(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照しつつ、発明を実施するための形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0018】
[第1実施形態]
<影響度算出システム20>
図1は、本実施形態の影響度算出システム20の構成例を説明するための図である。影響度算出システム20は、メールサーバ2と、収集装置4と、DB6(database)と、影響度算出装置8と、表示装置10とを含む。
【0019】
メールサーバ2は、他のメールサーバ(特に図示せず)と接続されている。メールサーバは、この他のメールサーバと、電子メールの送受信を行う。収集装置4は、定期的に(たとえば、1か月ごとに)、メールサーバ2からメール情報を収集し、DB6に格納する。ここで、メール情報は、
図5に示すように、電子メールの送信日時、送信元、受信先、表題、およびメールの本文を含む。また、DB6は、メール情報の他、様々な情報が格納される。
【0020】
影響度算出装置8は、複数の人物に対する対象人物の影響度を算出する。表示装置10は、算出された影響度を表示する。表示装置10は、PC(personal computer)、スマートフォン、タブレット等の各種の機器であってもよい。本実施形態では、影響度算出装置8と表示装置10とはそれぞれ別の筐体で構成されている。変形例として、影響度算出装置8と表示装置10とが一体的に構成されるようにしてもよい。
【0021】
<影響度算出装置8などのハードウェア構成>
図2は、影響度算出装置8のハードウェア構成を示した図である。
図2を参照して、影響度算出装置8は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)81と、データを不揮発的に格納するROM(Read Only Memory)82と、データを揮発的に格納するRAM(Random Access Memory)83と、フラッシュメモリ84と、影響度算出装置8のユーザ(たとえば、影響度算出システム20の管理者)による指示の入力を受ける操作キー87と、通信IF(Interface)88とを備える。
【0022】
フラッシュメモリ84は、不揮発性の半導体メモリである。フラッシュメモリ84は、CPU81が実行するオペレーティングシステムおよび各種のプログラム、各種のコンテンツおよびデータを格納している。また、フラッシュメモリ84は、影響度算出装置8が生成したデータ、影響度算出装置8の外部装置から取得したデータ等の各種データを揮発的に格納する。
【0023】
<表示装置10などのハードウェア構成>
図3は、表示装置10のハードウェア構成を示した図である。
図3を参照して、表示装置10は、プログラムを実行するCPU101と、データを不揮発的に格納するROM102と、データを揮発的に格納するRAM103と、フラッシュメモリ104と、ディスプレイ105と、表示装置10のユーザによる指示の入力を受ける操作キー107と、通信IF(Interface)108とを備える。
【0024】
ディスプレイ105は、表示装置10のユーザによる指示の入力に基づいて、様々な情報を表示する。フラッシュメモリ104は、不揮発性の半導体メモリである。フラッシュメモリ104は、CPU101が実行するオペレーティングシステムおよび各種のプログラム、各種のコンテンツおよびデータを格納している。また、フラッシュメモリ104は、表示装置10が生成したデータ、表示装置10の外部装置から取得したデータ等の各種データを揮発的に格納する。
【0025】
<影響度について>
図4は、DB6に含まれるDBであって、メール情報が格納されたメールDBの一例を示したものである。
図4の例では、各メール情報に、メール情報IDが付与される。
図4の例では、たとえば、メールID1のメール情報は、メールの発信日時が2016年4月2日の10時であり、送信元が人物Aであり、受信先が人物Bである。
図4において、表題および本文については、「××××」と記載されているが、実際は、人物Aから人物Bに送信されたメールの表題のテキストおよび本文のテキストがメールDBに格納される。また、
図4の例では、送信元および受信先が、人物で記載されているが、メールを発信する主体およびメールを受信する主体はそれぞれ、該人物が保有する端末である。たとえば、メールID1のメール情報については、送信元は人物Aが保有する端末であり、受信先は人物Bが保有する端末である。
【0026】
本実施形態の影響度算出装置8は、
図4の送信元および受信先に示す人物A〜人物Fの6人それぞれの影響度を算出する。次に、影響度について説明する。本実施形態の影響度算出装置8は、6人の人物のうち、対象人物を除く人物(つまり、5人の人物)に対する対象人物の影響度を算出する。たとえば、対象人物をAとした場合には、影響度算出装置8は、人物B〜Fに対する人物Aの影響度を算出する。また、本実施形態では、人物A〜人物Fは、所定のグループに属しているとする。グループとは、会社、組織、部署などといった概念を含む。
【0027】
また、影響度とは、たとえば、誰とコミュニケーションをとること(誰に情報を伝えることで)でグループに属する複数の人物全体に対して該情報を伝達できるかといった度合いを示す値としてもよい。このように、影響度は、コミュニケーション価値ともいう。また、影響度は、たとえば、誰とコミュニケーションをとること(誰に情報を伝えることで)でグループに属する複数の人物全体に対して影響を与えることができるかといった度合いを示す値としてもよい。情報の伝達とは、電子メールを用いた情報の伝達であってもよく、人物の口頭による情報の伝達であってもよく、人物の書面による情報の伝達であってもよい。また、影響度とは、たとえば、グループに属する複数の人物全体に対してどれほどの影響を与えられるかといった度合いを示す値としてもよい。
【0028】
たとえば、人物A〜人物Fを知らない人物Mが、グループに属する複数の人物全体に対して情報を伝達させたいと所望している場合について説明する。このような場合において、人物Mは、各人物A〜Fそれぞれの影響度が分かれば、影響度の最も高い人物に情報を伝えることにより、該情報は適切に各人物A〜Fに伝わると、人物Mは認識できる。また、人物Mが悩み事などの相談をしたい場合において、人物A〜人物Fのうち、影響度の最も高い人物に相談したときの方が、他の人物に相談したときよりも、該相談が解決する割合が高いことを人物Mは、認識できる。このように、人物Mが、人物A〜人物Fを知らない場合であっても、人物A〜人物Fそれぞれの影響度を把握することにより、たとえば、人物A〜人物Fに情報を伝達する際の利便性を向上させることができる。
