特許第6786584号(P6786584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6786584
(24)【登録日】2020年10月30日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】導電性先端部型カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20201109BHJP
   A61N 1/36 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   A61M25/00 530
   A61M25/00 624
   A61M25/00 650
   A61N1/36
【請求項の数】22
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-501874(P2018-501874)
(86)(22)【出願日】2016年7月14日
(65)【公表番号】特表2018-526065(P2018-526065A)
(43)【公表日】2018年9月13日
(86)【国際出願番号】US2016042293
(87)【国際公開番号】WO2017011664
(87)【国際公開日】20170119
【審査請求日】2018年3月15日
(31)【優先権主張番号】62/192,574
(32)【優先日】2015年7月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515257519
【氏名又は名称】テレフレックス メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】シュトゥルサ ラデック
(72)【発明者】
【氏名】ストレダ ペトル
【審査官】 川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−502197(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0316327(US,A1)
【文献】 特開2014−200330(JP,A)
【文献】 特開2004−305735(JP,A)
【文献】 特表2008−538997(JP,A)
【文献】 特開2011−120845(JP,A)
【文献】 特開2007−236472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性先端部型カテーテルであって、
近位端および遠位端を備えた可撓性管状部材を有し、前記可撓性管状部材は、前記近位端と前記遠位端との間に延びるルーメンを有し、
前記可撓性管状部材の前記ルーメン内に少なくとも部分的に配置された導電性金属コイルを有し、前記導電性金属コイルは、
前記金属コイルの遠位端のところに配置されていて第1のピッチを備えた第1の領域であって、前記可撓性管状部材の前記遠位端から遠位側に延びている前記第1の領域と、
前記第1の領域の近位側に位置していて、前記第1のピッチよりも大きい第2のピッチを備えた第2の領域と、
前記第2の領域の近位側に位置していて前記第1のピッチおよび前記第2のピッチとは異なる第3のピッチを備えた第3の領域と、を有し、
前記導電性金属コイルに電気的に接続され前記可撓性管状部材の前記遠位端のところに設けられた導電性先端部を有し、前記導電性先端部は、前記ルーメンと流体連通状態にある先端部ルーメンを備え、前記導電性先端部は、炭素入りポリウレタンである導電性ポリマーを含む、導電性先端部型カテーテル。
【請求項2】
前記導電性先端部は、前記導電性金属コイルの前記第1の領域に溶接されている、請求項1記載の導電性先端部型カテーテル。
【請求項3】
前記導電性先端部は、前記導電性金属コイルの前記第1の領域を覆って溶接されている、請求項記載の導電性先端部型カテーテル。
【請求項4】
前記導電性先端部は、前記導電性金属コイルの前記第1の領域を覆って高周波溶接されている、請求項記載の導電性先端部型カテーテル。
【請求項5】
前記先端部ルーメンの内径は、前記導電性金属コイルの前記第1の領域の外径よりも小さい、請求項1記載の導電性先端部型カテーテル。
【請求項6】
前記先端部ルーメンの内径は、前記導電性金属コイルの前記第1の領域の外径に等しい、請求項1記載の導電性先端部型カテーテル。
【請求項7】
前記可撓性管状部材は、ポリウレタンを含む、請求項1記載の導電性先端部型カテーテル。
【請求項8】
前記可撓性管状部材の前記ルーメン内に設けられたリボンを更に有する、請求項1記載の導電性先端部型カテーテル。
【請求項9】
前記リボンは、金属ワイヤから成る、請求項記載の導電先端部型カテーテル。
【請求項10】
