(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6786721
(24)【登録日】2020年10月30日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】圧縮機ブレードの表面パターニング
(51)【国際特許分類】
F04D 29/38 20060101AFI20201109BHJP
F04D 29/68 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
F04D29/38 E
F04D29/38 A
F04D29/68
F04D29/38 G
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-527246(P2019-527246)
(86)(22)【出願日】2017年11月17日
(65)【公表番号】特表2019-535954(P2019-535954A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(86)【国際出願番号】GB2017053458
(87)【国際公開番号】WO2018091905
(87)【国際公開日】20180524
【審査請求日】2019年5月20日
(31)【優先権主張番号】1619666.9
(32)【優先日】2016年11月21日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508032310
【氏名又は名称】ダイソン テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】リウ チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン シャン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン マーク アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ド マイヤール マシュー ミシェル グザヴィエ
【審査官】
冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】
実開平02−114800(JP,U)
【文献】
中国特許出願公開第104613056(CN,A)
【文献】
実開昭54−129445(JP,U)
【文献】
特開平05−272494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/38
F04D 29/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前縁及び後縁と、前記前縁と前記後縁との間の表面パターンとを有する圧縮機ブレードであって、前記表面パターンは、複数のV字形リブレットで形成された少なくとも1組のヘリンボーンリブレットを含み、前記V字形リブレットは、200〜400μmの距離だけ離れて位置し、50〜120μmの高さを有し、
前記少なくとも1組のヘリンボーンリブレットは、前記ヘリンボーンリブレットの組の上流端が前記ブレードの境界層剥離泡内に位置するように配置されるとともに、前記ヘリンボーンリブレットの組の上流端が、前記前縁から、前記ブレードの総翼弦長の24%〜46%の位置に位置するように配置される、
ことを特徴とする圧縮機ブレード。
【請求項2】
前記少なくとも1組のヘリンボーンリブレットは、前記ヘリンボーンリブレットの組の前記上流端が、前記前縁から、前記ブレードの前記総翼弦長の37%の位置に位置するように配置される、
請求項1に記載の圧縮機ブレード。
【請求項3】
前記少なくとも1組のヘリンボーンリブレットの下流端は、前記ブレードの前記後縁に位置する、
請求項1または2に記載の圧縮機ブレード。
【請求項4】
前記少なくとも1組のヘリンボーンリブレットの下流端は、前記後縁から、前記ブレードの総翼弦長の5%〜20%の位置に位置する、
請求項1または2に記載の圧縮機ブレード。
【請求項5】
前記少なくとも1組のヘリンボーンリブレットの前記下流端は、前記後縁から、前記ブレードの総翼弦長の10%の位置に位置する、
請求項4に記載の圧縮機ブレード。
【請求項6】
前記V字形リブレットの各々によって形成される角度は40°〜80°である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の圧縮機ブレード。
