【実施例1】
【0010】
以下に、
図1ないし
図3を用いて本実施例の発券装置の廃券回収部について説明する。
本実施例の媒体発行装置としての発券装置1は、空港の航空会社の案内カウンタや、鉄道の駅のみどりの窓口(東日本旅客鉄道株式会社の登録商標)等の出札所に設置された、航空券や、比較的大型の乗車券である特急券や周遊券、定期券および領収書等の媒体Tの発行や料金の払い戻しを行う装置であって、
図1に示す構成を備えている。
【0011】
以下の説明においては、鉄道の駅の出札所に設置された発券装置1を例に説明するが、空港の案内カウンタ等に設置された発券装置1の場合も同様である。
ロール紙2は、発券装置1の正面下部に設けられたローラ2a上に載置されたロール状に巻き付けられた帯状の連続紙であって、磁気コーティングが施された裏面(磁気面ともいう。)を、半径方向の外側に向けてロール状に巻き付けられている。
【0012】
このため、本実施例のロール紙2を切断して形成された媒体Tは、磁気面(裏面)を凸にして反った状態になっている。
カッタ3は、固定刃と可動刃を対向配置した切断機構を備えており、搬送路4により搬送されたロール紙2を、特急券や指定券、周遊券等の各媒体Tの所定の長さに切断して各媒体Tの原券を作成する。
【0013】
本実施例の搬送路4は、複数の搬送ローラにより媒体Tを挟持して搬送する搬送路であって、その各分岐部には、媒体Tの搬送方向を切替える図示しない切替機構が設けられており、搬送モータ4aを備えた駆動機構により駆動される。
【0014】
定期券収納部5は、裏面に磁気コーティングが施された矩形の定期券の原券を厚さ方向に積層して収納した収納部であって、水平に配置されたステージ上におもて面を上にして積層された原券を1枚毎に繰出す、ピックアップローラ、フィードローラ、リバースローラ等からなる繰出機構5aを備えている。
【0015】
印字部6は、感熱式等の印字ヘッドを備えており、カッタ3で切断された各媒体Tの原券のおもて面(印字面ともいう。)や、定期券収納部5から繰出された定期券の原券のおもて面に、発行日や乗車区間、料金、有効期間等の所定の事項を印字する。
【0016】
磁気部7は、磁気ヘッドを備えた磁気書込部7aと磁気読取部7bとで構成され、搬送路4により搬送された各原券に、磁気書込部7aで、印字部6において印字された所定事項と同様の所定の磁気情報を書込み、磁気読取部7bで、磁気書込部7aにより書込まれた磁気情報を読取って、書込まれた情報の正否を判定する。
【0017】
発券口8は、発券装置1の正面上部に配置され、印字部6で原券の印字面に所定事項が印字され、磁気部7で所定の磁気情報が書込まれ、正券と判定された特急券や周遊券、定期券等の媒体Tを出札所の係員に引渡す。
入券口11は、発券口8の上方に配置され、払い戻し等を行う特急券や周遊券等の媒体Tが、印字面を上にして出札所の係員により挿入される。
【0018】
廃券印字部12は、ドットインパクト式の印字ヘッド、プラテン、インクリボン等を備えており、入券口11から挿入され、磁気部7で磁気情報を消去して搬送路4により搬送された媒体Tや、媒体Tの発行時に磁気部7で磁気情報の不良等により廃券と判定され、搬送路4により搬送された媒体Tのおもて面に、赤字印字により廃券の旨の文言を印字する廃券印字を行う。
【0019】
パンチ部13は、円柱状の切刃と、切刃に遊嵌するガイド穴等を備えており、廃券印字部12で廃券印字を行った後に搬送路4により搬送された媒体Tに穿孔を行う。
媒体集積庫としての廃券回収部20は、廃券印字部12で廃券印字が行われ、パンチ部13で穿孔された後に搬送路4により搬送された媒体Tを集積する集積庫であって、
図2に示す構成を備えている。
【0020】
本実施例の廃券回収部20は、搬入口21に設けられた搬入ローラ22と、搬入ローラ22により搬入され、放出された媒体Tを厚さ方向に集積する集積板23と、搬入ローラ22により搬入される媒体Tの搬入方向の前方に設けられた前面板24aと、前面板24aに対向配置され、上部に搬入口21が設けられた後面板24bと、集積板23の上方に設けられた天板24cと、前面板24aと後面板24bとの側方に設けられた2枚の側板24dを有している。
