(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6786716
(24)【登録日】2020年10月30日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】反応性シロキサンおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 77/06 20060101AFI20201109BHJP
C07F 7/18 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
C08G77/06
C07F7/18 W
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-520568(P2019-520568)
(86)(22)【出願日】2017年4月4日
(65)【公表番号】特表2020-513424(P2020-513424A)
(43)【公表日】2020年5月14日
(86)【国際出願番号】EP2017058013
(87)【国際公開番号】WO2018184668
(87)【国際公開日】20181011
【審査請求日】2019年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100187207
【弁理士】
【氏名又は名称】末盛 崇明
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル、ステップ
(72)【発明者】
【氏名】レオニー、ダイヒナー
【審査官】
小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2016/001154(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/06
C07F 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
R1R2R3SiO−[R−Si(OSiR4R5R6)O]n−SiR1R2R3 (1)
の直鎖状シロキサンの製造方法であって、
一般式(2)
R−Si(OH)3−m(OM)m (2)
の単位からなるオルガノシラノールのリチウム塩またはナトリウム塩あるいはそれらの加水分解/縮合生成物、あるいは一般式(2)のシラノールのリチウム塩またはナトリウム塩とともにそれらの加水分解/縮合生成物(ここでリチウムのシリコンに対するモル比、またはナトリウムのシリコンに対するモル比が≦1.5である)と、
一般式(3)
R7R8R9Si−Hal (3)
[式中、
mは、≦1.5の数であり、
nは、3〜100の数であり、
Rは、炭素で結合している有機基であり、
Mは、リチウム陽イオンまたはナトリウム陽イオンであり、
Halは、ハロゲン基であり、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、それぞれ独立に炭素または酸素で結合している水素基または有機基であり、
ただし、一般式(1)の分子1つ当たり少なくとも2つの基が水素および脂肪族不飽和有機基である]
のハロシランとを反応させることによる、
製造方法。
【請求項2】
Rが、置換されていないか、あるいはハロゲン原子、アルコキシ基またはシリル基によって置換されていれもよい、1〜18個の炭素原子を有する一価炭化水素基であり、かつ芳香族炭素基への直接のSiC結合を有しない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基R1〜R9が、水素、C1−10−アルコキシ基、C6−20−アリールオキシ基または置換されていないか、ハロゲン原子、アルコキシ基もしくはシリル基によって置換された1〜18個の炭素原子を有している一価炭化水素基である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記一般式(1)の分子1つ当たり少なくとも2つの基が脂肪族不飽和有機基であり、水素である基が無い、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記一般式(1)の分子1つ当たり少なくとも2つの基が水素であり、脂肪族不飽和有機基である基が無い、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記一般式(1)の分子1つ当たり少なくとも1つの基が脂肪族不飽和有機基であり、少なくとも1つの基が水素である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記一般式(1)中のnが5〜60である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記一般式(3)のハロシランが、シリコネートAに対して少なくとも等モルの量で使用される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記一般式(3)のハロシランがクロロシランである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
一般式(1)
R1R2R3SiO−[R−Si(OSiR4R5R6)O]n−SiR1R2R3 (1)
[式中、
nは3〜100の数であり、
Rは炭素で結合している有機基であり、
R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素または酸素で結合している水素基または有機基であり、
ただし、一般式(1)の分子1つ当たり少なくとも2つの基が、水素および脂肪族不飽和有機基から選択され、かつ基R1、R2、R3がどれも水素または脂肪族不飽和有機基でない場合、少なくとも1つの単位(OSiR4R5R6)も存在する(式中、基R4、R5、R6は水素でも脂肪族不飽和有機基でもない)]
の直鎖状シロキサン。
【請求項11】
Rが、置換されていないか、あるいはハロゲン原子、アルコキシ基またはシリル基によって置換されていれもよい、1〜18個の炭素原子を有する一価炭化水素基であり、かつ芳香族炭素基への直接のSiC結合を有しない、請求項10に記載の直鎖状シロキサン。
【請求項12】
基R1〜R9が、水素、C1−10−アルコキシ基、C6−20−アリールオキシ基または置換されていないか、ハロゲン原子、アルコキシ基もしくはシリル基によって置換された1〜18個の炭素原子を有している一価炭化水素基である、請求項10又は11に記載の直鎖状シロキサン。
