(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平面充填可能な多角形のベース形状の底面を有する柱形状であって、鉄筋コンクリートの積層体を構成するプレキャストコンクリートのブロックを積層して構成したコンクリート構造物であって、
前記ブロックは、上面から下面に貫通する中央貫通孔と、前記ベース形状において対向する対称辺にそれぞれ設けられ、前記中央貫通孔と整合可能な貫通孔の形状を分割した第1、第2の切欠きとを有しており、
前記中央貫通孔が、前記第1の切欠きを含んで構成される第1貫通孔と、前記第2の切欠きを含んで構成される第2貫通孔と、直線上で等間隔となるように配置されており、
下層ブロックの第1の切欠きを含んで構成される第1貫通孔、又は下層ブロックの第2の切欠きを含んで構成される第2貫通孔と、上層ブロックの中央貫通孔とを少なくとも整合させて形成した筒空間に、前記積層体の杭及び杭頭補強部材を貫通させるとともに、下
層ブロックによって形成された目地と上層ブロックによって形成された目地とがずれる位置に上下層のブロックが配置されていることを特徴とするコンクリート構造物。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、
図1及び
図2を用いて、ブロック及びコンクリート構造物の一実施形態を説明する。ここでは、コンクリート構造物として橋脚のフーチングを製造する場合を想定する。
【0015】
図1(a)及び
図1(b)は、それぞれ、本実施形態のブロック10の斜視図及び平面図を示している。
図1(a)に示すように、ブロック10は、プレキャストコンクリートであり、例えば高さが約0.5mの柱形状の本体部11を有している。本体部11の底面は、正方形のベース形状を有している。ここで、ベース形状は、ブロック10の上面において、後述する中央貫通孔や切欠きを除いた本体部11の基本形状を意味する。本実施形態のベース形状は、一辺が約3.6mの正方形状(平面充填形状)である。
【0016】
本体部11の上面中央には、上面から下面に貫かれた中央貫通孔12が形成されている。中央貫通孔12の中心軸は、ブロック10の中心軸と一致している。本実施形態の中央貫通孔12は、水平断面が円形の筒形状を有している。本実施形態では、この中央貫通孔12の筒形状の直径は約1.8m(半径:約0.9m)である。
【0017】
図1(b)に示すように、本体部11のベース形状において対向する1対の辺(対向辺)には、切欠き15,16が形成されている。本実施形態では、各切欠き15,16は、ベース形状の対向辺上に中心軸を有した半円筒形状である。更に、各切欠き15,16の中心軸は、中央貫通孔12の中心点を通る水平面上の直線L1と直交して、等間隔(長さL11=長さL12)で配置されている。更に、各切欠き15,16は中央貫通孔12を2等分割した形状であり、各切欠き15,16の水平断面の半円形状の半径は、中央貫通孔12の半径と同じ約0.9mである。
【0018】
中央貫通孔12の外周には、図示しない係止孔が離散して形成されている。具体的には、係止孔は、直線L1上において、中央貫通孔12と各切欠き15,16との中点に位置している。各係止孔も、本体部11の上面から下面に貫通している。
【0019】
次に、
図2を用いて、以上のように構成したブロック10を用いたフーチングの製造方法について説明する。
図2(a)及び
図2(b)は、複数のブロック10を積層した状態の平面図及び斜視図である。
【0020】
図2(a)に示すように、複数のブロック10を、所定の広さで平面充填させながら配置する(一層目)。具体的には、ブロック10のベース形状を当接させた状態で、平面状(x方向,y方向)に並べる。この場合、y方向に隣接する2つのブロック10の各切欠き15,16によって囲まれた領域に貫通孔(合成貫通孔)が形成される。この合成貫通孔は、本実施形態では、ブロック10の中央貫通孔12と同じ大きさの円筒形状となる。また、この合成貫通孔の中心軸は直線L1上で、中央貫通孔12と等間隔に配置されることになる。更に、ブロック10を積層する場合には、係止孔に鉄筋(図示せず)を貫通させて、上下層のブロック10の位置合わせを行なう。
【0021】
