(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0010】
〔第一の実施形態〕
本発明の第一の実施形態に係る入反射角表示装置について
図1に基づいて説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る入反射角表示装置を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。本実施形態に係る入反射角表示装置は、指針を線対称に回転駆動する駆動手段としてパンタグラフ機構を用いる点に特徴がある。
【0011】
入反射角表示装置1は、反射板に対する電波の入射方向と反射方向を表示する装置である。入反射角表示装置1は、一部に設けた共通の回転軸11(同一の軸線上に配置された回転軸11)を中心として正逆回転することにより、反射板に対する電波の入射方向と反射方向を夫々指示する一対の指針10、10と、各指針10、10を、反射板の法線方向を示す基準線Lに対して線対称に回転駆動させるパンタグラフ機構20(駆動機構、駆動手段)とを備えている。
また、入反射角表示装置1は、反射板に対する電波の入射角度と反射角度を示す目盛31が形成されたベース板30を備える。各指針10、10はベース板30によって軸支持されており、各指針10、10はベース板30の表面(ベース面)に沿って正逆方向に回転する。目盛31は回転軸11を中心として円弧状に形成されている。
【0012】
ここで、入反射角表示装置1は反射板又は反射板を支持する鉄塔等に取り付けるための取付手段を備えている。入反射角表示装置1は、反射板の法線方向と基準線Lとが一致するように、即ち、基準線Lが反射板の法線方向に沿って延びるように反射板等の適所に取り付けて使用される。入反射角表示装置1の取付位置は反射板の上端部中央が好適であるが、マイクロ波の伝搬路上における障害物の有無或いはその状態を確認するために適した位置であれば、上記位置に限られない。
基準線Lはベース板30に明示的に表示されていてもよいし、ベース板30に明示されない仮想的な線であってもよい。本例において基準線Lはガイドレール43の軸線に等しい。即ち、基準線Lはガイドレール43として明示的に示されている。
【0013】
各指針10、10を線対称に駆動するパンタグラフ機構20は平行リンク機構の一種である。パンタグラフ機構20は、ベース板30に固定されて両指針10、10の基部(一部)を正逆回転可能に軸支する共通の回転軸11と、両指針10、10の他部に夫々設けたジョイント21、21によって一部を回動自在に軸支された2つの駆動リンク23、23と、各駆動リンク23、23の他部を一体化し、且つ正逆回転可能に軸支する蝶ネジ25(可動軸)と、蝶ネジ25を基準線Lに沿って回転軸11に対して接近離間移動させるガイド手段40と、を備える。
ガイド手段40は
図1(b)に示すように、2つの駆動リンク23、23を介して蝶ネジ25が螺着されるスライダ41と、基準線Lに沿ってベース板30に形成されると共にスライダ41を係合させるガイドレール43とを備える。ガイドレール43はスライダ41を基準線Lに沿って進退移動させる。本例に示すガイドレール43は、ベース板30に貫通形成された長穴であるが、ベース板30から突出する1本又は複数本の突条や、溝、或いはその他の形状であってもよい。
【0014】
ここで、回転軸11と蝶ネジ25の軸部は基準線L上に配置されている。蝶ネジ25は、指針10、10を固定する固定手段としても機能する。本例に示す蝶ネジ25は、2つの駆動リンク23、23をスライダ41に締結して駆動リンク23、23の角度変化を禁止することにより、指針10、10の回転を禁止する。なお、上記固定手段は一例である。指針10、10の回転を禁止する方法は、駆動リンク23、23をスライダ41に固定する方法に限定されない。
【0015】
スライダ41をガイドレール43に沿って矢印B方向に進退移動させることによって、2つの指針10、10を、基準線Lを対称軸として線対称に矢印C方向に回転駆動することができる。
本実施形態によれば、パンタグラフ機構を用いることにより、シンプルな構成で、両指針10、10を同時に、且つ線対称に駆動することができる。即ち、スライダ41を進退させるだけで、2つの指針10、10を基準線L(反射板の法線)に対して線対称に回転駆動することができる。従って、マイクロ波の入射角と反射角を同時に設定することができる。また、指針10、10を固定する固定手段として蝶ネジ25を備え、指針10、10の角度調整と固定を自在に行えるので、表示するべき入反射角が異なる場合にも入反射角表示装置1を共通して使用することができ、汎用性が高い。