【請求項7】
前記V字形リブレットの各々によって形成される前記角度は60°である、
請求項6に記載の圧縮機ブレード。
【請求項8】
前記V字形リブレットは、300μmの距離だけ離れて位置する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の圧縮機ブレード。
【請求項9】
前記V字形リブレットは、80μmの高さを有する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の圧縮機ブレード。
【請求項10】
前記圧縮機ブレードは、ディフューザブレード及びインペラブレードの一方である、
請求項1から9のいずれか1項に記載の圧縮機ブレード。
【請求項11】
前記表面パターンは、レーザーを用いて前記ブレードの表面上にエッチングされる、
請求項1から10のいずれか1項に記載の圧縮機ブレード。
【請求項12】
前記表面パターンは、前記ブレードの表面に接着された接着ストリップ内に提供される、
請求項1から8のいずれか1項に記載の圧縮機ブレード。
【請求項13】
圧縮機ブレードに表面パターンを適用する方法であって、最初に接着ストリップ内に前記表面パターンを形成し、次に前記接着ストリップを前記圧縮機ブレードに接着するステップを含み、
前記少なくとも1組のヘリンボーンリブレットは、前記ヘリンボーンリブレットの組の上流端が前記ブレードの境界層剥離泡内に位置するように配置されるとともに、前記ヘリンボーンリブレットの組の上流端が、前記前縁から、前記ブレードの総翼弦長の24%〜46%の位置に位置するように配置される、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機ブレード上の表面パターニングに関する。
【背景技術】
【0002】
軸流圧縮機のブレードは、ブレード数を減少させて全体的な部品重量を低減する必要性に迫られて高負荷に耐えるように設計されており、従って特に設計外の動作条件において流れ剥離を生じやすい。ブレードの負荷をさらに高めると、吸引ピーク後に強い逆圧力勾配が生じやすくなって、多くの場合はその後に失速してしまうため、流れを制御する必要性が生じる。さらに、低レイノルズ数で作動する圧縮機では、一般にブレードの負圧面における層流境界層剥離が増加して性能低下を引き起こす。
【0003】
これまでは、境界層剥離を制御するために、軸流圧縮機における剥離の影響を低減又は克服するための受動的方法と能動的方法の両方が検討されてきた。これまで検討されてきた能動的方法のいくつかの例としては、安定したパルス状の空気ジェットを使用して負圧面上の剥離を制御するもの、音響励起を使用するもの、又はプラズマアクチュエータを使用するものが挙げられる。既知の受動的流量制御装置の例には、ベーン及びプラウ式渦流生成器(vane and plow vortex generators)、衝撃波と乱流境界層との相互作用を制御する空洞の使用、及び境界層厚さを低減する低プロファイル渦流生成器がある。
【0004】
受動装置は、そのタイプにもよるが、剥離の開始前に境界層遷移を引き起こすことによって完全に剥離を避けることができ、或いは剥離した剪断層の遷移を未然に防ぐ流動不安定性を導入することによって気泡サイズを減少させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
受動制御法は、その単純さ及びコスト効率に起因して、相変わらず好ましい方法である。しかしながら、受動装置の大きな欠点は、高レイノルズ数において高い翼型損失(profile losses)を引き起こしてしまう点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、前縁及び後縁と、前縁と後縁との間の表面パターンとを有する圧縮機ブレードであって、表面パターンが、複数のV字形リブレットで形成された少なくとも1組のヘリンボーンリブレット(herringbone riblets)を含み、V字形リブレットが、200〜400μmの距離だけ離れて位置し、50〜120μmの高さを有する、圧縮機ブレードを提供する。
【0007】
この結果、圧縮機ブレードが、特に低レイノルズ数において境界層剥離の影響を受けにくくなり、圧縮機ブレードを含む高負荷の圧縮機翼列(compressor cascade)における総圧力損失を低下させることができる。