そして、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、x方向,y方向と直交する垂直方向(z方向)に、ブロック10の2層目を積層する。この場合、隣接する下層(1層目)のブロック10に対して、水平方向にずらしてブロック10を配置する。具体的には、y方向にブロック10の半分の長さだけずらし、x方向に、中央貫通孔12と切欠き15,16のx方向の距離分ずらす。これにより、下層のブロック10の中央貫通孔12と上層の合成貫通孔との位置が整合し、下層の合成貫通孔と上層のブロック10の中央貫通孔12との位置が整合する。この場合、隣接する上下層の係止孔も整合する。
【0022】
このようにして、ブロック10を、所定の高さまで積層する。この場合、合成貫通孔とブロック10の中央貫通孔12とが垂直方向に整合されて、積層体の最上層の上面から最下層の下面まで貫通する筒空間が形成される。
【0023】
そして、この筒空間に、杭及び杭頭補強部材を貫通させた後、鉄筋を上下に配置し、固定部材としての繊維コンクリートを打設する。これにより、複数のブロック10を積層した鉄筋コンクリートの積層体(フーチング)を構築することができる。
【0024】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、平面充填した下層のブロック10の中央貫通孔12と上層の合成貫通孔との位置を整合させ、下層の合成貫通孔と上層のブロック10の中央貫通孔12とを用いて、上下層の目地を考慮して、強固なコンクリート構造物を構築することができる。
【0025】
(2)本実施形態のブロック10は、本体部11に、円断面形状の中央貫通孔12と、ベース形状の対向辺において中央貫通孔12の大きさの半円形状の切欠き15,16とを備える。これにより、ブロック10を平面充填することにより切欠き15,16によって囲まれた領域に、中央貫通孔12と同じ大きさ及び形状の合成貫通孔を形成することができる。従って、ブロック10の下層の合成貫通孔と上層の中央貫通孔12とによって、コンクリートを打設する筒空間を効率よく形成することができる。
【0026】
(3)本実施形態のブロック10では、切欠き15,16が、ベース形状の本体部11の1対の対向辺にそれぞれ形成されている。これにより、ブロック10の上下が逆になった場合にも、切欠き15,16を整合させることができる。
【0027】
(4)本実施形態のブロック10では、直線L1上において、中央貫通孔12と各切欠き15,16との中点に位置する係止孔が設けられている。このため、上下層のブロック10の中央貫通孔12と上層の合成貫通孔とを整合させた場合、上下層の係止孔の位置が整合する。これにより、係止孔に鉄筋を挿入して、係止孔によってガイドしながらブロック10を効率よく積層することができる。
【0028】
(第2の実施形態)
次に、
図3を用いて、第2の実施形態を説明する。本実施形態は、第1の実施形態のブロック10における中央貫通孔12及び切欠き15,16の位置をずらすとともに、切欠き15,16の形状を変更した構成である。なお、以下の実施形態においては、上記実施形態と同一の部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0029】
図3(a)に示すように、ブロック20は、上記実施形態のブロック10と同様に、プレキャストコンクリートであり、柱形状の本体部21を有している。本体部21の底面は、正方形のベース形状を有している。
【0030】
本体部21の上面内部には、上面から下面に貫かれた中央貫通孔22が形成されている。また、本実施形態の中央貫通孔22も、水平断面が円形の筒形状を有している。本実施形態では、中央貫通孔22は、その中心軸が、ブロック20の中心軸Bcからずれた位置となるように形成されている。
【0031】
本体部21の1対の対向辺には、異なる形状の切欠き25,26が形成されている。本実施形態では、切欠き25,26は、それぞれ、中央貫通孔22の水平断面形状(円)を弦で分割した円弧(優弧と劣弧)からなる弓形形状である。このため、切欠き25,26を合わせることにより、中央貫通孔22と同じ大きさの孔を形成することができる。そして、各弓形形状の元の円の各中心軸は、中央貫通孔22の中心軸を通る水平面上の直線L2と直交し、中央貫通孔22の中心軸から等間隔(長さL21=長さL22)で配置されている。この場合、直線L2は、ブロック20の各辺と平行にならないように設定する。更に、長さ〔L21+L22〕は、この直線L2がベース形状によって区切られる長さと同じに設定しておく。なお、本実施形態のブロック20においても、上記実施形態と同様に、図示しない複数の係止孔が形成されている。本実施形態では、各係止孔は、水平面内で直線L2の平行線上に、長さL21(=長さL22)の周期で形成する。
