(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下では、説明を簡単にするために、針の色が黒であり背景の色が白であると仮定するが、針の色と背景の色の組み合わせはこれに限定されない。他の組み合わせの場合、針の色に近い画素値を「黒」、背景の色に近い画素値を「白」と読み替えることとする。
【0016】
実施形態1.
図1は、本発明の第1の実施形態の針式メータ検出装置の構成例を示すブロック図である。
図1に示す針式メータ検出装置10は、線状画像生成部11と、線抽出部12と、針線選択部13と、針角度算出部14とを備える。
【0017】
本実施形態の針式メータ検出装置は、検出対象とされる針式メータを撮影した画像が入力されると、その針式メータの針の角度を出力する。
【0018】
線状画像生成部11は、入力画像に対してあらかじめ定められた画像処理を施して、線状の画像を生成する。
【0019】
線状画像生成部11が行う画像処理は、例えば、二値化処理であってもよい。二値化の方法は、例えば、文字認識で一般的に使われる判別二値化、オープンライブラリであるOpenCV(Open source Computer Vision library)に実装されている適応二値化などが利用可能である。ただし、二値化の方法はこれらに限定されない。また、線状画像生成部11は、画像処理として、二値化に加えて、細線化を行ってもよい。すなわち、二値化後、画像中の針の色に相当する画素値を持つ画素(例えば、針が黒色の場合は、二値化で黒色に分類された画素)に対して、細線化処理を施してもよい。細線化処理は、例えば、二値画像内の連結領域について、その中心線を求める処理であってもよい。細線化の方法としては、既存の手法(例えば、ヒルディッチの方法、ドイチュの方法、田村の方法、鶴岡の方法など)が利用可能である。
【0020】
図2は、細線化の効果を示す説明図である。例えば、図中の連結成分のように、一定の太さがある領域から線を抽出する場合、ハフ変換等を施してもさまざまな線が検出される可能性がある。そのため、それらの中で最適な線を精度よく求めることが難しい場合がある。そのような場合において、二値化後の連結成分の線幅を細くすることによって安定して直線や所定形状の線などが抽出できるようになる。
【0021】
線状画像生成部11が生成する線状画像は、例えば、対象画像中の針の色に相当する画素値を持つ画素の線幅が所定の値以下(好適な例は1画素)の線を構成(描画)している状態の画像であると好ましい。このような線状画像を得る方法としては、上記の二値化や二値化と細線化の組み合わせの他、例えば、次のような方法も挙げられる。
【0022】
図3は、細線化の他の例を示す説明図である。線状画像生成部11は、例えば、
図3に示すように、二値化により得られた連結成分に対して直線の当てはめを行い、得られた直線のうち連結成分の外接矩形に含まれる部分を抽出してもよい。その場合、抽出された部分の直線のみで構成された画像を、線状画像としてもよい。なお、連結成分への当てはめは直線に限定されず、画像中の線で表現できる図形(例えば多項式で表される波形や、任意の数式で表される自由線や、直線および/またはそれらで囲まれた任意の図形等)も利用可能である。
【0023】
線抽出部12は、線状画像生成部11で得られた線状画像に対して、あらかじめ定められた画像処理を行い、画像中から線を抽出する。ここで抽出される線(以下、抽出線Lという)は、画像内に端点のない直線であってもよいし、画像内に端点がある線分であってもよいし、形状を問わない任意の線であってもよい。なお、画像内に端点のない直線の場合、画像端を端点としてもよい。以下、画像内に端点があるか否かを問わず、長さを有するまっすぐな線を直線という。本例では、抽出線Lは直線とするが、針の形状が予め解っている場合は、針形状と同じまたは相似の関係にある所定形状の線であってもよい。なお、抽出線Lには、針の中心線が含まれているのが好ましい。
【0024】
線抽出部12が行う画像処理は、例えば、ハフ変換や確率的ハフ変換であってもよい。ハフ変換は、画像データから直線または円弧の検出を行う技術である。
【0025】
例えば、点P=(x,y)を通る任意の直線があったとする。その直線に対する原点からの垂線の長さをρとし、その垂線のなす角度をθとすると、以下の式(1)の関係が成り立つ。
