(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、
図1から
図22を参照し、第1実施形態として、本発明をスロットマシン10に適用した場合の一実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態におけるスロットマシン10の正面図である。
図2は、前扉12を閉じた状態のスロットマシン10の斜視正面図であり、
図3は、前扉12を開いた状態のスロットマシン10の斜視正面図である。
図4は、前扉12の背面図であり、
図5は、筐体11の正面図である。
【0014】
なお、以下の説明では、
図1に示す状態のスロットマシン10に対して、紙面手前側を前方(正面)側として、紙面奥側を後方(背面)側として説明する。また、
図1に示す状態のスロットマシン10に対して、上側を上方(上)側として、下側を下方(下)側として、右側を右方(右)側として、左側を左方(左)側としてそれぞれ説明する。さらに、図中の矢印U−D,L−R,F−Bは、スロットマシン10の上下方向,左右方向,前後方向をそれぞれ示している。
【0015】
図1から
図5に示すように、スロットマシン10は、その外郭を形成する筐体11を備えている。筐体11は、
図3及び
図5に示すように、木製板状に形成された天板11a,底板11b、左側板11dおよび右側板11eからなり、隣接する各板11aから11eが接着等の固定手段によって固定されることにより、全体として正面側(矢印F方向側)の一面を開放した箱状に形成されている。なお、各板11a〜11eは木製のパネルによって構成する以外に、合成樹脂材料または金属材料によって一体の箱状に形成することによって構成してもよい。以上のように構成された筐体11は、遊技ホールへの設置の際にいわゆる島設備に対し釘を打ち付ける等して取り付けられる。
【0016】
また、筐体11の底板11bには、筐体11の開放側(矢印F方向側)の内面に、板状体からなる金属製の金属プレート11b1が配置される。これにより、後述する前扉12が筐体11の正面(開放)側に配設される場合に、前扉12の一部を金属プレート11b1に乗り上げさせて配設でき、この際に筐体11の底板11bが擦れて脆くなることを抑制できる。また、前扉12の一部を金属プレート11b1の正面側に乗り上げて配設することで、前扉12を筐体11の底面11bで支えることができる(即ち、金属プレート11b1を補強として利用できる)。これにより、後述する筐体11の支軸25a,25bおよび前扉12の支持金具26a,26bが破損することを抑制できる。
【0017】
筐体11の正面側(矢印F方向側)には、前面開閉扉としての前扉12が開閉可能に取り付けられている。即ち、筐体11の左側板11dには、
図5に示すように、上下一対の支軸25a,25bが設けられている。支軸25a,25bは上方に向けて突出された先細り形状の軸部を備えている。一方、前扉12には、
図4に示すように、各軸25a,25bに対応して当該支軸25a,25bの軸部が挿入される軸支孔を備えた支持金具26a,26bが設けられている。そして、各支軸25a,25bの上方に支持金具26a,26bを配置させたうえで前扉12を降下させることにより、支持金具26a,26bの挿入孔に支軸25a,25bの軸部が挿入された状態とされる。これにより、前扉12は筐体11に対して両支軸25a,25bを結ぶ上下方向(矢印U−D方向)へ延びる開閉軸線を中心として回動可能に支持され、その回動によって筐体11の前面開放側を開放したり閉鎖することができるように構成されている。
【0018】
なお、以下の説明では、
図2に示すように前扉12が筐体11に対して閉鎖された状態(筐体11の開放面に前扉12が配設された状態)を閉鎖状態として、
図3に示すように前扉12が筐体11に対して開放された状態(筐体11の開放面が開放された状態)を開放状態として説明する。また、以下の説明では、特段の説明がない限り、前扉12が筐体11に対して閉鎖された閉鎖状態での説明をするものとする。
【0019】
前扉12は、その裏面に設けられた施錠装置によって開放不能な施錠状態とされる。また、前扉12の右端側(矢印R方向側)の上部(矢印U方向部分)には、
図1に示すように、解錠操作部のキーシリンダ20が設けられている。キーシリンダ20は施錠装置と一体化されており、キーシリンダ20に対する所定キー操作によって施錠状態が解錠されるように構成されている。そこで、施錠装置を含むロック機構について概略を説明する。
【0020】
前扉12の右端側、すなわち前扉12の開閉軸の反対側(矢印R方向側)には、その裏面に施錠装置が設けられている。施錠装置は、
図3及び
図4に示すように、上下方向に延び前扉12に固定された基枠と、基枠の上部から前扉12の前方に延びるように設けられたキーシリンダ20と、基枠に対して上下方向に移動可能に組み付けられた長尺状の連動杆21とを備えている。そして、施錠装置のうちキーシリンダ20だけが前扉12の前方に突出した状態で設けられている。キーシリンダ20が設けられる位置は前扉12の中でも肉厚の薄い上部位置とされており、その結果、全長の短い汎用性のあるキーシリンダ20を採用することができる。なお、本実施の形態では、キーシリンダ20として、不正解錠防止機能の高いオムロック(商標名)が用いられている。
【0021】
連動杆21は、キーシリンダ20に差し込んだキーを時計回りに操作することで下方へ移動される。連動杆21には、鉤形状をなす上下一対の鉤金具22が設けられており、筐体11に対して前扉12を閉鎖した際(閉鎖状態)には、鉤金具22が筐体11側の支持金具23に係止されて施錠状態となる。なお、鉤金具22には施錠状態を維持する側へ付勢するコイルバネ等の付勢部材が設けられている。キーシリンダ20に対してキーが時計回りに操作されると、連動杆21が下方に移動し、前記付勢部材の付勢力に抗して鉤金具22が移動されることにより当該鉤金具22と支持金具23との係止状態が解除され、筐体11に対する前扉12の施錠状態が解除される。
【0022】
前扉12の中央部上寄り(矢印U方向寄り)には、
図1に示すように、遊技者に遊技状態を報知する遊技パネル30が設けられている。遊技パネル30には、縦長の3つの表示窓31L,31M,31Rが横並びとなるように形成されている。表示窓31L,31M,31Rは透明または半透明な材質により構成されており、各表示窓31L,31M,31Rを通じてスロットマシン10の内部が視認可能な状態となっている。なお、各表示窓31L,31M,31Rを1つにまとめて共通の表示窓としてもよい。
【0023】
図3に示すように、筐体11は仕切り板5によりその内部が上下2分割されており、仕切り板40の上部には、表示装置を構成するリールユニット41が取り付けられている。リールユニット41は、円筒状(円環状)にそれぞれ形成された左リール42L,中リール42M,右リール42Rを備えている。なお、各リール42L,42M,42Rは少なくとも無端状ベルトとして構成されていればよく、円筒状(円環状)に限定されるものではない。各リール42L,42M,42Rは、その中心軸線が当該リールの回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール42L,42M,42Rの回転軸線は略水平方向に延びる同一軸線上に配設され、それぞれのリール42L,42M,42Rが各表示窓31L,31M,31Rと1対1で対応している。従って、各リール42L,42M,42Rの表面の一部はそれぞれ対応する表示窓31L,31M,31Rを通じて視認可能な状態となっている。また、リール42L,42M,42Rが正回転すると、各表示窓31L,31M,31Rを通じてリール42L,42M,42Rの表面は上から下へ向かって移動しているかのように映し出される。
【0024】
これら各リール42L,42M,42Rは、それぞれがステッピングモータ61L,61M,61Rに連結されており、各ステッピングモータ61L,61M,61Rの駆動により各リール42L,42M,42Rが個別に、即ちそれぞれ独立して回転駆動し得る構成となっている。これら各リール42L,42M,42Rは同様の構成をしているため、ここでは左リール42Lを例に挙げて
図6に基づいて説明する。なお、
図6は左リール42Lの組立斜視図である。
【0025】
左リール42Lは、円筒状のかごを形成する円筒骨格部材50と、その外周面において無端状に巻かれた帯状のベルトとを備えている。そして、その巻かれた状態を維持するように、ベルトの長辺両側に沿って形成された一対のシール部を介して円筒骨格部材50に貼付されている。前記ベルトの外周面には、識別情報としての図柄が等間隔ごとに多数印刷されている。円筒骨格部材50の中心部にはボス部51が形成されており、円盤状のボス補強板52を介して左リール用ステッピングモータ61Lの駆動軸に取り付けられている。従って、左リール用ステッピングモータ61Lの駆動軸が回転することによりその駆動軸を中心として円筒骨格部材50が自転するように回転され、左リール42Lが円環状のリール面に沿って周回するようになっている。
【0026】
左リール用ステッピングモータ61Lは、リールユニット41(
図3)内において起立状態に配置されたモータプレート53の側面にねじ54で固定されている。モータプレート53には、発光素子55aと受光素子55bとが所定間隔をおいて保持されたリールインデックスセンサ(回転位置検出センサ)55が設置されている。一方、左リール42Lと一体化されたボス補強板52には、半径方向に延びるセンサカットバン56の基端部56bがねじ57で固定されている。このセンサカットバン56の先端部56aは、略直角に屈曲されてリールインデックスセンサ55の両素子55a,55bの間を通過できるように位置合わせがなされている。そして、左リール42Lが1回転するごとにセンサカットバン56の先端部56aの通過をリールインデックスセンサ55が検出し、その検出の都度、後述する主制御装置131に検出信号が出力される。従って、主制御装置131はこの検出信号に基づいて左リール42Lの角度位置を1回転ごとに確認し補正できる。
【0027】
ステッピングモータ61Lは例えば504パルスの駆動信号(励磁信号あるいは励磁パルスとも言う。以下同じ)を与えることにより1回転されるように設定されており、この励磁パルスによってステッピングモータ61Lの回転位置、すなわち左リール42Lの回転位置が制御される。
【0028】
各リール42L,42M,42Rの各ベルト上には、その長辺方向(周回方向)に複数個、具体的には21個の図柄が描かれている。従って、所定の位置においてある図柄から次の図柄へ切り替えるには24パルス(=504パルス÷21図柄)を要する。そして、リールインデックスセンサ55の検出信号が出力された時点からのパルス数により、どの図柄が表示窓31Lから視認可能な状態となっているかを認識したり、任意の図柄を表示窓31Lから視認可能な状態としたりする制御を行うことができる。
【0029】
各リール42L,42M,42Rに付された図柄のうち、表示窓31L,31M,31Rを介して全体を視認可能な図柄数は、主として表示窓31L,31M,31Rの上下方向の長さによって決定される所定数に限られている。本実施形態では各リール3個ずつとされている。このため、各リール42L,42M,42Rがすべて停止している状態では、3×3=9個の図柄が遊技者に視認可能な状態となる。
【0030】
ここで、各リール42L,42M,42Rに付される図柄について説明する。
図7には、左リール42L,中リール42M,右リール42Rのそれぞれに巻かれるベルトに描かれた図柄配列が示されている。同図に示すように、各リール42L,42M,42Rにはそれぞれ21個の図柄が一列に設けられている。各リール42L,42M,42Rに対応して番号が1〜21まで付されているが、これは説明の便宜上付したものであり、リール42L,42M,42Rに実際に付されているわけではない。但し、以下の説明では当該番号を使用して説明する。
【0031】
図柄としては、ビッグボーナスゲームに移行するための第1特別図柄としての「7」図柄(例えば、左ベルト第20番目)と「青年」図柄(例えば、左ベルト19番目)とがある。また、レギュラーボーナスゲームに移行するための第2特別図柄としての「BAR」図柄(例えば、左ベルト第14番目)がある。また、次回の遊技がメダルの投入無しに実行可能なリプレイゲームに移行するための第3特別図柄としての「リプレイ」図柄(例えば、左ベルト第11番目)がある。また、小役の払出が行われる小役図柄としての「スイカ」図柄(例えば、左ベルト第9番目)、「ベル」図柄(例えば、左ベルト第8番目)、「チェリー」図柄(例えば、左ベルト第4番目)がある。そして、
図7に示すように、各リール42L,42M,42Rに巻かれるベルトにおいて、各種図柄の数や配置順序は全く異なっている。
【0032】
なお、リールユニット41の各リール42L,42M,42Rは識別情報を変動表示する表示装置の一例であり、表示装置はこれ以外の構成であってもよい。例えば、ベルトを自転させるのではなく周回させるタイプ等の他の機械的なリール構成としてもよく、また、機械的なリール構成に代えて、或いはこれに加えて、液晶表示器、ドットマトリックス表示器等の電気的表示により識別情報を変動表示させるものを設けてもよく、この場合は表示形態に豊富なバリエーションをもたせることが可能となる。
【0033】
遊技パネル30には、各表示窓31L,31M,31Rを結ぶようにして、横方向へ平行に3本、斜め方向へたすき掛けに2本、計5本の組合せラインが付されている。勿論、最大組合せライン数を6以上としてもよく、5未満としてもよく、所定条件に応じて最大組合せライン数を変更するようにしてもよい。これら各組合せラインに対応して、表示窓31L,31M,31R群の正面から見て左側には有効ライン表示部32,33,34が設けられている。第1有効ライン表示部32は組合せラインのうち中央の横ライン(中央ライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第2有効ライン表示部33は組合せラインのうち上下の横ライン(上ライン及び下ライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第3有効ライン表示部34は組合せラインのうち一対の斜めライン(右下がりライン及び右上がりライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。そして、有効化された組合せライン、すなわち有効ライン上に図柄が所定の組合せで停止した場合に入賞となり、予め定められたメダル払出処理や特定遊技への移行処理などが実行される。
【0034】
ここで、入賞となった場合の各図柄に関する払出枚数について説明する。小役図柄に関し、「スイカ」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合には15枚のメダル払出、「ベル」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合には8枚のメダル払出、左リール42Lの「チェリー」図柄が有効ライン上に停止した場合には2枚のメダル払出が行われる。即ち、中リール42M及び右リール42Rの「チェリー」図柄はメダル払出と無関係である。また、「チェリー」図柄に限っては、他の図柄との組合せとは無関係にメダル払出が行われるため、左リール42Lの複数の有効ラインが重なる位置(具体的には上段又は下段)に「チェリー」図柄が停止した場合には、その重なった有効ラインの数を乗算した分だけのメダル払出が行われることとなり、結果として本実施の形態では4枚のメダル払出が行われる。
【0035】
また、その他の図柄に関しては、第1特別図柄(ビッグボーナス図柄)の組合せである「7」図柄又は「青年」図柄が同一図柄にて有効ライン上に左・中・右と揃った場合には15枚のメダル払出、第2特別図柄(レギュラーボーナス図柄)の組合せである「BAR」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合にも15枚のメダル払出が行われる。なお、本実施形態においては、例えば「7」図柄と「チェリー」図柄とが同時に成立する場合が生じ得るが、かかる場合におけるメダル払出は15枚である。これは、1回のメダル払出における上限枚数が15枚に設定されているためである。
【0036】
更に、第3特別図柄の組合せである「リプレイ」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合にはメダル払出は行われない。その他の場合、即ち有効ライン上に左リール42Lの「チェリー」図柄が停止せず、また有効ライン上に左・中・右と同一図柄が揃わない場合が外れとなり、この場合には一切メダル払出は行われない。
【0037】
遊技パネル30の下方左側には、
図1に示すように、各リール42L,42M,42Rを一斉(同時である必要はない)に回転開始させるために操作されるスタートレバー71が設けられている。スタートレバー71はリール42L,42M,42Rを回転開始、すなわち図柄の変動表示を開始させるべく始動操作が行われる始動操作手段を構成する。スタートレバー71は、遊技者が遊技(ゲーム)を開始するときに手で押し操作するレバーであり、内蔵されるバネにより手が離れたあと元の位置に自動復帰する。メダルが投入されているときにこのスタートレバー71が操作されると、各リール42L,42M,42Rが一斉に回転を始める。
【0038】
スタートレバー71の右側には、
図1に示すように、回転している各リール42L,42M,42Rを個別に停止させるために操作されるボタン状のストップスイッチ72,73,74が設けられている。各ストップスイッチ72,73,74は停止対象となるリール42L,42M,42Rに対応する表示窓31L,31M,31Rの直下にそれぞれ配置されている。ストップスイッチ72,73,74はリール42L,42M,42Rの回転に基づく変動表示を停止させるべく操作される停止操作手段を構成する。各ストップスイッチ72,73,74は、左リール42Lが回転を開始してから所定時間が経過すると停止させることが可能な状態となり、かかる状態中には図示しないランプが点灯表示されることによって停止操作が可能であることが報知され、回転が停止すると消灯されるようになっている。
【0039】
表示窓31L,31M,31Rの下方右側には、
図1に示すように、遊技を行うための遊技媒体としてのメダルを投入するためのメダル投入口75が設けられている。メダル投入口75は遊技媒体を受入可能な受入口を構成する。また、メダル投入口75が遊技者によりメダルを直接投入するという動作を伴う点に着目すれば、遊技媒体を直接入力する直接入力手段を構成するものともいえる。
【0040】
メダル投入口75から投入されたメダルは、
図3に示すように、前扉12の背面に設けられたセレクタ83によって貯留用通路81か排出用通路82のいずれかへ導かれる。セレクタ83には、後述するメダル通路切替部材84が設けられ、そのメダル通路切替部材84の状態に応じてメダルの通過方向が排出用通路82側か、貯留用通路81側かで切り替えられるようになっている。貯留用通路81に導かれたメダルは、筐体11の内部に収納されたホッパ装置300へと導かれる。一方、排出用通路82に導かれたメダルは、前扉12の正面下部に設けられたメダル排出口17からメダル受け皿18へと導かれ、遊技者に返却される。
【0041】
メダルを遊技者に付与する払出手段としてのホッパ装置300は、
図5に示すように、リールユニット41の下方に配置される。また、ホッパ装置300は、
図3に示すように、メダルを貯留する貯留タンク400と、メダルを遊技者に払い出す排出装置500とより構成されている。排出装置500は、後述する回転ディスク520を回転させることにより、排出用通路82の中央右部に設けられた開口94へメダルを排出し、排出用通路82を介してメダル受け皿18へメダルを払い出すようになっている。
【0042】
ホッパ装置300の右方には、
図5に示すように、貯留タンク400内に所定量以上のメダルが貯留されることを回避するための予備タンク95が設けられている。ホッパ装置300の貯留タンク400内部には、この貯留タンク400から予備タンク95へとメダルを排出する誘導プレート413が設けられている。したがって、誘導プレート413が設けられた高さ以上にメダルが貯留された場合、かかるメダルが予備タンク95に貯留されることとなる。
【0043】
メダル投入口75の下方には、
図2に示すように、ボタン状の返却スイッチ76が設けられている。返却スイッチ76は、メダル投入口75に投入されたメダルがセレクタ83内に詰まった際に押されるスイッチであり、この返却スイッチ76が押されることによりセレクタ83が機械的に連動して動作され、当該セレクタ83内に詰まったメダルがメダル排出口17より返却されるようになっている。
【0044】
表示窓31L,31M,31Rの下方左側には、
図2に示すように、遊技媒体としてクレジットされた仮想メダルを一度に3枚投入するためのボタン状の第1クレジット投入スイッチ77が設けられている。また、第1クレジット投入スイッチ77の左方には当該スイッチ77よりも小さなボタン状に形成された第2クレジット投入スイッチ78及び第3クレジット投入スイッチ79が設けられている。第2クレジット投入スイッチ78はクレジットされた仮想メダルを一度に2枚投入するためのものであり、第3クレジット投入スイッチ79は仮想メダルを1枚投入するためのものである。
【0045】
各クレジット投入スイッチ77〜79は前記メダル投入口75と共に遊技媒体を入力する入力手段を構成する。また、メダル投入口75が遊技者によりメダルを直接投入するという動作を伴うのに対し各クレジット投入スイッチ77〜79は貯留記憶に基づく仮想メダルの投入という動作を伴うに過ぎない点に着目すれば、投資価値を間接入力する間接入力手段を構成するものともいえる。
【0046】
なお、第1クレジット投入スイッチ77は、1ゲームにつき投入できるメダル最大数(3枚)に達していないことを促すため、図示しない発光部材としてのランプが内蔵されている。当該ランプは、第1クレジット投入スイッチ77のスイッチ操作が有効である状況時において点灯されて当該スイッチ77の操作を促すが、クレジットされた仮想メダルが存在しない場合や既に3枚のメダル投入がなされている状況下では消灯される。ここで、上記点灯に代えて、点滅させてメダル投入の促しを遊技者に一層分かり易くしてもよい。
【0047】
スタートレバー71の左側には、
図2に示すように、ボタン状の切換スイッチ80が設けられている。切換スイッチ80は、1度押されるとオン状態になり、もう1度押されるとオフ状態になり、その後押下操作が行われるごとにオンオフが切り替わるトグル式に構成されている。切換スイッチ80は、メダル投入口75に必要量より多く投入された投入メダルや、所定の遊技の結果遊技者に返還される獲得メダルの取扱形式を変更するために操作される。
【0048】
切換スイッチ80がオン状態のときには、所定の最大値(例えばメダル50枚分)となるまでの余剰の投入メダルや入賞時の獲得メダルがクレジットメダルとして貯留記憶されるように設定された「クレジットモード」となる。切換スイッチ80がオフ状態のときには、余剰の投入メダルや入賞時の獲得メダルを現実のメダルとして払い出すように設定された「ダイレクトモード」となる。なお、クレジットモードからダイレクトモードに切り換えられた際にクレジットメダルがある場合には、その分のクレジットメダルが現実のメダルとして払い出される。このように、遊技者はクレジットモードとダイレクトモードとを切り換えることにより自身の好みに応じた形式で遊技を実行することができる。かかる切換スイッチ80は投入価値及び遊技価値の取扱形式を切り換える切換操作手段を構成する。また、クレジットされた仮想メダルを現実のメダルとして払い出すという機能に着目すれば、切換スイッチ80は貯留記憶された遊技価値を実際に払い出すための精算操作手段を構成するものともいえる。なお、切換スイッチ80の操作により「クレジットモード」と「ダイレクトモード」とを切り換えるように構成する他、常に「クレジットモード」としておき切換スイッチ80が操作されると貯留記憶された仮想メダルを払い出すだけの精算スイッチとして機能させてもよい。
【0049】
遊技パネル30の表示窓31L,31M,31R下方には、クレジットモード時に有効化されて貯留記憶されたメダル数を表示する残数表示部35と、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等の特別遊技状態の際に例えば残りのゲーム数等を表示するゲーム数表示部36と、獲得メダルの枚数を表示する獲得枚数表示部37とがそれぞれ設けられている。これら表示部35〜37は7セグメント表示器によって構成されているが、液晶表示器等によって代替することは当然可能である。
【0050】
ここで、メダルがベットされる手順について説明する。ダイレクトモード、クレジットモードのいずれのモードにおいても、遊技の開始時にメダル投入口75からメダルが投入されるとベットとなる。
【0051】
すなわち、1枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、第1有効ライン表示部32が点灯し、そしてこれに対応する中央ラインが有効ラインとなり、2枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、更に第2有効ライン表示部33が点灯すると共に、これに対応する上ライン及び下ラインを含む合計3本の組合せラインがそれぞれ有効ラインとなり、3枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、更に第3有効ライン表示部34が点灯し、そしてこれに対応する一対の斜めラインを含む合計5本の組合せライン全てが有効ラインとなる。
【0052】
また、4枚以上のメダルがメダル投入口75に投入されると、3枚を超える余剰メダルは、そのときのモードがダイレクトモードであればセレクタ83により排出用通路82への切替がなされてメダル排出口17からメダル受け皿18へ返却される。一方、クレジットモードであればスロットマシン内部に貯蓄されると共に残数表示部35に貯蓄枚数が表示される。この貯留枚数には上限枚数が決められており(例えば50枚)、それを越える枚数のメダルが投入されたときにはメダル排出口17からメダル受け皿18へ返却される。
【0053】
また、クレジットモードにて遊技が行われ且つ残数表示部35に貯留枚数が表示されている場合には、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79のいずれかが押された際にも仮想メダルが投入されたこととなりベットとなる。
