(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下地画像を形成する下地画像形成部と、追い刷り画像を形成する追い刷り画像形成部と、追い刷り画像を形成する前にマークを読み取る第1読み取り部と、追い刷り画像が形成された後にマークを読み取る第2読み取り部と、追い刷り画像を形成する際の位置を調整する制御部と、を備え、定型サイズの用紙よりも搬送方向の用紙長が長い長尺用紙に対して、下地画像を形成した後に追い刷り画像を形成する画像形成システムであって、
前記下地画像形成部は、前記長尺用紙に下地画像を形成する際に、前記長尺用紙における追い刷り画像を形成する際の先端側に定められた追い刷り調整区間で、追い刷りでの位置確認に使用される第1マークと、前記第1マークに対して所定距離の位置で追い刷りでの位置照合に使用される第2マークとを形成し、
前記制御部は、前記追い刷り画像形成部が追い刷り画像を形成する前に、前記追い刷り調整区間で、前記第1読み取り部により前記第1マークを読み取って追い刷りの位置確認を行い、前記第1マークに対して所定距離の位置で前記追い刷り画像形成部により第3マークを形成し、前記第2読み取り部の読み取り結果により前記第2マークと前記第3マークとの位置を照合し、前記第2マークと前記第3マークとの位置関係に応じて前記追い刷り画像形成部が追い刷り画像を形成する位置を調整する、
ことを特徴とする画像形成システム。
前記制御部は、設定された精度に基づいて、前記第2マークと前記第3マークとの位置を照合し、前記第2マークと前記第3マークとの位置関係に応じて前記追い刷り画像形成部が追い刷り画像を形成する位置を調整する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【背景技術】
【0002】
画像データに基づいて画像形成するプリンタ等の画像形成装置では、A4やB4といった所定の定型サイズにカットされたカット紙と呼ばれる用紙に対して画像を形成することが一般的である。
この種の画像形成装置において、連続紙又はロール紙と呼ばれる、定型サイズの用紙よりも搬送方向の用紙長が長い長尺用紙に画像を形成することも可能である。なお、このような長尺用紙は、宛名やシリアル番号や商品表示などのシール形式のラベル等を繰り返し印刷するといった用途で使用されることが多い。
【0003】
一方、長尺用紙に対して画像形成を行う画像形成装置の中には、あらかじめロール紙上に印字されている「アイマーク」(Eye Mark)をセンサで読み取り、用紙搬送方向(副走査方向)の画像位置をアイマークに合わせて補正しながら画像形成を行う製品が存在する。以下、アイマークに合わせて印刷する印刷方法を「追い刷り」(英:Over Print)と呼ぶ。
【0004】
追刷りは、下地画像形成装置で下地を画像形成し、追い刷り画像形成装置で他画像を印刷する、といったケースにおいて使用されることが多い。大ロットの印刷物の場合、モノクロ画像形成装置の印刷コストはカラー画像形成装置に比べて安価である。このため、下地をモノクロ画像形成装置、追い刷りをカラー画像形成装置で画像形成すると、全体として安価に印刷することができる。また、通常のカラー画像形成装置単体では出せない色を、追い刷り画像形成装置に特殊トナーをセットして画像形成する場合もある。
【0005】
追い刷り後の出力物は後処理装置にかけられる場合があり、例えばクリア塗布、ラミネート、ダイカットなどが行われる。このとき、後処理装置は、追刷りの場合と同様にアイマークを基準に処理が行われる。すなわち、用紙搬送方向の位置基準はアイマークを基準にして、全てのページが同じ位置に画像形成される。
【0006】
なお、このようなアイマークを用いた追い刷りについて
図11のフローチャートに処理手順を示す。
下地画像形成装置において、所定位置にアイマークを形成し(
図11中のステップS11)、アイマークに合わせて下地画像を形成する(
図11中のステップS12)。これを、所定画像分繰り返して実行する(
図11中のステップS13)。ここで、下地画像形成装置から追い刷り画像形成装置に用紙をセットする。
【0007】
そして、追い刷り画像形成装置において、センサでアイマークを読み取り(
図11中のステップS21)、アイマークに合わせて追い刷り画像を形成する(
図11中のステップS22)。この後、ヤレ検知を行い(
図11中のステップS23)、これを、所定画像分繰り返して実行する(
図11中のステップS24)。
【0008】
ここで、下地画像形成装置での倍率がずれている、長尺用紙が伸縮する、追い刷り画像形成装置の倍率がずれている、といった要因により、アイマークを基準に追い刷りしても、生成画像の位置、倍率が理論値と異なるといった事態が発生することがある。
図12はアイマークを用いた追い刷りの様子を模式的に示している。以下、理想的な場合と実際の場合とを対比して説明する。
【0009】
下地画像形成装置では、アイマークMK_eyeと下地画像G_dwnを長尺用紙PLに形成する(
図12(a))。そして、追い刷り画像形成装置において、長尺用紙PLのセンサでアイマークMK_eyeを読み取り、アイマークMK_eyeを基準にして追い刷り画像G_upを形成する(
図12(b))。これが理想状態である。
【0010】
以下、実際の状況を説明する。下地画像形成装置では、アイマークMK_eyeと下地画像G_dwnを長尺用紙PLに形成する(
図12(c))。この際に、下地画像形成装置の熱定着により、長尺用紙PLが収縮した状態で出力される。そして、追い刷り画像形成装置において、センサでアイマークMK_eyeを読み取り、アイマークMK_eyeを基準にして所定の距離の位置に追い刷り画像G_upを形成する(
図12(d))。
【0011】
ここで、長尺用紙PLの収縮に伴い、長尺用紙PL上の下地画像も収縮している。従って、アイマークMK_eyeを基準にして、収縮の無い状態(理論状態)で予め定められた所定の距離に追い刷り画像G_upを形成するため、下地画像G_dwnと追い刷り画像G_upとの位置が、当初の予定よりもずれた状態になる。すなわち、理想状態の
図12(b)に対して、実際には
図12(d)のようにずれが生じる。
【0012】
すなわち、下地の機械の倍率がずれている、用紙が伸縮する、追い刷り機の倍率がずれている、といった各種の要因により、追い刷り画像形成装置の後段の画像読取部を用いて画像検品を行った際に、ユーザ画像が印刷された後に不具合が判定される。このようにヤレと判定された場合、正常なユーザ画像の枚数が減ってしまう。これにより、不足枚数分は下地画像から画像形成し直すことになり、ユーザの負担が大きくなる。また、ヤレ画像が発生した場合、1つの長尺用紙PL上にヤレ画像と問題ない画像が混在することとなる。
