(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記信号伝達部が、第1の発光素子から第1の受光素子に光学的に信号伝達する第1の信号伝達部と、第2の発光素子から第2の受光素子に光学的に信号伝達する第2の信号伝達部とを有し、
前記信号変換部が、電気信号を当該電気信号の立ち下がりに同期した第1の短パルス信号に変換する第1の信号変換部と、電気信号を当該電気信号の立ち上がりに同期した第2の短パルス信号に変換する第2の信号変換部とを有し、
前記信号復元部が、前記第1の発光素子から前記第1の受光素子に伝達された第1の短パルス信号で信号レベルを立ち下げ、前記第2の発光素子から前記第2の受光素子に伝達された第2の短パルス信号で信号レベルを立ち上げることで電気信号を復元し、
第1の短パルス信号のパルス幅が、前記キャパシタに蓄えられた電荷で前記第1の発光素子を発光可能な期間以下であり、第2の短パルス信号のパルス幅が、前記キャパシタに蓄えられた電荷で前記第2の発光素子を発光可能な期間以下であることを特徴とする請求項2に記載の信号伝達回路。
前記信号伝達部が、前記発光素子としての発光ダイオードと前記受光素子としてのフォトトランジスタとから成るフォトカプラであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の信号伝達回路。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態の信号伝達回路を適用した計装機器について説明する。
図1は、本実施の形態の計装機器のブロック図である。
図2は、比較例の信号伝達回路の回路図である。
【0012】
図1に示すように、計装機器1は、DC電源(電源)2に接続されており、DC電源2からのDC4〜20mA電流信号で電力供給されると共に、DC4〜20mA電流信号で計測値を外部に出力するように構成されている。計装機器1には、計装機器1を制御する制御回路3と、計測対象を計測するセンサ回路4と、制御回路3−センサ回路4間で信号伝達する信号伝達回路5とが設けられている。信号伝達回路5は、制御回路3及びセンサ回路4がノイズの影響を受けないように、入力側の制御回路3と出力側のセンサ回路4を電気的に絶縁した状態で光学的に信号伝達している。
【0013】
このように構成された計装機器1では、制御回路3から信号伝達回路5に電気信号が入力され、信号伝達回路5を介して入力された電気信号でセンサ回路4が駆動される。そして、制御回路3によってセンサ回路4から計測値が取得され、電力供給でも使用されるDC4〜20mA電流信号で制御回路3から外部に計測値が出力される。なお、DC4〜20mA電流信号は計装向けの標準規格の信号であり、4mAを0%とし20mAを100%として、4mAから20mAまでの電流値のリニアの変化を使用して計測値を伝達する伝達用信号である。
【0014】
ところで、
図2の比較例に示すように、一般的な信号伝達回路30として安価で小型のフォトカプラF
31を使用したものが提案されている。フォトカプラF
31の発光ダイオードD
31のアノードに制限抵抗R
31を介して入力側の電源ラインL
31が接続され、発光ダイオードD
31のカソードに電気信号S0の入力ラインL
32が接続されている。また、フォトカプラF
31のフォトトランジスタT
31のコレクタにプルアップ抵抗R
32を介して出力側の電源ラインL
33が接続され、フォトトランジスタT
31のエミッタがグラウンドG
31に接地されている。また、プルアップ抵抗R
32とフォトトランジスタT
31のコレクタの接続点P
31が電気信号S0の出力ラインL
34に接続されている。
【0015】
この信号伝達回路30では、例えば、入力側の電気信号S0がHighからLowに切り替わると、入力側の電源電圧V0が制限抵抗R
31を介して発光ダイオードD
31に印加されて発光される。発光ダイオードD
31の発光によってフォトトランジスタT
31のベース部分に光が当たると、フォトトランジスタT
31のコレクタ−エミッタ間が導通されて、出力側の電源電圧VEがグラウンドG
31に短絡して出力側の電気信号がHighからLowに切り替わる。このように、入力端子からの電気信号S0に応じて発光ダイオードD
31のON/OFFが切り替り、発光ダイオードD
31の発光に応じてフォトトランジスタT
31がスイッチングすることで電気信号S0が信号伝達される。
【0016】
図3に示すように、この比較例の信号伝達回路30では、フォトカプラF