【0029】
<影響度算出装置8の機能的構成について>
図5は、影響度算出装置8の機能的構成を説明するための機能ブロック図である。
図5を参照して、影響度算出装置8は、取得部816と、関係性抽出部811と、算出部824とを備える。取得部816は、第1取得部818と、第2取得部820とを含む。関係性抽出部811は、関係リスト生成部812と、隣接行列生成部814とを含む。
【0030】
関係性抽出部811と、取得部816と、算出部824とは、CPU81による演算処理によって実現される。
【0031】
≪関係リスト生成部812について≫
関係リスト生成部812は、DB6から所定期間T分(たとえば、3か月分)のメール情報を取得する。ここでは、関係リスト生成部812が所定期間T分で取得したメール情報は、
図4に示すものとする。以下では、現時点の所定期間T前から現時点までにおいて、人物甲と人物乙とが通信したことがある場合には、「人物甲と人物乙とは関係性がある」ともいう。ここで、通信とは、情報を送信することと、情報を受信することの双方を含む。また、情報とは、メール、メッセージなどを含む。一方、所定期間T内において、人物甲と人物乙とがメールの通信をしたことがない場合には、「人物甲と人物乙とは関係性がない」ともいう。
【0032】
関係リスト生成部812は、取得したメール情報から、各人物の関係性の有無を判定することにより関係リストを生成する。たとえば、関係リスト生成部812は、メール情報から、メールのやり取りをしていた人物達の関係性を抽出する。関係リスト生成部812は、「メールを送信した人物と該送信されたメールを受信した人物」を、「メールのやり取りをしていた人物」と判断する。関係リスト生成部812は、該メールのやり取りをしていた人物達でペアを作る。もし、送信元からの宛先が複数ならば受信先分の関係性が抽出される。
【0033】
以下では、人物Aから人物Bにメールを送信したことを「A→B」と示す。たとえば、
図4において、メールID3については、関係リスト生成部812は、C→D、C→Bといった2種類の関係性が存在すると判断する。また、本実施形態の関係リスト生成部812は、メールのやり取りをしていた人物達のうち、どちらが送信元か受信先かは考慮しない。つまり、
図4においては、B→Cという関係性と、C→Bという関係性が存在するが、関係リスト生成部812は、これらの関係性は同一であるとみなすとともに、BとCとの関係性が存在すると判断する。
【0034】
図6は、関係リスト生成部812が生成する関係リストの一例を示すものである。このような判断内容により、関係リスト生成部812は、
図4のメール情報から、
図6に示す関係リストを生成する。
図6の例では、人物Aと人物B、人物Bと人物C、人物Cと人物D、人物Cと人物E、人物Cと人物Fそれぞれにおいて関係性が存在することが示されている。関係リスト生成部812は、生成した関係リストを隣接行列生成部814に送信する。
【0035】
≪隣接行列生成部814について≫
隣接行列生成部814は、関係リストに基づいて隣接行列Zを作成する。隣接行列Zは、所定期間T内にメールを通信した(メールを送受信した)ことがある人物間を示す行列である。隣接行列Zの行と列サイズは、影響度が算出される人数によって定められる。影響度が算出される人数がN人(Nは自然数)である場合には、隣接行列Zは、N×Nの行列となる。本実施形態では、影響度が算出される人数は、6人(人物A〜人物F)であることから隣接行列Zとして6×6の行列が生成される。以下に隣接行列Zを示す。
【0037】
図7は、隣接行列Zを表形式で示したものである。
図7の例では、行と列それぞれに人物A〜人物Fが割り当てられている。また、
図7の例では、列成分に示す人物と、行成分に示す人物との交わる箇所が「1」であれば、これらの人物は、所定期間内T内にメールを通信したこと(関係性が存在すること)を示す。一方、列成分に示す人物と、行成分に示す人物との交わる箇所が「0」であれば、これらの人物は、所定期間内T内にメールを通信していないこと(関係性が存在ないこと)を示す。
【0038】
たとえば、人物Aと人物Bとは、交わる箇所が「1」であることから、人物Aと人物Bとは関係性があることを示している(
図6も参照)。一方、人物Aと人物Cとは、交わる箇所が「0」であることから、人物Aと人物Cとは関係性がないことを示している(
図6も参照)。また、
図7および隣接行列Zにおいて、行方向の人物Aと列方向の人物Aとが交わる箇所を原点とし、x軸方向の成分をx成分とし、y軸方向の成分をy成分とする。たとえば、
図7において、成分(x、y)としての(3、4)は、「1」を示すとともに、人物Cと人物Dとは関係性が存在することが示されている。隣接行列生成部814により生成された隣接行列Zは、算出部824に入力される。
【0039】
≪算出部824について≫
算出部824は、隣接行列Zに基づいて、人物A〜人物Fそれぞれの影響度を算出する。
図8は、隣接行列Zの内容を示した図である。
図8において、丸は人物(ノード)を示し、線は関係性を示したものである。たとえば、人物Aは、人物Bと関係性が存在する一方、人物C〜人物Fそれぞれとは関係性が存在しない。また、人物Cは、人物B、および人物D〜Fそれぞれと関係性が存在する一方、人物Aとは関係性が存在しない。以下では、影響度を算出する対象となる対象人物を「第1人物」という。所定期間T内において第1人物と通信したことがある人物を「第2人物」という。所定期間T内において第2人物と通信したことがある人物を「第3人物」という。また、ある人物について、所定期間T内において通信したことがある通信人物という。また、
図8に示すような、メールのやり取りを示した図をネットワークともいう。
【0040】
また、算出部824が影響度を算出するにあたって、「世代」という概念を用いる。世代とは、第1人物との関係の近さを示すものである。第1人物から見て第1人物本人の世代を0とする。第1人物から見て第2人物の世代を1とする。第1人物から見て第3人物の世代を2とする。たとえば、第1人物が人物Bである場合には、第2人物は、人物Aおよび人物Cであり、第3人物は、人物D、人物Eおよび人物Fである。
