(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6786629
(24)【登録日】2020年10月30日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】自動車の光学検出システムを清掃するための装置
(51)【国際特許分類】
B60S 1/60 20060101AFI20201109BHJP
【FI】
B60S1/60 Z
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-560721(P2018-560721)
(86)(22)【出願日】2017年1月31日
(65)【公表番号】特表2019-504801(P2019-504801A)
(43)【公表日】2019年2月21日
(86)【国際出願番号】EP2017051996
(87)【国際公開番号】WO2017137277
(87)【国際公開日】20170817
【審査請求日】2019年11月8日
(31)【優先権主張番号】1650997
(32)【優先日】2016年2月9日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン、カリオン
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ、シャサーニュ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー、コラノフスキ
(72)【発明者】
【氏名】シャンタル、マルケ
【審査官】
瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−224028(JP,A)
【文献】
中国実用新案第201923085(CN,U)
【文献】
実開昭59−109311(JP,U)
【文献】
韓国公開特許第10−2011−0026220(KR,A)
【文献】
特開2007−053448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の光学センサ(9)モジュール(3)用の清掃装置であって、
ハウジング(7)と、前記ハウジング(7)内に収容された光学センサ(9)とを備え、
前記清掃装置(5)は、前記センサ(9)モジュール(3)によって支持された第2スナップ嵌合部材(25)と係合するように形成された第1スナップ嵌合部材(23)を有する円筒形フランジ(21)を備え、
前記第1スナップ嵌合部材(23)および前記第2スナップ嵌合部材(25)は、取り付けられた状態において、前記円筒形フランジ(21)の軸線が前記光学センサ(9)の光軸(A)と一致するように構成され、
噴霧開口(35O、37O)を有する少なくとも1つのパイプ(35、37)が、前記円筒形フランジ(21)の内壁(33)に固定され、
前記噴霧開口(35O、37O)は、光学部品(9)に向けて方向付けられていることを特徴とする清掃装置。
【請求項2】
前記第1スナップ嵌合部材(23)は、前記第2スナップ嵌合部材(25)を形成する円形溝であって、前記センサ(9)モジュール(3)の支持部(31)に形成された円形溝と協働するのに適した傾斜部を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の清掃装置。
【請求項3】
前記円筒形フランジ(21)の前記内壁(33)に規則的に分配された3つの第1スナップ嵌合部材(23)を含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の清掃装置。
【請求項4】
前記第1スナップ嵌合部材(23)は、前記円筒形フランジ(21)と一体成形で作製されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の清掃装置。
【請求項5】
各々が噴霧開口(35O、37O)を有するとともに、前記円筒形フランジ(21)の前記内壁(33)に対して互いに平行に固定された第1パイプ(35)と第2パイプ(37)とを備え、
前記第1パイプ(35)は、洗浄液を噴霧するように意図されており、
前記第2パイプ(37)は、圧縮空気を噴霧するように意図されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の清掃装置。
【請求項6】
前記第1パイプ(35)および前記第2パイプ(37)が異なる直径を有し、特に前記第2パイプ(37)は、前記第1パイプ(35)よりも小さい直径を有することを特徴とする請求項5に記載の清掃装置。
【請求項7】
当該少なくとも1つの第1パイプ(35)が、前記円筒形フランジ(21)の前記内壁(33)に対して、接着により固定されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の清掃装置。
【請求項8】
当該少なくとも1つの第1パイプ(35)が、前記円筒形フランジ(21)の内周の半分のみに延びていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の清掃装置。
【請求項9】
ハウジング(7)と、前記ハウジング(7)内に収容された光学センサ(9)とを備える光学センサモジュール(3)であって、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の清掃装置(5)を備えることを特徴とする光学センサモジュール(3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援の分野に関し、特に、特定の車両に設置されたカメラなどの光学検出システムに関する。より詳細には、本発明は、特に、運転手に供給される情報の質が最適となるように運転支援を行うような光学検出システム用の清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学検出システムは、人間に可視または不可視であるスペクトル、特に赤外線の光の放射および/または検出に基づく、カメラ、レーザセンサ(一般にLIDARSと呼ばれる)または他のセンサなどの光学センサを備える任意のシステムに使用される用語である。
