【文献】
阿久澤 隼,ネプコンジャパン2019にみる自動外観検査装置とビジョンシステム,画像ラボ 第30巻 第1号 Image Laboratory,日本,日本工業出版株式会社,2019年 1月10日,第30巻/第1号,68〜71
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
昇降機における清掃対象となる箇所が撮影された複数の第1画像及び検査者の判断に基づいて前記複数の第1画像のそれぞれと関連付けられた清掃状況の第1良否判断結果を含む蓄積データを記憶する第1記憶部と、
昇降機における清掃対象となる箇所が撮影された第2画像及び検査者の判断に基づいて前記第2画像と関連付けられた清掃状況の第2良否判断結果を含む判定対象データを記憶する第2記憶部と、
前記判定対象データに含まれる前記第2画像が示す箇所の清掃状況の良否を、前記蓄積データに基づいて推定し第3良否判断結果を出力する推定部と、
前記判定対象データに含まれる前記第2良否判断結果が、前記第3良否判断結果と一致するか否かを判定する判定部と、
を備えた昇降機の定期検査支援システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付の図面を参照して、本発明を詳細に説明する。各図では、同一又は相当する部分に同一の符号を付している。重複する説明は、適宜簡略化あるいは省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における昇降機の定期検査支援システムの一例を示す構成図である。定期検査支援システムは、例えば、図示しない建物等に設けられたエレベーターに適用される。
【0011】
図1に示すように、定期検査支援システムは、定期検査支援装置1を備える。定期検査支援装置1は、例えば、昇降機が設けられた建物とは別の建物に設けられている。定期検査支援装置1は、例えば、昇降機の保守管理会社に設けられたコンピューター等である。定期検査支援装置1は、記憶部2、清掃状況評価部3、閾値設定部4、操作部5、報知部6、報知制御部7、推定部8及び判定部9を有する。
【0012】
操作部5は、例えば、押しボタン、キーボード及び各種ポインティングデバイス等である。報知部6は、例えば、液晶ディスプレイ、タッチパネル及びスピーカー等の少なくとも1つである。タッチパネルは、操作部5と報知部6を兼ねることが可能である。報知部6の動作は、報知制御部7によって制御される。
【0013】
昇降機の定期検査を実施する検査者は、定期検査を実施する際にカメラ10を携帯する。カメラ10は、例えば、写真画像を電子データとして記録するデジタルカメラ等である。カメラ10は、例えば、有線通信及び無線通信の少なくとも一方により定期検査支援装置1と通信可能であってもよい。
【0014】
検査者は、定期検査の際に、昇降機における清掃対象となる箇所の写真画像をカメラ10で撮影する。清掃対象となる箇所は、例えば、エレベーターのピットの床面、機械室の床面、昇降路内のブラケット等である。
【0015】
定期検査支援システムは、蓄積データ11、閾値データ12及び判定対象データ13を使用する。蓄積データ11及び判定対象データ13は、例えば、写真画像を含む電子データである。閾値データ12は、例えば、数値で表される電子データである。
【0016】
蓄積データ11は、第1記憶部に記憶される。判定対象データ13は、第2記憶部に記憶される。第2記憶部は、第1記憶部と一体であってもよいし、第1記憶部と別個に設けられてもよい。第1記憶部及び第2記憶部のそれぞれの数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。閾値データ12は、第1記憶部に記憶されてもよいし、第2記憶部に記憶されてもよい。
【0017】
図1は、第1記憶部且つ第2記憶部として記憶部2が用いられる場合を示している。つまり、実施の形態1において、記憶部2は、蓄積データ11、閾値データ12及び判定対象データ13を記憶する。
【0018】
蓄積データ11は、過去の定期検査の際にカメラ10等で撮影された清掃対象となる箇所の画像を含む。蓄積データ11は、例えば、異なる複数の昇降機を対象とした定期検査のそれぞれに対応する画像を含む。蓄積データ11は、例えば、同一の昇降機を対象とした複数回の定期検査のそれぞれに対応する画像を含む。
【0019】