【0026】
ρ=x・cosθ+y・sinθ ・・・(1)
【0027】
ここで、上記の直線上に別の点P’がある場合、点P’に対するθとρは点Pに対するものと同じになる。したがって、θとρが同じである点をカウントし、その個数が所定の閾値以上であれば、そこに直線が存在することを導出できる。
【0028】
なお、直線以外にも線分を抽出してもよい。線分の抽出は、確率的ハフ変換を利用可能である。確率的ハフ変換の方法は、例えば「Randomized or Probabilistic Hough Transform: United Performance Evaluation; Nahum Kiryati他, Pattern Recognition Letters, 2 May 2000」および「A Probabilistic Hough Transform; N.Kiryati他, Pattern Recognition, Vol.24, pp.303-316, 1991」に記載されている。
【0029】
針線選択部13は、画像中の針式メータの回転中心点γと、線抽出部12によって抽出された抽出線Lの情報(位置および長さもしくは形状)とを基に、抽出線Lの中から針に相当する線(以下、針線という)を選択する。回転中心点γは、予め与えられたものを用いてもよいし、入力画像を解析することにより抽出されたものを用いてもよい。
【0030】
針線の選択方法としては、次のような方法が挙げられる。以下、回転中心点γから、抽出線Lまたは抽出線Lを回転中心点γ方向に延長した延長抽出線L’に下した垂線の長さ、すなわち回転中心点γと抽出線L上または延長抽出線L’上の位置との距離を、距離αとする。また、抽出線Lの回転中心点γから遠い方の端点と回転中心点γとの距離を、距離βとする。そのような場合に、例えば、第1の方法として、距離αが一定の値以下であり、且ついずれか一方の端点が針式メータの回転中心点から最も離れている抽出線Lを針線に選択してもよい。また、例えば、第2の方法として、距離αが一定の値以下であり、且つ距離βが一定の値以上である抽出線Lの中から最も長い抽出線Lを針線に選択してもよい。さらに、上記の第1および第2の方法において、抽出線Lのうち両方の端点とも回転中心点αから一定の距離以上離れているものを、針線の候補から除外してもよい。
【0031】
以下、
図4に示す針式メータの例を用いて、針線の選択方法を参照する。
図4に示す針式メータは、背景色が単一であり、針は1本であり、背景色が白色、針の色が黒であるとする。また、事前知識として、針式メータには針以外長い線分がないとの情報が与えられているものとする。
図5は、抽出線L、回転中心点γ、延長抽出線L’、距離αおよび距離βの例を示す説明図である。なお、
図5(a)は、抽出線Lの例を示す説明図である。例えば、
図5(a)には、L
1〜L
5の5つの抽出線の例が示されている。また、
図5(b)は、回転中心点γの例を示す説明図である。また、
図5(c)は、延長抽出線L’の例を示す説明図である。
図5(c)において、実線部分が抽出線L、破線部分が延長抽出線L’を表している。例えば、
図5(c)には、L
1の延長抽出線であるL
1’、L
2の延長抽出線であるL
2’、L
4の延長抽出線であるL
4’、L
5の延長抽出線であるL
5’の例が示されている。なお、抽出線L
3は回転中心点からの垂線と直に接する位置にあるため、延長はされていない。また、
図7(d)は、距離αおよび距離βの例を示す説明図である。
図7(d)では、
図7(a)に示す抽出線L
5に対する距離αおよび距離βが示されている。
【0032】
針角度算出部14は、針線選択部13により選択された針線の角度を算出する。針角度算出部14は、画像の幅方向、高さ方向をx座標、y座標とする画像系において、画像を解析し、あらかじめ定められた基準線に対する針線の角度を算出してもよい。例えば、針角度算出部14は、y軸に平行な線の角度を0度とする場合は、−180度〜180度までの値を算出してもよい。
【0034】
図6は、本実施形態の針式メータ検出装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図6に示す例では、まず、線状画像生成部11が、入力画像から線状画像を生成する(ステップS11)。