【0021】
搬入ローラ22は、2つのローラ22a、22b間に媒体Tを挟持して搬送する搬送手段であって、
図2に示すように、集積板23側のローラ22bの外周面と、前面板24aとの間の距離Lsが、取扱う各媒体Tの中で搬入方向の長さが最も長い媒体Tの媒体長(最大媒体長Lmaxという。本実施例では、周遊券や領収書等長さである120mm)より短くなる位置に配置されている。
【0022】
また、前面板24aは、最大媒体長Lmaxの媒体Tが、搬入ローラ22による後端の挟持が解除されたときに、前面板24aの内面と、媒体Tの先端との間に隙間δ(本実施例では、最大媒体長Lmaxの媒体Tを用いた場合に1mm程度)が形成される位置に配置されている。
【0023】
本実施例の廃券回収部20の天板24cは、後面板24bから前面板24aに向かって下る方向に傾斜しており、前面板24aと天板24cとの挟み角θは、鈍角(本実施例では、115度)となるように形成され、前面板24aと天板24cとの角部には湾曲面R(本実施例では、半径27mmの円弧面)が設けられている。
【0024】
なお、前記した挟み角θの具体的な角度や円弧面の半径は、複数の実験により決定された値を例示したが、挟み角θと湾曲面Rの曲率半径の組合せはこれらに限らず、搬入中の媒体Tの先端が、搬入ローラ22による後端の挟持が解除されたときに、湾曲面Rの内面に接しており、かつその先端と前面板24aの内面との間に隙間δを形成することが可能な組合せであれば、どのような組合せであってもよい。
【0025】
また、搬入ローラ22のローラ22aと22bの軸芯を結んだ線は、天板24cの傾斜に対して略直交方向となるように設置されている。
更に、廃券回収部20の底部に設けられた集積板23は、後面板24bから前面板24aに向かって下る方向に傾斜角α(本実施例では、10度)で傾斜するように設けられている。
【0026】
以下に、本実施例の発券装置1による発券処理および廃券回収処理の処理動作について説明する。
発券処理によって最大媒体長Lmaxの媒体T(本説明では周遊券)を発券する場合、発券装置1は、出札所の係員が入力した発券指示を受付けると、ロール紙2を搬送路4に繰出して、カッタ3でロール紙2を最大媒体長Lmaxの長さに切断して周遊券の原券を作成する。
【0027】
原券を作成した発券装置1は、作成した原券を搬送路4により印字部6へ搬送し、印字部6で原券のおもて面に発行日や周遊区間、料金、有効期間等の所定事項を印字し、印字を終えた原券を搬送路4によって磁気部7に搬送する。
【0028】
印字を終えた原券が磁気部7に達すると、発券装置1は、磁気書込部7aで所定の磁気情報を書込み、磁気読取部7bで、その磁気情報を読取って書込まれた情報の正否を判定し、正しい磁気情報が書込まれた正券と判定した場合は、当該周遊券を搬送路4により発券口8に搬送して係員に引渡す。
【0029】
周遊券を受取った係員は、当該周遊券を顧客に手渡し、顧客によってその料金が支払われると、その料金の領収書の発行指示を入力する。
【0030】
領収書の発行指示を受付けた発券装置1は、周遊券の場合と同様に、ロール紙2を最大媒体長Lmaxの長さに切断して領収書の原券を作成し、その原券に、領収書の発行対象となった乗車券の種別(本説明では、○○周遊券)、領収金額、発行日等の所定事項を印字して磁気部7へ搬送し、磁気部7で書込まれた磁気情報が正しいと判定された場合は、当該領収書を発券口8に搬送して係員に引渡す。
【0031】
領収書を受け取った係員は、当該領収書を顧客に手渡す。
このようにして、本実施例の発券装置1による発券処理が実行される。
【0032】
