(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6786908
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】多段式収納家具の扉開閉装置
(51)【国際特許分類】
E05C 3/30 20060101AFI20201109BHJP
E05B 15/02 20060101ALI20201109BHJP
E05B 65/00 20060101ALI20201109BHJP
A47B 55/00 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
E05C3/30
E05B15/02 D
E05B65/00 D
A47B55/00
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-127760(P2016-127760)
(22)【出願日】2016年6月28日
(65)【公開番号】特開2018-3321(P2018-3321A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(73)【特許権者】
【識別番号】390005452
【氏名又は名称】伊藤喜オールスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昇
【審査官】
秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開平9−303007(JP,A)
【文献】
特開2008−121321(JP,A)
【文献】
特開2003−82891(JP,A)
【文献】
特開平7−293068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 3/00−3/40
A47B 55/00
E05B 15/02
E05B 65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの筐体の内部を少なくとも横仕切部材で上下に仕切って複数の収納空間を設け、それぞれの収納空間の前面開口部を扉で開閉する構造の単位収納庫を複数設けた多段式収納家具において、前記横仕切部材は、水平板の前縁から下方へ延びた前框部を有し、該前框部を形成する前板には上段収納庫の扉の下側ラッチと下段収納庫の扉の上側ラッチが係合する係合孔が上下に並設され、少なくとも上段収納庫の扉の下側ラッチが前記係合孔に係合した状態で、該下側ラッチが前記収納空間内で前記横仕切部材に設けたカバー体によって外覆されていることを特徴とする多段式収納家具の扉開閉装置。
【請求項2】
前記係合孔のうち、少なくとも上段収納庫の扉の下側ラッチが係合する係合孔には、該下側ラッチを外覆するカバー体を備えたラッチ受部材を装着してなる請求項1記載の多段式収納家具の扉開閉装置。
【請求項3】
前記ラッチ受部材は、前記下側ラッチを受け入れる挿入部と、該下側ラッチを係合する係合部と、該下側ラッチを外覆するカバー体を備えている請求項2記載の多段式収納家具の扉開閉装置。
【請求項4】
前記ラッチ受部材は、合成樹脂製の一体成形品であり、前記カバー体の一端が側方へ開放されて開放部が形成されており、該開放部を前記筐体の側板若しくは縦仕切部材に接近させて配置してなる請求項3記載の多段式収納家具の扉開閉装置。
【請求項5】
前記ラッチ受部材のカバー体の内側幅を指が入らない程度に狭く設定してなる請求項3又は4記載の多段式収納家具の扉開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段式収納家具の扉開閉装置に係わり、更に詳しくは防盗性に優れた多段式収納家具の扉開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、筐体の前面開口部に開閉可能に設ける扉に、引手と、該引手に連動して筐体の框部に係脱するラッチと、機械錠及び/又は電気錠からなる施錠手段とを備えたスチール製の収納家具は各種提供されている。ここで、前記ラッチは、扉の遊端寄りの上下縁に背面へ向けて突出するように設け、前記筐体の上下框部の前面に設けた係合孔に係脱する構造が一般的である。