【0035】
図7は、線状画像生成処理のより詳細な処理フローの例を示すフローチャートである。
図7に示すように、線状画像生成部11は、線状画像生成処理として、まず入力画像を二値化する(ステップS111)。二値化には既存の方法を使えばよく、あらかじめ定められた閾値と画素値を比較することによる方法、判別二値化、適応二値化(注目画素の画素値が、注目画素周辺の画素値から計算された統計量に基づいて定めた値と比較して大きな値であるかどうかに応じて、二値のいずれであるかどうかを割り当てる方法)などを利用できる。
【0036】
次に、線状画像生成部11は、線状画像生成処理として、二値画像の黒画素を細線化してもよい(ステップS112)。細線化には既存の方法や上述したような方法を利用できる。
【0037】
線状画像が生成されると、線抽出部12が、線状画像から線を抽出する(
図6のステップS12)。線抽出部12は、例えば、上述したように線状画像に対してハフ変換や確率的ハフ変換を施して、直線や所定形状の線(抽出線L)を抽出してもよい。
【0038】
次に、針線選択部13が、抽出線Lの中から針線の選択を行う(ステップS13)。針線選択部13は、抽出線Lの中から、所定の条件に従って針線を選択する。
【0039】
針線選択部13は、例えば、あらかじめ与えられたメータの回転中心点γを利用して、上述したように、距離αがあらかじめ定められた一定の値以下であって、距離βが最も大きい抽出線Lを針線として選択してもよい。
【0040】
また、メータの形状が円形である場合は、あらかじめ与えられた回転中心点γに変えて、一般化ハフ変換を用いて抽出された円の中心点を用いてもよい。複数の円が検出された場合には、複数の円の中心点の相対位置を解析し、あらかじめ定められた範囲内にある中心点の位置を平均して、回転中心点γとしてもよい。また、一般化ハフ変換の投票結果を利用して、最も投票数が集まった円の中心点を回転中心点γとしてもよい。
【0041】
最後に、針角度算出部14が、針角度の算出を行う(ステップS14)。針角度算出部14は、例えば、検出された針線上の任意の2点の座標(x
1,y
1)、(x
2,y
2)を用いて、以下の式(2)で示されるようなθを求めればよい。
【0042】
tanθ=(x
2−x
1)/(y
2−y
1) ・・・(2)
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、二値化に基づいて針線の検出(針線を含む線の抽出および選択)を行うように構成されているため、線幅の細い針であっても精度良く針線を抽出することができる。また、本実施形態によれば、二値化により長い連結成分を持つ線を針線として抽出できるため、針と背景とのコントラストが小さくノイズ成分を多く含む場合であっても、ノイズに起因する偽の線の影響を受けずに、精度良く針線を検出することができる。したがって、精度良く針式メータを検出できる。
【0044】
例えば、
図6に示すような針式メータの撮像画像に対して二値化を施すと、数字部分、円弧の部分、針の部分などから黒画素の連結成分が抽出される。円弧と針が重なった形で連結成分が得られる場合もある。針式メータのうち、円弧が背景に存在しないものについては、針の連結成分が他の連結成分と重ならずに抽出されるので、例えば、得られた連結成分がどれくらい細長いかを画像上で解析して、針線の選択を行ってもよい。
【0045】
ただし、円弧に限らず、他の図形や文字などが背景に存在する場合、それらと針とが正しく分離されない形で連結成分が抽出される場合がある。そのような場合にも、ハフ変換や確率的ハフ変換により、連結成分の各黒画素から直線を抽出するのに適した空間への変換(例えば、式(1)に基づく変換)を行うので、安定して連結成分の黒画素領域内の直線性が強い箇所が得られる。このようにして、画像中のメータ内で相対的に長い線分を、相対的にサイズの小さい数字や円弧のような曲がっている形の部分からではなく、針の部分から抽出できる。画像から針線に相当する線が抽出できれば、後は他の抽出線との比較により、針線を選択すればよい。なお、二値化後に細線化を行えば、さらに安定して針線を検出できる。
【0046】
実施形態2.
