(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6786564
(24)【登録日】2020年10月30日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】開口内にセンサを取り付けるための固定装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01D 11/30 20060101AFI20201109BHJP
F16B 2/22 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
G01D11/30 P
F16B2/22 Z
G01D11/30 S
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-190889(P2018-190889)
(22)【出願日】2018年10月9日
(65)【公開番号】特開2019-90788(P2019-90788A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2019年1月25日
(31)【優先権主張番号】10 2017 123 485.3
(32)【優先日】2017年10月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591005615
【氏名又は名称】ジック アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘン ショルダー
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン シェツレ
【審査官】
榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−32238(JP,A)
【文献】
特開2001−91305(JP,A)
【文献】
実開平2−6219(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0157748(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/30
G12B 9/00 − 9/10
F16B 2/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁(14)の開口(12)内にセンサ(10)を取り付けるための固定装置(16、26、40)であって、前記開口(12)に填め込まれる組み込み枠(16)と、前記開口(12)内に填め込まれた前記組み込み枠(16)を保持するための第1の固定要素(26)と、前記センサ(10)を前記組み込み枠(16)の上又は内部に保持するための第2の固定要素(40)とを備える固定装置において、
前記第1の固定要素が可撓性を有する保持クリップ(26)として構成され、該保持クリップ(26)が予圧により弾性力を生じさせるとともに前記組み込み枠(16)に取り付け可能であり、その弾性力で該組み込み枠(16)を前記壁(14)の方へ加圧すること、
前記組み込み枠(16)が前記保持クリップ(26)用の複数のガイドスリット(22a〜b、24a〜b)を備えていること、
前記組み込み枠(16)が、弛緩状態の前記保持クリップ(26)を填め込むための少なくとも1つの上側ガイドスリット(22a〜b)を備えていること、及び
前記組み込み枠(16)が、加圧状態の前記保持クリップ(26)を保持するための少なくとも1つの下側ガイドスリット(24a〜b)を備えていること
を特徴とする固定装置。
【請求項2】
前記組み込み枠(16)が矩形状であることを特徴とする請求項1に記載の固定装置。
【請求項3】
前記組み込み枠(16)が、前記開口(12)に差し込まれたときに前記壁(14)上で当接部となる突出部(18)を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の固定装置。
【請求項4】
前記組み込み枠(16)が側壁(20a〜b)を備え、組み込み状態のときに該側壁(20a〜b)が前記開口(12)を貫通して突き出し、前記保持クリップ(26)が該側壁(20a〜b)の表面で前記組み込み枠(16)を保持することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固定装置。
【請求項5】
前記保持クリップ(26)が側部アーム(28a〜b)と下側の交差接続部(30)とを有するあぶみ状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固定装置。
【請求項6】
前記側部のアーム(28a〜b)が膨出部(36a〜b)を有していることを特徴とする請求項5に記載の固定装置。
【請求項7】
前記第2の固定要素が少なくとも1つの取り付けレール(40)として構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の固定装置。