上記した発券処理において、磁気部7で磁気書込部7aにより書込まれた磁気情報が磁気読取部7bよって読取ることができない等の不良により廃券と判定された場合、発券装置1は、廃券回収処理を実行するために、廃券と判定した媒体Tの磁気情報を磁気部7によって消去し、当該媒体Tを搬送路4により廃券印字部12へ搬送する。
【0033】
媒体Tを廃券印字部12へ搬送した発券装置1は、搬送された媒体Tに廃券印字を行い、廃券印字を終えた媒体Tを搬送路4によりパンチ部13へ搬送して、パンチ部13により当該媒体Tに穿孔を行い、穿孔を終えた媒体Tを搬送路4により廃券回収部20へ搬送して、おもて面(印字面)を上にした状態の媒体Tの先端を、搬入口21に設けられた搬入ローラ22のローラ22a、22b間に挟持させる。
【0034】
廃券となった媒体Tを搬入ローラ22で挟持した発券装置1は、
図3に示すように、挟持した媒体Tを搬入ローラ22によって前面板24aに向けて送り出す。
【0035】
前面板24aに向けて送り出された媒体Tは、
図3に符号「P1」を付した媒体Tのように、先端が、前面板24aに向かって下る方向に傾斜した天板24cおよび角部に設けられた湾曲面Rの内面に倣って曲げられながら搬入され、搬入ローラ22による後端の挟持が解除されたときに媒体Tが前面板24aの方向に放出される。
【0036】
このとき、本実施例の前面板24aと、後端の挟持の解除時における媒体Tの先端との間には隙間δが設けてあるので、挟持の解除時に発生する、曲げられた媒体Tの復元力による前面板24aからの反力が軽減され、軽減された反力が、媒体Tの放出に伴う搬入方向の慣性力の一部を相殺して比較的小さな力で前面板24aの内面に接触する。
【0037】
そして、前面板24aに先端が接触した媒体Tは、
図3に符号「P2」を付して示した媒体Tように、媒体Tの自重Wの分力Bによる前面板24aとの摩擦力Fと、
図3に破線で示した落下に伴う空気抵抗による支持力とのバランスによって、比較的緩やかな角度を維持したまま落下し、集積板23上に集積された媒体Tの最上位に、おもて面を上にした状態で集積される。
【0038】
このようにして、本実施例の発券装置1による廃券回収処理が実行される。特急券や指定券(媒体長:85mm)、定期券の場合も同様である。
【0039】
また、払い戻し処理の場合は、係員が払い戻し指示を入力した後に、顧客から受取った特急券や周遊券等の媒体Tを入券口11から挿入すると、これを検知した発券装置1は、挿入された媒体Tを搬送路4により磁気部7へ搬送して、媒体Tに書込まれている磁気情報を消去する。
その後は、上記と同様にして、払い戻しを行う媒体Tの廃券回収処理を実行する。
【0040】
以上説明したように、本実施例では、廃券回収部20の前面板24aと天板24cとの挟み角θを鈍角とし、前面板24aと天板24cとの角部に湾曲面Rを設け、媒体Tの搬入時に、その先端が、下る方向に傾斜した天板24cの内面および湾曲面Rの内面に倣って曲げられながら搬入され、搬入ローラ22による後端の挟持が解除されるときに先端が湾曲面Rに達し、かつ先端と前面板24aとの間には隙間δが存在するので、挟持の解除時に発生する媒体Tの復元力による前面板24aからの反力を軽減することができ、軽減された反力が、媒体Tの放出に伴う搬入方向の慣性力の一部を相殺して比較的小さな力で前面板24aの内面に接触させることが可能になり、媒体Tを比較的緩やかな角度を維持したまま落下させて、反りを有する媒体Tを表裏を揃えた状態で集積することができ、規定枚数の媒体Tを集積することが可能になると共に、回収した廃券の表裏を揃える作業を不要にして、廃券の確認作業における作業時間を短縮することができる。
【0041】
また、媒体Tの集積時に、例えば、集積板23が水平に配置されている場合には、集積された媒体Tが後面板24b側に偏って集積されることがあり、このとき形成される、集積された媒体Tの前面板24a側の端面と、前面板24aの内面との間の隙間に、落下してきた媒体Tの先端が挟まり、当該媒体Tが垂直もしくは斜めに集積されてしまうことがあるが、本実施例の集積板23は、後面板24bから前面板24aに向かって下る方向に傾斜角αで傾斜するように設けられているので、媒体Tの先端を、前面板24aの内面に沿って整位させた状態で集積することができ、落下してきた媒体Tの先端が、前記隙間に挟まることを防止することができる。