【0041】
図9は、「算出部824が影響度を算出する対象となる第1人物」を「人物B」とした場合の世代を示したものである。この場合には、人物Bの世代Jは0となり、人物Aおよび人物Cの世代Jは1となり、人物D〜人物Fの世代Jは2となる。また、世代1の人物を第1世代の人物ともいい、世代2の人物を第2世代の人物ともいう。
【0042】
次に、関係リストで規定されている人数であるN人(本実施形態では、6人)の集合を以下のように定義する。
【0043】
X=(X
1,X
2,X
3,...,X
N)
Nは自然数である。本実施形態では、X
1=人物A、X
2=人物B、X
3=人物C、X
4=人物D、X
5=人物E、X
6=人物Fとする。算出部824は、以下の式(1)を用いて、人物X
iの影響度を算出する。ただし、1≦i≦Nとし、iは自然数であるとする。
【0045】
式(1)
次に、式(1)について説明する。第1人物(対象人物)X
iのj世代目の集合を以下のように定義する。ただし、jは、自然数である。また、j世代目の人数をM(Mは自然数)とする。
【0046】
X
(i、j)=(X
(i、j)1,X
(i、j)2,X
(i、j)3,...,X
(i、j)M)
Z
knは、隣接行列Zのx成分がkであり、y成分がnの要素を示す。kについては、k=index(X
m(i、j))とする。index()は、関係リスト内のインデックスを返す関数である。ここで、index(X
m(i、j))についてさらに説明する。関係リスト内において、人物A〜Fにはそれぞれ1〜6のインデックスが割り当てられている。index(X
m(i、j))は、X
m(i、j)に対応付けられたインデックスを返す。たとえば、X
m(i、j)が人物Eである場合には、index(X
m(i、j))は、インデックスとして「5」を返す。
【0047】
また、α
(j)は、j世代目の計算結果に乗算される係数をいう。係数αは、世代Gの値が大きくなるほど小さくなるように予め設定されている。たとえば、係数αは、世代Gの数の逆数とすればよい。たとえば、世代1の人物の係数αは、1であり、世代2の人物の係数αは、0.5とする。
図10は、各世代の人物の係数を示したものである。影響度を算出する際に、第1人物から何世代までの人物を反映させるかは、たとえば、影響度算出装置10の管理者などが決定する。本実施形態では、第1人物の第2世代までの人物を反映させるとする。
【0048】
また、式(1)を用いて、人物X
iの影響度であるC(X
i)を算出するにあたって、D(X
i)という値を用いるようにしてもよい。D
j(X
i)は、人物X
iの1〜j世代目までの人数の合計である。そうすると、人物X
jの影響度は、以下の式(2)でも表すことができる。Dj(Xi)は関係リストまたは隣接行列Zから生成される。
【0050】
式(2)
たとえば、影響度を算出する対象である第1人物を人物Bとし、J=2とし、α
(1)=1とし、α
(2)=0.5とした場合には、人物Bの影響度C(B)は以下のように算出される。
【0051】
C(B)=α
(1)×(人物Bの第1世代の人物の数)
+α
(2)×(人物Bの第1世代の人物の数+人物Bの第2世代の人物の数)
=α
(1)×(2)+α
(2)×(2+3)
=1×(2)+0.5×(5)
=4.5
式(3)
なお、1世代の人物の数は、第2人物の数でもある。また、2世代の人物の数は第3人物の数でもある。また、式(3)において、「人物Bの第1世代の人物の数」は、第1通信履歴から求められる。第1通信履歴は、第1人物と第2人物との通信履歴とする。また、第1取得部818は、第1通信履歴を取得する。また、「人物Bの第2世代の人物の数」は、第2通信履歴から求められる。第2通信履歴は、第2人物と第3人物との通信履歴とする。第2取得部820は、第2通信履歴を取得する。このように、式(1)および式(2)については、第1通信履歴および第2通信履歴が用いられる。つまり、算出部824は、第1取得部818で取得した第1通信履歴、および第2取得部820で取得した第2通信履歴を用いて、各人物の影響度を算出する。
【0052】
図11は、算出部824により算出された各人物の影響度を示した図である。
図11では、各人物の近傍に影響度を示している。たとえば、人物Aの影響度は2であり、人物Bの影響度は4.5である。
【0053】
算出部824が、関係リストに規定されている人物全ての影響度を算出すると、該人物全ての影響度は、通信IF88(
図2参照)を介してDB6に送信される。DB6は、送信された該人物全ての影響度を影響度DBとして格納する。
【0054】
図12は、影響度DBの一例を示した図である。
図12の例では、影響度DBでは、各人物ごとに、ドメイン名および算出部824で算出された影響度が格納される。また、ドメイン名は、各人物に割り当てられたメールアドレスで規定されているものとする。たとえば、人物Aについては、ドメインとして「ppp.local」が格納され、影響度として1.5が格納されている。また、本実施形態では、ドメインからグループ名が特定されるとする。たとえば、ドメインが「ppp.local」であるメールアドレスを保有する人物が所属するグループをグループPとする。また、ドメインが「qqq.local」であるメールアドレスを保有する人物が所属するグループをグループQとする。
【0055】
<影響度算出装置8のフローチャートについて>
図13は、影響度算出装置8の処理のフローチャートを示した図である。
図13を用いて、影響度算出装置8の処理のフローチャートを説明する。S2において、関係リスト生成部812は、メール情報を取得する。S4において、関係リスト生成部812は、取得したメール情報に基づいて、関係リスト(
図6参照)を生成する。S6において、隣接行列生成部814は、生成された関係リストに基づいて、隣接行列Zを生成する。S8において、算出部824は、関係リストおよび式(1)に基づいて、関係リストに規定されている各人物全員(人物A〜人物F)の影響度を算出する。影響度算出装置8は、算出された関係リストに規定されている各人物全員の影響度をDB6に送信することにより、DB6中の影響度DBに、該各人物全員の影響度は格納される。
