(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記搬送速度変更検出部は、前記定着部の状態、前記定着部の状態遷移情報、ジョブ情報、給紙トレイ変更情報、定着温度、および、カバレッジのうちの少なくとも一つに基づいて、前記搬送速度の変更の有無を検出する請求項7に記載の画像形成装置。
前記制御部は、前記搬送速度変更検出部の検出結果に基づいて、前記加圧力を減少させた状態で搬送速度の変更を行う必要があるか否かを判断し、必要があると判断した場合に前記加圧力を減少させた状態で搬送速度を変更させるようにする一方、必要がないと判断した場合に前記加圧力に拘わらず搬送速度を変更させるように前記加圧力変更部および前記定着部を制御する請求項7または8に記載の画像形成装置。
前記制御部は、前記駆動開始または駆動停止による搬送速度の変更において、当該搬送速度の変更の前後における加圧力が同じ場合に、前記変更前後における加圧力よりも小さい加圧力で前記搬送速度を変更させた後に、前記加圧力を元の加圧力に変更させるように前記加圧力変更部を制御する請求項4に記載の画像形成装置。
前記制御部は、前記駆動中による搬送速度の変更において、当該搬送速度の変更の前後における加圧力が同じ場合に、前記変更前後における加圧力よりも小さい加圧力で前記搬送速度を変更させた後に、前記加圧力を元の加圧力に変更させるように前記加圧力変更部を制御する請求項1または4に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。
図2は、本実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す。
図1、2に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に転写(一次転写)し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙Sに転写(二次転写)することにより、画像を形成する。
【0015】
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0016】
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60および制御部100を備える。
【0017】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0018】
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0019】
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
【0020】
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
【0021】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0022】
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
【0023】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0024】
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
【0025】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。
図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
【0026】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。
【0027】
感光体ドラム413は、例えばドラム径が80[mm]のアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置411による露光により一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
【0028】
制御部100が感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413は一定の周速度で回転する。
【0029】
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成されることとなる。
【0030】
現像装置412は、例えば二成分現像方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
【0031】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。
【0032】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
【0033】
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0034】
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0035】
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
【0036】
