特許第6786719号(P6786719)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 山本 圭治郎の特許一覧 ▶ 茂垣 知江の特許一覧 ▶ 桑原 俊幸の特許一覧

<>
  • 特許6786719-関節運動アシスト装置の作製方法 図000002
  • 特許6786719-関節運動アシスト装置の作製方法 図000003
  • 特許6786719-関節運動アシスト装置の作製方法 図000004
  • 特許6786719-関節運動アシスト装置の作製方法 図000005
  • 特許6786719-関節運動アシスト装置の作製方法 図000006
  • 特許6786719-関節運動アシスト装置の作製方法 図000007
  • 特許6786719-関節運動アシスト装置の作製方法 図000008
  • 特許6786719-関節運動アシスト装置の作製方法 図000009
  • 特許6786719-関節運動アシスト装置の作製方法 図000010
  • 特許6786719-関節運動アシスト装置の作製方法 図000011
  • 特許6786719-関節運動アシスト装置の作製方法 図000012
  • 特許6786719-関節運動アシスト装置の作製方法 図000013
  • 特許6786719-関節運動アシスト装置の作製方法 図000014
  • 特許6786719-関節運動アシスト装置の作製方法 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6786719
(24)【登録日】2020年10月30日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】関節運動アシスト装置の作製方法
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/02 20060101AFI20201109BHJP
【FI】
   A61H1/02 Z
【請求項の数】10
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2019-523257(P2019-523257)
(86)(22)【出願日】2017年6月7日
(86)【国際出願番号】JP2017021098
(87)【国際公開番号】WO2018225171
(87)【国際公開日】20181213
【審査請求日】2019年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】502265286
【氏名又は名称】山本 圭治郎
(73)【特許権者】
【識別番号】317009396
【氏名又は名称】茂垣 知江
(73)【特許権者】
【識別番号】508013766
【氏名又は名称】桑原 俊幸
(74)【代理人】
【識別番号】110002332
【氏名又は名称】特許業務法人綾船国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 圭治郎
(72)【発明者】
【氏名】茂垣 知江
【審査官】 村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/135857(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/043095(WO,A1)
【文献】 特開昭63ー309260(JP,A)
【文献】 特開昭56−116454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定対象物における関節運動をアシストすべき関節ごとに用意され、前記関節運動をアシストする力を発生させるベローズと;前記ベローズの端部に接続され、前記関節に接続される接続部位に配置された場合に、前記ベローズの伸縮に起因する前記関節運動をアシストする力を、前記関節に伝える伝達部材と;を備える関節運動アシスト装置の作製方法であって、
前記関節が伸展しているときの前記所定対象物と合同対称性及び左右対称性のいずれかの対称性を有する構造の対称対象物を撮影する撮影工程と;
前記対称対象物の撮影情報、及び、前記所定対象物と前記対称対象物との対称性に基づいて、前記関節が伸展しているとしたときの前記所定対象物の複製画像を作成する複製工程と;
前記複製画像を参照して塑性変形可能な固体材料を成型し、前記複製画像の形状の塑性変形可能形状物を作成する成型工程と;
前記複製画像を参照して、前記接続部位の形状に適合した前記伝達部材を準備する伝達部材準備工程と;
前記伝達部材準備工程において準備された前記伝達部材を、前記塑性変形可能形状物における前記接続部位に対応する位置に取付けて、前記伝達部材に前記固体材料を被覆する取付工程と;
前記塑性変形可能形状物に所定の処理を施して、可撓性を有する装着部を作製する装着部作製工程と;
を備えることを特徴とする関節運動アシスト装置の作製方法。
【請求項2】
前記伝達部材準備工程と前記取付工程との間に行われ、前記伝達部材を前記接続部位に固定する伝達部材固定部材を準備し、前記伝達部材固定部材を前記伝達部材に固定する第1固定部材準備工程と;
前記取付工程と前記装着部作製工程との間に行われ、前記第1固定部材準備工程において準備された前記伝達部材に固定された前記伝達部材固定部材に、前記固体材料を被覆する第1被覆工程と;を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の関節運動アシスト装置の作製方法。
【請求項3】
前記成型工程より後に、前記塑性変形可能形状物における前記伝達部材を取り付ける面の反対側の面に、布製の部材を貼り付ける布材貼付工程を更に備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の関節運動アシスト装置の作製方法。
【請求項4】
前記所定対象物は、人体の一方の手部であり、
前記対称対象物は、前記人体の他方の手部である、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の関節運動アシスト装置の作製方法。
【請求項5】
前記関節運動をアシストすべき関節は、手指の少なくとも1つの関節であり、
前記伝達部材準備工程より後、かつ、前記取付工程より前に、手掌部分を固定する手掌部分固定部材、及び、手首部分を固定する手首部分固定部材を準備し、前記手掌部分固定部材を手背部分に配置される前記伝達部材に固定する第2固定部材準備工程と;
前記取付工程より後、かつ、前記装着部作製工程より前に、前記手掌部分固定部材及び前記手首部分固定部材を、前記塑性変形可能形状物に取付け、前記手掌部分固定部材及び前記手首部分固定部材に前記固体材料を被覆する第2被覆工程と;を更に備える、
ことを特徴とする請求項4に記載の関節運動アシスト装置の作製方法。
【請求項6】
前記撮影工程は、
示指、中指、薬指及び小指の四指、並びに、母指を伸ばし、前記母指の指先を前記示指から離した状態に掌側外転させ、前記四指の手背側である指の背側から前記四指の手掌側である指の腹側へ向かう第1方向と、前記母指の手背側である指の背側から前記母指の手掌側である指の腹側へ向かう第2方向とを直交させた状態で、
前記四指を含む手部を、前記第1方向で撮影する第1撮影工程と;
前記母指及び前記示指を含む手部を、前記第2方向で撮影する第2撮影工程と;
前記第2撮影工程において撮影された撮影画像から、前記示指の背側の部分と腹側の部分との中央を通る前記示指が延びる方向の線に対して前記四指の手背側の撮影画像部分を取り除く画像加工工程と;
前記第1撮影工程において撮影された撮影画像と、前記画像加工工程において加工された加工画像とを接合した後、前記加工画像における示指の部分を取り除く接合工程と;を備える、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の関節運動アシスト装置の作製方法。
【請求項7】
前記所定対象物は、人体の一方の手部における中手骨を覆っている中手部位を含む手指であり、
前記対称対象物は、前記人体の他方の手部における中手骨を覆っている中手部位を含む手指であり、
前記関節運動をアシストすべき関節は、手指の少なくとも1つの関節である、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の関節運動アシスト装置の作製方法。
【請求項8】
前記成型工程の後に、前記塑性変形可能形状物における手指の関節対応部分に、開口を形成する開口形成工程を更に備える、ことを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載の関節運動アシスト装置の作製方法。
【請求項9】
前記固体材料は、加熱すると、塑性変形可能な状態から可撓性を有する状態に変化する性質の素材材料からなり、
前記所定の処理は、加熱処理である、
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の関節運動アシスト装置の作製方法。
【請求項10】
前記固体材料は、常温では塑性変形しない性質であり、加熱すると塑性変形可能な状態に変化し、その後、常温環境下に放置すると、可撓性を有する状態に変化する性質の素材材料からなり、
前記成型工程よりも前に、塑性変形しない状態の素材材料を、塑性変形可能な前記固体材料に変化させる塑性変形化工程を更に備え、
前記所定の処理は、常温環境下での放置処理である、
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の関節運動アシスト装置の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節運動アシスト装置の作製方法に係り、より詳しくは、所定対象物の関節運動をアシストする関節運動アシスト装置の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、リハビリテーションに用いられる様々な装置が提案されている。こうした装置の中には、理学療法士等に代って、患者の基本的動作の機能の回復を図るための治療体操運動をアシストするものがある。