31をONにするためには発光ダイオードD
31に0.5〜10mA程度の電流を流す必要がある。このため、発光ダイオードD
31で10mAが電流消費されると、電力供給を兼ねるDC4〜20mA電流信号で伝達される電流値に10mAが加算された電流が流れてしまう。例えば、4mAの電流信号を出力している状態で発光ダイオードD
31が発光すると、発光ダイオードD
31の発光期間Tはベース電流(装置内の他の回路で消費される電流)に加えて10mAが加算された電流が出力される。このように、DC4〜20mA電流信号の電流値が発光ダイオードD
31の消費電流で可変するため、正確な計測値を伝達することができない。
【0017】
そこで、本実施の形態の信号伝達回路5には、電源から出力された電荷を一次的にキャパシタC
11(
図4参照)で蓄えて、キャパシタC
11に蓄えた電荷を用いて発光ダイオードD
11(
図4参照)を発光させるようにしている。これにより、DC4〜20mA電流信号に対する発光ダイオードD
11の発光による消費電流の影響を抑えている。さらに、キャパシタC
11の電荷の消費によって電圧が低下しても、電源から信号伝達回路5内に流れ込む電流を制限抵抗R
11(
図4参照)で制限することによって、DC4〜20mA電流信号に対する影響を抑えている。
【0018】
以下、第1の実施の形態の信号伝達回路について説明する。第1の実施の形態の信号伝達回路は、単一のフォトカプラによって入出力間を絶縁した状態で信号伝達する回路である。第1の実施の形態の信号伝達回路は、一定のパルス幅の電気信号を伝達する際に使用される。
図4は、第1の実施の形態の信号伝達回路の一例を示す図である。なお、
図4は、本実施の形態を説明するために簡略化した回路図であり、信号伝達回路が通常備える構成については備えているものとする。
【0019】
図4に示すように、信号伝達回路5は、パッケージ内に発光ダイオードD
11とフォトトランジスタT
11を封入したフォトカプラ(信号伝達部)F
11を備えており、発光ダイオードD
11とフォトトランジスタT
11の間で入力側と出力側が電気的に絶縁されている。信号伝達回路5の入力側の電源ラインL
11は、制限抵抗
(第1の制限抵抗)R
11及びキャパシタC
11を介してグラウンドG
11に接地されている。また、制限抵抗
(第1の制限抵抗)R
11及びキャパシタC
11の接続点P
11は、制限抵抗
(第2の制限抵抗)R
12を介して発光ダイオードD
11のアノードに接続されている。電気信号S0の入力ラインL
12は、単安定マルチバイブレータ(信号変換部)11を介して発光ダイオードD
11のカソードに接続されている。
【0020】
信号伝達回路5の出力側の電源ラインL
13は、プルアップ抵抗R
13を介してフォトトランジスタT
11のコレクタに接続され、フォトトランジスタT
11のエミッタはグラウンドG
12に接地されている。また、プルアップ抵抗R
13とフォトトランジスタT
11のコレクタの接続点P
12は、パルス幅変更回路(信号復元部)12を介して電気信号S0の出力ラインL
14に接続されている。信号伝達回路5では、入力ラインL
12からフォトカプラF
11に信号が入力されると、フォトカプラF
11で発光ダイオードD
11からフォトトランジスタT
11に光学的に信号伝達されて出力ラインL
14に信号が出力される。
【0021】
この信号伝達回路5では、入力側の電源ラインL
11を通じて制限抵抗R
11に電流が流れて、制限抵抗R
11を介して電源から出力された電荷がキャパシタC
11に蓄えられている。このキャパシタC
11に一時的に蓄えられた電荷によって、発光ダイオードD
11が発光される。これにより、発光ダイオードD
11の発光時にはキャパシタC
11が内部電源として使用され、DC4〜20mA電流信号の電流値に発光ダイオードD
11の消費電流が加算されることがない。よって、発光ダイオードD
11の発光時のDC4〜20mA電流信号を用いた計測値の伝達への影響が抑えられている。
【0022】
また、制限抵抗R
11は、電源から発光ダイオードD
11に向かう電流を、DC4〜20mA電流信号に影響を与えない大きさに制限している。これにより、キャパシタC
11の充電時や発光ダイオードD
11の発光時に電源ラインL
11を通じて信号伝達回路5内に流れ込む電流が大きくなり過ぎることがなく、DC4〜20mA電流信号を用いた計測値の伝達への影響が抑えられている。このときの制限抵抗R
11の抵抗値R