【0056】
図14は、関係リスト生成部812による関係リスト生成処理(
図13のS4)のフローチャートを示した図である。S42において、関係リスト生成部812は、収集装置4から送信された所定期間T分のメール情報のうち、関係リストを生成するにあたって未処理のメール情報が残存しているか否かを判断する。未処理のメール情報が残存していると判断された場合には(S42のYES)、S44に進む。
【0057】
S44において、収集装置4から送信された所定期間T分のメール情報のうち、関係リスト生成部812は、残存しているメール情報から次のメール情報を取得する。その後、S46において、S44で取得したメール情報で示されている送信元と受信先とのペアにする。なお、S46の処理に時点で、既に、ペアになっている人物同士については、何ら処理をすることなく、S46の処理を終了させる。S42において、関係リスト生成部812が、収集装置4から送信された所定期間T分のメール情報のうち、関係リストを生成するにあたって未処理のメール情報が残存していないと判断した場合には(S42のNO)、関係リスト生成部812は、関係リスト生成処理を終了させる。
【0058】
このように、本実施形態の影響度算出装置10は、各人物(第1人物)の影響度を、所定期間T内において該人物と通信したことがある第2人物と、該第1人物との第1通信履歴のみならず、該第2人物と該第3人物の第2通信履歴をも用いて算出する。したがって、たとえば、従来のような第1通信履歴を用いる一方第2通信履歴を用いない発明と比較して、本実施形態の影響度算出装置10は、より正確に影響度を算出することができる。
【0059】
<表示装置10の処理について>
表示装置10は、ユーザにより入力される入力情報に応じて、各人物の影響度を表示する。
図15および
図16を用いて、表示装置10の処理について説明する。
図15は、表示装置10が表示する入力画面の一例である。
図16は、表示装置10が表示する影響度表示画面の一例である。
【0060】
図15の入力画面が表示されているときに、ユーザは、グループ名を入力可能である。たとえば、
図15の入力画面のうちの入力領域202にカーソル(図示せず)を合わせてグループ名を入力する。本実施形態では、グループ名に対応するドメイン名を入力領域202に入力可能である。たとえば、入力領域202にカーソルを合わせると、全てのドメイン名が示すタブが表示される。ユーザにより、タブに表示された全てのドメイン名のうちからドメイン名が決定されると、該決定されたドメイン名が入力領域202に入力される。ドメイン名が入力領域202に入力された状態で、検索スイッチ204がクリックされると、
図16に示す影響度表示画面が表示される。
【0061】
図16の例では、ドメイン名として「ppp.com」が入力された場合を示す。
図16の例では、「ppp.comの影響力の高い人」が表示されている。
図16の例では、グループPのうち、人物Bが影響度が最も高く、人物Aが次に影響度が高い旨が表示されている。
図16の例では、人物と共に、該人物のメールアドレスが表示される。
【0062】
図17は、表示装置10のCPU101のフローチャートを示した図である。S62において、CPU101は、ユーザによりグループ名(ドメイン名)が入力されたか否かが判断される。CPU101は、
図15に示す入力画面が表示されているときにおいて、ユーザによりグループ名が入力されるまで待機する(S62のNO)。CPU101は、ユーザによりグループ名が入力されたと判断すると(S62のYES)、S64に進む。S64において、ユーザにより指定されたドメインに所属する人の影響度をDB6(
図12に示す影響度DB)から所定人数分、取得する。本実施形態では、所定人数とは、3人とする。S64の処理が終了すると、S66に進む。S66においては、取得した影響度に基づいて、
図16に示すように、影響度が高い人物をディスプレイ105に表示する。また、影響度の高い人物について、最も影響度が高い人物の名前が最も上部に表示され、影響度に応じた位置に人物の名前が表示される。
【0063】
このような構成によれば、ユーザが入力したグループにおいて、影響度が高い人物を該ユーザに認識させることができる。
【0064】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、各人物の影響度は、全て同一であるという前提として説明した。たとえば、ある人物Xの関係性のある人物として、二人(人物X1、人物X2とする)の人物が存在する場合がある。この場合において、該二人のうち一方の人物X1は関係性のある人物が多く、他方の人物X2は、関係性のある人物が少ない場合がある。この場合において、人物X1と人物X2とは、影響度の観点で同等に評価されるべきではない。
【0065】
たとえば、関係性のある人物が多い人物X1は、関係リストに規定されている複数の人物内で影響力があることから、人物Xと人物X1との関係性は、人物Xと人物X2との関係性よりも人物Xのネットワーク内の影響力を高める可能性が高い。このように、ある人物Xの影響度を算出するにあたって、該人物と関係性のある人物X1、X2の関係性のある人物を反映させる中心性指標に、固有ベクトル中心性がある。本実施形態では、固有ベクトル中心性を用いて、各人物の影響度を算出する。また、固有ベクトル中心性を用いるということは、第2人物(所定期間T内において第1人物と通信したことがある人物)の影響度の和ということである。
【0066】
図18は、第2実施形態の算出部824のフローチャートである。S102において、算出部824は、関係リストで規定されている全ての人物(人物A〜人物F)の影響度を初期値に設定する。ここで、初期値は、如何なる値でもよい。本実施形態では、初期値を「1」とする。
【0067】
S104において、算出部824は、すべての人物A〜人物Fの影響度を更新する。本実施形態では、算出部824は以下の式(21)を用いて、人物A〜人物Fの影響度C1を更新する。
【0069】
式(21)
ここで、関係リストで規定されている人数であるN人(本実施形態では、6人)の集合をX=(X1,X2,X3,...,X
i,...,X
N)とする。ただし、1≦i≦Nとする。たとえば、X
1=人物A、X
2=人物A、X
3=人物C、X
4=人物D、X