【0054】
第3クレジット投入スイッチ79が押された際には、仮想メダルが1枚投入されたこととして残数表示部35に表示されている数値が1つディクリメントされ、第1有効ライン表示部32が点灯して中央ラインが有効ラインとなる。第2クレジット投入スイッチ78が押された際には、仮想メダルが2枚投入されたこととして残数表示部35に表示されている数値が2つディクリメントされ、第1有効ライン表示部32および第2有効ライン表示部33が点灯して合計3本の組合せラインが有効ラインとなる。第1クレジット投入スイッチ77が押された際には、仮想メダルが3枚投入されたこととして残数表示部35に表示されている数値が3つディクリメントされ、全ての有効ライン表示部32〜34が点灯して合計5本の組合せラインが有効ラインとなる。
【0055】
なお、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79のいずれかが押された際に投入されるべき仮想メダルが貯留されていない場合、例えば残数表示部35の表示が2のときに第1クレジット投入スイッチ77が押された場合等には、残数表示部35の数値が全てディクリメントされて0となり、投入可能な仮想メダル分だけベットされる。
【0056】
前扉12の上部には、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりするランプ13と、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態を報知したりする左右一対のスピーカ14と、遊技者に各種情報を与える補助表示部15とが設けられている。ランプ13は、スロットマシン10の上辺に沿って横長の形状に形成された上部ランプ13aと、その上部ランプ13aの左下側に配設された投入異常ランプ13bとにより構成されている。
【0057】
補助表示部15は、本実施形態では表示内容の多様化及び表示演出の重厚化を意図して液晶表示器によって構成されているが、ドットマトリックス表示器等の他の表示器を使用してもよい。補助表示部15は、遊技の進行に伴って各種表示演出を実行するためのものであり、各リール42L,42M,42Rによる遊技を主表示部によるものと考えることができることから、本実施形態では補助表示部15と称している。補助表示部15の背面には上部ランプ13やスピーカ14、補助表示部15を駆動させるための表示制御装置111が設けられている。なお、ランプ13及びスピーカ14の形状や位置、数等は特に以上説明したものに限られない。
【0058】
メダル受け皿18の上方には、
図2に示すように、機種名や遊技に関わるキャラクタなどが表示された下段プレート16が装着されている。また、メダル受け皿18の左方には、手前側下方に反転可能な灰皿19が設けられている。
【0059】
筐体11の内部においてホッパ装置300の左方には、
図3に示すように、電源ボックス121が設けられている。電源ボックス121は、電源スイッチ122やリセットスイッチ123や設定キー挿入孔124などを備えている。電源スイッチ122は、主制御装置131を始めとする各部に電源を供給するための起動スイッチである。
【0060】
リセットスイッチ123は、スロットマシン10の各種状態をリセットするためのスイッチである。本スロットマシン10は各種データのバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、例えば遊技ホールの営業が終了する場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、リセットスイッチ123を押しながら電源スイッチ122をオンすると、バックアップデータがリセットされるようになっている。また、電源スイッチ122がオンされている状態でリセットスイッチ123を押した場合には、エラー状態がリセットされる。
【0061】
設定キー挿入孔124は、ホール管理者などがメダルの出玉調整を行うためのものである。すなわち、ホール管理者等が設定キーを設定キー挿入孔124へ挿入して操作することにより、スロットマシン10の設定状態(当選確率設定処理)を「設定1」から「設定6」まで変更できるようになっている。
【0062】
リールユニット41の上方には、
図5に示すように、主制御装置131が筐体11の背板11cに取り付けられている。主制御装置131は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを一時的に記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロック回路等を含む主基板を具備しており、主基板が透明樹脂材料等よりなる被包手段としての基板ボックスに収容されて構成されている。基板ボックスは、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印ユニットによって開封不能に連結され、これにより基板ボックスが封印されている。なお、ボックスベースとボックスカバーとを鍵部材を用いて開封不能に連結する構成としてもよい。
【0063】
図8は、セレクタ83の内部構造を示す図である。なお、図中の2点鎖線は、理解を容易なものとするためにメダルの通過経路を示したものである。セレクタ83には、メダル投入口75から投入されたメダルを貯留用通路81へ導くための案内通路85が形成されている。案内通路85は、メダルが1列で通行可能なようにして、図の上端部から右下部にかけて弧を描くような曲線状に形成されている。より詳しくは、セレクタ83を構成するセレクタボディには、図の手前側に突出する突条85aが設けられており、その突条85aに沿って案内通路85が形成されている。これにより、案内通路85に到達したメダルは、突条85a上を転がるようにして下流方向へ流れることとなる。
【0064】
メダル通路切替部材84は、案内通路85の上流部に設けられ該案内通路85に対して出没可能な通路切替片84aと、この通路切替片84aを動作させるためのソレノイド(図示略)とを有している。ソレノイドの非励磁時には案内通路85内に通路切替片84aが突出し、貯留用通路81へのメダルの流れが阻害される。これにより、メダルは前記突条85aを乗り越えるようにして下方に落下し、排出用通路82に導かれる。また、ソレノイドの励磁時には案内通路85外に通路切替片84aが没する。これにより、メダルは案内通路85に沿って流れ、貯留用通路81に導かれる。
【0065】
通路切替片84aの下流側には、メダルの通過を検出する第1投入メダル検出センサ86と、第2投入メダル検出センサ87とが案内通路85の上流下流に並ぶようにして近接配置されている(少なくとも1時期において同一メダルを同時に検出する状態が生じる程度の近接状態とする)。メダル通路切替部材84のソレノイド非励磁時には、メダルは案内通路85の途中から下方に落下するため、各投入メダル検出センサ86,87によりメダルの通過が検出されることがない。一方、メダル通路切替部材84のソレノイド励磁時には、各投入メダル検出センサ86,87によりメダルの通過が順次検出される。
【0066】
次に、本スロットマシン10の電気的構成について、
図9のブロック図に基づいて説明する。
図9は、スロットマシン10の電気的構成を示すブロック図である。
【0067】
主制御装置131には、演算処理手段であるCPU151を中心とするマイクロコンピュータが搭載されている。CPU151には、電源ボックス121の内部に設けられた電源装置161の他に、所定周波数の矩形波を出力するクロック回路154や、入出力ポート155などが内部バスを介して接続されている。かかる主制御装置131は、スロットマシン10に内蔵されるメイン基盤としての機能を果たすものである。
【0068】
主制御装置131の入力側には、スタートレバー71の操作を検出するスタート検出センサ71a、各ストップスイッチ72,73,74の操作を個別に検出するストップ検出センサ72a,73a,74a、メダル投入口75から投入されたメダルを検出する第1投入メダル検出センサ86及び第2投入メダル検出センサ87(以下、これら各センサを総称する場合、投入メダル検出センサ86,87ともいう)、各クレジット投入スイッチ77,78,79の操作を個別に検出するクレジット投入検出センサ77a,78a,79a、切換スイッチ80の操作を検出する切換検出センサ80a、各リール42の回転位置(原点位置)を個別に検出するリールインデックスセンサ55、ホッパ装置300から払い出されるメダルを検出する払出検出センサ515、リセットスイッチ123の操作を検出するリセット検出センサ123a、設定キー挿入孔124に設定キーが挿入されたことを検出する設定キー検出センサ124a等の各種センサが接続されており、これら各種センサからの信号は入出力ポート155を介してCPU151へ出力されるようになっている。
【0069】
また、投入メダル検出センサ86,87の検出信号は検出信号ラッチ回路88にも入力される。この検出信号ラッチ回路88は、第1投入メダル検出センサ86からの検出信号と第2投入メダル検出センサ87からの検出信号とを入力する信号検出回路部と、該信号検出回路部の出力信号をラッチするラッチ回路部とを備える。信号検出回路部はOR回路を主要な構成としており、第1投入メダル検出センサ86からの検出信号、第2投入メダル検出センサ87からの検出信号の少なくとも一方の検出信号が入力されることで、それらの論理和に相応する信号がラッチ回路部に出力され、更にラッチ回路部から主制御装置131にラッチ信号が出力される。検出信号ラッチ回路88のラッチ信号出力状態は、主制御装置131から信号解除指令が入力されるまで保持される。詳細は後述する。
【0070】
また、主制御装置131の入力側には、入出力ポート155を介して電源装置161に設けられた停電監視回路161bが接続されている。電源装置161には、主制御装置131を始めとしてスロットマシン10の各電子機器に駆動電力を供給する電源部161aや、上述した停電監視回路161bなどが搭載されている。
【0071】
停電監視回路161bは電源の遮断状態を監視し、停電時はもとより、電源スイッチ122による電源遮断時に停電信号を生成するためのものである。そのため停電監視回路161bは、電源部161aから出力されるこの例では直流12ボルトの安定化駆動電圧を監視し、この駆動電圧が例えば10ボルト未満まで低下したとき電源が遮断されたものと判断して停電信号が出力されるように構成されている。停電信号はCPU151と入出力ポート155のそれぞれに供給され、CPU151ではこの停電信号を認識することにより後述する停電時処理が実行される。
【0072】
電源部161aからは出力電圧が10ボルト未満まで低下した場合でも、主制御装置131などの制御系における駆動電圧として使用される5ボルトの安定化電圧が出力されるように構成されており、この安定化電圧が出力されている時間としては、主制御装置131による停電時処理を実行するに十分な時間が確保されている。
【0073】
主制御装置131の出力側には、各有効ライン表示部32,33,34、残数表示部35、ゲーム数表示部36、獲得枚数表示部37、各リール42L,42M,42Rを回転させるための各ステッピングモータ61(61L,61M,61R)、セレクタ83に設けられたメダル通路切替部材84、ホッパ装置300、表示制御装置111、図示しないホール管理装置などに情報を送信できる外部集中端子板171等が入出力ポート155を介して接続されている。
【0074】
表示制御装置111は、ランプ13を構成する上部ランプ13aおよび投入異常ランプ13b、スピーカ14並びに補助表示部15を駆動させるための制御装置であり、これらを駆動させるためのCPU、ROM、RAM等が一体化された基板を備えている。そして、主制御装置131からの信号を受け取った上で、表示制御装置111が独自に各ランプ13a,13b、スピーカ14及び補助表示部15を駆動制御する。従って、表示制御装置111は、遊技を統括管理するメイン基盤たる主制御装置131との関係では補助的な制御を実行するサブ基盤となっている。即ち、間接的な遊技に関する音声やランプ、表示についてはサブ基盤を設けることにより、メイン基盤の負担軽減を図っている。なお、各種表示部32〜37を表示制御装置111が制御する構成としてもよい。
【0075】
上述したCPU151には、このCPU151によって実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM152と、このROM152内に記憶されている制御プログラムを実行するに当たって各種のデータを一時的に記憶する作業エリアを確保するためのRAM153のほかに、図示はしないが周知のように割込み回路を始めとしてタイマ回路、データ送受信回路などスロットマシン10において必要な各種の処理回路や、クレジット枚数をカウントするクレジットカウンタなどの各種カウンタが内蔵されている。ROM152とRAM153によって記憶手段としてのメインメモリが構成され、
図10以降に示される各種のフローチャートに示される処理を実行するためのプログラムは、制御プログラムの一部として上述したROM152に記憶されている。
【0076】
RAM153は、スロットマシン10の電源が遮断された後においても電源ボックス121内に設けられた電源装置161からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM153には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリアが設けられている。
【0077】
バックアップエリアは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(電源スイッチ122の操作による電源遮断をも含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、停電解消時(電源スイッチ122の操作による電源投入をも含む。以下同様)には、バックアップエリアの情報に基づいてスロットマシン10の状態が電源遮断前の状態に復帰できるようになっている。バックアップエリアへの書き込みは停電時処理(
図12参照)によって電源遮断時に実行され、バックアップエリアに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理(
図13参照)において実行される。なお、CPU151のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路161bからの停電信号が入力されるように構成されており、停電等の発生に伴う停電フラグ生成処理としてのNMI割込み処理が即座に実行される。
【0078】
次いで、
図10から
図22を参照して、ホッパ装置300について説明する。初めに、
図10及び
図11を参照して、筐体11に対するホッパ装置300の配設状態について説明する。
図10は、筐体11からホッパ装置300を取り出した状態におけるスロットマシン10の分解斜視正面図である。
図11(a)は、筐体11及びホッパ装置300の斜視正面図であり、
図11(b)は、筐体11及びホッパ装置300の断面図である。なお、
図11(a)では、筐体11の右側板11eが取り外された状態で図示される。
【0079】
図10及び
図11に示すように、筐体11の下方側(矢印D方向側)の内面には、電源ボックス121及び予備タンク95の間に一組の規制板180が配設され、その一組の規制板180の上方(矢印U方向)にホッパ装置300が配設される。なお、ホッパ装置300の一対の規制板180の上方への配設方法(筐体11への配設方法)は、筐体11の下方側の内面に締結固定された規制板180の上方にホッパ装置300を載置すると共に、筐体11の正面側(矢印F方向側)の開放側から後方に押し入れることで行われる。
【0080】
一組の規制板180は、左右方向(矢印L−R方向)に所定の距離離間して配設されると共に、前後方向(矢印F−B方向)において同一の位置に配設される。また、一組の規制板180は、それぞれその形状が反対となる対称に形成される。なお、以下の説明では、正面視において左側(矢印L方向側)に配設される規制板180について説明し、右側(矢印R方向側)に配設される規制板180についての説明は省略する。
【0081】
規制板180は、上面視略矩形の板状体から形成され、その長手方向が前後方向(矢印F−B方向)と略平行となる状態で筐体11に配設される。また、規制板180は、上方(矢印U方向)に向かって突設される案内部181と、その案内部181の背面側(矢印B方向側)に位置し上方に向かって突設される第1保持部182と、その第1保持部182の背面側に位置し上方に向かって突設される第2保持部183と、その第2保持部183の背面側に位置し上方に向かって突設される背面側規制部184と、案内部181よりも一組の規制板180の対向方向内側に位置し上方に向かって膨出する前方側規制部185と、板厚方向に貫通する複数の貫通孔186とを主に備えて形成される。
【0082】
案内部181は、後述するホッパ装置300が規制板180の上部に配設される場合のホッパ装置300の後方(矢印B方向)への移動を案内するための突起であり、上面視において一組の規制板180のそれぞれの案内部181が後方(第1保持部182側方向、
図10矢印B方向)に向かって近接する方向に傾斜して形成される。これにより、後述するホッパ装置300を規制板180の上部を後方(矢印B方向)に向かって移動させる場合に、ホッパ装置300を案内部181の傾斜面に当接させつつ移動させることで、ホッパ装置300の左右方向(矢印L−R方向)における位置を所定の位置に案内しつつ配設できる。
【0083】
第1保持部182は、上方に向かって突設される第1側壁182aと、その第1側壁182aの突設先端面から一組の規制板180の対向方向に屈曲して突設される第1屈曲部182bとを備える。即ち、第1保持部182は、断面略L字状に屈曲して形成される。
【0084】
第1側壁182aは、ホッパ装置300が規制板180の上部に配設された場合に、ホッパ装置300が左右方向(矢印L−R方向)に位置ずれることを防止する部分であり、一組の規制板180の第1側壁182a同士の対向間の距離寸法が、後述するホッパ装置300の底壁部513に形成される一対の介在部513a(
図12(a)参照)の対向方向における外側の距離寸法よりも大きく設定される。また、一対の第1側壁182aは、対向側の面が上述した一対の案内部181の背面側端部よりも対向方向外側に位置される。これにより、ホッパ装置300が後方に向かって移動する際に案内部181により案内されたホッパ装置300が第1側壁182aの正面側端部に当接して引っ掛かることを抑制できる。その結果、ホッパ装置300の筐体11への配設をスムーズに行うことができる。
【0085】
第1屈曲部182bは、規制板180の対向間の距離寸法が、後述するホッパ装置300の介在部513aの板厚寸法よりも大きく設定される。これにより、ホッパ装置300が、一対の第1側壁182aの対向間に配設される場合に、介在部513aの上部を第1屈曲部812bにより覆うことができる。従って、ホッパ装置300が傾いた場合には、ホッパ装置300の介在部513aの上面を第1屈曲部182bの下面に当接させることで、ホッパ装置300が倒れることを抑制できる。
【0086】
第2保持部183は、第1保持部182の背面側に所定の距離隔てた位置に形成される。また、第2保持部183は、上方に向かって突設される第2側壁183aと、その第2側壁183aの突設先端面から一組の規制板180の対向方向に屈曲して突設される第2屈曲部183bとを備える。
【0087】
なお、第2側壁183aは第1側壁182aと、第2屈曲部183bは第1屈曲部182bと、前後方向(矢印F−B方向)の延設長さが異なるのみであり、その他の形状は略同一であるのでその詳しい説明は省略する。
【0088】
背面側規制部184は、ホッパ装置300が、上述した案内部181、第1保持部182及び第2保持部183により案内されて規制板180の上部に配設される際に、ホッパ装置300の後方(矢印B方向)への移動を規制する部分であり、一対の背面側規制部184の対向間寸法が、後述するホッパ装置300の底壁部513の対向方向における外側の距離寸法よりも小さく設定されると共に、上方への突設寸法が規制板180の板厚よりも大きく設定される。これにより、ホッパ装置300が規制板180の上部を後方に移動して配設される場合に、所定の配設位置(
図11(a)及び
図11(b)に示す位置)で介在部513aを背面側規制部184に当接させてホッパ装置300の移動を規制できる。
【0089】
前方側規制部185は、上述した背面側規制部184と左右方向(矢印L−R方向)略同一の位置に形成される。また、前方側規制部185は、背面側規制部184との前後方向(
図10矢印F−B方向)の対向間の距離寸法は、ホッパ装置300の介在部513aの前後方向の延設寸法よりも若干大きく設定される。よって、ホッパ装置300が、規制板180の上部の所定の配設位置に配設される場合に、介在部513aの前後を前方側規制部185及び背面側規制部184で挟むことができる。その結果、ホッパ装置300が所定の配設位置に配設される場合に、ホッパ装置300が前後方向(矢印F−B方向)に移動することを規制できる。
【0090】
また、前方側規制部185は、上方への膨出距離が、第1保持部182と規制板180の上面との対向間寸法よりも小さく設定される。これにより、ホッパ装置300を規制板180の前方側から挿入する場合または、ホッパ装置300を所定の配設位置から取り出す場合には、介在部513aを前方側規制部185に乗り上げさせることで、ホッパ装置300を移動させることができる。
【0091】
次いで、
図12から
図17を参照してホッパ装置300の構成について説明する。
図12(a)は、ホッパ装置300の正面図であり、
図12(b)は、
図12(a)の矢印XIIb方向視におけるホッパ装置300の側面図である。
図13は、ホッパ装置300の分解斜視正面図である。
図14(a)は、貯留タンク400の上面図であり、
図14(b)は、
図14(a)の矢印XIVb方向視における貯留タンク400の側面図であり、
図14(c)は、
図14(a)の矢印XIVc方向視における貯留タンク400の側面図である。
図15は、排出装置500の分解斜視正面図である。
図16は、
図13の矢印XVI方向視における排出装置500の上面図である。
図17は、
図15の矢印XVII方向視における排出装置500の上面図である。
【0092】
なお、
図16では、排出装置500の排出部512dの開口からメダルが排出される場合のメダルの通過経路(排出経路KR1)の内側壁面およびローラ514dの外径が鎖線で図示される。また、
図17では、周壁部511の内側に配設される変位部材514及びコイルばねSP1の外形が鎖線で図示される。さらに、
図17では、コイルばねSP1が模式的に図示される。また、
図16では、回転ディスク520の正回転の回転方向(メダルを排出する際の回転方向)がX1の付号を付して矢印で図示される。
【0093】
図12及び
図13に示すように、ホッパ装置300は、メダルを貯留する貯留タンク400と、その貯留タンク400の下方(矢印D方向)に配設されて貯留タンク400に貯留されたメダルを遊技者に払い出す排出装置500とから構成される。よって、貯留タンク400に一定量のメダルを貯留することができると共に、その貯留したメダルを排出装置500を介して排出できる。なお、貯留タンク400と排出装置500との連結方法については後述する。
【0094】
図14に示すように、貯留タンク400は、上方(矢印U方向)が開放する椀型に形成される収容部410と、その収容部410の下方(矢印D方向)に形成される筒状の筒部420と、その筒部420の下方に形成される連結部430と、その連結部430の正面側の側面に形成される保持部440とを備える。
【0095】
収容部410は、上方(矢印U方向)が上面視矩形状に開放して形成されると共に、下方側に向かってその内縁が内側に向かって窄む形状に形成される。これにより、収容部410に上方の開放側からメダルを貯留しやすくできると共に貯留されるメダルを下方に向かうに従って一か所に集めることができる。また、収容部410は、前扉12(
図3参照)側の側面の上方(矢印U方向)端部に切欠き形成される凹欠部411と、予備タンク95側(
図3参照)の側面に開口する開口部412と、収容部410の内側から外側に向かって延設される共にその延設端部が開口部412の下面側内面と連結される誘導プレート413と、下方の端部に開口して後述する筒部420と連通する連通孔414とを主に備える。
【0096】
凹欠部411は、前扉12が筐体11に対して閉鎖状態とされる場合に、前扉12に配設される貯留用通路81の端部が内側に配置される。従って、貯留用通路81を案内されるメダルが、貯留用通路81の端部から排出される際に収容部410の外側に飛び出す(排出される)ことを抑制できる。よって、セレクタ83により貯留用通路81に案内されたメダルが収容部410の外部に落下することを抑制できる。
【0097】
また、貯留用通路81のメダルの案内面は、収容部410の上方端部よりも低い位置に配置される。これにより、貯留用通路81から収容部410に排出されたメダルが、収容部410に貯留されるメダルに落下して跳ね上がった場合に、収容部410の上端よりも上方に上がることを抑制できる。よって、セレクタ83により貯留用通路81に案内されたメダルが収容部410の外部に落下することを抑制できる。
【0098】
開口部412は、収容部410の内側に所定量以上のメダルが貯留用通路81から排出された場合に、そのメダル又は収容部410の内側に貯留されたメダルを貯留用通路81を介して収容部410の外側に排出することができる。開口部412は、上述したように筐体11に配設される予備ボックス92側(
図3参照)の側面に形成されており、開口部412を介して収容部410の外側に排出されるメダルを予備ボックス92の内部に落下させることができる。
【0099】
誘導プレート413は、開口部412へメダルを案内する傾斜面であり、収容部410の上端部分と所定の距離を隔てて配設されると共に、開口部412側に向かって下降傾斜して形成される。これにより、収容部410に所定量以上貯留されたメダルが誘導プレート413に乗った場合に、そのメダルを誘導プレート413の上面に沿って開口部412側に流下させて開口部412からより予備ボックス92の内部に落下させることができる。よって、収容部410に所定量以上のメダルが貯留されて、収容部410の上側の開放部分からメダルが溢れて収容部410の外側に落下することを抑制できる。
【0100】