L1は、入力側の電源電圧をV0、DC4〜20mA電流信号に影響を与えない電流の最大値をI
amaxとすると、下記式(1)のように表される。V0=5V、I
amax=0.1mAの場合にはR
L1≧50kΩになる。
式(1)
R
L1≧V0/I
amax
【0023】
また、制限抵抗R
12は、キャパシタC
11から発光ダイオードD
11に流れる電流を、発光ダイオードD
11の発光に必要な大きさに制限している。このときの制限抵抗R
12の抵抗値R
L2は、フォトカプラF
11の最大駆動電圧(制限抵抗R
11とキャパシタC
11の接続点P
11の最大電圧)をV1
max、発光ダイオードD
11に流す電流をIFとすると、下記式(2)のように表される。V1=5V、IF=10mAの場合にはR
L2=500Ωになる。
式(2)
R
L2=V1
max/IF
【0024】
単安定マルチバイブレータ11は、電気信号S0を当該電気信号S0の立ち上がり又は立ち下がりに同期した短パルス信号S1に変換して発光ダイオードD
11のカソードに印加している。短パルス信号S1の信号レベルがHighからLowに切り替わることで、発光ダイオードD
11に順方向電圧が加わって、キャパシタC
11から発光ダイオードD
11に電流が流れて発光ダイオードD
11が発光する。このとき、短パルス信号S1のパルス幅が、キャパシタC
11に蓄えられた電荷で発光ダイオードD
11を発光可能な期間以下に設定されているため、キャパシタC
11に蓄えられた電荷だけで発光ダイオードD
11を発光させることができる。
【0025】
フォトカプラF
11では、短パルス信号S1が発光ダイオードD
11の発光に変換されてフォトトランジスタT
11に伝達される。フォトトランジスタT
11は発光ダイオードD
11からの光を受けることで、ベース電流が流れてコレクタ−エミッタ間を導通する。このとき、フォトトランジスタT
11のコレクタにはプルアップ抵抗R
13を介して出力側の電源電圧VEが印加されており、このコレクタ電圧がコレクタ−エミッタ間の導通によって変動する。入力側の短パルス信号S1に同期してコレクタ電圧が変動することで、コレクタ電圧の変動から出力側の短パルス信号S1が取り出されて信号伝達される。
【0026】
パルス幅変更回路12は、出力側の短パルス信号S1のパルス幅を調整して、一定のパルス幅の電気信号S0を復元する。すなわち、短パルス信号S1が、当該短パルス信号S1の信号レベルがHighからLowになるのに同期して立ち下がる一定のパルス幅の電気信号S0に変換される。上記したように、第1の実施の形態の信号伝達回路5は一定のパルス幅の電気信号の信号伝達に用いられる。このため、電気信号の立ち上がり又は立ち下がりタイミングのいずれかを短パルス信号S1で伝達することで、入出力間で一定のパルス幅の電気信号S0を信号伝達することが可能になっている。
【0027】
このように構成された信号伝達回路5では、入力ラインL
12に電気信号S0が入力されると、単安定マルチバイブレータ11によって電気信号S0が短パルス信号S1に変換される。短パルス信号S1の信号レベルがHighからLowに切り替わることで、キャパシタC
11に蓄えられた電荷によって発光ダイオードD
11が発光する。発光ダイオードD
11の発光に同期してフォトトランジスタT
11のコレクタ−エミッタ間が導通し、コレクタ電圧の変動が短パルス信号S1として取り出される。そして、パルス幅変更手段12で短パルス信号S1から電気信号S0が復元されることで、フォトカプラF
11によって入出力間を絶縁した状態で電気信号S0が信号伝達される。
【0028】
このとき、キャパシタC
11に蓄えられた電荷だけで発光ダイオードD
11が発光するため、DC4〜20mA電流信号に影響を与えることがない。キャパシタC
11の電荷が発光ダイオードD
11の発光に使用されることで、キャパシタC
11の電圧が低下して外部から信号伝達回路5に電流が流れ込むが、制限抵抗R
11によって電流が制限されることでDC4〜20mA電流信号への影響を抑えることができる。フォトカプラF
11を用いて入出力間が絶縁されているため、トランスを用いて入出力間を絶縁する構成と比較して、信号伝達回路5を安価かつ小型に形成することができる。
【0029】
ここで、
図5を参照して短パルス信号に対するフォトカプラの駆動電圧の変化について説明する。
図5は、第1の実施の形態の短パルス信号とフォトカプラの駆動電圧との関係を示す図である。ここでは、
図4を適宜参照しながら説明する。