【0032】
本実施形態のブロック20を用いてフーチングを製造する場合には、上記第1の実施形態と同様にして行なう。
具体的には、
図3(b)に示すように、複数のブロック20を、ベース形状を当接させることにより、所定の広さで平面充填させながら配置する(一層目)。この場合、y方向に隣接する複数(2つ)のブロック20の各切欠き25,26によって囲まれた領域に貫通孔(合成貫通孔)が形成される。この合成貫通孔は、本実施形態では、ブロック20の中央貫通孔22と同じ大きさの円断面形状となる。
【0033】
そして、隣接する下層(1層目)のブロック20に対して、水平方向(x方向及びy方向)にずらして、2層目のブロック20を積層する。この場合、下層のブロック20の中央貫通孔22と上層の合成貫通孔との位置が整合し、下層の合成貫通孔と上層のブロック20の中央貫通孔22との位置が整合するように積層する。
【0034】
このようにして、ブロック20を、所定の高さまで積層する。この場合、合成貫通孔とブロック20の中央貫通孔22とが垂直方向に整合されて、積層体の最上層の上面から最下層の下面まで貫通する筒空間が形成される。
【0035】
そして、この筒空間に、杭及び杭頭補強部材を貫通させた後、鉄筋を上下に配置し、繊維コンクリートを打設する。これにより、複数のブロック20を積層した鉄筋コンクリートの積層体(フーチング)を形成することができる。
【0036】
本実施形態によれば、上記(1),(2),(4)と同様な効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(5)本実施形態のブロック20は、切欠き25,26の弓形形状の元の円断面の各中心点は、中央貫通孔22の中心軸を通る直線L2上で、中央貫通孔22の中心軸から等間隔(長さL21=長さL22)で配置されている。これにより、上層のブロック20と下層のブロック20との位置を、直線L2の平行線上でずらすことができる。そして、直線L2は、ブロック20の各辺と平行でないため、上下層を貫通する目地の発生を抑制できる。
【0037】
(第3の実施形態)
次に、
図4を用いて、第3の実施形態を説明する。本実施形態は、第2の実施形態におけるブロック20のベース形状を、他の平面充填形状(六角形状)に変更した構成である。
【0038】
図4(a)に示すように、ブロック30は、上記実施形態のブロック10と同様に、プレキャストコンクリートであり、柱形状の本体部31を有している。本体部31の底面は、六角形のベース形状を有している。
【0039】
本体部31の上面内部には、上面から下面に貫かれた中央貫通孔32が形成されている。本実施形態の中央貫通孔32は、その中心軸が、ブロック30の中心軸Bcからずれた位置となるように形成されている。本実施形態の中央貫通孔32も、水平断面が円形の筒形状を有している。本実施形態では、中央貫通孔32の中心軸は、本体部31のベース形状において対向する一対の対向辺と直交する直線L3上に配置されている。
【0040】
更に、本体部21のベース形状の、直線L3と直交する1対の対向辺には、異なる形状の切欠き35,36が形成されている。本実施形態では、切欠き35,36は、それぞれ、中央貫通孔32の水平断面形状(円)を弦で分割した円弧(優弧と劣弧)からなる弓形形状である。このため、切欠き35,36を合わせることにより、中央貫通孔32と同じ大きさの孔を形成することができる。そして、各弓形形状の元の円の各中心軸は、中央貫通孔32の中心軸を通る水平面上の直線L3上と直交し、中央貫通孔32の中心軸から等間隔(長さL31=長さL32)で配置されている。この場合、直線L3は、ブロック30の各辺と平行にならないように設定する。更に、長さ〔L31+L32〕は、この直線L3がベース形状によって区切られる長さと同じに設定しておく。なお、本実施形態のブロック30においても、上記実施形態と同様に、図示しない複数の係止孔が形成されている。本実施形態では、各係止孔は、水平面内で直線L3の平行線上に、長さL31(=長さL32)の周期で形成する。
【0041】
本実施形態のブロック30を用いてフーチングを製造する場合には、上記第1実施形態と同様にして行なう。
具体的には、