5=人物E、X
6=人物Fとする。また、1≦j≦Nとし、i≠jとする。なお変形例として、i=jとしてもよい。C1(X
i)は、人物iの影響度であり、C1(X
j)は、人物jの影響度である。たとえば、i=2とした場合には、影響度C1(X
2)は、人物X
2つまり人物Bの影響度をいう。また、Z
ijは、
図7に示す隣接行列Zにおいて、i番目の人物と、j番目の人物とが交わる箇所に示されている要素である。たとえば、Z
34は、「1」となる。
【0070】
S104の処理が終了すると、S106に進む。S106において、算出部824は、影響度の最大値で、S104による更新後の影響度を除算する。ここで、影響度の最大値とは、全ての人物のS104による更新後の影響度のうちの最大値をいう。S108では全ての人物の影響度が収束したか否かが判断される。本実施形態のS108では、S104の更新前の影響度と、S104の更新後の影響度との残差平方和が規定値よりも小さいと判定されたことにより、全ての人物の影響度が収束したと判断される。残差平方和は、たとえば、以下の式(22)に示すものである。
【0072】
式(22)
ただし、C1(X
i)’は、S104による更新前の人物X
iの影響度であり、C1(X
i)は、S104による更新後の人物X
iの影響度である。
【0073】
本実施形態によれば、第2人物の影響度を加味して、第1人物の影響度を算出することができる。したがってより正確に、第1人物の影響度を算出することができる。
【0074】
また、本実施形態では、
図18、および式(22)を用いて、固有ベクトル中心性を適用したが、固有ベクトル中心性を適用できるのであれば、他の手法を用いるようにしてもよい。
【0075】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1人物の媒介中心性を用いて、該第1人物の影響度を算出する。媒介中心性とは、ネットワークの中で窓口やハブとして機能している度合いを示す値である。算出部824は、人物X
iの媒介中心性B(X
i)を以下の式(31)により算出する。
【0077】
式(31)
ただし、式(31)において、1≦r≦Nとし、1≦s≦Nとする。また、ネットワークにおいて、σ
rsは、人物rと人物sとの間の最短経路の合計数を示し、σ
rs(X
i)は、人物X
iを経由する経路のうち、人物rと人物sとの間の最短経路の合計数を示す。
【0078】
図19は、媒介中心性の概念を説明するための図である。
図19の例では、
図8で示したネットワークとは異なるネットワークを示しており、人物A〜人物Gが示されている。
図19では、媒介中心性が大きいほど丸の大きさが大きくなるように記載されている。
図19では、人物C、人物Dおよび人物Eについては、媒介中心性が大きい旨が示されており、人物A、人物B、人物F、および人物Gは、媒介中心性が小さい旨が示されている。
図19の例では、人物C、人物Dおよび人物Eは、ネットワーク内での情報の送受信の経路(窓口またはハブ)となっているため、媒介中心性が大きい。
【0079】
算出部824は、式(31)を用いて、各人物A〜Fの媒介中心性を算出する。算出部824は、算出された媒介中心性を用いて、各人物の影響度を算出する。たとえば、第1実施形態で説明した式(2)のD
j(X
i)を、式(31)で算出されたB(X
i)に代替した式を用いて、影響度を算出するようにしてもよい。また、算出部824は、第2実施形態で説明した
図18のS102で説明した初期値を、式(31)で算出されたB(X
i)として、影響度を算出するようにしてもよい。このように、第3実施形態では、第1通信履歴および第2通信履歴が、各人物の媒介中心性(または媒介中心性の値)を含む。
【0080】
このように、第3実施形態の算出部824は、媒介中心性などに基づいて各人物の影響度を算出する。したがって、第3実施形態では、各人物の媒介中心性を加味した各人物の影響度を算出することができる。
【0081】
[第4実施形態]
第1実施形態の隣接行列Zは、各人物間において、通信回数が1回であるか、複数回であるかに関わらず「1」と規定される。これに対し、第4実施形態では、通信回数を反映させた隣接行列Z1を用いて、算出部824は影響度を算出する。
【0082】
図20は、人物A〜Dそれぞれの通信履歴を示したものである。
図20では、たとえば、人物Aは、「To」で人物Bにメールを送信すると共に、「CC」(Carbon Copy)で人物Cに該メールを送信している。また、
図20の例では、人物Aと人物Bとの通信回数は、2回である。また、人物Aと人物Cとの通信回数は、1回である。人物Aと人物Dとの通信回数は、2回である。
【0083】
関係リスト生成部812が所定期間T分で取得したメール情報は、
図20に示すものとする。関係リスト生成部812は、このメール情報に基づいて、関係リストを生成する。
図21は、関係リストの一例である。
図21の例では、人物Aは、人物Bとの通信回数が2回、人物Cの通信回数が1回、人物Dの通信回数が2回であることが示されている。
【0084】
隣接行列生成部814は、生成された関係リストに基づいて、隣接行列Z1を生成する。
図22は、隣接行列Z1を表形式で示したものである。隣接行列生成部814により生成された隣接行列Z1は、算出部824に入力される。算出部824は、隣接行列Z1に基づいて、影響度を算出する。たとえば、算出部824は、式(1)のZ
knが、Z1
knに代替された式を用いて、影響度を算出する。第4実施形態では、第1通信履歴は、第1人物と第2人物との通信回数を含むことになる。また、第2通信履歴は、第2人物と第3人物との通信回数を含むことになる。また、第1通信履歴と第2通信履歴とは、第1人物と第2人物との通信回数と、第2人物と第3人物との通信回数とを含むとしてもよい。
【0085】
第4実施形態によれば、算出部824は、通信回数を反映させた影響度を算出できる。したがって、第4実施形態では、各人物の通信回数を加味した各人物の影響度を算出することができる。
【0086】
[第5実施形態]
第1実施形態では、各人物間において、送信先の宛先数を加味していない影響度を算出していた。一般的に、多数の宛先にメールが送信されたときには、1つの宛先にメールが送信されたときよりも、該メールの送信者と該メールの受信者との関係性は低いといえる。この点を鑑み、本実施形態では、送信先の宛先数を加味した影響度を算出する。