【0042】
更に、通常の発券装置の設けられた廃券回収部等の集積庫においては、搬入口に設けられた搬入ローラを垂直方向に配置し、その外周面と、前面板の内面との間の距離Lsを最大媒体長Lmax以上に設定することが通例となっているが、本実施例では、上記のように下る方向に傾斜させた天板24cとその角部に設けた湾曲面Rにより、搬入ローラ22の外周面と、前面板24aの内面との間の距離Lsを最大媒体長Lmaxより短くしても、反りを有する媒体Tを表裏を揃えて集積することができ、例えば、パンチ部13を搬入ローラ22の直前に配置して発券装置1の小型化を図ることができる。
【0043】
なお、本実施例では、天板24cは、傾斜させた平板として説明したが、
図4に示すように、天板24cの搬入口21から湾曲面Rまでの間に段部27を設けるようにしてもよい。このようにすれば、距離Lsを上記に比べて短縮することが可能になる。
【0044】
また、廃券回収部20を樹脂等で製作した場合には、この段部27に除電ブラシ等の除電手段を設けるようにするとよい。このようにすれば、集積する媒体Pの前面板24a等への貼り付きを防止することができる。
【実施例2】
【0045】
以下に、
図5ないし
図7を用いて本実施例の廃券回収部について説明する。なお上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の廃券回収部20は、上記実施例1と同様に、搬入口21に設けられた搬入ローラ22と、搬入ローラ22により搬入された媒体Tを厚さ方向に集積する集積板23と、搬入ローラ22により搬入される媒体Tの搬入方向の前方に設けられた前面板24aと、前面板24aに対向配置され、上部に搬入口21が設けられた後面板24bと、集積板23の上方に設けられた天板24cと、前面板24aと後面板24bとの側方に設けられた2枚の側板24dを有している。
【0046】
また、本実施例の廃券回収部20の前面板24aと搬入ローラ22を設けた搬入口21との間の、集積板23側のローラ22bの近傍には、
図5に示すように、2枚の側板24d間に取付けられた、搬入方向の直交方向に伸長するシャフト31が設けられている。
【0047】
このシャフト31の軸芯の前面板24aの内面からの距離Lpは、最大媒体長Lmax(本実施例では120mm)の半分以上の長さであって、取扱う各媒体Tの中で搬入方向の長さが最も短い媒体Tの媒体長(最小媒体長Lminという。本実施例では、特急券や指定券等長さである85mm)以下に設定されている。
【0048】
本実施例の搬入ローラ22は、その集積板23側のローラ22bの外周面と、前面板24aとの間の距離Lsが、最小媒体長Lminより短くなる位置に配置されている。
また、前面板24aは、最小媒体長Lminの媒体Tの先端が、搬入ローラ22による後端の挟持が解除される前に、前面板24aの内面に押付けられる位置に配置されている。
【0049】
本実施例の廃券回収部20の天板24cは、後面板24bから前面板24aに向かって下る方向に傾斜しており、前面板24aと天板24cとの挟み角θは、鈍角となるように形成されているが、挟み角θは実施例1に比べて小さい角度に形成され、前面板24aと天板24cとの角部に設けられた湾曲面Rの曲率半径は、実施例1に比べて小さく形成されている。
【0050】
また、搬入ローラ22のローラ22aと22bの軸芯を結んだ線は、天板24cの傾斜に対して略直交方向となるように設置されている。
更に、廃券回収部20の底部に設けられた集積板23は、実施例1と同様の傾斜角αで傾斜するように設けられている。
【0051】
以下に、本実施例の発券装置1による発券処理および廃券回収処理の処理動作について説明する。