【0013】
なお、長尺用紙を用いた画像形成装置における画像間の制御については、以下の特許文献などに各種の提案がなされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
以上の特許文献1では、連帳紙に形成されたマークに対してレーザーを照射、マークを検出する検出部材との直交方向における位置ずれを容易に確認することができる。但し、この技術は、センサ位置を調整するものであり、追い刷り時のずれを調整するため追い刷り調整区間を設ける技術とは、課題や構成が異なる。
【0016】
以上の特許文献2では、透明な部材からなる連続紙(フィルム)などに、インクにて印字を行う際に所望の発色が得られないという問題があり白インクの上に追い刷りすることで、発色を得ている。その際に、追い刷りの位置決めは画像の数に基づいて連続紙の巻き戻しをおこなうことで精度を上げる。但し、この技術は巻き戻しを前提としており、巻き戻しを行わない技術とは構成が異なる。
【0017】
以上の特許文献3では、記録紙ロールを使用し、複数回往復搬送させて記録紙の同一画像領域に異なる色の画像を重ねて形成しカラープリントを行う画像形成装置において、レジストマークとレジストセンサを使用して記録紙の横ずれ量を検知することのできるスキュー検知装置を提案している。
【0018】
但し、この技術は、連続紙の追い刷り時に画像がスキューするのが課題で、レジストマークの形について述べたものであり、従来技術手法でいうところのアイマークの形状についてである。アイマークが検出できても、追い刷り位置がずれるという課題を解決できない問題が残る。
【0019】
本発明は以上の課題を解決するためになされたものであって、アイマークを検出できても追い刷り位置がずれるという課題を解決して適切な追い刷りを行うことが可能な、画像形成システム及び画像形成装置並びに画像形成制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
すなわち、前記した課題を解決するため、本発明の一側面が反映された画像形成システム及び画像形成装置並びに画像形成制御プログラムは、以下のように構成される。
(1)本発明の一側面が反映された画像形成システムは、下地画像を形成する下地画像形成部と、追い刷り画像を形成する追い刷り画像形成部と、追い刷り画像を形成する前にマークを読み取る第1読み取り部と、追い刷り画像が形成された後にマークを読み取る第2読み取り部と、追い刷り画像を形成する際の位置を調整する制御部と、を備え、定型サイズの用紙よりも搬送方向の用紙長が長い長尺用紙に対して、下地画像を形成した後に追い刷り画像を形成する画像形成システムであって、前記下地画像形成部は、前記長尺用紙に下地画像を形成する際に、前記長尺用紙における追い刷り画像を形成する際の先端側に定められた追い刷り調整区間で、追い刷りでの位置確認に使用される第1マークと、前記第1マークに対して所定距離の位置で追い刷りでの位置照合に使用される第2マークとを形成し、前記制御部は、前記追い刷り画像形成部が追い刷り画像を形成する前に、前記追い刷り調整区間で、前記第1読み取り部により前記第1マークを読み取って追い刷りの位置確認を行い、前記第1マークに対して所定距離の位置で前記追い刷り画像形成部により第3マークを形成し、前記第2読み取り部の読み取り結果により前記第2マークと前記第3マークとの位置を照合し、前記第2マークと前記第3マークとの位置関係に応じて前記追い刷り画像形成部が追い刷り画像を形成する位置を調整する、ことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の一側面が反映された画像形成装置は、追い刷り画像を形成する追い刷り画像形成部と、追い刷り画像を形成する前にマークを読み取る第1読み取り部と、追い刷り画像が形成された後にマークを読み取る第2読み取り部と、追い刷り画像を形成する際の位置を調整する制御部と、を備え、定型サイズの用紙よりも搬送方向の用紙長が長い長尺用紙に対して、下地画像形成部により下地画像が形成された後に追い刷り画像を形成する画像形成装置であって、前記長尺用紙に下地画像を形成する際に、前記長尺用紙における追い刷り画像を形成する際の先端側に定められた追い刷り調整区間で、追い刷りでの位置確認に使用される第1マークと、前記第1マークに対して所定距離の位置で追い刷りでの位置照合に使用される第2マークとが前記下地画像形成部により形成されており、前記制御部は、前記追い刷り画像形成部が追い刷り画像を形成する前に、前記追い刷り調整区間で、前記第1読み取り部により前記第1マークを読み取って追い刷りの位置確認を行い、前記第1マークに対して所定距離の位置で前記追い刷り画像形成部により第3マークを形成し、前記第2読み取り部の読み取り結果により前記第2マークと前記第3マークとの位置を照合し、前記第2マークと前記第3マークとの位置関係に応じて前記追い刷り画像形成部が追い刷り画像を形成する位置を調整する、ことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の一側面が反映された画像形成制御プログラムは、下地画像を形成する下地画像形成部と、追い刷り画像を形成する追い刷り画像形成部と、追い刷り画像を形成する前にマークを読み取る第1読み取り部と、追い刷り画像が形成された後にマークを読み取る第2読み取り部と、追い刷り画像を形成する際の位置を調整する制御部と、を備え、定型サイズの用紙よりも搬送方向の用紙長が長い長尺用紙に対して、下地画像を形成した後に追い刷り画像を形成する画像形成システムを制御する画像形成制御プログラムであって、前記下地画像形成部は、前記長尺用紙に下地画像を形成する際に、前記長尺用紙における追い刷り画像を形成する際の先端側に定められた追い刷り調整区間で、追い刷りでの位置確認に使用される第1マークと、前記第1マークに対して所定距離の位置で追い刷りでの位置照合に使用される第2マークとを形成し、前記制御部は、前記追い刷り画像形成部が追い刷り画像を形成する前に、前記追い刷り調整区間で、前記第1読み取り部により前記第1マークを読み取って追い刷りの位置確認を行い、前記第1マークに対して所定距離の位置で前記追い刷り画像形成部により第3マークを形成し、前記第2読み取り部の読み取り結果により前記第2マークと前記第3マークとの位置を照合し、前記第2マークと前記第3マークとの位置関係に応じて前記追い刷り画像形成部が追い刷り画像を形成する位置を調整する、よう前記画像形成システムのコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0023】