【0030】
図5に示すように、短パルス信号S1のLow期間Tlでは、キャパシタC
11から発光ダイオードD
11に電流が流れてキャパシタC
11に蓄えられた電荷が消費され、キャパシタC
11と制限抵抗R
11の接続点P
11(
図4参照)の駆動電圧V1が急激に低下する。電源電圧V0よりも駆動電圧V1が低下することで信号伝達回路5内に電源から電流が流れ込むが、制限抵抗R
11によって電流が制限されている。短パルス信号S1のHigh期間T2では、発光ダイオードD
11が消灯して電流が流れることがなく、制限抵抗R
11を介して電源から出力された電荷がキャパシタC
11に蓄えられ、後続の短パルス信号がLowになるまで駆動電圧V1が徐々に上昇する。
【0031】
以上のように、第1の実施の形態の信号伝達回路5では、キャパシタC
11が内部電源となってフォトカプラF
11の発光ダイオードD
11が発光されて、発光ダイオードD
11とフォトトランジスタT
11の間が絶縁された状態で光学的に信号伝達される。発光ダイオードD
11の発光時には電源からの電流が消費されるのではなく、キャパシタC
11に蓄えられた電荷が消費される。このため、DC4〜20mA電流信号に対する発光ダイオードD
11の電流消費の影響を抑えることができる。また、キャパシタC
11の電荷の消費によって電圧が低下しても、電源から信号伝達回路5内に流れ込む電流が制限抵抗R
11によって制限されるため、DC4〜20mA電流信号に対する影響が抑えられている。したがって、DC4〜20mA電流信号に影響を与えることなく、入出力間を絶縁した状態で信号伝達することができる。
【0032】
次に、第2の実施の形態の信号伝達回路について説明する。第2の実施の形態の信号伝達回路は、複数のフォトカプラによって入出力間を絶縁した状態で信号伝達する回路である。第2の実施の形態の信号伝達回路は、複数のフォトカプラによって電気信号の立ち上がりと立ち下がりを個別に伝達することで、パルス幅が可変する電気信号を伝達することが可能になっている。
図6は、第2の実施の形態の信号伝達回路の一例を示す図である。なお、
図6は、本実施の形態を説明するために簡略化した回路図であり、信号伝達回路が通常備える構成については備えているものとする。また、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成については説明を省略する。
【0033】
図6に示すように、信号伝達回路20では、第1、第2のフォトカプラF
21、F
22を備えており、第1、第2のフォトカプラF
21、F
22を介して入力側と出力側が電気的に絶縁されている。信号伝達回路20の入力側の電源ラインL
21は、制限抵抗
(第1の制限抵抗)R
21及びキャパシタC
21を介してグラウンドG
21に接地されている。また、制限抵抗
(第1の制限抵抗)R
21及びキャパシタC
21の接続点P
21は、制限抵抗
(第2の制限抵抗)R
22を介して第1、第2の発光ダイオードD
21、D
22のアノードに接続されている。電気信号の入力ラインL
22は、第1、第2の単安定マルチバイブレータ(第1、第2の信号変換部)21、22を介して第1、第2の発光ダイオードD
21、D
22のカソードに接続されている。
【0034】
信号伝達回路20の出力側の第1の電源ラインL
23は、第1のプルアップ抵抗R
23を介して第1のフォトトランジスタT
21のコレクタに接続され、第1のフォトトランジスタT
21のエミッタはグラウンドG
22に接地されている。出力側の第2の電源ラインL
24は、第2のプルアップ抵抗R
24を介して第2のフォトトランジスタT
22のコレクタに接続され、第2のフォトトランジスタT
22のエミッタはグラウンドG
23に接地されている。また、第1、第2のプルアップ抵抗R
23、R
24と第1、第2のフォトトランジスタT
21、T
22のコレクタの接続点P
21、P
22は、それぞれフリップフロップ(信号復元部)23を介して電気信号の出力ラインL
25に接続されている。
【0035】
キャパシタC
21には電源から出力された電荷が蓄えられており、このキャパシタC
21に一時的に蓄えられた電荷によって第1、第2の発光ダイオードD
21、D
22が発光される。これにより、第1、第2の発光ダイオードD
21、D
22の発光時にはキャパシタC
21が内部電源として使用される。また、制限抵抗R
21はキャパシタC
21の充電時や第1、第2の発光ダイオードD
21、D