図4(b)に示すように、複数のブロック30を、ベース形状を当接させることにより、所定の広さで平面充填させながら配置する(一層目)。この場合、隣接する2つのブロック30の切欠き35,36を連接させるように配置する。これにより、切欠き35,36によって囲まれた領域に貫通孔(合成貫通孔)が形成される。この合成貫通孔は、本実施形態では、ブロック30の中央貫通孔32と同じ大きさの円断面形状となる。
【0042】
そして、下層(1層目)のブロック30に対して、六角形状の中心から頂角方向にずらして、2層目のブロック30を積層する。この場合、下層のブロック30の中央貫通孔32と上層の合成貫通孔との位置が整合し、下層の合成貫通孔と上層のブロック30の中央貫通孔32との位置が整合するように積層する。
【0043】
このようにして、ブロック30を、所定の高さまで積層する。この場合、合成貫通孔とブロック30の中央貫通孔32とが垂直方向に整合されて、積層体の最上層の上面から最下層の下面まで貫通する筒空間が形成される。
【0044】
そして、この筒空間に、杭及び杭頭補強部材を貫通させた後、鉄筋を上下に配置し、繊維コンクリートを打設する。これにより、複数のブロック30を積層した鉄筋コンクリートの積層体(フーチング)を形成することができる。
【0045】
本実施形態によれば、上記(2)〜(5)と同様な効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(6)本実施形態では、平面充填した下層のブロック30の中央貫通孔32と上層の合成貫通孔とを用いて、上下層の目地を考慮して、強固なコンクリート構造物を構築することができる。
(7)本実施形態のブロック30は、ベース形状として六角形状を用いている。これにより、ハニカム構造により平面充填するので、強固な積層体を構築することができる。
【0046】
(第4の実施形態)
次に、
図5を用いて、第4の実施形態を説明する。本実施形態は、第1の実施形態におけるブロック10のベース形状を、他の平面充填形状(六角形状)に変更するとともに、すべての対向辺に切欠きを設けた構成である。
【0047】
図5(a)に示すように、ブロック40は、上記実施形態のブロック10と同様に、プレキャストコンクリートであり、柱形状の本体部41を有している。本体部41の底面は、六角形のベース形状を有している。
【0048】
本体部41の上面中央には、上面から下面に貫かれた中央貫通孔42が形成されている。中央貫通孔42の中心軸は、ブロック40の中心軸と一致している。本実施形態の中央貫通孔42は、水平断面が円形の筒形状を有している。
【0049】
本体部41のベース形状の3対の対向する各対向辺(各辺)には、切欠き45,46が形成されている。本実施形態では、各切欠き45,46は、ベース形状の対向辺上に中心軸を有した半円形状である。各切欠き45,46の中心軸は、水平面における各対向辺の中点を通る。このため、各切欠き45,46は、中央貫通孔42の中心軸と直交する水平面上の各直線L41,L42,L43上に、ベース形状の中心軸から同じ間隔で配置されている。本実施形態では、各切欠き45,46は中央貫通孔42を2等分割した形状で、各切欠き45,46の半円形状の半径は、中央貫通孔42の半径と同じである。なお、本実施形態のブロック40には、上記実施形態と同様に、図示しない複数の係止孔が形成されている。各係止孔の中心軸は、中央貫通孔42と各切欠き45,46との中点の位置を通る鉛直軸である。
【0050】
本実施形態のブロック40を用いてフーチングを製造する場合には、上記第1実施形態と同様にして行なう。
具体的には、
図5(b)に示すように、複数のブロック40を、ベース形状を当接させることにより、所定の広さで平面充填させながら配置する(一層目)。この場合、x方向,y方向に隣接する複数のブロック40の各切欠き45,46によって囲まれた領域に貫通孔(合成貫通孔)が形成される。この合成貫通孔は、本実施形態では、ブロック40の中央貫通孔42と同じ大きさの円断面形状となる。
【0051】
そして、下層(1層目)のブロック40に対して、六角形状の中心から頂角方向にずらして、2層目のブロック40を積層する。この場合、下層のブロック40の中央貫通孔42と上層の合成貫通孔との位置が整合し、下層の合成貫通孔と上層のブロック40の中央貫通孔42との位置が整合し、下層の合成貫通孔と上層の合成貫通孔との位置が整合するように配置する。
【0052】