(2)以上の(1)において、前記追い刷り調整区間は、下地画像又は追い刷り画像を形成する画像形成区間と、前記長尺用紙の端部の間に定められており、前記下地画像形成部は、前記長尺用紙の搬送方向に沿って複数個の前記第1マークを形成し、前記長尺用紙の搬送方向に沿って複数個の前記第2マークの列を、前記搬送方向とは直交する方向に複数形成し、前記制御部は、前記追い刷り調整区間において、ある列において前記第2マークと前記第3マークとの位置を照合により一致が確認できない場合には、別の列において前記第2マークと前記第3マークとの位置の照合により追い刷り画像を形成する位置を調整するように、前記追い刷り画像形成部を制御する。
【0024】
(3)以上の(1)〜(2)において、前記制御部は、設定された精度に基づいて、前記第2マークと前記第3マークとの位置を照合し、前記第2マークと前記第3マークとの位置関係に応じて前記追い刷り画像形成部が追い刷り画像を形成する位置を調整する。
(4)以上の(1)〜(3)において、前記下地画像形成部は、前記追い刷り調整区間において、前記第1マーク1個に対して前記第2マークを複数の異なる位置に形成し、前記制御部は、前記追い刷り調整区間で、前記第1マーク1個に対して複数の異なる位置で前記追い刷り画像形成部により第3マークを形成し、前記第2読み取り部の読み取り結果により、複数の位置で前記第2マークと前記第3マークとの位置を照合する。
【0025】
(5)以上の(1)〜(
4)において、前記長尺用紙において下地画像又は追い刷り画像を形成する区間を画像形成区間とした場合に、前記下地画像形成部は、前記画像形成区間の余白部分に前記第1マークと前記第2マークとを形成し、前記追い刷り画像形成部は、前記画像形成区間の余白部分に前記第3マークを形成し、前記制御部は、前記追い刷り調整区間に加えて画像形成区間においても、前記第2マークと前記第3マークとの位置を照合し、前記第2マークと前記第3マークとの位置関係に応じて前記追い刷り画像形成部が追い刷り画像を形成する位置を調整する。
【0026】
(
6)以上の(1)〜(
4)において、前記長尺用紙において下地画像又は追い刷り画像を形成する区間を画像形成区間とした場合に、前記下地画像形成部は、前記追い刷り調整区間では前記第1マークと前記第2マークとを形成し、前記画像形成区間の余白部分では前記第1マークを形成し、前記追い刷り画像形成部は、前記追い刷り調整区間に前記第3マークを形成し、前記制御部は、前記追い刷り調整区間において、前記第2マークと前記第3マークとの位置を照合して前記第2マークと前記第3マークとの位置関係に応じて追い刷り画像を形成する位置を調整し、前記画像形成区間において、前記第1マークの読み取り結果を参照して追い刷り画像を形成する位置を確認する。
【0027】
(
7)以上の(1)〜(
6)において、前記制御部は、前記追い刷り調整区間において、前記第2マークと前記第3マークとの位置が一致するように前記追い刷り画像形成部が追い刷り画像を形成する位置を調整する、ことを特徴とする。
(
8)以上の(1)〜(
6)において、
前記長尺用紙において下地画像又は追い刷り画像を形成する区間を画像形成区間とした場合に、前記制御部は、前記追い刷り調整区間において照合された前記第2マークと前記第3マークとの位置関係が所定の距離を有する状態である場合に、追い刷り画像を形成する前記画像形成区間において前記所定の距離を有する状態を解消するように前記追い刷り画像形成部が追い刷り画像を形成する位置を調整する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一側面が反映された画像形成システム及び画像形成装置並びに画像形成制御プログラムによると、以下のような効果が得られる。
(1)本発明の一側面が反映された画像形成システム及び画像形成装置並びに画像形成制御プログラムでは、長尺用紙に対して下地画像を形成した後に追い刷り画像を形成する際に、下地画像形成部は、追い刷り調整区間で、追い刷りでの位置確認に使用される第1マークと、第1マークに対して所定距離の位置で追い刷りでの位置照合に使用される第2マークとを形成し、追い刷り画像形成部は、追い刷り調整区間で、第1マークの読み取り結果により追い刷りの位置確認を行い、第1マークに対して所定距離の位置で追い刷り画像形成部により第3マークを形成し、制御部は、第2マークと第3マークの読み取り結果により位置を照合し、第2マークと第3マークとの位置関係に応じて追い刷り画像形成部が追い刷り画像を形成する位置を調整する。
【0029】
この結果、第1マーク(アイマーク)を検出できても追い刷り位置がずれる状況において、第1マークから所定距離に下地画像形成で形成された第2マークと、第1マークから所定距離に追い刷り画像形成で形成された第3マークとの位置照合を行うことで、下地画像形成と追い刷り画像形成との正確な位置合わせが可能になる。
【0030】
(2)以上の(1)において、長尺用紙の搬送方向に沿って複数個の第2マークの列を、搬送方向とは直交する方向に複数形成しておき、追い刷り調整区間において、ある列において第2マークと第3マークとの位置を照合により一致が確認できない場合には、別の列において第2マークと第3マークとの位置の照合により追い刷り画像を形成する位置を調整する。
【0031】
この結果、第1マーク(アイマーク)を検出できても追い刷り位置がずれる状況において、第1マークから所定距離に下地画像形成で形成された第2マークと、第1マークから所定距離に追い刷り画像形成で形成された第3マークとの位置照合を、繰り返し実行することが可能になり、下地画像形成と追い刷り画像形成との正確な位置合わせが可能になる。また、追い刷り調整区間を短く設定して長尺用紙の無駄を省きつつ、位置照合を繰り返し実行することで、下地画像形成と追い刷り画像形成との正確な位置合わせが可能になる。
【0032】
(3)以上の(1)〜(2)において、設定された精度に基づいて、第2マークと第3マークとの位置を照合し、第2マークと第3マークとの位置関係に応じて追い刷り画像を形成する位置を調整することで、必要な精度に応じた範囲内で下地画像形成と追い刷り画像形成との位置合わせが可能になる。
【0033】