22の発光時に電源ラインL
21を通じて信号伝達回路20内に流れ込む電流を制限している。このため、DC4〜20mA電流信号に対する第1、第2の発光ダイオードD
21、D
22の消費電流の影響が抑えられている。
【0036】
このように構成された信号伝達回路20では、入力ラインL
22に電気信号が入力されると、第1、第2の単安定マルチバイブレータ21、22に電気信号S0が入力される。第1の単安定マルチバイブレータ21では、電気信号S0が当該電気信号S0の立ち下がりに同期した第1の短パルス信号S1に変換され、第2の単安定マルチバイブレータ22では、電気信号S0が当該電気信号S0の立ち上がりに同期した第2の短パルス信号S2に変換される。短パルス信号S1、S2のパルス幅は、キャパシタC
21に蓄えられた電荷で第1、第2の発光ダイオードD
21、D
22を発光可能な期間以下に設定されている。
【0037】
第1の短パルス信号S1がHighからLowに切り替わることで、キャパシタC
21に蓄えられた電荷によって第1の発光ダイオードD
21が発光し、第1の発光ダイオードD
21から第1のフォトトランジスタT
21に第1の短パルス信号S1が伝達される。同様に、第2の短パルス信号S2がHighからLowに切り替わることで、キャパシタC
21に蓄えられた電荷によって第2の発光ダイオードD
22が発光し、第2の発光ダイオードD
22から第2のフォトトランジスタT
22に第2の短パルス信号S2が伝達される。そして、フリップフロップ23にて第1、第2の短パルス信号S1、S2から電気信号S0が復元される。
【0038】
この場合、フリップフロップ23では、第1の短パルス信号S1で信号レベルが立ち下げられ、第2の短パルス信号S2で信号レベルが立ち上げられて電気信号S0が復元される。すなわち、第1の短パルス信号S1の信号レベルがLowになると電気信号がクリアされ、第2の短パルス信号S2の信号レベルがLowになると電気信号がセットされる。このように、電気信号S0の立ち下がりと立ち上がりのタイミングが伝達されることで、電気信号S0のパルス幅が不定であっても、入出力間を絶縁した状態で電気信号S0を信号伝達することが可能になっている。
【0039】
以上のように、第2の実施の形態の信号伝達回路20においても、第1の実施の形態と同様に第1、第2の発光ダイオードD
21、D
22の発光によるDC4〜20mA電流信号に対する影響が抑えられている。また、電気信号S0のパルス幅が可変しても、入出力間を絶縁した状態で信号伝達することができる。
【0040】
なお、上記した第1、第2の実施の形態では、信号伝達部としてフォトカプラF
11、F
21、F
22を例示しているが、この構成に限定されない。信号伝達部は、電気信号を発光素子から受光素子に光学的に伝達する構成であればよく、例えば、発光ダイオードとMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)から成るフォトMOSリレーが使用されてもよい。
【0041】
また、上記した第1、第2の実施の形態では、信号変換部として単安定マルチバイブレータ11、21、22を例示しているが、この構成に限定されない。信号変換部は、電気信号を当該電気信号の立ち上がり又は立ち下がりに同期した短パルス信号に変換する構成であればよく、例えば、微分回路等でも短パルス信号に変換可能である。
【0042】
また、上記した第1の実施の形態では、信号復元部としてパルス幅変更回路12を例示し、上記した第2の実施の形態では、信号復元部としてフリップフロップ23を例示しているが、この構成に限定されない。信号復元部は、発光素子から受光素子に伝達された短パルス信号から電気信号を復元する構成であれよい。
【0043】
また、本実施の形態の計装機器1は、本発明の信号伝達回路を備えた計装機器であればよく、例えば駐車場内の車両の有無やゲートへの車両の進入を検知する車両検知器に使用されてもよい。
【0044】
また、本発明の各実施の形態を説明したが、本発明の他の実施の形態として、上記各実施の形態を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0045】
また、本発明の実施の形態は上記の各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらに、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【0046】