蓄積データ11は、清掃対象となる箇所の清掃状況の良否判断結果を含む。良否判断結果は、当該箇所の画像と関連付けられている。良否判断結果は、当該箇所の汚れの度合いを確認した検査者の判断に基づいて設定された情報である。良否判断結果は、例えば、「合格」又は「不合格」のいずれかを示す情報である。
【0020】
蓄積データ11は、例えば、清掃対象となる箇所の種類を示す情報を含む。清掃対象となる箇所の種類を示す情報は、当該箇所の画像と関連付けられている。清掃対象となる箇所の種類を示す情報は、例えば、ピットの床面及び機械室の床面等を表す番号、記号又は文字列等である。
【0021】
蓄積データ11は、例えば、清掃対象となる箇所の清掃状況の良否判断を行った検査者の識別情報を含む。検査者の識別情報は、当該箇所の画像と関連付けられている。検査者の識別情報は、例えば、検査者のID又は氏名等である。
【0022】
蓄積データ11は、例えば、昇降機の機種を示す情報を含んでもよい。蓄積データ11は、例えば、昇降機が設置された年代を示す情報を含んでもよい。蓄積データ11は、例えば、昇降機が設置されている建物を特定する情報を含んでもよい。蓄積データ11は、例えば、昇降機の保守契約の契約者を特定する情報を含んでもよい。
【0023】
清掃状況評価部3は、例えば、画像認識技術を用いて、画像に写っている箇所の汚れを検出する。清掃状況評価部3は、例えば、輝度、明度、色又は濃淡等に基づいて、画像に写っている箇所の汚れを検出する。清掃状況評価部3は、画像から検出された汚れの度合いに応じて、当該画像に写っている箇所の清掃状況を表す評価点を算出する。
【0024】
清掃状況評価部3は、蓄積データ11に含まれている画像に写っている箇所の清掃状況を表す評価点を当該画像と関連付けて記憶部2に記憶させる。つまり、蓄積データ11は、清掃対象となる箇所の画像と関連付けられた当該箇所の清掃状況を表す評価点を含む。
【0025】
評価点は、例えば、画像から検出された汚れが少ないほど高い数値となり、画像から検出された汚れが多いほど低い数値となる。なお、評価点は、例えば、画像から検出された汚れが少ないほど低い数値となり、画像から検出された汚れが多いほど高い数値となってもよい。
【0026】
閾値設定部4は、清掃状況の良否判断の閾値を設定する。良否判断の閾値とは、例えば、良否判断結果が「合格」となるために最低限必要な評価点の目安である。閾値設定部4は、蓄積データ11に含まれる複数の画像のそれぞれと関連付けられた良否判断結果及び清掃状況評価部3により当該複数の画像のそれぞれに付けられた評価点に基づいて、閾値を設定する。つまり、閾値設定部4は、過去の定期検査における各検査者による清掃状況の判断基準に基づいて閾値を設定する。閾値設定部4は、設定された閾値を示す電子データを閾値データ12として記憶部2に記憶させる。
【0027】
閾値設定部4は、例えば、良否判断結果が「合格」とされた場合の評価点の最頻値に基づいて閾値を設定してもよい。閾値設定部4は、例えば、良否判断結果が「不合格」とされた場合の評価点の最頻値に基づいて閾値を設定してもよい。閾値設定部4は、例えば、良否判断結果が「合格」とされた場合の評価点の平均に基づいて閾値を設定してもよい。閾値設定部4は、例えば、良否判断結果が「不合格」とされた場合の評価点の平均に基づいて閾値を設定してもよい。閾値設定部4は、例えば、良否判断結果が「合格」とされた場合の評価点のうちの最低値に基づいて閾値を設定してもよい。閾値設定部4は、例えば、良否判断結果が「不合格」とされた場合の評価点のうちの最高値に基づいて閾値を設定してもよい。
【0028】
閾値設定部4は、例えば、蓄積データ11のうち清掃対象となる箇所の種類が同一である良否判断結果に基づいて、清掃対象となる箇所の種類ごとに閾値を設定してもよい。閾値設定部4は、例えば、蓄積データ11のうち検査者が同一である良否判断結果に基づいて、過去の定期検査を実施した検査者ごとに閾値を設定してもよい。閾値設定部4は、例えば、蓄積データ11のうち昇降機の機種が同一である良否判断結果に基づいて、昇降機の機種ごとに閾値を設定してもよい。閾値設定部4は、例えば、蓄積データ11のうち昇降機が設置された年代が同一である良否判断結果に基づいて、昇降機が設置された年代ごとに閾値を設定してもよい。
【0029】
このように、蓄積データ11及び閾値データ12は、過去の定期検査の結果に基づくものである。一方、判定対象データ13は、今回の定期検査の際にカメラ10で撮影された清掃対象となる箇所の画像を含む。今回の定期検査を実施した検査者は、例えば、有線通信、無線通信又は外部記憶媒体を介して、カメラ10で撮影された画像を第2記憶部に書き込む。判定対象データ13は、例えば、当該画像が第2記憶部に書き込まれることで作成される。