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態の針式メータ検出装置の構成例を示すブロック図である。
図8に示す針式メータ検出装置10は、
図1に示す第1の実施形態の構成とは、メータ画像照合部15と、画像記憶部16とをさらに備える点が異なる。加えて、針角度算出部14の処理内容が異なる。以下では、第1の実施形態と異なる点を主に説明する。
【0047】
画像記憶部16は、あらかじめ針式メータの画像を記憶する。画像記憶部16に記憶される針式メータの画像は、あらかじめ検出対象とされる針式メータがわかっている場合には、検出対象の針式メータの画像であればよい。なお、画像記憶部16は、検出対象とされる針式メータ以外の針式メータの画像を含む複数種類の針式メータの画像を記憶してもよい。以下、画像記憶部16に記憶される針式メータの画像を、DB画像と呼ぶ。
【0048】
DB画像は、例えば、針式メータを正面から撮影したものであってもよい。この際、メータ以外の領域はできるだけ含まれないように加工した上で、記憶されることが好ましい。なお、DB画像は、正面から撮影したもの以外にも、例えば、当該DB画像内の針式メータの傾きがわかる情報(底辺部分など、傾きの基準となる線等)を含む画像であってもよいし、そのような傾き情報が付与された画像であってもよい。
【0049】
メータ画像照合部15は、入力画像と、DB画像とを照合することにより、入力画像中のメータ領域を特定し、かつ、入力画像の傾きを補正するためのパラメータを求める。
【0050】
これらの構成要素を実現する上でもっとも好適な処理は、例えば、画像中から抽出される特徴点の組み合わせをDB画像と比較することにより求める方法である。例えば、SIFT(Sclase-Invariant Feature Transform)特徴点、SURF(Speeded Up Robust Features)特徴点、コーナー特徴点など、画像中から求められる特徴点の対応関係を利用してもよい。一例として、国際公開第2015/064107号パンフレットに記載の方法や、国際公開第2013/089004号パンフレットに記載の方法や、米国特許第6711293号明細書に記載の方法を用いてもよい。例えば、国際公開第2013/089004号パンフレットには、局所特徴点ベース手法の例が記載されている。
【0051】
また、例えば、国際公開第2015/064107号パンフレットには、入力画像と、あらかじめ指定された方法で登録されたラベル画像との比較により、ラベル画像を抽出するとともに、入力画像の傾きを補正する方法が記載されている。この方法におけるラベル画像をDB画像に置き換えることで実現可能である。
【0052】
また、本実施形態の針角度算出部14は、メータ画像照合部15により求められた入力画像の傾き具合を示す傾きパラメータ(ホモグラフィ行列、F行列等)を用いて、画像の傾き補正を行った上で、針角度を算出する。
【0054】
図9は、本実施形態の針式メータ検出装置の動作の一例を示すフローチャートである。ステップS11〜ステップS13の動作は第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0055】
ステップS13で針線が選択されると、次いで、メータ画像照合部15が入力画像をDB画像と照合して、入力画像に最も類似するDB画像を特定するとともに、入力画像の傾きに関するパラメータ(傾きパラメータ)を算出する(ステップS21)。
【0056】
最後に、針角度算出部14が、針角度を算出する(ステップS22)。針角度算出部14は、例えば、針線の位置情報を、メータ画像照合部15が求めた傾きパラメータを用いて変換(補正)した後に、針角度を算出する。針角度算出部14は、例えば、ステップS21の針線選択処理で出力される針線上の2点(x
1,y
1)、(x
2,y
2)を用いる場合、次のようにして針角度を求めてもよい。すなわち、点(x
1,y
1)および点(x
2,y
2)をそれぞれ傾きパラメータ(例えばホモグラフィ行列)を用いて変換し、点(x
1,y
1)および点(x
2,y
2)を変換後の点(a
1,b
1)および点(a
2,b
2)に置き換えた上記の式(2)で示されるようなθを求めればよい。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、入力画像中のメータの傾きを補正した上で、針角度を求めるように構成されているため、必ずしも正面からメータが撮影されていない入力画像に対しても、正面から撮影した場合に相当する針角度を算出できる。
【0058】
実施形態3.