このようにして、ブロック40を、所定の高さまで積層する。この場合、合成貫通孔とブロック40の中央貫通孔42とが垂直方向に整合されて、積層体の最上層の上面から最下層の下面まで貫通する筒空間が形成される。
【0053】
そして、この筒空間に、杭及び杭頭補強部材を貫通させた後、鉄筋を上下に配置し、繊維コンクリートを打設する。これにより、複数のブロック40を積層した鉄筋コンクリートの積層体(フーチング)を形成することができる。
【0054】
本実施形態によれば、上記(1)〜(4)、(7)と同様な効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(8)本実施形態のブロック40は、六角形のベース形状を有するブロック40の本体部41のベース形状の3対の対向する各対向辺(各辺)には、切欠き45,46が形成されている。これにより、切欠き45,46によって、各辺に合成貫通孔を生成することができる。
【0055】
(第5の実施形態)
次に、
図6を用いて、第5の実施形態を説明する。本実施形態は、第3の実施形態におけるブロック30の切欠きを設ける位置を変更した構成である。
【0056】
図6(a)に示すように、ブロック50は、上記実施形態のブロック10と同様に、プレキャストコンクリートであり、柱形状の本体部51を有している。本体部51の底面は、六角形のベース形状を有している。
【0057】
本体部51の上面中央には、上面から下面に貫かれた中央貫通孔52が形成されている。中央貫通孔52の中心軸は、ブロック50のベース形状の線対称線Ls上に位置している。この線対称線Lsは、ブロック50の平行な対向する2辺と直交し、ブロック50のベース形状が線対称となる線である。本実施形態では、中央貫通孔52の中心軸は、水平面上の線対称線Lsと辺とが直交する軸と、ブロック50の中心軸Bcとの中点に配置される。この中央貫通孔52は、水平断面が円形の筒形状を有している。
【0058】
本体部51のベース形状の線対称線Lsにおいて線対称となる1対の辺(線対称辺)には、中央貫通孔52を2等分割した半円筒形状の切欠き55,56が形成されている。本実施形態の切欠き55,56の半円筒形状の半径は、中央貫通孔52の半径と同じである。本実施形態では、各切欠き55,56の半円筒形状の中心軸は、線対称線Lsと直交する水平面上の直線L5上で、かつブロック50の線対称辺上に位置し、中央貫通孔52の中心軸から等間隔(長さL51=長さL52)で配置されている。
【0059】
図6(b)に示すように、本実施形態のブロック50を用いてフーチングを製造する場合には、まず、複数のブロック50を、ベース形状を当接させることにより、所定の広さで平面充填させながら配置する(一層目)。この場合、隣接する列のブロック50の向きを180度回転させて、ブロック50の切欠き55,56が整合するように配置する。これにより、これら切欠き55,56によって囲まれた領域に貫通孔(合成貫通孔)が形成される。この合成貫通孔は、本実施形態では、ブロック50の中央貫通孔52と同じ大きさの円断面形状となる。
【0060】
そして、下層(1層目)のブロック50に対して、六角形状の中心から頂角方向にずらして、2層目のブロック50を積層する。この場合、下層のブロック50の中央貫通孔52と上層の合成貫通孔との位置が整合し、下層の合成貫通孔と上層のブロック50の中央貫通孔52との位置が整合するように積層する。
【0061】
このようにして、ブロック50を、所定の高さまで積層する。この場合、合成貫通孔とブロック50の中央貫通孔52とが垂直方向に整合されて、積層体の最上層の上面から最下層の下面まで貫通する筒空間が形成される。
【0062】
そして、この筒空間に、杭及び杭頭補強部材を貫通させた後、鉄筋を上下に配置し、繊維コンクリートを打設する。これにより、複数のブロック50を積層した鉄筋コンクリートの積層体(フーチング)を形成することができる。
【0063】
本実施形態によれば、上記(1),(2),(7)と同様な効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(9)本実施形態のブロック50では、切欠き55,56が、ベース形状の本体部51の線対称となる1対の辺にそれぞれ形成されている。これにより、切欠き55,56のそれぞれを整合させて合成貫通孔を形成することができる。
【0064】
(第6の実施形態)
次に、
図7を用いて、第6の実施形態を説明する。本実施形態は、第1の実施形態におけるブロック10のベース形状の各辺を直線以外(波型)に変更した構成である。