【0030】
今回の定期検査を実施した検査者は、自身の判断に基づいて、判定対象データ13に含まれる画像に写っている箇所の清掃状況の良否判断結果を設定する。当該検査者により設定された良否判断結果は、当該箇所の画像と関連付けられる。当該検査者は、例えば、操作部5を使用して入力操作を行うことで良否判断結果を設定する。つまり、判定対象データ13は、清掃対象となる箇所の清掃状況の良否判断結果を含む。
【0031】
今回の定期検査を実施した検査者は、画像に写っている箇所の清掃状況の良否判断結果を入力する際に、当該箇所の種類を示す情報、当該検査者の識別情報、昇降機の機種を示す情報、昇降機が設置された年代を示す情報、昇降機が設置されている建物を特定する情報及び昇降機の保守契約の契約者を特定する情報等も併せて入力してもよい。つまり、判定対象データ13に含まれる画像は、良否判断結果に加えて、上記の各種情報と関連付けられていてもよい。なお、判定対象データ13に含まれる良否判断結果及び上記の各種情報は、操作部5を使用して入力操作を行うことで修正可能である。
【0032】
清掃状況評価部3は、判定対象データ13に含まれている画像に写っている箇所の清掃状況を表す評価点を当該画像と関連付けて記憶部2に記憶させる。つまり、判定対象データ13は、清掃対象となる箇所の画像と関連付けられた当該箇所の清掃状況を表す評価点を含む。
【0033】
推定部8は、清掃状況評価部3により判定対象データ13に含まれる画像に付けられた評価点と閾値データ12が示す閾値との大小関係に基づいて、当該画像に写っている箇所の清掃状況の良否判断結果を推定する。推定部8は、例えば、汚れが少ないほど評価点が高い数値となる場合において、判定対象データ13に含まれる画像に付けられた評価点が閾値以上であれば、当該画像に写っている箇所の清掃状況の良否判断結果を「合格」と推定する。推定部8は、例えば、汚れが少ないほど評価点が高い数値となる場合において、判定対象データ13に含まれる画像に付けられた評価点が閾値より小さければ、当該画像に写っている箇所の清掃状況の良否判断結果を「不合格」と推定する。つまり、推定部8は、過去の定期検査における各検査者の判断基準に基づいて、今回の定期検査で撮影された画像に写っている箇所の清掃状況の良否判断を行う。推定部8は、判定対象データ13に含まれる実際の良否判断結果を変更することはない。
【0034】
なお、閾値設定部4により複数の閾値が設定されている場合、推定部8は、良否判断結果の推定に用いる閾値を選択してもよい。推定部8は、例えば、清掃対象となる箇所の種類を示す情報が判定対象データ13に含まれる画像と関連付けられている場合に、同じ箇所の種類について設定された閾値を用いて当該画像に写っている箇所の清掃状況の良否判断結果を推定してもよい。推定部8は、例えば、昇降機の機種を示す情報が判定対象データ13に含まれる画像と関連付けられている場合に、同じ昇降機の機種について設定された閾値を用いて当該画像に写っている箇所の清掃状況の良否判断結果を推定してもよい。
【0035】
判定部9は、判定対象データ13に含まれる良否判断結果が推定部8により推定された良否判断結果と一致するか否かを判定する。つまり、判定部9は、今回の定期検査を実施した検査者による良否判断結果と過去の定期検査における各検査者の判断基準に基づく良否判断結果とを比較する。
【0036】
報知制御部7は、判定部9によって判定対象データ13に含まれる良否判断結果が推定部8により推定された良否判断結果と一致しないと判定された場合に、報知部6からアシスト情報を報知させる。報知制御部7は、視覚情報及び音声情報の少なくとも一方でアシスト情報を報知させる。報知制御部7は、少なくとも、判定対象データ13に含まれる良否判断結果が「合格」であり且つ推定部8により推定された良否判断結果が「不合格」である場合に、報知部6からアシスト情報を報知させる。報知制御部7は、例えば、判定対象データ13に含まれる良否判断結果が「不合格」であり且つ推定部8により推定された良否判断結果が「合格」である場合にも、報知部6からアシスト情報を報知させてもよい。
【0037】