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
図10は、本発明の第3の実施形態の針式メータ検出装置の構成例を示すブロック図である。
図10に示す針式メータ検出装置10は、
図8に示す第2の実施形態の構成とは、角度・指示値変換部17をさらに備える点が異なる。
【0059】
なお、本実施形態の針式メータ検出装置は、検出対象とされる針式メータを撮影した画像が入力されると、その針式メータの針の指示値を出力する。
【0060】
角度・指示値変換部17は、あらかじめ定められていたメータ情報またはメータ画像照合部15により特定されたDB画像に対応づけられているメータ情報を参照し、針角度から指示値への変換を行う。ここで、メータ情報は、針角度と指示値の対応規則を示す情報であればよく、例えば、針角度から指示値を計算する数式や、それを表すパラメータであってよい。
【0061】
本実施形態において、メータ画像照合部15は、後述する第5の実施形態の監視部16が有するような装置特定手段と同等の機能を有していてもよい。メータ画像照合部15は、傾きパラメータの算出に加えて、例えば、該手段と同様の方法を用いて装置の特定を行い、特定結果(装置番号や装置型番号等)を角度・指示値変換部17に提供してもよい。そのような場合、角度・指示値変換部17は、メータ画像照合部15により提供される該情報に対応するメータ情報を参照し、針角度から指示値への変換を行えばよい。また、メータ画像照合部15は、入力画像から文字や図形等を読み取る場合、その読み取り結果から入力画像中の傾きを検出してもよく、その場合DB画像の照合処理を省略してもよい。
【0063】
図11は、本実施形態の針式メータ検出装置の動作の一例を示すフローチャートである。ステップS11〜ステップS13,ステップS21およびステップS22の動作は第1および第2の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0064】
本実施形態では、ステップS22で針角度が算出されると、角度・指示値変換部17が、メータ情報に基づいて、ステップS22の針角度算出処理で出力された針角度情報から指示値に変換する(ステップS31)。
【0065】
以上のように、本実施形態によれば、針角度から指示値に変換するように構成されているため、針式メータの指示値が得られる。
【0066】
実施形態4.
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。
図12は、本発明の第4の実施形態の針式メータ検出装置の構成例を示すブロック図である。
図12に示す針式メータ検出装置10は、
図10に示す第3の実施形態の構成とは、針角度算出部14および角度・指示値変換部17に代えて、針線位置検証部18を備える点が異なる。
【0067】
なお、本実施形態の針式メータ検出装置は、検出対象とされる針式メータを撮影した画像が入力されると、その針式メータの針の状態(指し示している状態)が正常かどうかの検証結果を出力する。
【0068】
針線位置検証部18は、メータ画像照合部15により特定されたDB画像またはあらかじめ定められたもしくはメータ画像照合部15により特定されたメータ情報を基に、針線選択部13によって選択された針線の指示位置が正常か否かを検証する。針線位置検証部18は、例えば、第2の実施形態の針角度算出部14と同様に、メータ画像照合部15が計算する傾きパラメータを用いて針線の位置を変換(傾きを補正)した上で、変換後の針線の位置が、DB画像またはメータ情報で示される正常範囲を表す領域に包含されているか否かを判定することで、正常範囲に収まっているか否かを判定してもよい。
【0069】
なお、本実施形態の画像記憶部16に記憶されるDB画像には、当該画像内の針式メータの針線の指示位置の正常範囲を示す情報が付与されているか、正常範囲を示す描画がされているものとする。または、本実施形態のメータ情報には、メータ内における針線位置の正常範囲に関する情報が含まれているものとする。