(4)以上の(1)〜(3)において、追い刷り調整区間において、下地画像形成部は第1マーク1個に対して第2マークを複数の異なる位置に形成し、追い刷り画像形成部は第1マーク1個に対してに対して複数の異なる位置で第3マークを形成し、複数の位置で第2マークと第3マークとの位置を照合することで、下地画像形成と追い刷り画像形成とについて広い範囲で正確な位置合わせが可能になる。
【0035】
(
5)以上の(1)〜(
4)において、追い刷り調整区間に加えて画像形成区間においても、第2マークと第3マークとの位置を照合して調整することで、下地画像形成と追い刷り画像形成とについて長尺用紙の始めから終わりに至るまで正確な位置合わせが可能になる。
【0036】
(
6)以上の(1)〜(
4)において、追い刷り調整区間でのみ第2マークと第3マークとの位置を照合して調整することで、正確な位置合わせが可能にしつつ、画像形成区間において余白の少ない状態で無駄のない画像形成が可能になる。
(
7)以上の(1)〜(
6)において、追い刷り調整区間において、第2マークと第3マークとの位置が一致するように追い刷り画像形成部が追い刷り画像を形成する位置を調整することで、第1マーク(アイマーク)を検出できても追い刷り位置がずれる状況において、第1マークから所定距離に下地画像形成で形成された第2マークと、第1マークから所定距離に追い刷り画像形成で形成された第3マークとを一致させるように調整し、下地画像形成と追い刷り画像形成との正確な位置合わせが可能になる。
【0037】
(
8)以上の(1)〜(
6)において、
長尺用紙において下地画像又は追い刷り画像を形成する区間を画像形成区間とした場合に、追い刷り調整区間において照合された第2マークと第3マークとの位置関係が所定の距離を有する状態である場合に、追い刷り画像を形成する画像形成区間において所定の距離を有する状態を解消するように追い刷り画像形成部が追い刷り画像を形成する位置を調整することで、第1マーク(アイマーク)を検出できても追い刷り位置がずれる状況において、追い刷り調整区間における所定の距離を有する状態は、追い刷り画像を形成する画像形成区間では解消され、下地画像形成と追い刷り画像形成との正確な位置合わせが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照して、画像形成システム及び画像形成制御プログラムにおいて、ロール状の長尺用紙を用いて追い刷りを伴う画像形成を正確に実行する実施形態を詳細に説明する。
なお、画像形成システム1や画像形成装置100の動作が画像形成制御方法である。また、画像形成システム1や画像形成装置100の動作を制御する制御部101の制御は、画像形成制御プログラムに基づいて行われる。
【0040】
〔画像形成システムの構成〕
ここで、給紙装置50と画像形成装置100と排紙装置200とがセットされた画像形成システム1の構成例を、
図1と
図2に基づいて詳細に説明する。
なお、給紙装置50と画像形成装置100と排紙装置200とがセットされた画像形成システム1は、画像形成システムの一例を示しており、図示されない他の後処理装置などが接続されていても良い。また、本実施形態では下地画像形成と追い刷り画像形成とを行うことを想定しているが、下地画像形成については図示されない他の画像形成装置で実行しても良いし、画像形成装置100で実行しても良い。なお、追い刷り画像形成については、追い刷り画像形成部としての画像形成装置100で実行する。
【0041】
給紙装置50は、制御部51と、通信部52と、給紙部55と、給紙調整部56と、搬送部58と、センサ59と、を備えて構成されている。制御部51は、後述する制御部101の指示に基づいて、給紙装置50内の各部を制御する。通信部52は、セットされている画像形成装置100等の他の装置と通信する。給紙部55は、用紙ロールから長尺用紙を画像形成装置100に向けて給紙する。給紙調整部56は、給紙部55から給紙される用紙の張り具合や弛み具合を調整しつつ、搬送速度の変動を吸収する。搬送部58は、給紙装置50内で用紙を搬送する。センサ59は、用紙搬送に関して各種状態を検知する。
【0042】
画像形成装置100は、制御部101と、通信部102と、プリントコントローラ103と、記憶部104と、操作表示部105と、画像形成搬送部107と、センサ109と、原稿読取部110と、RIP処理部120と、データ記憶部130と、画像処理部140と、画像形成部150と、定着部160と、出力物読取部190と、を備えて構成されている。
【0043】
制御部101は、画像形成装置100内の各部を制御する。通信部102は、セットされている他の装置(外部機器や給紙装置50や排紙装置200等)と通信する。プリントコントローラ103は、外部機器からページ記述言語で記述されたジョブデータを受信して必要に応じて記憶する。記憶部104は、各種設定を記憶する。操作表示部105は、利用者による操作入力の受け付けと画像形成装置100の状態表示とを行う。画像形成搬送部107は、装置内で用紙を搬送する。センサ109は、画像形成と用紙搬送に関して用紙の各種状態を検知する。原稿読取部110は、撮像素子により原稿の画像を読み取って原稿画像データを生成する。
【0044】
RIP処理部120は、プリントコントローラ103が受信したページ記述言語で記述されたRIP処理前のジョブデータに対してRIP処理を実行し、画像形成可能なビットマップ形式の画像データに変換する。データ記憶部130は、画像形成する際の画像データや各種データを記憶する。なお、データ記憶部130は、画像データを受け入れる読込用画像メモリと、受け入れた画像データを画像形成用に出力するプリント用画像メモリと、を備えて構成されている。画像処理部140は、画像形成に必要な各種画像処理を実行する。画像形成部150は、画像形成命令と、データ記憶部130内のプリント用画像メモリに格納された画像データとに基づいて用紙上に画像を形成する。定着部160は、用紙上に形成されたトナーによる画像を熱と圧力とで安定させる。出力物読取部190は、用紙上の画像を読み取り、読み取り画像データを生成する。
【0045】
排紙装置200は、制御部201と、通信部202と、切断部203と、排紙調整部205と、搬送部206と、排紙部208と、センサ209と、を備えて構成されている。制御部201は、制御部101の制御に基づいて、排紙装置200内の各部を制御する。通信部202は、セットされている画像形成装置100等の他の装置と通信する。切断部203は、所定位置で長尺用紙を切断する。排紙調整部205は、画像形成装置100から排紙される用紙の張り具合を調整しつつ搬送速度の変動を吸収する。搬送部206は、排紙装置200内で用紙を搬送する。排紙部208は、画像形成装置100からの長尺用紙をロール形状に巻き取りつつ、用紙ロールとして排紙する。センサ209は、用紙搬送に関して各種状態を検知する。