連通孔414は、後述する筒部420の内縁部分に連なる開口であり、収容部410の下方側に形成される。これにより、収容部410に貯留されるメダルを筒部420の内側に案内することができる。
【0101】
筒部420は、上述したように中空状に形成されており、その軸が正面視において重力方向下方(矢印D方向)に向かうにつれて左側(矢印L方向側)に傾斜される。これにより、収容部410に貯留されるメダルを筒部420の下方側の一部に集めやすくできる。従って、筒部420を通過するメダルを傾斜面に沿って案内することができる。よって、収容部410に貯留されるメダル量が少ない場合にメダルが筒部420の内側を散らばった状態で落下することを抑制できる。
【0102】
また、筒部420は、側面に開口される複数(本実施形態では5箇)の開口部421を備える。開口部421は、収容部410の内部に入ったゴミを貯留タンク400の外側部分に排出する部分であり、筒部420の重力方向下側に沿う側面に形成される。これにより、貯留されたメダルの間を通過して重力方向に落下するゴミを開口部421に案内しやすくできる。その結果、収容部410の内部に入ったゴミが排出装置500に入り込むことを防止でき、排出装置500が動作不良を引き起こすことを抑制できる。なお、開口部421の開口は、メダルの直径よりも小さい内径に形成されており、メダルが開口部421を介して貯留タンク400の外側に落下することを抑制できる。
【0103】
連結部430は、板状に形成され筒部420が連結される本体部431と、その本体部431の一側(矢印R方向側)端部に突設される第1係合部432と、本体部431の他側(矢印L方向側)端部に突設される第2係合部433と備える。
【0104】
本体部431は、上方の一面側に筒部420の端部が連結されると共に、筒部420との連結部分に筒部420の内縁に沿って板厚方向に貫通する貫通孔が形成される。これにより、筒部420の内側を通過するメダルを下方側に案内することができる。さらに、本体部431は、筒部420が連結される上方の一面側と反対側の下方の一面に沿って、後述する排出装置500が配設される(
図12参照)。従って、筒部420の内側を通過するメダルは、本体部431を介して排出装置500に案内される。
【0105】
第1係合部432は、後述する排出装置500の凹部511bに挿入される突起であり、凹部511bの内縁形状よりも外形が小さく形成される。従って、貯留タンク400を排出装置500に連結する場合に、第1係合部432を凹部511bに挿入することで、貯留タンク400の一側(矢印R方向側)を排出装置500に係合させることができる。
【0106】
第2係合部433は、後述する排出装置500の係合片542bが係合される突起である。従って、貯留タンク400を排出装置500に連結する場合に、第2係合部433を係合片542bに係合させることで、貯留タンク400の他側(矢印L方向側)を排出装置500に係合させることができる。
【0107】
よって、これら第1係合部432及び第2係合部433を排出装置500に係合させることにより、貯留タンク400及び排出装置500を連結できる。なお、第1係合部432及び第2係合部433の排出装置500への係合方法についての詳しい説明は後述する。
【0108】
保持部440は、正面視略コ字状に形成され本体部431の正面側端面から正面側に向かって突設される。保持部440は、後述する排出部512dの開口の長手方向と平行な方向に延設される支持部441と、その支持部441の延設方向と直行する方向に屈曲されると共に支持部441よりも重力方向下方側に延設される屈曲部442とを備える。
【0109】
また、保持部440は、ホッパ装置300が、筐体11の内部に配設された状態において、前扉12が配設される側(矢印F方向側)に突設される。言い換えると、保持部440は、筐体11の開放側に配置される。これにより、前扉12を筐体11に対して開放状態として、ホッパ装置300を筐体11から取り出す作業者に保持部440(支持部441)を把持させやすくできる。
【0110】
ここで、従来より、一面側が開口する箱状の筐体(外枠)と、その筐体の開口側に開閉可能に配設される前扉と、遊技媒体を排出する排出部が形成され、その排出部から排出される遊技媒体を貯留すると共に筐体の内側に着脱可能に配設されるホッパ装置(遊技媒体排出手段)とを備える遊技機が知られている。この遊技機によれば、ホッパ装置は、筐体の内壁と対向する面に凹設される凹設部を備える。作業者は、凹設部の内側に手を入れることで、ホッパ装置を移動させる際の持ち手として利用できる。
【0111】
しかしながら、上述した従来の遊技機では、ホッパ装置を移動させる際の持ち手(凹設部)が筐体の内壁と対向する面に形成されるので、作業者が筐体に対して前扉を開放した場合に、筐体の開口側から凹設部を視認しにくくなる。また、凹設部は、前扉に対して筐体を閉鎖すると、前扉により筐体の開放側から視認不能とされる。そのため、遊技者の不正行為(例えば、保持部が形成された部分に貫通穴をあけて、その貫通穴から不正部材を挿入しホッパ装置の内側に配設される検出装置やモータを操作して不正に遊技媒体を排出させる行為)が、凹設部にされると、不正がされた痕跡(例えば、貫通穴が形成された痕)を作業者が発見するためにはホッパ装置を筐体から引き出して凹設部を視認する必要がある。従って、筐体に対して前扉を開放した作業者が不正を発見しにくく、遊技者の不正行為が継続して行われてしまうという問題点があった。
【0112】
これに対し、本実施形態によれば、保持部440(支持部441)が筐体11の開口側(矢印F方向側)に突設され、保持部440は、前扉12が筐体11に対して開放されると筐体11の開口側から視認可能とされ、前扉12が筐体11に対して、閉鎖されると筐体11の開口側から視認不能とされるので、作業者が、筐体11に対して前扉12を開放した場合に、保持部440を作業者に視認させやすくできる。従って、不正行為を行うための貫通穴が保持部440に形成された場合に、不正がされた痕跡を作業者が発見しやすくなる。その結果、遊技者の不正行為が継続して行われることを抑制できる。
【0113】
さらに、保持部440は、ホッパ装置300を移動させる場合の作業者の持ち手として利用させることができるので、保持部440に不正が挿入可能な大きさの穴が形成される場合に、保持部440を把持した際の感触(例えば、貫通穴を形成する際に形成される突起(バリ)を触った感触)で作業者に不正行為がされた痕跡が合うことを発見させやすくできる。その結果、遊技者の不正行為が継続して行われることを抑制できる。
【0114】
なお、不正行為を行うための貫通穴が形成されたもの(不正行為を行った痕跡)が発見された場合には、ホッパ装置300を新しいユニットに交換する、または、貫通穴が形成された部品を新しい部品(正常な部品)に交換することで、不正行為が継続して行われることを抑制できる。
【0115】
また、ホッパ装置300を保持する部分が、筐体11の開放側以外の位置に形成される場合には、作業者がホッパ装置300を把持するための手を筐体11の内部に入れる必要がある。上述したように、ホッパ装置300の上部にはリールユニット41が配設される。特に、近年では、リールユニット41の上部に配設される表示制御装置111(液晶装置)が大型化する傾向があり、その分、リールユニット41が下方に配設される。これにより、作業者がリールユニット41とホッパ装置300との間に手を挿入しにくく、ホッパ装置300を把持しにくい。さらに、上述したように、ホッパ装置300の両隣には、予備ボックス92や電源ボックス121が配設される。
【0116】
従って、作業者は、ホッパ装置300及び予備ボックス92又は電源ボックス121との間に手を入れにくいため、ホッパ装置300を把持しにくい。また、ホッパ装置300は、後述する貯留タンク400の収容部410にメダルを貯留できる量を多くするために比較的厚みの薄い樹脂材料で形成される。そのため、作業者が貯留タンク400を把持した場合に、貯留タンク400が破損する恐れがあった。
【0117】
これに対し、本実施形態では、保持部440(支持部441)が筐体11の開放側に形成されるので、ホッパ装置300を筐体11から取り出す場合に、作業者が筐体11の内側へ手を入れる必要がなくなると共に、貯留タンク400を把持する必要をなくすことができる。その結果、作業者に保持部440(支持部441)を把持させて、ホッパ装置300を取り出しやすくできると共に、貯留タンク400を把持して貯留タンク400が破損することを抑制できる。なお、保持部440の形状の詳しい説明については後述する。
【0118】
さらに、上述したように、筐体11の内側には、金属プレート11b1が配設される(
図3参照)。金属プレート11b1は、光の反射率が比較的高い金属材料(本実施形態では鉄)から形成され、作業者は、金属プレート11b1の反射を利用して筐体11の内部を視認することができる。なお、反射率が高いとは、金属プレート11b1により反射される虚像の外形が、作業者から認識できる程度以上のものを示す。
【0119】
ここで、ホッパ装置300の内側に不正物を挿入することを目的として、排出部512dの周囲に貫通穴が形成された場合に、その貫通穴が作業者の視点から保持部440(支持部441)の死角に入ると、作業者が筐体11に対して前扉12を開放することのみでは、不正がされた痕跡(貫通穴が形成されること)を筐体11の開口面から視認して発見することが困難になる恐れがあった。
【0120】
これに対し、本実施形態では、光を反射可能な金属プレート11b1が配設され、金属プレート11b1によりホッパ装置300にされる不正の痕跡を筐体11の開口側から視認できるので、ホッパ装置300に不正行為がされた場合に、作業者が筐体11に対して前扉12を開放することで不正行為がされた痕跡を発見することができる。従って、金属プレート11b1によりホッパ装置300にされる不正の痕跡を筐体11の開口側から視認できるので、作業者は筐体11に対して前枠12を開放した後に金属プレート11b1を確認することのみで、ホッパ装置300にされる不正の痕跡があるのかを確認できる。その結果、作業者が外枠に対して前扉を開放した際に不正がされた痕跡を発見しやすくできる。
【0121】
また、金属プレート11b1は、筐体11の内側に配設されるので、筐体11に対して前扉12を閉鎖することで、スロットマシン10の外方から金属プレート11b1が視認されることを抑制できる。その結果、遊技者が金属プレート11b1を視認することを抑制でき、遊技者の興趣が阻害されることを抑制できる。
【0122】
さらに、金属プレート11b1は、金属性の板状態から形成されると共に、前記外枠の開口側(矢印F方向側)の内側底面に配設され、筐体11の開口側の反対側(矢印B方向側)の一部にホッパ装置300が載置される。これにより、作業者が、ホッパ装置300を筐体11から引き出す場合に、金属プレート11b1の端面にホッパ装置300が引っ掛かることを防止することができると共に、筐体11の内面がホッパ装置300と擦れて削れることを抑制できる。即ち、ホッパ装置300を引き出す場合の当接面として利用できる。
【0123】
例えば、ホッパ装置300をスライド変位させた場合の筐体11の当接面が、比較的摩耗しやすい(削れやすい)材料(例えば、木材)で形成される場合では、ホッパ装置300の引き出し動作により、当接面が、摩耗して(削れて)ホッパ装置300の筐体11に対するスライド変位を行わせにくくなる。
【0124】
これに対して、本実施形態では、ホッパ装置300をスライド変位させる場合の当接面を金属材料からなる金属プレート11b1とすることで、筐体11の内周面が摩耗することを抑制できる。従って、ホッパ装置300の筐体11に対するスライド変位を安定して行うことができる。
【0125】
また、金属プレート11b1は、排出部512dを間に挟んで保持部440(支持部441)の反対側に配設される。これにより、筐体11に対して前扉12を開放した作業者は、保持部440側(上方側)から金属プレート11b1を視認することで、排出部512d及び排出部512dと保持部440との間にされた不正の痕跡を発見することができる。
【0126】
即ち、ホッパ装置300の外面に保持部440(支持部441)が形成されると、排出部512dや排出部512dと保持部440との間にされた不正の痕跡が、保持部440により作業者から死角となる恐れがあるところ、かかる金属プレート11b1は、排出部512dを間に挟んで保持部440の反対側に配設されるので、保持部440により作業者から死角となる部分を反射して、作業者に視認させることができる。その結果、作業者が筐体11に対して前扉12を開放した際に、作業者に不正がされた痕跡を発見させやすくできる。
【0127】
さらに、排出部512dの上方(矢印U方向)に保持部440(支持部441)が形成され、排出部512dの下方に金属プレート11b1が形成される。これにより、前扉12を筐体11に対して開放した作業者が金属プレート11b1の反射を利用して、保持部440の死角を視認しやすくできる。
【0128】
通常、スロットマシン10は、ホッパ装置300の高さ位置が、作業者の視点よりも低い位置で店舗に設置される。そのため、保持部440(支持部441)の下方側(矢印D方向側)が、作業者の死角となりやすくなるところ、かかる金属プレート11b1が、保持部440の下方に配設されるので、筐体11に対して前扉12を開放した作業者に凸部または凹部の下方部分を視認させやすくできる。その結果、ホッパ装置300にされた不正の痕跡を作業者に発見させやすくできる。
【0129】
図15から
図17に示すように、排出装置500は、外殻を形成するハウジング510と、そのハウジング510の上面に配設される円形状の回転ディスク520と、その回転ディスク520の外縁に沿って配設されると共にハウジング510の上面に配設される排出プレート530と、ハウジング510の側面に配設される係合部540と、ハウジング510の内部に配設されると共に回転ディスク520に駆動力を付与する駆動モータ516に連結されるコネクタ550(
図12参照)とを主に備えて形成される。
【0130】
ハウジング510は、下面および上面が開放する筒状に形成される周壁部511と、その周壁部511の上面側開口を閉鎖する上壁部512と、周壁部511の下面側開口を閉鎖する底壁部513とを主に備えて形成される。
【0131】
周壁部511は、下面側の開口端部が水平に形成され、上面側の開口端部が他端側から一端側に向かって下降傾斜して形成される。また、周壁部511は、他端側の外側面に立設される立設部511aと、上面側開口内縁の一端側に凹設される凹部511bとを備える。
【0132】
立設部511aは、後述する係合部540の外縁と若干の隙間を隔てる位置に形成されており、係合部540の外周を覆って配設される。これにより、作業者がホッパ装置300を移動させる際に、誤って係合部540を操作することを抑制できる。
【0133】
凹部511bは、上述したように第1係合部432が挿入される凹部であり、第1係合部432と対応する位置に凹設される。また、凹部511bは、上壁部512の上面よりも上方に形成される。これにより、第1係合部432を凹部511bに挿入しやすくできる。その結果、第1係合部432と凹部511bとを係合しやすくできる。
【0134】
また、
図17に示すように周壁部511の内側には、メダルの排出に伴って変位する変位部材514と、その変位部材514の変位を検出する払出検出センサ515と、後述する回転ディスク520を回転駆動させる駆動モータ516とが配設される。
【0135】
変位部材514は、略矩形の板状体から形成されると共に、板厚方向(
図17紙面垂直方向)に貫通する貫通孔514aと、長手方向の他側(矢印L方向側)の端部に上面視L字状に突出する係合部514bと、長手方向の一側(矢印R方向側)の端部に正面視(矢印B方向視)においてL字状に屈曲される検出片514eと、長手方向(矢印L−R方向)において貫通孔514a及び検出片514eの間に位置すると共に後述する上壁部512側に向かって突出する回転軸514cと、その回転軸514cの突出先端に配設されるローラ514dとを備える。
【0136】
貫通孔514aは、上面視円形状に開口されており、その内側に上壁部51に配設される形成される図示しない円柱体が挿通される。これにより、変位部材514は、貫通孔514aを軸に回転可能な状態で上壁部512に配設される。
【0137】
係合部514bは、コイルばねSP1の一端が係合される。また、コイルばねSP1は、引き伸ばされた状態で他端が上壁部512に係合される。これにより、変位部材514は、係合部514bが形成される一側が、コイルばねSP1の配設方向に引き込まれる方向に付勢された状態で配設される。
【0138】
検出片514eは、略C字状に形成される払出検出センサ515の対向間に、長手方向一側の端部が配設される。払出検出センサ515は、略C字状の一方側から光を照射すると共に、他方側でその光を検出することにより、その対向間に物があるかを検出できる。従って、検出片が514eが払出検出センサ515の対向間に配設されている状態では、その位置に検出片514eが配置されることをスロットマシン10に認識させることができると共に、変位部材514が回転される場合には、検出片514eを払出検出センサ515の対向間から抜けださせることで、払出検出センサ515により変位部材514が動作されたことをスロットマシン10に認識させることができる。
【0139】
回転軸514cは、ローラ514dを回転可能な状態で支持する円柱体であり、円環状に形成されるローラ514dの内径よりも小さい外径の円柱に形成される。また、回転軸514cは、後述する上壁部512の摺動溝512bの内側に配置され、先端部が上壁部512の上面(
図17紙面手前側の面)と略同一平面上に設定される。
【0140】
ローラ514dは、上述したように上面視円環状に形成されると共に、その軸方向寸法が後述する凹設部512cの上壁部512の板厚方向への凹設寸法よりも大きく設定される。また、ローラ514dは、上方側の端面が回転軸514cの突出先端面と略同一の平面上に配設される(即ち、上壁部512の重力方向上側の側面と略同一の平面上に配設される)。これにより、ローラ514dを、凹設部512cの内側に突出した状態で配設できる。
【0141】
駆動モータ516は、電力が付与されることにより回転の駆動力を発生させる本体部516aと、その本体部516aに接続される円柱状の軸部516bとを備える。軸部516bは、一端側が周壁部511の上面開口端部から突出して配設されると共に、後述する上壁部512の軸孔512aから突出される。これにより、軸部516bの一端側を回転ディスク520に連結でき、本体部516aの回転を軸部516bを介して回転プレートに520に伝達できる。
【0142】
上壁部512は、周壁部511の上方側の開口端部よりも大きい矩形の板状体に形成され、下方側の一面が周壁部511の上方側の開口端部と当接した状態で配設される。これにより、周壁部511の上方側の開口が閉鎖される。また、上壁部512は、板厚方向に貫通する軸孔512a及び摺動溝512bと、周壁部511との当接面と反対側の上方側の一面に板厚方向に凹設される凹設部512cとを備える。
【0143】
軸孔512aは、上述したように周壁部511の内側に配設される駆動モータ516の軸部516bを挿通する穴であり、軸部516bの外径よりも大きい内径の円形状に形成される。また、軸孔512aは、軸部516bに配設されるスライド防止部材516b1を挿通させるための長孔512a1が軸孔512aの軸を通過する直線状に開口される。
【0144】
凹設部512cは、軸孔512aの軸を中心とする円形状に凹設される第1凹設部512c1と、その第1凹設部512c1から上壁部512の正面側の端面まで凹設される第2凹設部512c2とを備える。
【0145】
第1凹設部512c1は、内径寸法が後述する回転ディスク520の外径よりも若干大きく形成されており、凹設内側に回転ディスク520の下面側(
図16紙面奥側)の一部を収容することができる。
【0146】
第2凹設部512c2は、上述した貯留タンク400に貯留されるメダルをホッパ装置300の外側に排出するためのメダルの通過経路の底面及び側面を形成する凹みであり、上方に後述する排出プレート530が配設されることで、
図16に鎖線で示す空間のメダルの排出経路KR1及び、その排出経路KR1を通過するメダルをホッパ装置300の外側に排出する開口の排出部512d(
図13参照)が形成される。
【0147】
回転ディスク520は、貯留タンク400に貯留されるメダルを一枚ずつ排出経路KR1(第2凹設部512c2)に案内する部分であり、貯留タンク400に形成される筒部420の開口の下側に配設される(
図13参照)。これにより、貯留タンク400に貯留されるメダルを筒部420を介して排出装置500の回転ディスク520に送ることができる。
【0148】
底壁部513は、周壁部511の下方側の開口端部よりも大きい矩形の板状態から形成され、上方側の一面が周壁部511の下方側の開口端部と当接した状態で配設される。これにより、周壁部511の下方側の開口が閉鎖される。また、底壁部513は、左右方向(矢印L−R方向)における両端に周壁部511の左右方向の外側面よりも突出する介在部513aを備える。介在部513aは、上述したように、ホッパ装置300を筐体11に配設した際に、規制板180に挿入される部分であり、樹脂材料よりも比較的剛性の高い金属材料から形成される。
【0149】
回転ディスク520は、金属材料から形成されると共に、上述した第1凹設部512c1の凹設寸法よりも厚い板厚の円形の板状に形成される。また、回転ディスク520は、中心部に板厚方向に貫通する軸孔521と、その軸孔521の周囲に複数個形成されると共に板厚方向に貫通する収容部522と、下方側の端面に突出する案内部523とを備える。
【0150】
軸孔521は、上述した駆動モータ516の軸部516bが内嵌される部分である。これにより、回転ディスク520と駆動モータ516の軸部516bとが連結される。従って、駆動モータ516に電流を与えて軸部516bを回転させることで、回転ディスク520を軸孔521を軸に回転させることができる。
【0151】
また、回転ディスク520の上壁部512側の側面には、図示しない凹部が形成されており、その凹部の内側に軸部516bに配設されるスライド防止部材516b1が挿入される。これにより、駆動モータ516の軸部516bが回転ディスク520に対して位置ずれすることを抑制できる。
【0152】
収容部522は、筒部420の内側に挿入されたメダルを上壁部512の第1凹設部512c1に送るための開口であり、メダルの直径より少し大きい内径に形成されると共に、軸孔521を中心とする周方向に一定の距離離間して複数個(本実施形態では6個)形成される。また、収容部522は、その内縁が上面側(
図16紙面手前側)から下面側(
図16紙面奥側、上壁部512側)に向かうに従って縮径する傾斜面として形成されると共に、その下面側と上壁部512の第1凹設部512c1の底面との対向間の距離がメダルの厚みよりも若干大きく設定される。
【0153】
これにより、収容部522の内側にメダルが複数枚積み重なった状態で送られた場合に、1枚目のメダルを案内部523を除いた回転ディスク520の下面よりも下方に送ることができると共に、2枚目以降のメダルを収容部522の内側または、回転ディスク520の上面よりも上方に配置することができる。従って、この(一枚目のメダルを案内部523に挿入した)状態で回転ディスク520を回転させることで、2枚目以降のメダルを傾斜面に沿って回転ディスク520の上面よりも上側に送ることができる。よって、回転ディスク520を回転させた際に、2枚以上のメダルが同時に排出経路KR1に送られることを防止でき、2枚以上のメダルが同時に排出部512dから排出される又は、排出経路KR1内部に詰まることを抑制できる。
【0154】
案内部523は、収容部522の内側に送られたメダルを排出経路KR1に案内する壁部であり、突出先端部から上壁部512の第1凹設部512c1の底面までの対向間の距離がメダルの厚みよりも小さく設定される。これにより、回転ディスク520を回転させることで、貯留タンク400の筒部420から収容部522の内側に送られたメダルを、案内部523の側面に当接させて回転ディスク520の回転方向に案内できる。
【0155】
案内部523は、隣り合う収容部522の間に1個ずつ形成されており、軸孔521から径方向外側に離間するに従って回転ディスク520の回転方向X1(
図16参照)と反対方向に傾斜して延設される。これにより、回転ディスク520を回転方向X1に回転することで、収容部522の内側に送られたメダルを径方向外側に送ることができる。なお、径方向外側に案内されるメダルは、第1凹設部512c1の内壁と当接される。従って、案内部523により移動されるメダルは、第1凹設部512c1の内壁に沿って移動することとなる。
【0156】
ここで、上述したように、第1凹設部512c1には、第2凹設部512c2が連結して形成される。従って、回転ディスク520の回転によって移動されるメダルは、第1凹設部512c1の内壁に沿って移動された後、第2凹設部512c2の内側に挿入される。即ち、貯留タンク400に貯留されるメダルは、第1凹設部512c1から排出経路KR1の空間に案内される。
【0157】
排出プレート530は、上面視略矩形の板状に形成され、第2凹設部512c2の上部に覆設されるプレート部材531と、そのプレート部材531に軸支されて配設される開閉部材532とを備える。
【0158】
プレート部材531は、上壁部512側に突設されて排出経路KR1の側面の一部を形成する突設部531aと、板厚方向に貫通する開口531bと、開閉部材532の軸部材533を軸支する軸受部531cと、軸部材533が軸方向に抜けることを防止する弾性片531dとを主に備える。
【0159】
突設部531aは、メダルの厚みよりも突設寸法が大きく設定される。また、突設部531aは、上壁部512の第2凹設部512c2の内側に配設されると共に、回転ディスク520の回転方向X1側の第2凹設部512c2の側面とメダルの直径よりも大きい距離分離間して配設される。これにより、第2凹設部512c2の側面と突設部531aの側面との間にメダルをホッパ装置300の外側に排出する排出経路KR1が形成される。
【0160】
また、突設部531aは、上述したローラ514dの外周面との最小の離間距離L1(
図16参照)がメダルの外径よりも小さく設定される。従って、排出経路KR1の内部に移動するメダルにより、ローラ514dが押し出され、突設部531aとローラ514dとの対向間の最小の距離寸法がメダルの直径よりも大きくされる。これにより、変位部材514は、貫通孔514aを軸に回転変位され、検出片514eが払出検出センサ515の対向間から抜け出した位置に配置される。従って、排出経路KR1の内側にメダルが送られたことをスロットマシン10に認識させることができる。