【0003】
かかる患者の運動をアシストする装置の一つとして、脳梗塞などの中枢神経障害により手指が麻痺して拘縮してしまった場合等に、ベローズの伸縮を利用して、手指の関節運動をアシストする装置がある(特許文献1参照:以下、「従来例1」と呼ぶ)。かかる従来例1のように、ベローズを用いた関節運動アシスト装置は、モータ及びワイヤにより駆動するアクチュエータを用いる方式の装置よりも軽量であるため、実用性が高い。また、ベローズを用いた関節運動アシスト装置は、低圧力での駆動が可能であるため、ダイヤフラム式ポンプやベーン式ポンプなどの低振動、低騒音のポンプを使用することができる。こうした点からも、伸縮可能なベローズを用いた関節運動アシスト装置は、実用性が高いといえる。
【0004】
この従来例1の技術では、伸縮可能なベローズがアシスト対象となる関節に配置される。そして、当該ベローズの一方側端部に接続された一方側の伝達部材が、アシスト対象となる関節に接続された一方側の接続部位に装着される。また、当該ベローズの他方側端部に接続された他方側の伝達部材が、アシスト対象となる関節に接続された他方側の接続部位に装着される。こうした装着状態のもとで、ベローズからの空気の強制的排出が行われた場合には、ベローズが収縮することにより、関節屈曲状態から関節伸展状態へと変化する関節運動のアシストを行う。また、ベローズへの空気の強制的供給が行われた場合には、ベローズが膨張することにより、関節伸展状態から関節屈曲状態へと変化する関節運動のアシストを行うようになっている。
【0005】
ここで、従来例1の技術の関節運動アシスト装置では、伝達部材を、対応する接続部位に直接配置し、当該伝達部材を接続部位に装着する構成になっている。したがって、従来例1の技術の関節運動アシスト装置を手部に装着するには、母指、示指、中指、薬指及び小指(以下、「五指」とも記す)について、五指それぞれの各関節に接続された接続部位に伝達部材を直接配置し、当該配置された伝達部材を接続部位に装着しなければならない。この結果、従来例1の技術の関節運動アシスト装置では、手部への装着に手間が掛かり、装着の完了までに時間を要することがあった。
【0006】
そこで、伝達部材を接続部位に直接配置することをやめ、関節運動アシスト装置の装着を容易にする技術が提案されている(特許文献2参照:以下、「従来例2」と呼ぶ)。この従来例2の技術では、ベローズに接続された伝達部材を固定した布製の手指装着部材を五指ごとに用意するとともに、手掌及び手背に装着される手部装着部を用意する。そして、手部装着部を手掌及び手背に装着した後、五指ごとの手指装着部材を対応する手指に配置して装着することで、関節運動アシスト装置を手部に装着するようになっている。このように従来例2の技術では、布製の手指装着部材を介して、伝達部材を接続部位に間接的に配置し、手指装着部材を手指に装着することで、関節運動アシスト装置の装着を容易にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2011/043095号
【特許文献2】国際公開第2016/135857号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、手指の長さや手掌の大きさ等の手部の形状は、個々人によって異なる。したがって、手指の関節運動をアシストする関節運動アシスト装置は、被装着者の手部の形状に適合したものでなければならない。
【0009】
このため、従来例2の技術の関節運動アシスト装置を作製するには、まず、被装着者の手部の形状を測定する。次に、被装着者の各手指の長さに合った手指装着部材、手指の関節に接続された接続部位の長さ(関節間距離)に合った伝達部材を用意するとともに、被装着者の手掌の大きさに合った手部装着部を用意する。そして、手指装着部材に伝達部材を固定する。ここで、伝達部材を手指部装着部材に糸で縫い付けて固定する場合には、非常に手間が掛かり、関節運動アシスト装置の作製に相当の時間を要することになる。このように従来例2の技術の関節運動アシスト装置を作製するには、手部の形状測定や、伝達部材の手部装着部材への縫い付け作業など、非常に手間の掛かる工程が必要とされた。
【0010】
このため、手間の掛かる工程を見直して、装着容易な関節運動アシスト装置を簡易に作製することができる技術が望まれている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【0011】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、個々の利用者にとって最適な形状を有しつつ、装着容易な関節運動アシスト装置を簡易に作製することのできる新たな関節運動アシスト装置の作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、所定対象物における関節運動をアシストすべき関節ごとに用意され、前記関節運動をアシストする力を発生させるベローズと;前記ベローズの端部に接続され、前記関節に接続される接続部位に配置された場合に、前記ベローズの伸縮に起因する前記関節運動をアシストする力を、前記関節に伝える伝達部材と;を備える関節運動アシスト装置の作製方法であって、前記関節が伸展しているときの前記所定対象物と合同対称性及び左右対称性のいずれかの対称性を有する構造の対称対象物を撮影する撮影工程と;前記対称対象物の撮影情報、及び、前記所定対象物と前記対称対象物との対称性に基づいて、前記関節が伸展しているとしたときの前記所定対象物の複製画像を作成する複製工程と;前記複製画像を参照して塑性変形可能な固体材料を成型し、前記複製画像の形状の塑性変形可能形状物を作成する成型工程と;前記複製画像を参照して、前記接続部位の形状に適合した前記伝達部材を準備する伝達部材準備工程と;前記伝達部材準備工程において準備された前記伝達部材を、前記塑性変形可能形状物における前記接続部位に対応する位置に取付けて、前記伝達部材に前記固体材料を被覆する取付工程と;前記塑性変形可能形状物に所定の処理を施して、可撓性を有する装着部を作製する装着部作製工程と;を備えることを特徴とする関節運動アシスト装置の作製方法である。
【0013】
当該関節運動アシスト装置の作製方法では、まず、撮影工程において、関節が伸展しているときの所定対象物と合同対称性及び左右対称性のいずれかの対称性を有する構造の対称対象物を、カメラ等の撮影手段で撮影する。次に、複製工程において、撮影手段の撮影時の撮影倍率や撮影手段と対称対象物との間の距離等の撮影情報、及び、所定対象物と対称対象物との対称性に基づいて、関節が伸展しているとしたときの所定対象物の複製画像を作成する。次いで、成型工程において、複製画像を参照して塑性変形可能な固体材料を成型し、当該複製画像の形状をした塑性変形可能形状物を作成する。ここで、塑性変形可能形状物を作成するに際して、複製画像上に固体材料を置いた後、固体材料を成型して塑性変形可能形状物を作成するようにしてもよい。ここで、塑性変形可能形状物を作成するに当り、機械化による自動作業で塑性変形可能形状物を作成するようにしてもよいし、手作業で塑性変形可能形状物を作成するようにしてもよい。なお、塑性変形可能形状物の厚さは、1〜3mm程度にすることが望ましい。
【0014】
次に、伝達部材準備工程において、複製画像を参照して、接続部位の形状に適合した伝達部材を準備する。ここで、伝達部材の準備に際して、収縮時のベローズの形状を考慮して、接続部位の長さと同程度の長さであって、接続部位の長さより短い伝達部材を準備するようにすればよい。このように伝達部材準備工程においては、複製画像を参照して、接続部位の形状に適合した伝達部材を選択する。この結果、被装着者の手部の形状の測定を直接行わずに、伝達部材を準備することができる。このため、手部の形状の測定者や関節運動アシスト装置の被装着者の負担を軽減することができる。
【0015】
引き続き、取付工程において、伝達部材準備工程において準備された伝達部材を、塑性変形可能形状物における接続部位に対応する位置に取付けて、当該伝達部材を塑性変形可能形状物と同一の材料の固体材料で被覆する。これにより、伝達部材を塑性変形可能形状物に埋め込む態様で、伝達部材を塑性変形可能形状物に取付けることができる。
【0016】
そして、装着部作製工程において、伝達部材が取付けられた塑性変形可能形状物に所定の処理を施して、可撓性を有する装着部を作製する。これにより、伝達部材を取付けた装着部が作製される。こうして装着部が作製されると、装着部に取り付けられた伝達部材の端部にベローズの端部を接続する。
【0017】
この結果、ベローズと、当該ベローズに接続された伝達部材とを備える関節運動アシスト装置が作製される。このため、関節運動アシスト装置を作製するに際して、手部の形状の直接測定等の手間の掛かる工程を行わずに、簡易に関節運動アシスト装置を作製することができる。また、作製される関節運動アシスト装置では、装着部を介して伝達部材を接続部位に間接的に配置し、装着部を手部に装着する。このため、容易に関節運動アシスト装置を装着することができる。
【0018】
したがって、本発明の関節運動アシスト装置の作製方法によれば、個々の利用者にとって最適な形状の関節運動アシスト装置を簡易に作製することができる。
【0019】
ここで、所定対象物は、人体の部位であってもよいし、骨格構造を有する人体以外の対象物であってもよい。
【0020】
本発明の関節運動アシスト装置の作製方法では、前記伝達部材準備工程と前記取付工程との間に行われ、前記伝達部材を前記接続部位に固定する伝達部材固定部材を準備し、前記伝達部材固定部材を前記伝達部材に固定する第1固定部材準備工程と;前記取付工程と前記装着部作製工程との間に行われ、前記第1固定部材準備工程において準備された前記伝達部材に固定された前記伝達部材固定部材に、前記固体材料を被覆する第1被覆工程と;を更に備える、ようにすることができる。この場合には、伝達部材に固定された伝達部材固定部材を、塑性変形可能形状物に埋め込む態様で、塑性変形可能形状物に取付けることができる。このため、伝達部材を接続部位に固定して確実に装着することができる関節運動アシスト装置を作製することができる。