【0008】
少なくとも1組のヘリンボーンリブレットは、ヘリンボーンリブレットの組の上流端がブレードの境界層剥離泡内に位置するように配置することができる。
【0009】
少なくとも1組のヘリンボーンリブレットは、ヘリンボーンリブレットの組の上流端が、前縁から、ブレードの総翼弦長の24%〜46%の位置に位置するように配置することができ、ヘリンボーンリブレットの組の上流端が、前縁から、ブレードの総翼弦長の37%の位置に位置するように配置することができる。
【0010】
少なくとも1組のヘリンボーンリブレットの下流端は、ブレードの後縁に位置することができる。或いは、少なくとも1組のヘリンボーンリブレットの下流端は、後縁から、ブレードの総翼弦長の5%〜20%の位置に位置することができ、後縁から、ブレードの総翼弦長の10%の位置に位置することができる。
【0011】
V字形リブレットの各々によって形成される角度は40°〜80°とすることができ、60°とすることができる。
【0012】
V字形リブレットは、300μmの距離だけ離れて位置することができ、80μmの高さを有することができる。
【0013】
圧縮機ブレードは、ディフューザブレード及びインペラブレードの一方とすることができる。
【0014】
表面パターンは、レーザーを用いてブレードの表面上にエッチングすることができる。
【0015】
表面パターンは、ブレードの表面に接着された接着ストリップ内に提供することができる。
【0016】
本発明の第2の態様は、複数のV字形リブレットで形成された少なくとも1組のヘリンボーンリブレットを含む表面パターンが刻み込まれた接着ストリップであって、V字形リブレットが、200〜400μmの距離だけ離れて位置し、50〜120μmの高さを有する、接着ストリップを提供する。
【0017】
接着ストリップは、ポリ塩化ビニル(PVC)で形成することができ、或いは金属箔で形成することができる。
【0018】
表面パターンは、レーザーエッチングによって形成することができる。
【0019】
本発明の第3の態様は、圧縮機ブレードに表面パターンを適用する方法であって、最初に接着ストリップ内に表面パターンを形成し、次に接着ストリップを圧縮機ブレードに接着するステップを含む方法を提供する。
【0020】
以下、本発明をさらに容易に理解できるように、以下の添付図面を参照しながら本発明の実施形態を一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】圧縮機ブレード翼列試験装置の概略的表現である。
【
図4】表面パターンを有する
図3の圧縮機ブレードを示す図である。
【
図5】1組のヘリンボーンリブレットを示す図である。
【
図7A】複数組のヘリンボーンリブレットが形成された接着ストリップを示す図である。
【
図7B】複数組のヘリンボーンリブレットが形成された接着ストリップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下で説明するように、また図に示すように、高負荷を受けた圧縮機翼列の総圧力損失を低減する上で新規のヘリンボーンリブレットパターンが効果的であることが分かった。
【0023】
本明細書では、対応する記号を省略表現として用いて以下の用語を参照する。
α 入射角
β ブレード角
p ピッチ長
c 翼弦長
c’ 局所的座標系における軸方向翼弦長
Re レイノルズ数
ξ
1 ピッチ対翼弦比
ξ
2 アスペクト比
S
p スパン長
LE 前縁
TE 後縁
LSL 層流剥離線
RL 再付着線
s リブレット溝の幅
h リブレット溝の深さ
θ リブレットの発散角
l
r リブレットストリップの長さ
b
r リブレットストリップの幅
【0024】
図1に、試験装置1の概略的表現を示す。乱流格子(turbulence grid)2の上流には、モータ駆動式遠心ファンの形の空気流発生器(図示せず)が設けられる。乱流格子2は、ブレード5に作用する空気流の流量特性を調整できるように、調整可能な乱流レベルを可能にする。乱流格子2の下流は、流れが加速する縮小部分3である。縮小部分3の下流には翼列4を示しており、これらの翼列4は、翼列4への容易なアクセス、翼列4の取り外し及び交換を可能にする尾板(tailboard)6に取り付けられる。試験装置1は、翼列4を横切って、約3×10
5の最大レイノルズ数に対応する120m/sの最大流速をもたらすように意図される。本出願において検討する翼列は、5×10