【0070】
また、メータ画像照合部15は、第3の実施形態と同様、装置特定手段の機能を有していてもよい。その場合、メータ画像照合部15は、該手段と同様の方法を用いて装置の特定を行い、特定結果(装置番号や装置型番号等)から装置や機種毎にあらかじめ定められたメータ情報を取得して、針線の位置の正常範囲を特定してもよい。なお、本実施形態の画像記憶部16に記憶されるDB画像を特定すれば、該DB画像から針線の位置の正常範囲を特定可能であるが、メータ画像照合部15は、DB画像の特定(照合)に代えて、上述の装置特定手段を利用してメータ情報を取得することにより、針線の位置の正常範囲を特定してもよい。針線位置検証部18は、メータ画像照合部15により特定される正常範囲を基に、針線選択部13によって選択された針線の指示位置が正常か否かを検証してもよい。
【0071】
図13は、針線位置の検証例を示す説明図である。
図13に示すように、DB画像に対してあらかじめ設定されている正面視によるメータ内での正常範囲(図中の三角形で図示されている領域)を示す領域を入力画像中のメータに適用して、適用後の正常範囲内に、変換後の針線の指示部分や主要部分が包含されていれば正常、そうでなければ異常と判定してもよい。ここで、入力画像中のメータへの正常範囲の適用方法は、例えば、DB画像内のメータと入力画像中のメータがほぼ同じ大きさ・向きとなるように入力画像またはその座標系を拡大・拡張したり、回転させればよい。また、針線の指示部分は、例えば、回転中心点γから遠い方の端点としてもよい。また、針線の不要部分は、例えば、回転中心点γから指示部分までの線分の50%以上としてもよい。なお、本例では、DB画像に付されるメータ情報として、正常範囲を表す当該DB画像中の部分領域の情報が与えられるものとしている。
図13に示す例では、針線の指示部分が正常範囲内に包含されているので、正常と判定される。
【0073】
図14は、本実施形態の針式メータ検出装置の動作の一例を示すフローチャートである。ステップS11〜ステップS13およびステップS21の動作は第1および第2の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0074】
本実施形態では、ステップS13で針線が選択され、ステップS21でDB画像が特定されると、針線位置検証部18が、針線の位置を検証する(ステップS41)。
【0075】
以上のように、本実施形態によれば、針線と、特定されたDB画像に対応づけられた正常範囲とを画像上で比較して、針線位置の正誤を判定するよう構成されているため、例えば、針の指示する値が異常の場合にのみ該異常を検知したい場合などに、あらかじめ針角度と指示値の対応づけをすることなく実施することが可能である。
【0076】
なお、第4の実施形態では、針線の位置と、DB画像中の正常範囲の領域を示す情報とから、針の状態が正常であるかどうかを判定しているが、例えば、針角度や指示値に基づいても同様のことが実施可能である。そのような場合、上記の針式メータ検出装置10が針角度算出部14や角度・指示値変換部17をさらに備えればよい。そして、第2および第3の実施形態の方法で針線の位置に基づいて針角度や指示値を求めた後、あらかじめ格納された正常範囲を示す情報に基づき、その値が正常範囲内か否か判定すればよい。
【0077】
また、正常範囲を示す領域は、メータ内に正常範囲を示す2点のマークが物理的に貼付されている場合には、画像解析により検出される該2点と回転中心点とを結ぶ領域としてもよい。
【0078】
また、正常範囲を示す領域を入力する際には、例えば、タッチ操作を受け付けるタブレット端末等を用いて、ディスプレイにDB画像を表示させながら、正常範囲を示す多角形の頂点のユーザ入力を受け付けるような機能を付加してもよい。類似の例が、国際公開第2012/053626号パンフレットに記載されており、それを利用してもよい。
【0079】
実施形態5.