【請求項13】
前記一般式(1)の分子1つ当たり少なくとも2つの基が脂肪族不飽和有機基であり、水素である基が無い、請求項10〜12のいずれか一項に記載の直鎖状シロキサン。
【請求項14】
前記一般式(1)の分子1つ当たり少なくとも2つの基が水素であり、脂肪族不飽和有機基である基が無い、請求項10〜13のいずれか一項に記載の直鎖状シロキサン。
【請求項15】
前記一般式(1)の分子1つ当たり少なくとも1つの基が脂肪族不飽和有機基であり、少なくとも1つの基が水素である、請求項10〜14のいずれか一項に記載の直鎖状シロキサン。
【請求項16】
前記一般式(1)中のnが5〜60である、請求項10〜15のいずれか一項に記載の直鎖状シロキサン。
【請求項17】
一般式(1)
R1R2R3SiO−[R−Si(OSiR4R5R6)O]n−SiR1R2R3 (1)
[式中、
nは3〜100の数であり、
Rは炭素で結合している有機基であり、
R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素または酸素で結合している水素基または有機基であり、
ただし前記一般式(1)の分子1つ当たり少なくとも2つの基が水素および脂肪族不飽和有機基から選択されること、および
基R1、R2、R3がどれも水素または脂肪族不飽和有機基でない場合、少なくとも1つの基R4、R5、R6が水素でも脂肪族不飽和有機基でもないことを条件とする]
の直鎖状シロキサンの架橋剤としての、機能液のための出発原料としての、またはシロキサン樹脂のための単位としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルガノ三官能性(organotrifunctional)シロキサン単位からなる骨格を有する反応性シロキサン、ならびにハロシランとのオルガノシラノールのリチウム塩またはナトリウム塩(以下、シリコネートとも称する)からの、その製造方法に関する。
【0002】
本発明による一般式(1):
R
1R
2R
3SiO−[R−Si(OSiR
4R
5R
6)O]
n−SiR
1R
2R
3 (1)
(シロキサンについてM−D−T−Qの表記において、M−(T−M)
n−Mとして提示可能に省略され、式中TはRSiO
3/2であり、MはR
3SiO
1/2である)のシロキサンは、とりわけ非常に反応性な架橋剤として、例えば光学的および電子的な用途のため、機能液のための出発原料として、例えば表面活性化合物、およびシロキサン樹脂のための潜在的な要素(potential units)として、産業的に関心がもたれている。それらの製造と特定は現在まで記載されていない。
【0003】
EP1557451は、離型フィルムのための付加架橋性シリコーン混合物の潜在的な構成成分として言及されている、オルガノ三官能性シロキサン単位からなる骨格を有する直鎖状ポリシロキサンを提案している(成分B−1、q、r、およびs=0およびt>0の場合は一般式(2))。しかしながら、これらのポリマーの製造および使用の表示はそこには見出されない。しかしながらそれらは、25℃にて、トルエン中38%溶液の少なくとも100mPasの粘度という制限基準により、高いモル質量を有している。純粋TMポリシロキサンが最大で17(一般式(2)中、t≦15)の鎖長を有していてもよいという条件と組み合わせると、本発明によるポリマーは除外される。また記載されているポリシロキサンB−1はSiH基を一切含まない。
【0004】
WO01/27187(南カリフォルニア大学、2000年)は、調製が複雑なモノシリルに置換されたシクロトリシロキサンの陰イオン性または陽イオン性の開環重合による、一般式(1)のものに類似した分岐状ポリシロキサンの製造方法を請求している。しかしながら、この方法を使用しても、鎖のすべての3つ置きのシロキサン単位しか三官能性でないために、利用可能な完全にシリル置換された直鎖状Tポリマーは無い。
対照的に、Macromolecules 2000,33,6310−14においてGuo Ping Caiおよび William P.Weberは、T単位の骨格を有するポリシロキサンへの取り組みについて記載し、それは対応するT
3M
3環の陰イオン性開環重合によっても利用可能である。この方法の欠点は、T環の複雑な調製および困難を伴ってしか産業的に実行可能でない陰イオン性重合法に加えて、方法のSiH化合物との不適合性である。加えて、したがって、ジフェニルシロキシ単位(6311頁、
図1を参照)の形態の陰イオン性スターター分子を含む反応生成物しか利用可能ではない。そのようなポリシロキサンを通常のメチルシリコーン混合物中で使用する場合、これは望ましくない不適合性および非混合(demixing)をもたらす場合がある。
【0005】
DE102014212698OSにはオルガノシラノールのカリウム塩の、モノクロロオルガノシランとの反応は主に環式のシロキサン構造をもたらすことが示されてきた(例1〜6を参照)。
【0006】
US2567110は、メチルシリコン酸ナトリウムのトリメチルクロロシランとの反応について記載している(例1、第6欄)。第2欄、第32行において作製された理論的な平均シリコネート塩構造からは、1:1の金属:Si比の、環式構造しか導き出されない。<1の金属:Si比についてクロロシランとの反応生成物の構造は作製されていない。SiH単位および不飽和脂肪族基を有するSi単位は見出されていない。
【0007】
本発明は、一般式(1)
R
1R
2R
3SiO−[R−Si(OSiR
4R
5R
6)O]
n−SiR
1R
2R
3 (1)
の直鎖状シロキサンの、
一般式(2)
R−Si(OH)
3−m(OM)
m (2)
の単位からなるオルガノシラノールのリチウム塩またはナトリウム塩あるいはそれらの縮合生成物、あるいは一般式(2)のシラノールのリチウム塩またはナトリウム塩とともにそれらの縮合生成物(ここでリチウムのシリコンに対するモル比、またはナトリウムのシリコンに対するモル比は≦1.5である)と、
一般式(3)
R
7R
8R
9Si−Hal (3)
[式中、
mは、≦1.5の数であり、
nは、3〜100の数であり、
Rは、炭素で結合している有機基であり、
Mは、リチウム陽イオンまたはナトリウム陽イオンであり、
Halは、ハロゲン基であり、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8およびR
9は、それぞれ独立に炭素または酸素で結合した水素基または有機基であり、
ただし、一般式(1)の分子1つ当たり少なくとも2つの基が水素および脂肪族不飽和有機基である]
