(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記録材搬送装置では、記録材の搬送中に発生した紙詰まりを除去するため、自装置の一面に開閉可能な開閉部が設けられている。ユーザは、この開閉部を開いて、自装置内部の記録材搬送経路上における紙詰まりを取り除く。
ここで、開閉部を開いた場合であっても、ユーザの手が届かない範囲で紙詰まりが発生しているときは、紙詰まりを除去することができない。
本発明は、記録材搬送装置の一面に設けられた開閉部を開いただけではユーザの手が届かない範囲で紙詰まりが生じた場合であっても、ユーザが紙詰まりを除去することが容易になる記録材搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、画像が形成された記録材
の搬送
経路を構成する第1搬送経路部、および当該第1搬送経路部よりも当該記録材の搬送方向における上流側の搬送経路を構成する第2搬送経路部を有する搬送経路部と、自装置の一方の側面に、当該自装置に対して開閉可能に設けられ、当該自装置に対して開
く第1の開閉部と、前記第1の開閉部よりも前記自装置の内側であって、当該自装置に対して開閉可能に設けられ、当該自装置に対して開くことで、
前記第2搬送経路部を開放する第2の開閉部と、
前記第1の開閉部の下部に、前記自装置に対して開閉可能に設けられる第3の開閉部と、前記第1の開閉部および前記第2の開閉部を押圧し、当該第1の開閉部および当該第2の開閉部を開く押圧手段と、を備え、
前記第1搬送経路部は、前記第1の開閉部が開くことで開放される被開放部と、当該被開放部に続いて当該第1の開閉部および前記第2の開閉部よりも前記搬送方向の下流側まで延びて設けられる下流部とを有し、前記第1の開閉部は、
前記被開放部において前記搬送経路を構成する一面を有し
、前記第2の開閉部は、
前記被開放部のうちの、前記第1の開閉部が有する前記一面とは反対側の
面を有し
、前記第3の開閉部は、前記自装置に対して開くことで、前記下流部を開放し、前記第3の開閉部には、当該第3の開閉部を前記自装置に対して開くためにユーザに操作される被操作部が設けられ、前記第1の開閉部および前記第2の開閉部は、前記被操作部がユーザに操作されていない場合には前記自装置に対して開かず、当該被操作部がユーザに操作されると前記押圧手段に押圧され当該自装置に対して開き、前記第1の開閉部および前記第2の開閉部は、
前記下流部において記録材の搬送経路が延びる方向と交差する方向に開き、前記押圧手段は、前記第2の開閉部が開くにしたがって押圧力が低減することを特徴とする記録材搬送装置である。
請求項2に記載の発明は、前記第1の開閉部が開くことに連動して、前記第2の開閉部が開くことを特徴とする請求項1に記載の記録材搬送装置である。
請求項3に記載の発明は、前記
第1搬送経路部は、
前記第2搬送経路部から搬送される前記記録材を前記搬送方向の下流側へ搬送する下流側搬送部よりも前記第1の開閉部が設けられている側の搬送経路部であることを特徴とする請求項
1または2の何れかに記載の記録材搬送装置である。
請求項4に記載の発明は、前記
第2搬送経路部は、
前記第1搬送経路部が設けられる側とは前記下流側搬送部に対して反対側の搬送経路部であることを特徴とする請求項
3に記載の記録材搬送装置である。
請求項5に記載の発明は、前記押圧手段は、
前記第2搬送経路部上に設けられ、
当該第2搬送経路部上を搬送される前記記録材に対して押圧力を与えるとともに搬送方向下流側へ搬送する上流側搬送部であることを特徴とする請求項
4に記載の記録材搬送装置である。
請求項6に記載の発明は、前記第2の開閉部は、前記第1の開閉部から押圧されることにより、前記自装置に対して閉じることを特徴とする請求項1乃至
5のいずれかに記載の記録材搬送装置である。
請求項7に記載の発明は、記録材に対して画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により前記画像が形成された前記記録材が排出される排出部と、前記記録材の搬送方向下流側への搬送または前記排出部への搬送に用いられ
、当該記録材の搬送経路を構成する第1搬送経路部および当該第1搬送経路部よりも当該記録材の搬送方向における上流側の搬送経路を構成する第2搬送経路部を有する搬送経路部と、自装置の一方の側面に、当該自装置に対して開閉可能に設けられ、当該自装置に対して開
く第1の開閉部と、前記第1の開閉部よりも前記自装置の内側であって、当該自装置に対して開閉可能に設けられ、当該自装置に対して開くことで、
前記第2搬送経路部を開放する第2の開閉部と、
前記第1の開閉部の下部に、前記自装置に対して開閉可能に設けられる第3の開閉部と、前記第1の開閉部および前記第2の開閉部を押圧し、当該第1の開閉部および当該第2の開閉部を開く押圧手段と、を備え、