【0046】
以上の画像形成システム1、画像形成装置100において、画像形成部150で用紙上において第1方向の画像形成を、第1方向と直交する第2方向(用紙搬送方向)に繰り返すことで、2次元の画像形成を実行している。従って、本実施形態では、この第1方向を主走査方向、第2方向を副走査方向と定義する。
【0047】
また、
図1と
図2では、給紙装置50,画像形成装置100,排紙装置200による画像形成システム1として、長尺用紙を扱う場合を具体例として示している。ここで、長尺用紙とは、定型サイズの用紙よりも搬送方向の用紙長が長い用紙を意味している。また、
図2において、画像形成部150として複数色で画像形成を行うものを示しているが、これに限定されず、モノクロの画像形成を行う画像形成部150であっても良い。なお、給紙や画像形成や排紙に関しては各種の構造が考えられるため、
図1〜
図2では一例を示しており、この具体例に示される構成や形態に限定されるものではない。
【0048】
〔実施形態の動作〕
以下、
図3のフローチャート、
図4以降の各種説明図を用いて、長尺用紙PLに対して下地画像形成と追い刷り画像形成とを行う本実施形態の動作説明を行う。
長尺用紙PLにおいて、追い刷りでの位置ずれが発生しやすいのはジョブの先頭部分が多くなる。そのため、追い刷り画像形成時に、追い刷り画像を画像形成する前に追い刷り位置、倍率が調整済みであることが望ましい。
【0049】
そこで、長尺用紙PLにおいて、下地画像又は追い刷り画像を形成する区間を画像形成区間、追い刷り画像形成時において画像形成区間より用紙先端側の一定の領域を追い刷り調整区間、と定義する。
ここで、画像形成区間における追い刷り画像形成での位置確認に使用される第1マークとしての既存の「アイマーク」に加え、本実施形態では、追い刷り調整区間において、第1マークと共に、第1マークに対して所定距離の位置で追い刷りでの位置照合に使用される第2マークとして「チェックマーク」を、下地画像形成装置が長尺用紙PLに形成しておく。そして、画像形成装置100で追い刷り画像形成を実行する際に、追い刷り調整区間において、第1マークに対して所定距離に第3マークとしての「追い刷りチェックマーク」を追い刷りする。
【0050】
そして、画像形成装置100では、追い刷り調整区間において、第2マークとしてのチェックマークと第3マークとしての追い刷りチェックマークとの位置を照合し、第2マークと第3マークとの位置関係に応じて、追い刷り画像を形成する位置を調整する。
なお、ここでは、追い刷り調整区間における第2マークと第3マークとの位置関係として、
・位置関係1:「第2マークと第3マークとが一致する状態」、
・位置関係2:「第2マークと第3マークとが所定の距離を有する状態」、
との2種類を想定することができる。
【0051】
以下の説明では、位置関係1(第2マークと第3マークとが一致する状態)を具体例にして全体の説明を行うことにする。
このため、追い刷り調整区間の区間長さ、第1マーク位置、第1マーク個数、第1マーク間隔、第2マーク個数、第2マーク位置(第1マークから第2マークまでの所定距離)等の各種情報を、追い刷り調整区間情報として、下地画像形成を実行する画像形成装置と追い刷り画像形成を実行する画像形成装置との間で情報共有しておく。
【0052】
また、長尺用紙PLにおいて、追い刷りでの位置ずれが発生しやすいのはジョブの先頭部分が多くなる。そのため、追い刷り画像形成時に、追い刷り画像を画像形成する前に追い刷り位置、倍率が調整済みであることが望ましい。
まず、下地画像形成を行う画像形成装置(画像形成装置100又は図示されない外部の画像形成装置:以下、「下地画像形成装置」と呼ぶ)は、追い刷り画像形成における通紙方向の情報を入手する。ここで、追い刷り画像形成の通紙方向が、下地画像形成の通紙方向と同方向であるか、逆方向であるかを確認する。例えば、下地画像形成装置で排紙された長尺用紙PLのロールをそのまま追い刷り画像形成装置に供給すると通紙方向は逆方向になる。一方、下地画像形成装置で排紙された長尺用紙PLのロールを巻き直してから追い刷り画像形成装置に供給すると通紙方向は同方向になる。この通紙方向の情報は通信部経由で下地画像形成装置が入手しても良いし、オペレータが下地画像形成装置の操作部に情報を入力しても良い。
【0053】
追い刷り画像形成の通紙方向が下地画像形成と同方向である場合(
図3中のステップS100で「同方向」)、下地画像形成装置は、長尺用紙PLの先端から所定領域を追い刷り調整区間として確保する(
図3中のステップS101、
図4(a)又は
図5(a)中の追い刷り調整区間)。
【0054】
そして、下地画像形成装置は、追い刷り調整区間において、画像形成区間の画像の間隔と等しい間隔で、位置確認用の第1マークとしてのアイマークMK_eyeを画像形成する(
図3中のステップS102、
図4(a)又は
図5(a)の追い刷り調整区間中のMK_eye)。また、下地画像形成装置は、追い刷り調整区間において、第1マークから所定の距離の位置に第2マークとしてのチェックマークMK_ck1を画像形成する(
図3中のステップS103、
図4(a)又は
図5(a)の追い刷り調整区間中のMK_ck1)。
【0055】
下地画像形成装置は、以上の追い刷り調整区間における第1マークと第2マークの付与が完了した後、画像が小サイズ(余白大)であれば(
図3中のステップS104で「小」)、位置確認用の第1マークとしてのアイマークMK_eyeを画像形成し(
図3中のステップS105、
図4(a)の画像形成区間中のMK_eye)、第2マークとしてのチェックマークMK_ck1を画像形成し(
図3中のステップS106、
図4(a)の画像形成区間中のMK_ck1)、下地画像を画像形成する(
図3中のステップS107、
図4(a)の画像形成区間中のG_dwn)。
【0056】
一方、下地画像形成装置は、以上の追い刷り調整区間における第1マークと第2マークの付与が完了した後、画像が大サイズ(余白小)であれば(
図3中のステップS104で「大」)、位置確認用の第1マークとしてのアイマークMK_eyeを画像形成し(
図3中のステップS108、
図5(a)の画像形成区間中のMK_eye)、下地画像を画像形成する(
図3中のステップS109、
図5(a)の画像形成区間中のG_dwn)。
【0057】
そして、下地画像形成装置は、画像形成区間におけるマーク付与と画像形成とを予め定められた所定の枚数分実行(