【0161】
上記の状態から更に回転ディスク520が回転され、ローラ514dを押し込んだメダルが回転ディスク520の案内部523と当接しない状態とされると、変位部材514がコイルばねSP1の付勢力により変位前の初期位置に回転して戻される。この場合、ローラ514dを押し込んだメダルは、そのメダルの外周面がローラ514dの外周面と当接しており、ローラ514dの戻り変位により排出部512d側に押し出される。従って、メダルを排出部512dに押し出す際には、変位部材514に連結されるコイルバネSP1の付勢力を利用することができる。その結果、排出経路KR1を通過するメダルが排出経路KR1の内部に留まることを抑制できる。
【0162】
また、変位部材514が初期位置に変位することで、検出片514eが払出検出センサ515の対向間に配置される。これにより、排出経路KR1に1枚のメダルが送られたことをスロットマシン10に認識させることができる。なお、後述する遊技者の不正行為とは、後述する排出部512dから挿入した不正物により変位部材514を変位させることで、検出片514eが払出検出センサ515の対向間から抜け出た状態を維持させ、スロットマシン10にメダルが払い出されていないと認識させる、払出検出センサ515が認識できる光を照射可能な不正物を排出部512dから挿入して払出検出センサ515の対向間を移動する検出片514eの移動を検出させなくし、スロットマシン10にメダルが払い出されていないと認識させる、または、排出部512dから挿入した不正物により排出経路KR1の通路幅を広げて検出片514eが移動しないようにして、スロットマシン10にメダルが払い出されていないと認識させる等の行為である。
【0163】
開口531bは、上面視において矩形状に形成され、その長手方向が排出部512dの長手方向と平行に設定される。また、開口531bは、排出経路KR1と連通されており、開口531bを介して後述する開閉部材532を排出経路KR1の内側に突出させることができる。
【0164】
軸受部531cは、プレート部材531の上面側の2個所から突設される。軸受部531cは、後述する開閉部材532を軸支する円柱状の軸部材533が挿入される部分であり、それぞれの軸受部531cに円形状の貫通孔が開口531bの長手方向に貫通され、それぞれ同軸上に配置される。
【0165】
弾性片531dは、開口531bの長手方向に長い柱状に形成されると共に、長手方向の他側の端部がプレート部材531の上面側に連結される。また、弾性片531dは、可撓性の樹脂材料から形成される。これにより、弾性片531dは、長手方向の一側の端部をその長手方向と直行する方向に弾性変形させることができる。
【0166】
さらに、弾性片531dは、軸受部531cに形成される貫通孔の他側に形成される。これにより、弾性片531dを弾性変形させつつ、開閉部材532の軸部材533を軸受部531cの貫通孔に挿入できる。また、軸部材533を軸受部531cの貫通孔に挿入した後に、弾性片531dの変形を戻すことで弾性片531dの長手方向一側の端面と軸部材533の端面とを当接させて軸部材533が軸方向に位置ずれすることを抑制できる。従って、軸部材533が軸受部531cの貫通孔から抜け出ることを抑制できる。
【0167】
開閉部材532は、金属材料から形成されると共に、上面視矩形の板部材から形成される。また、開閉部材532は、一方の端部に貫通形成される軸支孔532aが2個所の軸受部531cの対向間に配設されると共に、他方の端部に屈曲形成される屈曲部532bがプレート部材531の開口531bの上方に位置される。
【0168】
軸支孔532aは、開閉部材532を軸支する円柱状の軸部材533を挿通する穴であり、軸部材533の外径よりも大きい内径に形成される。開閉部材532は、一方側をプレート部材531の突設部531aの対向間に配設した状態で、上述したように軸部材533を軸受部531cの貫通孔に挿入しつつ軸支孔532aに挿通することで、軸部材533を中心に回転可能な状態とされる。
【0169】
屈曲部532bは、軸部材533の軸方向視において、開閉部材532の他方側の端部が下側向かって屈曲され、屈曲先端部がプレート部材531の開口の内側に挿入される。
【0170】
軸部材533には、ねじりバネSP2が配設される。これにより、開閉部材532は、他方の端部(屈曲部532b側)がプレート部材531に近づく方向に付勢される。上述したように、屈曲部532bは、開口531bの内側に挿入可能な大きさに形成されるので、開閉部材532がねじりバネSP2により付勢された状態では、屈曲部532bが開口531bの内側に挿入される。即ち、屈曲部532bが排出経路KR1の内側に配設される。これにより、排出部512dの開口からゴミや不正部材が排出経路の内側に挿入されることを抑制できる。
【0171】
なお、排出経路KR1をメダルが通過する場合には、屈曲部532bにメダルを当接させることで、開閉部材532をねじりバネSP2の付勢力に抗して回転させることができる。これにより、排出経路KR1の内部にメダルを通過させる際には、そのメダルの通過を許容できると共に、排出部512d側からゴミや不正物が侵入する場合には、その侵入を規制することができる。
【0172】
また、屈曲部532bの屈曲部分から変位部材514のローラ514dの外周面までの離間寸法L2(
図16参照)は、メダルの直径よりも小さく設定される。これにより、メダルを屈曲部532bに当接させて変位させる際に、変位部材の514に係合されるコイルバネSP1の付勢力を利用することができる。従って、排出経路KR1を通過するメダルが、開閉部材532に挟まれて排出経路KR1の内部で留まることを抑制できる。即ち、メダルの排出不良が起こることを抑制できる。
【0173】
排出部512dは、上述したように、上壁部512の第2凹設部512c2とプレート部材531の突設部531aとに囲われて形成される開口である。排出部512dは、正面視において、略矩形状の開口として形成される共に、その長手方向が左右方向(
図16L−R方向)において他側(矢印L方向側)から一側(矢印R方向側)に向かって下降傾斜して形成される。これにより、メダルが排出経路KR1の内側を通過する際に、メダルの外周面を利用することができるので、メダルが排出経路KR1の内側に留まることを抑制できる。
【0174】
また、排出部512dは、その排出部512dの開口の長手方向が、プレート部材531の突設部531a側に向かって下降傾斜して形成される。よって、排出経路KR1を通過するメダルの外周面が当接する部分を突設部531aの側面とすることができる。従って、メダルが排出経路KR1を通過することでへたりやすい部分をプレート部材531側にすることができる。上述したように、プレート部材531は、上壁部512の上部に配設されるので、比較的着脱しやすい。その結果、排出経路KR1の内側がへたり排出経路KR1が大きくなることエラー(例えば、メダルの排出不良)が発生する場合には、部品交換を簡易にすることができ、部品交換にかかる作業者の負担を軽減できる。
【0175】
係合部540は、周壁部511の他端側に締結固定される固定部材541と、その固定部材541に対して回転変位可能に配設される回転部材542とを備える。
【0176】
固定部材541は、外形が立設部511aの内縁形状よりも小さく形成されて、立設部511aの内側に締結固定される。また、固定部材541は、円柱状の軸部材541aを備えており、その軸部材541aに回転部材542の軸孔542aが挿入されることで、回転部材542が回転可能な状態で連結される。
【0177】
回転部材542は、上方側の端部に一側に突出する係合片542bと、前後方向に貫通形成される軸孔542aとを備える。係合片542bは、上述した貯留タンク400を排出装置500と係合させるための突起であり、貯留タンク400の第2係合部433と係合可能とされる。
【0178】
貯留タンク400と排出装置500とは、貯留タンク400の第1係合部432を周壁部511の一側に形成される凹部511bに挿入した後に、貯留タンク400の第2係合部433を係合部540の係合片542bに係合することで、両者が係合される。
【0179】
なお、回転部材542は、図示しないねじりバネにより第2係合部433との係合側に付勢されており、外力を加えない状態では、貯留タンク400と排出装置500とが係合された状態が維持される。また、貯留タンク400と排出装置500との係合を解除する場合には、回転部材542をねじりバネの付勢方向と反対方向に外力を加えて回転変位させることで、係合片542bと第2係合部433との係合が解除される。これにより、第1係合部432を周壁部511の凹部511bから引き抜くことが可能とされ、貯留タンク400と排出装置500との係合が解除される。
【0180】
コネクタ550は、ハウジング510の内側に配設される駆動モータ516及び払出検出センサ515に配線が連結される。また、コネクタ550には、筐体11に配設される主制御装置131に連結される配線がホッパ装置300の外部から連結される。これにより、駆動モータ516及び払出検出センサ515に電力を付与することができる。
【0181】
コネクタ550が配設されるハウジング510の窪みは、その深さが内部に配設されるコネクタ550よりも大きく設定される。即ち、コネクタ550は、ハウジング510の外周面よりも内側に配設される。これにより、筐体11の内部に不正な部材が挿入された場合に、コネクタ550の部分に不正部材をアクセスしにくくできる。その結果、ホッパ装置300に不正が行われることを抑制できる。
【0182】
また、コネクタ550が配設されるハウジング510の窪みは、ハウジング510の前後方向(矢印F−B方向)略中央位置よりも背面側(矢印B方向側)に配設される。これにより、不正行為を行う遊技者が、前扉12を開放した際に、コネクタ550部分にアクセスしにくくできる。その結果、ホッパ装置300に不正が行われることを防止できる。
【0183】
なお、作業者がコネクタ550にアクセスする場合には、ホッパ装置300を筐体11から正面側(矢印F方向側)に引き出し操作したのちにホッパ装置300の左側(矢印L方向側)からアクセスすることができる。従って、ホッパ装置300の外側からコネクタ550に連結される配線は、ホッパ装置300を筐体11に対して正面側に引き出し操作した場合にコネクタ550に連結可能な長さに設定される。
【0184】
次いで、
図18及び
図19を参照して、排出用通路82について説明する。
図18(a)は、排出用通路82の正面図であり、
図18(b)は、排出用通路82の斜視正面図である。
図19(a)は、ホッパ装置300及び排出用通路82の正面図であり、
図19(b)は、ホッパ装置300及び排出用通路82の側面図である。なお、
図19(b)では、排出用通路82が配設される前扉12の外形が2点鎖線で図示される。
【0185】
図18及び
図19に示すように、排出用通路82は、正面側(
図18(a)紙面手前側)が開放する断面略C字状に形成される。また、排出用通路82は、断面略C字の両端部が前扉12の背面側に当接した状態で配設される。これにより、排出用通路82の内側部分に四方が閉鎖された空間の払出経路KR2が形成される。
【0186】
排出用通路82は、上述したように、上方側の端部が前扉12に配設されるセレクタ83の下方に配置されると共に、下方側の端部が、前扉12の下方に形成されるメダル排出口17(
図2参照)の背面側に配設される。これにより、セレクタ83を通過して排出用通路82の上端側(払出経路KR2の上端側)に送られるメダルは、払出経路KR2を通過して前扉12のメダル排出口17から払い出される。
【0187】
さらに、排出用通路82は、払出経路KR2の外側外面からホッパ装置300側(背面側、
図19(b)矢印B方向側)に突出する連通部82aを備える。連通部82aは、内側が開口する開口94を備え、その開口94が排出部512dの前方の空間を取り囲う位置に配置される。また、開口94は、その内部空間が払出経路KR2と連通される。よって、ホッパ装置300の排出部512dから排出されるメダルを開口94を介して払出経路KR2に送ることができる。従って、ホッパ装置300から払い出すメダルを前扉12のメダル排出口17(
図2参照)から払い出すことができる。
【0188】
次いで、
図20及び
図21を参照して、ホッパ装置300の保持部440及び連通部82aについて詳しく説明する。
図20(a)は、
図19(b)のXXa−XXa線におけるホッパ装置300及び排出用通路82の断面図であり、
図20(b)は、
図20(a)のXXb−XXb線におけるホッパ装置300及び排出用通路82の断面図である。
図21(a)は、
図12(b)のXXIa−XXIa線におけるホッパ装置300の断面図であり、
図21(b)は、
図21(a)のXXIb−XXIb線におけるホッパ装置300の断面図である。
図22(a)は、ホッパ装置300及び排出用通路82の断面図であり、
図22(b)は、
図22(a)のXXIIb−XXIIb線における、ホッパ装置300及び排出用通路82の断面図である。
【0189】
なお、
図22(a)は、
図20(b)の断面に対応する。また、
図21(a)及び
図21(b)では、保持部440を把持する作業者の手が2点鎖線で図示される。さらに、
図22(a)及び
図22(b)は、前扉12と筐体11との間に若干の隙間が形成され、その隙間から不正な部材が挿入された状態が図示される。また、
図20から
図22では、ホッパ装置300の断面が模式的に図示される。
【0190】
図20に示すように、連通部82aは、正面視における断面形状が矩形に形成されると共に、正面視略コ字状に形成される保持部440の内側に配設される。また、前扉12が筐体11に対して閉鎖された閉鎖状態では、連通部82aの突出先端とホッパ装置300との対向間における距離寸法が、メダルの厚みよりも小さく設定される。これにより、ホッパ装置300の排出部512dから排出されるメダルを開口94の内側に送ることができると共に、排出部512dから排出されるメダルが連通部82aの突出先端とホッパ装置300との対向間の隙間から落下することを抑制できる。
【0191】
また、本実施形態では、連通部82aと保持部440との間に所定の隙間が形成される。この隙間は、前扉12が筐体11に対して支軸25aを中心に回転して開放された際に、連通部82aと保持部440とが当接しない大きさに設定されると共に、ホッパ装置300を不正に操作するために挿入される不正部材の外形よりも小さく設定されることが好ましく、本実施形態では、連通部82aと保持部440との隙間が1ミリ以下の値に設定される。
【0192】
次いで、
図21を参照して、ホッパ装置300を作業者が移動させる場合について説明する。なお、作業者がホッパ装置300を移動させる状態としては、ホッパ装置300を筐体11に対して上方に向かって支持すると共に筐体11の開放側(正面側)に移動させ筐体11に対するホッパ装置300の移動の規制を解除する第1の移動と、その第1の移動の後に、筐体11に対してホッパ装置300を筐体11の外側に引き出し操作する第2の移動と、その第2の移動により引き出したホッパ装置300を支持しつつ搬送する第3の移動との3種の状態が例示される。
【0193】
図21に示すように、支持部441は、ホッパ装置300を筐体11から引き抜く方向(第2の移動の際のホッパ装置300の移動方向)に突設されると共に、排出部512dと所定の距離離間する位置の重力方向上側に形成される。また、上述したように、ホッパ装置300は、前扉12を筐体11に対して離間する方向に回転させた状態(開放状態)において、筐体11に対して取り出し可能に配設される。
【0194】
従って、作業者が、ホッパ装置300を移動させることを目的として支持部441を把持する場合に、作業者の手を排出部512dの前方(排出部512dの開口を覆う位置)に配置させることができる。よって、作業者がホッパ装置300を移動させる際に、排出部512dを通過するメダルを作業者の手に当接させて、メダルが排出部512dから排出されることを抑制できる。
【0195】
ここで、一面側が開口する箱状の外枠(筐体)と、その外枠の開口側に開閉可能に配設される前扉と、メダル(遊技媒体)を排出する排出部が形成され、外枠の内側に着脱可能に配設されると共にメダルを貯留する遊技媒体排出手段(ホッパ装置)とを備える遊技機が知られている。遊技媒体排出手段には、外枠と当接する面に遊技媒体排出手段の内側に向かって凹設される凹設部を備える。作業者は、凹設部の内側に手を入れることで、遊技媒体排出手段を移動させる際の持ち手として利用できる。
【0196】
しかしながら、上述した従来の遊技機では、遊技媒体排出手段に貯留されるメダルが排出部の内側で詰まった場合や、メダルを排出するための駆動源が故障した場合に、前扉を開放して外枠から遊技媒体排出手段を取り出して搬送する必要があり、その移動の際に、遊技媒体排出手段の移動に伴う摩擦抵抗により発生する振動や遊技媒体排出手段の傾きで排出部からメダルが排出されて、メダルが遊技機の外方に散らばる恐れがあった。
【0197】
これに対して、本実施形態では、ホッパ装置300は、排出部512dから重力方向上方に所定の距離離間する位置に突設される支持部441を備えるので、ホッパ装置300を移動させることを目的として、作業者が支持部441を把持した場合に、作業者の手を排出部512dの前方(排出部512dの開口を覆う位置)に配置させることができる。従って、ホッパ装置300を筐体11に対して移動させることに伴う摩擦抵抗により発生する振動やホッパ装置300の傾きに伴って排出部512d(排出経路KR1)を通過するメダルを作業者の手に当接させることができる。その結果、ホッパ装置300の移動中に排出部512dからメダルが排出されて、メダルがスロットマシン10の外方に散らばることを抑制できる。なお、ホッパ装置300の移動とは、上述した第1の移動から第3の移動であり、本実施形態では、少なくとも何れか1の移動の際にメダルがスロットマシン10の外方に散らばることを抑制できる。
【0198】
また、支持部441が排出部512dから重力方向に離間する所定の距離は、作業者が支持部441を保持した場合に、作業者の手の少なくとも一部が排出部512dの前方に位置する大きさであればよく、好ましくは、10ミリから30ミリの範囲に設定される。これによれば、支持部441を把持する作業者の手を排出部の前方に配置させやすくできる。
【0199】
さらに、本実施形態では、連通部82aと保持部440との間に所定の隙間が形成される。この隙間は、前扉12が筐体11に対して支軸25aを中心に回転して開放された際に、連通部82aと保持部440とが当接しない大きさに設定されると共に、ホッパ装置300を不正に操作するために挿入される不正部材の外形よりも小さく設定されることが好ましい。なお、本実施形態では、連通部82aと保持部440との隙間が1ミリ以下の値に設定される。
【0200】
また、支持部441は、筐体11の開放側に突設される。よって、ホッパ装置300を移動させることを目的とする作業者が前扉12を筐体11に対して開放した状態とした後に、作業者に支持部441を掴ませやすくできる。その結果、作業者がホッパ装置300を移動させる際に、ホッパ装置300の支持部441以外の個所を保持することを抑制できる。その結果、ホッパ装置300が破損することを抑制できる。
【0201】
支持部441は、排出部512dの上方に位置して、ホッパ装置300の外側に突設されるので、支持部441を作業者が支持した場合に、支持部441の基端側を排出部512dの開口および排出経路KR1の内部空間を狭める方向に撓ませることができる。従って、支持部441を作業者が支持した場合には、排出部512dの開口および排出経路KR1の内部空間を狭めることで、メダルが排出部512dを通過することを抑制できる。その結果、作業者がホッパ装置300を移動させる場合に、メダルがスロットマシン10の外方に散らばることを抑制できる。
【0202】
さらに、支持部441は、その延設方向が、前扉12が筐体11に対して回転する支軸25a(
図5参照)の軸から径方向に離間するに従って下降傾斜して形成される。これにより、ホッパ装置300を移動させることを目的として、作業者が保持部440(支持部441)を握持した場合に、保持部440を支えやすく(持ち上げやすく)できる。
【0203】
即ち、ホッパ装置300を取り出す際には、前扉12を筐体11に対して開放する開放状態とする必要があるところ、作業者は前扉12を開放状態とした場合に筐体11の開放面に手を挿入しやすい支軸25aから遠方側に位置することが多い。従って、作業者は、左手を筐体11の内側に挿入することが多いところ、支持部441が支軸25aの軸から径方向に離間するに従って下降傾斜して形成されるので、作業者は支持部441を掴んだ後に体の中心側に引き込む方向に引き上げることで支持部441を支えることができる。その結果、作業者がホッパ装置300に対して第1の移動を行う際に、ホッパ装置300を支えやすくできるので、ホッパ装置300を移動させやすくできる。
【0204】
また、保持部440は、支持部441の突設先端部に下方側に向かって屈曲する突設部443を備える。これにより、支持部441を把持する作業者の手を、突設部443及びホッパ装置300(プレート部材531)の外周面との対向間に配置することができると共に、その対向間に配置される作業者の手をホッパ装置300に外周面に沿って配置させることができる。これにより、ホッパ装置300を移動させることを目的として、保持部440を把持する作業者の手を排出部512dの前方(排出部512dの開口を覆う位置)に配置させやすくできる。その結果、ホッパ装置300の移動中に排出部512dからメダルが排出されて、メダルがスロットマシン10の外方に散らばることを抑制できる。
【0205】
さらに、支持部441の延設方向は、排出部512dの開口の長手方向と平行に形成される。従って、排出部512dの開口の長手方向と直行する方向における排出部512dと支持部441との離間距離を一定にすることができる。よって、ホッパ装置300を移動させることを目的として、作業者が支持部441を把持した場合に、作業者の手を排出部の前方(排出部512dの開口を覆う位置)に配置させやすできる。
【0206】
例えば、排出部512dと支持部441との距離が排出部512dの開口長手方向に沿って異なる場合には、作業者が排出部512dと支持部441とが離間する場所を把持すると、作業者の手を排出部512dの前方に配置しにくくなる。これに対して、本実施形態では、排出部d512と支持部441との離間距離を一定とすることができるので、作業者が支持部441を把持する位置が関係しない。従って、作業者が保持部440を把持した手を排出部512dの前方に配置しやすくできる。その結果、ホッパ装置300の移動中に排出部512dからメダルが排出されて、メダルがスロットマシン10の外方に散らばることを抑制できる。
【0207】
支持部441とホッパ装置300との対向間距離寸法L3(
図21(b)参照)は、上述したようにメダルの直径よりも小さく設定される。従って、支持部441が突設されるホッパ装置300の側面と支持部441を把持する作業者の手との対向間の距離をメダルの直径よりも小さくすることができる。よって、排出部512dを通過しているメダルが、支持部441を把持する作業者の手に当接した際に、そのメダルを排出部512dから抜け出にくくすることができる。その結果、ホッパ装置300を移動させる際に、排出部512dからメダルが排出されて、メダルがスロットマシン10の外方に散らばることを抑制できる。
【0208】
また、支持部441は、排出部512dの開口の下降側が長く延設される。詳しく説明すると、支持部441は、排出部512dの開口の長手方向中央位置で分断し短手方向に延びる2等分線の仮想線S1(
図20(a)参照)から下降側端部までの距離寸法が、2等分線(仮想線S1)から上昇側端部までの距離寸法よりも大きく設定される。よって、支持部441を把持する作業者の手を排出部512dの下降側部分の手前側に配置させやすくできる。従って、排出部512dの開口が長手方向に傾斜して形成される場合には、排出部512dから排出されるメダルが、重力方向下側に位置する内面に沿って排出されるところ、支持部441を把持する作業者の手を排出部512dの下降側部分の手前側に配置されるので、排出部512dを通過するメダルを作業者の手に当接させやすくできる。その結果、ホッパ装置300を移動させる際に、メダルが排出部512dから排出されて遊技機の外方に散らばることを抑制できる。
【0209】
次いで、
図22を参照して、前扉12と筐体11との間に隙間が形成され、その隙間から不正な部材が挿入された場合について説明する。なお、
図22では、不正な部材がHBの符号を付して図示される。
【0210】
図22に示すように、前扉12と筐体11との間に隙間が形成される場合には、ホッパ装置330が筐体11に、排出用通路82が前扉12に、それぞれ配設されるので、連通部82aの突出先端とホッパ装置300の対向間の距離が大きくされる。従って、不正部材が連通部82aの突出先端とホッパ装置300の対向間の隙間に挿通されやすくなる。
【0211】
これに対して、本実施形態では、上述したように、前扉12に配設される排出用通路82が、排出部512dと連通する連通部82aを備え、連通部82aの端面を含む同一の平面上に保持部440が配置されるので、排出部512dの内側に不正物が挿入されて、不正行為が行われることを抑制できる。
【0212】
例えば、閉鎖された状態の前扉12と筐体11との間にドライバー等の工具で隙間を形成し、その隙間から針金やピアノ線等の不正物を挿入して、その不正物の挿入先端側をホッパ装置300と連通部82aとの隙間を介して排出部512dの内側に挿入させ、ホッパ装置300の排出部512dから排出されるメダルの数を検出する払出検出センサ515のコネクタ部分をショート(断線)させる、または、ホッパ装置300から排出されるメダルの排出経路KR1を大きくしてメダルが排出されている状態であっても変位部材514が変位しない状態と(ホッパ装置300の排出部512dから排出されるメダルの数を検出する検出センサが作動しないように)することで、ホッパ装置300の排出部512dから排出されるメダルの数を所定の数よりも多くさせる不正行為がある。かかる不正行為に対し、本発明によれば、連通部82aの端部と保持部440とが、連通部82aの端面とを含む平面において同一の平面上に配置されるので、前扉12と筐体11との間から挿入された不正物が、ホッパ装置300と連通部82aとの間に挿入されることを抑制できる。即ち、保持部440と連通部82aとが同一の平面上に配設されることで、不正物が挿入される隙間を小さくすることができ、不正物が挿入されることを抑制できる。その結果、上述した不正行為を抑制できる。