のハロシランとを反応させることによる
製造方法に関する。
【0008】
また本発明は、一般式(1)
R
1R
2R
3SiO−[R−Si(OSiR
4R
5R
6)O]
n−SiR
1R
2R
3 (1)
[式中、
nは3〜100の数であり、
Rは炭素で結合している有機基であり、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立に炭素または酸素で結合している水素基または有機基であり、
ただし、一般式(1)の分子1つ当たり少なくとも2つの基が、水素および脂肪族不飽和有機基から選択され、かつ基R
1、R
2、R
3がどれも水素または脂肪族不飽和有機基でない場合、少なくとも1つの単位(OSiR
4R
5R
6)も存在する(式中、基R
4、R
5、R
6は水素でも脂肪族不飽和有機基でもない)]
の直鎖状シロキサンに関する。
【0009】
驚くべきことに、一般式(2)のオルガノシラノールのリチウム塩またはナトリウム塩(いわゆるリチウムシリコネートまたはナトリウムシリコネート)の両方とも、あるいはそれらの縮合生成物は、対応するカリウム塩とは対照的に、一般式(3)のハロシランとの反応で一般式(1)の直鎖状シロキサンをもたらすことが見出された。
【0010】
その方法は容易に利用可能な原料に基づき、すぐに−また産業的に−実現可能であり、かつ非常に高い選択性を有している。したがって現在の先行技術の欠点を克服することができる。例えば非常に反応性なペンダントH−SiR
4R
5O
1/2−(M
H)基を有するポリシロキサンが単純なやり方で利用可能である。
【0011】
方法の中で使用される一般式(2)の単位からなるシラノールのリチウム塩および/またはナトリウム塩ならびにそれらの縮合生成物は、総称して以下にシリコネートAと称する。
【0012】
一般式(1)の直鎖状シロキサンは好ましくは架橋剤として、例えば光学的および電子的な用途のため、機能液のための出発原料として、例えば表面活性化合物、およびシロキサン樹脂のための潜在的な要素として使用することができる。
【0013】
この場合の基Rは、好ましくは、置換されていないか、あるいはハロゲン原子、C
1−6−アルキル、C
1−6−アリールもしくはC
1−6−アルコキシ基またはシリル基によって置換されていれもよい、1〜30個の炭素原子を有する一価Si−C結合炭化水素基であり、互いに隣接していない1つ以上の−CH
2−単位が、−O−または−S−基によって置換され得、かつ芳香族炭素基への直接のSiC結合を有しない。基Rは直鎖状、分岐状、環式、飽和、または不飽和でもよい。
【0014】
Rは、特に好ましくは、置換されていないか、ハロゲン原子、アルコキシ基、またはシリル基によって置換されている、1〜18個の炭素原子を有している一価炭化水素基であり、ここでSiCは直接に芳香族炭素基に直接結合していない。特に好ましいのは、置換されていないアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基およびアルキルアリール基である。炭化水素基Rは好ましくは1〜8個の炭素原子を有している。特に好ましいのは、メチル、エチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、イソブチル(=2−メチルプロプ−1−イル)、ビニル、n−ヘキシル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、4−ビニル−1−フェニルおよびイソオクチル基(例えば2,4,4−トリメチルペンタ−1−イル基)であり、より好ましくはメチル基およびビニル基であり、特にメチル基である。また異なる基Rの混合物も一般式(2)のシリコネートA中に存在し得る。
【0015】
基Rのさらなる例は:
n−プロピル、2−プロピル、クロロメチル、メトキシメチル、3−クロロプロピル、2−(トリメチルシリル)エチル、n−ブチル、2−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、10−ウンデセン−1−イル、n−ドデシル、イソトリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、アリル、3−フェニルプロピル基である。Rのさらなる例は、−(CH
2O)
o−R
10、−(CH
2CH
2O)
p−R
11およびCH
2CH(CH
3)O)
q−R
12の基であり、式中、o、pおよびqは1〜10の値、特に1、2、3である。R
10、R
11およびR
12は、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり、それは置換されていないかハロゲン原子によって置換されている。基R
10、R
11およびR
12の例は、メチル、エチル、プロピル、アリル、およびブチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0016】
一般式(2)中のM:Siのモル比は、指数mとして表わされ、好ましくは少なくとも0.1、特に好ましくは少なくとも0.4、特に少なくとも0.5、最大で1.2、好ましくは最大で1.1、特に1.0である。しかしながら、ナトリウムとリチウムの陽イオンの混合物、並びに最大で10mol%の割合での他の金属陽イオンも存在していてもよい。
【0017】
本発明によるシリコネートは、好ましくはWO2013/041385、WO2012/022544、WO2013/075969、特に好ましくはDE102014205258および102014209583に記載された方法によって調製される。シリコネートの調製方法は、本発明による一般式(1)の目標製品の組成に影響を及ぼすため、最適なシリコネートは予備試験で各場合に決定することができる。
【0018】
一般式(1)の直鎖状シロキサン中の基、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、一般式(3)のハロシラン中の基、R
7、R
8およびR
9から形成される。
【0019】
基R
1〜R
9は、好ましくは水素、C
1−10−アルコキシ基、C
6−20−アリールオキシ基または置換されていないか、ハロゲン原子、アルコキシ基もしくはシリル基によって置換された1〜18個の炭素原子を有している一価炭化水素基である。特に好ましいのは水素、C
1−6−アルコキシ、C
6−10−アリールオキシであり、同様に置換されていないC
1−10−アルキル基、C
3−8−シクロアルキル基、C