【0003】
一般的に、前記筐体の係合孔はプレス加工による打ち抜きで形成されるが、その際に係合孔の孔縁にはバリや鋭いエッジが形成される。そこで、前記係合孔の孔縁を外覆し、ラッチの滑りを良くし、更には外観性を良くするために、前記係合孔の内周縁に合成樹脂製のラッチ受部材が嵌着されている(特許文献1)。前記ラッチは、前記ラッチ受部材の挿入部に受け入れられ、該ラッチ受部材の係合部に係止されるのである。
【0004】
通常、前記筐体の係合孔にラッチが係合する位置は、上框部であれば天板下方の収納空間に面し、下框部であれば底板の下方で、補強のために袋状に屈曲した補強部の内部空間に面するように設けられ、扉を閉じて施錠をした状態で、筐体をひっくり返してもラッチが見えないように設計されている。
【0005】
一方、ロッカーのように、一つの筐体の内部を仕切って上下左右に複数の収納空間を設け、それぞれの収納空間の前面開口部を扉で開閉する構造の単位収納庫を複数設けた収納家具も提供されている(特許文献2)。この場合、上下の単位収納庫は共通の水平な横仕切部材で区画され、該横仕切部材が上段収納庫の底板となり、下段収納庫の天板となる。そして、横仕切部材の前框部の前面には、上段収納庫の扉の下側ラッチと下段収納庫の扉の上側ラッチが係合する係合孔が上下に並設されている。
【0006】
通常、前記横仕切部材は、水平板の前縁から下方へ延びた前框部を有し、該前框部を形成する前板に前述の係合孔を並設しているため、必然的に上段収納庫の扉の下側ラッチは、横仕切部材の水平板より下方に位置している。そこで、上段収納庫の扉の下側ラッチが、下段収納庫の収納空間内に露出していると、該収納空間内から指を差し入れて該ラッチの係合を解除し、上段収納庫の扉を開くことができるようになる。それを防止するために、前記横仕切部材の前框部の構造をラッチが露出しない袋状に構成したり、別の補強部材を固定してラッチが露出しないようにしているが、多数用いる横仕切部材の構造が複雑になってコスト高となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−121321号公報
【特許文献2】特開平10−222730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、一つの筐体の内部を少なくとも横仕切部材で上下に仕切って複数の収納空間を設け、それぞれの収納空間の前面開口部を扉で開閉する構造の単位収納庫を複数設けた多段式収納家具において、前記横仕切部材の前框部の構造を単純化してコスト低減を図るとともに、該横仕切部材の前框部に上段収納庫の扉の下側ラッチが係合した状態で、下段収納庫の収納空間内に露出しないようにした多段式収納家具の扉開閉装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述の課題解決のために、以下に構成する多段式収納家具の扉開閉装置を提供する。
【0010】
(1)
一つの筐体の内部を少なくとも横仕切部材で上下に仕切って複数の収納空間を設け、それぞれの収納空間の前面開口部を扉で開閉する構造の単位収納庫を複数設けた多段式収納家具において、前記横仕切部材は、水平板の前縁から下方へ延びた前框部を有し、該前框部を形成する前板には上段収納庫の扉の下側ラッチと下段収納庫の扉の上側ラッチが係合する係合孔が上下に並設され、少なくとも上段収納庫の扉の下側ラッチが前記係合孔に係合した状態で、該
下側ラッチが前記収納空間内で前記横仕切部材に設けたカバー体によって外覆されていることを特徴とする多段式収納家具の扉開閉装置。
【0011】
(2)
前記係合孔のうち、少なくとも上段収納庫の扉の下側ラッチが係合する係合孔には、該