発券処理によって最小媒体長Lminの媒体T(本説明では特急券)を発券する場合、発券装置1は、出札所の係員が入力した発券指示を受付けると、ロール紙2を搬送路4に繰出して、カッタ3でロール紙2を最小媒体長Lminの長さに切断して特急券の原券を作成する。
【0052】
原券を作成した発券装置1は、作成した原券を搬送路4により印字部6へ搬送し、印字部6で原券のおもて面に発行日や乗車区間、料金、有効期間等の所定事項を印字し、印字を終えた原券を搬送路4によって磁気部7に搬送する。
【0053】
印字を終えた原券が磁気部7に達すると、発券装置1は、磁気書込部7aで、所定の磁気情報を書込み、磁気読取部7bで、その磁気情報を読取って書込まれた情報の正否を判定し、正しい磁気情報が書込まれた正券と判定した場合は、当該特急券を搬送路4により発券口8に搬送して係員に引渡す。
【0054】
特急券を受取った係員は、当該特急券を顧客に手渡し、顧客によってその料金が支払われると、その料金の領収書の発行指示を入力する。
その後の領収書の発券処理の処理動作は、上記実施例1の場合と同様であるので、その説明を省略する。
このようにして、本実施例の発券装置1による発券処理が実行される。
【0055】
上記した発券処理において、磁気部7で、最小媒体長Lminの媒体Tである特急券に書込まれた磁気情報が磁気読取部7bよって読取ることができない等の不良により廃券と判定された場合の廃券回収処理の処理動作の中で、廃券となった媒体Tを、おもて面(印字面)を上にした状態で先端を搬入口21に設けられた搬入ローラ22のローラ22a、22b間に挟持させるまでの処理動作は、上記実施例1の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0056】
廃券となった媒体Tを搬入ローラ22で挟持した発券装置1は、
図6に示すように、挟持した最小媒体長Lminの媒体Tを搬入ローラ22によって前面板24aに向けて送り出す。
【0057】
前面板24aに向けて送り出された媒体Tは、
図6に符号「PA1」を付した媒体Tのように、先端が、前面板24aに向かって下る方向に傾斜した天板24cおよび角部に設けられた湾曲面Rの内面に倣って、上記実施例1より深く曲げられながら搬入され、搬入ローラ22に挟持されたまま前面板24aの内面に押付けられ、後端の挟持が解除されたときに、曲げられて撓んだ状態から解放されため、媒体Tの復元力による前面板24aからの反力によって、符号「PA2」を付して示した媒体Tように、シャフト31の方向に弾き飛んで後端がシャフト31に当接する。
【0058】
そして、後端がシャフト31に当接した媒体Tは、符号「PA3」を付して示した媒体Tように、媒体Tの自重により後端をシャフト31に支持されながら、姿勢を整えられた状態で図において反時計方向に回動し、後端がシャフト31から外れる。
【0059】
後端がシャフト31から外れた媒体Tは、符号「PA4」を付して示した媒体Tように、外れるときに与えられた角運動量により、更に反時計方向に回動しながら落下し、先端が集積板23に達すると、符号「PA5」を付して示した媒体Tように、自重により時計方向に回動して、おもて面を上にした状態で集積板23上に集積される。
【0060】
発券処理において、磁気部7で、最大媒体長Lmaxの媒体Tである領収書に書込まれた磁気情報が磁気読取部7bよって読取ることができない等の不良により廃券と判定された場合は、上記特急券の場合と同様にして、
図7に示すように、廃券となった、最大媒体長Lmaxの媒体Tを搬入ローラ22で挟持して前面板24aに向けて送り出す。
【0061】
前面板24aに向けて送り出された媒体Tは、
図7に符号「PB1」を付した媒体Tのように、先端が、前面板24aに向かって下る方向に傾斜した天板24cおよび角部に設けられた湾曲面Rの内面に倣って、特急券の場合より深く曲げられながら搬入され、搬入ローラ22に挟持されたまま前面板24aの内面に押付けられ、後端の挟持が解除されたときに、曲げられて撓んだ状態から解放されるため、媒体Tの復元力による前面板24aからの反力によって、符号「PB2」を付して示した媒体Tように、シャフト31の方向に弾き飛んで後端がシャフト31に当接する。