7−21−アルキルアリール基、C
7−21−アリールアルキル基およびフェニル基である。非常に特に好ましいのは、水素、メチル、エチル、n−プロピル、3−クロロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、ビニル、n−ヘキシルおよびフェニル基であり、特に好ましいのは、水素、メチル基およびビニル基である。
【0020】
基R
1〜R
9のさらなる例は:2−プロピル、クロロメチル、メトキシメチル、2−(トリメチルシリル)エチル、2−(トリメトキシシリル)エチル、2−(トリエトキシシリル)エチル、2−(ジメトキシメチルシリル)エチル、2−(ジエトキシメチルシリル)エチル、n−ブチル、2−ブチル、2−メチルプロピル、t−ブチル、n−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、10−ウンデセニル、n−ドデシル、イソトリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、エチニル、アリル、ベンジル、p−クロロフェニル、o−(フェニル)フェニル、m−(フェニル)フェニル、p−(フェニル)フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−フェニルエチル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル基である。
【0021】
好ましい実施態様において、一般式(1)の分子1つ当たり少なくとも2つの基、特に好ましくは少なくとも3つの基が脂肪族不飽和有機基であり、水素である基は無い。好ましいのはアルケニル基、特にビニルおよびアリル基である。
【0022】
さらに好ましい実施態様において、一般式(1)の分子1つ当たり少なくとも2つの基、特に好ましくは少なくとも3つの基が水素であり、脂肪族不飽和有機基である基は無い。
【0023】
さらに好ましい実施態様において、一般式(1)の分子1つ当たり少なくとも1つの基、特に好ましくは少なくとも2つの基が脂肪族不飽和有機基であり、かつ分子1つ当たり少なくとも1つの基、特に好ましくは少なくとも2つの基が水素である。好ましい脂肪族不飽和有機基はアルケニル基、特にビニルおよびアリル基である。
【0024】
一般式(3)のハロシランは好ましくはクロロシランである。
【0025】
一般式(3)のクロロシランの例は、H
3SiCl、Me
3SiCl、HSiMe
2Cl、ViSiMe
2Cl、PhSiMe
2Cl、PhViMeSiCl、アリル−SiMe
2Cl、F
3C−CH
2CH
2−SiMe
2Cl、(EtO)
3SiCl、(MeO)
3SiCl、(EtO)
2SiMeCl、(MeO)
2SiMeCl、EtOSiMe
2Cl、MeOSiMe
2Cl、Cl−CH
2−SiMe
2Cl、Cl−(CH
2)
3−SiMe
2Clである。
【0026】
特に好ましいのは、Me
3SiCl、HSiMe
2Cl、ViSiMe
2Cl、PhSiMe
2Cl、Cl−CH
2−SiMe
2Clおよびアリル−SiMe
2Clであり、特にMe
3SiCl、HSiMe
2ClおよびViSiMe
2Clである。製造公差により、特に工業品質でのオルガノジハロシランおよびトリハロシランの混入があるかもしれない。しかしながらそれらの割合は10mol%以下であることが好ましい。
【0027】
ここではMeはメチルであり、Phはフェニルであり、アリルは2−プロペン−1−イルであり、Viはビニルであり、Clは塩素基である。
【0028】
ハロシランは好ましくはMuller−Rochow法によって、メチルクロロシラン合成において製造されるか、または既知の方法(例えばヒドロシリル化、求核置換反応、基の置換)による化学反応によって転換生成物として製造することができ、ほとんどが市販で入手可能である。
【0029】
一般式(1)の化合物は、1つ以上のシリコネートAを一般式(3)の1つ以上のハロシランと反応させることによる本発明による方法によって得られる。これはシリコネートAをハロシランに付加することによるか、または反対にハロシランをシリコネートAに付加することにより達成することができる。この場合、少なくとも1つの成分が有利的には液体状(例えば、懸濁状または溶解状)で存在する。ほとんどのハロシランは室温および標準圧力で液体であり、シリコネートAは固体である。したがって、良好な混合によって可能な限り迅速な反応を確保するために、不活性溶媒中でシリコネートAを溶解させるかスラリーにし、かつ純粋な状態でかまたは不活性溶媒中に溶解させて液体ハロシランを計測添加することが適切である。使用される溶媒は好ましくは非プロトン性の極性および非極性の有機溶媒であり、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソヘキサン、イソオクタン、シクロヘキサンなどの直鎖状、分岐状、または環式のアルカン類、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンなどの芳香族化合物類、ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、フェニルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、テトラヒドロピラン、4−メチルテトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールまたはポリブチレングリコールまたは異なるモル質量/重合度のグリコールコポリマーまたはヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シランなどのシロキサンまたは様々な溶媒の混合物である。
【0030】
反応で形成されたハロゲン化水素を除去するために、補助的塩基を加えることができる。使用される補助的塩基は、アミン、尿素、イミン、グアニジン、アミドなどの塩基性塩または窒素含有化合物でもよい。塩基性塩の例は、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムである。窒素含有化合物の例は、アンモニア、エチルアミン、ブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルデシルアミン、トリイソオクチルアミン、尿素、テトラメチル尿素、グアニジン、テトラメチルグアニジン、N−メチルイミダゾール、N−エチルイミダゾール、ピペリジン、ピリジン、ピコリン、N−メチルモルホリンである。窒素原子が水素を一切有しない窒素化合物が好ましくは使用される。