4〜2×10
5の範囲の比較的低いレイノルズ数で動作できるように意図される。この範囲のレイノルズ数は、典型的にはターボチャージャ又は高速圧縮機などのターボ機械に見られるタイプの高速圧縮機にとっては低いと考えられる。例えば、ターボチャージャは、典型的には約5×10
5〜1×10
6のレイノルズ数で作動する。
【0025】
図2に、
図1に示す翼列4の一部の概略的表現を示す。この翼列は、13枚のブレード5で形成されて、試験装置内に12本の通路を形成する。しかしながら、
図2には3枚のブレード5しか示していない。ブレード5は、ミッドスパンにおける2次元流れを確実にする31mmの翼弦長(c)と、51.2mmの高さ(スパン、S
p)とを特徴とする高負荷形状を有する。最大厚さは、前縁(LE)8から34%の翼弦長における2.5mmである。ブレード5の転向角(turning angle)は60.3°である。試験装置1における翼列4のブレード5は、−10度<α<+10度の範囲内の入射角変動を可能にするために、流入する流れ方向に対して回転することができる。表1に、翼型の主な幾何学的パラメータを要約する。
【表1】
表1
【0026】
図3に、圧縮機ブレード20を示す。この圧縮機ブレード20は、圧縮機のディフューザで使用されるタイプのものとすることも、或いは、例えば軸方向インペラ上のインペラブレードとすることもできる。
図1の試験装置におけるブレード5は圧縮機ブレード20に類似し、試験装置1は、圧縮機のブレードの最適な幾何学的パラメータを発見するための実験を行うように意図される。従って、ブレード20は、例えば高速軸流圧縮機で使用できるブレード形状の特徴を示す。ブレード20は、ブレードの上流側における前縁(LE)22と、ブレードの下流側における後縁(TE)24とを有する。LE22とTE24との間の距離は翼弦長として知られており、寸法cとして示す。
【0027】
図4に、表面パターン修飾部(surface pattern modification)を含む
図3のブレード20を示す。この表面パターン修飾部は、複数組のヘリンボーンリブレット30の形を取る。
図4のブレード20は、ブレード20の上側凸面上に7組のヘリンボーンリブレット30を有する。
図5に、1組のヘリンボーンリブレットを示す。
図6には、2つの隣接するリブレット上端(riblet peak)の拡大断面図を示す。
【0028】
本発明者らが行った実験では、ブレード20などの圧縮機ブレード上で、ブレード表面上の流れの層流境界層が、翼弦長のうちのLEから約24%(24%c)である層流剥離線LSLにおいて剥離し、約46%の翼弦長(46%c)における再付着線RLにおいて再付着することが判明した。従って、ブレード20上の境界層剥離を低減するために、ヘリンボーンリブレットの組を、リブレットの開始位置、すなわちリブレットの上流端が剥離泡内に位置するようにブレード表面上に配置する。
図4のリブレットは、LE22から37%の地点で開始する。ヘリンボーンリブレット、すなわち下流側は、後縁(TE)24に近接して終端し、
図4のブレード20では、リブレットがLE24から90%c(すなわちTE24から10%c)の地点で終端する。リブレットは、TE24において終端することもできるが、TE24に近接して、TE24からわずかな距離を置いて終端した方が有益であることが分かった。
【0029】
ヘリンボーンリブレットを含むブレード20を翼列内に配置して、
図1に示すような試験装置において使用すると、ヘリンボーンリブレットを含まないブレードを有する翼列を使用した時よりも、翼列に従う圧力分布がはるかに均一であることが判明した。また、ヘリンボーンリブレットを含むブレードを使用した時には、平均総圧力損失係数も22.4%減少した。さらに、翼列に従う速度ベクトルの分布も均一になり、平均流れ転向角(average flow turning angle)も10度増加した。従って、ヘリンボーンリブレットの使用によって大きな空気力学的改善がもたらされる。
【0030】
リブレットの組の長さl
rは、ブレード20の総翼弦長cに依存する。通常、l
rは、総翼弦長cの約66%〜44%である。31mmの翼弦長cを有するブレードでは、l
rが約13mm〜20mmであり、好ましくは16mm〜18mmである。同じサイズのブレードでは、リブレットの組の幅b