【請求項8】
前記取り付けレール(40)並びに前記組み込み枠(16)及び/又は前記保持クリップ(26)がネジ穴(38、42)を備えていることを特徴とする請求項7に記載の固定装置。
【請求項9】
壁(14)の開口(12)内にセンサ(10)を取り付けるための方法であって、前記開口(12)に組み込み枠(16)を填め込み、填め込まれた該組み込み枠(16)を第1の固定要素(26)で前記開口(12)内に保持し、前記センサ(10)を第2の固定要素(40)で前記組み込み枠(26)の上又は内部に保持する方法において、
前記第1の固定要素が可撓性を有する保持クリップ(26)として構成され、該保持クリップ(26)が予圧により弾性力を生じさせるとともに前記組み込み枠(16)に取り付け可能であり、その弾性力で該組み込み枠(16)を前記壁(14)の方へ加圧すること、
最初に弛緩状態の前記保持クリップ(26)が前記組み込み枠(16)の上側ガイドスリット(22a〜b)に填め込まれ、該上側ガイドスリット(22a〜b)の中で下方に押し込まれること、及び
前記保持クリップ(26)が、その下側領域(28a〜b、30)が押圧されることにより前記壁の(14)方へ加圧された状態となり、該加圧された状態で前記組み込み枠(16)の下側ガイドスリット(24a〜b)内で上方にずらされること
を特徴とする方法。
【請求項10】
前記センサ(10)が前記組み込み枠(16)内へ填め込まれ、該センサ(10)上に取り付けレール(40)が配置されて前記組み込み枠(16)及び/又は前記保持クリップ(26)に固定されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1又は12のプレアンブルに記載の、壁の開口にセンサを取り付けるための固定装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大抵のセンサは固定した状態で使用されるため、数多くの固定の仕方がある。よくある組み立て位置は、壁面(例えば駆動手段や機械、スイッチボックスの金属板や配電盤)にある開口や、一般にベルトコンベア付近の側方等にある境界にある開口内での取り付けである。センサの多くは矩形状又は直方体状であり、通例、固定要素を備えるコストの高い構造のケーシングを有しているが、それでも数多くのネジを用いた面倒な取り付けが避けられないことが多い。また、ケーシングには壁面に対する当接部となる周状のフランジがある。これは単に構造的なコストが高いことや取り付け手順が面倒であることを意味するだけでなく、その固定手段とフランジがセンサの魅力的なデザインの妨げともなる。
【0003】
ある従来の取り付け方では、樹脂製のケーシングの表面において異なる平面に設けられた複数のロック用フックが設けられる。開口内にフックが差し込まれると、ケーシングのフランジと壁面とがぴったり合うような長さまで該フックが突出して止まる。その際、許容差によりロック用フックと壁面の間に遊びが残ってケーシングがしっかり固定されないことがある。これは追加のパッキング等を用いても部分的にしか補えない。
【0004】
また、枠状の追加の固定補助具を用いることも知られている。ケーシングが開口内へ押し込まれ、壁の裏側で固定補助具とネジで固定される。続いて、固定補助具が裏側から壁面上の当接部にネジで固定される。この取り付けは面倒であるにも関わらず、強い振動の際にネジ結合が緩む可能性がある。
【0005】
更に別の固定方法では追加の加圧要素が用いられる。この場合も、まずケーシングが開口に押し込まれる。加圧要素が完全な加圧状態でケーシングに取り付けられ、その応力でケーシングを開口内の当接部に固定する。この取り付けはネジ固定で行われることがほとんどだが、それを完全な加圧状態で行うには多少の技能が必要である。嵌合によりケーシングと加圧要素を結合するという代案もあるが、その分だけ高コストの構造にならざるを得ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
故に本発明の課題は、より良好な固定を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1又は12に記載の、壁の開口にセンサを取り付けるための固定装置及び方法により解決される。該固定装置は組み込み枠を備えており、この組み込み枠がまず開口に取り付けられる。続いてセンサが組み込み枠上に保持される。特に、その構成によってはセンサが組み込み枠内に保持される場合もある。
【0008】
本発明の出発点となる技術思想は、組み込み枠を固定するために、弾性力を有する可撓性の保持クリップを用いることにある。保持クリップは組み込み枠に装着された後、押し付けられてから再び組み込み枠内でそれ自身を固定し、その弾性力で組み込み枠を壁面に加圧する。
【0009】