【0065】
図7(a)に示すように、ブロック60は、上記実施形態のブロック10と同様に、プレキャストコンクリートであり、柱形状の本体部61を有している。本体部61の底面は、正方形状の各辺を変形させたベース形状を有している。本実施形態では、ベース形状の
図7(a)における左辺と右辺、上辺と下辺の各対向辺の凹凸とが整合する形状(波型)を有している。
【0066】
本体部61の上面中央には、上面から下面に貫かれた中央貫通孔62が形成されている。本実施形態の中央貫通孔62は、ブロック60の中心軸と一致する中心軸を有し、水平断面が円形の筒形状を有している。本体部61のベース形状の1対の対向辺には、略半円形状の切欠き65,66が形成されている。各切欠き65,66の中心軸は、中央貫通孔62の中心軸を通る水平面上の直線L6上に、等間隔(長さL61=長さL62)で配置されている。各切欠き65,66は、中央貫通孔62を2分割しており、弦部分が波型形状をしている。本実施形態の切欠き65,66の略半円形状の半径は、中央貫通孔62の半径と同じである。
【0067】
本実施形態のブロック60を用いてフーチングを製造する場合には、上記第1実施形態と同様にして行なう。具体的には、
図7(b)に示すように、複数のブロック60を、ベース形状を当接させることにより、所定の広さで平面充填させながら配置する(一層目)。この場合、x方向,y方向に隣接する複数(2つ)のブロック60の各切欠き65,66によって囲まれた領域に貫通孔(合成貫通孔)が形成される。この合成貫通孔は、本実施形態では、ブロック60の中央貫通孔62と同じ大きさの円断面形状となる。
【0068】
そして、下層(1層目)のブロック60に対して、ベース形状の中心から頂角方向にずらして、2層目のブロック60を積層する。この場合、下層のブロック60の中央貫通孔62と上層の合成貫通孔との位置が整合し、下層の合成貫通孔と上層のブロック60の中央貫通孔62との位置が整合する。
【0069】
このようにして、ブロック60を、所定の高さまで積層する。この場合、合成貫通孔とブロック60の中央貫通孔62とが垂直方向に整合されて、積層体の最上層の上面から最下層の下面まで貫通する筒空間が形成される。そして、この筒空間に、杭及び杭頭補強部材を貫通させた後、鉄筋を上下に配置し、繊維コンクリートを打設する。これにより、複数のブロック60を積層した鉄筋コンクリートの積層体(フーチング)を形成することができる。
【0070】
本実施形態によれば、上記(1)〜(3)と同様な効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(10)本実施形態のブロック60は、正方形状の各辺を波型に変形したベース形状を有している。このため、ベース形状の各辺の凹凸を嵌合させて、ブロック60のずれを抑制することができる。
【0071】
(第7の実施形態)
次に、
図8を用いて、第7の実施形態を説明する。本実施形態は、第1の実施形態におけるブロック10のベース形状の各辺を直線以外(一部に凹凸を設けた形状)に変更した構成である。
【0072】
図8(a)に示すように、ブロック70は、上記実施形態のブロック10と同様に、プレキャストコンクリートであり、柱形状の本体部71を有している。本体部71の底面は、正方形状の各辺を変形させたベース形状を有している。本実施形態では、ベース形状の各辺には、左辺と右辺、上辺と下辺の各対向辺の凹凸とが整合する形状を有している。具体的には、ブロック70のベース形状の左辺と上辺の中央には、それぞれ凸部77a,77bが形成されている。また、ブロック70のベース形状の右辺の中央には、凸部77aに対向する位置に凹部78aが形成されている。更に、ブロック70のベース形状の下辺の頂点の位置には、凸部77bに対向する凹部78bが形成されている。
【0073】
本体部71の上面中央には、上面から下面に貫かれた中央貫通孔72が形成されている。本実施形態の中央貫通孔72は、水平断面が円形の筒形状を有している。本体部71のベース形状の対応する1対の辺(対向辺)には、中央貫通孔72を2等分割した半円形状の切欠き75,76が形成されている。各切欠き75,76の中心軸は、中央貫通孔72の中心軸を通る水平面上の直線L7上に、等間隔(長さL71=長さL72)で配置されている。各切欠き75,76は、中央貫通孔72を2分割しており、これら切欠き75,76の略半円形状の半径は、中央貫通孔72の半径と同じである。