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側(一次転写ローラー422と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
【0037】
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側(二次転写ローラー424と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
【0038】
ベルトクリーニング部426は、中間転写ベルト421の表面に摺接するベルトクリーニングブレード等を有し、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。なお、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成(いわゆるベルト式の二次転写ユニット)を採用しても良い。
【0039】
定着部60は、用紙Sの定着面(トナー像が形成されている面)側に配置される定着ローラー61、用紙の裏面(定着面の反対の面)側に配置される加圧ローラー64、清掃部66(
図3参照)等を備える。定着ローラー61に加圧ローラー64が圧接されることにより、用紙Sを挟持して搬送する定着ニップが形成される。
【0040】
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。
【0041】
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53a等の複数の搬送ローラー対を有する。
【0042】
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
【0043】
次に、
図2および
図3を参照し、定着部60の構成について説明する。
図3は、定着部60の構成を概略的に示す図である。なお、定着部60および制御部100は、定着装置として機能する。定着部60および制御部100は、ユニットとして構成されて画像形成装置1に取り付けられても良いし、それぞれが別々に画像形成装置1に組み込まれて、定着装置として機能するものであっても良い。
【0044】
定着ローラー61は、中央に内蔵されたハロゲンヒーター62,63と、アルミニウム、鉄もしくは銅、またはこれらの合金から円筒状に形成された芯金と、芯金の外表面
に位置してシリコンゴムやフッ素ゴム等から形成された耐熱性弾性体と、耐熱性弾性体を被覆したPFA(パーフルオロアルコシキ)もしくはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂から形成された離型層とから構成される。
【0045】
加圧ローラー64は、例えばステンレスからなる芯金と、芯金の外周面に位置してシリコンゴムの発泡体からなるゴムローラーと、ゴムローラーの外周面を被覆してPFAチューブから形成された離型層とから構成されている。
【0046】
加圧ローラー64は、押圧ばね76によって付勢されて、定着ローラー61に所定の加圧力(定着荷重)で圧接される。このようにして、定着ローラー61と加圧ローラー64との間には、用紙Sを挟持して搬送する定着ニップが形成される。
【0047】
制御部100は、図示しない駆動源(駆動モーター)を制御して、加圧ローラー64を矢印R2方向(反時計回り方向)に回転させる。駆動モーターの駆動制御(回転のオン/オフ、周速度等)は、制御部100によって行われる。加圧ローラー64の周速度は、例えば、330mm/s、570mm/sの2段階に設定される。加圧ローラー64の周速度が、定着部60により搬送される用紙Sの搬送速度に対応する。
【0048】
加圧ローラー64が矢印R2方向に駆動回転すると、定着ローラー61が矢印R1方向(時計回り方向)に従動する。用紙Sの定着時、定着ローラー61の周速度は、例えば、330mm/s、570mm/sの2段階となる。
【0049】
以上のように、定着部60において定着ローラー61および加圧ローラー64は、定着ニップで用紙Sを加熱、加圧しながら搬送することにより、未定着のトナー像を用紙S上に定着させる。
【0050】
用紙検出部65は、定着部60の排出口に設けられ、定着部60から排出される用紙Sを検出する。なお、用紙検出部65は、画像形成装置1の排紙部52に設けられてもよい。制御部100は、例えば、駆動停止による搬送速度の変更において、用紙検出部65が駆動停止前におけるプリント条件の最終の用紙Sを検出した場合に、搬送速度を変更させるように定着部60を制御する。
【0051】
清掃部66は、ウェッブとして長尺クリーニングシート67が巻芯68に巻かれた元巻ロール66Aから巻取軸66Bによって繰り出される長尺クリーニングシート67が、押さえローラー69によって、定着ローラー61に当接されて一定枚数の画像形成がなされ、次の一定枚数の画像形成のためにわずかに進められるまで固定され、定着時に定着ローラー61に付着したトナーをはじめとする異物が拭き取られるとともに、離型性を向上させるためのシリコンオイルを均一に塗布している。
【0052】
加圧力変更部73は、加圧レバー75、押圧ばね76、カム77、および、カムフォロア78等を備えている。
【0053】
加圧レバー75は、定着部60の本体に軸支される一端部75Aと、加圧ローラー64に当接された中間部75Bと、中間部75Bを間にして一端部75Aと反対側に位置する他端部75Cとを有する。
【0054】
押圧ばね76は、加圧レバー75の他端部75Cとカムフォロア78との間に圧縮された状態で配置されている。
【0055】