本発明には、組み込み枠と保持クリップにより機能が分離されているという利点がある。最初は組み込み枠だけが開口に取り付けられる。保持クリップのおかげでそれはわずかな手数で、非常に簡単な操作で行うことができる。なぜなら、保持クリップ1つを取り付けるだけで済むからである。また、予圧のために必要な取り付け力がてこの原理により小さくなる。加えて、保持クリップの予圧により許容差が補われる。第2段階でようやくセンサが組み込み枠に取り付けられる。壁も、またとりわけセンサそのものも、特にこの取り付け作業に適合化されてはいない。特にケーシングには固定要素も当接部としてのフランジも必要ないため、センサの魅力的なデザインを変えずに済む。この固定の仕方には汎用性がある。例えばそれは、もともと開口への取り付け用ではなかったようなケーシングにも適している。また、同じケーシングを持つセンサを別の環境の場所に設置することができる。
【0010】
組み込み枠は矩形状であることが好ましい。更に言えば、それは枠の外側形状及び内側形状の両方に当てはまること、即ち、組み込み枠が矩形状の開口に対応する外部形状と直方体状のセンサに対応する内部形状を有していることが好ましい。ここで、「直方体」とは厳密に幾何学的な意味ではなく、特に、丸みをつけるといったデザイン上の理由や、接続部を設置したり表示部と操作部を斜めに配置したりする等の機能上の理由による逸脱があってもよい。組み込み枠は原理的には、例えば円形の開口や円柱状のセンサに対応した別の形状を有していてもよい。それどころか、円柱状のセンサを矩形状の開口に入れる等、前述の諸形状の折衷型でもよい。
【0011】
組み込み枠は開口に差し込まれたときに壁上で当接部となる突出部を備えていることが好ましい。この突出部はいわば、従来ならセンサ自身に取り付ける必要があった当接部の代わりになる。この構成によれば、組み込み枠が開口内で所望の深さまで入り込む。突出部は、組み込み枠が開口内でしっかりと面一で固定されるように、全周にわたって設けられることが好ましい。
【0012】
組み込み枠が側壁を備え、組み込み状態のときに該側壁が開口を貫通して突き出し、保持クリップが該側壁の表面で組み込み枠を保持するものであることが好ましい。前記側壁は両側に設けられることが好ましい。これは、センサを確実に保持ながらも、その大きさを上側及び下側で制限することがないようにするため、或いは上側及び下側での接続を可能にするためである。なお、これとは異なる数及び位置の側壁も考えられる。なお、本明細書ではセンサが垂直に取り付けられることを前提としているが、これは本発明を限定するものと理解すべきではなく、上側や下側、両側といった相対的な記述は別の向きや鏡像反転した構成に容易に転換することができる。
【0013】
組み込み枠は保持クリップ用の複数のガイドスリットを備えていることが好ましい。このようにすれば、保持クリップを非常に容易に組み込み枠に装着し、ガイドスリットに張設することができる。ガイドスリットは組み込み枠の側壁に設けられることが好ましい。特に、角部やその近傍等、正反対に対向する点で保持クリップを支持するために、ガイドスリットとガイドスリットの間の距離を大きく空けることが好ましい。
【0014】
組み込み枠は、弛緩状態の保持クリップを填め込むための少なくとも1つの上側ガイドスリットを備えていることが好ましい。これにより、最初に保持クリップを組み込み枠内に差し込むことができる。上側ガイドスリットは、その後の取り付け時の保持位置のために必要な深さよりも大きな深さを有することが好ましい。そうすると、下側で保持クリップを組み込み枠より外へ突出させて押圧することができるように、最初に保持クリップがガイドスリット内へより深くまで差し込まれる。「上側ガイドスリット」とは、そのようなガイドスリットが開口の上側の縁部又はその近傍に配置されていることを意味する。
【0015】
組み込み枠は、加圧状態の保持クリップを保持するための少なくとも1つの下側ガイドスリットを備えていることが好ましい。下側ガイドスリット内では保持クリップが加圧を維持したまま上方へ押される。その際、保持クリップは同時に上側ガイドスリット内で滑って若干上方へ戻るが、上側ガイドスリットから外れることはない。その後、加圧状態の保持クリップは再び上側及び下側ガイドスリット内に張設された状態になる。弾性力の作用により、保持クリップはガイドスリット内でもはや動かず、壁面に組み込み枠をしっかり押し付ける。「下側ガイドスリット」とは「上側ガイドスリット」の反対概念であり、該下側ガイドスリットが開口の下側の縁部又はその近傍にあることを意味する。
【0016】
保持クリップは側部のアームと下側の交差接続部とを有するあぶみ状であることが好ましい。この構成によれば、保持クリップは上方に開いており、そこでは側部のアームが交差接続部を有していないため、保持クリップをより深くまで、組み込み枠に邪魔されずに上側ガイドスリット内に入れることができる。下側の交差接続部又は本来のあぶみ部には、てこの作用を利用した押圧により保持クリップに所要の張力をかけるのに適した把持面がある。
【0017】
側部のアームは膨出部を有していることが好ましい。これにより弾性力の作用が生じる又は促進される。また、膨出部の寸法は、保持クリップの弛緩状態において側部のアームが壁面と当接したとき、保持クリップを上側ガイドスリット内へ入れるためにちょうど適した間隔が壁面と保持クリップの間にできるように決められていることが好ましい。