【0021】
また、本発明の関節運動アシスト装置の作製方法では、前記成型工程より後に、前記塑性変形可能形状物における前記伝達部材を取り付ける面の反対側の面に、布製の部材を貼り付ける布材貼付工程を更に備える、ようにすることができる。この場合には、関節運動アシスト装置を所定対象物に装着したときに、布製の部材が所定対象物に直接当る。このため、布製の部材が関節運動アシスト装置に貼り付けられていないときに比べて、被装着者にとっての触感(肌触り)が良好になる。
【0022】
本発明の関節運動アシスト装置の作製方法では、前記所定対象物は、人体の一方の手部であり、前記対称対象物は、前記人体の他方の手部である、ようにすることができる。この場合には、人体の手部に装着する手指の関節や手首の関節の関節運動をアシストする関節運動アシスト装置を作製することができる。ここで、所定対象物を人体の一方の手部とし、対称対象物を当該人体の他方の手部とする状況としては、関節運動アシスト装置を装着する被装着者の一方の手部の手指や手首が拘縮し、他方の手部の手指や手首が拘縮していない場合を想定している。このときには、一方の手部と他方の手部とは、非常に良い左右対称性を示している。このため、他方の手部の撮影情報と、一方の手部と他方の手部との左右対称性に基づいて、一方の手部の形状に適合した関節運動アシスト装置を作製することができる。
【0023】
また、本発明の関節運動アシスト装置の作製方法では、前記関節運動をアシストすべき関節は、手指の少なくとも1つの関節であり、前記伝達部材準備工程より後、かつ、前記取付工程より前に、手掌部分を固定する手掌部分固定部材、及び、手首部分を固定する手首部分固定部材を準備し、前記手掌部分固定部材を手背部分に配置される前記伝達部材に固定する第2固定部材準備工程と;前記取付工程より後、かつ、前記装着部作製工程より前に、前記手掌部分固定部材及び前記手首部分固定部材を、前記塑性変形可能形状物に取付け、前記手掌部分固定部材及び前記手首部分固定部材に前記固体材料を被覆する第2被覆工程と;を更に備える、ようにすることができる。
【0024】
この場合には、手指の関節運動をアシストする関節運動アシスト装置を作製することができる。また、この場合には、手背部分(より詳しくは、中手骨を覆う手背部分)に配置される伝達部材に固定された手掌部分固定部材を、塑性変形可能形状物に埋め込む態様で、塑性変形可能形状物に取付けることができる。この結果、手指の第3関節(母指の場合は第2関節)の運動をアシストすることのできる関節運動アシスト装置を作製することができる。
【0025】
また、この場合には、手掌部分に関節運動アシスト装置を固定する態様で、手部にしっかりと装着する関節運動アシスト装置を作製することができる。さらに、この場合には、手首部分に関節運動アシスト装置を固定する態様で、手部にしっかりと装着する関節運動アシスト装置を作製することができる。このため、手部に確実に装着することのできる関節運動アシスト装置を作製することができる。
【0026】
本発明の関節運動アシスト装置の作製方法では、前記撮影工程が、示指、中指、薬指及び小指の四指、並びに、母指を伸ばし、前記母指の指先を前記示指から離した状態に掌側外転させ、前記四指の手背側である指の背側から前記四指の手掌側である指の腹側へ向かう第1方向と、前記母指の手背側である指の背側から前記母指の手掌側である指の腹側へ向かう第2方向とを直交させた状態で、前記四指を含む手部を、前記第1方向で撮影する第1撮影工程と;前記母指及び前記示指を含む手部を、前記第2方向で撮影する第2撮影工程と;前記第2撮影工程において撮影された撮影画像から、前記示指の背側の部分と腹側の部分との中央を通る前記示指が延びる方向の線に対して前記四指の手背側の撮影画像部分を取り除く画像加工工程と;前記第1撮影工程において撮影された撮影画像と、前記画像加工工程において加工された加工画像とを接合した後、前記加工画像における示指の部分を取り除く接合工程と;を備える、ようにすることができる。
【0027】
ところで、母指の中手骨は、互いに直交する方向に動く二軸性の関節である「鞍関節」により手根骨と接続されている。一方、示指、中指、薬指及び小指(以下、「示指等の他の四指」又は「四指」とも記す)の中手骨のそれぞれは、半関節により手根骨と接続されている。こうした手部の構造から、母指の背側から腹側へと向かう方向は、示指等の他の四指の背側から腹側へと向かう方向と異なっている。
【0028】
撮影工程に際して、対称対象物の手部の四指及び母指を伸展させ、かつ、母指を掌側外転させる。こうした状態で、第1撮影工程において、四指の背側から腹側へ向かう方向で、四指を含む手部を撮影し、第2撮影工程において、母指の背側から腹側へ向かう方向で、母指及び示指を含む手部を撮影する。そして、画像加工工程において、第2撮影工程において撮影された撮影画像から、示指の背側の部分と腹側の部分との中央を通る示指が延びる方向の線に対して四指の手背側の撮影画像部分を取り除く。そして、接合工程において、第1撮影工程において撮影された撮影画像と、画像加工工程において加工された加工画像とを接合し、加工画像における示指の部分を取り除いた接合画像を作成する。このため、手部の構造に適合した関節運動アシスト装置を作製することができる。
【0029】
また、本発明の関節運動アシスト装置の作製方法では、前記所定対象物は、人体の一方の手部における中手骨を覆っている中手部位を含む手指であり、前記対称対象物は、前記人体の他方の手部における中手骨を覆っている中手部位を含む手指であり、前記関節運動をアシストすべき関節は、手指の少なくとも1つの関節である、ようにすることができる。この場合には、人体の手指に装着する手指の関節運動をアシストする関節運動アシスト装置を作製することができる。
【0030】
ここで、所定対象物を人体の一方の手部における手指とし、対称対象物を当該人体の他方の手部における手指とする状況としては、関節運動アシスト装置を装着する被装着者の一方の手部における手指が拘縮し、他方の手部における手指が拘縮していない場合を想定している。このときには、一方の手部における手指と他方の手部における手指との左右対称性に基づいて、一方の手部における手指の形状に適合した関節運動アシスト装置を作製することができる。
【0031】
本発明の関節運動アシスト装置の作製方法では、前記成型工程の後に、前記塑性変形可能形状物における手指の関節対応部分に、開口を形成する開口形成工程を更に備える、ようにすることができる。この場合には、手指の関節対応部分に開口が形成された関節運動アシスト装置を作製することができる。
【0032】
こうした開口が形成されているときには、関節を当該開口に合わせることで、容易に、関節運動アシスト装置を手部に装着することができる。また、こうした開口が形成されているときには、関節屈曲時に、関節が開口に嵌め込まれて、装着部の伸び不足を補完する。この結果、関節が装着部から受ける圧迫感を低減することができるとともに、関節と装着部とのズレの発生を低減することができるといった、被装着者にとっての利便性が向上する。このため、上述した利便性を有する関節運動アシスト装置を作製することができる。
【0033】
また、本発明の関節運動アシスト装置の作製方法では、前記固体材料は、加熱すると、塑性変形可能な状態から可撓性を有する状態に変化する性質の素材材料からなり、前記所定の処理は、加熱処理である、ようにすることができる。この場合には、加熱する前の塑性変形可能な固体部材を成型して、簡易に、所定対象物の形状の塑性変形可能形状物を作成することができる。また、この場合には、加熱処理という簡易な処理により、可撓性を有する装着部を作製することができる。
【0034】
本発明の関節運動アシスト装置の作製方法では、前記固体材料は、常温では塑性変形しない性質であり、加熱すると塑性変形可能な状態に変化し、その後、常温環境下に放置すると、可撓性を有する状態に変化する性質の素材材料からなり、前記成型工程よりも前に、塑性変形しない状態の素材材料を、塑性変形可能な前記固体材料に変化させる塑性変形化工程を更に備え、前記所定の処理は、常温環境下での放置処理である、ようにすることができる。この場合には、加熱処理により塑性変形しない状態の素材材料を塑性変形可能な固体材料に変化させた後、当該塑性変形可能な固体材料を成型して、簡易に、所定対象物の形状の塑性変形可能形状物を作成することができる。また、この場合には、常温環境下での自然放置処理という非常に簡単な処理により、可撓性を有する装着部を作製することができる。
【発明の効果】
【0035】
以上説明したように、本発明の関節運動アシスト装置の作製方法によれば、個々の利用者にとって最適な形状を有しつつ、装着容易な関節運動アシスト装置を簡易に作成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の一実施形態に係る関節運動アシスト装置の作製方法により作製される関節運動アシスト装置の外観図である。
図2図1の母指関節運動アシスト部の構成を説明するための図である。
図3図1の示指用の手指関節運動アシスト部の構成を説明するための図である。
図4図1の調整部の構成を説明するための図である。
図5図1の関節運動アシスト装置を作製する作製装置の外観図である。
図6図5の手部撮影用部材の内部空間に被装着者の左手を入れ、四指を撮影するときの状態を説明するための図である。
図7図5の手部撮影用部材の内部空間に被装着者の左手を入れ、母指を撮影するときの状態を説明するための図である。
図8図5の撮影装置による画像加工処理及び画像接合処理を説明するための図である。
図9図5の撮影装置により作成された接合画像を説明するための図である。
図10図5の撮影装置により作成された複製画像を説明するための図である。
図11】成型された右手の塑性変形可能形状物を説明するための図である。
図12】ベローズを取り付ける前の装置を説明するための図である。
図13】作製された関節運動アシスト装置を説明するための図である。
図14】変形例である手指に装着する関節運動アシスト装置の外観図である。
【符号の説明】
【0037】