【0016】
なお、本例においては各指針10、10を正逆自在に回転させる回転軸を、ベース板30の適所に位置固定された共通の回転軸(同軸上に配置された回転軸)としたが、各指針10、10の回転軸11は基準線Lに対して線対称となる位置に、且つ軸線が互いに平行となるように独立して設けられてもよい。
また、ベース板30を透明な材料(例えば透明樹脂)から形成してもよい。この場合、指針10、10及び目盛31をベース板30の一方の面(表面)からも他方の面(裏面)からも視認可能となり、利便性が向上する。仮に、ベース板30を不透明な材料(例えば金属)によって形成した場合であっても、指針10、10と目盛31をベース板30の両面に形成することによって、マイクロ波の入反射角をベース板30の両面から確認できるようになり、利便性が向上する。この場合、ベース板30の各面側に形成する指針10、10は、スライダ41を共通化すること等により、同時に同角度で回転駆動するように構成する。
【0017】
〔第二の実施形態〕
本発明の第二の実施形態に係る入反射角表示装置について
図2に基づいて説明する。
図2は、本発明の第二の実施形態に係る入反射角表示装置を示す平面図である。本実施形態に係る入反射角表示装置は、指針を線対称に回転駆動する駆動手段として直交スライド機構とラックアンドピニオン機構を用いる点に特徴がある。以下、第一の実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0018】
入反射角表示装置2は、2つの指針10、10を駆動する駆動機構(駆動手段)として、各指針10、10を個別に回転駆動する一対の直交スライド機構50、50と、直交スライド機構50、50を基準線Lに対して線対称に動作させるラックアンドピニオン機構60とを備える。
直交スライド機構50は、入力された矢印D方向のスライド動作を矢印F方向の回転動作に変換して出力するか、又は矢印F方向の回転動作を矢印D方向のスライド動作に変換して出力する機構である。各直交スライド機構50、50は、指針10の他部によって回動可能に軸支持されたスライドジョイント51と、基準線Lに沿って伸びてスライドジョイント51を基準線Lに沿って進退させるスライドガイド53、及びスライドガイド53の一部に連接されると共に基準線Lと直交する方向に伸びるラックギヤ55を有する駆動スライダ57と、を備える。本例に示す駆動スライダ57は概略L字形状である。
【0019】
ラックアンドピニオン機構60は、平行に配置されると共に対向面にギヤ歯が形成された一対のラックギヤ55、55と、両ラックギヤ55、55に噛合するピニオンギヤ61とを備える。
ピニオンギヤ61の回転軸はベース板30によって固定的に支持されている。2つのラックギヤ55、55のうち、何れか一方のラックギヤ55を基準線Lと直交する矢印D方向に進退させることにより、他方のラックギヤ55は基準線Lを対称軸として一方のラックギヤ55とは線対称に移動する。
なお、各指針10、10は、ピニオンギヤ61の回転軸によって軸支される構成としてもよい。即ち、回転軸11とピニオンギヤ61の回転軸とを共通化してもよい。また、各指針10、10の回転軸11は、基準線Lに対して線対称となる位置に、且つ軸線が互いに平行となるように独立して設けられてもよい。
【0020】
一方の駆動スライダ57を基準線Lと直交する矢印D方向に進退させることにより、スライドジョイント51はスライドガイド53と共に矢印D方向に移動しながら、スライドガイド53に沿って矢印E方向に移動する。指針10、10はスライドジョイント51の動作に伴って回転軸11を中心として矢印F方向に回転する。また、2つの駆動スライダ57、57は、ラックアンドピニオン機構60により基準線Lに対して線対称に動作するので、2つの指針10、10は基準線Lに対して対称に回転する。なお、駆動力を一方の指針10から入力してもよい。
【0021】
以上のように本実施形態によれば、直交スライド機構とラックアンドピニオン機構を用いたので、2つの指針10、10を基準線L(反射板の法線)に対して線対称に回転駆動することができる。
なお、本実施形態においては、回転軸11に配置したネジ(固定手段)により2つの指針10、10を角度変更不能に固定するか、少なくとも一方の指針10をスライドジョイント51に対してネジ(固定手段)により固定する等の方法により、指針10を固定することができる。
【0022】
〔第三の実施形態〕