前記リボンは、前記導電性金属コイルの遠位側領域のところでかつ前記導電性金属コイルの近位側領域のところで前記導電性金属コイルに結合されている、請求項記載の導電性先端部型カテーテル。
【請求項11】
前記可撓性管状部材は、前記可撓性管状部材の外面に設けられた複数の深さマーカを更に有する、請求項1記載の導電性先端部型カテーテル。
【請求項12】
前記導電性先端部は、丸形遠位端を有する、請求項1記載の導電性先端部型カテーテル。
【請求項13】
前記導電性金属コイルの近位端は、前記可撓性管状部材の前記近位端から近位側に延びている、請求項1記載の導電性先端部型カテーテル。
【請求項14】
前記導電性金属コイルの前記近位端は、電流源に接続されている、請求項13記載の導電性先端部型カテーテル。
【請求項15】
前記導電性金属コイルは、前記導電性金属コイルと前記可撓性管状部材との各接触箇所のところで前記可撓性管状部材に直接結合している、請求項1記載の導電性先端部型カテーテル。
【請求項16】
前記第3のピッチは、前記第2のピッチよりも小さい、請求項1記載の導電性先端部型カテーテル。
【請求項17】
前記第3のピッチは、前記第1のピッチよりも大きい、請求項1記載の導電性先端部型カテーテル。
【請求項18】
前記導電性金属コイルは、前記第3の領域の近位側に位置していて前記第3のピッチよりも大きい第4のピッチを備えた第4の領域を更に有する、請求項1記載の導電性先端部型カテーテル。
【請求項19】
前記導電性金属コイルは、前記第4の領域の近位側に位置していて前記第4のピッチよりも小さい第5のピッチを備えた第5の領域を更に有する、請求項18記載の導電性先端部型カテーテル。
【請求項20】
前記導電性先端部型カテーテルの近位端は、前記可撓性管状部材の前記ルーメンと流体連通状態にある流体源に連結されている、請求項1記載の導電性先端部型カテーテル。
【請求項21】
前記流体源は、麻酔薬である、請求項20記載の導電性先端部型カテーテル。
【請求項22】
導電性先端部型カテーテルであって、
近位端および遠位端を備えた可撓性管状部材を有し、前記可撓性管状部材は、前記近位端と前記遠位端との間に延びるルーメンを有し、
前記可撓性管状部材の前記ルーメン内に少なくとも部分的に配置された導電性金属コイルを有し、前記導電性金属コイルは、
前記金属コイルの遠位端のところに配置されていて第1のピッチを備えた第1の領域と、
前記第1の領域の近位側に位置していて、前記第1のピッチよりも大きい第2のピッチを備えた第2の領域と、
前記第2の領域の近位側に位置していて前記第2のピッチよりも小さい第3のピッチを備えた第3の領域と、を有し、
炭素入りポリウレタンで作られかつ高周波溶接によって前記導電性金属コイルの前記第1の領域を覆って溶接された導電性先端部を有し、前記導電性先端部は、前記ルーメンと流体連通状態にある先端部ルーメンを備え、
前記可撓性管状部材の前記ルーメン内に配置されたリボンを有し、前記リボンは、前記導電性金属コイルの遠位側領域のところでかつ前記導電性金属コイルの近位側領域のところで前記導電性金属コイルに結合され、
前記導電性金属コイルは、前記導電性金属コイルと前記可撓性管状部材との各接触箇所のところで前記可撓性管状部材に直接結合している、導電性先端部型カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容、すなわち本発明は、一般に、導電性先端部型カテーテルに関する。特に、本発明は、麻酔薬を投与する導電性先端部型カテーテルに関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2015年7月15日に出願された米国特許仮出願第62/192,574号(発明の名称:Conductive Tip Catheter)の優先権主張出願であり、この米国特許仮出願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
末梢神経ブロックカテーテルが外科的麻酔薬ならびに術後および非外科的麻酔薬の投与のために広く用いられている。末梢神経ブロックカテーテルは、針を通って患者の組織内の所望の場所に患者の神経沿いに挿入される。次に、麻酔薬がカテーテルの遠位端のところの開口部を通ってこの神経存在場所中に注入されてこの所望の存在場所を選択的に麻痺させて疼痛を軽減する。これらカテーテルは、電気インパルスによる神経刺激を可能にする導体を有する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これら末梢神経ブロックカテーテルは、長い期間にわたって、特に術後疼痛治療中、神経存在場所中に挿入される場合が多い。この期間の間、組織成長がカテーテルの開口部のところ、例えばこの器具に設けられている露出コイル相互間で起こる場合がある。この組織成長は、カテーテルからの麻酔薬の流れを制限する場合があり、その結果、カテーテルが最終的に患者から抜去されたときに組織および神経の損傷が生じる。