【0087】
本実施形態において、関係リスト生成部812が所定期間T分で取得したメール情報は、
図20に示すものとする。隣接行列生成部814は、関係リスト生成部812からの関係リストに基づいて、隣接行列を生成する。本実施形態の関係リストは、
図21であるとする。また、隣接行列生成部814は、複数の宛先に送信されたメールが存在する場合には、送信に対応する要素に係数を乗算する。ここで、該係数とは、該メールに送信された宛先数が多ければ多いほど、小さくなるような係数である。本実施形態では、該係数は、宛先数の逆数である。なお、係数の定め方は他の手法を用いてもよい。たとえば、
図21の例では、人物Aは、人物Bと人物Cとにメールを送信している。したがって、人物Aから人物Bに対してメールを送信されたこと、および人物Aから人物Cに対してメールが送信されたことをそれぞれ1/2とする。
【0088】
図23は、第5実施形態で用いられる隣接行列Z2を表形式で表示したものである。算出部824は、隣接行列Z2に基づいて、影響度を算出する。たとえば、算出部824は、式(1)のZ
knが、Z2
knに代替された式を用いて、影響度を算出する。第5実施形態では、第1通信履歴は、第1人物から第2人物への宛先数を含むことになる。また、第2通信履歴は、第2人物から第3人物への宛先数を含むことになる。また、第1通信履歴と第2通信履歴とは、第1人物から第2人物への宛先数と、第2人物から第3人物への宛先数とを含むとしてもよい。
【0089】
第5実施形態によれば、算出部824は、宛先数を反映させた影響度を算出できる。したがって、第5実施形態では、各人物の宛先数を加味した各人物の影響度を算出することができる。
【0090】
[第6実施形態]
第1実施形態では、各人物間において、送信先の宛先種別を加味していない影響度を算出していた。一般的に、メール送信の宛先種別として、「TO」、「CC」、「BCC」などが存在する。宛先を「TO」とするメールの送信先を「主送信先」ともいい、宛先を「CC」または「BCC」とするメールの送信先を「副送信先」ともいう。宛先が「TO」であるメールと、宛先が「CC」または「BCC」となるメールとを比較すると、宛先が「TO」であるメールの方が、宛先が「CC」または「BCC」となるメールよりも、該メールの送信者と該メールの受信者との関係性は高い。この点を鑑み、本実施形態では、送信先の宛先種別を加味した影響度を算出する。
【0091】
本実施形態において、関係リスト生成部812が所定期間T分で取得したメール情報は、
図20に示すものとする。隣接行列生成部814は、関係リスト生成部812からの関係リストに基づいて、隣接行列を生成する。本実施形態の関係リストは、
図21であるとする。また、隣接行列生成部814は、複数の宛先に送信されたメールが存在する場合には、該メールについて、宛先種別を抽出する。たとえば、
図20の例では、人物Aは、メールを、宛先をTOとして人物Bに送信しており、宛先をCCとして人物Cに送信している。この場合において、隣接行列生成部814は、人物Aから人物B(主送信先)に対してメールが送信されたことを示す要素に対して、係数α
TOを乗算する。また、隣接行列生成部814は、人物Aから人物C(副送信先)に対してメールが送信されたことを示す要素に対して、係数α
CCを乗算する。ここで、α
TO>α
CCとする。たとえば、α
TO=1とし、α
CC=0.8としてもよい。ここでは、α
TO=1とし、α
CC=0とする。
【0092】
そうすると、隣接行列生成部814は、メールの送信先として「TO」とされているもののみを抽出することにより、隣接行列を生成する。
【0093】
図24は、第6実施形態で用いられる隣接行列Z3を表形式で表示したものである。算出部824は、隣接行列Z3に基づいて、影響度を算出する。たとえば、算出部824は、式(1)のZ
knが、Z3
knに代替された式を用いて、影響度を算出する。第6実施形態では、第1通信履歴は、第1人物から第2人物への宛先種別を含むことになる。また、第2通信履歴は、第2人物から第3人物への宛先種別を含むことになる。また、第1通信履歴と第2通信履歴とは、第1人物から第2人物への宛先種別と、第2人物から第3人物への宛先種別とを含むとしてもよい。
【0094】
第6実施形態によれば、算出部824は、宛先種別を反映させた影響度を算出できる。したがって、第6実施形態では、各人物の宛先種別を加味した各人物の影響度を算出することができる。
【0095】
[第7実施形態]
第4実施形態では、通信回数を反映させた隣接行列Z1を用いて、算出部824は影響度を算出する、として説明した。第7実施形態では、算出部824は、通信回数のうち送信回数を反映させ、受信回数を反映させない隣接行列Z4を用いて影響度を算出する。たとえば、送信回数が多い人物(メールを頻繁に送信する人物)については、ネットワーク内に広めたい情報該を人物に伝えれば、ネットワーク全体に該情報が適切に広まるといえる。換言すると、送信回数は、ネットワーク内での情報伝達のされ易さを示す指標ともいえる。この点を鑑み、本実施形態では、送信回数を加味した影響度を算出する。
【0096】
本実施形態において、関係リスト生成部812が所定期間T分で取得したメール情報は、
図21に示すものとする。隣接行列生成部814は、関係リスト生成部812からの関係リストに基づいて、隣接行列を生成する。本実施形態の関係リストは、
図21であるとする。また、隣接行列生成部814は、第1人物から、他の人物への送信回数を抽出する。たとえば、
図20の例では、人物Aは、人物B、人物C、および人物Dそれぞれに1回ずつメールを送信している。
【0097】
図25は、第7実施形態で用いられる隣接行列Z4を表形式で表示したものである。算出部824は、隣接行列Z4に基づいて、影響度を算出する。たとえば、算出部824は、式(1)のZ
knが、Z4
knに代替された式を用いて、影響度を算出する。第7実施形態では、第1通信履歴は、前記第1人物から前記第2人物への送信回数を含むことになる。また、第2通信履歴は、第2人物から第3人物への送信回数を含むことになる。また、第1通信履歴と第2通信履歴とは、第1人物から第2人物への送信回数と、第2人物から第3人物への送信回数を含むとしてもよい。
【0098】