前記第1搬送経路部は、前記第1の開閉部が開くことで開放される被開放部と、当該被開放部に続いて当該第1の開閉部および前記第2の開閉部よりも前記搬送方向の下流側まで延びて設けられる下流部とを有し、前記第1の開閉部は、
前記被開放部において前記搬送経路を構成する一面を有し
、前記第2の開閉部は、
前記被開放部のうちの、前記第1の開閉部が有する前記一面とは反対側の
面を有し
、前記第3の開閉部は、前記自装置に対して開くことで、前記下流部を開放し、前記第3の開閉部には、当該第3の開閉部を前記自装置に対して開くためにユーザに操作される被操作部が設けられ、前記第1の開閉部および前記第2の開閉部は、前記被操作部がユーザに操作されていない場合には前記自装置に対して開かず、当該被操作部がユーザに操作されると前記押圧手段に押圧され当該自装置に対して開き、前記第1の開閉部および前記第2の開閉部は、
前記下流部において記録材の搬送経路が延びる方向と交差する方向に開き、前記押圧手段は、前記第2の開閉部が開くにしたがって押圧力が低減することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、
第1の開閉部がユーザに操作されると第1の開閉部および第2の開閉部が押圧手段に開かれる場合に比べて、第1の開閉部および第2の開閉部が開く前に押圧手段の押圧力がユーザに低減されることを抑制できる。
請求項2の発明によれば、ユーザが第2の開閉部を開く動作をすることなく、紙詰まりを除去することができる。
請求項3の発明によれば、下流側搬送部よりも第1の開閉部が設けられる側で発生した紙詰まりを除去することができる。
請求項4の発明によれば、第1の開閉部が設けられる側とは下流側搬送部に対して反対側で発生した紙詰まりを除去することができる。
請求項5の発明によれば、ユーザが第1の開閉部および第2の開閉部を開くことなく、第1の開閉部および第2の開閉部を開くことができる。
請求項6の発明によれば、ユーザが、第2の開閉部を閉める動作を行うことなく、第1の開閉部および第2の開閉部を閉めることができる。
請求項7の発明によれば、
第1の開閉部がユーザに操作されると第1の開閉部および第2の開閉部が押圧手段に開かれる場合に比べて、第1の開閉部および第2の開閉部が開く前に押圧手段の押圧力がユーザに低減されることを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<画像形成システムの説明>
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態にかかる画像形成システム1の全体構成を示した図であり、画像形成システム1を、ユーザによる指示や操作を受け付けるフロントF側から見た斜視図である。
図1に示す画像形成システム1は、所謂タンデム型のカラープリンタであり、画像データに基づき画像形成を行う画像形成部10と、画像形成部10に向けて用紙Pを供給する給紙部21とを備えている。
【0009】
また、画像形成システム1は、画像形成部10により画像形成を行った用紙Pを搬送する用紙搬送部70と、画像形成を行った用紙Pを排出する用紙排出部50とを備えている。さらに、画像形成システム1は、画像形成を行った用紙Pを集めて束ねる用紙積載部や用紙Pの端部を綴じる綴じ処理部などを含み、用紙搬送部70の図中右側に設けられた後処理装置60と、画像形成を行った用紙Pを後処理装置60へ排出する排出口61とを備えている。
【0010】
そして、画像形成システム1は、画像形成部10、給紙部21、および用紙搬送部70を内部に収容して保持する筐体40を備えている。また、画像形成システム1は、画像形成システム1全体の動作を制御する制御部30と、例えばパーソナルコンピュータ(PC)3や画像読取装置(スキャナ)4等との通信を行って画像データを受信する通信部31と、通信部31にて受信された画像データに対し予め定めた画像処理を施す画像処理部32とを備えている。
以下の説明では、画像形成システム1において、下部から上部に向かう方向をz方向、フロントF側からリアR側に向かう方向をy方向、z方向およびy方向に直交する方向であって、フロントF側から見た場合の左側から右側に向かう方向をx方向、と称する。
【0011】
給紙部21は、第1用紙搬送経路部R1にそれぞれ用紙Pを供給する第1給紙トレイ22と、第2給紙トレイ23とを備えている。なお、第1給紙トレイ22と第2給紙トレイ23とは同様に構成されている。また、給紙部21は、用紙Pを手差しする際に使用される手差しトレイ24を備えている。さらに、給紙部21は、第1給紙トレイ22上、第2給紙トレイ23上、および手差しトレイ24上であって搬送方向下流側にそれぞれ設けられ、用紙Pを取り出して各トレイからの搬送経路に従って画像形成部10の二次転写位置Trへと搬送する送り出しロール25を備えている。第1給紙トレイ22、第2給紙トレイ23、手差しトレイ24からそれぞれ延びる搬送経路は、第1用紙搬送経路部R1の上流側端部である合流部G1で合流する。