下側ラッチを外覆するカバー体を備えたラッチ受部材を装着してなる(1)記載の多段式収納家具の扉開閉装置。
【0012】
(3)
前記ラッチ受部材は、前記
下側ラッチを受け入れる挿入部と、該
下側ラッチを係合する係合部と、該
下側ラッチを外覆するカバー体を備えている(2)記載の多段式収納家具の扉開閉装置。
【0013】
(4)
前記ラッチ受部材は、合成樹脂製の一体成形品であり、前記カバー体の一端が側方へ開放されて
開放部が形成されており、該開放部を前記筐体の側板若しくは縦仕切部材に接近させて配置してなる(3)記載の多段式収納家具の扉開閉装置。
【0014】
(5)
前記ラッチ受部材のカバー体の内側幅を指が入らない程度に狭く設定してなる(3)又は(4)記載の多段式収納家具の扉開閉装置。
【発明の効果】
【0015】
以上にしてなる本発明の多段式収納家具の扉開閉装置は、一つの筐体の内部を少なくとも横仕切部材で上下に仕切って複数の収納空間を設け、それぞれの収納空間の前面開口部を扉で開閉する構造の単位収納庫を複数設けた多段式収納家具において、前記横仕切部材は、水平板の前縁から下方へ延びた前框部を有し、該前框部を形成する前板には上段収納庫の扉の下側ラッチと下段収納庫の扉の上側ラッチが係合する係合孔が上下に並設され、少なくとも上段収納庫の扉の下側ラッチが前記係合孔に係合した状態で、該
下側ラッチが前記収納空間内で前記横仕切部材に設けたカバー体によって外覆されているので、下段収納庫の扉を開放した場合でも、上段収納庫の扉の下側ラッチはカバー体で外覆されているので、下段収納庫の収納空間内から指を差し入れても上段収納庫の扉の下側ラッチに触ることができず、もって上段収納庫の扉を開くことができない、即ち防盗性を備えたものとなる。しかも、横仕切部材の前框部の構造は簡単化されるので、製造工程が少なく、材料費も節約できて、コスト低減を図ることができる。
【0016】
前記係合孔のうち、少なくとも上段収納庫の扉の下側ラッチが係合する係合孔には、該
下側ラッチを外覆するカバー体を備えたラッチ受部材を装着してなると、下段収納庫の扉を開放した場合でも、上段収納庫の扉の下側ラッチはラッチ受部材のカバー体で外覆されているので、下段収納庫の収納空間内から指を差し入れても上段収納庫の扉の下側ラッチに触ることができない。
【0017】
前記ラッチ受部材は、前記
下側ラッチを受け入れる挿入部と、該
下側ラッチを係合する係合部と、該
下側ラッチを外覆するカバー体を備えているので、従来の前板の係合孔の内周縁を覆う保護部材の作用に加え、ラッチを外覆する作用も備えたものとなる。
【0018】
前記ラッチ受部材は、合成樹脂製の一体成形品であり、前記カバー体の一端が側方へ開放されて
開放部が形成されており、該開放部を前記筐体の側板若しくは縦仕切部材に接近させて配置することにより、ラッチ受部材を最小限のコスト高で一体成形により製造することができ、また樹脂成形時の金型抜きによって必然的に形成される開放部から内部のラッチにアクセスするのが困難になる。
【0019】
前記ラッチ受部材のカバー体の内側幅を指が入らない程度に狭く設定してなると、カバー体に物理的に指を挿入することができなくなり、ラッチの係合を解除することを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る多段式収納家具を示す全体斜視図である。
【
図3】扉閉止状態における要部の横断平面図である。
【
図4】扉閉止状態における要部の縦断側面図である。
【
図5】ラッチとラッチ受部材との関係を示す部分横断平面図である。
【
図6】ラッチ受部材を示し、(a)は平面図、(b)は右側面図、(c)は正面図、(d)は縦断平面図、(e)は斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。
図1は本発明に係る多段式収納家具を示し、
図2〜