図3中のステップS110)した後に、下地画像形成の処理を完了する。
また、追い刷り画像形成の通紙方向が下地画像形成と逆方向である場合(
図3中のステップS100で「逆方向」)、下地画像形成装置においては、長尺用紙PLの先端から画像形成区間が始まり、長尺用紙PLの後端側に追い刷り調整区間が存在する。なお、追い刷り画像形成の通紙方向が下地画像形成と逆方向である場合には、下地画像形成では、長尺用紙PLの給紙方向が逆になるだけでなく、マークや下地画像の向きも追い刷り画像形成とは異なる向きである。
【0058】
そして、下地画像形成装置は、画像が小サイズ(余白大)であれば(
図3中のステップS111で「小」)、下地画像を画像形成し(
図3中のステップS112、
図6(a)の画像形成区間中のG_dwn)、第2マークとしてのチェックマークMK_ck1を画像形成し(
図3中のステップS113、
図6(a)の画像形成区間中のMK_ck1)、位置確認用の第1マークとしてのアイマークMK_eyeを画像形成する(
図3中のステップS114、
図6(a)の画像形成区間中のMK_eye)。
【0059】
また、下地画像形成装置は、画像が大サイズ(余白小)であれば(
図3中のステップS111で「大」)、下地画像を画像形成し(
図3中のステップS115、
図6(b)の画像形成区間中のG_dwn)、位置確認用の第1マークとしてのアイマークMK_eyeを画像形成する(
図3中のステップS116、
図6(b)の画像形成区間中のMK_eye)。
【0060】
下地画像形成装置は、以上の画像形成区間における画像形成とマークの付与が完了した後、長尺用紙PLの後端の所定領域を追い刷り調整区間として確保する(
図3中のステップS118)。また、下地画像形成装置は、追い刷り調整区間において、画像形成区間の画像の間隔と等しい間隔で、第1マークから所定の距離の位置になるように第2マークとしてのチェックマークMK_ck1を画像形成し(
図3中のステップS119、
図6(a)又は
図6(b)の追い刷り調整区間中のMK_ck1)、位置確認用の第1マークとしてのアイマークMK_eyeを画像形成する(
図3中のステップS120、
図6(a)又は
図6(b)の追い刷り調整区間中のMK_eye)。そして、下地画像形成装置は、追い刷り調整区間におけるマーク付与を予め定められた所定の枚数分実行した後に、下地画像形成の処理を完了する。
【0061】
下地画像形成装置により下地画像形成された長尺用紙PLのロールは、オペレータにより追い刷り画像形成装置としての画像形成装置100を有する画像形成システム1の給紙装置50にセットされる。
なお、
図4又は
図5の状態で下地画像形成された長尺用紙PLは、下地画像形成装置で排紙された状態のロールを巻き直してから給紙装置50にセットされる。一方、
図6の状態で下地画像形成された長尺用紙PLは、下地画像形成装置で排紙された状態のロールを巻き直しせずに給紙装置50にセットされる。これにより、いずれの場合であっても、
図4(b)や
図5(b)のような状態で、追い刷り調整区間の後に画像形成区間が存在するようにして追い刷り画像形成が実行されるようになる。
【0062】
また、既に説明したように、追い刷り調整区間の区間長さ、第1マーク位置、第1マーク個数、第1マーク間隔、第2マーク個数、第2マーク位置(第1マークから第2マークまでの所定距離)等の各種情報を、追い刷り調整区間情報として、画像形成装置100の制御部101が把握している。
【0063】
まず、画像形成装置100の制御部101は、追い刷り調整区間で実行される位置調整の精度の設定を行う(
図4中のステップS200)。この精度の設定は、予め画像形成装置100の記憶部104にセットされる精度設定値を用いても良いし、ユーザ毎や顧客毎や用途別に設定される精度設定値を用いても良いし、ジョブを実行する毎に操作表示部105において入力される精度設定値を用いても良い。また、この精度設定値については、「高/中/低」や「高/低」といった相対精度設定値であっても良いし、「ずれ許容値≧0.1mm」といった絶対精度設定値であっても良い。
【0064】
給紙装置50にセットされた長尺用紙PLが画像形成装置100に給紙されると、センサ109により、位置確認用の第1マークとしてのアイマークMK_eyeが読み取られる(
図3中のステップS201)。
その時点で長尺用紙PLにおいて追い刷り調整区間であれば(
図3中のステップS202でYES)、長尺用紙PL上において、読み取られたアイマークMK_eyeから所定の距離の位置に、第3マークとしての追い刷りチェックマークMK_ck2を形成するように、制御部101は画像形成部150を制御する(
図3中のステップS203)。
【0065】
ここで、画像形成装置100において追い刷りチェックマークMK_ck2を形成する位置(アイマークMK_eyeから所定距離)は、下地画像形成装置においてチェックマークMK_ck1を形成する位置(アイマークMK_eyeから所定距離)と同じである。但し、下地画像形成装置の定着により長尺用紙PLが収縮したり、何らかの事情により下地画像形成装置や画像形成装置100での倍率がずれている、といった要因により、チェックマークMK_ck1が形成された位置と追い刷りチェックマークMK_ck2が形成された位置とが完全に一致するとは限らない。
【0066】
そこで、制御部101は、出力物読取部190でのチェックマークMK_ck1と追い刷りチェックマークMK_ck2との読み取り結果を用いて、チェックマークMK_ck1と追い刷りチェックマークMK_ck2の位置が一致しているかを照合する(
図3中のステップS205)。
【0067】
制御部101は、チェックマークMK_ck1と追い刷りチェックマークMK_ck2の位置が一致していれば(
図3中のステップS205で「一致」)、追い刷り調整を完了する(
図3中のステップS205)。一方、制御部101は、チェックマークMK_ck1と追い刷りチェックマークMK_ck2の位置が一致していなければ(
図3中のステップS205で「不一致」)、ずれ量に応じて当該ずれを解消するように、画像形成部150での追い刷り画像形成における画像形成位置や画像形成倍率を調整する(
図3中のステップS206)。
【0068】
図4(b)と
図5(b)の追い刷り調整区間において、チェックマークMK_ck1(黒の「+」)と追い刷りチェックマークMK_ck2(グレーの「+」)とは、長尺用紙PLの先端から4組目までは徐々に近づきながらも不一致であり、長尺用紙PLの先端から5組目では一致した状態(追い刷り調整完了)を示している。なお、チェックマークMK_ck1と追い刷りチェックマークMK_ck2の色や形状は、ここに示した具体例に限定されるものではない。