【0005】
したがって、麻酔薬を投与して長い滞留手技中、組織の成長を阻止するための改良型導電性先端部型カテーテルが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の要望は、以下に説明する導電性先端部型カテーテルによって大幅に満たされる。導電性先端部型カテーテルは、近位端および遠位端を備えた可撓性管状部材を有する。可撓性管状部材は、近位端と遠位端との間に延びるルーメンを有する。導電性先端部型カテーテルは、可撓性管状部材のルーメン内に少なくとも部分的に配置された導電性金属コイルを更に有する。導電性金属コイルは、金属コイルの遠位端のところに配置されていて第1のピッチを備えた第1の領域と、第1の領域の近位側に位置していて、第1のピッチよりも大きい第2のピッチを備えた第2の領域と、第2の領域の近位側に位置していて第1のピッチおよび第2のピッチとは異なる第3のピッチを備えた第3の領域とを有する。導電性先端部型カテーテルは、可撓性管状部材の遠位端のところに設けられた導電性先端部を更に有する。導電性先端部は、ルーメンと流体連通状態にある先端部ルーメンを有する。
【0007】
幾つかの観点では、導電性先端部は、導電性ポリマーから成るのが良い。特に、導電性ポリマーは、炭素入りポリウレタンであるのが良い。導電性コイルの第1の領域は、可撓性管状部材の遠位端から遠位側に延びるのが良い。導電性先端部は、導電性金属コイルの第1の領域に溶接されるのが良い。さらに、導電性先端部は、導電性金属コイルの第1の領域を覆って溶接されるのが良い。特に、導電性先端部は、導電性金属コイルの第1の領域を覆って高周波溶接されるのが良い。
【0008】
幾つかの観点では、先端部ルーメンの内径は、導電性金属コイルの第1の領域の外径よりも小さいのが良い。また、先端部ルーメンの内径は、導電性金属コイルの第1の領域の外径に等しいのが良い。可撓性管状部材は、ポリウレタンを含むのが良い。導電性先端部型カテーテルは、可撓性管状部材のルーメン内に設けられた安全リボンを更に有するのが良い。安全リボンは、金属ワイヤから成るのが良い。安全リボンは、導電性金属コイルの遠位側領域のところでかつ導電性金属コイルの近位側領域のところで導電性金属コイルに結合されるのが良い。
【0009】
幾つかの観点では、可撓性管状部材は、可撓性管状部材の外面に設けられた複数の深さマーカを有するのが良い。導電性先端部は、丸形遠位端を有するのが良い。導電性金属コイルの近位端は、可撓性管状部材の近位端から近位側に延びるのが良い。導電性金属コイルの近位端は、電流源に接続されるのが良い。導電性金属コイルは、導電性金属コイルと可撓性管状部材との各接触箇所のところで可撓性管状部材に直接結合するのが良い。
【0010】
幾つかの観点では、第3のピッチは、第2のピッチよりも小さいのが良い。また、第3のピッチは、第1のピッチよりも大きいのが良い。導電性金属コイルは、第3の領域の近位側に位置していて第3のピッチよりも大きい第4のピッチを備えた第4の領域を更に有するのが良い。導電性金属コイルは、第4の領域の近位側に位置していて第4のピッチよりも小さい第5のピッチを備えた第5の領域を更に有するのが良い。導電性先端部型カテーテルの近位端は、可撓性管状部材のルーメンと流体連通状態にある流体源に連結されるのが良い。流体源は、麻酔薬であるのが良い。
【0011】
幾つかの観点では、導電性先端部型カテーテルは、近位端および遠位端を備えた可撓性管状部材を有する。可撓性管状部材は、近位端と遠位端との間に延びるルーメンを有する。導電性先端部型カテーテルは、可撓性管状部材のルーメン内に少なくとも部分的に配置された導電性金属コイルを更に有する。導電性金属コイルは、金属コイルの遠位端のところに配置されていて第1のピッチを備えた第1の領域と、第1の領域の近位側に位置していて、第1のピッチよりも大きい第2のピッチを備えた第2の領域と、第2の領域の近位側に位置していて第2のピッチよりも小さい第3のピッチを備えた第3の領域とを有する。導電性先端部型カテーテルは、炭素入りポリウレタンで作られかつ高周波溶接によって導電性金属コイルの第1の領域を覆って溶接された導電性先端部を更に有する。導電性先端部は、ルーメンと流体連通状態にある先端部ルーメンを備える。導電性先端部型カテーテルは、可撓性管状部材のルーメン内に配置された安全リボンを更に有する。安全リボンは、導電性金属コイルの遠位側領域のところでかつ導電性金属コイルの近位側領域のところで導電性金属コイルに結合されている。導電性金属コイルは、導電性金属コイルと可撓性管状部材との各接触箇所のところで可撓性管状部材に直接結合している。
【0012】