第7実施形態によれば、算出部824は、送信回数を反映させた影響度を算出できる。したがって、第7実施形態では、算出部824は、ネットワーク内での情報伝達のされ易さを反映させた影響度を算出できる。
【0099】
[第8実施形態]
第7実施形態では、算出部824は、通信回数のうち送信回数を反映させ、受信回数を反映させない隣接行列Z4を用いて影響度を算出する、として説明した。第8実施形態では、算出部824は、通信回数のうち受信回数を反映させ、送信回数を反映させない隣接行列Z5を用いて影響度を算出する。たとえば、メールの受信回数が多い人物(メールを頻繁に受信する人物)については、様々な情報を持っている人物であるといえる。この点を鑑み、本実施形態では、メールの受信回数を加味した影響度を算出する。
【0100】
本実施形態において、関係リスト生成部812が所定期間T分で取得したメール情報は、
図21に示すものとする。隣接行列生成部814は、関係リスト生成部812からの関係リストに基づいて、隣接行列を生成する。本実施形態の関係リストは、
図21であるとする。また、隣接行列生成部814は、他の人物から第1人物へのメールの受信回数を抽出する。たとえば、
図20の例では、人物Aは、人物B、および人物Dからそれぞれ1回ずつメールを受信している。
【0101】
また、隣接行列Z5(特に図示せず)については、隣接行列Z4の転置行列Z4
Tである。隣接行列生成部814は、関係リスト生成部812からの関係リストに基づいて、隣接行列Z5を生成するようにしてもよい。また、隣接行列生成部814は、隣接行列Z4を生成し、さらに、該隣接行列Z4の転置表列転置行列Z4
Tを隣接行列Z5として生成する。
【0102】
第8実施形態によれば、算出部824は、受信回数を反映させた影響度を算出できる。したがって、第7実施形態では、算出部824は、様々な情報(ネットワーク全体の状況など)を持っている度合いを反映させた影響度を算出できる。
【0103】
[第4実施形態〜第8実施形態のうち少なくとも1つを適用した場合の影響度表示]
次に、第4実施形態〜第8実施形態のうち少なくとも1つを適用した場合において、表示装置10による影響度の表示について説明する。まず、第4実施形態〜第8実施形態のうち少なくとも1つを適用した場合における影響度DBについて説明する。
図26は、第4実施形態〜第8実施形態のうち少なくとも1つを適用した場合における影響度DBの一例を示した図である。
【0104】
図26の影響度DBは、
図12の影響度DB(考慮なしと記載された影響度DB)の他に、宛先種別を考慮した影響度DBと、受信回数を考慮した影響度DBとが格納されている。宛先種別を考慮した影響度DBとは、第6実施形態で算出された各人物の影響度が格納された影響度DBである。また、受信回数を考慮した影響度DBとは、第8実施形態で算出された各人物の影響度が格納された影響度DBである。なお、
図26の各影響度は、
図20の人物A〜Dそれぞれの通信履歴ではなく、人物A〜Dそれぞれの他の通信履歴(図示せず)について算出されたものである。
【0105】
また、考慮された事項に応じて影響度に別名が付与されている。
図27は、影響度と該影響度に付与された別名との対応を示した図である。該別名は、DB6に格納されている。
図27の例では、「考慮なしの影響度」の別名は、「通常影響度」と規定されている。「宛先種別を考慮した影響度」の別名は、「決定権者度」と規定されている。また、「受信回数を考慮した影響度を考慮した影響度」の別名は、「相談受付度」と規定されている。
【0106】
図28は、第4実施形態〜第8実施形態のうち少なくとも1つを適用した場合のディスプレイ105により表示される入力画面の一例を示した図である。
図28の入力画面は、
図15の入力画面に加え、検索観点もユーザにより入力可能な検索観点入力領域210が設けられている。検索観点入力領域210は、ユーザにより検索観点が入力可能な領域である。検索観点とは、表示させる影響度の観点を示す。本実施形態の検索観点は、
図27で示した影響度の別名に対応する。
【0107】
たとえば、検索観点入力領域210にカーソルを合わせると、全ての検索観点(
図27に示す別名)が示すタブが表示される。ユーザにより、タブに表示された全ての検索観点のうちから検索観点が決定されると、該決定された検索観点が検索観点入力領域210に入力される。ドメイン名が入力領域202に入力され、かつ検索観点が検索観点入力領域210に入力された状態で、検索スイッチ204がクリックされると、
図29に示す影響度表示画面が表示される。
【0108】
図29の例では、ドメイン名として「qqq.com」が入力され、かつ検索観点として「決定権者度」が入力された場合を示す。
図29の例では、「qqq.comの決定権者度の高い人」が表示されている。
図29の例では、グループQのうち、人物E、人物C、人物Dの順番で決定権者度が高いことが示されている。
【0109】
このように、第4実施形態〜第8実施形態のうち少なくとも1つを適用した場合の影響度表示によれば、ユーザにより入力された検索観点での影響度を表示できる。したがって、より細やかな影響度をユーザに認識させることができる。
【0110】
[変形例について]
本発明は、上記の実施形態に限られず、さらに種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な変形例について説明する。
【0111】
[D
j(X
i)について]
第1実施形態では、D
j(X
i)は、人物X
iの1〜j世代目までの人数の合計である、として説明した。しかしながら、D
j(X
i)は、人物X
iのj世代の人数とし、1〜j−1世代目までの人数を含めないようにしてもよい。
【0112】
このような構成の場合において、人物Bの影響度を算出するための式(3)は、以下の式(3’)となる。
【0113】
C(B)=α
(1)×(人物Bの第1世代の人物の数)
+α
(2)×(人物Bの第2世代の人物の数)
=α
(1)×(2)+α
(2)×(0+3)
=1×(2)+0.5×(3)
=3.5
式(3’)
このように、D
j(X
i)は、人物X
iのj世代の人数とし、1〜j−1世代目までの人数を含めないようにしてもよい。このような構成によれば、式(3)と比較して、演算量を削減できる。
【0114】
[各実施形態の組合せについて]