【0031】
補助的塩基は、ハロシランに対して少なくとも等モルの量で好ましくは使用される。好ましくはハロシランの1モル当量につき、少なくとも少なくとも0.5、特に好ましくは少なくとも1.0、特に好ましくは2.0の塩基当量の補助的塩基が使用される。また例えば大量の補助的塩基を使用してもよいが、これが同時に溶媒としての役割を果たすことを意図している場合である。しかしながら、これは通常有利ではなく、むしろ空間−時間収率を低下させ、したがって方法の経済的実行可能性を低下させる。補助的塩基は、最初に好ましくはシリコネートAで充填され、一般式(3)のハロシランが計量添加される。しかしながら両方の反応物は、補助的塩基が最初に充填されている補助的塩基中に並行して計量添加することができる。異なる補助的塩基の混合物を使用することもできる。
【0032】
本発明による方法の一つの実施態様において、補助的塩基および溶媒を使用することなく、シリコネートAを一般式(3)のハロシランと直接反応させる。シリコネートAが、一般式(3)のハロシランとの反応で気体性ハロゲン化水素を発生させる遊離SiOH基を含む場合、これは例えば組み合わせた塩化水素システムにおいて困難なく製造方法へ送り戻すことができるので、低費用で再利用することができる。補助的塩基が存在しない場合、シリコネートAは不活性溶媒中で場合により分散したハロシラン中に好ましくは計測添加される。好ましくは、この場合に形成されたハロゲン化水素ガスは、シリコネートAとハロゲン化水素の間の望ましくない二次反応を回避するために、不活性ガス流または減圧によって同伴し出すことで、形成された直後に反応混合物から除去される。
【0033】
一般式(3)のハロシランは、シリコネートAに対して少なくとも等モルの量で使用されることが好ましい。シリコネートシリコンの1モル当量につき、好ましくは少なくとも0.8、特に好ましくは少なくとも1.0、特に少なくとも1.5のモル当量の一般式(3)のハロシランが使用される。
【0034】
シリコネートAの1モル当量につき、好ましくは30モル当量以下、特に好ましくは10モル当量、特に6モル当量以下のハロシランが使用される。
【0035】
また一般式(3)の異なるハロシランの混合物を使用することも可能である。
その結果、異なるSiR
1R
2R
3およびSiR
4R
5R
6の単位を有する一般式(1)のシロキサンが利用可能である。最終生成物中のSiHまたはSi−ビニル含有量は混合比を通じて非常に正確に調節できるために、トリメチルクロロシランと、ジメチルクロロシランまたはジメチルビニルクロロシランの混合物が特に好ましい。シリコネートAは連続的に、第一に準化学量論的な割合の一般式(3)のハロシランと、続けて一般式(3)の第二のハロシランと反応させることが可能である。平均して本発明による一般式(1)のシロキサンは、少なくとも2つの付加架橋可能単位を含む。これは統計的には、少なくとも2つのSi結合水素基または少なくとも2つの脂肪族不飽和の、好ましくはビニル基のいずれか、あるいは少なくとも1つのSi結合水素基および少なくとも1つの、脂肪族の好ましくはビニル基であることを意味する。脂肪族不飽和基が、一般式(2)のシリコネートAおよび一般式(3)のハロシランの両方によって導入することができる一方で、Si結合水素基は一般式(3)のハロシランによってしか導入することができない。
【0036】
シリコネートAの一般式(3)のハロシランとの反応は、少なくとも−20℃、特に好ましくは少なくとも0℃、特に少なくとも10℃の温度で行なわれる。最も低い沸点で沸騰する成分の沸点から最大の達成可能な温度も発生する。
【0037】
シリコネートAの分解を回避するために、反応温度は好ましくは200℃を超過せず、反応温度は特に好ましくは最大で120℃であり、特に最大で70℃である。
この場合、反応混合物は冷却および加熱の両方を行うことができ、個々の成分は例えば反応熱の利用を可能にするために、互いと接触させる前に一定の温度にすることもできる。方法は攪拌機内でバッチ式、および例えばループ型反応装置または管型反応装置、または固定床反応装置またはパドル乾燥装置で連続式の両方で行うことができる。シリコネートAが固体としてかまたは懸濁液として計量添加される場合、これは固体ロック(例えば搬送スクリューまたは回転式供給装置)によって達成することができる。
【0038】
シリコネートAの一般式(3)のハロシランとの反応において、低分子量の直鎖状および/または環式のシロキサンが非常に限定された程度に副産物として生じ得る。ほとんどの場合、これらの副産物の除去は省略することができる。必要な場合、これらの低分子量のシロキサンは単純に蒸留によって、例えば短い経路の蒸留において減圧で加熱することによって、除去することができる。
シリコネートの反応で形成されたハロゲン化物塩および場合により使用される補助的塩基は濾過によって取り出す(filtered off)ことができ、デカンテーションによって取り出す(decanted off)ことができ、遠心分離機にかけるか水中で溶解して水溶液として分離することができる。水性後処理のために溶媒を加えることができ、その水中の溶解性は可能な限り低く、特に25℃では最大で5重量%である。存在している可能性がある一般式(3)の過剰のハロシランは水性後処理に先立って蒸留により取り出される(distilled off)。しかしながら、本発明による一般式(1)のシロキサンの分離の前の水性後処理は、一般式(1)のシロキサンが特に湿気に敏感な基(例えばアルコキシル基)を有するか、または高い水溶性を有する場合には好ましくない。この場合、濾過、デカンテーションまたは遠心分離によるリチウム塩またはナトリウムの塩の除去および後続の蒸留による過剰クロロシランの除去が好ましい。
【0039】
ハロシランの加水分解への感度のために、シリコネートAの一般式(3)のハロシランとの反応は水分を排除して行なわれることが好ましく、即ち乾燥大気中、または減圧下で、特に好ましくは窒素、CO
2、アルゴン、希薄大気(lean air)などの不活性ガス下で、好ましくは900〜1100hPaにて行われる。
【0040】
本発明によるポリシロキサンの組成は、
29SiNMR分光学を用いることによって非常に容易に解明することができる。鎖中のTM