本発明の第三の実施形態に係る入反射角表示装置について
図3に基づいて説明する。
図3は、本発明の第三の実施形態に係る入反射角表示装置を示す平面図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のG−G断面図である。本実施形態に係る入反射角表示装置は、指針を線対称に回転駆動する駆動機構として指針の回転軸と同軸且つ一体回転するギヤを備えた点に特徴がある。
【0023】
本実施形態に係る入反射角表示装置3において2つの指針10、10の回転軸11、11は同軸上ではなく、基準線Lに対して対称となる位置に、且つ互いの軸線が平行となるように配置されている。各指針10、10を駆動する駆動機構70は、各指針10、10の回転軸11、11と同軸に配置されて各指針10、10と一体回転すると共に、互いに噛合する一対のギヤ71、71を備えている。ギヤ71、71は円筒歯車であり、平歯車、はすば歯車、やまば歯車の何れでもよい。両ギヤ71、71のギヤ比は1:1であり、一方の指針10に外力を加えて回転させると、他方の指針10が逆方向に同角度だけ回転する。即ち、2つの指針10、10は、基準線Lに対して線対称に矢印H方向に回転駆動する。
本例における目盛31は、2つの回転軸11、11の中心軸を通る線と基準線Lとの交点を中心とする円弧状に形成されている。
【0024】
以上のように本実施形態によっても、一方の指針10を矢印H方向に回転させるだけで、他方の指針10を基準線L(反射板の法線)に対して線対称に回転駆動することができる。
なお、
図3(b)に示すように、ベース板30に対して指針10、10を固定するには、例えば、一方の指針10の回転中心に形成した軸孔13と、ベース板30に形成した雌ネジ33とを連通させた状態にて、軸孔13を介して雌ネジ33に蝶ネジ73等(固定手段)を螺着すればよい。蝶ネジ73を緩めることで、指針10を回転駆動することができるようになり、蝶ネジ73を締結することで指針10を固定することができる。
【0025】
〔第四の実施形態〕
本発明の第四の実施形態に係る入反射角表示装置について
図4に基づいて説明する。
図4は、本発明の第四の実施形態に係る入反射角表示装置を示す平面図である。本実施形態に係る入反射角表示装置は、指針を線対称に回転駆動する駆動手段、及び指針を固定する固定手段としてウォームギヤを備えた点に特徴がある。以下、主として第三の実施形態との相違点について述べる。
【0026】
入反射角表示装置4の駆動機構80(駆動手段)は、各指針10、10の回転軸11、11と同軸に配置されて各指針10、10と一体回転するギヤ81、81(ウォームホイール)と、両ギヤ81、81と噛合するウォームギヤ83とを備えている。2つの指針10、10の回転軸11、11は基準線Lに対して線対称となる位置に、且つ互いの軸線が平行となるように配置され、ウォームギヤ83の回転中心軸(軸線)は基準線L上に配置される。ウォームギヤ83を指等により回転させることで、ギヤ81、81を矢印H方向に、且つ基準線Lに対して線対称に回転駆動することができ、指針10、10を所望の角度に調整することができる。
ここで、ウォームギヤ83は、セルフロック機能を有する。即ち、ウォームギヤ83からギヤ81、81を回転させることはできるが、ギヤ81、81からウォームギヤ83を回転させることはできない。このため、本実施形態においてウォームギヤ83は、指針10、10を固定する固定手段としても機能する。
【0027】
本実施形態において、2つの回転軸11、11は基準線L上に配置されていないため、マイクロ波の入反射角を示す目盛31は、夫々の回転軸11、11を中心とする円弧状に個別に形成している。もちろん、第三の実施形態と同様に、目盛31を、2つの回転軸11、11の中心軸を通る線と基準線Lとの交点を中心とする円弧状に形成してもよい。また、第三の実施形態に示す入反射角表示装置3において、目盛を、各回転軸を中心とした円弧状に形成してもよい。
【0028】
〔第五の実施形態〕
本発明の第五の実施形態に係る入反射角表示装置について
図5に基づいて説明する。
図5は、本発明の第五の実施形態に係る入反射角表示装置を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は駆動機構を説明するための図である。本実施形態に係る入反射角表示装置は、指針を駆動する駆動機構としてウォームギヤとウォームギヤから入力された駆動力を順次伝達する複数のギヤを備えた点に特徴がある。
【0029】