図6はその詳細を示し、図中符号Aは多段式収納家具、Bは単位収納庫、1は筐体、2は縦仕切部材、3は横仕切部材、4は収納空間、5は扉、6は引手、7は施錠手段、8はラッチ、9はラッチ受部材をそれぞれ示している。
【0022】
本発明に係る多段式収納家具Aは、
図1〜
図4に示すように、スチール製であり、一つの箱型の筐体1の内部を少なくとも横仕切部材3で上下に仕切って複数の収納空間4,…を設け、それぞれの収納空間4の前面開口部を扉5で開閉する構造の単位収納庫B,…を複数設けたものである。前記筐体1は、天板10、底板11、両側板12,12及び背板13とからなる前面開放の箱型であり、本実施形態では前記筐体1の中央部に、天板10と底板11に連結した縦仕切部材2を設けるとともに、該縦仕切部材2と側板12の上下中間部間に前記横仕切部材3を連結して、上下左右に4つの単位収納庫B,…を形成している。
【0023】
前記扉5は、前記収納空間4の前面開口部を開閉するもので、一側端を前記側板12若しくは縦仕切部材2にヒンジ14,14にて回動開閉可能に保持するとともに、更に引手6と、該引手6に連動して筐体1の框部に係脱するラッチ8と、機械錠及び/又は電気錠からなる施錠手段7とを備えている。前記ラッチ8は、前記扉5の遊端寄りの上下縁に背面へ向けて突出するように設け、該扉5の遊端縁に沿って上下方向に配置したシャフト15を介して前記引手6の開閉動作に連動して傾動するようになっており、前記筐体1の上下框部の前面、本実施形態では前記横仕切部材3と天板10及び底板11の前面に設けた係合孔16に装着した前記ラッチ受部材9に係脱する。
【0024】
本実施形態の前記多段式収納家具Aは、左右に複数連結できるようになっており、更に上下にも積み重ねることも可能である。本実施形態では、一つの筐体1に4つの単位収納庫B,…を設けたが、更に縦仕切部材2や横仕切部材3を2つ、3つと増やして更に多くの単位収納庫Bを設けても良い。本発明で重要なのは、上段収納庫Bと下段収納庫Bとを区画形成する共通の横仕切部材3の前框部17に、上段収納庫Bの扉5の下側ラッチ8と下段収納庫Bの扉5の上側ラッチ8とが係合する構造であることである。
【0025】
更に詳しくは、
図2〜
図4に示すように、前記横仕切部材3は、水平板18の前縁から下方へ延びた前框部17を有し、該前框部17を形成する前板19には上段収納庫Bの扉5の下側ラッチ8Aと下段収納庫Bの扉5の上側ラッチ8Bが係合する係合孔16,16が上下に並設され、少なくとも上段収納庫Bの扉5の下側ラッチ8Bが係合する係合孔16には、該ラッチ8Aを外覆するカバー体20を備えたラッチ受部材9を装着している。
【0026】
ここで、前記ラッチ受部材9と前記カバー体20とを別体で作製し、前記ラッチ受部材9と前記カバー体20とが前記横仕切部材3にそれぞれ独立して取付けられる態様を採用してもよい。あるいは、前記ラッチ受部材9を前記係合孔16に装着した状態または装着前の状態で、該ラッチ受部材9に背面側、即ち収容空間4の内部側からカバー体20を適宜な連結手段で連結して一体化することも可能である。更に、前記カバー体20が合成樹脂の成形品であれば、前記横仕切部材3の適所、例えば前板19に係合手段にて取付ければ良く、前記カバー体20を板金で製作した場合は、前記横仕切部材3の適所、例えば前板19に溶接などにより固定しても良い。
【0027】
そして、前記施錠手段7が解錠状態で、前記引手6の指掛け部に指を掛けて手前に引くと、前記シャフト15が回転し、前記ラッチ8とラッチ受部材9の係合部22との係合が解除され、前記扉5を開くことができる。一方、前記施錠手段7が施錠状態になると、前記引手6を開く方向へ操作しても前記シャフト15が回転しないようになっている。
【0028】
前記ラッチ受部材は、
図2〜
図6に示すように、合成樹脂製の一体成形品であり、前記ラッチ8を受け入れる挿入部21と、該ラッチ8を係合する係合部22と、該ラッチ8を外覆するカバー体20を備えている。更に、前記ラッチ受部材9は、前記カバー体20の一端が側方へ開放されており、該開放部23は樹脂成形時の金型抜きによって必然的に形成される。また、前記ラッチ受部材9のカバー体20の内側幅、つまり前記ラッチ8を収容する空間の上下寸法を指が入らない程度に狭く設定している。