【0003】
今日、現在の自動車の多くには、確認カメラ、特に後方確認カメラが設置されており、特に駐車支援システムの一部を形成しているため、方向転換することなくより容易に駐車することができるとともに、車両の背後に位置される障害物を検出できるようになっている。
【0004】
車両のリヤウインドウに対して車室の内側に設置されてリヤウインドウから後方を向くカメラが知られている。これらのカメラは、外部の気候効果から良好に保護されるとともに、例えば、リヤウインドウを除氷して清掃するためのシステム、例えばリヤウインドウのガラスに組み込まれる加熱ワイヤの利点を有する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、視角は、特に駐車支援のためには最適ではなく、このため、カメラはリアバンパー上または車両のリアナンバープレート上に配置されることが好ましい。
【0006】
この場合、カメラは、その光学部品(optic)上に堆積され得る汚れの噴霧に大きく晒され、その効率を低下させるか、またはそれを動作不能にさえする。
【0007】
特に雨天時には、光学検出システムの操作性に大きな影響を及ぼす雨や汚れの噴霧が観察される。
【0008】
カメラ上の汚れの堆積に対抗するために、カメラの光学部品を清掃するための装置、一般に清掃液噴霧ノズルをカメラの近傍に配置して、経時的に堆積される汚染要素を排除することが知られている。
【0009】
文献US2015/0040953は、第1実施形態において、カメラを収容するハウジングの適合された横方向突出部にスナップ嵌合することができる横方向噴霧ノズルを備える清掃装置を開示している。しかしながら、この解決策は、大きすぎるとともに、使用者の肉眼で視認できるため、外観的に好ましくない。また横方向噴霧ノズルは洗浄液を噴射することができるのみであり、洗浄液の滴がレンズまたはカメラの保護ガラス上に残っている場合、跡が生じる可能性がある。
【0010】
第2実施形態によれば、清掃装置は、プラスチック材料製の成形部品の形態で作製され、カメラの前方に組み立てられている。しかしながら、この成形部品は、洗浄液のための内部チャネルを含み、製造が複雑であり、コストがかかる。
【0011】
本発明は、安価で取り付けが容易である一方、容易な適合を可能にする代替の光学検出システム清掃装置を提示することによって、上記の欠点の1つ以上を少なくとも部分的に改善することを提示する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のために、本発明の主題は、自動車の光学センサモジュール用の清掃装置であって、ハウジングと、ハウジング内に収容された光学センサとを備え、清掃装置は、センサモジュールによって支持された第2スナップ嵌合部材と協働するように形成された第1スナップ嵌合部材を有する円筒形フランジを備え、第1スナップ嵌合部材および第2スナップ嵌合部材は、取り付けられた状態において、円筒形フランジの軸線が光学センサの光軸と一致するように構成され、噴霧開口を有する少なくとも1つのパイプが、円筒形フランジの内壁に固定され、噴霧開口は、光学部品に向けて方向付けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明による清掃装置は、以下の特徴の1つまたは複数を単独でまたは組み合わせて有し得る。一態様によれば、第1スナップ嵌合部材は、第2スナップ嵌合部材を形成する円形溝であって、センサモジュールの支持部に形成された円形溝と協働するのに適した傾斜部を含んでいる。
【0014】
別の態様によれば、装置は、円筒形フランジの内壁に規則的に分配された3つの第1スナップ嵌合部材を含んでいる。
【0015】
第1スナップ嵌合部材は、例えば、円筒形フランジと一体成形で作製されている。
【0016】
別の態様によれば、装置は、各々が噴霧開口を有するとともに、円筒形フランジの内壁に対して互いに平行に固定された第1パイプと第2パイプとを備え、第1パイプは、洗浄液を噴霧するように意図されており、第2パイプは、圧縮空気を噴霧するように意図されている。
【0017】
第1パイプおよび第2パイプは、例えば異なる直径を有し、特に第2パイプは、第1パイプよりも小さい直径を有する。
【0018】
当該少なくとも1つの第1パイプが、円筒形フランジの内壁に対して、接着により固定されていても良い。
【0019】
当該少なくとも1つの第1パイプは、例えば、円筒形フランジの内周の半分のみに延びている。
【0020】
また、本発明は、ハウジングと、ハウジング内に収容された光学センサとを備える光学センサモジュールであって、上述した清掃装置を備えることを特徴とする光学センサモジュールに関する。
【0021】
他の利点および特徴は、本発明の詳細な説明を読むとともに、一実施形態による光学検出システムの部分的な断面図を含む分解斜視図を示す単一の添付図面により、明らかになるであろう。
【0022】