アシスト情報は、検査者による清掃状況の良否判断を支援するための情報である。報知制御部7は、例えば、判定対象データ13に含まれる良否判断結果が「合格」であり且つ推定部8により推定された良否判断結果が「不合格」である場合、今回の定期検査を実施した検査者による清掃状況の判断基準が厳格でない可能性を示唆するアシスト情報を報知させる。報知制御部7は、例えば、判定対象データ13に含まれる良否判断結果が「不合格」であり且つ推定部8により推定された良否判断結果が「合格」である場合、今回の定期検査を実施した検査者による清掃状況の判断基準が過剰に厳格である可能性を示唆するアシスト情報を報知させる。アシスト情報には、例えば、閾値データ12が示す閾値及び今回の定期検査で撮影された画像に付けられた評価点等が含まれてもよい。
【0038】
図2は、実施の形態1における昇降機の定期検査支援システムの動作例を示すフローチャートである。
【0039】
定期検査を実施した検査者は、カメラ10で撮影された画像を第2記憶部に書き込む(ステップS101)。ステップS101に続いて、検査者は、自身の判断に基づく良否判断結果を入力する(ステップS102)。ステップS102において、検査者は、良否判断結果に加えて、画像に写っている箇所の種類を示す情報、当該検査者の識別情報、昇降機の機種を示す情報、昇降機が設置された年代を示す情報、昇降機が設置されている建物を特定する情報及び昇降機の保守契約の契約者を特定する情報等を入力してもよい。
【0040】
推定部8は、ステップS101で書き込まれた画像に写っている箇所の清掃状況の良否判断結果を推定する(ステップS103)。ステップS103に続いて、判定部9は、入力された良否判断結果と推定された良否判断結果が一致するか否かを判定する(ステップS104)。
【0041】
ステップS104において、入力された良否判断結果と推定された良否判断結果が一致しないと判定された場合、報知制御部7は、報知部6からアシスト情報を報知させる(ステップS105)。ステップS104において、入力された良否判断結果と推定された良否判断結果が一致すると判定された場合、報知制御部7は、例えば、報知部6からアシスト情報を報知させない。
【0042】
実施の形態1において、第1記憶部は、過去の定期検査の結果に基づく蓄積データ11を予め記憶している。蓄積データ11は、昇降機における清掃対象となる箇所が撮影された複数の画像及び検査者の判断に基づいて当該複数の画像のそれぞれと関連付けられた清掃状況の良否判断結果を含む。第2記憶部は、今回の定期検査の結果に基づく判定対象データ13を記憶する。判定対象データ13は、昇降機における清掃対象となる箇所が撮影された画像及び検査者の判断に基づいて当該画像と関連付けられた清掃状況の良否判断結果を含む。判定部9は、判定対象データ13に含まれる画像と関連付けられた良否判断結果が、蓄積データ11に基づいて推定された当該画像に写っている箇所の清掃状況の良否判断結果と一致するか否かを判定する。このため、実施の形態1によれば、清掃状況の良否についての判断基準が複数の検査者の間で異なっていることを検出できる。その結果、昇降機における清掃対象となる箇所の清掃状況の良否判断結果に生じるばらつきを抑制することができる。
【0043】
実施の形態1において、報知制御部7は、判定対象データ13に含まれる画像と関連付けられた良否判断結果が、蓄積データ11に基づいて推定された当該画像に写っている箇所の清掃状況の良否判断結果と一致しないと判定された場合に、報知部6からアシスト情報を報知させる。このため、実施の形態1によれば、検査者は、清掃状況の良否についての自身の判断基準が他の検査者の判断基準と異なっていることを認識できる。これにより、例えば、検査者に良否判断結果を再検討させることができる。その結果、昇降機における清掃対象となる箇所の清掃状況の良否判断結果に生じるばらつきを抑制することができる。
【0044】
実施の形態1において、清掃状況評価部3は、画像に写っている箇所の清掃状況を表す評価点を当該画像に付ける機能を有する。閾値設定部4は、蓄積データ11に含まれる複数の画像のそれぞれと関連付けられた良否判断結果及び清掃状況評価部3により当該複数の画像のそれぞれに付けられた評価点に基づいて、清掃状況の良否判断の閾値を設定する。推定部8は、清掃状況評価部3により判定対象データ13に含まれる画像に付けられた評価点と閾値設定部4により設定された閾値との大小関係に基づいて、当該画像に写っている箇所の清掃状況の良否判断結果を推定する。このため、実施の形態1によれば、清掃対象となる箇所の汚れの度合いが数値化されるため、様々な清掃状況が客観的に比較される。その結果、昇降機における清掃対象となる箇所の清掃状況の良否判断結果に生じるばらつきを抑制することができる。
【0045】
実施の形態2.