【0213】
また、支持部441は、突設されるので、作業者が前扉12を開放した場合に保持部440を視認しやすい。よって、保持部440に不正物が挿入可能な大きさの穴が形成された場合には、作業者が前扉12を開放した際に、作業者に不正行為がされたことを認識させることができる。従って、ホッパ装置300を新しいものに交換することで不正行為が継続して行われることを防止できる。
【0214】
さらに、保持部440は、下方に屈曲する突設部443を備えるので、支持部441との連通部82aとの対向間に空間を形成することができる。従って、支持部441に不正物が挿入可能な大きさの孔が形成された場合には、その空間を利用して孔形成時のバリ(突起)を支持部441の下方に突出させることができる。従って、作業者が支持部441を把持した場合に、そのバリを作業者の手に当接させることができる。よって、作業者に不正行為がされたことを認識させやすくすることができる。
【0215】
また、この場合、支持部441の下面が平滑面に形成されることが好ましい。これによれば、作業者が支持部441を把持した場合に、作業者に孔が形成されたことを認識させやすくすることができる。
【0216】
さらに、保持部440は、ホッパ装置300を移動させる場合の作業者の持ち手として利用させることができるので、保持部440に不正物が挿入可能な大きさの穴が形成された場合に、保持部440を把持した際の感触で作業者に不正行為がされたことを認識させることができる。従って、ホッパ装置300を新しいものに交換することで不正行為が継続して行われることを防止できる。
【0217】
また、上述したように、連通部82aは、正面視略コ字状に形成される保持部440の内側に配設される。言い換えると、保持部440は、連通部82aの外側に配置される。よって、保持部440と連通部82aとが連通状態を形成する領域内においてその領域の外縁に沿って凸部を配置することができ、凸部の大きさを最大とすることができる。従って、ホッパ装置300を移動させることを目的として、作業者が保持部440を把持する場合に、作業者に保持部440を把持させやすくできる。よって、作業者がホッパ装置300を移動させる場合に、保持部440以外の部分を把持することを抑制できる。その結果、ホッパ装置300を移動させる際に、排出部512dを通過するメダルを作業者の手に当接させて、メダルが排出部512dから排出されることを抑制できる。
【0218】
さらに、保持部440の屈曲部442は、凸部の延設方向の両端部から下方に屈曲して延設され、その屈曲部442の延設先端が、排出部512dの開口の重力方向下側内縁の長手方向に沿って延びる直線の仮想線S2(
図22(a)参照)よりも下方に配置される。よって、排出部512dの内側に不正物が挿入されて、不正行為が行われることを抑制できる。
【0219】
即ち、排出部512dは、その開口の外側の3方向が屈曲部442及び支持部441により囲われるので、例えば、前扉12と筐体11との間に形成される隙間に挿入される不正物が、排出部512dに向けて挿入された場合に、不正物の先端を屈曲部442及び支持部441に当接させやすくできる。よって、排出部512dまでの不正物の侵入経路今日に屈曲部442及び支持部441が配設されるので、不正物が排出部512dに挿入されることを抑制できる。その結果、遊技者の不正行為を抑制できる。
【0220】
また、屈曲部442は、支持部441を把持する作業者の手が支持部441の延設方向に飛び出ることを抑制できる。従って、支持部441を把持する作業者の手を排出部512dを覆う位置に位置させやすくできる。さらに、支持部441を支持する作業者の手がその延設方向の傾斜によってスライドする際には、屈曲部442を作業者の手に当接させて、作業者が排出部512dを覆う位置から位置ずれすることを抑制できる。その結果、作用者がホッパ装置300を移動させる際に、作業者の手から支持部441が抜け出ることを抑制できる。
【0221】
次いで、
図23を参照して、第2実施形態におけるホッパ装置300及び排出用通路2082について説明する。上記第1実施形では、保持部440の内側部分に連通部82aが配設される場合を説明したが、第2実施形態では、保持部2440が、連通部2082aの外側に配設される。なお、上記第1実施形態と同一の部分には、同一の符号を付してその説明は省略する。
【0222】
図23(a)は、第2実施形態におけるホッパ装置300及び排出用通路2082の断面図であり、
図23(b)は、
図23(a)のXXIIIb−XXIIIb線におけるホッパ装置300及び排出用通路2082の断面図である。なお、
図23(a)は、
図20(a)の断面と対応する。また、
図23(b)では、ホッパ装置300の断面が模式的に図示される。
【0223】
図23に示すように、第2実施形態における排出用通路2082は、第1実施形態の排出用通路82と同様に、正面側が開放する断面略C状に形成される。また、排出用通路2082は、断面略C字の外側面にホッパ装置300側に突出する連通部2082aが形成される。
【0224】
連通部2082aは、内側が開口する開口2094を備え、その開口2094が排出部512dの前方の空間を取り囲う位置に配置される。また、開口2094は、その内縁形状が後述する保持部2440の正面視形状よりも大きく形成される。これにより、前扉12が筐体11に対して閉鎖された状態(閉鎖状態)において、開口2094の内側に保持部2440が配設される。
【0225】
また、ホッパ装置300の貯留タンク400には、連結部430の正面側の端部に保持部2440が突設される。保持部2440は、正面視略C字状に形成されると共に、そのC字の内側に排出部512dが配設される。これにより、ホッパ装置300を移動させることを目的として、作業者が保持部2440を把持した場合に、作業者の手を排出部512dの前方(排出部512dの開口を覆う位置)に配置させることができる。従って、ホッパ装置300を筐体11に対して移動させる摩擦抵抗により発生する振動やホッパの傾きに伴って排出部512d(排出経路KR1)を通過するメダルを作業者の手に当接させることができる。その結果、ホッパ装置300の移動中に排出部512dからメダルが排出されて、メダルがスロットマシン10の外方に散らばることを抑制できる。
【0226】
さらに、第2実施形態では、連通部2082aの開口2094の内側に保持部2440が配設されるので、閉鎖された状態の前扉12と筐体11との間の隙間から針金やピアノ線等の不正物が挿入された場合に、ホッパ装置300と連通部2082aとの隙間を介して連通部2082aの内側に挿入される不正物の先端側を、保持部2440の側面に沿って、保持部2440の突設方向(
図23(b)右方向)に送ることができる。従って、連通部2082aの内側に挿入される不正物の先端側を排出部512dの開口から離間する方向に送ることができるので、排出部512dの内側に不正物が挿入されて、不正行為が行われることを抑制できる。
【0227】
次いで、
図24及び
図25を参照して、第3実施形態におけるホッパ装置300について説明する。上記第1実施形態では、保持部440がホッパ装置300の貯留タンク400から突設される場合について説明したが、第3実施形態では、保持部3511cが、ホッパ装置300の排出装置500に凹設される。なお、上記各実施形態と同一の部分には、同一の符号を付してその説明は省略する。
【0228】
図24(a)は、第3実施形態におけるホッパ装置300の正面図であり、
図24(b)は、
図24(a)のXXIVb−XXIVb線におけるホッパ装置300の断面図である。なお、
図24(b)では、ホッパ装置300の断面が模式的に図示される。
【0229】
図24に示すように、第3実施形態におけるホッパ装置300の貯留タンク400には、保持部440が形成されず、連結部430の正面側側面が平滑面とされる。また、排出装置500のハウジング510は、下面および上面が開放する筒状に形成される周壁部3511と、その周壁部3511の上面側開口を閉鎖する512と、周壁部3511の下面側開口を閉鎖する底壁部513と、周壁部の側面に沿ってスライド変位可能に配設される閉鎖部材3517とを備えて形成される。
【0230】
周壁部3511は、下面側の開口端部が水平に形成され、上面側の開口端部が他端側から一端側に向かって下降傾斜して形成される。また、周壁部3511は、他端側の外側面に立設部511aが立設され、排出部512dの開口側(筐体11の開放側)の側面に保持部3511cが凹設される。
【0231】
保持部3511cは、排出部512dの重力方向下方に形成されると共に、排出部512dと所定の距離離間して形成される。また、保持部3511cは、正面視略矩形状に凹設されると共に、その長手方向が排出部512dの開口の長手方向と平行に形成される。なお、保持部3511cは、作業者がホッパ装置300を移動させる場合に手を挿入する部分であり、作業者が手を挿入する状態については後述する。
【0232】
閉鎖部材3517は、正面視略矩形の板状に形成され、その一面が排出部512dの開口側(筐体11の開放側)の周壁部3511の側面に沿って配置される。また、閉鎖部材3517は、正面視における外形が、上述した保持部3511cの正面視における外形よりも大きく形成される。
【0233】
閉鎖部材3517は、長手方向が他端側から一端側に向かって下降傾斜して配設され、その傾斜方向が、排出部512dの開口の長手方向と略平行とされる。閉鎖部材3517は、短手方向に沿う長穴の摺動孔3517aと、短手方向一端側の側面に端面3517bとを備える。
【0234】
摺動孔3517aは、閉鎖部材3517の短手方向において略中央位置よりも一端側に偏った位置に2個所形成される。摺動孔3517aは、閉鎖部材3517をその長穴方向に変位可能な状態で周壁部3511に保持するための開口であり、内側に円環形状のカラーCが配設されると共に、そのカラーCの内縁部に周壁部3511に螺合されるネジNが挿入される。
【0235】
カラーCは、摺動孔3517aの幅寸法よりも小さい外径の小径部C1と、摺動孔3517aの幅寸法よりも大きい外径の大径部C2とから形成される。小径部C1は、その軸方向の長さが、閉鎖部材3517の板厚よりも若干大きく形成され、摺動孔3517aに挿入される。大径部C2は、閉鎖部材3517が板厚方向に脱落することを規制する部分であり、閉鎖部材3517を周壁部3511との対向間に挟んだ状態でネジNにより締結固定される。これにより、閉鎖部材3517は、摺動孔3517aの開口方向に沿って摺動可能な状態で周壁部3511に配設され、保持部3511cの正面側に位置し、保持部3511cを覆設する第1閉鎖位置と、排出部512dの正面側に位置し、排出部512dを覆設する第2閉鎖位置とで変位可能とされる。
【0236】
第1閉鎖位置では、
図24(a)に示す位置であり、閉鎖部材3517が重力方向下方側に配置され、カラーCの小径部C1が閉鎖部材3517の摺動孔3517aの上方側端部内面と当接した状態とされる。
【0237】
また、第1閉鎖位置では、閉鎖部材3517の端面3517bが排出部512dの下方に配設されると共に、閉鎖部材3517の短手方向他端側が保持部3511cの正面側(保持部3511cを覆う位置)に配設される。端面3517bは、閉鎖部材3517の板厚方向において周壁部3511の側面から離間する方向に向かって下降傾斜して形成される。これにより、排出部512dからメダルが排出された場合に、そのメダルが端面3517bの上部に載置されてメダルの排出不良が発生することを抑制できる。
【0238】
また、閉鎖部材3517の短手方向他端側が保持部3511cの正面側(保持部3511cを覆う位置)に配設されるので、前扉12が筐体11に対して閉鎖される状態(閉鎖状態)とされる場合に、前扉12と筐体11との間に形成される隙間から挿入される不正物が、保持部3511cの内側に挿入されることを抑制できる。これにより、保持部3511cの内側に不正な加工がされることを抑制できる。
【0239】
ここで、保持部3511cは、上述したように凹設して形成されるので、その内面に不正な加工がされる(例えば貫通する孔が形成される)と、作業者が前扉12を筐体11に対して開放するだけでは、その不正な加工を視認しにくくなり、不正がされていることを認識できないという問題点があった。
【0240】
これに対して、第3実施形態では、閉鎖部材3517が第1閉鎖位置とされることで、保持部3511cを覆設できる。従って、前扉12と筐体11との間に形成される隙間から挿入される不正物が保持部3511cの内側に挿入されること抑制できる。その結果、遊技者の不正行為を抑制できる。
【0241】
また、保持部3511cは、周壁部3511の外側に配設されるので、保持部3511cに不正な加工がされる場合には、作業者が、前扉12を筐体11に対して開放するだけで、保持部3511cにされる不正を認識できる。これにより、不正がされている場合には、ホッパ装置300を不正がされていないものと交換することで、不正が継続して行われることを抑制できる。
【0242】
さらに、第1閉鎖位置では、閉鎖部材3517の摺動孔3517aが、保持部3511cの上方に位置し、前後方向(
図24(a)紙面垂直方向)において保持部3511cと重ならない位置に配置される。従って、保持部3511cの前方に閉鎖部材3517を摺動させるための穴が開口することを抑制できる。従って、この点からも不正物が保持部3511cの内側に挿入されること抑制できる。その結果、遊技者の不正行為を抑制できる。
【0243】
次いで、
図25を参照して、第2閉鎖位置および連通部3082aとの連通状態について説明する。
図25(a)は、ホッパ装置300の断面図であり、
図25(b)は、ホッパ装置300及び連通部3082aの断面図である。なお、
図25(a)は、閉鎖部材3517が第2閉鎖位置とされ、保持部3511cに挿入させる作業者の手が2点鎖線で図示される。また、
図25(a)及びC02(b)では、ホッパ装置300の断面が模式的に図示される。
【0244】
図25(a)に示すように、閉鎖部材3517は、ホッパ装置300を移動させることを目的として作業者が、閉鎖部材3517の短手方向に持ち上げることで第2閉鎖位置に変位される。第2閉鎖位置では、閉鎖部材3517の端面3517bが排出部の上方に配設されると共に、保持部3511cの正面側の下側部分が開放される。
【0245】
従って、作業者は、閉鎖部材3517を下方側端部に手を引っ掛けつつ持ち上げることで、閉鎖部材3517を第2閉鎖位置に配置することができる。また、閉鎖部材3517への手の引っ掛け部分の後方に保持部3511cの凹設空間が形成されるので、作業者は、閉鎖部材3517に引っ掛けた手を背面側に挿入するだけで保持部3511cに手を挿入することができる。従って、作業者に、閉鎖部材3517を持ち上げる動作と、保持部3511cの内部空間に手を挿入する動作とを一連の動作で行わせることができるので、ホッパ装置300を移動させる際の作業者の操作を簡易にできる。
【0246】
上述したように、第3実施形態では、保持部3511cが、排出部512dの重力方向下方に形成されると共に、排出部512dと所定の距離離間して形成される。従って、保持部3511cを把持する(保持部3511cに挿入した)作業者の手を排出部512dの下側に配置することができる。これにより、ホッパ装置300を移動させる際に、排出部512dを通過するメダルが排出部512dから排出された場合に、保持部3511cを把持する作業者の手の上部に排出部512dから排出されたメダルを落下させることができる。その結果、ホッパ装置300を移動させる際に、メダルが排出部512dから排出されて、スロットマシン10の外方に散らばることを抑制できる。
【0247】
また、保持部3511cが排出部512dの下方(矢印D方向)に位置して、ホッパ装置300に凹設されるので、保持部3511cを作業者が支持した場合に、保持部3511c及び排出部512dの対向間部分を排出部512dの開口および排出経路KR1の内部空間を狭める方向に撓ませることができる。従って、保持部3511cを作業者が支持した場合には、排出部512dの開口および排出経路KR1の内部空間を狭めることで、メダルが排出部512dを通過することを抑制できる。その結果、作業者がホッパ装置300を移動させる場合に、メダルがスロットマシン10の外方に散らばることを抑制できる。
【0248】
さらに、第2閉鎖位置では、閉鎖部材3517の下方側の一部が、保持部3511cの正面側上部に配置される。即ち、保持部3511cと閉鎖部材3517とが前後方向に重なる重なり代を備えた状態で配設される。これにより、作業者がホッパ装置300を筐体11から引き抜く際に、閉鎖部材3517の下端部分(保持部3511cとの重なり代部分)に手を引っ掛けることができる。その結果、ホッパ装置300を筐体11から引き抜きやすくできる。
【0249】
よって、第3実施形態では、保持部3511cの内側への不正を防止する閉鎖部材3517を、ホッパ装置300を筐体11から引き出す際の手の引っ掛け部として利用することができるので、ホッパ装置300に凹設した保持部3511cを形成する場合に、保持部3511cの内側に、作業者が指を引っ掛けるための突起を形成する必要がなくなり、保持部3511cの形状を簡易にすることができる。その結果、ホッパ装置300の製造コストを抑えることができる。
【0250】
一方、閉鎖部材3517を第2閉鎖位置から第1閉鎖位置に移動させる場合には、閉鎖部材3517の自重により第1閉鎖位置に移動させることができる。詳しく説明すると、閉鎖部材3517は、重力方向の変位成分を含む方向に変位可能とされ、第2閉鎖位置が第1閉鎖位置よりも上方に設定されるので、重力を利用して閉鎖部材3517を第1閉鎖位置に変位させることができる。よって、ホッパ装置300を移動させる作業者が閉鎖部材3517を第2閉鎖位置に変位させた後に、閉鎖部材3517を第1位置に戻す動作を省くことができる。さらに、第3実施形態では、第1閉鎖位置が閉鎖部材3517の初期位置に設定される。従って、作業者が、第2閉鎖位置へ閉鎖部材3517を移動させた後に、初期位置への戻し忘れることを抑制できる。
【0251】
図25(b)に示すように、排出用通路3082の連通部3082aの内側に閉鎖部材3517が配設される。これにより、保持部3511cが、連通部3082aの内側に配置されるので、前扉12が筐体11に対して閉鎖された状態とされる場合に、前扉12と筐体11との間に形成される隙間から挿入される不正物が、保持部3511cの内側に挿入されることを抑制できる。
【0252】
また、不正物が、連通部3082aと周壁部3511との下方側の隙間から挿入される場合には、挿入される不正物の先端で閉鎖部材3517を持ち上げさせることができる。よって、閉鎖部材3517の端面3517bを排出部512dの開口の前方に配置することができる。従って、排出部512dに不正物が挿入されることを抑制できると共に、排出部512dからメダルが排出されることを抑制できる。その結果、遊技者の不正行為を抑制できる。
【0253】
次いで、
図26を参照して、第4実施形態について説明する。上記第3実施形態では、保持部3511cが、周壁部3511の側面に凹設される場合について説明したが、第4実施形態では、保持部4511cが、周壁部4511の上端部に凹設される。なお、上記各実施形態と同一の部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0254】
図26(a)は、第4実施形態におけるホッパ装置300の正面図であり、
図26(b)は、
図26(a)のXXVIb−XXVIb線におけるホッパ装置300の断面図である。なお、
図26(b)では、ホッパ装置300の断面が模式的に図示される。
【0255】
図26に示すように、第4実施形態における排出装置500のハウジング510は、下面および上面が開放する筒状に形成される周壁部4511と、その周壁部4511の上面側開口を閉鎖する上壁部512と、周壁部4511の下面側開口を閉鎖する底壁部513と、周壁部4511の側面に沿ってスライド変位可能に配設される閉鎖部材4517とを備えて形成される。
【0256】
周壁部4511は、下面側の開口端部が水平に形成され、上面側の開口端部が他端側から一端側に向かって下降傾斜して形成される。また、周壁部4511は、他端側の外側面に立設される立設部511aと、排出部512dの開口側(筐体11の開放側)であって上面側の開口端部に凹設される保持部4511cとを備える。
【0257】
保持部4511cは、排出部512dの重力方向下側に形成されると共に、排出部512dと上壁部512の板厚分離間して形成される。また、保持部4511cは、正面視略矩形状に凹設されると共に、その長手方向が排出部512dの開口の長手方向と平行に形成される。なお、保持部4511cは、作業者がホッパ装置00を移動させる場合に手を挿入する部分である。
【0258】
閉鎖部材4517は、正面視略矩形状の板状体から形成され、その一面が排出部512dの開口側(筐体11の開放側)の周壁部4511の側面に沿って配置される。また、閉鎖部材4517は、正面視における外形が、上述した保持部4511cの正面視における外形よりも大きく形成される。
【0259】
閉鎖部材4517は、長手方向が他端側から一端側に向かって下降傾斜して配設され、その傾斜方向が、排出部512dの開口の長手方向と略平行とされる。閉鎖部材4517は、短手方向に沿うなあ孔の摺動孔4517aと、短手方向一端側の側面に端面3517bとを備える。
【0260】
摺動孔4517aは、閉鎖部材4517の長手方向端部に端手方向に長い長穴に形成される。摺動孔4517aは、閉鎖部材4517を長穴方向に変位可能な状態で周壁部4511に保持するための開口であり、内側に円環形状のカラーCが配設されると共に、そのカラーCの内側に周壁部4511に螺合されるネジNが挿通される。
【0261】
摺動孔4517aは、短手側の幅寸法がカラーCの小径部C1の外径よりも大きく設定されると共に、カラーCの大径部C2の外径よりも小さく設定される。また、閉鎖部材4517の厚み寸法は、カラーCの小径部C1の軸方向の長さ寸法よりも小さく設定される。よって、閉鎖部材4517の摺動孔4517aにカラーCを挿入した状態でネジNを周壁部4511に螺合させることで、閉鎖部材4517を周壁部4511とカラーCの大径部C2との対向間に保持できる。これにより、閉鎖部材4517は、摺動孔4517aの開口の長穴方向に摺動可能な状態で周壁部4511に配設され、保持部4511cを覆設する第1閉鎖位置と、排出部512dを覆設する第2閉鎖位置とで変位可能とされる。
【0262】
第1閉鎖位置は、
図24(a)に示す位置であり、閉鎖部材4517が重力方向下方側に配置される。また、第1閉鎖位置では、閉鎖部材4517の端面3517bが排出部512dの下方に配設されると共に、閉鎖部材4517が保持部4511cの正面側に配設される。
【0263】
よって、第1閉鎖位置では、閉鎖部材4517が保持部4511cの正面側に配設されるので、前扉12が筐体11に対して閉鎖される状態(閉鎖状態)とされる場合に、前扉12と筐体11との間に形成される隙間から挿入される不正物が、保持部3511cの内側に挿入されることを抑制できる。これにより、保持部3511cの内側に不正な加工がされることを抑制できる。その結果、遊技者の不正行為を防止できる。
【0264】
第1閉鎖位置から第2閉鎖位置への閉鎖部材4517の移動は、ホッパ装置300を移動させることを目的とする作業者が、閉鎖部材4517を摺動孔4517aの長穴方向に沿って持ち上げることで行われる。
【0265】
第2閉鎖位置では、閉鎖部材4517の端面3517bが排出部の上方に配置されると共に、保持部4511cの下側部分の前方が開放される。
【0266】
従って、作業者が閉鎖部材4517の下側端部に手を引っ掛けつつ持ち上げることで、閉鎖部材3517を第2軽鎖位置に配置することができる。また、閉鎖部材3517の手の引っ掛け部分の背面側に保持部4511cの凹設空間が形成されるので、作業者は、閉鎖部材4517に引っ掛けた手を背面側に挿入するだけで保持部4511cに手を挿入することができる。従って、作業者に閉鎖部材4517を持ち上げる動作と保持部4511cの内部空間に手を挿入する動作とを一連の動作で行わせることができるので、ホッパ装置300を移動させる際の作業者の操作を簡易にできる。
【0267】
さらに、摺動溝4517bは、閉鎖部材4517がスライド変位する方向と直行する方向(閉鎖部材4517の長手方向)において保持部4511cの外側に形成される。よって、閉鎖部材4517を移動させる場合に、保持部4511cと摺動孔4517aとの干渉(前後方向の重なり)を考慮する必要がない。従って、閉鎖部材4517の設計を簡易にできる。
【0268】
また、第4実施形態では、上述したように、保持部4511cは、排出部512dの開口側(筐体11の開放側)であって上面側の開口端部に凹設して形成されるので、排出部512dとの保持部4511cとの離間距離を小さくできる。これにより、ホッパ装置300を移動させることを目的として、作業者が保持部4511cに手を挿入する場合に、作業者の手を排出部512dの正面側に配置することができる。その結果、ホッパ装置300を移動させる際に、ホッパ装置300からメダルが排出されて、メダルが遊技機の外方に散らばることを抑制できる。
【0269】
さらに、排出部512dと保持部4511cとの離間距離を小さくすることができるので、閉鎖部材4517を小さくすることができる。即ち、閉鎖部材4517は、第1閉鎖位置では、保持部4511cの正面側に配設され、第2閉鎖位置では、排出部512dの正面側に配設されるため、保持部4511cと排出部512dとの離間する距離が大きくされるに従って閉鎖部材4517が大きくする必要があるところ、排出部512dと保持部4511cとの離間する距離が小さくされるので、閉鎖部材4517を小さくすることができる。
【0270】
次いで、
図27から
図29を参照して第5実施形態におけるホッパ装置300について説明する。上記第1実施形態では、保持部440が連結部430に連結して形成される場合について説明したが、第5実施形態では、保持部5440が連結部430と別部材から形成される。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0271】
図27は、第5実施形態における貯留タンク5400の分解斜視正面図である。
図28(a)は、ホッパ装置300の正面図であり、
図28(b)は、
図28(a)のXXVIIIb−XXVIIIb線におけるホッパ装置300の断面図である。
図29(a)は、ホッパ装置300の正面図であり、