記載された実施形態は例である。説明は1つ以上の実施形態を参照するが、これは必ずしも各参照が同じ実施形態に関連していること、またはその特徴が単一の実施形態にのみ適用されることを意味するものではない。異なる実施形態の単一の特徴を組み合わせて、他の実施形態を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、自動車用の本発明による光学検出システム1の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
光学検出システム1は、例えば、自動車の後部、例えばバンパーまたはナンバープレート(図示せず)上に取り付けられるように意図されている。光学検出システム1は、例えば、サイド後方確認ミラーを取り替えることによって、車両の側面に取り付けることもできる。
【0025】
光学検出システム1は、光学センサモジュール3、特にカメラと、光学センサモジュール3の光学部品用の清掃装置5と、を備えている。
【0026】
光学センサモジュール3、例えばカメラモジュールは、ハウジング7と、ハウジング7内に収容された光学センサ9、特に露光量センサ(exposure sensor)(点線で概略的に示す)と、光学部品11、特にセンサ9の前方に配置され、ハウジング7の壁の少なくとも一部を形成する保護ガラス12と、を備えている。
【0027】
ハウジング7は、光学センサを密閉してしっかりと取り囲んでいる。
【0028】
保護ガラス11は、ガラスまたはポリカーボネートから作られ得る。
【0029】
光学センサ9は、例えば、CCD(電荷結合素子)センサや、小型フォトダイオードのマトリクスからなるCMOSセンサである。別の変形例によれば、光学センサ9は、LIDARセンサであっても良い。
【0030】
また、光学部品11は、例えば、魚眼レンズのような凸型(ドーム型)レンズを含んでいる。
【0031】
一般に、光学部品11は、例えば、センサ9の前に配置された保護ガラス12およびレンズのような光学要素を含んでいる。特定の状態では、保護ガラスがなく、この機能は、ハウジング7にしっかりと固定されたレンズによって保証される。
【0032】
光学センサ9は、保護ガラス12が光学センサ9の光軸Aに沿って向けられるように、モジュール3内に設置されている。
【0033】
清掃装置5は、センサモジュールによって支持された第2関連スナップ嵌合部材25と協働するように形成された第1スナップ嵌合部材23を有する円筒形フランジ21を含んでいる。
【0034】
第1スナップ嵌合部材23および第2スナップ嵌合部材25は、取り付けられた状態において、円筒形フランジ21の回転軸線が光学センサ9の光軸Aと一致するように構成されている。
【0035】
図1に示すように、第1スナップ嵌合部材23は、例えば、第2スナップ嵌合部材25を形成する円形溝であって、光学部品11、例えば、光学センサ9の前方に配置されたレンズの支持部31に形成された円形溝と協働するのに適した傾斜部を含んでいる。明らかに、周囲の溝の代わりに3つの別個のノッチによって、第2スナップ嵌合部材25を形成することが考えられる。
【0036】
一実施形態によれば、設備は、センタリングを容易にするために、円筒形フランジ21の内壁33に規則的に分配された3つの第1スナップ嵌合部材23により作られている。
【0037】
第1スナップ嵌合部材23は、特に、円筒形フランジ21と一体成形で作製されている。
【0038】
また、清掃装置5は、少なくとも1つのパイプ、この例では、各々が噴霧開口35O、37Oを有する第1パイプ35と第2パイプ37とを備えている。
【0039】
第1パイプ35および第2パイプ37は、例えば接着によって、円筒形フランジ21の内壁33に互いに平行に固定されている。第1パイプ35および第2パイプ37は、例えば、ゴムから作られ、可撓性があるとともに、柔軟なパイプである。図示しない変形例によれば、平坦かつ円形の直径を有さないパイプが使用され得て、これにより接着による固定を容易にすることができる。
【0040】
図示しない変形例によれば、内壁33に固定され、パイプ35、37を固定するとともに、所定の位置にパイプ35、37を保持するために、内壁33の両側かつ交互に配置されたフックが設けられる。フックは、例えば、円筒形フランジ21と一体成形で作られる。
【0041】
2つのパイプ35、37は、噴霧開口35O、37Oが光学センサ9の前方に配置された光学部品11に向けて方向付けられるように、配置されている。
【0042】
第1パイプ35は、洗浄液を噴霧するように意図されており、ポンプを含む洗浄液のタンク(図示せず)に連結されている。第2パイプ37は、圧縮空気を噴霧するように意図されており、コンプレッサー(図示せず)に連結されている。
【0043】
したがって、洗浄液を光学部品11に吹き付けた後、圧縮空気の噴霧により、乾燥後に跡を残し得る残った滴や汚れを追い払うことが可能になる。
【0044】
一方では、第1パイプ35および第2パイプ37の容積を最適化するために、第1パイプ35および第2パイプ37が異なる直径を有し、特に、圧縮空気を噴霧する第2パイプ37は洗浄液用の第1パイプ35よりも小さくなっている。
【0045】
節約および噴射された洗浄液の払い出しのために、第1パイプ35および第2パイプ37は、円筒形フランジ21の内周の半分、特に上半分のみに延びている。
【0046】
本発明による清掃装置は、改装として清掃装置を装備することが可能な任意の光学検出システム、特に既存の光学検出システムに非常に容易に適合するといったことが理解されよう。清掃装置は、低コスト、部品数が少なく、そして複雑さが低減されることにより区別され、一方で、光学部品11の効果的な清掃が可能である。清掃装置5は、光学検出システム1に容易に取り付けられるとともに、取り除かれることができ、例えば、第1パイプ35または第2パイプ37および/または噴霧開口35Oおよび37Oの目詰まりを防止する場合のメンテナンスを容易にする。