100,100Bj(j=1,…,5)…関節運動アシスト装置、110…装着部、111k(k=2,…,5)…開口、112j,113j(j=1,…,5)…開口、1301…母指関節運動アシスト部、1302,1303,1304,1305…手指関節運動アシスト部、150…手掌部分固定部材、160…手首部分固定部材、180…調整部、181…加圧ポンプ、182…減圧ポンプ、183…電気−空気圧制御弁、184…制御部、185,186…配管、221j(j=1,…,5)…伝達部材、222k(k=2,…,5)…伝達部材、223j,224j(j=1,…,5)…伝達部材、231k(k=2,…,5)…配管、232j,233j(j=1,…,5)…配管、241k(k=2,…,5)…ベローズ、242j,243j(j=1,…,5)…ベローズ、252j(j=1,…,5)…先端部固定部、253j(j=1,…,5),256k(k=2,…,5)…伝達部材固定部材、500…作製装置、510…撮影装置、515…手部撮影用部材、515U,515L,515R…平板部、520…ステージ装置、521…表示部、522…カバーシート、530…加熱処理装置、HDR…右手(所定対象物)、HDL…左手(対称対象物)、CIM…複製画像、SHP…形状物(塑性変形可能形状物)
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の一実施形態を、図1図13を参照して説明する。なお、本実施形態においては、所定対象物としての「人体の右手」に装着される関節運動アシスト装置を例示して、当該関節運動アシスト装置の作製方法を説明する。また、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0039】
[関節運動アシスト装置の構成]
本実施形態に係る関節運動アシスト装置の作製方法の説明に先立って、当該作製方法により作製される関節運動アシスト装置の構成について説明する。
【0040】
図1には、関節運動アシスト装置の作製方法により作製された関節運動アシスト装置100の外観図が示されている。図1は、右手HDRに装着された関節運動アシスト装置100を、手指の関節が伸展状態にあるときに手背(手の甲)側から眺めた外観図である。図1に示されるように、関節運動アシスト装置100は、装着部110と、母指関節運動アシスト部1301と、手指関節運動アシスト部1302,1303,1304,1305とを備えている。また、関節運動アシスト装置100は、調整部180を備えている。
【0041】
なお、以下の説明では、母指関節運動アシスト部1301及び手指関節運動アシスト部1302,1303,1304,1305を総称して、「手指関節運動アシスト部130j(j=1,…,5)」とも記す。また、以下の説明では、母指関節運動アシスト部1301以外の手指関節運動アシスト部1302,1303,1304,1305を総称する場合には、「手指関節運動アシスト部130k(k=2,…,5)」とも記す。
【0042】
<装着部110>
上記の装着部110について、説明する。装着部110は、本実施形態では、可撓性を有するシリコーン製の部材である。装着部110には、後述する複数の伝達部材を埋め込む態様で、伝達部材が取付けられている。また、装着部110には、手掌部分固定部材150を埋め込む態様で、手掌部分固定部材150が取付けられている。さらに、装着部110には、手首部分固定部材160を埋め込む態様で、手首部分固定部材160が取付けられている。
【0043】
装着部110は、右手HDRの手背及び手掌に装着されるとともに、五指の手背側である指の背に配置され、五指に装着される。なお、装着部110における関節対応部分には、楕円状の開口が形成されている(図1では不図示。後述する図2図3及び図12を参照)。
【0044】
<母指関節運動アシスト部1301の構成>
上記の母指関節運動アシスト部1301の構成について、説明する。母指関節運動アシスト部1301は、母指の関節運動をアシストする。母指関節運動アシスト部1301は、装着部110が手部に装着されている状態において、母指の指(末節部位、基節部位)及び中手部位上に装着されるようになっている。
【0045】
母指関節運動アシスト部1301は、図2に示されるように、ベローズ2421,2431と、配管2321,2331と、伝達部材2211,2231,2241とを備えている。また、母指関節運動アシスト部1301は、先端部固定部2521と、伝達部材固定部材2531とを備えている。
【0046】
なお、図2における座標系(X1,Y1,Z1)は、母指が伸びている状態で、指先方向を+Y1方向、指の手掌側である指の腹(以下、「指腹」とも記す)側から指の手背側である指の背(以下、「指背」とも記す)側へ向かう方向を+Z1方向、Y1方向及びZ1方向に直交し、小指側へと向かう方向を+X1方向とする座標系である。ここで、図2は、母指に装着された母指関節運動アシスト部1301を、−X1方向側から視た図である。
【0047】
上記のベローズ2421は、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材であり、母指の第1関節の関節軸の周りに沿って、指背側に配置される。ベローズ2421の一方側(図2における「−Y1方向側」)端部は、伝達部材2231の他方側の端部側(図2における「+Y1方向側」)に形成された接続部に接続されるとともに、ベローズ2421の他方側端部は、伝達部材2211の一方側の端部側に形成された接続部に接続される。こうして配置されたベローズ2421は、第1関節の関節運動をアシストする力を発生する。
【0048】
上記のベローズ2431は、ベローズ2421と同様に、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材であり、母指の第2関節の関節軸の周りに沿って、指背側に配置される。ベローズ2431の一方側端部は、伝達部材2241の他方側(ベローズ2431側)の端部側に形成された接続部に接続されるとともに、ベローズ2431の他方側端部は、伝達部材2231の一方側の端部側に形成された接続部に接続される。こうして配置されたベローズ5431は、第2関節の関節運動をアシストする力を発生する。
【0049】
ここで、ベローズ2421には、可撓性を有する樹脂製の配管2321が取り付けられ、当該ベローズ2421は、配管2321を介して調整部180と連通している。そして、ベローズ2421内の空気圧が変化すると、当該ベローズ2421が膨縮する。この結果、ベローズ2421が上述した関節運動をアシストする力を発生させる。
【0050】
また、ベローズ2431には、可撓性を有する樹脂製の配管2331が取り付けられ、当該ベローズ2431は、配管2331を介して調整部180と連通している。そして、ベローズ2431内の空気圧が変化すると、当該ベローズ2431が膨縮する。この結果、ベローズ2431が上述した関節運動をアシストする力を発生させる。
【0051】
上記の伝達部材2211は、例えば、鋼鉄製の部材であり、長板部を有している。そして、当該長板部には、一方側の端部に略直立して指背の方向に沿って延びる環状の接続部が形成されている。伝達部材2211の長板部の一方側の端部には、ベローズ2421を介して、伝達部材2231が接続されている。そして、伝達部材2211の一方側の端部の接続部は、ベローズ2421の他方側端部に接続されている。ここで、伝達部材2211の長板部の一方側の端部は、右手に関節運動アシスト装置100が装着されている時において、母指の第1関節の関節軸を回動軸にして、回動可能に伝達部材2231に接続されるようになっている。この伝達部材2211の長板部は、装着部110に埋め込まれる態様で、装着部110に取付けられている。そして、伝達部材2211の長板部は、装着部110を介して、母指の末節部位に装着される。
【0052】
上記の伝達部材2231は、例えば、鋼鉄製の部材であり、長板部を有している。そして、当該長板部の両端部には、略直立して指背の方向に沿って延びる環状の接続部が形成されている。伝達部材2231の長板部の一方側の端部には、ベローズ2431を介して、伝達部材2241が接続されている。そして、伝達部材2231の一方側の端部の接続部は、ベローズ2431の他方側端部に接続されている。ここで、伝達部材2231の長板部の一方側の端部は、右手に関節運動アシスト装置100が装着されている時において、母指の第2関節の関節軸を回動軸にして、回動可能に伝達部材2241に接続されるようになっている。
【0053】
また、伝達部材2231の長板部の他方側の端部には、ベローズ2421を介して、伝達部材2211が接続されている。そして、伝達部材2231の他方側の端部側の接続部は、ベローズ2421の一方側端部に接続されている。この伝達部材2231の長板部は、装着部110に埋め込まれる態様で、装着部110に取付けられている。そして、伝達部材2231の長板部は、装着部110を介して、母指の基節部位に装着される。
【0054】
上記の伝達部材2241は、例えば、鋼鉄製の部材であり、長板部を有している。そして、当該長板部には、他方側の端部に略直立して指背の方向に沿って延びる環状の接続部が形成されている。伝達部材2241の長板部の他方側の端部には、ベローズ2431を介して、伝達部材2231が接続されている。そして、伝達部材2241の他方側の端部の接続部は、ベローズ2431の一方側端部に接続されている。この伝達部材2241の長板部は、装着部110に埋め込まれる態様で、装着部110に取付けられている。そして、伝達部材2241の長板部は、装着部110を介して、母指の中手部位に装着される。
【0055】
上記の先端部固定部2521は、本実施形態では、可撓性を有するシリコーン製の部材であり、装着部110における母指の先端側部分に固定される。そして、先端部固定部2521は、母指関節運動アシスト部1301を母指に装着する際に、指先端部に固定される。
【0056】
上記の伝達部材固定部材2531は、塑性変形可能な金属製の長板状の部材である。この伝達部材固定部材2531は、伝達部材2231に固定され、装着部110に埋め込まれる態様で、装着部110に取付けられる。