導電性先端部型カテーテル器具の詳細な説明を良好に理解することができるように導電性先端部型カテーテル器具のある特定の観点の概要を説明した。当然のことながら、以下に説明する本発明の追加の観点が存在する。この点に関し、導電性先端部型カテーテル器具の少なくとも1つの観点を詳細に説明する前に、導電性先端部型カテーテルは、その用途が以下の説明に記載されまたは図面に示されたコンポーネントの構成の細部および配置に限定されないことは理解されるべきである。導電性先端部型カテーテルは、上述した機能に加えて様々な機能を実行することができるとともに種々の仕方で具体化されて実施できる。また、理解されるべきこととして、本明細書において用いられる語句および用語ならびに発明の概要は、説明の目的のためであって、本発明を限定するものと見なされてはならない。
【0013】
したがって、当業者であれば、本発明が立脚する技術的思想を本発明の幾つかの目的を達成するための他の構造、方法、およびシステムの設計のための基礎として容易に利用できることは理解されよう。したがって、特許請求の範囲の記載は、この特許請求の範囲の請求項の内容が本発明の精神および範囲から逸脱しない限り、かかる均等構成例を含むものと見なされることが重要である。
【0014】
本発明を容易に理解することができるようにするために、本発明の諸観点が添付の図面に例示として示されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一観点による導電性先端部型カテーテルの側面図である。
図2】本発明の一観点による導電性先端部を示す図1の一部分の拡大図である。
図3図1の導電性先端部型カテーテルのA‐A線矢視断面図である。
図4】本発明の一観点による導電性先端部型カテーテルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図中、同一の参照符号および数字は、別段の指定を除き、種々の図全体を通じて同一の部分を示している。
【0017】
図1は、本発明の一観点による導電性先端部型カテーテル100の側面図である。導電性先端部型カテーテル100は、遠位端104および近位端106を備えた可撓性管状部材102を有する。可撓性管状部材102は、近位端106と遠位端104まで延びるルーメン108を備えている。可撓性管状部材102の近位端106は、ルーメン108と流体連通状態にある流体源(図示せず)に連結されるのが良い。流体源は、手術中または手術後に使用される麻酔薬の源であるのが良い。可撓性管状部材102は、熱硬化性ポリマーまたは熱可塑性樹脂で作られるのが良く、熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン、ポリエステル樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、および/またはポリアミドが挙げられる。特に、可撓性管状部材102は、押し出し成形された熱可塑性ポリウレタンであるのが良い。
【0018】
導電性先端部型カテーテル100は、金属コイル110を更に有する。金属コイル110は、導電性であり、この金属コイルを可撓性管状部材102のルーメン108内に配置するのが良い。金属コイル110は、その遠位端112からその近位端114まで延びている。金属コイル110の近位端114は、導電性先端部型カテーテルが患者の体内にいったん挿入されると、電気的刺激をもたらす電流源に接続されるのが良い。金属コイル110は、ステンレス鋼または別の耐腐食性金属化合物、例えばチタン、アルミニウム、および/または白金で作られるのが良い。
【0019】
金属コイル110は、金属コイル110が可撓性管状部材102に対して側方に動くことができないように可撓性管状部材102に結合されるのが良い。金属コイル110は、金属コイル110の選択された領域のところでまたは金属コイル110の長さ全体に沿って可撓性管状部材102に結合されるのが良い。金属コイル110は、溶接、接着剤、溶媒膨潤、または当該技術分野において知られている別の方法によって可撓性管状部材102に結合されるのが良い。好ましい観点では、可撓性管状部材102は、テトラヒドロフランおよびヘプタンを用いた溶媒膨潤を利用して金属コイル110に結合される。溶媒膨潤プロセスにより、接着剤を全く必要としないで可撓性管状部材102を金属コイル110周りに締め付けてこれに結合することができる。溶媒膨潤プロセスにより、金属コイル110は、金属コイル110と可撓性管状部材102の各接触箇所のところで可撓性管状部材102に直接結合することができる。
【0020】