【0012】
画像形成部10は、一定の間隔を置いて並列的に配置されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの画像形成ユニット11Y、11M、11C、11K(以下、画像形成ユニット11と総称する)を備えている。各画像形成ユニット11は、静電潜像を形成してトナー像を保持する感光体ドラム12と、感光体ドラム12の表面を帯電する帯電器13と、帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を画像データに基づいて露光する露光器14とを備えている。また、各画像形成ユニット11は、感光体ドラム12上に形成された静電潜像を現像する現像器15と、転写後の感光体ドラム12表面を清掃するクリーナ16とを備えている。
【0013】
さらに、画像形成部10は、各画像形成ユニット11の感光体ドラム12にて形成された各色トナー像が多重転写される中間転写ベルト17と、各画像形成ユニット11による各色トナー像を中間転写ベルト17に順次転写(一次転写)させる一次転写ロール18と、中間転写ベルト17上に転写された重畳トナー像を用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写ロール19と、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着器20とを備えている。
【0014】
用紙排出部50は、用紙搬送部の一方の側面に設けられたサイドトレイ52と、サイドトレイ52とは図中x方向について反対側である用紙搬送部70の他方の側面に設けられた排出トレイ51とを備える。
サイドトレイ52は、用紙搬送部70の図中左側に設けられる。そして、片面印刷の用紙Pは、画像が形成された面が上を向いた状態でサイドトレイ52に排出される。
排出トレイ51は、用紙搬送部70の図中右側に設けられる。そして、片面印刷の用紙Pは、画像が形成されていない面が上を向いた状態で排出トレイ51に排出される。
なお、排出トレイ51、サイドトレイ52、排出口61は、排出部の一例である。
【0015】
なお、本実施形態の画像形成システム1は、Y、M、C、Kのカラー画像を用紙Pに形成する所謂カラー機である。しかしながら、画像形成システム1は、カラー機に限定されるものではない。画像形成システム1は、例えば用紙Pに白黒の画像を形成する所謂モノクロ機であっても構わない。
また、本実施形態の画像形成装置2は、画像形成部10と、給紙部21と、筐体40と、用紙搬送部70と、用紙排出部50と、排出口61とを備えている。
【0016】
<用紙搬送部の説明>
続いて、画像が形成された用紙Pを搬送する用紙搬送部70について説明する。
図2は、画像形成システム1のうち、用紙搬送部70の拡大図である。
記録材搬送装置の一例としての用紙搬送部70は、画像形成部10により画像が形成された用紙Pを搬送方向下流側へ搬送する第1搬送ロール71と、第1搬送ロール71が搬送する用紙Pをさらに搬送方向下流側へ搬送する第2搬送ロール72とを備えている。また、用紙搬送部70は、第2搬送ロール72が搬送する用紙Pを排出トレイ51へ向けて搬送する第3搬送ロール73と、第2搬送ロール72が搬送する用紙Pの搬送方向を反転させる反転搬送ロール74とを備えている。さらに、用紙搬送部70は、反転搬送ロール74が搬送方向を反転させて搬送する用紙Pを、サイドトレイ52または再び二次転写位置Trへ向けて搬送する分岐ロール75を備えている。
【0017】
また、用紙搬送部70は、画像形成部10から上方へ向かって延びて設けられ、用紙Pの排出トレイ51への搬送に用いられる第2用紙搬送経路部R2と、第1搬送ロール71と第2搬送ロール72との間で第2用紙搬送経路部R2から図中右側へ分岐し、用紙Pの後処理装置60への搬送に用いられる第3用紙搬送経路部R3とを備えている。さらに、用紙搬送部70は、第2搬送ロール72よりも搬送方向下流側で第2用紙搬送経路部R2から上方へ分岐するとともに図中右側へ曲がって設けられ、用紙Pの反転搬送ロール74への搬送に用いられる第4用紙搬送経路部R4と、第4用紙搬送経路部R4から図中左側へ分岐するとともに、下方へ向かって延びて設けられ、用紙Pの合流部G1への再度の搬送に用いられる、第5用紙搬送経路部R5を備えている。
【0018】
またさらに、用紙搬送部70は、反転搬送ロール74よりも第4用紙搬送経路部R4の上流側で第4用紙搬送経路部R4から図中左側へ分岐し、用紙Pのサイドトレイ52への搬送に用いられる第6用紙搬送経路部R6を備えている。
なお、第5用紙搬送経路部R5と第6用紙搬送経路部R6とは、搬送経路の途中で交差するが、それぞれ別々に設けられている。また、第2用紙搬送経路部R2、第3用紙搬送経路部R3、第4用紙搬送経路部R4、第5用紙搬送経路部R5、および第6用紙搬送経路部R6は、搬送経路部の一例である。
【0019】