図29(b)は、
図29(a)のXXIXb−XXIXb線におけるホッパ装置300の断面図である。なお、第5実施形態では、保持部5440が、支持部5441の延設方向が排出部521dの開口の長手方向と平行となる第1位置と、支持部5441の延設方向が水平方向と平行となる第2位置とで変位可能に形成されており、特段の説明がない限り保持部5440は、第1位置に配置される状態を説明するものとする。
【0272】
図27に示すように、第5実施形態における貯留タンク5400は、上方側が開放する椀型に形成される収容部410と、その収容部410の下側に形成される筒状の筒部420とその筒部420の下側に形成される共に、排出装置500と連結される連結部5430と、その連結部5430に軸部材5450を介して連結される保持部5440とを備える。
【0273】
連結部5430は、板状に形成され筒部420が連結される本体部431と、その本体部431の一側端部に突設される第1係合部432と、本体部431の他端側に突設される第2係合部433と、正面側の側面に穿設される軸孔5434とを備える。
【0274】
軸孔5434は、後述する軸部材5450を挿入するための穴であり、正面側の側面から背面側に向かって円形状に開口される。また、軸孔5434は、背面側に向かうに従ってその内径が拡径される。
【0275】
軸部材5450は、円柱状に形成され保持部5440に内観される一側部分5451と、その一側部分5451と同軸上の円錐形状に形成され連結部5430の軸孔5434に挿入される他側部分5452とを備える。
【0276】
一側部分5451は、その外周面に径方向に貫通する締結孔5451aを備える。締結孔5451aは、一側部分5451を保持部5440に挿入した後に、一側部分5451と保持部5440とを締結するためのネジ止め用の孔であり、内側に雌ネジが形成される。
【0277】
他側部分5452は、一側部分から離間するに伴って一側部分の外径よりも大きい外径に拡径されて形成されると共に、連結部5430の内側に挿入される。また、他側部分5452は、その外周面の軸方向に対する拡径寸法が、上述した連結部5430の軸孔5434の内周面の軸方向に対する拡径寸法と略同一に設定される。即ち、連結部5430の軸孔5434の内周面の形状は、他側部分5452の外周面の形状と対応する形状に形成される。これにより、軸部材5450の他側部分5452が軸孔5434に挿入された状態では、軸部材5450の正面方向(
図28(b)右側)への移動が規制される。
【0278】
軸部材5450の連結部5430への配置は、連結部5430の下方側(収容部410の開放側と反対側)から、軸部材5450を一側部分5451側を、連結部5430の内側から外側向かって軸孔5434に挿入することで行われる。これにより、
図28(b)に示すように、軸孔5434から軸部材5450の一側部分5451を連結部5430の外側に突出させた状態に配置できる。
【0279】
保持部5440は、排出部521dの開口の長手方向に延設される支持部5441と、その支持部5441の延設方向両端部から支持部5441の延設方向と直行する方向の下方側に屈曲して延設される屈曲部5442と、支持部5441の正面側の端部から下方に向かって突設される突設部5443と、支持部5441と屈曲部5442との連結部分に貫通する貫通孔5444とを備える。
【0280】
貫通孔5444は、上述した軸部材5450の一側部分5451が挿入される孔であり、一側部分5451の外径よりも大きい内径に形成される。これにより、軸部材5450が連結部5430に配置された状態で、貫通孔5444に一側部分5451を挿入することで、保持部5440を連結部5430(ホッパ装置300)と連結できる。
【0281】
支持部5441には、板厚方向に開口する開口部5441aが形成される。開口部5441aは、一端が貫通孔5444に連通される。また、開口部5441aは、貫通孔5444の内側に軸部材5450が挿入された状態において、軸部材5450の締結孔5451aと対応する位置に形成される。よって、開口部5441aを介して締結孔5451aにネジN2を螺合させることで、保持部5440と軸部材5450とを締結できる。
【0282】
また、軸部材5450の他側部分5452は、連結部5430に対して挿入さ
れるので、軸部材5450は周方向に回転可能とされる。従って、保持部5440は、連結部5430に対して回転可能な状態で保持される。
【0283】
保持部5440の回転は、連結部5430の正面側の側面に突設される突起5435に支持部5441が当接して回転が規制される第1位置から、支持部5441の一面が収容部410の当接部5415に当接して回転が規制される第2位置までの間で回転可能とされる。
【0284】
次いで、
図28及び
図29を参照して、第1位置および第2位置について詳しく説明する。
図28に示すように、保持部5440に形成される貫通孔5444は、傾斜して形成される排出部512dの開口の上端側に位置する支持部5441と屈曲部5442との連結部に形成される。これにより、保持部5440に外力を加えていない(ホッパ装置300を取り出すことを目的とする作業者が、保持部5440を把持していない)状態では、傾斜して形成される排出部512dの開口の下端側に位置する(貫通孔5444が形成されていない側の)支持部5441と屈曲部5442との連結部が重力により下側に向かって回転される。
【0285】
保持部5440は、上述したように、支持部5441が連結部5430から突設される突起5435に当接することで回転が規制され第1位置に配置される。即ち、突起54345は、支持部5441の延設方向が排出部512dの開口の長手方向と平行となる位置の下側に形成される。
【0286】
また、突起5435は、延設される支持部5441の回転軸から遠方側(
図28(a)右側の端部に当接される。これにより、保持部5440が第1位置に配置される場合に、支持部5441に第2位置への回転方向と反対方向の力が作用する際に、保持部5440が破損することを抑制できる。即ち、支持部は、延設方向一方の端部に軸部材5450が配設され、他方の端部に規制部材が当接されるので、支持部に第2位置への回転方向と反対側の力が作用した場合に、その力を軸部材5450と突起5435とに分散しやすくできる。その結果、保持部5440が破損することを抑制できる。
【0287】
図29に示すように、保持部5440が、第1位置に配置された状態から、保持部5440に重力方向上方への力が付与されると、保持部5440が、貫通孔5444を軸に回転され、貫通孔5444が形成されていない側の支持部5441と屈曲部5442との連結部が上方に回転される。
【0288】
保持部5440は、上述したように、支持部5441が収容部410の外側面の当接部5415に当接することで回転が規制され第2位置に配置される。即ち、当接部5415は、支持部5441の回転軌跡上に形成されると共に、支持部5441の延設方向が水平となる位置の上側に形成される。
【0289】
よって、前扉12が筐体11に対して閉鎖した状態(閉鎖状態)では、保持部5440を第1位置に配置することで、前扉12と筐体11との間に形成される隙間から挿入される不正物を排出部に挿入しにくくできる。また、作業者が、ホッパ装置300を搬送する(第3の移動)ためホッパ装置300を持ち上げる場合には、保持部5440を第2位置に配置することで、保持部5440の下面に作業する力をそのままホッパ装置300を持ち上げる力に変換できる。
【0290】
仮に、保持部5440がその延設方向に傾斜する場合には、保持部5440の下面に入力される重力方向の力成分が、保持部5440の傾斜により斜め方向の力成分に変換されて、重力方向の力成分が小さくされる。これに対し、第5実施形態では、保持部5440を第2位置にすることで、ホッパ装置300を持ち上げる場合に、保持部5440に入力される重力方向の力成分を、そのままホッパ装置300を持ち上げる力にすることができるので、重力方向の力成分が小さくされることを抑制できる。その結果、筐体11からホッパ装置300を取り出した後に、持ち上げて(支持して)搬送(第3の移動を)しやすくできる。
【0291】
当接部5415は、その内側の面がメダルを貯留する部分であり、メダルを貯留する壁面の一部として形成される。即ち、当接部5415は、メダルを貯留する壁部として作用する一方、保持部5440の回転を規制することができる。従って、保持部5440の回転を規制する部分(突起等)を収容部410の側面に新たに形成する必要がないので、収容部410の構造が複雑になることを抑制できる。また、保持部5440の回転を規制する部分を形成する必要がない分、その他の構成部品の配設スペースを大きくすることができるので、設計の自由度を向上できる。
【0292】
さらに、保持部5440は、メダルを貯留する貯留タンク400の外面に形成される当接部5415に当接して回転が規制されるので、貯留タンク400にメダルが比較的多く貯留されている場合に、保持部5440を当接部5415に当接させることで、貯留タンク400(収容部410)がメダルの重みによって破損することを抑制できる。
【0293】
即ち、作業者が、ホッパ装置300を支持した場合に、ホッパ装置300に傾きが発生すると、貯留タンク400(収容部410)に貯留されたメダルに偏りが発生する。この場合、メダルの重みが収容部410に通常よりも大きく作用することで貯留タンク400の収容部410が撓んで破損する恐れがあるところ、保持部5440が回転して当接部5415に当接することで、収容部410に撓みが発生することを抑制できる。その結果、貯留タンク400(収容部410)が破損することを抑制できる。
【0294】
保持部5440が、第2位置に配置された状態では、排出部512dの前方に保持部5440の屈曲部5442が配置される。よって、ホッパ装置300を移動させることを目的として、作業者が保持部5440を把持した場合に、ホッパ装置300の持ち上げ動作により保持部5440が第2位置へ配置されると、排出部512dからのメダルの排出が屈曲部5442により抑制される。従って、作業者がホッパ装置300を持ち上げて搬送する場合に、その移動に伴う振動や傾き等で、排出部512dを通過するメダルが排出部から排出されることを抑制できる。その結果、ホッパ装置300を移動させる場合に、ホッパ装置300の排出部512dからメダルが排出されて、そのメダルがスロットマシン10の外方に散らばることを抑制できる。
【0295】
また、上述したように、軸部材5450の他側部分5452は、一側部分から離間するに伴って一側部分の外径よりも大きい外径に拡径されて形成されると共に、連結部5430の内側に挿入される。他側部分5452は、その外周面の軸方向に対する拡径寸法が、上述した連結部5430の軸孔5434の内周面の軸方向に対する拡径寸法と略同一に設定される。即ち、連結部5430の軸孔5434の内周面の形状は、他側部分5452の外周面の形状と対応する形状に形成される。よって、作業者が、ホッパ装置300を筐体11に対してスライド変位させて引き出す(第2の移動を行う)場合に、軸部材5450が破損することを抑制できる。即ち、保持
部5440は、ホッパ装置300を取り出す方向に突設されるので、作業者が支持部5441を把持して引き抜き動作する場合に、軸部材5450が、連結部5430と分離しないように、軸部材5450に連結部5430との係合部を形成する必要がある。
【0296】
例えば、軸部材5450に軸部材5450よりも大径の円盤状に形成される大径部分を形成してもよいが、ホッパ装置300を筐体11から引き抜く際に、大径部分を連結部5430に当接させると、大径部分の当接面にホッパ装置300を引き抜く際の力が集中して大径部分が破損する恐れがある。また、大径部分の直径を比較的大きく形成して、ホッパ装置300を引き抜く際の力を分散することも考えられるが、大径部分の直径を大きくする必要があるため、ホッパ装置300に他の部材(例えば、駆動モータやセンサ装置)を配設するスペースが小さくされるため現実的ではない。
【0297】
これに対して、第5実施形態では、ホッパ装置300に連結される軸部材5450の一側部分5451が、軸方向の端部に向かって拡径され、連結部5430には、一側部分5451に対応する形状の軸孔5434が形成されるので、ホッパ装置300を引き抜く際に一側部分5451にかかる力を分散することができる。その結果、ホッパ装置300を引き抜く場合に軸部材5450が破損することを抑制できる。また、一側部分により、連結部5430(軸孔5434の内縁)との当接面を大きくすることができるので、一側部分5451を径方向に大きくしすぎる必要がない。従って、一側部分5451により、他の部材の配設スペースが小さくなることを抑制できる。
【0298】
次いで、
図30及び
図31を参照して、第6実施形態におけるホッパ装置300について説明する。上記第1実施形態では、排出装置500のハウジング510の周壁部511の正面側側面(矢印F方向側の側面)が平滑面に形成される場合について説明したが、第6実施形態における排出装置500のハウジング6510には、鏡面体6511eが配設される。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0299】
図30は、第6実施形態におけるホッパ装置300の分解斜視正面図である。
図31は、ホッパ装置300の側面図である。なお、
図30におけるホッパ装置300は、貯留タンク400と排出装置500とで分解された状態で図示される。また、
図30では、軸穴6511f1に挿入された軸部6511e1が1点鎖線で図示される。さらに、
図31では、筐体11に対して前扉12を開放した作業者の視点(目)が模式的に図示されると共に、その作業者の視点からの視線が2点鎖線で図示される。
【0300】
図30及び
図31に示すように、第6実施形態におけるホッパ装置300のハウジング510は、下面および上面が開放する筒状に形成される周壁部6511と、その周壁部6511の上面側開口を閉鎖する上壁部512と、周壁部6511の下面側開口を閉鎖する底壁部513とを主に備えて形成される。
【0301】
周壁部6511は、下面側の開口端部が水平に形成され、上面側の開口端部が他端側(矢印L方向側)から一端側(矢印R方向側)に向かって下降傾斜して形成される。また、周壁部6511は、他端側の外側面に立設される立設部511aと、上面側開口内縁の一端側に凹設される凹部511bと、正面側(矢印F方向側)の側面から正面側に突設される鏡面体6511eとを備える。
【0302】
鏡面体6511eは、板状に形成され、厚み方向と直行する方向が保持部440(支持部441)の延設方向と平行となる状態で配設される。また、鏡面体6511eは、正面視における長手方向の距離寸法L4(
図30参照)が、保持部440の延設方向における距離寸法L5(
図30参照)よりも大きく設定されると共に、保持部440の延設方向と直行する方向において、長手方向の両端が保持部440の両端よりも外側に位置して配設される。
【0303】
また、鏡面体6511eは、その外面(表面)が、光の反射率が高い材料(第6実施形態では、鏡)から形成される。これにより、貯留タンク400及び排出装置500を組み合わせた状態で、前扉12を筐体11に対して開放した作業者が、保持部440(支持部441)の死角となる部分を鏡面体6511eの反射を利用して視認することができる。なお、光の反射率が高いとは、鏡面体6511eにより反射される虚像の外形が、作業者から認識できる程度以上のものを示す。
【0304】
さらに、鏡面体6511eは、周壁部6511と別部材から形成されると共に、周壁部6511側の端部から鏡面体6511eの正面視における長手方向両側に突設される円柱状の軸部6511e1を備えて形成され、その軸部6511e1が、周壁部6511に突設される軸支部6511fに凹設される軸穴6511f1に挿入され、軸部6511e1の中心を軸に鏡面体6511eが周壁部6511に対して回転可能とされる。
【0305】
なお、鏡面体6511eと周壁部6511との間には、ねじりばね(図示しない)が配設される。これにより、鏡面体6511eは、作業者からの力が作用していない場合に、鏡面体6511eの軸部6511e1と反対側の端部が筐体11の開口側(矢印F方向側)に離間する位置(
図30に示す位置)に配置される。
【0306】
ここで、従来より、一面側が開口する箱状の筐体(外枠)と、その筐体の開口側に開閉可能に配設される前扉と、遊技媒体を排出する排出部が形成され、その排出部から排出される遊技媒体を貯留すると共に筐体の内側に着脱可能に配設されるホッパ装置(遊技媒体排出手段)とを備える遊技機が知られている。この遊技機によれば、ホッパ装置は、筐体の内壁と対向する面に凹設される凹設部を備える。作業者は、凹設部の内側に手を入れることで、ホッパ装置を移動させる際の持ち手として利用できる。
【0307】
しかしながら、上述した従来の遊技機では、ホッパ装置を移動させる際の持ち手(凹設部)が筐体の内壁と対向する面に形成されるので、作業者が筐体に対して前扉を開放した場合に、筐体の開口側から凹設部を視認しにくくなる。また、凹設部は、前扉に対して筐体を閉鎖すると、前扉により筐体の開放側から視認不能とされる。そのため、遊技者の不正行為(例えば、保持部が形成された部分に貫通穴をあけて、その貫通穴から不正部材を挿入しホッパ装置の内側に配設される検出装置やモータを操作して不正に遊技媒体を排出させる行為)が、凹設部にされると、不正がされた痕跡(例えば、貫通穴が形成された痕)を作業者が発見するためにはホッパ装置を筐体から引き出して凹設部を視認する必要がある。従って、筐体に対して前扉を開放した作業者が不正を発見しにくく、遊技者の不正行為が継続して行われてしまうという問題点があった。
【0308】
これに対し、第6実施形態によれば、保持部440(支持部441)が筐体11の開口側(矢印F方向側)に突設され、保持部440は、前扉12が筐体11に対して開放されると筐体11の開口側から視認可能とされ、前扉12が筐体11に対して、閉鎖されると筐体11の開口側から視認不能とされるので、作業者が、筐体11に対して前扉12を開放した場合に、保持部440を作業者に視認させやすくできる。従って、不正行為を行うための貫通穴が保持部440に形成された場合に、不正がされた痕跡を作業者が発見しやすくなる。その結果、遊技者の不正行為が継続して行われることを抑制できる。
【0309】
さらに、保持部440(支持部441)は、ホッパ装置300を移動させる場合の作業者の持ち手として利用させることができるので、保持部440に不正が挿入可能な大きさの穴が形成される場合に、保持部440を把持した際の感触(例えば、貫通穴を形成する際に形成される突起(バリ)を触った感触)で作業者に不正行為がされた痕跡が合うことを発見させやすくできる。その結果、遊技者の不正行為が継続して行われることを抑制できる。
【0310】
なお、不正行為を行うための貫通穴が形成されたもの(不正行為を行った痕跡)が発見された場合には、ホッパ装置300を新しいユニットに交換する、または、貫通穴が形成された部品を新しい部品(正常な部品)に交換することで、不正行為が継続して行われることを抑制できる。
【0311】
また、第6実施形態では、筐体11の内側に、ホッパ装置300にされる不正の痕跡を反射させて筐体11の開口側から視認可能とする鏡面体6511eが配設されるので、ホッパ装置300に不正行為がされた場合に、作業者が筐体11に対して前扉12を開放することで不正行為がされた痕跡を発見することができる。
【0312】
例えば、ホッパ装置300の内側に不正物を挿入することを目的として、排出部512dの周囲に貫通穴が形成された場合に、その貫通穴が作業者の視点から保持部440(支持部441)の死角に入ると、作業者が筐体11に対して前扉12を開放することのみでは、不正がされた痕跡(貫通穴が形成されること)を筐体11の開口面から視認して発見することが困難になる恐れがあった。
【0313】
これに対して、第6実施形態によれば、光を反射可能な鏡面体6511eが配設され、鏡面体6511eによりホッパ装置300にされる不正の痕跡を筐体11の開口側から視認できるので、ホッパ装置300に不正行為がされた場合に、作業者が筐体11に対して前扉12を開放することで不正行為がされた痕跡を発見することができる。従って、鏡面体6511eによりホッパ装置300にされる不正の痕跡を筐体11の開口側から視認できるので、作業者は筐体11に対して前枠12を開放した後に鏡面体6511eを確認することのみで、ホッパ装置300にされる不正の痕跡があるのかを確認できる。その結果、作業者が外枠に対して前扉を開放した際に不正がされた痕跡を発見しやすくできる。
【0314】
また、鏡面体6511eは、排出部512dを間に挟んで保持部440(支持部441)の反対側に配設される。これにより、
図31に示すように、筐体11に対して前扉12を開放した作業者は、保持部440側から鏡面体6511eを視認することで、排出部512d及び排出部512dと保持部440との間にされた不正の痕跡を発見することができる。
【0315】
即ち、ホッパ装置300の外面に保持部440(支持部441)が形成されると、排出部512dや排出部512dと保持部440との間にされた不正の痕跡が、保持部440により作業者から死角となる恐れがあるところ、かかる鏡面体6511eは、排出部512dを間に挟んで保持部440の反対側に配設されるので、保持部440により作業者から死角となる部分を反射して、作業者に視認させることができる。その結果、作業者が筐体11に対して前扉12を開放した際に、作業者に不正がされた痕跡を発見させやすくできる。
【0316】
さらに、排出部512dの上方(矢印U方向)に保持部440(支持部441)が形成され、排出部512dの下方に鏡面体6511eが形成される。これにより、前扉12を筐体11に対して開放した作業者が鏡面体6511eの反射を利用して、保持部440の死角を視認しやすくできる。
【0317】
通常、スロットマシン10は、ホッパ装置300の高さ位置が、作業者の視点よりも低い位置で店舗に設置される。そのため、保持部440(支持部441)の下方側(矢印D方向側)が、作業者の死角となりやすくなるところ、かかる鏡面体6511eが、保持部440の下方に配設されるので、筐体11に対して前扉12を開放した作業者に凸部または凹部の下方部分を視認させやすくできる。その結果、ホッパ装置300にされた不正の痕跡を作業者に発見させやすくできる。
【0318】
また、第6実施形態では、鏡面体6511eが、前扉12が筐体11に対して閉鎖された状態(閉鎖状態)において、上記第1実施形態で説明した排出用通路82の連通部82aの外側に配設される。これにより、排出部512dから排出されるメダルが鏡面体6511eの上部に落下することを抑制できる。その結果、鏡面体6511eにメダルが当接して、鏡面体6511eの外面に傷が形成されることを抑制でき、作業者が鏡面体6511eに反射される周壁部6511(ホッパ装置300)の外面を視認しにくくなることを抑制できる。
【0319】
上述したように、鏡面体6511eは、周壁部6511(ホッパ装置300)に対して変位可能な状態で配設される。これにより、ホッパ装置300にされた不正の痕跡を作業者に発見させやすくできる。
【0320】
即ち、筐体11に対して前扉12を開放した作業者の視点によっては、不正検出手段により保持部の死角となる部分を作業側に反射しにくくなるところ、かかる鏡面体6511eが、周壁部6511(ホッパ装置300)に対して変位可能な状態で配設されるので、作業者は、鏡面体6511eを変位させることで、作業者の視点から保持部440(支持部441)の死角となる部分を効率的に反射させることができる。その結果、ホッパ装置300にされた不正の痕跡を作業者に発見させやすくできる。
【0321】
また、鏡面体6511eは、周壁部6511(ホッパ装置300)に軸支されると共に、軸支部分(軸部6511e1)と反対側の端部が少なくとも重力方向(矢印U−D方向)の変位成分を含む方向に回転可能とされるので、作業者がホッパ装置300を支持する目的で、誤って(保持部440と間違えて)不正検出手段を支持しようとした場合に、鏡面体6511eの軸支部分を反対側の端部を重力方向上側(矢印U方向側)に回転させることができる。これにより、作業者の指が、鏡面体6511eに引っ掛かりにくくすることができるので、鏡面体6511eを把持してホッパ装置300が作業者に支持されることを抑制できる。その結果、鏡面体6511e(特に軸部6511e1)が破損することを抑制できる。
【0322】
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0323】
上記各実施形態において、1の実施形態の一部または全部を他の1又は複数の実施形態の一部または全部と入れ替えて又は組み合わせて、遊技機を構成してもよい。
【0324】
上記第1から第5実施形態では、支持部441が比較的長く延設され、支持部441を作業者の手の全体で把持する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、作業者の手の一部の指が、支持部441に引っ掛かる大きさに形成されていてもよい。
【0325】
この場合、支持部441を把持しない他の指は、ホッパ装置300の側面から突設される突起を把持できることが好ましく。また、支持部441及び突起を把持する作業者の指の距離感覚がメダルの直径よりも小さく設定されることが好ましい。
【0326】
これによれば、作業者がホッパ装置300を移動させることを目的として、作業者が支持部441及び突起を把持することで、排出部512d(排出経路KR1)を通過するメダルを支持部441を把持する作業者の手(指)に当接させることができる。また、支持部441及び突起を把持した作業者の指の間隔がメダルの直径よりも小さくされるので、作業者の指に当接しメダルが、指の間から抜け落ちることを抑制できる。その結果、ホッパ装置300の移動中に排出部512dからメダルが排出されて、メダルがスロットマシン10の外方に散らばることを抑制できる。
【0327】
上記第5実施形態では、保持部5440の第2位置から第1位置への移動が、保持部5440の自重で回転される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない、例えば、保持部5440と連結部5430との間に付勢バネを介在させて、付勢バネの付勢力を保持部5440を第2位置から第1位置へ戻る方向へ作用させてもよい。
【0328】
これによれば、保持部5440を第1位置側へ常に付勢することができるので、保持部5440を第2位置に回転させたのちに、保持部5440が、回転時の摩擦抵抗と釣り合って、第1位置へ戻らなくなることを抑制できる。
【0329】