前述した各実施形態のうち少なくとも2つを用いて実施するようにしてもよい。たとえば、第1実施形態で説明した式(1)または式(2)などで算出される第1人物の影響度C(X
i)に対して、第2実施形態で説明した式(21)で算出される該第1人物の影響度C1(X
i)を反映させるようにしてもよい。ここで、該反映をさせる手法として、以下の式の反映式を用いて、算出部824は、第1人物の影響度を算出するようにしてもよい。反映式は、C(X
i)に対して、C1(X
i)を乗算する式としてもよい。また、反映式は、C(X
i)に対して、C1(X
i)を加算する式としてもよい。また、反映式は、反映式は、C(Xi)に対して、C1(Xi)を反映させることができる式であれば、如何なる式でもよい。
【0115】
また、たとえば、第1実施形態で説明した式(1)または式(2)などで算出される第1人物の影響度C(Xi)に対して、第3実施形態で説明した各人物の媒介中心性B(X
i)を反映させるようにしてもよい。ここで、該反映をさせる手法として、以下の式の反映式を用いて、算出部824は、第1人物の影響度を算出するようにしてもよい。反映式は、C(Xi)に対して、B(Xi)を乗算する式としてもよい。また、反映式は、C(Xi)に対して、B(Xi)を加算する式としてもよい。また、反映式は、反映式は、C(Xi)に対して、B(Xi)を反映させることができる式であれば、如何なる式でもよい。
【0116】
[影響度について]
前述した実施形態の影響度は、「関係リストで規定されている全ての人物のうち、対象人物を除く人物(つまり、5人の人物)に対する対象人物の影響度」であるとして説明した。しかしながら、影響度はこのような概念でなくとも、他の概念であってもよい。たとえば、影響度は、第2人物と第3人物とを含む複数の人物に対する第1人物の影響度であれば、如何なる概念であってもよい。該複数の人物に、第1人物を含めるようにしてもよい。また、該複数の人物に、第1人物〜第3人物それぞれが所属しているグループのうち、第1人物〜第3人物それぞれが所定期間T内に、通信したことがない人物を含めるようにしてもよい。
【0117】
[影響度を算出するために用いる情報について]
(1) 上述した実施形態において、影響度を算出するために用いる情報は、第1通信履歴および第2通信履歴であるとして説明した。しかしながら、第1通信履歴および第2通信履歴に関連しない情報を用いて、算出部824は、影響度を算出するようにしてもよい。つまり、算出部824は、第1通信履歴および第2通信履歴を含む算出用情報に基づいて、影響度を算出するようにしてもよい。
【0118】
上述した第2実施形態では、固有ベクトル中心性については、第1通信履歴および第2通信履歴に含まれない概念であるともいえる。本願発明では、固有ベクトル中心性は、第1通信履歴および第2通信履歴に含まれない概念であるとしても、算出用情報には含まれることになる。したがって、このように、固有ベクトル中心性が、第1通信履歴および第2通信履歴に含まれない概念であるとしても、該固有ベクトル中心性を含む算出用情報に基づいて、算出部824は、影響度を算出する。また、第3実施形態〜第8実施形態で説明した概念(たとえば、通信回数)のうち少なくとも1つが第1通信履歴および第2通信履歴に含まれない概念であるとしても、該少なくとも1つの概念に基づいて、算出部824は、影響度を算出する。また、第1通信履歴および第2通信履歴を含む算出用情報は、「第1通信履歴および第2通信履歴を含む通信履歴」としてもよい。
【0119】
(2) また、第1取得部818は、関係リストで規定されている複数の人物のうちの対象人物(第1人物)と、該複数の人物各々との第1通信履歴を取得するようにしてもよい。また、第2取得部820は、関係リストで規定されている複数の人物のうちの人物であって対象人物(第1人物)の通信相手である通信人物と、複数の人物各々との第2通信履歴を取得するようにしてもよい。
【0120】
(3) 上述した実施形態では、第1人物から見て、第2世代までの人物を反映させた影響度を、算出部824は算出するとして説明した。しかしながら、第1人物から見て、第L世代(Lは3以上の整数)までの人物を反映させた影響度を、算出部824は式(1)を用いて算出するようにしてもよい。このような構成によれば、より正確な影響度を算出することができる。
【0121】
(4) 第1実施形態では、式(1)または式(2)に示すように、影響度を算出する際に、世代に対応した係数αを乗算するとして説明した。しかしながら、該係数αの乗算を行わないようにしてもよい。このような構成によれば、係数αを乗算する処理がないことから、処理の削減を図ることができる。
【0122】
[影響度を算出する人物について]
上述の実施形態では、関係リストで規定されている全ての人物の影響度を算出するとして説明した。しかしながら、全ての人物の影響度ではなく、該全ての人物の所定の人物の影響度を算出するようにしてもよい。所定の人物とは、たとえば、ユーザが指定可能となるようにしてもよい。このような構成であれば、影響度をユーザが知りたい人物のみの影響度を算出することから、全ての人物の影響度を算出する影響度算出装置よりも影響度を算出する処理を削減できる。
【0123】
[その他]
本発明の本質的な部分は、フラッシュメモリその他の記憶媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。なお、記録媒体としては、DVD-ROM、CD−ROM、FD、ハードディスクに限られず、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROM、フラッシュROMなどの半導体メモリ等の固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。また、記録媒体は、当該プログラム等をコンピュータが読取可能な一時的でない媒体である。また、ここでいうプログラムとは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0124】
また、今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された発明は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。