【0074】
本実施形態のブロック70を用いてフーチングを製造する場合には、上記第1の実施形態と同様にして行なう。具体的には、
図8(b)に示すように、複数のブロック70を、ベース形状を当接させることにより、所定の広さで平面充填させながら配置する(一層目)。この場合、ブロック70の凹部78aに、隣接するブロック70の凸部77aを嵌合させ、ブロック70の凹部78bに、隣接するブロック70の凸部77bを嵌合させる。そして、x方向,y方向に隣接する複数(2つ)のブロック70の各切欠き75,76によって囲まれた領域に貫通孔(合成貫通孔)が形成される。この合成貫通孔は、本実施形態では、ブロック70の中央貫通孔72と同じ大きさの円断面形状となる。
【0075】
そして、下層(1層目)のブロック70に対して、ベース形状の中心から頂角方向にずらして、2層目のブロック70を積層する。この場合、下層のブロック70の中央貫通孔72と上層の合成貫通孔との位置が整合し、下層の合成貫通孔と上層のブロック70の中央貫通孔72との位置が整合する。
【0076】
このようにして、ブロック70を、所定の高さまで積層する。この場合、合成貫通孔とブロック70の中央貫通孔72とが垂直方向に整合されて、積層体の最上層の上面から最下層の下面まで貫通する筒空間が形成される。そして、この筒空間に、杭及び杭頭補強部材を貫通させた後、鉄筋を上下に配置し、繊維コンクリートを打設する。これにより、複数のブロック70を積層した鉄筋コンクリートの積層体(フーチング)を形成することができる。
【0077】
本実施形態によれば、上記(1)〜(3)と同様な効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(11)本実施形態のブロック70には、ベース形状の上辺と左辺には凸部77a,77bが形成され、凸部77a,77bが設けられた辺と対向する辺(下辺と右辺)に、凸部77a,77bに嵌合する凹部78a,78bが形成されている。これにより、ブロック70を平面充填して配置する際に、凹部78a,78bに隣接するブロックの凸部77a,77bを嵌合させて、ブロック70のずれを抑制することができる。
【0078】
また、上記各実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記第5の実施形態においては、ブロック50を、隣接する列のブロック50の向きを180度回転させて平面充填した。これに代えて、ブロック50の上面と下面を反転させて平面充填し、切欠き55,56によって合成貫通孔を形成するようにしてもよい。
【0079】
・上記各実施形態の各ブロック(10〜70)の中央貫通孔(12〜72)は、ブロック(10〜70)の上面から下面まで同じ大きさで形成されている。貫通孔(12〜72)の水平断面形状は、上面から下面まで同じ大きさでなくてもよい。例えば、
図9(a)に示すブロック10aのように、上面から下面に向かって縮径する形状の中央貫通孔12aであってもよい。また、
図9(b)に示すブロック10bのように、上面(一方の設置面)から下面(対向する他方の設置面)に向かって斜めに貫通する形状の中央貫通孔12bであってもよい。ここで、
図9(c)に示すように、中央貫通孔12aを有するブロック10aを積層した場合には、切欠き15で構成される合成貫通孔と中央貫通孔12aとによって形成される筒空間は、凹凸形状となる。これにより、この空間にコンクリートを打設した場合、凹凸形状により、強固に固定することができる。
【0080】
・上記各実施形態のブロック(10〜70)は、切欠き(15〜75,16〜76)によって形成された合成貫通孔と、貫通孔(12〜62)とは同じ形状とした。ブロックに形成される切欠きと貫通孔の形状は、同じ形状に限定されない。例えば、
図10(a)に示すようなブロック80としてもよい。このブロック80は、上記実施形態のブロック10と同様に、プレキャストコンクリートであり、柱形状の本体部81を有している。本体部81の底面は、正方形のベース形状を有している。本体部81の上面中央には、上面から下面に貫かれた中央貫通孔82が形成されている。本実施形態の中央貫通孔82は、水平断面が円形の筒形状を有している。本体部81のベース形状において対向する1対の辺には、長方形状の切欠き85,86が形成されている。本実施形態の各切欠き85,86は、同じ形状及び大きさをしており、中央貫通孔82の面積と同じ正方形を2等分割した大きさで、同じ形状によって形成されている。各切欠き85,86の中心軸は、中央貫通孔82の中心軸を通る水平面上の直線上に、等間隔(長さL81=長さL82)で配置されている。