上記第1実施形態では、保持部440が排出部512dの上方に突設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、保持部440が排出部512dの上方に凹設されていてもよい。この場合、凹設方向は、凹設距離が深くなるに従って上方に傾斜して形成されることが好ましい。これによれば、保持部に挿入される手を排出部512dの前方(排出部512dの開口を覆う位置)に配置しやすくできる。その結果、ホッパ装置300の移動中に排出部512dからっメダル排出されて、メダルがスロットマシン10の外方に散らばることを抑制できる。
【0330】
また、保持部440が排出部512dの下方に突設されてもよい。この場合、保持部440が突設先端に向かって下降傾斜して形成されることが好ましい。これによれば、回転ディスク520が回転されて、排出部512dから排出されるメダルが保持部440の上部に載置されることを抑制できる。その結果、排出部512dから排出されるメダルの排出を安定することができると共に、ホッパ装置300を移動させる際には、排出部512dからメダルが排出されて、メダルがスロットマシン10の外方に散らばることを抑制できる。
【0331】
上記第1実施形態では、保持部440の突設部443の突設先端位置が、排出部512dよりも上方に設定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、突設部443の突設先端位置が、排出部512dの重力方向上側の長手方向の平面と同一の平面上に設定されてもよい。言い換えると、突設部443の突設先端位置が、排出部512dの上側内面を形成する一面からメダルの排出方向に延びる直線上に設定されていてもよい。
【0332】
これによれば、メダルが排出部512dから排出される領域の上方にホッパ装置300の側面と突設部443とが対向する領域を形成できる。よって、支持部441を把持する作業者の手をメダルが排出部512dから排出される領域に配置させやすくできる。その結果、ホッパ装置300を移動させる際に、排出部512dからメダルが排出されて、メダルがスロットマシン10の外方に散らばることを抑制できる。
【0333】
また、突設部443は、突設先端が排出部512dの上側内面を形成する一面からメダルの排出方向に延びる直線上に設定されるので、排出部512dから排出されるメダルが突設部443に引っ掛かることを抑制できる。従って、排出部512dからメダルを排出する機能は維持しつつ、ホッパ装置300を筐体11から取り出しやすくできると共に、ホッパ装置300を移動させる場合に、メダルがスロットマシン10の外方に散らばることを抑制できる。
【0334】
上記第1実施形態では、金属プレート11b1が、筐体11の開口側の内側底面に配設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、筐体11の左側板11d、右側板11eまたは天板11aの内側に金属プレート11b1を配設してもよい。、また、金属プレート11b1の反射により視認される部分をホッパ装置300の外面(周壁部511)以外の箇所としてもよい。
【0335】
例えば、筐体11の左側板11dの内側に金属プレート11b1を配設して、その金属プレート11b1の反射により、筐体11の内側に配設される主制御装置131を筐体11の開口側から視認させやすくしてもよい。この場合、主制御装置131にされる不正の痕跡を作業者に発見させやすくできる。
【0336】
上記第1実施形態では、金属プレート11b1の筐体11の開放側と反対側の一部にホッパ装置300が載置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ホッパ装置300が筐体11の内側に配設された状態では、金属プレート11b1がホッパ装置300の前方(筐体11に対して引き出し方向)に配置されていてもよい。
【0337】
この場合、金属プレート11b1は、筐体11の底板11bに金属プレート11b1の板厚分の深さで凹設される凹設部分に配設されて、金属プレート11b1の上面と底板11bの上面との高さが一致する状態とすることが好ましい。これにより、ホッパ装置300を筐体11からスライド変位させる場合に、ホッパ装置300が金属プレート11b1に引っ掛かることを抑制できる。
【0338】
上記第1及び第6実施形態では、金属プレート11b1および鏡面体6511eが、それぞれ鉄材、鏡から形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限るものではない。例えば、筐体11の内側を反射して作業者が筐体11の内側を視認できる材料なら何でもよく、例えば、鉄、ステンレス、アルミ、銅、鏡または反射率の高い皮膜(塗装)を施した樹脂などから形成してもよい。
【0339】
上記第5実施形態では、保持部5440が回転されて第2位置に配置される場合に、屈曲部5442が、排出部512dの前方(排出部512dの開口を覆う位置)に配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、保持部5440が回転されて第2位置に配置される場合に、支持部5441を排出部512dの前方(排出部512dの開口を覆う位置)に配置させてもよい。この場合、屈曲部5442が排出部512dの前方に配置される場合と同様の効果を奏することができる。また、排出部512dの前方を塞ぐ目的で屈曲部5442を形成する必要がなくなるので、屈曲部5442を小さくする又は、なくすことができる。よって、その分、製造コストを抑えることができる。
【0340】
上記第6実施形態では、鏡面体6511eの正面視における長手方向の距離寸法L4(
図30参照)が、保持部440の延設方向における距離寸法L5(
図30参照)よりも大きく形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、鏡面体6511eの正面視における長手方向の距離寸法L4は、保持部440に形成される屈曲部442の対向間の距離寸法L6(
図30参照)よりも若干小さく形成され、屈曲部442の対向間に鏡面体6511eが配設されてもよい。
【0341】
この場合、筐体11に対して前扉12が閉鎖された状態において、鏡面体6511eは、保持部440の支持部441(突設部443)と所定の隙間を隔てて配設され、排出用通路82の連通部82aが、支持部441(突設部443)と一対の屈曲部442と鏡面体6511eとで囲われた空間に配設され、排出部512dが、連通部82aの内側に配設されると共に連通部82aと連通されることが好ましい。これによれば、閉鎖された状態の前扉12と筐体11との間に形成された隙間から不正部材が挿入された場合に、その挿入された不正部材の先端側の端部が、連通部82aの内側に挿入されることを抑制できる。即ち、連通部82aが、保持部440及び鏡面体6511eの内側に配設されるので、不正部材の先端を保持部440及び鏡面体6511eに当接させて連通部82aの内側に入ることを抑制できる。
【0342】
上記第6実施形態では、鏡面体6511eが、周壁部6511(ホッパ装置300)に軸支され、回転可能とされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、周壁部6511に対して変位不能な状態で接続されてもよいし、鏡面体6511eを周壁部6511に対してボールジョイントで連結して、周壁部6511に対して自在に変位可能に配設してもよい。なお、ボールジョイントで連結する場合には、周壁部に対して自在に変位可能とされるので、作業者が鏡面体6511eを操作することで、鏡面体6511eの反射により視認できる範囲を広くすることができる。
【0343】
上記実施形態では、本発明をスロットマシン10について具体化した例を示したが、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機に適用してもよい。即ち、スロットマシンのうち、メダル投入およびメダル払出機能に代えて、パチンコ機のような球投入および球払出機能を持たせた遊技機としてもよい。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは、球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおける、遊技価値たるメダルと球との別個の取り扱いによる設備上の負担や遊技機設置場所の制約といった問題を解消し得る。
【0344】
また、本発明をパチンコ機に適用することも可能である。パチンコ機の場合、外枠に遊技機本体が装着されると共に、遊技機本体の前面側に扉部材が設けられる。遊技機本体には、遊技球飛翔領域としての遊技領域が形成されると共に作動口や液晶表示装置などが設置された遊技盤が搭載され、扉部材に設けられた視認窓により、遊技領域や液晶表示装置が視認可能となっている。そして、遊技球発射装置により発射された遊技球が作動口に入賞することに伴い、内部抽選が行われると共に液晶表示装置上にて絵柄の可変表示が行われる。かかるパチンコ機に上記実施形態の表示制御装置とサブ制御装置との構成を適用した場合であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することは明らかである。
【0345】
更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしてもよい。
【0346】
パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
【0347】
以下に、本発明の遊技機に加えて上述した実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
【0348】
<ホッパ装置300を一例とする発明の概念について>
一面側が開口する箱状の外枠と、その外枠の開口側に開閉可能に配設される前扉と、遊技媒体を排出する排出部が形成され、その排出部から排出される遊技媒体を貯留すると共に前記外枠の内側に着脱可能に配設される遊技媒体排出手段と、を備えた遊技機において、前記遊技媒体排出手段は、前記排出部から重力方向のいずれか一方に所定の距離離間する位置に突設または凹設される凸部または凹部を備えることを特徴とする遊技機A1。
【0349】
ここで、一面側が開口する箱状の外枠と、その外枠の開口側に開閉可能に配設される前扉と、遊技媒体を排出する排出部が形成され、外枠の内側に着脱可能に配設されると共に遊技媒体を貯留する遊技媒体排出手段とを備える遊技機が知られている(例えば、特開2008−220739号公報)。遊技媒体排出手段は、外枠と当接する面に遊技媒体排出手段の内側に向かって凹設される凹設部(例示した先行文献では、膨出部260f、
図3参照)を備える。作業者は、凹設部の内側に手を入れることで、遊技媒体排出手段を移動させる際の持ち手として凹設部を利用できる。
【0350】
しかしながら、上述した従来の遊技機では、遊技媒体排出手段に貯留される遊技媒体が排出部の内側で詰まった場合や遊技媒体を排出するための駆動源が故障した場合に、前扉を開放して外枠から遊技媒体排出手段を取り出して搬送する必要があり、その移動(外枠から取り出す際の移動および取り出した後の搬送)の際に、遊技媒体排出手段の移動に伴う摩擦抵抗により発生する振動や遊技媒体排出手段の傾きで排出部から遊技媒体が排出されて、遊技媒体が遊技機の外方に散らばる恐れがあった。
【0351】
これに対して、遊技機A1によれば、遊技媒体排出手段は、排出部から重力方向のいずれか一方に所定の距離離間する位置に突設または凹設される凸部または凹部を備えるので、遊技媒体排出手段を移動させることを目的として、作業者が凸部または凹部を把持した場合に、作業者の手を排出部を覆う位置に配置させることができる。従って、遊技媒体排出手段を移動させる摩擦抵抗により発生する振動や遊技媒体排出手段の傾きに伴って排出部を通過している遊技媒体を作業者の手に当接させて、遊技媒体が排出部から排出されることを抑制できる。その結果、遊技媒体排出手段を移動させる際に、排出部から遊技媒体が排出されて、遊技媒体が遊技機の外方に散らばることを抑制できる。
【0352】
なお、遊技媒体排出手段の移動とは、外枠から遊技媒体排出手段を取り出す場合に外枠に対する遊技媒体排出手段の移動の規制を解除する移動と、その移動の規制を解除した後に遊技媒体排出手段を外枠からスライド変位させて引き出す移動と、外枠から遊技媒体排出手段を引き出した後に遊技媒体排出手段を支持して搬送する移動とがあり、本発明では、少なくとも何れか1の移動の際に、遊技媒体が遊技機の外方に散らばることを抑制できる。
【0353】
また、凸部または凹部が排出部から離間する所定の距離は、作業者が凸部または凹部を把持した場合に、作業者の手の少なくとも一部が排出部を覆う位置に位置する大きさであればよく、好ましくは10ミリから30ミリの範囲に設定される。これによれば、凸部または凹部を把持する作業者の手を排出部を覆う位置に配置させやすくできる。
【0354】
遊技機A1において、前記凸部は、突設先端部に重力方向下方に向かって突出する支持部を備え、前記排出部から重力方向上側に離間する位置に前記外枠から前記遊技媒体排出手段を取り出す方向に向かって前記凸部が突設されることを特徴とする遊技機A2。
【0355】
遊技機A2によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、凸部は、突設先端部に重力方向下方に向かって突出する支持部を備え、排出部から重力方向上側に離間する位置に外枠から遊技媒体排出手段を取り出す方向に向かって凸部が突設されるので、遊技媒体排出手段を移動させる場合に凸部を把持する作業者の手を、排出部を覆う位置に配置させやすくできる。即ち、凸部を把持する作業者の手を、遊技媒体排出手段の凸部が突設される側面と支持部との対向間に挿入させることができると共に遊技媒体排出手段の凸部が突設される側面に沿わせることができるので、作業者の手を排出部を覆う位置に配置させやすくできる。その結果、遊技媒体排出手段を移動させる際に、排出部から遊技媒体が排出されて、遊技媒体が遊技機の外方に散らばることを抑制できる。
【0356】
また、外枠に対する遊技媒体排出手段の移動の規制を解除した後に遊技媒体排出手段を外枠から取り出す際には、作業者が支持部に手を引っ掛けることができる。よって、遊技媒体排出手段を外枠から取り出しやすくできる。即ち、遊技媒体排出手段を外枠からスライド変位させて引き出す移動をさせやすくできる。
【0357】
遊技機A2において、遊技媒体は、円盤形に形成され、前記支持部は、前記凸部が突設される前記遊技媒体排出手段の側面との対向間の距離が、遊技媒体の直径よりも小さく設定されることを特徴とする遊技機A3。
【0358】
遊技機A3によれば、遊技機A2の奏する効果に加え、遊技媒体は、円盤形に形成され、支持部は、遊技媒体排出手段の凸部が突設される側面との対向間の距離が、遊技媒体の直径よりも小さく設定されるので、遊技媒体排出手段を移動させる場合に遊技媒体を排出部から抜け出にくくすることができる。即ち、作業者の手は、遊技媒体排出手段の凸部が突設される側面と支持部との対向間に挿入されるところ、遊技媒体排出手段の凸部が突設される側面と支持部との対向間の距離が、遊技媒体の直径よりも小さく設定されるので、遊技媒体排出手段の凸部が突設される側面と凸部を把持する作業者の手との対向間の距離を遊技媒体の直径よりも小さくすることができる。よって、排出部を通過している遊技媒体が、凸部を把持する作業者の手に当接した際に、その遊技媒体を排出部から抜け出にくくすることができる。その結果、遊技媒体排出手段を移動させる際に、排出部から遊技媒体が排出されて、遊技媒体が遊技機の外方に散らばることを抑制できる。
【0359】
遊技機A2又はA3において、前記排出部の開口は、矩形状に形成され、前記支持部は、突出先端が前記排出部の上側内面を形成する一面から遊技媒体の排出方向に延びる直線上に設定されることを特徴とする遊技機A4。
【0360】
遊技機A4によれば、遊技機A2又はA3の奏する効果に加え、排出部の開口は、矩形状に形成され、支持部は、突出先端が排出部の上側内面を形成する一面から遊技媒体の排出方向に延びる直線上に設定されるので、遊技媒体が排出部から排出される領域の上方に、遊技媒体排出手段の凸部が突設される側面と支持部とが対向する領域を形成できる。よって、凸部を把持する作業者の手を、遊技媒体が排出部から排出される領域に配置させやすくできる。その結果、遊技媒体排出手段を移動させる際に、排出部から遊技媒体が排出されて、遊技媒体が遊技機の外方に散らばることを抑制できる。
【0361】
また、支持部は、突出先端が排出部の上側内面を形成する一面から遊技媒体の排出方向に延びる直線上に設定されるので、排出部から排出される遊技媒体が支持部に引っ掛かることを抑制できる。従って、排出部から遊技媒体を排出する機能は維持しつつ、遊技媒体排出手段を外枠から取り出しやすくできると共に、遊技媒体排出手段を移動させる場合に遊技媒体が遊技機の外方に散らばることを抑制できる。
【0362】
遊技機A2からA4のいずれかにおいて、前記前扉は、一方の端部が前記排出部に連通する中空状の連通部を備え、前記連通部の一方の端面を含む平面上に、前記凸部が配置されることを特徴とする遊技機A5。
【0363】
遊技機A5によれば、遊技機A2からA4のいずれかの奏する効果に加え、前扉は、一方の端部が排出部に連通する中空状の連通部を備え、連通部の一方の端面を含む平面上に、凸部が配置されるので、排出部の内側に不正物が挿入されて、不正行為が行われることを抑制できる。
【0364】
例えば、閉鎖された状態の前扉と外枠との間にドライバー等の工具で隙間を形成し、その隙間から針金やピアノ線等の不正物を挿入して、その不正物の挿入先端側を遊技媒体排出手段と連通部との隙間を介して排出部の内側に挿入させ、遊技媒体排出手段の排出部から排出される遊技媒体の数を検出する検出センサのコネクタ部分をショート(断線)させる、又は、遊技媒体排出手段から排出される遊技媒体の移動経路を大きくして遊技媒体排出手段の排出部から排出される遊技媒体の数を検出する検出センサが作動しないようにすることで、排出部から排出される遊技媒体の数を所定の数よりも多くする不正行為がある。かかる不正行為に対し、本発明によれば、連通部の一方の端面を含む平面上に、凸部が配置されるので、前扉と外枠との間から挿入された不正物が、遊技媒体排出手段と連通部との間に挿入されることを抑制できる。即ち、凸部と連通部とが同一の平面上に配設されることで、不正物が挿入される隙間を小さくすることができ、不正物が挿入されることを抑制できる。その結果、上述した不正行為を抑制できる。
【0365】
また、凸部は、突設されるので、作業者が前扉を開放した場合に凸部を視認しやすい。よって、凸部に不正物が挿入可能な大きさの穴が形成された場合には、作業者が前扉を開放した際に、作業者に不正行為がされたことを認識させることができる。従って、遊技媒体排出手段を新しいものに交換することで不正行為が継続して行われることを防止できる。
【0366】
さらに、凸部は、遊技媒体排出手段を移動させる場合の作業者の持ち手として利用させることができるので、凸部に不正物が挿入可能な大きさの穴が形成された場合に、凸部を把持した際の感触で作業者に不正行為がされたことを認識させることができる。従って、遊技媒体排出手段を新しいものに交換することで不正行為が継続して行われることを防止できる。
【0367】
遊技機A5において、前記凸部は、前記連通部の外側に配置されることを特徴とする遊技機A6。
【0368】
遊技機A6によれば、遊技機A5の奏する効果に加え、凸部は、連通部の外側に配置されるので、凸部と連通部とが連通状態を形成する領域内においてその領域の外縁に沿って凸部を配置することができ、凸部の大きさを最大とすることができる。従って、遊技媒体排出手段を移動させることを目的として、作業者が凸部を把持する場合に、作業者に凸部を把持させやすくできる。よって、作業者が遊技媒体排出手段を移動させる場合に凸部以外の部分の把持することを抑制できる。その結果、遊技媒体排出手段を移動させる際に、排出部を通過する遊技媒体を作業者の手に当接させて、遊技媒体が排出部から排出されることを抑制できる。
【0369】
遊技機A5において、前記凸部は、前記連通部の内側に配置されることを特徴とする遊技機A7。
【0370】
遊技機A7によれば、遊技機A5の奏する効果に加え、凸部は、連通部の内側に配置されるので、前扉と外枠との間に形成される隙間に挿入される不正物が、遊技媒体排出手段と連通部との間まで挿入された場合に、その不正物の先端を凸部の突設方向に沿って移動させることができる。従って、不正物の先端を排出部の開口から離間する方向に移動させることができる。その結果、前扉と外枠との間から挿入される不正物が排出部の内側に挿入されることを抑制でき、遊技者の不正行為を抑制できる。
【0371】
遊技機A2からA7のいずれかにおいて、前記排出部は、矩形状の開口として形成され、前記凸部は、前記排出部の開口の長手方向に延設されることを特徴とする遊技機A8。
【0372】
遊技機A8によれば、遊技機A2からA7のいずれかの奏する効果に加え、排出部は、矩形状の開口として形成され、凸部は、排出部の開口の長手方向に延設されるので、排出部の長手方向と直行する方向における排出部と凸部との離間距離を一定にすることができる。よって、遊技媒体排出手段を移動させることを目的として、作業者が凸部を把持した場合に、作業者の手を排出部を覆う位置に配置させやすくできる。
【0373】
例えば、排出部と凸部との排出部の長手方向と直行する方向における離間距離が排出部の長手方向で異なる場合では、作業者が凸部を把持する位置によっては(例えば、離間距離が大きい箇所を把持した場合)作業者の手が排出部を覆う位置に位置しにくくなる。
【0374】
これに対して、遊技機A8では、排出部の長手方向と直行する方向における排出部と凸部との離間距離を一定にすることができるので、作業者が凸部を把持する位置に関わらず作業者の手を排出部を覆う位置に位置させることができる。その結果、遊技媒体排出手段を移動させる際に、排出部から遊技媒体が排出されて、遊技機の外方に散らばることを抑制できる。
【0375】
遊技機A8において、前記排出部の開口は、その開口の長手方向の一側から他側に向かって下降傾斜して形成され、前記凸部は、前記排出部の開口を長手方向中央位置で分断し短手方向に延びる2等分線から下降側端部までの距離寸法が、前記2等分線から上昇側端部までの距離寸法よりも大きく設定されることを特徴とする遊技機A9。
【0376】
遊技機A9によれば、遊技機A8の奏する効果に加え、排出部の開口は、その開口の長手方向の一側から他側に向かって下降傾斜して形成され、凸部は、排出部の開口を長手方向中央位置で分断し短手方向に延びる2等分線から下降側端部までの距離寸法が、2等分線から上昇側端部までの距離寸法よりも大きく設定されるので、凸部を把持する作業者の手を排出部の他側部分(下降側部分)の手前側に配置させやすくできる。従って、排出部の開口が長手方向に傾斜して形成される場合には、排出部から排出される遊技媒体が、排出部の重力方向下側に位置する長手方向の一面と短手方向の一面とに沿って排出されるところ、凸部を把持する作業者の手を排出部の他側部分の手前側に配置できるので、排出部を通過する遊技媒体を作業者の手に当接させやすくできる。その結果、遊技媒体排出手段を移動させる際に、遊技媒体が排出部から排出されて遊技機の外方に散らばることを抑制できる。
【0377】
遊技機A8又はA9において、前記凸部は、その凸部の延設方向の両端部に、下方に屈曲して延びる屈曲部を備え、前記屈曲部は、その屈曲部の延設先端が、前記排出部の下側内縁の長手方向に沿って延びる直線よりも下方に配置されることを特徴とする遊技機A10。
【0378】
遊技機A10によれば、遊技機A8又はA9の奏する効果に加え、凸部は、その凸部の延設方向の両端部に、下方に屈曲して延びる屈曲部を備え、屈曲部は、その屈曲部の延設先端が、排出部の下側内縁の長手方向に沿って延びる直線よりも下方に配置されるので、排出部の内側に不正物が挿入されて、不正行為が行われることを抑制できる。
【0379】
即ち、排出部は、その開口外側の3方向が屈曲部および凸部により囲われるので、例えば、前扉と外枠との間に形成される隙間に挿入される不正物が、排出部に向けて挿入された場合に、不正物の先端を屈曲部または凸部に当接さやすくできる。よって、排出部までの不正物の侵入経路上に屈曲部および凸部が配設されるので、不正物が排出部に挿入されることを抑制できる。その結果、遊技者の不正行為を抑制できる。
【0380】
また、屈曲部により凸部を把持する作業者の手が凸部の外側に出ることを抑制できる。従って、凸部を把持する作業者の手を排出部を覆う位置に位置させやすくできる。よって、遊技機A9に従属する遊技機A10によれば、延設方向に傾斜する凸部を作業者が把持する場合に、作業者の手に対して凸部がスライド移動することを屈曲部により規制できる。従って、作業者が凸部を把持している際に、作業者の手から凸部が抜け出ることを抑制できる。
【0381】
遊技機A2からA10のいずれかにおいて、前記凸部は、前記遊技媒体排出手段と別部材からなり前記遊技媒体排出手段の側面に沿って一方向に延設して形成されると共に、前記凸部および前記遊技媒体排出手段の間に介在する介在部により回転可能に軸支され、前記凸部の延設方向が前記排出部の長手方向と平行とされる第1位置と、前記凸部の延設方向が水平方向と平行とされる第2位置とに変位可能とされることを特徴とする遊技機A11。
【0382】
遊技機A11によれば、遊技機A2からA10のいずれかの奏する効果に加え、前記凸部は、前記遊技媒体排出手段と別部材からなり前記遊技媒体排出手段の側面に沿って一方向に延設して形成されると共に、前記凸部および前記遊技媒体排出手段の間に介在する介在部により回転可能に軸支され、前記凸部の延設方向が前記排出部の長手方向と平行とされる第1位置と、前記凸部の延設方向が水平方向と平行とされる第2位置とに変位可能とされるので、前扉が外枠に対して閉鎖した状態では凸部を第1位置に配置することで、前扉と外枠との間に形成される隙間から挿入される不正物を排出部に挿入しにくくできる。
【0383】
また、作業者が、遊技媒体排出手段を移動させる場合には凸部を第2位置に配置することで、遊技媒体排出手段を持ち上げる際に凸部の下面に作用する重力方向の力をそのまま、遊技媒体排出手段を持ち上げる力に変換できる。
【0384】
仮に、凸部が延設方向に傾斜する場合には、凸部の下面に入力される重力方向の力成分が、凸部の傾斜により斜め方向の力成分に変換されて、重力方向の持ち上げ方向の力成分が小さくされる。これに対し、遊技機A11では、凸部を第2位置にすることで、遊技媒体排出手段を持ち上げる場合に、凸部に入力される重力方向の力成分を、そのまま遊技媒体排出手段を持ち上げる力にすることができるので、重力方向の持ち上げ成分が小さくされることを抑制できる。その結果、外枠から遊技媒体排出手段を引き出した後に遊技媒体排出手段を支持して搬送しやすくできる。