【0069】
そして、センサ109により位置確認用の第1マークとしてのアイマークMK_eyeが読み取られ(
図3中のステップS201)、その時点で長尺用紙PLにおいて追い刷り調整区間でなければ(
図3中のステップS202でNO)、制御部101は、追い刷り調整が完了している(
図3中のステップS205)か否か(完了に到達していないか)を判定する(
図3中のステップS207)。
【0070】
追い刷り調整が完了していない場合(
図3中のステップS207でNO)、制御部101は、追い刷り調整区間において未使用のチェックマークMK_ck1が存在しているかを確認する(
図3中のステップS208)。
図7に示す例では、追い刷り調整区間において、全てのチェックマークMK_ck1に対して追い刷りチェックマークMK_ck2が追い刷りされていて、全てにおいてチェックマークMK_ck1と追い刷りチェックマークMK_ck2の位置が不一致である。すなわち、未使用、すなわち追い刷りチェックマークMK_ck2が追い刷りされていないチェックマークMK_ck1は存在していない(
図3中のステップS208でNO)。この場合、制御部101は、追い刷り調整が完了しなかったため、追い刷り画像形成を中止し、操作表示部105においてエラー状態を表示させる(
図3中の「追い刷り画像形成・エラーエンド」)。
【0071】
一方、
図8(a)に示す例では、追い刷り調整区間において、長尺用紙PLの搬送方向に沿って複数個(ここでは5個)のチェックマークMK_ck1の列を、搬送方向とは直交する方向(主走査方向)に複数列形成しておく。ここでは、搬送方向に沿った5個のチェックマークMK_ck1の列が、主走査方向に5列並んで形成された状態を示す。
【0072】
図8(b)に示す例では、追い刷り調整区間において、アイマークMK_eyeと同列(主走査方向同位置)の全てのチェックマークMK_ck1に対して、追い刷りチェックマークMK_ck2が追い刷りされていて、チェックマークMK_ck1と追い刷りチェックマークMK_ck2の位置が不一致である。すなわち、追い刷り調整区間を過ぎても(図中のステップS202でNO)、追い刷り調整が完了していない(
図3中のステップS207でNO)。
【0073】
ここで、未使用、すなわち追い刷りチェックマークMK_ck2が追い刷りされていないチェックマークMK_ck1が隣の列に存在している(
図3中のステップS208でYES)。
この場合、制御部101は、未使用チェックマークMK_ck1で追い刷り調整を行うように各部を設定し(
図3中のステップS209)、長尺用紙PLを巻き戻して給紙装置50に再セットするように操作表示部105に表示を行って、オペレータに長尺用紙PLの再セットを促す(
図3中のステップS210)。長尺用紙PLが給紙装置50に再セットされると、制御部101はステップS200に戻って、未使用のチェックマークMK_ck1を用いて追い刷り調整を開始する(
図8(c))。なお、この際に、オペレータは追い刷り調整区間で実行される位置調整の精度の設定を変更する(
図4中のステップS200)ことも可能である。
【0074】
このように、複数列のチェックマークMK_ck1を用意しておくことで、追い刷り調整を複数回実行することが可能になる。この結果、画像形成区間に位置ずれの生じた追い刷り画像形成をすることがなくなり、長尺用紙PLを無駄にすることがなくなる。
図8(c)の場合には、2列目のチェックマークMK_ck1を用いて追い刷り調整を再開し、上から3個目でチェックマークMK_ck1と追い刷りチェックマークMK_ck2とが一致(
図3中のステップS204でYES、S205、S207でYES)した例を示している。この後、制御部101は、画像形成区間において、センサ109で読み取られたアイマークに合わせて、下地画像G_dwnに重ねて追い刷り画像G_upを画像形成するように画像形成部150を制御する(
図3中のステップS210)。
【0075】
なお、この下地画像G_dwnに追い刷り画像G_upが追い刷りされた状態について、制御部101は、出力物読取部190でヤレ検知を行い(
図3中のステップS211)、追い刷り画像形成とヤレ検知とを所定画像分繰り返して実行する(
図3中のステップS212、
図4(b)の画像形成区間、
図5(b)の画像形成区間、
図8(c)の画像形成区間を参照)。
【0076】
ところで、下地画像と追い刷り画像とに余白(特に主走査方向の端部の余白)があって、画像形成区間でもチェックマークMK_ck1と追い刷りチェックマークMK_ck2とを形成することが可能な場合には(
図4、
図8参照)、チェックマークMK_ck1と追い刷りチェックマークMK_ck2との位置の照合によって、追い刷り画像形成についてのヤレ検知(
図3中のステップS211)を実行することが可能である。この場合、高精度かつ高速なヤレ検知が可能になる。
【0077】
一方、下地画像と追い刷り画像とに余白(特に主走査方向の端部の余白)が少なく、画像形成区間ではチェックマークMK_ck1と追い刷りチェックマークMK_ck2とを形成することが困難な場合には(
図5参照)、下地画像と追い刷り画像との位置関係を画像認識することによりヤレ検知(
図3中のステップS211)を実行することが可能である。この場合、用紙の主走査方向の全体を使った画像形成が可能になる。
【0078】
なお、以上の具体例において、チェックマークMK_ck1と追い刷りチェックマークMK_ck2の位置は、アイマークMK_eyeと主走査方向と同一位置で用紙搬送方向に異なる位置である場合を示してきたが、これに限定されるものではない。また、以上の具体例において、チェックマークMK_ck1と追い刷りチェックマークMK_ck2の位置は、用紙搬送方向において、アイマークMK_eyeと次のアイマークMK_eyeとの中間付近の位置である場合を示してきたが、これに限定されるものではない。
【0079】
例えば、
図9(a)のように、長尺用紙PL上において、追い刷り画像G_upの主要部が、チェックマークMK_ck1と追い刷りチェックマークMK_ck2の主走査方向位置や用紙搬送方向位置と離れている場合を想定する。なお、追い刷り画像G_upの重要部分や着目すべき部分や目立つ部分が、チェックマークMK_ck1と追い刷りチェックマークMK_ck2の主走査方向位置と離れている場合も同様である。
【0080】
このような場合、理想的には、