次に、本発明の第5の実施形態を説明する。
図15は、本発明の第5の実施形態の針式メータ検出装置の構成例を示すブロック図である。
図15に示す針式メータ検出装置10は、
図12に示す第4の実施形態の構成とは、監視部19をさらに備える点が異なる。
【0080】
監視部19は、針線位置検証部18による異常判定の有無を監視する。監視部19は、例えば、針線位置検証部18によって異常と判定された場合に、装置の緊急停止等のオペレーションや、作業を管轄する管理センター等への通報等を行ってもよい。また、保守点検を実施する作業員に注意喚起する情報を提示するようにしてもよい。
【0081】
このとき、監視部19は、外部入力される情報(入力画像を含む)から装置(検出対象とされる針式メータ)を特定する装置特定手段(図示省略)を有していてもよい。装置特定手段は、例えば、文字認識手段であって、入力画像から装置番号や装置型番等を得ることにより装置を特定してもよい。また、装置特定手段は、例えばID読み取り手段であって、装置にあらかじめ貼付されたバーコード、二次元バーコード、RFID等(以下、単にID等という)を入力画像から読み取る方法で装置番号や装置型番等を得ることにより装置を特定してもよい。なお、ID等の読み取り方法は上記に限られず、例えば、所定のタイミングで所定位置に置かれたり、かざされたものを直接読み取ってもよい。また、装置特定手段は、例えばユーザ入力受付手段であって、ユーザに装置番号や装置型番等を入力させることにより、装置を特定してもよい。そのような場合に、針線位置検証部18は、得られた装置番号や装置型番等に応じた異常状態の判定基準を用いて、異常か否かの判定を行うことも可能である。また、角度・指示値変換部17を備える場合において、角度・指示値変換部17が、得られた装置番号や装置型番等に応じた変換パラメータを用いて、針角度から指示値に変換してもよい。また、監視部19は、異常状態を管理センター等へ通報する際に、得られた装置番号や指示値の値を含む情報を送信してもよい。以上の説明では、装置番号や装置型番等により装置を特定する方法を説明したが、装置の特定はこれらに限定されるものではなく、例えば、計器の設置者、管理者等が独自につけた任意の文字列、記号列、図形等を認識してもよい。
【0082】
このような構成により、設備点検を行う作業員の代替、もしくは作業補助が可能になる。
【0083】
また、監視部19は、異常判定の有無に関係なく、入力画像から検出された値(角度情報や指示値)を所定のサーバに通知してもよい。その際、監視部19は、入力画像とともに与えられたまたは画像解析により得られた装置番号を、検出された数値とともに通知してもよい。そのような場合に、針式メータ検出装置10が、撮像部を備え、一定周期で検出対象とされた針式メータを撮影し、その画像を線状画像生成部11に入力してもよい。その際、撮像部が、針の読み取りに適した位置・角度に設置されるのが好ましい。
【0084】
このような構成により、針式メータ検出装置10を、連続的な読み取り値のアップロードを行うスマートメータとして利用することが可能になる。
【0085】
次に、本発明の各実施形態にかかるコンピュータの構成例を示す。
図16は、本発明の各実施形態にかかるコンピュータの構成例を示す概略ブロック図である。コンピュータ1000は、CPU1001と、主記憶装置1002と、補助記憶装置1003と、インタフェース1004と、ディスプレイ装置1005と、入力装置1006とを備える。
【0086】
上述の各実施形態の針式メータ検出装置は、コンピュータ1000に実装されてもよい。その場合、針式メータ検出装置の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置1003に記憶されていてもよい。CPU1001は、プログラムを補助記憶装置1003から読み出して主記憶装置1002に展開し、そのプログラムに従って各実施形態における所定の処理を実施する。
【0087】
補助記憶装置1003は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例として、インタフェース1004を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ1000に配信される場合、配信を受けたコンピュータは1000がそのプログラムを主記憶装置1002に展開し、各実施形態における所定の処理を実行してもよい。
【0088】
また、プログラムは、各実施形態における所定の処理の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、プログラムは、補助記憶装置1003に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで各実施形態における所定の処理を実現する差分プログラムであってもよい。