2の末端基のTM単位に対する統合比率によって、平均鎖長およびしたがって平均モル質量は容易に決定することができる。平均鎖長は、例えばシリコネートの製造方法によって、例えば計量添加した添加物の順序/種類、溶媒の選択または液体の希釈度によって調節することができる。さらなる可能性としては、クロロシランとの反応での溶媒の選択および希釈度、補助的塩基の選択および塩基:クロロシランのモル比である。
【0041】
一般式(1)中の指数nは、好ましくは少なくとも5、特に好ましくは少なくとも10、特に少なくとも30であり、好ましくは90以下、特に好ましくは70以下、特に60以下である。
【0042】
一般式(1)の分子1つ当たり、好ましくは少なくとも3つの基、特に好ましくは少なくとも5つの基が、水素および脂肪族不飽和有機基から選択される。
【0043】
基R
1、R
2、R
3のどれも水素または脂肪族不飽和有機基でない場合、また好ましくは少なくとも2つ、特に好ましくは少なくとも3つの単位(OSiR
4R
5R
6)が存在し、式中、基R
4、R
5、R
6は水素でも脂肪族不飽和有機基でもない。
【0044】
本発明による方法により、以下の一般式(1)のシロキサンが好ましくは製造される:
ViMe
2SiO−[SiVi(OSiMe
2Vi]O]
47−SiMe
2Vi
Me
3SiO−[SiVi(OSiMe
3)O]
37−SiMe
3
ViMe
2SiO−[SiMe(OSiMe
2Vi)O]
37−SiMe
2Vi
HMe
2SiO−[SiMe(OSiMe
2H)O]
47−SiMe
2H
HMe
2SiO−[SiMe(OSiMe
2H)O]
33−SiMe
2H
HMe
2SiO−[SiVi(OSiMe
2H)O]
32−SiMe
2H
HMe
2SiO−[Si−iOct(OSiMe
2H)O]
3−[SiMe(OSiMe
2H)O]
34−SiMe
2H
HMe
2SiO−[ViSi(OSiMe
2H)O]
5−[SiMe(OSiMe
2H)O]
38−SiMe
2H
ViMe
2SiO−[ViSi(OSiMe
2Vi)O]
8−[SiMe(OSiMe
2Vi)O]
34−SiMe
2Vi。
【0045】
2つの異なるクロロシランおよび場合により混合シリコネートによって製造された、以下の混合システムでは、MのTに対する割り当てを一義的にすることができないためにそれぞれの場合にMとTの単位の平均比率が指定されている:
[MeSiO
3/2]
45[HMe
2SiO
1/2]
5[Me
3SiO
1/2]
32
[MeSiO
3/2]
47[HMe
2SiO
1/2]
5[ViMe
2SiO
1/2]
3[Me
3SiO
1/2]
41
[ViSiO
3/2]
31[HMe
2SiO
1/2]
6[ViMe
2SiO
1/2]
8[Me
3SiO
1/2]
19
[MeSiO
3/2]
32[ViSiO
3/2]
3[HMe
2SiO
1/2]
5[Me
3SiO
1/2]
32
[MeSiO
3/2]
21[ViSiO
3/2]
20[HMe
2SiO
1/2]
6[ViMe
2SiO
1/2]
3[Me
3SiO
1/2]
34
[MeSiO
3/2]
38[iOctSiO
3/2]
6[HMe
2SiO
1/2]
6[ViMe
2SiO
1/2]
4[Me
3SiO
1/2]
36
[MeSiO
3/2]
32[TFPSiO
3/2]
16[HMe
2SiO
1/2]
8[Me
3SiO
1/2]
42
[MeSiO
3/2]
62[iOctSiO
3/2]
36[ViMe
2SiO
1/2]
4[Me
3SiO
1/2]
96
[MeSiO
3/2]
32[PhViMeSiO
1/2]
3[Me
3SiO
1/2]
31
ここで、指数は統計的平均を指定し、Meはメチル基であり、Viはビニル基であり、iOctはイソオクチル基であり、TFPは3,3,3−トリフルオロプロピル基であり、Phはフェニル基であり、これらはポリシロキサン中でいくつかの異なるMまたはT単位で統計的に分配されている。
【0046】
上記の式の前述の記号はすべて互いに独立してそれらの意味を有している。シリコン原子はすべての式において4価である。
【0047】
以下の例および比較例において、反対の記載がない限り、すべての量およびパーセンテージは重量に基づき、かつ反応はすべて1000hPa(絶対圧)の圧力で行なわれる。
【実施例】
【0048】
固形分は、160℃でMettler ToledoからのHR73ハロゲン湿度計固形分バランスを用いて各場合に決定された。
【0049】
それぞれのリチウムまたはナトリウムのシリコネートとクロロシランの反応生成物のMALDI−TOF質量スペクトルは、リフレクトロンモードでShimadzu Axima Performance質量分析計で記録された。この目的のために、サンプルはTHF(10mg/mL)中に溶解し、次いでこれをTHF(10mg/mL)中でマトリックス、トランス−2−[3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチル−2−プロペニリデン]マロノニトリルおよびTHF(100mmol/L)中の陽イオン化試薬と混合させた。使用した陽イオン化試薬はLiTFA(=トリフルオロ酢酸リチウム)およびCsIであった。システムはCsIを使用して内部でキャリブレーションされ、それによってほんの5ppmの質量偏差が達成された。外部キャリブレーションの場合(LiTFAの場合)には、最大で20ppmの質量偏差が可能である。混合物から、1μLはステンレススチール目的物に適用され、空気乾燥され、測定された。この場合、直鎖状M-[T-M]
x−Mシロキサンの同族種が明白に確立された。
【0050】
シロキサンとシロキサノール(siloxanols)の
29SiNMRスペクトルは、それぞれの場合に10mmのQNPサンプルプローブを使用して、59.63MHzにて、Bruker Avance DPX 300分光計で記録した。使用した溶媒はC
6D
6であった。化学シフトδはテトラメチルシランに相対的であった。以下の信号/構造の割り当てが仮定された:
[Me
3SiO]
2−SiMeO
1/2:7.70ppm(鎖末端でM−T、M
2T基)
[Me
3SiO]
2−SiMeO
1/2:−65.67ppm(鎖末端でM−T、M
2T基)
Me
3SiO−SiMe[OSiMeO
2/2]
2:8.09ppm(鎖中M−T)
Me
3SiO−SiMe[OSiMeO
2/2]
2:−67.16ppm(鎖中M−T)
[HMe
2SiO]
2−SiMeO
1/2:−6.20ppm(鎖末端で
HM−T、
HM
2T基)
[HMe
2SiO]
2−SiMeO
1/2:−64.13ppm(鎖末端で
HM−T、
HM
2T基)
HMe
2SiO−SiMe[OSiMeO