【0057】
なお、上述したように、装着部110には、母指の第1関節対応部分に開口1121が形成され、母指の第2関節対応部分に開口1131が形成されている(図12参照)。
【0058】
<手指関節運動アシスト部130k(k=2,…,5)の構成>
上記の手指関節運動アシスト部130k(k=2,…,5)の構成について、説明する。手指関節運動アシスト部1302は、示指の関節運動をアシストする。また、手指関節運動アシスト部1303は、中指の関節運動をアシストする。また、手指関節運動アシスト部1304は、薬指の関節運動をアシストする。また、手指関節運動アシスト部1305は、小指の関節運動をアシストする。手指関節運動アシスト部130k(k=2,…,5)のそれぞれは、装着部110が手部に装着されている状態において、これらの手指の指(末節部位、中節部位、基節部位)及び中手部位上に装着されるようになっている。
【0059】
図3には、手指関節運動アシスト部130kの代表として、手指関節運動アシスト部1302の構成図が示されている。なお、図3における座標系(X2,Y2,Z2)は、示指が伸びている状態で、指先方向を+Y2方向、指腹側から指背側へ向かう方向を+Z2方向、Y2方向及びZ2方向に直交し、小指側へと向かう方向を+X2方向とする座標系である。
【0060】
ここで、図3は、示指に装着された手指関節運動アシスト部1302を、−X2方向側から視た図である。本実施形態では、手指関節運動アシスト部1303,1304,1305についても、手指関節運動アシスト部1302と同様に構成されている。
【0061】
手指関節運動アシスト部130k(k=2,…,5)のそれぞれは、図3に示されるように、ベローズ241k,242k,243kと、配管231k,232k,233kと、伝達部材221k,222k,223k,224kとを備えている。また、手指関節運動アシスト部130kのそれぞれは、先端部固定部252kと、伝達部材固定部材253k,256kとを備えている。
【0062】
上記のベローズ241kは、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材であり、第1関節の関節軸の周りに沿って、指背側に配置される。ベローズ241kの一方側(図3における「−Yk方向側」)端部は、伝達部材222kの他方側の端部側(図3における「+Yk方向側」)に形成された接続部に接続されるとともに、ベローズ241kの他方側端部は、伝達部材221kの一方側の端部側に形成された接続部に接続される。こうして配置されたベローズ241kは、第1関節の関節運動をアシストする力を発生する。
【0063】
上記のベローズ242kは、ベローズ241kと同様に、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材であり、第2関節の関節軸の周りに沿って、指背側に配置される。ベローズ242kの一方側端部は、伝達部材223kの他方側の端部側に形成された接続部に接続されるとともに、ベローズ242kの他方側端部は、伝達部材222kの一方側の端部側に形成された接続部に接続される。こうして配置されたベローズ242kは、第2関節の関節運動をアシストする力を発生する。
【0064】
上記のベローズ243kは、ベローズ241k,242kと同様に、等間隔の環状溝を有する伸縮自在な樹脂製の部材であり、第3関節の関節軸の周りに沿って、当該関節軸に対して略直交する方向側に配置される。ベローズ243kの一方側端部は、伝達部材224kの他方側(ベローズ243k側)の端部側に形成された接続部に接続されるとともに、ベローズ243kの他方側端部は、伝達部材223kの一方側の端部側に形成された接続部に接続される。こうして配置されたベローズ243kは、第3関節の関節運動をアシストする力を発生する。
【0065】
ここで、ベローズ241kの内部空間とベローズ242kの内部空間は、可撓性を有する樹脂製の配管231kを介して、連通している。また、ベローズ242kには、可撓性を有する樹脂製の配管232kが取り付けられ、当該ベローズ242kは、配管232kを介して調整部180と連通している。そして、ベローズ241k,242k内の空気圧が変化すると、当該ベローズ241k,242kが膨縮する。この結果、ベローズ241k,242kが上述した関節運動をアシストする力を発生させる。
【0066】
また、ベローズ243kには、可撓性を有する樹脂製の配管233kが取り付けられ、当該ベローズ243kは、配管233kを介して調整部180と連通している。そして、ベローズ243k内の空気圧が変化すると、当該ベローズ243kが膨縮する。この結果、ベローズ243kが上述した関節運動をアシストする力を発生させる。
【0067】
上記の伝達部材221kは、例えば、鋼鉄製の部材であり、長板部を有している。そして、当該長板部には、一方側の端部に略直立して指背の方向に沿って延びる環状の接続部が形成されている。伝達部材221kの長板部の一方側の端部には、ベローズ241kを介して、伝達部材222kが接続されている。そして、伝達部材221kの一方側の端部側の接続部は、ベローズ241kの他方側端部に接続されている。ここで、伝達部材221kの長板部の一方側の端部は、右手に関節運動アシスト装置100が装着されている時において、第1関節の関節軸を回動軸にして、回動可能に伝達部材222kに接続されるようになっている。この伝達部材221kの長板部は、装着部110に埋め込まれる態様で、装着部110に取付けられている。そして、伝達部材221kの長板部は、装着部110を介して、手指の末節部位に装着される。
【0068】
上記の伝達部材222kは、例えば、鋼鉄製の部材であり、長板部を有している。そして、当該長板部の両端部には、略直立して指背の方向に沿って延びる環状の接続部が形成されている。伝達部材222kの長板部の一方側の端部には、ベローズ242kを介して、伝達部材223kが接続されている。そして、伝達部材222kの一方側の端部側の接続部は、ベローズ242kの他方側端部に接続されている。ここで、伝達部材222kの長板部の一方側の端部は、右手に関節運動アシスト装置100が装着されている時において、第2関節の関節軸を回動軸にして、回動可能に伝達部材223kに接続されるようになっている。
【0069】
また、伝達部材222kの長板部の他方側の端部には、ベローズ241kを介して、伝達部材221kが接続されている。そして、伝達部材222kの他方側の端部側の接続部は、ベローズ241kの一方側端部に接続されている。この伝達部材222kの長板部は、装着部110に埋め込まれる態様で、装着部110に取付けられている。そして、伝達部材222kの長板部は、装着部110を介して、手指の中節部位に装着される。
【0070】
上記の伝達部材223kは、例えば、鋼鉄製の部材であり、長板部を有している。そして、当該長板部の両端部には、略直立して指背の方向に沿って延びる環状の接続部が形成されている。伝達部材223kの長板部の一方側の端部には、ベローズ243kを介して、伝達部材224kが接続されている。そして、伝達部材223kの一方側の端部側の接続部は、ベローズ243kの他方側端部に接続されている。ここで、伝達部材223kの長板部の一方側の端部は、右手に関節運動アシスト装置100が装着されている時において、第3関節の関節軸を回動軸にして、回動可能に伝達部材224kに接続されるようになっている。
【0071】
また、伝達部材223kの長板部の他方側の端部には、ベローズ242kを介して、伝達部材222kが接続されている。そして、伝達部材223kの他方側の端部側の接続部は、ベローズ242kの一方側端部に接続されている。この伝達部材223kの長板部は、装着部110に埋め込まれる態様で、装着部110に取付けられている。そして、伝達部材223kの長板部は、装着部110を介して、手指の基節部位に装着される。
【0072】
上記の伝達部材224kは、例えば、鋼鉄製の部材であり、長板部を有している。そして、当該長板部には、他方側の端部に略直立して指背の方向に沿って延びる環状の接続部が形成されている。伝達部材224kの長板部の他方側の端部には、ベローズ243kを介して、伝達部材223kが接続されている。そして、伝達部材224kの他方側の端部の接続部は、ベローズ243kの一方側端部に接続されている。この伝達部材224kの長板部は、装着部110に埋め込まれる態様で、装着部110に取付けられている。そして、伝達部材224kの長板部は、装着部110を介して、手指の中手部位に装着される。
【0073】
上記の先端部固定部252kは、本実施形態では、可撓性を有するシリコーン製の部材であり、装着部110における対応する指の先端側部分に固定される。そして、先端部固定部252kは、手指関節運動アシスト部130kを対応する指に装着する際に、指先端部に固定される。
【0074】
上記の伝達部材固定部材253kは、塑性変形可能な金属製の長板状の部材である。この伝達部材固定部材253kは、伝達部材222kに固定され、装着部110に埋め込まれる態様で、装着部110に取付けられる。
【0075】
上記の伝達部材固定部材256kは、塑性変形可能な金属製の長板状の部材である。この伝達部材固定部材256kは、伝達部材223kに固定され、装着部110に埋め込まれる態様で、装着部110に取付けられる。
【0076】
なお、上述したように、装着部110には、第1関節対応部分に開口111kが形成され、第2関節対応部分に開口112kが形成され、第3関節対応部分に開口113kが形成されている(図12参照)。
【0077】
<調整部180の構成>
上記の調整部180の構成について、説明する。調整部180は、配管2321を介して母指関節運動アシスト部1301のベローズ2421と連通している。また、調整部180は、配管2331を介して母指関節運動アシスト部1301のベローズ2431と連通している。また、調整部180は、配管232kを介して手指関節運動アシスト部130kのベローズ241k,242kと連通している。さらに、調整部180は、配管233kを介して手指関節運動アシスト部130kのベローズ243kと連通している。以下の説明においては、これらのベローズを総称して、単に「ベローズ」とも記す。