図5(b)に示すように、入反射角表示装置5の駆動機構90は、駆動力の入力手段であるウォームギヤ91と、ウォームギヤ91と噛合する2つのギヤ93a、93b(ウォームホイール)と、他方のギヤ93bと噛合するアイドルギヤ95と、アイドルギヤ95と噛合する従動ギヤ97とを備える。一方の指針10aは一方のギヤ93aと一体に回転し、他方の指針10bは従動ギヤ97と一体に回転する。
【0030】
ここで、アイドルギヤ95は、ギヤ93bの回転を反転させて従動ギヤ97に伝達する機能を有する。なお、ギヤ93aとギヤ93bと従動ギヤ97の歯数は同一である。この構成により、両指針10a、10bの回転軸11a、11bを同軸上に配置し、且つ両指針10a、10bを逆方向に等角度だけ回転させることができる。両指針10a、10bの回転軸11a、11bは基準線L上に配置されており、両指針10a、10bは基準線Lに対して線対称に矢印J方向に正逆回転する。
【0031】
本実施形態においては第四の実施形態と同様に、ウォームギヤ91を、ベース板30に設けた開口92から指等により回転させることで、ギヤ93a、93bを駆動することができ、指針10、10を所望の角度に調整することができる。また、ウォームギヤ91はセルフロック機能を有するため、ウォームギヤ91は指針10a、10bを固定する固定手段としても機能する。
本実施形態において、指針10bは、ベース板30に設けた円弧状の開口99からベース板30の一面側(表面側)に引き出されている。指針10bは、ベース板30の他面側(裏面側)に配置されてもよい。この場合、ベース板30を透明材料から構成すれば、ベース板30を介して指針10bをベース板30の一面側(表面側)から視認可能となる。
また、回転軸11aを中空筒状とし、回転軸11bの外径を回転軸11aの内径よりも小さくして回転軸11aに挿通してもよい。このようにしてベース板30の一面側(表面側)に引き出した回転軸11bに指針10bを固定すれば、円弧状の開口99を形成することなく、指針10bをベース板30の一面側(表面側)に配置することが可能である。
【0032】
〔本発明の実施態様例と作用、効果のまとめ〕
<第一の実施態様>
本態様は、反射板に対する電波の入射方向と反射方向を表示する入反射角表示装置1〜5であって、一部に設けた回転軸11を中心として正逆回転することにより電波の入射方向と反射方向を夫々指示する一対の指針10、10と、各指針を反射板の法線方向を示す基準線Lに対して対称に回転駆動させる駆動手段と、を備えることを特徴とする。
ここで駆動手段としては、パンタグラフ機構20、直交スライド機構50、50とラックアンドピニオン機構60等、各種の手段を利用することができる。
本態様に係る入反射角表示装置は、反射板に対する電波の入射方向と反射方向の表示を変更できるので、汎用性が高い。また、駆動手段により2つの指針10、10を同時に線対称に回転駆動することができるので、入射角度と反射角度の設定が容易である。
【0033】
<第二の実施態様>
本態様に係る入反射角表示装置1〜5は、反射板に対する電波の入射角度と反射角度を示す目盛31が形成されたベース板30を備えることを特徴とする。
目盛31を備えたので、2つの指針10、10が示す入射角度と反射角度の調整及び確認が容易である。なお、ベース板30は、透明でも不透明でもよい。ベース板30を透明とした場合は、ベース板の上面側と下面側の夫々から指針を確認することができて便利である。
【0034】
<第三の実施態様>
本態様に係る入反射角表示装置1、2、5においては、両指針10、10の回転軸11が同軸上に配置されていることを特徴とする。
両指針10、10は、同一の軸線上にある回転軸11を中心として正逆回転するので、入反射角を正確に表示できる。本実施態様においてベース板30に形成される目盛31は、回転軸11を中心とする円弧状に形成することができる。
【0035】
<第四の実施態様>
本態様に係る入反射角表示装置3、4においては、両指針10、10の回転軸11、11が平行に配置されていることを特徴とする。
回転軸11、11が平行に配置される構成とは、例えば回転軸11、11を中心として指針10、10と一体回転するギヤ71、71を備え、両ギヤが互いに噛合する構成である。このような駆動手段を採用した場合は、駆動機構の構成を非常にシンプルにすることができる。なお、本実施態様においてベース板30に形成する目盛31は、回転軸11、11の中心軸を通る線と基準線Lとの交点を中心とする円弧状に形成してもよいし、夫々の回転軸11、11を中心とする円弧状に個別に形成してもよい。