【0029】
前記ラッチ受部材9の開放部23を前記筐体1の前記側板12若しくは縦仕切部材2に接近させて配置し、該側板12若しくは縦仕切部材2とラッチ受部材9の開放部23の端部の間隔を狭め、その間に指を差し入れることができないか、若しくは難しくしている。それにより、前記ラッチ受部材9の成形時に必然的に形成される開放部23から内部のラッチ8にアクセスするのが困難になる。
【0030】
本実施形態の収納庫Bは、
図1に示すように、前記収納空間4の上部に棚板24を設けて、上下幅の小さな小収納空間4Aを形成し、該小収納空間4Aの前面開口部に対応する前記扉5に横長のスリット開口25を設け、該扉5が閉止状態でも葉書や封筒を投入できるように構成し、本実施形態の前記多段式収納家具Aをマンションなどの集合住宅における郵便受け、あるいは宅配ボックスとして利用できるようにしている。
【0031】
更に、前記ラッチ受部材9の挿入部21の外周部には、上下縁に前記横仕切部材3の前板19の前面に当止するフランジ部26と、前記開放部23側の端部には、前記係合孔16の孔縁を受け入れる溝部27と、反対側の端部には、前記係合孔16の孔縁を弾性的に係合する爪部28を有している。前記横仕切部材3の係合孔16に前記ラッチ受部材9を装着するには、前記前框部17の前面側から、前記ラッチ受部材9を斜めにして開放部23側から挿入し、前記溝部27に前記係合孔16の孔縁を受けた後、反対側を押し込んで、前記爪部28を前記係合孔16の孔縁を弾性的に変形させながら通過させ、孔縁の裏側に弾性的に係止するのである。
【0032】
本実施形態では、前記横仕切部材3は、棚板部29と前記前框部17を別体で作製し、両部材を連結して一体化した構造である。前記棚板部29は、前記水平板18の周縁を下方へ折曲し、更に少なくとも前縁においてその下端を後方へ折曲して断面略L字状の補強縁30を形成している。そして、前記前框部17は、前記前板19の上下縁を後方へ折曲して水平部31,31を形成し、上方の水平部31の後端を下方に折曲し、更に後方へ折曲して断面略L字形の受部32を形成するとともに、下方の水平部31の後端を上方に折曲して補強部33を形成したものである。
【0033】
そして、前記前框部17の受部32に、前記棚板部29の補強縁30を接合状態で、スポット溶接などで固着している。ここで、前記補強縁30と受部32には、
図2及び
図3に示すように、前記上段収納庫Bの扉5の下側ラッチ8Aの傾動動作に干渉しないように切欠部34を形成してあり、前記ラッチ受部材9のカバー体20を構成する上側の板部には、
図3及び
図6に示すように、前記切欠部34の切断縁を受け入れる凹部35を形成している。ここで、前記ラッチ受部材9の凹部35に前記切欠部34の切断縁が係合した状態では、前記開放部23の内部に前記補強縁30の切断縁が位置し、該開放部23を実質的に塞いでいる。それにより、更に指や器具をカバー体20の内部に差し入れることができないようになっている。
【符号の説明】
【0034】
A 多段式収納家具、
B 単位収納庫、
1 筐体、
2 縦仕切部材、
3 横仕切部材、
4 収納空間、
4A 小収納空間、
5 扉、
6 引手、
7 施錠手段、
8 ラッチ、
8A 上段収納庫の下側ラッチ、
8B 下段収納庫の上側ラッチ、
9 ラッチ受部材、
10 天板、
11 底板、
12 側板、
13 背板、
14 ヒンジ、
15 シャフト、
16 係合孔、
17 前框部、
18 水平板、
19 前板、
20 カバー体、
21 挿入部、
21 カバー体、
22 係合部、
23 開放部、
24 棚板、
25 スリット開口、
26 フランジ部、
27 溝部、
28 爪部、
29 棚板部、
30 補強縁、
31 水平部、
32 受部、
33 補強部、
34 切欠部、
35 凹部。