そして、用紙搬送部70は、第2用紙搬送経路部R2と第3用紙搬送経路部R3との分岐部B1付近に設けられ、用紙Pの搬送先を、第2用紙搬送経路部R2と第3用紙搬送経路部R3とで切り替える第1切替ゲート76を備えている。また、用紙搬送部70は、第2用紙搬送経路部R2と第4用紙搬送経路部R4との分岐部B2付近に設けられ、用紙Pの搬送先を、第2用紙搬送経路部R2と第4用紙搬送経路部R4とで切り替える第2切替ゲート77を備えている。さらに、用紙搬送部70は、第4用紙搬送経路部R4と第6用紙搬送経路部R6との分岐部B3付近に設けられ、用紙Pの搬送先を、第4用紙搬送経路部R4と第6用紙搬送経路部R6とで切り替える第3切替ゲート78を備えている。またさらに、用紙搬送部70は、第5用紙搬送経路部R5と第6用紙搬送経路部R6との合流部G2付近に設けられ、用紙Pの搬送先を、第5用紙搬送経路部R5と第6用紙搬送経路部R6とで切り替える第4切替ゲート79とを備えている。
【0020】
また、用紙搬送部70は、第4用紙搬送経路部R4と第5用紙搬送経路部R5との分岐部B4付近に設けられ、用紙Pの第4用紙搬送経路部R4下流側への搬送を案内する一方搬送ゲート80を備えている。さらに、用紙搬送部70は、分岐部B2付近に設けられ、第2搬送ロール72が第2用紙搬送経路部R2上を搬送する用紙Pの先端を検知する位置検知部PSを備えている。
【0021】
さらに、用紙搬送部70は、サイドトレイ52が設けられている用紙搬送部70の一方の側面に、筐体40の一部として、回転により開閉可能に設けられた下流側経路カバー84と、下流側経路カバー84の下部であって回転により開閉可能に設けられた下部カバー81とを備えている。またさらに、用紙搬送部70は、筐体40の内部に、回転により開閉可能に設けられた上流側経路カバー92を備えている。下流側経路カバー84、下部カバー81、および、上流側経路カバー92については、後に詳述する。
【0022】
以下の説明では、分岐ロール75よりも搬送方向下流側の用紙搬送経路部を、第1の搬送経路部の一例としての下流側経路部RD、と称する。言い換えると、下流側経路部RDは、分岐ロール75よりも下流側経路カバー84側(図中左側)に設けられた用紙搬送経路部である。また、分岐ロール75よりも搬送方向上流側の用紙搬送経路部を、第2の搬送経路部の一例としての上流側経路部RU、と称する。言い換えると、上流側経路部RUは、分岐ロール75よりも排出トレイ51側(図中右側)に設けられた用紙搬送経路部である。
【0023】
第1搬送ロール71は、画像が形成された用紙Pを、第2用紙搬送経路部R2または第3用紙搬送経路部R3へ搬送する。
第1切替ゲート76は、第2用紙搬送経路部R2上と第3用紙搬送経路部R3上とにそれぞれ突出可能に設けられる。そして、第1搬送ロール71による用紙Pの搬送先を第3用紙搬送経路部R3に切り替える場合、第1切替ゲート76は、第2用紙搬送経路部R2上に突出し、用紙Pを、第3用紙搬送経路部R3へ案内する。一方、用紙Pの搬送先を第2用紙搬送経路部R2とする場合、第1切替ゲート76は、第3用紙搬送経路部R3上に突出し、用紙Pを、第2用紙搬送経路部R2の下流側へ案内する。
【0024】
上流側搬送部の一例としての第2搬送ロール72は、ロール72Aとロール72Bとからなり、回転により用紙Pを搬送するロール対である。ロール72Aは、ロール72Bよりも図中x方向下流側に設けられ、第2用紙搬送経路部R2を介してロール72Bと対向する。また、ロール72Aとロール72Bとには、図中フロントF側からリアR側へ延びて設けられる不図示の回転軸がそれぞれ設けられている。
【0025】
ロール72Bは、ロール72Bの回転軸から図中x方向への押圧力(ニップ圧)を受ける。そして、第2用紙搬送経路R2上を搬送される用紙Pを、ロール72Aとの間で押圧する。また、ロール72Bの回転軸には、ロール72Aの回転軸に向かって延びる不図示のばねが設けられている。ばねは、ロール72Bの回転軸から受けるニップ圧の反力として、ロール72Bの回転軸に対して、図中−x方向への押圧力F1を与える。そして、この押圧力F1は、ロール72Bの回転軸を介して、上流側経路カバー92、および下流側経路カバー84に伝達する。
【0026】
そして、第2搬送ロール72は、第1切替ゲート76が第2用紙搬送経路部R2へ案内する用紙Pを、第2用紙搬送経路部R2の下流側、第4用紙搬送経路部R4、または、第6用紙搬送経路部R6へ搬送する。
位置検知部PSは、第2搬送ロール72が搬送する用紙Pの先端部の通過を検知し、制御部30に検知信号を送信する。制御部30は、位置検知部PSから信号を受信して用紙Pの位置情報を取得する。そして、第5用紙搬送経路部R5上を搬送される用紙Pと第6用紙搬送経路部R6上を搬送される他の用紙Pとが接触しないよう、用紙Pの搬送を制御する。
【0027】