【0081】
図10(b)に示すように、このブロック80を、ベース形状を当接させることにより、所定の広さで平面充填させながら配置する(一層目)。この場合、x方向,y方向に隣接する複数(2つ)のブロック80の切欠き85,86によって囲まれた領域に貫通孔(合成貫通孔)が形成される。この合成貫通孔は、本実施形態では、ブロック80の中央貫通孔82とほぼ同じ面積の正方形の断面形状となる。そして、下層のブロック80の中央貫通孔82と上層の合成貫通孔との位置が整合し、下層の合成貫通孔と上層のブロック80の中央貫通孔82との位置が整合するように、隣接する下層(1層目)のブロック80に対してずらして2層目のブロック80を積層する。そして、ブロック80を所定の高さまで積層すると、合成貫通孔とブロック80の中央貫通孔82とが垂直方向に整合されて、積層体の最上層の上面から最下層の下面まで貫通する筒空間が形成される。この筒空間に形成された凹凸形状により、強固に固定することができる。
【0082】
・上記第1の実施形態では、ブロック10の切欠き15を、中央貫通孔12の半径と同じ半径の半円形状とした。ブロックの中央に形成する貫通孔の大きさと、合成貫通孔の大きさとは同じである場合に限定されない。例えば、
図11(a)に示すように、ブロック10cの中央貫通孔12cを、切欠き15の半円形状の半径より小さい半径で構成してもよい。
【0083】
・上記各実施形態のブロック(10〜70)は、円断面形状の中央貫通孔(12〜72)を設けた。中央貫通孔(12〜72)の断面形状は、円形状に限定されない。例えば、
図11(b)に示すように、正方形状の水平断面を有している中央貫通孔12dを備えたブロック10dとしてもよい。更に、
図11(c)に示すブロック90としてもよい。このブロック90は、上記実施形態のブロック10と同様に、プレキャストコンクリートであり、柱形状の本体部91を有している。本体部91の底面は、正方形のベース形状を有している。本体部91の上面中央には、上面から下面に貫かれた中央貫通孔92が形成されている。本実施形態の中央貫通孔92は、正方形状の水平断面を有している。この中央貫通孔92は、ベース形状の正方形状と同様な正方形状の水平断面を有する筒形状を有している。更に、中央貫通孔92は、ブロック90の上面から下面まで同じ大きさを有している。本体部91のベース形状において対向する1対の対向辺には、長方形形状の切欠き95,96が形成されている。各切欠き95,96は、中央貫通孔92と同じ面積の正方形状を2分割した形状をしている。各切欠き95,96の中心点は、中央貫通孔92の中心点を通る直線L9上に、等間隔(長さL91=長さL92)で配置されている。
【0084】
このブロック90を、ベース形状を当接させることにより、所定の広さで平面充填させながら配置する。この場合、x方向,y方向に隣接する複数(2つ)のブロック90の各切欠き95によって囲まれた領域に貫通孔(合成貫通孔)が形成される。この合成貫通孔は、本実施形態では、ブロック90の中央貫通孔92とほぼ同じ面積の正方形の断面形状となる。そして、下層(1層目)のブロック90に対して、ベース形状の中心から頂角方向にずらして、2層目のブロック90を積層する。この場合、下層のブロック90の中央貫通孔92と上層の合成貫通孔との位置が整合し、下層の合成貫通孔と上層のブロック90の中央貫通孔92との位置が整合する。そして、ブロック90を所定の高さまで積層すると、合成貫通孔とブロック90の中央貫通孔92とが垂直方向に整合されて、積層体の最上層の上面から最下層の下面まで貫通する正方形状の水平断面の筒空間が形成される。
【0085】
・上記各実施形態においては、各ブロック(10〜70)は、切欠き(15〜75)によって形成された合成貫通孔と、貫通孔(12〜72)とを整合させた筒空間に、コンクリートを打設した。この区画された空間に配置される部材は、場所打ちコンクリートに限定されるものではない。各ブロックを固定する固定部材であればよく、アンカー等の機器固定材を挿入してもよい。
【0086】
・上記各実施形態においては、各ブロック(10〜70)を積層して、橋脚のフーチングを構成した。これらブロックを用いて積層するコンクリート構造物は、これに限定されず、例えば、土木建築物の基礎や基台等であってもよい。