【0018】
第2の固定要素は少なくとも1つの取り付けレールとして構成されていることが好ましい。センサは組み込み枠内に填め込まれ、そこで取り付けレールを用いて固定される。そのために、取り付けレールはセンサを横断するように配設され、組み込み枠及び/又は保持クリップに固定される。
【0019】
取り付けレール並びに組み込み枠及び/又は保持クリップはネジ穴を備えていること、特に、ネジ山のある及び/又はネジ山のないネジ穴を備えていることが好ましい。これにより、取り付けレールが確実にネジで固定される。従来の解決策とは異なり、これらのネジ穴は固定装置側だけにあり、センサ自身にはない。そのため、センサのケーシングの設計はなおも専ら美的及び機能的な観点から行われ、特定の固定方法に影響されることはない。
【0020】
本発明に係る方法は、前記と同様のやり方で仕上げていくことが可能であり、それにより同様の効果を奏する。そのような効果をもたらす特徴は、例えば本願の独立請求項に続く従属請求項に記載されているが、それらに限定されるものではない。
【0021】
取り付けの際、好ましくは、最初に弛緩状態の保持クリップが組み込み枠の上側ガイドスリットに填め込まれ、該上側ガイドスリットの中で下方に押し込まれる。特に、保持クリップが最終的な取り付け状態よりも下方まで更に押し込まれることで、組み込み枠の下部の周辺に下側あぶみ部等を用いて予圧をかけるための十分な余地ができ、更に、組み込み枠上に保持クリップのもう一つの保持点を下側から設けることが可能になる。
【0022】
その場合、保持クリップは、その下側領域が押圧されることにより壁の方へ加圧された状態となり、該加圧された状態で組み込み枠の下側ガイドスリット内で上方にずらされることが好ましい。その際、てこの原理により押圧が補助される。組み込み枠は開口内で面一になっているため、誤って保持クリップと一緒にずれることはない。下側ガイドスリット内への係合は保持クリップの下側あぶみ状部の一部領域で行われることが好ましい。上方への動きにより保持クリップは上側ガイドスリット内でもずれる。上方への動きの最後に保持クリップが下側ガイドスリットの端部に当たっても、保持クリップが上側ガイドスリットから外れることはない。むしろこのとき保持クリップは、弾性力により確実に上側及び下側ガイドスリット内で保持され、同時に組み込み枠を壁にしっかり押し付ける。
【0023】
その後でセンサが組み込み枠内へ填め込まれ、該センサ上に取り付けレールが配置されて組み込み枠及び/又は保持クリップに固定されることが好ましい。ネジ穴等の適宜の固定手段や、クリップ式固定具又はその他の任意の公知の固定方法を、取り付けレール、保持クリップ及び/又は組み込み枠上に少なくとも部分的に用意してもよい。
【0024】
以下、本発明について、更なる特徴及び利点をも考慮しつつ、模範的な実施形態に基づき、添付の図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】模範例のセンサ及び該センサが取り付けられる開口の正面図。
【
図4】組み込み枠を開口に差し込む工程を説明するための3次元図。
【
図5】開口内に面一に差し込まれた組み込み枠の3次元図。
【
図6】(a)〜(d)保持クリップを用いて組み込み枠を開口に固定する手順を示す3次元図。
【
図7】センサを組み込み枠内に保持するための取り付けレールの3次元図。
【
図8】開口への取り付けが完了したセンサの3次元図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1はセンサ10と、該センサ10が取り付けられる壁面14内の空き領域又は開口12の正面図である。開口12は例えば薄板や配電盤に形成された開口である。センサ10を例にして本発明に係る固定装置について説明するが、本発明は表示装置や画像スクリーン等の他の装置にも適している。なぜなら具体的な機能は固定装置にとって重要ではないからである。センサ10はほぼ直方体状のケーシングを備えているが、この模範例でも示したように、丸みをつけたり、操作要素や接続部等を設けたりする等の逸脱は可能である。原理的には、例えば円柱状のセンサ10及び/又は円形の開口12のように、センサ10と開口12のいずれも他の形状にすることが可能である。その場合、固定要素の具体的な構成もそれに適合させる。
【0027】
図2は組み込み枠16を斜め後ろから見た3次元図で示している。組み込み枠16は、図上では後ろに描かれた正面側に周状の当接部又は突出部18を有している。また組み込み枠16は、
図2では前に描かれた背面側に2つの側壁20a〜bを備え、更にその上下に追加の側壁20c〜dを備えている。側壁20a〜bにはそれぞれ上側ガイドスリット22a〜bと下側ガイドスリット24a〜bが設けられている。上下の側壁20c〜dには凹部があり、これがセンサ10の接続部や追加の操作領域へのアクセスを可能にしている。