第2切替ゲート77は、第2用紙搬送経路部R2上と第4用紙搬送経路部R4上とにそれぞれ突出可能に設けられる。そして、第2搬送ロール72による用紙Pの搬送先を第4用紙搬送経路部R4に切り替える場合、第2切替ゲート77は、第2用紙搬送経路部R2上に突出し、用紙Pを、第4用紙搬送経路部R4へ案内する。一方、用紙Pの搬送先を第2用紙搬送経路部R2とする場合、第2切替ゲート77は、第4用紙搬送経路部R4上に突出し、用紙Pを、第2用紙搬送経路部R2の下流側へ案内する。
【0028】
第3搬送ロール73は、押圧ロールと駆動ロールとからなるロール対により構成される。第3搬送ロール73は、第2切替ゲート77が第2用紙搬送経路部R2へ案内する用紙Pを、排出トレイ51へ向けて搬送する。
【0029】
第3切替ゲート78は、第4用紙搬送経路部R4上と第6用紙搬送経路部R6上とにそれぞれ突出可能に設けられる。そして、第2搬送ロール72による用紙Pの搬送先を第6用紙搬送経路部R6に切り替える場合、第3切替ゲート78は、第4用紙搬送経路部R4上に突出し、用紙Pを、第6用紙搬送経路部R6へ案内する。一方、用紙Pの搬送先を第4用紙搬送経路部R4とする場合、第3切替ゲート78は、第6用紙搬送経路部R6上に突出し、用紙Pを、第4用紙搬送経路部R4の下流側へ案内する。
【0030】
一方搬送ゲート80は、一方の端部80Aが第5用紙搬送経路部R5を構成する壁面(不図示)に接続する。また、一方搬送ゲート80の他方の端部80Bは、分岐部B4より上流側で、第4用紙搬送経路部R4を構成する壁面(不図示)上に設けられる。そして、第4用紙搬送経路部R4上を搬送される用紙Pが、一方搬送ゲート80に接触すると、一方搬送ゲート80は、用紙Pに押され、他方の端部80Bが図中矢印A方向へ移動するように弾性変形する。これにより、用紙Pの搬送経路が確保され、用紙Pは、反転搬送ロール74に向かって搬送される。
【0031】
一方、反転搬送ロール74が反転搬送する用紙Pが、一方搬送ゲート80の上部と接触しても、一方搬送ゲート80の下部に位置する第4用紙搬送経路部R4を構成する壁面が、一方搬送ゲート80の下方への移動を規制する。そのため、一方搬送ゲート80の他方の端部80Bは移動しない。そして、用紙Pは、一方搬送ゲート80の案内により、第5用紙搬送経路部R5へ搬送される。
【0032】
なお、一方搬送ゲート80の構成は、第1切替ゲート76と同様の構成としてもよい。この場合、用紙Pが、第4用紙搬送経路部R4上を搬送される際には、一方搬送ゲート80は、第4用紙搬送経路部R4から退避している。そして、用紙Pが、第5用紙搬送経路部R5上を反転搬送される際には、一方搬送ゲート80は、第4用紙搬送経路部R4上に突出し、用紙Pを、第5用紙搬送経路部R5の下流側へ案内する。
【0033】
反転搬送ロール74は、押圧ロールと駆動ロールとからなるロール対により構成される。反転搬送ロール74は、第4用紙搬送経路部R4上を搬送される用紙Pをさらに下流側へ搬送する方向に回転(正転)する。また、用紙Pの後端が一方搬送ゲート80を通過すると、回転方向が反転し、用紙Pを第5用紙搬送経路部R5へ向けて搬送する。
【0034】
下流側搬送部の一例としての分岐ロール75は、ロール75Aとロール75Bとからなり、回転により用紙Pを搬送するロール対である。ロール75Aは、ロール75Bよりも上部に設けられ、合流部G2を介してロール75Bと対向する。ロール75Aとロール75Bとには、図中フロントF側からリアR側へ延びて設けられる不図示の回転軸がそれぞれ設けられている。ロール75Bは、ロール75Bの回転軸から上方向への押圧力(ニップ圧)を受ける。そして、合流部G5を通る用紙Pを、ロール75Aとの間で押圧する。
【0035】
また、ロール75Bの回転軸には、ロール75Aの回転軸に向かって延びる不図示のばねが設けられている。ばねは、ロール75Bの回転軸から受けるニップ圧の反力として、ロール75Bの回転軸に対して、下方向への押圧力F2を与える。そして、この押圧力F2は、ロール72Bの回転軸を介して、上流側経路カバー92に伝達する。
分岐ロール75は、第5用紙搬送経路部R5上を搬送される用紙Pをその下流側へ搬送する。また、第6用紙搬送経路部R6上を搬送される用紙Pを、サイドトレイ52へ向けて搬送する。
【0036】
第4切替ゲート79は、第5用紙搬送経路部R5上と第6用紙搬送経路部R6上とにそれぞれ突出可能に設けられる。そして、用紙Pの搬送先を第6用紙搬送経路部R6に切り替える場合、第4切替ゲート79は、第5用紙搬送経路部R5上に突出し、用紙Pを、第6用紙搬送経路部R6へ案内する。一方、用紙Pの搬送先を第5用紙搬送経路部R5に切り替える場合、第4切替ゲート79は、第6用紙搬送経路部R6上に突出し、用紙Pを、第5用紙搬送経路部R5の下流側へ案内する。
【0037】
<下部カバーおよび下流側経路カバーの構成についての説明>
続いて、下部カバー81および下流側経路カバー84の構成について説明する。
図3は、下部カバー81および下流側経路カバー84の構成を示した図であって、