2/2]
2:−6.08ppm(鎖中
HM−T)
HMe
2SiO−SiMe[OSiMeO
2/2]
2:−66.15ppm(鎖中
HM−T)
[ViMe
2SiO]
2−SiMeO
1/2:−3.92ppm(鎖末端で
ViM−T、
ViM
2T基)
[ViMe
2SiO]
2−SiMeO
1/2:−65.9ppm(鎖末端で
ViM−T、
ViM
2T基)
ViMe
2SiO−SiMe[OSiMeO
2/2]
2:−3.5ppm(鎖中
ViM−T、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサンによって覆われた(overlayed))
ViMe
2SiO−SiMe[OSiMeO
2/2]
2:−67.4ppm(鎖中
ViM−T)。
【0051】
例1
a)メチルシリコン酸ナトリウム粉末(Na:Si=0.5:1)の製造
WO2012/022544(PCT/EP2011/061766)における製造例1と類似して、123gのIsopar(商標)E(113〜143℃の沸点範囲を有するイソパラフィン系炭化水素混合物(ExxonMobilより入手可能))中の70gのメチルトリメトキシシラン(>98%、WACKER CHEMIE AG)、および22.5gの45%水酸化ナトリウム水溶液と19.5gの完全脱塩水の混合物を反応させて、後に共沸乾燥させることによりシリコネート粉末を生成した。120℃、3hPaで揮発性成分を蒸留によって取り出した後には、そこに99.7%の固形分を有する41.3gの微細白色粉末が残った。ICP−OESによって決定されたナトリウム含有量は、12.4重量%であった。
【0052】
b)例1a)のシリコネートのトリメチルクロロシラン/ジメチルクロロシラン混合物(9:1)との反応
例1a)で得られた1gのシリコネート粉末を、23℃にて11.2gのIsopar(商標)Eと4gのピリジン(Merck KGaA(>99.5%))の混合物中に最初に充填した。この懸濁液に、3.6gのトリメチルクロロシラン(工業級品質、>99%、WACKER CHEMIE AG)と0.35gのジメチルクロロシラン(工業級品質、>98%、WACKER CHEMIE AG)の混合物を滴状で計量添加した。7gの脱塩水を添加する前に、20時間室温で(約23℃)で白色懸濁液を撹拌した。30分後、混合物を濾過し、濾液の上部の有機相の
29Si−NMRスペクトルを記録した。トリメチルシラノール、ヘキサメチルジシロキサンおよび1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンに対する信号に加えて、M
2T末端基およびMT鎖断片について1:16のモル比で信号が見出された。
HM:M単位のモル比は使用したクロロシランに相当する。
【0053】
例2
a)メチルシリコン酸ナトリウム粉末(Na:Si=0.65:1)の製造
WO2012/022544(PCT/EP2011/061766)における製造例1と類似して、123gのIsopar(商標)E中の70gのメチルトリメトキシシランおよび29.3gの45%水酸化ナトリウム水溶液および15.8gの完全脱塩水の混合物を反応させて、後に共沸乾燥させることによってシリコネート粉末を生成した。120℃、3hPaで揮発性成分を蒸留で取り出した後に、そこには99.5%の固形分を有する41.1gの微細白色粉末が残った。ICP−OESによって決定されたナトリウム含有量は、16.9重量%であった。
【0054】
b)例2a)のシリコネートのトリメチルクロロシラン/ジメチルクロロシラン混合物(9:1)との反応
例2a)で得られた1gのシリコネート粉末を、23℃にて11.2gのIsopar(商標)Eと4gのピリジンの混合物中に最初に充填した。この懸濁液に、3.6gのトリメチルクロロシラン(工業級品質、>99%、WACKER CHEMIE AG)と0.35gのジメチルクロロシラン(工業級品質、>98%、WACKER CHEMIE AG)の混合物を滴状で計量添加した。7gの脱塩水を添加する前に、20時間室温で(約23℃)で白色懸濁液を撹拌した。30分後、混合物を濾過し、濾液の上部の有機相の
29Si−NMRスペクトルを記録した。トリメチルシラノール、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンおよびヘキサメチルジシロキサンに対する信号に加えて、M
2T末端基およびMT鎖断片について1:23.5のモル比で信号が見出された。
HM:M単位のモル比は使用したクロロシランに相当する。
【0055】
例3
a)メチルシリコン酸ナトリウム粉末(Na:Si=1:1)の製造
600gのIsopar(商標)Eを50℃で2Lの研究室反応装置中に充填した。その後、500gのメチルトリメトキシシランを、1時間の期間にわたり、321.7gの45%水酸化ナトリウム水溶液と51.1gの完全脱塩水の混合物と平行して計量添加した。計量添加の終わりには白濁した二相混合物が存在していた。その混合物を沸騰するまで加熱し、形成された水とメタノールを水分離器によってより低い相として連続的に分離して取り出した(separated off)。120℃、3hPaで揮発性成分を蒸留で取り出した後に、そこには99.8%の固形分を有する363.2gの微細白色粉末が残った。ICP−OESによって決定されたナトリウム含有量は、21.0重量%であった。
【0056】
b)例3a)のシリコネートのビニルジメチルクロロシランとの反応
例3a)で得られた20gのシリコネート粉末を、24℃にて68.2gのIsopar(商標)Eと35.5gのピリジンの混合物中に最初に充填した。この懸濁液に、35分にわたり64gのビニルジメチルクロロシランを計量添加した。20分間にわたり120.5gの脱塩水を添加する前に、3時間室温で(約24℃)で白色懸濁液を撹拌した。さらに2時間後、不溶性の白色沈殿物(17.5g)を濾過して取り出した。水相のpHは5であり、0.03重量%のシリコンを含んでいた。透明の無色の有機相は回転蒸発装置で70℃/1hPaにて濃縮した。その後、19.7gの透明の無色の粘性の液体が残った。
【0057】
残留物の
29Si−NMRスペクトル中には、1:18.5のモル比で
ViM
2T末端基および
ViMT鎖断片に対する信号のみが見出された。組成およびモル質量分布はMALDI−TOFスペクトルによって確認された。
【0058】
例4
a)メチルシリコン酸ナトリウム粉末(Na:Si=1:1)の製造
