撃が最初にナンバープレート取付面によって吸収され、次にセーフティプレート58によって吸収される。そのため、フロントパネル16の変形又は脱落が抑制される。また、電波透過部材33の変形又は脱落も抑制される。
【0056】
上記のように、エアガイド部材64の前端もセーフティプレート58の前端よりも後方に位置している。そのため、軽衝突時におけるエアガイド部材64の変形も抑制され、エアガイド部材64に接続された部品の変形も併せて抑制される。
【0057】
図5はライセンスプレート取付状態のフロントバンパーフェース14の正面図である。
図5に示されるように、ライセンスプレート74(74A、74B)は、上端部をライセンスプレート取付部24に揃えて上フェース部材21に取り付けられる。ライセンスプレート74は国によって大きさや形状が様々であり、代表的なものとして、欧州で多く使用される横長な矩形状のもの(以下、横長のライセンスプレート74Aという。)と、日本で使用される比較的縦長(実際には横長)な矩形状のもの(以下、縦長のライセンスプレート74Bという。)とがある。
図5には、前者を実線で示し、後者を想像線で示している。
【0058】
図6はライセンスプレート取付状態の
図2中のIV−IV断面に相当する図であり、(A)は横長のライセンスプレート74A取付状態を、(B)は縦長のライセンスプレート74B取付状態を示している。
図5及び
図6(A)に示されるように、上フェース部材21の凹部41の底面41Aは、横長のライセンスプレート74Aの幅及び高さよりも大きな幅及び高さを有している。ライセンスプレート取付部24が凹部41の底面41Aの上部に設けられていることから、横長のライセンスプレート74Aの下端は凹部41の底面41Aの下端よりも上方に位置している。このようにライセンスプレート取付部24が凹部41に形成され、横長のライセンスプレート74Aを凹部41に収容するように上フェース部材21に取り付けることができるため、外観が損なわれない。
【0059】
一方、縦長のライセンスプレート74Bの下端は、
図5及び
図6(B)に示されるように、凹部41の底面41Aの下端よりも下方に位置している。具体的には、縦長のライセンスプレート74Bの下端は、下フェース部材22に重なり且つ外気導入開口28の上場端よりも上方の位置に配置されている。上記のように凹部41の周辺部に対する段差は下部において上部よりも小さく、凹部41の下側部分は上側部分に比べて小さな段差を介して周辺部の上フェース部材21につながっているため、縦長のライセンスプレート74Bを凹部41から下方に延出するように取り付けることが可能になっている。
【0060】
凹部41の底面41Aに設けられた2つのセンサ取付孔26は、これらのライセンスプレート74の両側方に、正面視でライセンスプレート74に重ならず且つライセンスプレート74に近接して配置されている。このようにセンサ取付孔26は凹部41に配置されることによって目立たなくなっている。
【0061】
図7はライセンスプレート取付状態のフロントバンパーフェース14の斜視図である。
図7では、
図5と同様に、横長のライセンスプレート74Aを実線で示し、縦長のライセンスプレート74Bを想像線で示している。上記のようにライセンスプレート74の下端が外気導入開口28の上端よりも上方に位置するため、ナンバープレートが外気導入開口28を閉鎖することはない。したがって、ナンバープレートが外気導入開口28の走行風取り込み性能を阻害することはない。
【0062】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記実施形態では、本発明が一例として電気自動車1に適用されているが、ハイブリッド車やエンジン駆動の自動車に適用されてもよい。また、意匠パネル部をなすフロントパネル16は、上記実施形態ではフロントバンパーフェース14とは別の部材として構成されているが、フロントバンパーフェース14と一体に構成されてもよい。また、各部材や部位の具体的構成や配置、数量、素材など、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。一方、上記実施形態に示した各構成要素は必ずしも全てが必須ではなく、適宜選択することができる。