図1のI方向から用紙搬送部70を眺めた用紙搬送部70の斜視図である。また、
図4は、下流側経路カバー84の位置を用紙搬送部70本体に固定させるためのラッチ機構の拡大図であって、
図3のIII方向から用紙搬送部70を眺めた図である。さらに、
図5は、下流側経路カバー84が用紙搬送部70本体に対して開いた状態を示した図である。
【0038】
第3の開閉部の一例である下部カバー81は、ユーザによる下部カバー81の開閉操作を受け付ける操作ハンドル82と、操作ハンドル82よりも図中x方向下流側に、操作ハンドル82に連結して設けられる移動機構部83とを備えている。
操作ハンドル82は、ユーザがハンドル操作を行っていない場合、用紙搬送部70本体に引っ掛かる構成を有しており、用紙搬送部70本体に対する下部カバー81の位置を固定する。
【0039】
ユーザが、操作ハンドル82を掴んで図中−x方向へ引く操作を行うことで、用紙搬送部70本体に対する操作ハンドル82の引っ掛かりが外れる。そして、下部カバー81は、不図示の回転軸を中心として回転し、−x方向に倒れるように、用紙搬送部70本体に対して開く。
【0040】
移動機構部83は、下側に進むにつれて−y方向に延びる傾斜部83Aを備えている。
ユーザが、操作ハンドル82を掴んで図中−x方向へ引くにしたがって、操作ハンドル82に連結する移動機構部83は、図中矢印B方向へ上昇する。また、ユーザが操作ハンドル82を離すと、上昇していた移動機構部83は、図中矢印C方向へ下降して、上昇前の位置に戻る。
【0041】
第1の開閉部の一例としての下流側経路カバー84は、下流側経路カバー84の図中y方向端部に設けられた回転軸90を備えている。また、下流側経路カバー84は、図中y方向に延び、回転軸90を回転中心として回転することで、用紙搬送部70本体に対して開閉可能に設けられる外側回転扉91を備えている。さらに、下流側経路カバー84は、外側回転扉91の図中y方向上流側端部から図中x方向に延びて設けられ、用紙搬送部70本体に対する下流側経路カバー84の位置を固定するラッチ部85を備えている。
【0042】
ラッチ部85は、ラッチ部85の図中−x方向端部に設けられた回転軸86と、回転軸86から図中x方向に延び、移動機構部83の傾斜部83Aに接触して設けられる突出部87とを備えている。また、ラッチ部85は、突出部87から分岐して図中y方向へ延びて設けられる鈎部88と、鈎部88よりも−x方向に設けられ、鈎部88と接触し、ラッチ部85の図中−x方向への移動を規制する規制ピン89とを備えている。
【0043】
ラッチ部85は、回転軸86上に設けられたばねにより、図中矢印D方向(図中反時計回り方向)に力を受けている。
また、外側回転扉91は、第2搬送ロール72のロール72Bから、図中−x方向に対して、ニップ圧の反力としての押圧力F1を受けている。しかし、鈎部88が規制ピン89に接触して引っ掛かっているため、外側回転扉91の−x方向への移動が規制される。
【0044】
ここで、ユーザが、操作ハンドル82を掴んで図中−x方向へ引く操作を行い、移動機構部83が上昇すると、突出部87は、傾斜部83Aから、図中−y方向に押圧される。そして、ラッチ部85は、移動機構部83が上昇するにしたがって、回転軸86上のばねの力に反して図中矢印E方向に回転する。
【0045】
ラッチ部85が、予め定められた距離だけ図中矢印E方向に回転すると、鈎部88と規制ピン89とが非接触となる。これにより、規制ピン89による、ラッチ部85の図中−x方向への移動の規制が無くなる。すると、外側回転扉91は、ロール72Bから受けている図中−x方向への押圧力F1により、回転軸90を回転中心として、図中矢印G方向(図中時計回り方向)へ回転して、用紙搬送部70本体に対して開く。
なお、下流側経路カバー84は、第1の回転扉としての一例である。
【0046】
<上流側経路カバーの構成についての説明>
図6は、上流側経路カバー92の構成について示した図であり、下流側経路カバー84が用紙搬送部70本体に対して開いた状態を示した図である。また、
図7(A)は、上流側経路カバー92が、用紙搬送部70本体に対して開いた状態を示した図である。さらに、
図7(B)は、上流側経路カバー92が用紙搬送部70本体に対して閉まる位置を決める構成を
図7(A)のVII方向から眺めた図である。
【0047】
第2の開閉部の一例としての上流側経路カバー92は、上流側経路カバー92の図中y方向端部に設けられた回転軸93と、図中y方向に延び、回転軸93を回転中心として回転することで、用紙搬送部70本体に対して開閉可能に設けられる内側回転扉94とを備えている。また、上流側経路カバー92は、上流側経路カバー92が用紙搬送部70本体に対して閉じている場合において、上流側経路カバー92の位置決めに用いられる位置決めピン95を備えている。
【0048】