図9(a)のような適正位置、例えば、下地画像「A」の下端部と追い刷り画像の「◎」とが接触しているとする。
しかし、
図9(b)のように、チェックマークMK_ck1と追い刷りチェックマークMK_ck2との位置が一致しているにもかかわらず、画像形成倍率の違いや用紙収縮に起因して、チェックマークMK_ck1と追い刷りチェックマークMK_ck2から離れた位置において、下地画像「A」の下端部と追い刷り画像の「◎」とが接触しない不適切な状態になることもある。
【0081】
そこで、
図9(c)に示すように、複数の異なる位置のチェックマークMK_ck1と追い刷りチェックマークMK_ck2との位置を照合することも望ましい。なお、ここでは、用紙搬送方向に複数の位置で照合を行っているが、主走査方向に複数の位置で照合を行うことや、用紙搬送方向と副走査方向で異なる複数の位置で照合を行っても良い。この場合、複数点の位置調整だけでなく、複数点の位置を参照して倍率の調整も容易に行えるようになる。また、複数は2に限られず、3以上であっても良い。また、使用しないチェックマークMK_ck1については、画像形成しても良いし、画像形成しなくても良い。
【0082】
また、
図9(d)に示すように、アイマークMK_eyeから最も遠い位置に存在するチェックマークMK_ck1と追い刷りチェックマークMK_ck2との位置を照合することも望ましい。この場合、最も遠い位置であるため、誤差成分が出やすくなっており、位置照合を正確に行うことが可能になる。なお、ここでは、主走査方向と用紙搬送方向の両方で最も遠い位置を設定しているが、用紙搬送方向で最も遠い位置(主走査方向はアイマークMK_eyeと同じ又は近く)や、主走査方向で最も遠い位置(用紙搬送方向はアイマークMK_eyeと同じ又は近く)であっても良い。この場合も、使用しないチェックマークMK_ck1については、画像形成しても良いし、画像形成しなくても良い。
【0083】
〔その他の実施形態(1)〕
以上の実施形態では、長尺用紙PLにおける追い刷り画像を形成する際の先端側に定められた追い刷り調整区間と、追い刷り調整区間の後の画像形成区間とを説明してきた。但し、追い刷り調整区間において、チェックマークMK_ck1と追い刷りチェックマークMK_ck2との位置が一致しない場合に(
図3中のステップS207でNO)、ヤレ画像を出さないためには、画像形成区間における追い刷り画像形成を開始せずに長尺用紙PLの搬送を停止させる必要がある。
【0084】
そこで、一番先に中間転写体に転写される一次転写位置から二次転写位置までの距離と、画像形成部150の転写位置(二次転写位置)から出力物読取部190の読み取り位置との間の距離とを加算した距離に対応する緩衝区間(
図10中の「緩衝区間」)を、長尺用紙PLにおいて追い刷り調整区間と画像形成区間との間に設けておくことが望ましい。
【0085】
〔その他の実施形態(2)〕
また、以上の実施形態では、出力物読取部190での読み取り結果を参照して、チェックマークMK_ck1と追い刷りチェックマークMK_ck2との位置を照合していたが、これに限定されるものではない。例えば、画像形成部150の転写位置直後に、チェックマークMK_ck1と追い刷りチェックマークMK_ck2との位置を照合する専用のセンサを設けることも可能である。この場合、上述した緩衝区間を短くすることができる。
【0086】
〔その他の実施形態(3)〕
また、以上の実施形態において、追い刷り調整区間の途中で追い刷りが完了したため追い刷り調整区間が残っている場合であって、複数のチェックマークMK_ck1が下地画像形成で形成されている場合には、それまでと異なる他の位置のチェックマークMK_ck1に追い刷りチェックマークMK_ck2を追い刷りして位置の照合を行うようにしても良い。この場合には、より精度の高い追い刷り調整が可能になる。
【0087】
〔その他の実施形態(4)〕
また、以上の実施形態において、位置確認用のアイマークを第1マークの具体例として説明してきたが、アイマークと呼ばれるマーク以外の他のマークや印や線についても、本実施形態における第1マークと同様に使用される場合には、本実施形態の変形例である。その他、本実施形態の趣旨に反しない範囲での各種の変形が可能であり、これらも本実施形態の変形例に含まれるものである。
【0088】
また、第2マークとしてのチェックマークや第3マークとしての追い刷りチェックマークについても各種の変形が可能である。例えば、第2マークと第3マークとは同一形状に限定されるものではなく、位置の一致/不一致の照合が可能な各種の変形(色、線種、線太さ、形状など)が可能である。例えば、第2マークとしてのチェックマークMK_ck1は「○」や「□」や「◇」のような外枠を有する形状、第3マークとしての追い刷りチェックマークMK_ck2は「+」や「×」のような中心付近に交点を有する形状とすることで、一致や不一致の確認が容易になる。
〔その他の実施形態(4)〕
以上の説明では、追い刷り調整区間における第2マーク(チェックマークMK_ck1)と第3マーク(追い刷りチェックマークMK_ck2)との位置関係として、位置関係1(第2マークと第3マークとが一致する状態)を具体例にして全体の説明をしてきた。
【0089】
これに対し、追い刷り調整区間における第2マーク(チェックマークMK_ck1)と第3マーク(追い刷りチェックマークMK_ck2)との位置関係として、位置関係2(第2マークと第3マークとが所定の距離を有する状態)とすることも可能である。
この場合、追い刷り調整区間において照合された第2マークと第3マークとの位置関係が所定の距離を有する状態になった場合に、制御部101は、追い刷り画像を形成する画像形成区間において、その所定の距離を有する状態を解消するように、画像形成部100が追い刷り画像を形成する位置を調整する。
【0090】
これにより、第1マーク(アイマーク)を検出できても追い刷り位置がずれる状況において、追い刷り調整区間における所定の距離を有する状態は、追い刷り画像を形成する画像形成区間では解消され、下地画像形成と追い刷り画像形成との正確な位置合わせが可能になる。
【0091】
なお、この「所定の距離を有する状態」とは、「予め定められた距離=所定値の状態」であっても良いし、「追い刷り調整区間の最終段階での照合で得られた任意の距離を有する状態」であっても良い。また、所定の距離を有する状態として、追い刷り調整区間の最終段階での照合で得られた任意の距離の状態とすることで、追い刷り調整区間において予め定められた一致や所定値に達しない場合であっても、追い刷り調整を完了させることが可能になるという利点が生じる。