【0078】
かかる連通関係を有する調整部180は、図4に示されるように、加圧ポンプ181と、減圧ポンプ182と、電気−空気圧制御弁183と、制御部184と、配管185,186とを備えている。
【0079】
上記の加圧ポンプ181は、配管185を介して、電気−空気圧制御弁183のポンプ側接続口の一方側に接続されている。この加圧ポンプ181は、ベローズへの空気の強制的供給を行う際に利用される。上記の減圧ポンプ182は、配管186を介して、電気−空気圧制御弁183のポンプ側接続口の他方側に接続されている。この減圧ポンプ182は、ベローズからの空気の強制的排出を行う際に、利用される。
【0080】
上記の電気−空気圧制御弁183は、流路切換弁と、圧力制御弁(比例ソレノイドバルブ)とを備えて構成されている。この流路切換弁の入口側の一方が加圧ポンプ181に接続されているとともに、入口側の他方が減圧ポンプ182に接続されている。
【0081】
そして、流路切換弁は、制御部184による制御のもとで、ベローズへの空気の強制的供給を行う際には、加圧ポンプ181に接続されている配管185と指定されたベローズと連通している配管とを接続して流路を形成する。また、流路切換弁は、制御部184による制御のもとで、ベローズからの空気の強制的排出を行う際には、減圧ポンプ182に接続されている配管186と指定されたベローズと連通している配管とを接続して流路を形成する。
【0082】
例えば、母指関節運動アシスト部1301のベローズ2421への空気の強制的供給を行う際には、流路切換弁は、配管185と配管2321とを接続して流路を形成する。また、ベローズ2421からの空気の強制的排出を行う際には、流路切換弁は、配管186と配管2321とを接続して流路を形成する。さらに、ベローズ2431への空気の強制的供給を行う際には、流路切換弁は、配管185と配管2331とを接続して流路を形成する。また、ベローズ2431からの空気の強制的排出を行う際には、流路切換弁は、配管186と配管2331とを接続して流路を形成する。
【0083】
また、手指関節運動アシスト部130kのベローズ241k,242kへの空気の強制的供給を行う際には、流路切換弁は、配管185と配管232kとを接続して流路を形成する。また、ベローズ241k,ベローズ242kからの空気の強制的排出を行う際には、流路切換弁は、配管186と配管232kとを接続して流路を形成する。さらに、ベローズ243kへの空気の強制的供給を行う際には、流路切換弁は、配管185と配管233kとを接続して流路を形成する。また、ベローズ243kからの空気の強制的排出を行う際には、流路切換弁は、配管186と配管233kとを接続して流路を形成する。
【0084】
上記の制御部184は、ベローズからの空気の強制的排出、及び、ベローズへの空気の強制的供給の切り換え、並びに、ベローズ内の空気圧の制御を行う。かかる制御に際して、ベローズへの空気の強制的供給を行う場合には、制御部184は、電気−空気圧制御弁183が加圧ポンプ181と関節運動を行うベローズとを接続する流路を形成し、ベローズ内の空気圧力を調整するように、制御する。また、ベローズからの空気の強制的排出を行う場合には、制御部184は、電気−空気圧制御弁183が減圧ポンプ182と関節運動を行うベローズとを接続する流路を形成し、ベローズ内の空気圧力を調整するように、制御する。
【0085】
こうした制御は、実験、シミュレーション、経験等による脳波、筋力に関する生体情報に基づいて行われるようになっている。ここで、脳波、筋力に関する生体情報は、不図示の検出部が、脳波、筋電図、筋肉の硬さ等を検出することで、取得するようにすることができる。
【0086】
[関節運動アシスト装置の作製装置]
次に、関節運動アシスト装置を作製する作製装置について、説明する。
【0087】
図5には、関節運動アシスト装置100を作製する作製装置500の外観図が示されている。上記の作製装置500は、図5に示されるように、撮影装置510と、手部撮影用部材515と、ステージ装置520と、加熱処理装置530とを備えている。図5における座標系(U,V,W)は、W軸方向を鉛直上方方向とし、机DSKの天板をUV平面とする座標系であり、図示の通りに定義されている。
【0088】
上記の撮影装置510は、カメラとデータ処理部とを備えて構成される。この撮影装置510は、机DSKに固定された取付部材FIXに取付けられ、机DSKの上方に配置される。カメラは、鉛直下方方向を撮影する。データ処理部は、カメラによる撮影結果をデジタル画像データに変換する。そして、データ処理部は、デジタル画像データに対して、所定の処理を行い、画像データを生成する。こうして生成された画像データは、有線でステージ装置520へ送られる。データ処理部による処理の詳細については、後述する。
【0089】
上記の手部撮影用部材515は、本実施形態では、透明のアクリル製の部材であり、V軸方向に延びる直方体状の内部空間が形成され、V軸方向の両端部に開口が形成されている。当該手部撮影用部材515は、手部の撮影時には、図5に示されるように、ステージ装置520上に載置され、手部撮影用部材515の内部空間に、開口から手部を挿入することができるようになっている。以下の説明では、手部撮影用部材515のUV平面に平行な+W方向側の平板部を平板部515Uと記し、VW平面に平行な−U方向側の平板部を平板部515Lと記し、VW平面に平行な+U方向側の平板部を平板部515Rと記す。
【0090】
なお、手部の撮影時以外のときは、手部撮影用部材515は、ステージ装置520上から取り除かれるようになっている。
【0091】
上記のステージ装置520は、表示部521とカバーシート522とを備えて構成される。このステージ装置520は、机DSKの天板に固定される。表示部521は、撮影装置510から送られた画像データを受ける。そして、表示部521は、当該画像データに対応する画像を表示する。カバーシート522は、透明な部材であり、表示部521を覆うようにして、表示部521の上面に配置される。このカバーシート522上で、関節運動アシスト装置の作製の一部が行われる。
【0092】
上記の加熱処理装置530は、物体を収容可能な収納部を有している。そして、収納部内に収容された物体に対して加熱処理を行う。本実施形態では、加熱処理装置530は、粘土状のシリコーンを成型した形状物を加熱処理するようになっている。
【0093】
[関節運動アシスト装置の作製方法]
次いで、作製装置500を利用した関節運動アシスト装置100の作製方法について、説明する。
【0094】
前提として、14個のベローズ、様々な長さの複数の伝達部材、配管、複数の伝達部材固定部材、手掌部分固定部材及び手首部分固定部材、並びに、布製の部材が用意されているものとする。また、装着部110の原材料である粘土状のシリコーン(塑性変形可能な固体材料であり、加熱処理を施すと、塑性変形可能な状態から可撓性を有する状態に変化する性質の固体材料)が用意されているものとする。さらに、当初においては、手部撮影用部材515は、ステージ装置520上に載置されている(図5参照)。
【0095】
なお、関節運動アシスト装置100を装着する被装着者(以下、単に「被装着者」とも記す)の右手HDRは拘縮しているものとする。そして、当該被装着者の左手HDLは、健常な状態であるとする。
【0096】
関節運動アシスト装置100の作製に際して、まず、被装着者が、健常な左手HDL(対称対象物)を、手部撮影用部材515の内部空間に−V方向側から入れる。次に、図6に示されるように、示指、中指、薬指及び小指の四指、並びに、母指を伸展させ、母指の指先を示指から離した状態に掌側外転(母指の背側の面を手掌面に直角な面にする母指における手根中手関節の運動)させて、四指を手部撮影用部材515の平板部515Uに押し当てるとともに、母指を平板部515Rに押し当てる。そして、関節運動アシスト装置の作製者(以下、単に「作製者」とも記す)が、撮影装置510を使用し、第1の撮影画像として、図6に示される状態の左手HDLを撮影する。
【0097】
第1の撮影画像の撮影が終了すると、図7に示されるように、四指及び母指を伸展させ、母指の指先を示指から離した状態に掌側外転させて、母指を手部撮影用部材515の平板部515Uに押し当てるとともに、四指を平板部515Lに押し当てる。そして、作製者が、撮影装置510を使用し、第2の撮影画像として、図7に示される状態の左手HDLを撮影する。こうして第2の撮影画像の撮影が終了すると、作製者は、ステージ装置520上から手部撮影用部材515を取り除く。
【0098】
次に、撮影装置510のデータ処理部が、第2の撮影画像から、示指の背側の部分と腹側の部分との中央(示指の撓側の中央)を通る示指が延びる方向の線A−A(図7参照)に対して四指の手背側の撮影画像部分、すなわち、線A−Aに対して−U方向側の撮影画像部分を取り除いて、加工画像を作成する。次いで、データ処理部が、図8に示されるように、第1の撮影画像における+U方向の端部の部分と加工画像における−U方向の端部の部分と接続させるようにして、第1の撮影画像と加工画像とを接合する。そして、データ処理部は、加工画像における示指の部分を取り除いて、第1の撮影画像と加工画像とを滑らかにつなげる処理を施して接合画像を作成する。図9には、こうして作成された接合画像の例が示されている。
【0099】
当該接合画像が作成されると、データ処理部は、撮影装置510の撮影倍率及び撮影装置510と手部撮影用部材515との間の距離に基づいて、関節が伸展しているとしたときの被装着者の右手HDRと同一の形状の複製画像を生成する。そして、データ処理部は、生成された複製画像の画像データを、ステージ装置520へ送る。データ処理部から送られた画像データを受けたステージ装置520は、当該画像データに対応する複製画像CIMを表示部521に表示する。図10には、表示部521に表示された複製画像CIMが示されている。
【0100】