さらに、上流側経路カバー92は、位置決めピン95が嵌まることにより、上流側経路カバー92の位置を固定する溝部96を備えている。溝部96は、位置決めピン95の下側と接触する部分であって、x方向に向かうに従って上方に傾斜する誘導部96Aと、誘導部96Aから図中x方向へ延びる平坦部96Bを備えている。
【0049】
下流側経路カバー84が閉じている間、内側回転扉94は、下流側経路カバー84により、図中x方向に押圧され、用紙搬送部70本体に対して閉じている。そして、位置決めピン95は、溝部96の平坦部96Bの図中x方向端部上で位置が固定されている。このとき、下流側経路カバー84からの図中x方向への押圧力は、内側回転扉94を介して、第2搬送ロール72のロール72Bの回転軸に伝達する。これにより、第2搬送ロール72のニップ圧が発生する。また、内側回転扉94が用紙搬送部70本体に対して閉じているとき、内側回転扉94は、分岐ロール75のロール75Bの回転軸に対して、上方向に押圧する。これにより、分岐ロール75のニップ圧が発生する。
【0050】
一方で、内側回転扉94は、分岐ロール75のニップ圧の反力である押圧力F2を、ロール75Bの回転軸のばねから下方向に受ける。
また、内側回転扉94は、第2搬送ロール72のニップ圧の反力である押圧力F1を、ロール72Bの回転軸のばねから、図中−x方向に受ける。そして、この力は、下流側経路カバー84へ伝達する。ここで、下流側経路カバー84は、ラッチ部85が用紙搬送部70本体に引っ掛かっているため、移動が規制されている。そのため、内側回転扉94の図中−x方向への移動が、下流側経路カバー84により規制されることとなる。
【0051】
しかし、上述したように、ラッチ部85による規制が解除されると、下流側経路カバー84は、回転により用紙搬送部70本体に対して開く。
そして、下流側経路カバー84による規制が無くなるため、内側回転扉94は、下流側経路カバー84の回転とともに、回転移動する。すなわち、内側回転扉94は、回転軸93を回転中心として、図中矢印I方向に回転して、用紙搬送部70に対して開く。
【0052】
内側回転扉94が図中矢印I方向へ回転するに従って、位置決めピン95は、平坦部96B上を図中−x方向へ移動する。そして、位置決めピン95は、平坦部96Bを通過して誘導部96Aに到達すると、分岐ロール75からの押圧力F2により、−x方向へ移動するにしたがって下降する。その後、位置決めピン95は誘導部96Aを通過することで溝部96から離れる。これにより、内側回転扉94が、用紙搬送部70本体に対して開く。
【0053】
また、下流側経路カバー84を図中x方向へ押して用紙搬送部70本体に対して閉じる方向へ移動させると、上流側経路カバー92は、下流側経路カバー84に押されて、図中矢印J方向へ回転移動する。そして、位置決めピン95は、溝部96へ向かって図中x方向へ移動する。位置決めピン95が誘導部96A上を図中x方向に移動するにしたがって、上流側経路カバー92は上昇する。そして、位置決めピン95が、誘導部96Aを通過して平坦部96Bに到達すると、上流側経路カバー92の高さが定まる。その後、下流側経路カバー84の鈎部88が規制ピン89に引っ掛かる位置に到達すると、位置決めピン95が溝部96のx方向端部に到達する。これにより、上流側経路カバー92の位置が固定される。
【0054】
本実施の形態では、下流側経路カバー84の移動の規制が解除されると、下流側経路カバー84と上流側経路カバー92とは、第2搬送ロール72からの押圧力F1により、ユーザの開閉操作を伴わずに、用紙搬送部70に対して開く構成を有している。
また、上流側経路カバー92は、下流側経路カバー84が開くことに連動して、下流側経路カバー84とともに開く構成を有している。
さらに、ユーザが下流側経路カバー84を閉じる動作を行うことにより、下流側経路カバー84とともに上流側経路カバー92が閉じる。
なお、上流側経路カバー92は、第2の回転扉としての一例である。
【0055】
<上流側経路カバーや下流側経路カバーが開くことにより移動する用紙搬送経路部および搬送ロールの範囲についての説明>
図8は、下流側経路カバー84や上流側経路カバー92が開くことにより移動する用紙搬送経路部および搬送ロールの範囲を示した図である。
下流側経路カバー84には、合流部G2よりも搬送方向下流側の第6用紙搬送経路部R6を構成する壁面(不図示)が隣接して存在する。また、下流側経路カバー84には、合流部G2から下部カバー81が設けられた高さに到達するまでの第5用紙搬送経路部R5を構成する壁面(不図示)の一部が隣接して存在する。具体的には、第5用紙搬送経路部R5を構成する壁面のうち、対向する壁面よりも、下流側経路カバー84が設けられた用紙搬送部70の一方の側面に近い側の壁面が隣接する。
【0056】
下流側経路カバー84が−x方向へ移動すると、下流側経路カバー84に隣接する壁面も同様に移動する。これにより、用紙搬送経路部が開放される。そして、ユーザは、開放された用紙搬送経路部における紙詰まりを除去する。