金属コイル110は、可撓性管状部材102のルーメン108内に部分的に配置されるのが良い。金属コイル110の遠位端112は、可撓性管状部材102の遠位端104から遠位側に延びるのが良い。同様に、金属コイル110の近位端114は、可撓性管状部材102の近位端106から近位側に延びるのが良い。すなわち、可撓性管状部材102は、金属コイル110の遠位端112および/または近位端114とオーバーラップしないのが良い。したがって、金属コイル110の長さは、可撓性管状部材102の長さよりも長いのが良い。
【0021】
金属コイル110は、互いに異なるピッチを備えた複数の領域を有する。図1に示されている一観点では、金属コイル110は、第1のピッチを備えた第1の領域116、第2のピッチを備えた第2の領域118、第3のピッチを備えた第3の領域120、第4のピッチを備えた第4の領域122および第5のピッチを備えた第5の領域124を有する。他の観点では、金属コイル110は、4個以下の領域または6個以上の領域を有しても良く、各領域は、異なるピッチを有する。上述した特定の観点に加えて、導電性先端部型カテーテル100は、金属コイル110の複数の領域に関して長さおよびピッチの他の構成で具体化できる。図1は、複数の領域を縮尺どおりには示していない。
【0022】
第1の領域116は、金属コイル110の遠位端112から延びるのが良い。第1の領域116は、0.5〜2mm、例えば1mmの長さを有するのが良い。第1の領域116はまた、小ピッチ距離、例えば0.001mm〜0.05mmの第1のピッチを有するのが良い。第1の領域116の第1の小ピッチにより、金属コイル110の遠位端112は、より剛性になることができる。より剛性の遠位端112は、使用中、導電性先端部型カテーテル100の挿入および/または操作を助けることができる。
【0023】
第2の領域118は、第1の領域116の近位側に配置されている。第2の領域118は、第1の領域116の長さよりも長い長さを有するのが良い。例えば、第2の領域118は、10mm〜25mm、例えば19mmの長さを有するのが良い。例えば第2の領域118の第2のピッチは、第1の領域116の第1のピッチよりも長いのが良い。例えば、第2のピッチは、0.1〜0.5mm、例えば0.3mmであるのが良い。大きな第2のピッチにより、金属コイル110の第2の領域118は、第1の領域116に対して高い可撓性を示すことができる。
【0024】
第3の領域120は、第2の領域118の近位側に配置されている。第3の領域120は、第2の領域118の長さよりも長い長さを有する。例えば、第3の領域120は、100〜250mm、例えば180mmの長さを有するのが良い。第3の領域120の第3のピッチは、第2の領域118の第2のピッチよりも小さいのが良い。例えば、第3のピッチは、例えば0.001mm〜0.05mmであるのが良い。第3のピッチは、大ざっぱに言えば、第1のピッチに等しいのが良くまたは第1のピッチよりも大きくても良くまたはこれよりも小さくても良い。
【0025】
第4の領域122は、第3の領域120の近位側に配置されている。第4の領域122は、第3の領域120の長さよりも短い長さを有するのが良い。例えば、第4の領域122は、5mm〜25mm、例えば15mmの長さを有するのが良い。第4の領域122の第4のピッチは、第3の領域120の第3のピッチよりも大きいのが良い。例えば、第4のピッチは、0.1〜0.8mm、例えば0.45mmであるのが良い。第4のピッチは、大ざっぱに言って、第2のピッチに等しいのが良くあるいは第2のピッチよりも大きくても良くまたはこれよりも小さくても良い。第4のピッチの大きさは、ユーザが可撓性管状部材102のルーメン108内の流体レベルを観察することができるのに十分であるのが良く、その結果、第4の領域122は、フラッシュバック窓となる。他の観点では、導電性先端部型カテーテル100は、金属コイル110に沿って様々なサイズの追加の遠位側窓を有するのが良い。
【0026】
第5の領域124は、第4の領域122の近位側に配置されている。第5の領域124は、第4の領域122の近位端から金属コイル110の近位端114まで延びるのが良い。第5の領域124は、第4の領域122の長さよりも長い長さを有するのが良い。例えば、第5の領域124は、200mm〜800mm、例えば400mmの長さを有するのが良い。第5の領域124の第5のピッチは、第4の領域122の第4のピッチよりも小さいのが良い。例えば、第5のピッチは、0.001mm〜0.05mmであるのが良い。第5のピッチは、大ざっぱに言って、第1の領域116の第1のピッチおよび/または第3の領域120の第3のピッチに等しいのが良い。変形例として、第5のピッチは、第1の領域116の第1のピッチおよび/または第3の領域120の第3のピッチよりも大きくても良くまたはこれらよりも小さくても良い。
【0027】