次いで、作製者が、表示部521に表示された複製画像CIMを参照し、ステージ装置520のカバーシート522上で粘土状のシリコーン(以下、「シリコーン粘土」とも記す)を成型し、複製画像CIMの形状の塑性変形可能形状物SHP(以下、単に「形状物」とも記す)を作成する。本実施形態では、作成される形状物SHPの厚さを1〜3mm程度にしている。図11には、作製者により成型された塑性変形可能な形状物SHPが示されている。
【0101】
次に、作製者が、表示部521に表示された複製画像CIMを参照して、五指それぞれの各関節に接続された接続部位の形状に適合した伝達部材、すなわち、収縮時のベローズの形状を考慮しつつ、接続部位の長さと同程度の長さであって、接続部位の長さより短い伝達部材を準備する。
【0102】
具体的には、母指については、末節部位の長さに適合した伝達部材2211、基節部位の長さに適合した伝達部材2231及び中手部位の長さに適合した伝達部材2241を準備する。また、作製者は、複製画像CIMを参照し、伝達部材固定部材2531を準備して当該伝達部材固定部材2531を伝達部材2231に固定する。
【0103】
示指等の四指については、作製者は、末節部位の長さに適合した伝達部材221k、中節部位の長さに適合した伝達部材222k、基節部位の長さに適合した伝達部材223k及び中手部位の長さに適合した伝達部材224kを準備する。また、作製者は、複製画像CIMを参照し、伝達部材固定部材253kを準備して当該伝達部材固定部材253kを伝達部材222kに固定し、伝達部材固定部材256kを準備して当該伝達部材固定部材256kを伝達部材224kに固定する。
【0104】
また、作製者は、複製画像CIMを参照し、手掌部分固定部材150及び手首部分固定部材160を準備する。そして、作製者は、手掌部分固定部材150を伝達部材224kに固定する。
【0105】
次いで、作製者が、複製画像CIMを参照して、準備した各部材を形状物SHPに取り付ける。具体的には、母指については、伝達部材2211を末節部位に対応する位置に取り付け、伝達部材2231を基節部位に対応する位置に取り付け、伝達部材2241を中手部位に対応する位置に取り付ける。そして、作製者は、これらの伝達部材2211,2231,2241をシリコーン粘土で被覆する。また、作製者は、伝達部材2231に固定された伝達部材固定部材2531をシリコーン粘土で被覆する。
【0106】
示指等の四指については、作製者は、伝達部材221kを末節部位に対応する位置に取り付け、伝達部材222kを中節部位に対応する位置に取り付ける。また、作製者は、伝達部材223kを基節部位に対応する位置に取り付け、伝達部材224kを中手部位に対応する位置に取り付ける。そして、作製者は、これらの伝達部材221k,222k,223k,224kをシリコーン粘土で被覆する。また、作製者は、伝達部材222kに固定された伝達部材固定部材253kをシリコーン粘土で被覆し、伝達部材223kに固定された伝達部材固定部材256kをシリコーン粘土で被覆する。また、作製者は、伝達部材224kに固定された手掌部分固定部材150をシリコーン粘土で被覆する。さらに、作製者は、複製画像CIMを参照して、手首部分固定部材160を、形状物SHPに取付け、シリコーン粘土で被覆する。
【0107】
次に、作製者は、シリコーン粘土を成型加工して、両端部が開口した筒状の先端部固定部252jを作成する。そして、作製者は、先端部固定部252jを、形状物SHPにおける指先に対応する位置に取り付ける。次いで、作製者は、布製の部材を形状物SHPの形状に成型し、当該成型された布製の部材を形状物SHPにおける伝達部材が取り付けられた面の反対側の面に貼り付ける(布製の部材は不図示)。
【0108】
引き続き、作製者が、形状物SHPを加熱処理装置530の収納部内に収納する。こうして形状物SHPが加熱処理装置530内に収納されると、加熱処理装置530が、形状物SHPに対して加熱処理を行う。この加熱処理により、塑性変形可能であった形状物SHPが、可撓性を有する性質の部材となる。これにより、被装着者の右手HDRに装着される装着部110が作製される。
【0109】
こうして装着部110が作製されると、作製者は、装着部110の各指の関節対応部分に、楕円状の開口を形成する。図12には、この段階での装置の外観が示されている。次いで、作製者は、装着部110に取り付けた伝達部材にベローズを接続する。具体的には、母指に関し、伝達部材2211については、一方側の端部の接続部にベローズ2421の他方側端部を接続する。また、伝達部材2231については、一方側の端部の接続部にベローズ2431の他方側端部を接続し、他方側の端部側の接続部にベローズ2421の一方側端部を接続する。また、伝達部材2241については、他方側の端部側の接続部にベローズ2431の一方側端部を接続する。そして、作製者は、ベローズ2421に配管2321を取り付け、ベローズ2431に配管2331を取り付ける。
【0110】
また、示指等の四指に関し、伝達部材221kについては、一方側の端部の接続部にベローズ242kの他方側端部を接続する。また、伝達部材222kについては、一方側の端部の接続部にベローズ242kの他方側端部を接続し、他方側の端部側の接続部にベローズ241kの一方側端部を接続する。また、伝達部材223kについては、一方側の端部の接続部にベローズ243kの他方側端部を接続し、他方側の端部側の接続部にベローズ242kの一方側端部を接続する。さらに、伝達部材224kについては、他方側の端部側の接続部にベローズ243kの一方側端部を接続する。そして、作製者は、ベローズ241k及びベローズ242kに配管231kを取り付け、ベローズ242kに配管232kを取り付ける。また、作製者は、ベローズ243kに配管233kを取り付ける。
【0111】
この結果、関節運動アシスト装置100が作製される。図13には、こうして作製された関節運動アシスト装置100が示されている。なお、図13においては、配管の図示を省略している。また、シリコーン粘土により被覆されている伝達部材固定部材253j(j=1,…,5),256k(k=2,…,5)の両端には、伝達部材を接続部位に固定するための面ファスナ等の固定手段が取り付けられている。また、シリコーン粘土により被覆されている手掌部分固定部材150の両端には、関節運動アシスト装置100を手掌部分で固定するための面ファスナ等の固定手段が取り付けられている。また、シリコーン粘土により被覆されている手首部分固定部材160の両端には、関節運動アシスト装置100を手首部分で固定するための面ファスナ等の固定手段が取り付けられている(いずれも、図13において不図示)。
【0112】
以上説明したように、本実施形態では、被装着者の右手HDR(所定対象物)が拘縮し、左手HDL(対称対象物)が健常である場合に、左手HDLの手指の関節を伸展させたときの状態を、撮影装置510が撮影する。左手HDLの撮影が終了すると、撮影装置510のデータ処理部は、撮影結果から、関節が伸展しているとしたときの右手HDRの複製画像を生成する。そして、データ処理部は、生成された複製画像の画像データを、ステージ装置520へ送る。画像データを受けたステージ装置520では、表示部521が、画像データに対応する複製画像CIMを表示する。
【0113】
こうして複製画像CIMが表示部521に表示されると、作製者は、当該複製画像CIMを参照して、シリコーン粘土を成型し、関節が伸展しているとしたときの右手HDRと同一形状の形状物SHPを作成する。次に、作製者は、複製画像CIMを参照して、五指それぞれの各関節に接続された接続部位の形状に適合した伝達部材を準備する。次いで、作製者が、複製画像CIMを参照して、準備した各部材を形状物SHPに取り付ける。引き続き、形状物に加熱処理を施すことで、可撓性を有する装着部110を作製する。こうして装着部110が作製されると、作製者は、当該装着部110に取り付けた伝達部材にベローズを接続する。次いで、作製者は、当該ベローズに配管を取り付ける。この結果、関節運動アシスト装置100が作製される。
【0114】
このため、関節運動アシスト装置100を作製するに際して、手部の形状の直接測定等の手間の掛かる工程を行わずに、簡易に関節運動アシスト装置を作製することができる。また、作製される関節運動アシスト装置100では、装着部110を介して伝達部材を接続部位に間接的に配置し、装着部110を手部に装着する。このため、容易に関節運動アシスト装置を装着することができる。
【0115】
また、本実施形態では、健常な手部(対称対象物)の四指及び母指を伸ばし、母指の指先を示指から離した状態に掌側外転させた状態のときに、撮影装置510は、四指の背側から腹側へ向かう方向で四指の撮影を行う。また、撮影装置510は、上述した手部の状態(四指及び母指を伸ばし、母指を掌側外転させた状態)のときに、母指の背側から腹側へ向かう方向で、母指の背側及び示指等の撓側の撮影を行う。引き続き、撮影装置510は、これらの撮影画像を接合した接合画像をもとに、複製画像を作成する。このため、手部の構造に適合した関節運動アシスト装置100を作製することができる。
【0116】
また、本実施形態の関節運動アシスト装置100には、伝達部材固定部材と、手掌部分固定部材と、手首部分固定部材とが取り付けられている。このため、手部に確実に装着することのできる関節運動アシスト装置を作製することができる。
【0117】
また、本実施形態の関節運動アシスト装置100の装着部110には、各指の関節対応部分に開口が形成されている。このため、各関節を当該開口に合わせることで、容易に、関節運動アシスト装置100を手部に装着することができる。また、装着部110に開口が形成されていることにより、関節運動のアシストにおける関節屈曲時に、関節が開口に嵌め込まれて、装着部110の伸び不足を補完する。この結果、関節が装着部110から受ける圧迫感を低減することができる。また、この結果、関節と装着部110とのズレの発生を低減することができる。このため、関節運動アシスト装置を装着する被装着者の利便性を向上させることができるとともに、適正に関節運動を行うことのできる関節運動アシスト装置を作製することができる。
【0118】
したがって、本実施形態によれば、個々の利用者にとって最適な形状を有しつつ、装着容易な関節運動アシスト装置を簡易に作製することができる。