【0385】
遊技機A11において、前記凸部が第2位置に配置される場合に、前記凸部の一部が前記排出部を覆う位置に配置されることを特徴する遊技機A12。
【0386】
遊技機A12によれば、遊技機A11の奏する効果に加え、凸部が第2位置に配置される場合に、凸部または屈曲部のいずれか一方または両方の一部が排出部を覆う位置に配置されるので、遊技媒体排出手段を移動させる場合に、凸部を第2位置に配置することで、凸部または屈曲部の一方または両方の一部により、遊技媒体が排出部を通過して排出されることを抑制できる。その結果、遊技媒体排出手段を移動させている途中に排出部を通過する遊技媒体が、排出部から排出されることを抑制できる。
【0387】
遊技機A11又はA12において、前記遊技媒体排出手段の一部は、前記凸部の第1位置および第2位置の変位軌跡上に配置され、前記凸部が第2位置に配置される場合に、前記凸部の一部が前記遊技媒体排出手段に当接して前記凸部の移動が規制されることを特徴する遊技機A13。
【0388】
遊技機A13によれば、遊技機A11又はA12の奏する効果に加え、遊技媒体排出手段の一部は、凸部の第1位置および第2位置の変位軌跡上に配置され、凸部が第2位置に配置される場合に、凸部の一部が遊技媒体排出手段に当接して凸部の移動が規制されるので、作業者が遊技媒体排出手段を移動させる際に、第2位置に凸部を規制する規制部分を新たに形成する必要がない。よって、遊技媒体排出手段の外形が大きくなることを抑制できる。その結果、遊技媒体排出部材の配設スペースが大きくなることを抑制できる。
【0389】
遊技機A11からA13のいずれかにおいて、前記介在部は、円柱状に形成されると共に、前記遊技媒体排出手段に連結される一端側に、端部に向かって拡径する拡径部を備え、前記遊技媒体排出手段には、前記拡径部が挿入される穿設孔が穿設され、前記穿設孔は、前記拡径部の外縁形状と対応する内縁形状に形成されることを特徴とする遊技機A14。
【0390】
遊技機A14によれば、遊技機A11からA13のいずれかの奏する効果に加え、介在部は、円柱状に形成されると共に、遊技媒体排出手段に連結される一端側に、端部に向かって拡径する拡径部を備え、遊技媒体排出手段には、拡径部が挿入される穿設孔が穿設され、穿設孔は、拡径部の外縁形状と対応する内縁形状に形成されるので、作業者が、遊技媒体排出手段を外枠からスライド変位させて引き出す場合に、介在部が破損することを抑制できる。即ち、凸部は、遊技媒体排出手段を取り出す方向に突設されるので、作業者が凸部を把持して引き抜き動作する場合に、介在部が遊技媒体排出手段と分離しないように、介在部に遊技媒体排出手段との係合部を形成する必要がある。
【0391】
例えば、介在部に介在部よりも大径の円盤状に形成される大径部分を形成してもよいが、遊技媒体排出手段を外枠から引き抜く際に、大径部分を遊技媒体排出手段に当接させると、大径部分の当接面に遊技媒体排出手段を引き抜く際の力が集中して大径部分が破損する恐れがある。また、大径部分の直径を比較的大きく形成して、遊技媒体排出手段を引き抜く際の力を分散することも考えられるが、大径部分の直径を大きくする必要があるため、遊技媒体排出手段に他の部材(例えば、駆動モータやセンサ装置)を配設スペースが小さくされるため現実的ではない。
【0392】
これに対して、遊技機A14では、遊技媒体排出手段に連結される一端側の介在部が端部に向かって拡径され、遊技媒体排出手段には、その拡径部に対応する穿設孔が形成されるので、拡径部と穿設孔との当接面積を増やすことができるので、遊技媒体排出手段を外枠から引き抜く際に拡径部にかかる力を分散することができる。その結果、遊技媒体排出手段を引き抜く場合に介在部が破損することを抑制できる。また、拡径部により、遊技媒体排出手段を引き抜く場合に、遊技媒体排出手段との当接面を大きくすることができるので、拡径部を大きくしすぎる必要がない。従って、拡径部により、他の配設スペースが小さくなることを抑制できる。
【0393】
遊技機A1において、前記凹部は、前記排出部から重力方向下側に離間する位置に凹設されることを特徴とする遊技機A15。
【0394】
遊技機A15によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、凹部は、排出部から重力方向下側に離間する位置に形成されるので、凹部を把持する作業者の手を、排出部の下側に配置することができる。これにより、遊技媒体排出手段を移動させる際に、排出部を通過する遊技媒体が排出部から排出された場合に、凹部を把持する作業者の手の上部に排出できる。その結果、遊技媒体排出手段を移動させる際に、遊技媒体が排出部から排出されて、遊技機の外方に散らばることを抑制できる。
【0395】
遊技機A15において、前記遊技媒体排出手段は、前記凹部が凹設される側面に沿って変位可能な閉鎖部材を備え、前記閉鎖部材は、前記凹部の前方に配設され前記凹部を覆う第1閉鎖位置と、前記排出部を覆う位置に配設され前記排出部を覆う第2閉鎖位置とに変位可能とされることを特徴とする遊技機A16。
【0396】
遊技機A16によれば、遊技機A15の奏する効果に加え、遊技媒体排出手段は、凹部が凹設される側面に沿って変位可能な閉鎖部材を備え、閉鎖部材は、凹部の前方に配設され凹部を覆う第1閉鎖位置と、排出部を覆う位置に配設され排出部を覆う第2閉鎖位置とに変位可能とされるので、凹部を利用して不正行為がされることを防止できると共に、作業者が遊技媒体排出手段を移動させる場合に、排出部から遊技媒体が排出されることを抑制できる。
【0397】
即ち、前扉が外枠に対して閉鎖された状態では、閉鎖部材を第1閉鎖位置とすることで、前扉と外枠との間に形成される隙間から挿入される不正物が凹部の内側に挿入されることを防止できる。これにより、前扉と外枠との間から挿入される不正物により、凹部の内側部分に不正な加工がされる(例えば貫通孔が形成される)ことを防止できる。その結果、遊技者の不正行為を防止することができる。
【0398】
また、作業者が遊技媒体排出手段を移動させる場合には、閉鎖部材を第2位置とすることで、閉鎖部材により排出部を通過する遊技媒体が排出部から排出されることを抑制できる。その結果、遊技媒体排出手段を移動する際に、排出部から遊技媒体が排出されて、遊技媒体が遊技機の外方に散らばることを抑制できる。
【0399】
遊技機A16において、前記閉鎖部材が第2閉鎖位置とされる場合に、前記閉鎖部材が前記凹部の前方の領域の一部と重なることを特徴とする遊技機A17。
【0400】
遊技機A17によれば、遊技機A16の奏する効果に加え、閉鎖部材が第2閉鎖位置とされる場合に、閉鎖部材が凹部の前方の領域の一部と重なるので、遊技媒体排出手段を外枠からスライド変位させて移動させることを目的として、凹部を把持した場合に、作業者が閉鎖部材の一部に手を引っ掛けることができる。よって、遊技媒体排出手段を外枠からスライド変位させて移動させやすくできる。
【0401】
遊技機A16又はA17において、前記閉鎖部材は、重力方向の変位成分を含む方向に変位可能とされ、第1閉鎖位置が初期位置とされることを特徴とする遊技機A18。
【0402】
遊技機A18によれば、遊技機A16又はA17の奏する効果に加え、閉鎖部材は、重力方向の変位成分を含む方向に変位可能とされ、第1閉鎖位置が初期位置とされるので、重力を利用して閉鎖部材を第1閉鎖位置に変位させることができる。よって、遊技媒体排出手段を移動させる作業者が閉鎖部材を第2閉鎖位置に変位させた後に、閉鎖部材を第1閉鎖位置に戻す動作を省くことができる。従って、作業者が、閉鎖部材を第1閉鎖位置へ戻し忘れることを防止できる。
【0403】
<金属プレート11b1を一例とする発明の概念について>
一面側が開口する箱状の外枠と、その外枠の開口側に開閉可能に配設される前扉と、遊技媒体を排出する排出部が形成され、その排出部から排出される遊技媒体を貯留すると共に前記外枠の内側に着脱可能に配設される遊技媒体排出手段と、を備えた遊技機において、前記遊技媒体排出手段は、前記外枠の開口面側に突設または凹設される凸部または凹部が形成され、前記凸部または凹部は、前記前扉が前記外枠に対して開放されると前記外枠の開口側から視認可能とされ、前記前扉が前記外枠に対して閉鎖されると前記外枠の開口側から視認不能とされることを特徴とする遊技機B1。
【0404】
ここで、従来より、一面側が開口する箱状の外枠と、その外枠の開口側に開閉可能に配設される前扉と、遊技媒体を排出する排出部が形成され、その排出部から排出される遊技媒体を貯留すると共に外枠の内側に着脱可能に配設される遊技媒体排出手段とを備える遊技機が知られている(例えば、特開2015−163371号公報)。遊技媒体排出手段は、外枠の内壁と対向する面に凹設される凹設部を備える。作業者は、凹設部(例示した先行文献では、凹部116)の内側に手を入れることで、遊技媒体排出手段を移動させる際の持ち手として利用できる。
【0405】
しかしながら、上述した従来の遊技機では、遊技媒体排出手段を移動させる際の持ち手(凹設部)が外枠の内壁と対向する面に形成されるので、作業者が外枠に対して前扉を開放した場合に、外枠の開口側から凹設部を視認しにくくなる。また、凹設部は、前扉に対して外枠を閉鎖すると、前扉により外枠の開放側から視認不能とされる。そのため、遊技者の不正行為(例えば、保持部が形成された部分に貫通穴をあけて、その貫通穴から不正部材を挿入し遊技媒体排出手段の内側に配設される検出装置やモータを操作して不正に遊技媒体を排出させる行為)が、凹設部にされると、不正がされた痕跡(例えば、貫通穴が形成された痕)を作業者が発見するためには遊技媒体排出手段を外枠から引き出して凹設部を視認する必要がある。従って、外枠に対して前扉を開放した作業者が不正を発見しにくく、遊技者の不正行為が継続して行われてしまうという問題点があった。
【0406】
これに対して、遊技機B1によれば、凸部または凹部は、前扉が外枠に対して開放されると外枠の開口側から視認可能とされ、前扉が外枠に対して閉鎖されると外枠の開口側から視認不能とされるので、作業者が外枠に対して前扉を開放した場合に、凸部または凹部を視認しやすくできる。従って、不正行為を行うための貫通穴が凸部または凹部に形成された場合に、不正がされた痕跡を作業者が発見しやすくなる。その結果、遊技者の不正行為が継続して行われることを抑制できる。
【0407】
さらに、凸部または凹部は、遊技媒体排出手段を移動させる場合の作業者の持ち手として利用させることができるので、凸部または凹部に不正物が挿入可能な大きさの穴が形成された場合に、凸部または凹部を把持した際の感触(例えば、貫通穴を形成する際に形成される突起(バリ)を触った感触)で作業者に不正行為がされた痕跡があることを発見させやすくできる。その結果、遊技者の不正行為が継続して行われることを抑制できる。
【0408】
なお、不正行為を行うための貫通孔が形成されたもの(不正行為を行った痕跡)が発見された場合には、遊技媒体排出手段を新しいユニットに交換する、または、貫通穴が形成された部品を新しい部品(正常な部品)に交換することで、不正行為が継続して行われることを抑制できる。
【0409】
遊技機B1において、前記外枠の内側には、光を反射可能な不正検出手段が配設され、前記不正検出手段により前記遊技媒体排出手段にされる不正の痕跡を前記外枠の開口側から視認できることを特徴とする遊技機B2。
【0410】
遊技機B2によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、外枠の内側には、外枠の内側の光を外枠の開口側に反射可能な不正検出手段が配設され、不正検出手段により遊技媒体排出手段にされる不正の痕跡を外枠の開口側から視認できるので、遊技媒体排出手段に不正行為がされた場合に、作業者が外枠に対して前枠を開放することで不正行為がされたことを発見することができる。
【0411】
例えば、遊技媒体排出手段の内側に不正物を挿入することを目的として、排出部の周囲に貫通穴が形成された場合に、その貫通穴が作業者の視点から凸部または凹部の死角に入ると、外枠に対して前扉を開放するのみでは、不正がされた痕跡(貫通穴が形成されたこと)を外枠の開口側から視認して発見することが困難になる恐れがあった。
【0412】
これに対して、遊技機B2によれば、不正検出手段により遊技媒体排出手段にされる不正の痕跡を外枠の開口側から視認できるので、作業者は外枠に対して前枠を開放した後に不正検出手段を確認することのみで、遊技媒体排出手段にされる不正の痕跡があるのかを確認できる。その結果、作業者が外枠に対して前扉を開放した際に作業者に不正がされた痕跡を発見させやすくでき、遊技者の不正行為が継続して行われることを抑制できる。
【0413】
また、不正検出手段は、外枠の内側に配設されるので、外枠に対して前扉を閉鎖することで、遊技機外部から不正検出手段が視認されることを抑制できる。その結果、遊技者が不正検出手段を視認することを抑制でき、遊技者の興趣が阻害されることを抑制できる。
【0414】
遊技機B2において、前記不正検出手段は、前記排出部を間に挟んで前記凸部または凹部の反対側に配設されることを特徴とする遊技機B3。
【0415】
遊技機B3によれば、遊技機B2の奏する効果に加え、不正検出手段は、排出部を間に挟んで凸部または凹部の反対側に配設されるので、外枠に対して前扉を開放した作業者は、凸部または凹部側から不正検出手段を視認することで、排出部および排出部側の凸部または凹部の外面にされた不正の痕跡を発見することができる。
【0416】
即ち、遊技媒体排出手段の外面に凸部または凹部が形成されると、排出部や排出部と凸部または凹部との間にされた不正の痕跡が、凸部または凹部により作業者から死角となる恐れがあるところ、かかる不正検出手段は、排出部を間に挟んで凸部または凹部の反対側に配設されるので、凸部または凹部により作業者から死角となる部分を反射して、作業者に視認させることができる。その結果、作業者が外枠に対して前扉を開放した際に作業者に不正がされた痕跡を発見させやすくできる。
【0417】
遊技機B2又はB3において、前記不正検出手段は、金属製の板状体から形成されると共に前記外枠の開口側の内側底面に配設され、前記外枠の開口側と反対側の一部に前記遊技媒体排出手段が載置されることを特徴とする遊技機B4。
【0418】
遊技機B4によれば、遊技機B2又はB3の奏する効果に加え、不正検出手段は、金属製の板状体から形成されると共に外枠の開口側の内側底面に配設され、外枠の開口側と反対側の一部に遊技媒体排出手段が載置されるので、不正検出手段により作業者が、外枠に対して前扉を開放して、不正検出手段により不正を検出することができると共に、遊技媒体排出手段を外枠から外枠の開口方向に向かってスライド変位させる場合に、外枠が遊技媒体排出手段と擦れて削れることを抑制できる。即ち、遊技媒体排出手段をスライド変位する場合の当接面として利用することができる。
【0419】
ここで、遊技媒体排出手段をスライド変位させた場合の外枠の当接面が、比較的摩耗しやすい材料(例えば、木材)で形成される場合では、遊技媒体排出手段の引き出し動作により、当接面が摩耗(すり減り)して遊技媒体排出手段の外枠に対するスライド変位を安定して行わせにくくなる。
【0420】
これに対して、遊技機B4では、遊技媒体排出手段をスライド変位させる場合の当接面を、金属性からなる不正検出部材とすることで、外枠の内周面が摩耗することを抑制できる。従って、遊技媒体排出手段の外枠に対するスライド変位を安定して行わせることができる。
【0421】
遊技機B2又はB3において、前記不正検出手段は、前記遊技媒体排出手段に対して変位可能な状態で配設されることを特徴とする遊技機B5。
【0422】
遊技機B5によれば、遊技機B2又はB3の奏する効果に加え、不正検出手段は、遊技媒体排出手段に対して変位可能な状態で配設されるので、遊技媒体排出手段にされた不正の痕跡を作業者に発見させやすくすることができる。
【0423】
即ち、前扉を開放した作業者の視点によっては、不正検出手段により凸部または凹部の死角となる部分を作業者側に反射しにくくなるところ、かかる不正検出手段が、遊技媒体排出手段に対して変位可能な状態で配設されるので、作業者は、不正検出手段を変位させることで、作業者の視点から凸部または凹部の死角となる部分を効率的に反射させることができる。その結果、遊技媒体排出手段にされた不正の痕跡を作業者に発見させやすくできる。
【0424】
遊技機B5において、前記不正検出手段は、前記遊技媒体排出手段に軸支されて配設されると共に、軸支部分と反対側の端部が少なくとも重力方向の変位成分を含む方向に回転可能とされることを特徴とする遊技機B6。
【0425】
遊技機B6によれば、遊技機B5の奏する効果に加え、不正検出手段は、遊技媒体排出手段に軸支されて配設されると共に、軸支部分と反対側の端部が少なくとも重力方向の変位成分を含む方向に回転可能とされるので、遊技媒体排出手段を支持する目的で、外枠に対して前扉を開放した作業者が、誤って(凸部または凹部と間違えて)不正検出手段を支持しようと場合に、不正検出部材が回転することで、不正検出手段に作業者の指が引っかかることを抑制できる。その結果、不正検出手段が破損することを抑制できる。
【0426】
遊技機B3からB6のいずれかにおいて、前記排出部の上方に前記凸部または凹部が形成され、前記排出部の下方に不正検出手段が配設されることを特徴とする遊技機B7。
【0427】
遊技機B7によれば、遊技機B3からB6のいずれかの奏する効果に加え、排出部の上方に凸部または凹部が形成され、排出部の下方に不正検出手段が配設されるので、前扉を開放した作業者が不正検出手段の反射を利用して、前記凸部または凹部の死角を視認しやすくできる。
【0428】
通常、遊技機は、遊技媒体排出手段の高さ位置が、作業者の視点よりも低い位置で店舗に設置される。そのため、凸部または凹部の下方部分が作業者の死角になりやすくなるところ、かかる不正検出手段が、凸部または凹部の下方に配設されるので、外枠に対して前扉を開放した作業者に凸部または凹部の下方部分を視認させやすくできる。その結果、遊技媒体排出手段にされた不正の痕跡を作業者に発見させやすくできる。
【0429】
遊技機B7において、前記前扉は、前記排出部から排出される遊技媒体を通過させる中空状の連通部を備え、前記不正検出手段は、前記連通部の外側に配設されることを特徴とする遊技機B8。
【0430】
遊技機B8によれば、遊技機B7の奏する効果に加え、前扉は、排出部から排出される遊技媒体を通過させる中空状の連通部を備え、不正検出手段は、連通部の外側に配設されるので、排出部から排出される遊技媒体が、不正検出手段に落下して当接することを抑制できる。その結果、不正検出手段に遊技媒体が当接することで、不正検出手段の外面に傷が形成されることを抑制でき、作業者が不正検出手段に反射される遊技媒体排出手段の外面を視認しにくくなることを抑制できる。
【0431】
遊技機B8において、前記遊技媒体排出手段には、凸部が突設され、その凸部は、前記排出部に連通する側の前記連通部の端面を含む平面上に配置されることを特徴とする遊技機B9。
【0432】
遊技機B9によれば、遊技機B8の奏する効果に加え、遊技媒体排出手段には、凸部が突設され、その凸部は、排出部に連通する側の連通部の端面を含む平面上に配置されるので、不正物が連通部と遊技媒体排出手段との隙間を介して排出部の内側に挿入されることを抑制できる。
【0433】
例えば、閉鎖された状態の前扉と外枠との間にドライバー等の工具で隙間を形成し、その隙間から針金やピアノ線等の不正物を挿入した場合に、その不正物の挿入先端側を遊技媒体排出手段と連通部との隙間を介して排出部の内側に挿入させ、遊技媒体排出手段の排出部から排出される遊技媒体の数を検出する検出センサのコネクタ部分をショート(断線)させる、又は、遊技媒体排出手段から排出される遊技媒体の移動経路を大きくして遊技媒体排出手段の排出部から排出される遊技媒体の数を検出する検出センサが作動しないようにすることで、排出部から排出される遊技媒体の数を所定の数よりも多くする不正行為がある。かかる不正行為に対し、本発明によれば、連通部の一方の端面を含む平面上に凸部が配置されるので、前扉と外枠との間から挿入された不正物が、遊技媒体排出手段と連通部との間に挿入されることを抑制できる。即ち、凸部と連通部とが同一の平面上に配設されることで、不正物が挿入される隙間を小さくすることができ、不正物が挿入されることを抑制できる。その結果、上述した不正行為を抑制できる。
【0434】
遊技機B2からB9のいずれかにおいて、前記排出部は、矩形状の開口として形成され、前記遊技媒体排出手段には、前記凸部が突設され、前記凸部は、前記排出部の長手方向に沿って延設され、その延設された両端部に前記排出部の短手方向に屈曲して延びる一対の屈曲部を備えることを特徴とする遊技機B10。
【0435】
遊技機B10によれば、遊技機B2からB9の奏する効果に加え、排出部は、矩形状の開口として形成され、遊技媒体排出手段には、凸部が突設され、凸部は、排出部の長手方向に沿って延設され、その延設された両端部に排出部の短手方向に屈曲して延びる一対の屈曲部を備えるので、作業者が、遊技媒体排出手段を移動させる目的で凸部を把持した場合、遊技媒体排出手段の重みで、作業者の手が、凸部に対して所定量以上位置ずれすることを規制することができる。その結果、作業者が遊技媒体排出部を支持した場合に、作業者の手から凸部が抜け出ることを抑制できる。
【0436】
遊技機B10において、前記排出部は、前記一対の屈曲部の対向間に形成されることを特徴とする遊技機B11。
【0437】
遊技機B11によれば、遊技機B10の奏する効果に加え、排出部は、一対の屈曲部の対向間に形成されるので、凸部を把持する作業者の手を排出部の前方に配置させることができる。よって、遊技媒体排出手段を作業者が移動させる場合に、その移動による振動で排出部を通過する遊技媒体を作業者の手に当接させることができる。その結果、作業者が遊技媒体排出手段を移動させる場合に、遊技機の外方に遊技媒体が散らばることを抑制できる。
【0438】
遊技機B11において、前記不正検出手段は、前記一対の屈曲部の対向間に配設されると共に前記凸部と所定の隙間を隔てて配設され、前記連通部は、前記凸部と前記一対の屈曲部と前記不正検出手段とで囲われた空間に配設され、前記排出部は、前記連通部の内側に配設され、前記連通部と連通されることを特徴とする遊技機B12。
【0439】
遊技機B12によれば、遊技機B11の奏する効果に加え、不正検出手段は、一対の屈曲部の対向間に配設されると共に凸部と所定の隙間を隔てて配設され、連通部は、凸部と一対の屈曲部と不正検出手段とで囲われた空間に配設され、排出部は、連通部の内側に配設され、連通部と連通されるので、前扉と外枠との間に形成する隙間から挿入される不正部材の先端が連通部の内側に挿入されることを抑制できる。その結果、遊技媒体排出手段に不正行為がされることを抑制できる。
【0440】
遊技機A1からA18及びB1からB12のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機C1。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0441】
遊技機A1からA18及びB1からB12のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機C2。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
【0442】
遊技機A1からA18及びB1からB12のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機C3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
<その他>
一面側が開口する箱状の外枠と、その外枠の開口側に開閉可能に配設される前扉と、遊技媒体を排出する排出部が形成され、その排出部から排出される遊技媒体を貯留すると共に前記外枠の内側に着脱可能に配設される遊技媒体排出手段とを備えた遊技機が知られている(特開2008−220739号公報)。しかしながら、上述した従来の遊技機では、遊技媒体排出手段を移動させる場合に、遊技媒体が遊技機の外方に散らばるという問題点があった。本技術的思想は、上記例示した問題点を解決するためになされたものであり、遊技媒体排出手段を移動させる場合に、遊技媒体が遊技機の外方に散らばることを抑制することができる遊技機を提供することを目的とする。
<手段>
この目的を達成するために技術的思想1の遊技機は、一面側が開口する箱状の外枠と、その外枠の開口側に開閉可能に配設される前扉と、遊技媒体を排出する排出部が形成され、その排出部から排出される遊技媒体を貯留すると共に前記外枠の内側に着脱可能に配設される遊技媒体排出手段とを備えたものであり、前記遊技媒体排出手段は、前記排出部から重力方向のいずれか一方に所定の距離離間する位置に突設または凹設される凸部または凹部を備える。
技術的思想2の遊技機は、技術的思想1記載の遊技機において、前記凸部は、突設先端部に重力方向下方に向かって突出する支持部を備え、前記排出部から重力方向上側に離間する位置に前記外枠から前記遊技媒体排出手段を取り出す方向に向かって前記凸部が突設される。
技術的思想3の遊技機は、技術的思想2に記載の遊技機において、遊技媒体は、円盤形に形成され、前記支持部は、前記凸部が突設される前記遊技媒体排出手段の側面との対向間の距離が、遊技媒体の直径よりも小さく設定される。
<効果>
技術的思想1記載の遊技機によれば、遊技媒体排出手段を移動させる場合に、遊技媒体が遊技機の外方に散らばることを抑制することができる。
技術的思想2記載の遊技機によれば、技術的思想1記載の遊技機の奏する効果に加え、遊技媒体排出手段を移動させやすくできる。
技術的思想3記載の遊技機によれば、技術的思想2に記載の遊技機の奏する効果に加え、遊技媒体排出手段を移動させる場合に、遊技媒体が遊技機の外方に散らばることを抑制することができる。
<符号>
10 スロットマシン(遊技機)
11 筐体(外枠)
11b1 金属プレート(不正検出手段)
12 前扉
512d 排出部
300 ホッパ装置(遊技媒体排出手段)
441,2441,5441 支持部(凸部)
3511c,4511c 保持部(凹部)
443,2443,5443 突設部(支持部)
82a,2082a,3082a 連通部
442,2442,5442 屈曲部
5450 軸部材(介在部)
5452 他側部分(拡径部)
5434 軸孔(穿設孔)
3517,4517 閉鎖部材
6511e 鏡面体(不正検出手段)