【0089】
また、実施形態における処理内容によっては、コンピュータ1000の一部の要素は省略可能である。例えば、針式メータ検出装置がユーザに情報を提示しないのであれば、ディスプレイ装置1005は省略可能である。また、例えば、針式メータ検出装置がユーザから情報を入力しないのであれば、入力装置1006は省略可能である。ただし、その場合には少なくとも画像を入力する手段は別途備えられているものとする。
【0090】
また、各装置の各構成要素の一部または全部は、汎用または専用の回路(Circuitry)、プロセッサ等やこれらの組み合わせによって実施される。これらは単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0091】
各装置の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントアンドサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。
【0092】
次に、本発明の概要を説明する。
図17は、本発明の概要を示すブロック図である。
図17に示すように、本発明の針式メータ検出装置は、線状画像生成手段101と、線抽出手段102と、針線選択手段103とを備えている。
【0093】
線状画像生成手段101(例えば、線状画像生成部11)は、検出対象とされる針式メータを撮影した画像が入力されると、入力画像に対して二値化を少なくとも行い、線状画像を生成する。
【0094】
線抽出手段102(例えば、線抽出部12)は、生成された線状画像から直線または所定形状の線を抽出する。
【0095】
針線選択手段103(例えば、針線選択部13)は、抽出された直線または所定形状の線である抽出線の中から、針に相当する線である針線を選択する。
【0096】
このような構成によれば、入力画像から精度よく針線を検出できるので、それに伴い針式メータの指示値またはそれに関する値やそれらの正誤の検出を精度よく行うことができる。
【0097】
なお、針式メータ検出装置は、所定の角度基準線に対する針線の角度を算出する角度算出手段をさらに備えていてもよい。
【0098】
また、針式メータ検出装置は、予め1種類以上の針式メータの画像を、当該画像内の針式メータの傾き角が特定可能な態様で記憶する画像記憶手段と、入力画像と、画像記憶手段に記憶された針式メータの画像であるDB画像とを照合して、入力画像と最も類似するDB画像を特定するメータ画像照合手段とを備え、角度算出手段は、照合の結果特定される入力画像中の針式メータの傾き具合を表す角度パラメータに基づいて、入力画像中の針式メータの傾きを補正した上で、所定の角度基準線に対する針線の角度を算出してもよい。ここで、画像内の針式メータの傾き角が特定可能な態様とは、例えば、あらかじめ固定な値(0度)とするルール決めがされていてもよいし、画像中のメータの傾き角を示す情報を当該画像に付してもよいし、画像中にメータの傾き角を算出可能な特定の印や色付け等がされていてもよい。
【0099】
また、針式メータ検出装置は、針線の角度と指示値の対応規則を示す情報に基づいて、針線の角度を指示値に変換する指示値変換手段を備えていてもよい。
【0100】
また、針式メータ検出装置は、外部入力される情報から検出対象とされる針式メータ内における針線の指示位置の正常範囲を特定する特定手段と、特定された正常範囲に基づいて、選択された針線の状態が正常か異常かを判定する判定手段とを備えていてもよい。該特定手段は、例えば、画部入力される情報(入力画像を含む)から装置を特定する情報を取得して、該情報に対応づけられたメータ情報により針線の指示位置の正常範囲を特定する手段であってもよい。また、例えば、入力画像と、画像記憶手段に記憶された針式メータの画像であるDB画像とを照合して、入力画像と最も類似するDB画像を特定する手段であってもよい。そのような場合には、針式メータ検出装置は、予め1種類以上の針式メータの画像を、当該画像内の針式メータの針線の指示位置の正常範囲が特定可能な態様で記憶する画像記憶手段を備えているものとする。ここで、画像内の針式メータの針線の指示位置の正常範囲が特定可能な態様とは、例えば、画像中のメータの針線の指示位置の正常範囲を示す情報を当該画像に付してもよいし、画像中に針線の指示位置の正常範囲を示す特定の印や色付け等がされていてもよい。
【0101】
また、針式メータ検出装置は、針線の角度、指示値または針線の状態を含む情報を、所定のサーバ装置に出力する監視手段を備えていてもよい。
【0102】
以上、本実施形態および実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。