以下、実施の形態1との相違点を中心に、昇降路の定期検査支援システムの構成を説明する。実施の形態1と同一又は相当する部分には同一の符号を付して、一部の説明を省略する。
【0046】
図3は、実施の形態2における昇降機の定期検査支援システムの一例を示す構成図である。
【0047】
図3に示すように、実施の形態2において、定期検査支援システムは、携帯端末14を備える。携帯端末14は、例えば、ノートパソコン、スマートフォン又はタブレット端末等である。携帯端末14は、定期検査支援装置1と通信可能である。携帯端末14と定期検査支援装置1との間の通信は、有線通信であっても無線通信であってもよい。
【0048】
図3に示すように、携帯端末14は、清掃状況評価部3、操作部5、報知部6、報知制御部7、推定部8、判定部9及びカメラ10を有する。つまり、実施の形態2において、カメラ10は、携帯端末14に内蔵されている。
【0049】
図3に示すように、携帯端末14は、記憶部15を有する。記憶部15は、判定対象データ13を記憶する。つまり、実施の形態2では、第2記憶部として記憶部15が用いられる。閾値データ12は、定期検査支援装置1の記憶部2及び携帯端末14の記憶部15に記憶されている。記憶部15に記憶された閾値データ12は、例えば、記憶部2からコピー又はダウンロードされたものである。
【0050】
実施の形態2において、カメラ10、第2記憶部、判定部9、報知部6及び報知制御部7は、携帯端末14に設けられている。第2記憶部は、カメラ10で撮影された画像を判定対象データ13に含めて記憶する。このため、実施の形態2によれば、検査者は、清掃状況の良否についての自身の判断基準が他の検査者の判断基準と異なっていることを、定期検査を実施している現場で認識できる。これにより、迅速且つ効率的に、検査者に良否判断結果を再検討させることができる。その結果、昇降機における清掃対象となる箇所の清掃状況の良否判断結果に生じるばらつきを抑制することができる。
【0051】
実施の形態1及び2において、第1記憶部は、例えば、画像に写っている箇所の種類を示す情報を蓄積データ11に含めて記憶する。閾値設定部4は、例えば、昇降機における清掃対象となる箇所の種類ごとに、清掃状況の良否判断の閾値を設定する。この場合、清掃対象となる箇所の種類ごとに異なる汚れ方の特徴が反映された閾値を設定できる。その結果、より高い精度で、清掃状況の良否についての判断基準が複数の検査者の間で異なっていることを検出できる。
【0052】
実施の形態1及び2において、第1記憶部は、例えば、画像に写っている箇所の清掃状況の良否判断を行った検査者の識別情報を蓄積データ11に含めて記憶する。閾値設定部4は、例えば、過去の定期検査を実施した検査者ごとに、清掃状況の良否判断の閾値を設定する。この場合、検査者は、熟練した他の検査者の判断基準を参考にすることで、清掃状況の良否判断について効率的に学習することができる。
【0053】
実施の形態1及び2における定期検査支援システムは、エレベーター以外の昇降機に適用してもよい。定期検査支援システムは、例えば、エスカレーターに適用してもよい。この場合、清掃対象となる箇所は、例えば、トラスの上部、トラスの中間部及びトラスの下部等である。
【0054】
図4は、定期検査支援装置のハードウェア構成図である。
【0055】
定期検査支援装置1における記憶部2、清掃状況評価部3、閾値設定部4、操作部5、報知部6、報知制御部7、推定部8及び判定部9の各機能は、処理回路により実現される。処理回路は、専用ハードウェア50であってもよい。処理回路は、プロセッサ51及びメモリ52を備えていてもよい。処理回路は、一部が専用ハードウェア50として形成され、更にプロセッサ51及びメモリ52を備えていてもよい。
図4は、処理回路が、その一部が専用ハードウェア50として形成され、プロセッサ51及びメモリ52を備えている場合の例を示している。
【0056】
処理回路の少なくとも一部が、少なくとも1つの専用ハードウェア50である場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらを組み合わせたものが該当する。
【0057】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ51及び少なくとも1つのメモリ52を備える場合、記憶部2、清掃状況評価部3、閾値設定部4、操作部5、報知部6、報知制御部7、推定部8及び判定部9の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ52に格納される。プロセッサ51は、メモリ52に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。プロセッサ51は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ52は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等が該当する。
【0058】
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、定期検査支援装置1の各機能を実現することができる。なお、携帯端末14の各機能も、
図4に示す処理回路と同様の処理回路により実現される。