図1に示されているように、導電性先端部型カテーテル100は、導電性先端部126を更に有する。図2は、本発明の一観点による導電性先端部126を示す図1の一部分の拡大図である。図2に示されているように、導電性先端部126は、丸形遠位端130を有するのが良い。導電性先端部126は、金属コイル110の遠位端112の遠位側に配置されるのが良い。特に、導電性先端部126は、金属コイル110の第1の領域116の遠位側に配置されるのが良い。導電性先端部126は、溶接、例えば誘導溶接、高周波溶接、および超音波溶接により、接着剤により、および/または当該技術分野において知られている別の方法を用いて金属コイル110に結合されるのが良い。導電性先端部126は、金属コイル110の第1の領域116を覆って溶接されるのが良い。すなわち、導電性先端部126の近位側領域は、金属コイル110の第1の領域116の外面周りに結合されている。
【0028】
導電性先端部126は、可撓性管状部材102のルーメン108と流体連通状態にある先端部ルーメン128を備えている。図2に示されているように、先端部ルーメン128は、導電性先端部126の遠位端130のところが開口しているのが良く、それにより流体は、可撓性管状部材102のルーメン108から先端部ルーメン128を通って流れ、そして導電性先端部126から流出することができる。先端部ルーメン128は、可撓性管状部材102のルーメン108の内径よりも小さい内径を有するのが良い。先端部ルーメン128はまた、金属コイル110の第1の領域116の外径よりも小さい内径を有しても良く、これよりも大きい内径を有しても良く、あるいはこれに等しい内径を有しても良い。例えば、先端部ルーメン128の内径は、図1および図2に示されているように金属コイル110の第1の領域116の外径よりも小さい。導電性先端部126は、導電性ポリマーで作られるのが良く、かかる導電性ポリマーとしては、ポリピロール、ポリチペン、ポリアニリン、ドープポリマー、例えば炭素入りポリウレタンが挙げられる。
【0029】
図1および図2に示されているように、導電性先端部型カテーテル100は、安全リボン132を有するのが良い。安全リボン132は、可撓性管状部材102のルーメン108内に配置されている。安全リボン132は、ステンレス鋼で作られた金属ワイヤであるのが良い。安全リボン132は、金属コイル110の遠位側領域134および/または近位側領域136のところで金属コイル110に結合されるのが良い。変形例として、安全リボン132は、金属コイル110の遠位端112と近位端114との間にまたがる複数の箇所のところで金属コイル110に結合されても良い。安全リボン132は、溶接、接着剤、または当該技術分野において知られている別の方法によって金属コイル110に結合されるのが良い。
【0030】
図3は、図1の導電性先端部型カテーテル100のA‐A線矢視断面図である。図3に示されているように、安全リボン132の中心軸線は、可撓性管状部材102および/または金属コイル110の中心軸線からオフセットしているのが良い。安全リボン132は、金属コイル110の内径よりも実質的に小さい幅Wおよび厚さTを有するのが良い。
【0031】
図4は、本発明の一観点による導電性先端部型カテーテル100′を示している。導電性先端部型カテーテル100′は、複数の深さマーカ138を有する図1図3に示されている先端部型カテーテル100の変形例に相当するのが良い。深さマーカ138は、可撓性管状部材102の外面上に設けられている。幾つかの観点では、深さマーカ138は、金属コイル110上に配置されるのが良い。例えば、金属コイル110に属するコイルのうちの幾つかは、互いに視覚的に区別されるのが良い。深さマーカ138は、無毒性のインキを用いて可撓性管状部材102および/または金属コイル110上に印刷されるのが良い。深さマーカ138は、患者の体内中への導電性先端部型カテーテル100の挿入深さを指示するのが良い。深さマーカ138は、様々な幅、例えば1mm〜10mmの幅を有するのが良い。図4に示されているように、深さマーカ138は、金属コイル110の第3の領域120とオーバーラップした可撓性管状部材102の部分上に配置されるのが良い。他の観点では、深さマーカ138は、可撓性管状部材102の他の領域上に配置されても良い。
【0032】
導電性先端部型カテーテルを特定の観点であると見なされる形態について説明したが、本発明は、開示した観点に限定される必要はない。本発明の追加の改造例および改良例が当業者には明らかな場合がある。本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲に含まれる種々の改造例および同様の構成例を含むものであり、本発明の範囲は、任意のかかる改造例および同様な構造を含むよう最も広い解釈が与えられるべきである。本開示内容は、例示として解されるべきであって本発明を限定するものと見なされるべきではない。
図1
図2
図3
図4