rが約4〜10mmであり、好ましい実施形態では6mmである。リブレット30の組は、複数の交互するV字形リブレット40と溝42とで形成される。リブレット40及び溝42から成るV字形の2つアーム間の角度θは60°であり、各アームは、各リブレット30の組の中心を通る中心線から30°の角度で延びる。
図4、
図5及び
図6に示すような好ましい実施形態では、リブレット40が200〜400μmの、好ましくは300μmの距離sだけ離れて位置し、各リブレットが50〜120μmの、好ましくは80μmの高さhを有する。しかしながら、s及びhの値は、ブレードの仕様及び要件、並びに圧縮機の作動パラメータに従って変化することができると理解されるであろう。
【0031】
リブレット30の組は、ブレード表面上で間に間隙が存在しないように互いに隣接して位置することができる。しかしながら、2つの隣接するリブレット30の組間に0.2mm〜1mmの間隙が存在すると有益であることが分かった。特に好ましい実施形態では、隣接するリブレット30の組間に0.5mmの間隙が存在する。
【0032】
従って、31.0mmの翼弦長cを有するブレード上の特に好ましい実施形態について、
図4、
図5及び
図6で参照した寸法を以下の表2に示す。
【表2】
表2
【0033】
各ヘリンボーンリブレット30の組は、レーザーを用いてブレード表面内に直接溝をエングレービングする(刻み込む)ことによって形成することができる。レーザーエッチング/エングレービングは、柔軟性が高く、容易かつ正確な制御を行うことができるので、好ましいリブレット形成方法である。
【0034】
しかしながら、ブレード表面上に直接レーザーエッチング/エングレービングを行うことは、特にブレードが大型部品の一部を成す場合、例えばディフューザ又はインペラ内のブレードである場合には困難になり得る。ブレード上の正しい位置に所望のパターンを達成するようにレーザーに角度を付けることも困難又は不可能になり得る。例えば、レーザーレンズは、垂直方向に動けないことがあり、すなわちレーザーの加工点(working spot)は、製造工程中に水平面でしか動くことができない。ブレードの曲面上でのレーザーエングレービングが可能な正確な3D制御装置が必要になるが、このような制御装置のコストは極めて高価になり得る。
【0035】
別の方法は、ヘリンボーンリブレット30の組を、ブレード表面の所望の位置に接着できる
図7A及び
図7Bに示すような接着ストリップとして接着テープ上に製造することである。接着テープ内のリブレットは、やはりレーザーを使用して形成することができるが、テープの平面性に起因して、ブレード表面上に直接レーザーを使用するよりも製造工程がはるかに容易になる。必要な数のリブレット30の組を一片の接着テープ上に単一の接着ストリップとして形成した後に、これをブレード表面上に一体部品として接着することができる。或いは、個別に取り外し可能なリブレット30の組を接着テープの個々の接着ストリップとして形成することもできる。その後、各リブレットの組をストリップから取り、必要に応じてブレード表面上に配置することができる。
図7Aには、空間効率を高めるために重なり構成で配置された8組のヘリンボーンリブレットを含む接着テープ50のストリップを示し、
図7Bには、1列になった4組のヘリンボーンリブレット30を有するさらに狭い接着テープ52のストリップを示す。
【0036】
接着テープは、例えば(ガムテープ(parcel tape)としても知られている)梱包テープ又は電気絶縁テープと同様のポリ塩化ビニル(PVC)で形成することができる。別の実施形態では、接着テープを薄い金属箔で形成することもできる。接着金属箔を用いて形成されたヘリンボーンリブレットは、リブレットが完全な形状を留める限り、境界層剥離を低減するための最良の結果をもたらすことが判明した。しかしながら、箔はしわになりやすく、箔内に形成されたリブレットは、最大の注意を払って取り扱わなければ、ブレード表面への適用中にいびつな形になることがある。これによってリブレットの有効性が低下してしまうこともある。一方で、接着PVCテープは、境界層剥離を低減する上で箔と同じ高水準の結果は得られないものの、依然として効果が高い反面、箔が抱える同じしわの問題に見舞われることがなく、従って典型的な製造工程のためのさらに良好なオプションを提供することができる。
【0037】
以上、特定の実施形態について説明したが、特許請求の範囲に定める本発明の範囲から逸脱することなく様々な修正を行うことができると理解されるであろう。