本実施の形態では、下流側経路カバー84および下部カバー81を開くことで、下流側経路部RDが開放される。
【0057】
上流側経路カバー92には、分岐部B2から分岐部B3までの第4用紙搬送経路部R4を構成する壁面のうち、対向する壁面よりも、下流側経路カバー84が設けられた用紙搬送部70の一方の側面に近い側の壁面が隣接して存在する。また、上流側経路カバー92には、分岐部B3から合流部G2までの第6用紙搬送経路部R6を構成する壁面のうち、対向する壁面よりも、ロール75Bに近い側の壁面が隣接して存在する。
【0058】
さらに、上流側経路カバー92には、合流部G2から下部カバー81までの第5用紙搬送経路部R5を構成する壁面のうち、対向する壁面よりも、下流側経路カバー84が設けられた用紙搬送部70の一方の側面に遠い側の壁面が隣接して存在する。
またさらに、上流側経路カバー92には、分岐ロール75のうちロール75Bと、第2搬送ロール72のうちロール72Bとが取り付けられている。
【0059】
上流側経路カバー92が−x方向へ移動すると、上流側経路カバー92に隣接する壁面も同様に移動する。
本実施の形態では、下流側経路カバー84および上流側経路カバー92を開くことで、上流側経路部RUが開放される。
【0060】
ユーザは、下流側経路カバー84および下部カバー81を開くことで下流側経路部RDにおける紙詰まりを除去し、さらに上流側経路カバー92を開くことで上流側経路部RUにおける紙詰まりを除去する。
上流側経路部RUにおいてのみ紙詰まりが発生した場合には、下流側経路カバー84が開いただけでは紙詰まりを除去できない。この場合であっても、下流側経路カバー84と上流側経路カバー92とが開くことにより、ユーザは、紙詰まりを除去する。
【0061】
また、下流側経路カバー84が開くと、これとともに上流側経路カバー92が開く。そのため、上流側経路部RUにおいてのみ紙詰まりが発生している場合に、ユーザは、下流側経路カバー84を開くための動作を行うことで、上流側経路カバー92を開く動作をすることなく、上流側経路部RUにおける紙詰まりを除去する。
【0062】
上流側経路カバー92が図中−x方向へ移動すると、上流側経路カバー92に取り付けられている壁面および搬送ロールもともに移動する。これにより、ロール75Bの回転軸のばねがロール75Aの回転軸と非接触になると、分岐ロール75のニップ圧が解除される。また、ロール72Bの回転軸のばねがロール72Aの回転軸と非接触になると、第2搬送ロール72のニップ圧が解除される。
【0063】
分岐ロール75のニップ圧が解除されると、ニップ圧の反力としてのロール75Bの回転軸のばねによる押圧力F2がなくなる。
また、第2搬送ロール72のニップ圧が解除されると、ニップ圧の反力としてのロール72Bの回転軸のばねによる押圧力F1がなくなる。これにより、押圧力F1を受けていた下流側経路カバー84および上流側経路カバー92の図中−x方向への移動が停止する。
【0064】
ここで、用紙Pが、下流側経路カバー84または上流側経路カバー92に取り付けられた第5用紙搬送経路部R5から、これらのカバーが取り付けられていない第5用紙搬送経路部R5の下流側まで亘って紙詰まりしている場合がある。ここで、紙詰まりを除去するために下流側経路カバー84を開くと、ともに上流側経路カバー92も開くことになる。しかし、第2搬送ロール72による押圧力F1がなくなることで、上流側経路カバー92は、用紙搬送部70本体に対して完全に開くことなく、途中で移動が停止する。
【0065】
そのため、下流側経路カバー84と上流側経路カバー92とを一体としてしか移動させることができない場合において、下流側経路カバー84と上流側経路カバー92とを開いた際に、下流側経路カバー84と上流側経路カバー92との間で挟まった用紙Pが下流側の第5用紙搬送経路R5の壁面に接触して生じる損傷が抑制される。
【0066】
また、用紙Pが分岐ロール75または第2搬送ロール72に挟まれた状態で紙詰まりが発生する場合がある。本実施の形態では、下流側経路カバー84が開くと、上流側経路カバー92は、分岐ロール75が形成していたニップ圧および第2搬送ロール72が形成していたニップ圧がともに解除されるまで開く。
そのため、紙詰まりした用紙Pについて、取り出す方向とは異なる方向に搬送ロールからのニップ圧が加わることで用紙Pが損傷することが抑制される。
【0067】
さらに、用紙Pが分岐ロール75または第2搬送ロール72に挟まれ、かつ、用紙Pの先端が下流側経路部RDに亘っている状態で紙詰まりが発生する場合がある。この際、下流側経路カバー84が開くと、上流側経路カバー92は、分岐ロール75が形成していたニップ圧および第2搬送ロール72が形成していたニップ圧がともに解除されるまで開く。
そのため、ユーザは、上流側経路カバー92を完全に開くことなく、また、ニップ圧に起因して生じる損傷を用紙Pに与えることなく、紙詰まりを除去する。