【0119】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0120】
例えば、上記の実施形態では、複製画像を表示部に表示するようにしたが、複製画像を写真紙等の紙媒体に表示するようにしてもよい。この場合には、複製画像を表示した紙媒体の上に透明のカバーシートを配置し、カバーシート上でシリコーン粘土を成型して形状物を作成するようにすればよい。
【0121】
また、上記の実施形態では、撮影装置は、手部を2回撮影し、第1の撮影画像と第2の撮影画像とに基づいて、複製画像を作成した。これに対し、1回の手部の撮影結果を解析して上述した第1の撮影装置と第2の撮影画像とを導出し、複製画像を作成するようにしてもよい。この場合には、四指及び母指を伸ばし、母指の指先を示指から離した状態に旋回させたときのすべて指が撮影される撮影方向で、手部を撮影することになる。
【0122】
また、上記の実施形態では、粘土状のシリコーンを成型して塑性変形可能形状物を作成し、当該塑性変形可能形状物に加熱処理を施して、可撓性を有するシリコーン製の装着部を作製した。これに対し、塑性変形可能な固体材料であって、当該固定材料に所定の処理を施し、可撓性を有する装着部を作製することができれば、他の材料であってもよい。
【0123】
例えば、常温では塑性変形しない性質の固体材料であり、加熱すると、塑性変形可能な状態に変化し、その後、常温環境下に放置すると、可撓性を有する状態に変化する性質の固体材料を採用することができる。こうした材料として、例えば、ポリエチレン樹脂等の熱可塑性の材料が挙げられる。
【0124】
ポリエチレン樹脂を固体材料に採用した場合には、作製者は、まず、湯煎による加熱、アイロンや鏝等による加熱等の加熱処理により、常温では塑性変形しないポリエチレン樹脂の固体材料を、粘土のように塑性変形する状態に変化させる。
【0125】
次に、作製者は、アシストすべき手部の複製画像を参照し、塑性変形可能な状態のポリエチレン樹脂を成型し、複製画像の形状の塑性変形可能形状物を作成する。次いで、上述した実施形態の場合と同様に、作製者は、塑性変形可能形状物に、準備した伝達部材、伝達部材固定部材、手掌部分固定部材及び手首部分固定部材を取り付けて、これらの部材を粘土状のポリエチレン樹脂で被覆する。
【0126】
次に、作製者は、布製の部材を塑性変形可能形状物の形状に成型し、当該成型された布製の部材(以下、「布材」とも記す)を塑性変形可能形状物における伝達部材が取り付けられた面の反対側の面(以下、「裏面」とも記す)に貼り付ける。かかる貼り付けに際して、作製者は、塑性変形可能形状物の裏面に成型された布材を当てる。次いで、作製者は、アイロンや鏝を布材上に配置し、アイロンや鏝を使用した加熱処理により塑性変形可能形状物を溶解させ、溶解された塑性変形可能形状物を布材の隙間に浸み込ませることで、当該布材を塑性変形可能形状物の裏面に貼り付ける。そして、伝達部材等の部材が取り付けられ、かつ、布材の隙間に塑性変形可能形状物を浸み込ませた態様で、布材が貼り付けられた塑性変形可能形状物を、常温環境下で自然放置処理し、可撓性を有する装着部を作製すればよい。
【0127】
なお、塑性変形可能形状物への布材の貼り付けは、上述した方法に限定されず、例えば、接着剤で貼り付ける等、他の方法であってもよいことは勿論である。
【0128】
また、上記の実施形態及び上述した変形例では、塑性変形可能形状物に布材を貼り付けることとしたが、塑性変形可能形状物に布材を貼り付けなくてもよい。
【0129】
また、上記の実施形態及び上述した変形例では、塑性変形可能形状物における伝達部材が取り付けられた面の反対側の面に、布製の部材を貼り付けるようにした。これに対し、当該反対側の面に加えて、塑性変形可能形状物における伝達部材が取り付けられた面にも、布製の部材を貼り付けるようにしてもよい。この場合には、関節運動のアシスト時における装着部の継続的な可撓変形に対して、装着部の耐久性を向上させることができる。
【0130】
また、上記の実施形態では、人体の右手の手指が拘縮し、左手が健常である場合を想定して、人体の右手の手指の運動をアシストする関節運動アシスト装置を説明した。これに対し、左手が拘縮して、右手が健常な場合には、左手の手指の運動をアシストする関節運動アシスト装置を作製してもよいことは勿論である。
【0131】
また、上記の実施形態では、アシスト対象者自身の一方の手部が拘縮し、他方の手部が健常である場合を想定した。これに対して、アシスト対象者の手部とほぼ同寸法の他者が存在する場合には、アシスト対象者の手部と他者の手部との合同対称性を利用して、関節運動アシスト装置を作製するようにしてもよい。
【0132】
また、本実施形態で採用する関節運動アシスト装置においては、樹脂製のベローズを採用したが、伸縮自在であり、人体に装着される装置の重さ等の負担をかけることがない素材であれば、他の素材であってもよい。
【0133】
また、上記の実施形態では、母指、示指、中指、薬指及び小指のそれぞれに手指関節運動アシスト部を装着し、母指、示指、中指、薬指及び小指の関節運動をアシストするようにした。これに対して、任意の手指に関節運動アシスト部を装着し、当該任意の手指の関節運動をアシストするようにしてもよい。
【0134】
また、上記の実施形態では、手部に装着する関節運動アシスト装置を作製した。これに対し、図14に示されるように、中手骨を覆っている中手部位を含む手指に装着する関節運動アシスト装置100B1,100B2,100B3,100B4,100B5を作製するようにしてもよい。
【0135】
こうした関節運動アシスト装置100Bj(j=1,…,5)を作製する際には、上述した実施形態のように、四指及び母指を伸展させ、かつ、母指を掌側外転させた状態で、第1撮影工程において、四指の背側から腹側へ向かう方向で、四指を含む手部を撮影し、第2撮影工程において、母指の背側から腹側へ向かう方向で、母指を含む手部を撮影するようにしてもよい。また、四指及び母指を伸展させ、母指を掌側外転させずに、第1撮影工程において、四指の背側から腹側へ向かう方向で、四指を含む手部を撮影し、第2撮影工程において、母指の背側から腹側へ向かう方向で、母指を含む手部を撮影するようにしてもよい。
【0136】
なお、四指の任意の手指に装着する関節運動アシスト装置を作製する場合には、四指の背側から腹側へ向かう方向で、四指を含む手部の撮影を1回行えばよい。また、母指に装着する関節運動アシスト装置のみを作製する場合には、母指の背側から腹側へ向かう方向で、母指を含む手指の撮影を1回行えばよい。
【0137】
その後の関節運動アシスト装置100Bj(j=1,…,5)の作製方法は、手掌部分固定部材及び手首部分固定部材を塑性変形可能形状物に取り付けないことを除いて、上述した実施形態の作製方法と同様にして行われる。なお、装着部の材料は、シリコーン製であってもよいし、ポリエチレン樹脂製であってもよいことは勿論である。
【0138】
なお、こうした各手指に装着する関節運動アシスト装置100Bj(j=1,…,5)を作製するときには、手部の手背及び手掌に装着可能な例えば、布製の手部装着部を併せて作製するようにしてもよい。こうした布製の手部装着部を作製した場合には、まず、手部に手部装着部を装着する。次に、各指に関節運動アシスト装置100Bj(j=1,…,5)を装着して、中手部位の部分で関節運動アシスト装置100Bj(j=1,…,5)を面ファスナ等で手部装着部に取り付けるようにすればよい。
【0139】
ここで、関節運動アシスト装置100B1は、手部装着部が手部に装着されている状態で、母指の指(末節部位、基節部位)及び中手部位上に装着される。そして、関節運動アシスト装置100B1は、母指の関節運動をアシストする。また、関節運動アシスト装置100B2は、手部装着部が手部に装着されている状態で、示指の指(末節部位、中節部位、基節部位)及び中手部位上に装着される。そして、関節運動アシスト装置100B2は、示指の関節運動をアシストする。また、関節運動アシスト装置100B3は、手部装着部が手部に装着されている状態で、中指の指(末節部位、中節部位、基節部位)及び中手部位上に装着される。そして、関節運動アシスト装置100B3は、中指の関節運動をアシストする。
【0140】
また、関節運動アシスト装置100B4は、手部装着部が手部に装着されている状態で、薬指の指(末節部位、中節部位、基節部位)及び中手部位上に装着される。そして、関節運動アシスト装置100B4は、薬指の関節運動をアシストする。また、関節運動アシスト装置100B5は、手部装着部が手部に装着されている状態で、小指の指(末節部位、中節部位、基節部位)及び中手部位上に装着される。そして、関節運動アシスト装置100B5は、小指の関節運動をアシストする。
【0141】
本発明の関節運動アシスト装置の作製方法は、介護や福祉の分野で利用する場合には、リハビリテーション用の関節運動アシスト装置を使用する場合だけでなく、力が弱っている者が使用するパワーアシスト用の関節運動アシスト装置を使用する場合にも、利用することができる。また、本発明の関節運動アシスト装置の作製方法は、介護や福祉の分野以外で、物を掴む等のパワーアシスト用の関節運動アシスト装置を作製する場合にも、利用することができる。
【0142】
また、上記の実施形態では、人体の手指の関節運動をアシストする関節運動アシスト装置の作製方法に本発明を適用したが、例えば、人体の足部の指の関節運動をアシストする関節運動アシスト装置の作製方法に本発明を適用するようにしてもよい。
【0143】
また、上記の実施形態においては、人体の関節運動をアシストする関節運動アシスト装置の作製方法に本発明を適用したが、内骨格形のロボット等の所定対象物の関節運動アシスト装置の作製方法にも本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0144】
以上説明したように、本発明の関節運動アシスト装置の作製方法は、所定対象物の関節運動をアシストする関節運動アシスト装置の作製方法に適用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14