【0028】
図3は組み込み枠16を開口12に固定するための保持クリップ26の3次元図である。ここで使用する保持クリップ26は、それを取り付ければもうそれだけで組み込み枠16が固定されるような好ましい構成を有するまさに単一の保持クリップである。この模範的な実施例では保持クリップ26は2つの側部アーム28a〜bと1つの下側あぶみ部30とを有するあぶみ状である。側部アーム28a〜bは、組み込み枠16のガイドスリット22a〜b及び24a〜bにそれぞれ係合する上側張り出し部32a〜bと下側張り出し部34a〜bを有する。ガイドスリット22a〜b、24a〜b内での保持をより良好にするため、張り出し部32a〜b、34a〜bには更に屈曲部を設けることが好ましい。あぶみ部30もまた、丸みのある部分に押し付けることができるように前方に曲げられていることが好ましい。更に側部アーム28a〜bには、保持クリップ26の弾性力を生み出して取り付け状態において壁14を押圧するために、膨出部36a〜bも設けられている。最後に、保持クリップ26にはネジ穴38又はネジ山も設けられている。これらは例えばプレスナット又はリベットナットの形で実現してもよい。
【0029】
センサ10の取り付けは3つのステップで行われる。まず組み込み枠16を開口14に填め込む。次に該開口内で保持クリップ26を用いて組み込み枠16を固定する。最後にセンサ10を組み込み枠16内に挟み込む。
【0030】
図4は開口12内への組み込み枠16の填め込み動作を示す前方から見た3次元図である。
図5は、組み込み枠16がその突出部18で壁14の表面と面一になって止まるまで開口12内へ填め込まれた様子を示す後方からの3次元図である。
【0031】
図6(a)〜(d)は保持クリップ26を用いた4つの簡単な操作で組み込み枠16を前記の位置に固定する工程を示す3次元図である。
【0032】
そのため、第1に、
図6(a)に示したように、保持クリップ26の上側張り出し部32a〜bが組み込み枠16のガイドスリット22a〜bの入口領域に位置するように、保持クリップ26を弛緩状態で組み込み枠16の周囲に配置する。好ましくは、保持クリップ26の膨出部36a〜bが壁14の表面に当接したときに壁との間に適正な間隔が生じるように該膨出部の寸法を決めておく。
【0033】
第2に、
図6(a)に矢印で示したように保持クリップ26をガイドスリット22a〜b内で、好ましくは張り出し部32a〜bがガイドスリット22a〜bの端部に当たって止まるまで、下方にずらす。
図6(b)はその後の状況を示している。
【0034】
第3に、今度はあぶみ部30を壁14の方へ押圧する。
図6(b)の矢印がこれを示しており、
図6(c)は押し付けられた保持クリップ26を示している。これに要する力はてこの作用によりわずかで済む。またあぶみ部30には十分な把持面がある。
【0035】
第4に、こうして加圧状態の保持クリップ26を、好ましくはあぶみ部30を把持して、
図6(c)に矢印で示したように上方にずらす。その際、保持クリップ26の下側張り出し部34a〜bが組み込み枠16の下側ガイドスリット24a〜b内へ差し込まれる。上方への動きはあぶみ部30が組み込み枠16に当たることにより制限される。あるいは、保持クリップ26の側部アーム28a〜bに、あぶみ部30よりも上方にずれた独自の当接部を設けてもよい。組み込み枠が対称性を維持し、主たる方向が不注意により180度回転してもよいように、図の組み込み枠では上側ガイドスリット22a〜bと下側ガイドスリット24a〜bが同じ長さになっている。あるいは、下側ガイドスリット24a〜bを短くしてその端部を下側張り出し部34a〜bに対する当接部として利用することも考えられる。保持クリップ26の上方への動きにより上側張り出し部32a〜bもガイドスリット22a〜b内で若干上方に戻るが、そこから外れることはない。
【0036】
図6(d)は結果を示している。組み込み枠16と保持クリップ26がセンサ10とは別に壁14としっかり結合されている。また保持クリップ26の弾性力により膨出部36a〜bが壁14を押圧し、それと同時に横方向の力が生じるため、保持クリップ26が再び下方に滑って抜けることが確実に防止される。
【0037】
取り付けの最後にセンサ10が組み込み枠16内に固定される。
図7はネジ穴42を有する取り付けレール40の3次元図である。取り付けレールのその他の構成は、特別なセンサ10及び機能に対応した単なる模範例であり、重要ではない。取り付けレール40はセンサ10に合った寸法と適切な搭載面さえ有していればよい。
【0038】
こうしてセンサ10が組み込み枠16内に配置され、その上に取り付けレール40が配置される。最後に、取り付けレール40のネジ穴42と保持クリップ26のネジ穴38にネジ44を通し、該ネジで取り付けレールを固定する。これによりセンサ10が組み込み枠16内に押し付けられる。また保持クリップ26の滑落がより確実に防止される。
【0039】
壁14の開口12内への取り付けが完了したセンサ10を
図8に3次元図で示す。