780gのIsopar(商標)E中の650gのメチルトリメトキシシランの溶液を50℃で2Lの研究室反応装置中に最初に充填した。その後、1時間の期間にわたり、418.3gの45%水酸化ナトリウム水溶液および66.4gの完全脱塩水を計量添加した。ここで温度は63℃に上昇した。混合物は沸騰するまで加熱する前に30分間撹拌し、メタノールおよび水は水分離器によって除去した。ここで懸濁液が形成され、そこからの揮発性物質は100℃/10hPaで分離した。残りの湿潤(moist)粉末は、95℃および10hPaで1時間乾燥させた。そこには99.7%の固形分を有する481.2gの微細白色粉末が残った。
【0059】
b)例4a)のシリコネートのジメチルクロロシランとの反応
例4a)で得られた212gのシリコネート粉末を、23℃にて756.8gのIsopar(商標)Eと303.3gのピリジンの混合物中に最初に充填した。この懸濁液に、45分にわたり、431.9gのジメチルクロロシラン(工業級品質、>98%、WACKER CHEMIE AG)を計量添加した。ここでは氷浴で冷却することによって反応混合物の温度を33℃未満に維持した。17分にわたり1492gの脱塩水を添加する前に、3時間室温で(約23℃)で白色懸濁液を撹拌した。10分後、未溶解固形分を濾過で取り出し、2つの液相を分離させた。水相のpHは5であった。透明の無色の有機相は回転蒸発装置で100℃/1hPaにて濃縮した。その後、222.8gの透明の無色の粘性の液体が残った。
【0060】
残留物の
29Si−NMRスペクトル中には、1:23.4のモル比で
HM
2T末端基および
HMT鎖断片に対する信号のみが見出された。組成およびモル質量分布はMALDI−TOFスペクトルによって確認された。
【0061】
例5
例2a)のシリコネートのビニルジメチルクロロシランとの反応
例2a)で得られた1gのシリコネート粉末を、23℃で11.2gのIsopar(商標)Eと4gのピリジンの混合物中に最初に充填した。この懸濁液に、4gのビニルジメチルクロロシラン(工業級品質、>98%、WACKER CHEMIE AG)を滴状添加した。7gの脱塩水を添加する前に、20時間室温(約23℃)で白色懸濁液を撹拌した。30分後、混合物を濾過し、濾液の上部の有機相の
29Si−NMRスペクトルを記録した。ビニルジメチルシラノールに対する信号に加えて、1:20のモル比でM
2T末端基およびMT鎖断片に対する信号が見出された。
【0062】
例6
a)メチルシリコン酸ナトリウム粉末(Na:Si=0.85:1)の製造
WO2012/022544(PCT/EP2011/061766)における製造例1と類似して、123gのIsopar(商標)E中の70gのメチルトリメトキシシランおよび38.3gの45%水酸化ナトリウム水溶液と10.9gの完全脱塩水の混合物を反応させて、後に共沸乾燥させることによりシリコネート粉末を生成した。120℃、3hPaで揮発性成分を蒸留によって取り出した後に、そこには99.9%の固形分を有する43.1gの微細白色粉末が残った。ICP−OESによって決定されたナトリウム含有量は、20.4重量%であった。
【0063】
b)例6a)のシリコネートのビニルジメチルクロロシランとの反応
例6a)で得られた1gのシリコネート粉末を、23℃にて11.2gのIsopar(商標)Eと4gのピリジンの混合物中に最初に充填した。この懸濁液に、4gのビニルジメチルクロロシラン(工業級品質、>98%、WACKER CHEMIE AG)を滴状で計量添加した。7gの脱塩水を添加する前に、20時間室温で(約23℃)で白色懸濁液を撹拌した。30分後、混合物を濾過し、濾液の上部の有機相の
29Si−NMRスペクトルを記録した。ビニルジメチルシラノールに対する信号に加えて、M
2T末端基およびMT鎖断片について1:29.2のモル比で信号が見出された。
【0064】
例7
a)メチルシリコン酸ナトリウム粉末(Na:Si=1.2:1)の製造
WO2012/022544(PCT/EP2011/061766)における製造例1と類似して、123gのIsopar(商標)E中の70gのメチルトリメトキシシランおよび54.1gの45%水酸化ナトリウム水溶液と2.2gの完全脱塩水の混合物を反応させて、後に共沸乾燥させることによりシリコネート粉末を生成した。120℃、3hPaで揮発性成分を蒸留によって取り出した後に、そこには99.6%の固形分を有する43.1gの微細白色粉末が残った。ICP−OESによって決定されたナトリウム含有量は、24.9重量%であった。
【0065】
b)例7a)のシリコネートのビニルジメチルクロロシランとの反応
例7a)で得られた1gのシリコネート粉末を、23℃にて11.2gのIsopar(商標)Eと4gのピリジンの混合物中に最初に充填した。この懸濁液に、4gのビニルジメチルクロロシラン(工業級品質、>98%、WACKER CHEMIE AG)を滴状で計量添加した。7gの脱塩水を添加する前に、20時間室温で(約23℃)で白色懸濁液を撹拌した。30分後、混合物を濾過し、濾液の上部の有機相の
29Si−NMRスペクトルを記録した。ビニルジメチルシラノールに対する信号に加えて、M
2T末端基およびMT鎖断片について1:12.5のモル比で信号が見出された。
【0066】
例8:
a)メチルシリコン酸リチウム粉末(Li:Si=1:1)の製造
WO2012/022544(PCT/EP2011/061766)における製造例1と類似して、104gのIsopar(商標)E中の65gのメチルトリメトキシシランおよび19.7gの水酸化リチウム一水和物(Aldrich)と200gの完全脱塩水の混合物を反応させて、後に共沸乾燥させることによりシリコネート粉末を生成した。100℃、10hPaで揮発性成分を蒸留によって取り出した後に、そこには99.2%の固形分を有する40.6gの微細白色粉末が残った。ICP−OESによって決定されたリチウム含有量は、8.68重量%であった。
【0067】
b)例8a)のシリコネートのビニルジメチルクロロシランとの反応
例8a)で得られた1gのシリコネート粉末を、23℃にて11.2gのIsopar(商標)Eと4gのピリジンの混合物中に最初に充填した。この懸濁液に、4gのビニルジメチルクロロシラン(工業級品質、>98%、WACKER CHEMIE AG)を滴状で計量添加した。7gの脱塩水を添加する前に、20時間室温で(約23℃)で白色懸濁液を撹拌した。30分後、混合物を濾過し、濾液の上部の有機相の
29Si−NMRスペクトルを記録した。ビニルジメチルシラノールに対する信号に加えて、M
2T末端基およびMT鎖断片について1:4のモル比で信号が見出された。