【0062】
そして、後端がシャフト31に当接した媒体Tは、符号「PB3」を付して示した媒体Tように、媒体Tの自重により後端をシャフト31に支持されながら、姿勢を整えられた状態で図において反時計方向に回動し、後端がシャフト31から外れる。
【0063】
後端がシャフト31から外れた媒体Tは、符号「PB4」を付して示した媒体Tのように、外れるときに与えられた角運動量により、更に反時計方向に回動しながら落下し、先端が集積板23に達すると、符号「PB5」を付して示した媒体Tように、自重により時計方向に回動して、おもて面を上にした状態で集積板23上に集積される。
【0064】
このようにして、本実施例の発券装置1による廃券回収処理が実行される。
また、払い戻し処理の場合は、係員が払い戻し指示を入力した後に、顧客から受取った特急券や周遊券等の媒体Tを入券口11から挿入すると、これを検知した発券装置1は、挿入された媒体Tを搬送路4により磁気部7へ搬送して、媒体Tに書込まれている磁気情報を消去する。
その後は、上記と同様にして、払い戻しを行う媒体Tの廃券回収処理を実行する。
【0065】
以上説明したように、本実施例では、廃券回収部20の前面板24aと天板24cとの挟み角θを鈍角とし、前面板24aと天板24cとの角部に湾曲面Rを設けると共に、前面板24aと搬入口21との間の搬入口21側に、搬入方向の直交方向に伸長するシャフト31を設け、媒体Tの搬入時に、その先端が、下る方向に傾斜した天板24cの内面および湾曲面Rの内面に倣って深く曲げられながら搬入され、搬入ローラ22による後端の挟持が解除されるときに先端が前面板24aに押付けられているので、後端の挟持の解除時に、曲げられて撓んだ状態から解放されるときに発生する媒体Tの復元力による前面板24aからの反力によって、媒体Tがシャフト31の方向に弾き飛んで後端がシャフト31に当接し、媒体Tの自重により後端をシャフト31に支持されながらシャフト31から外れて、集積板23上に落下するので、反りを有する媒体Tを表裏を揃えた状態で集積することができ、規定枚数の媒体Tを集積することが可能になると共に、回収した廃券の表裏を揃える作業を不要にして、廃券の確認作業における作業時間を短縮することができる。
【0066】
また、媒体Tの後端の挟持の解除時に、前面板24aからの反力によって媒体Tをシャフト31の方向に弾き飛して後端をシャフト31に当接させ、このシャフト31に後端を支持させて媒体Tの姿勢を整えるので、媒体Tの搬入方向を中心としたローリングを防止することができ、反りを有する媒体Tを表裏を揃えた状態で安定的に集積することができる。
【0067】
更に、集積板23を、後面板24bから前面板24aに向かって下る方向に傾斜角αで傾斜するように設けたので、媒体Tの先端を前面板24aの内面に沿って整位させた状態で集積することができ、落下してきた媒体Tの先端が、実施例1で説明した隙間に挟まることを防止することができる。
【0068】
更に、搬入ローラ22の外周面と、前面板24aの内面との間の距離Lsを、上記実施例1より短く設定できるので、発券装置1の更なる小型化を図ることができる。
【0069】
なお、本実施例では、天板24cは、傾斜させた平板として説明したが、上記実施例1と同様に、天板24cの搬入口21から湾曲面Rまでの間に段部27を設けるようにしてもよい(
図4参照)。このようにすれば上記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0070】
上記各実施例においては、媒体集積庫は、発券装置1の廃券回収部20であるとして説明したが、媒体集積庫は前記に限らず、ローラ対により媒体を集積する機能を有する収納庫または集積庫であれば、どのような媒体集積庫であっても、本発明を適用すれば、上記と同様の効果を得ることができる。