また、本発明の実施の形態では、本発明を計装機器の信号伝達回路に適用した構成について説明したが、その他の機器の信号伝達回路に適用することも可能である。
【0047】
下記に、上記の実施形態における特徴点を整理する。
上記実施形態に記載の信号伝達回路は、入出力間を絶縁した状態で電気信号を伝達する信号伝達回路であって、発光素子から受光素子に光学的に信号伝達する信号伝達部と、電源から前記発光素子に向かって流れ込む電流を制限する制限抵抗と、前記制限抵抗を介して前記電源から出力された電荷を蓄えるキャパシタとを備え、前記キャパシタに蓄えた電荷によって前記発光素子を発光させることを特徴とする。
【0048】
この構成によれば、キャパシタが内部電源となって信号伝達部の発光素子が発光されて、発光素子と受光素子の間が絶縁された状態で光学的に信号伝達される。発光素子の発光時には電源からの電流が消費されるのではなく、キャパシタに蓄えられた電荷が消費される。このため、電源からの電力供給を兼ねる電流信号に対する発光素子の電流消費の影響を抑えることができる。また、キャパシタの電荷の消費によって電圧が低下しても、電源から信号伝達回路内に流れ込む電流が制限抵抗によって制限されるため、電流信号に対する影響が抑えられている。したがって、電流信号に影響を与えることなく、入出力間を絶縁状態で信号伝達することができる。
【0049】
また、上記実施形態に記載の信号伝達回路において、電気信号を当該電気信号の立ち上がり又は立ち下がりに同期した短パルス信号に変換して前記発光素子に入力する信号変換部と、前記発光素子から前記受光素子に伝達された短パルス信号から電気信号を復元する信号復元部とを備え、短パルス信号のパルス幅が、前記キャパシタに蓄えられた電荷で前記発光素子を発光可能な期間以下である。この構成によれば、キャパシタに蓄えられた電荷だけで発光素子を発光できるため、電流信号に対する発光素子の発光による影響を抑えることができる。
【0050】
また、上記実施形態に記載の信号伝達回路において、前記信号復元部が、短パルス信号のパルス幅を調整して電気信号を復元する。この構成によれば、短パルス信号から一定のパルス幅の電気信号を復元することで、入出力間で一定のパルス幅の電気信号を信号伝達することができる。
【0051】
また、上記実施形態に記載の信号伝達回路において、前記信号伝達部が、第1の発光素子から第1の受光素子に光学的に信号伝達する第1の信号伝達部と、第2の発光素子から第2の受光素子に光学的に信号伝達する第2の信号伝達部とを有し、前記信号変換部が、電気信号を当該電気信号の立ち下がりに同期した第1の短パルス信号に変換する第1の信号変換部と、電気信号を当該電気信号の立ち上がりに同期した第2の短パルス信号に変換する第2の信号変換部とを有し、前記信号復元部が、前記第1の発光素子から前記第1の受光素子に伝達された第1の短パルス信号で信号レベルを立ち下げ、前記第2の発光素子から前記第2の受光素子に伝達された第2の短パルス信号で信号レベルを立ち上げることで電気信号を復元し、第1の短パルス信号のパルス幅が、前記キャパシタに蓄えられた電荷で前記第1の発光素子を発光可能な期間以下であり、第2の短パルス信号のパルス幅が、前記キャパシタに蓄えられた電荷で前記第2の発光素子を発光可能な期間以下である。この構成によれば、電気信号の立下りを第1の短パルス信号、電気信号の立ち上がりを第2の短パルス信号で個別に伝達することで、パルス幅が可変する電気信号を伝達することができる。
【0052】
また、上記実施形態に記載の信号伝達回路において、前記信号伝達部が、前記発光素子としての発光ダイオードと前記受光素子としてのフォトトランジスタとから成るフォトカプラである。この構成によれば、安価で小型なフォトカプラを用いて信号伝達回路を形成することができる。
【0053】
また、上記実施形態に記載の信号伝達回路において、前記制限抵抗が、前記キャパシタに供給される電流を、DC4〜20mA電流信号に影響を与えない大きさに制限する。この構成によれば、DC4〜20mA電流信号に対する発光素子での消費電流の影響を確実に抑えることができる。
【0054】
また、上記実施形態に記載の計装機器は、上記に記載された信号伝達回路と、前記信号伝達回路に電気信号を入力する制御回路と、前記信号伝達回路を介して入力された電気信号で駆動するセンサ回路とを備え、前記センサ回路の計測値をDC4〜20mAの電気信号を使用して出力する。この構成によれば、DC4〜20mA電流信号で伝達される計測値を精度よく外部に伝達することができる。