カム77は、モーター(図示略)により軸回りに回転するように定着部60の本体に設けられている。
【0056】
制御部100は、カム77を軸回りに回転させるようにモーターを制御して、カムフォロア78を
図3の上下方向における所定の複数位置に移動させ、カムフォロア78と加圧レバー75の他端部75Cとの間の距離を段階的に変更し、押圧ばね76の復元力(加圧レバー75を加圧ローラー64に当接させる力)を調整して、加圧ローラー64を定着ローラー61に圧接させた場合における所定の加圧力(定着荷重)をその大きさにより3段階(例えば、大加圧力、小加圧力、極小加圧力)に変更させる。ここで、加圧力(定着荷重)が本発明の「プリント条件の加圧力」に対応する。なお、プリント条件の加圧力は、上記の3段階に限らず、2以上の段階であれば良い。
【0057】
ところで、本実施の形態では、ジョブ同士を1つのジョブとして連結したジョブ結合において、異なる用紙条件が混在する場合に、生産性を上げるために、用紙条件が切り替わるタイミングで一時的な待機状態に入ることなく、連続したプリントが行われる。一方で、定着性や用紙搬送性を確保するために、用紙条件ごとにプリント条件における搬送速度や加圧力(定着荷重)などが変更される。ここで、連続したプリントとは、用紙条件(紙種、坪量、サイズ等)が切り替わる間でも、状態遷移をしないこと(一時的な待機状態に入ることなく常にプリント状態を維持すること)、および、駆動関連(給紙、FSや画像形成に伴う駆動系)が停止しないこと、これらの条件の少なくとも一つのことである。
【0058】
駆動開始または駆動停止による搬送速度の変更があり、その搬送速度と加圧力とが同時に変更されるような場合に、例えば、大きな加圧力の状態で、搬送速度が変更されると、加圧ローラー64などの定着部材の耐久性を低下させるおそれがある。定着部材の耐久性を低下させないために、搬送速度の変更は、なるべく小さな加圧力の状態で行われることが好ましい。
【0059】
そこで、制御部100は、定着部60を制御して用紙Sの搬送速度を変更させる場合、加圧力変更部73を制御し加圧力を減少させた状態で搬送速度を変更させる。ここで、「加圧力を減少させた状態」には、他の加圧力に対して減少した加圧力の状態をいう。具体的に言えば、加圧力の大きさが複数段階(例えば、大加圧力、小加圧力、極小加圧力の3段階)に区分けされる場合に、「加圧力を減少させた状態」とは、複数段階(3段階)のうちの小さい加圧力としての小加圧力および極小加圧力の各状態をいう。これにより、制御部100は、加圧力変更前に小加圧力の状態である場合に、加圧力を変更せずに小加圧力の状態のままで搬送速度を変更させることがある。
【0060】
駆動停止、駆動開始および駆動中における加圧力の大きさが、同様に3段階に区分けられる場合に、駆動停止における初期の加圧力は大加圧力であり、終期の加圧力は小加圧力である。このことから、駆動停止において、「搬送速度の変更前後の加圧力より小さい加圧力」は極小加圧力である。また、「搬送速度の変更前後の加圧力における小さい方の加圧力」は小加圧力である。
【0061】
また、駆動開始における初期の加圧力は小加圧力であり、終期の加圧力は大加圧力である。このことから、駆動開始において、「搬送速度の変更前後の加圧力より小さい加圧力」は極小加圧力である。また、「搬送速度の変更前後の加圧力における小さい方の加圧力」は小加圧力である。
【0062】
また、駆動中における加圧力は、プリント条件に対応しており、大加圧力であるか、または、小加圧力である。このことから、駆動中において、「搬送速度の変更前後の加圧力より小さい加圧力」は極小加圧力である。また、「搬送速度の変更前後の加圧力における小さい方の加圧力」は小加圧力である。
【0063】
制御部100は、具体的に、駆動停止による搬送速度の変更において、搬送速度を変更させる際の加圧力を上記3段階のうちの小加圧力とするか否かを判断し、小加圧力とする場合に、小加圧力で搬送速度を変更させるように、加圧力変更部73および定着部60を制御し、小加圧力としない場合に、上記3段階のうちの極小加圧力に変更してから搬送速度を変更させ、その後、小加圧力に変更させるように、加圧力変更部73および定着部60を制御する。
【0064】
また、制御部100は、駆動開始による搬送速度の変更において、搬送速度を変更させる際の加圧力を上記3段階のうちの小加圧力とするか否かを判断し、小加圧力とする場合に、小加圧力で搬送速度を変更させるように、加圧力変更部73および定着部60を制御し、小加圧力としない場合に、極小加圧力に変更してから搬送速度を変更させ、その後、大加圧力に変更させるように、加圧力変更部73および定着部60を制御する。
【0065】
搬送速度変更検出部74は、ユーザーにより選択される優先度モードに対応する検出対象の少なくとも1つに基づいて、搬送速度の変更の有無を検出する。ここで、検出対象とは、定着部60の状態、定着部60の状態遷移情報、ジョブ情報(現行ジョブ情報及び予約ジョブ情報を含む)、給紙トレイ変更情報、定着温度、および、カバレッジ等をいう。
【0066】
【表1】
優先度モードと検出対象との対応関係について、表1を参照して説明する。表1は、優先度モードと検出対象との対応関係を示す表である。
【0067】
制御部100は、搬送速度変更検出部74の検出結果に基づいて、加圧力を減少させた状態で搬送速度の変更を行う必要があるか否かを判断する。制御部100は、必要があると判断した場合に加圧力を減少させた状態で搬送速度を変更させるようにする一方、必要がないと判断した場合に加圧力に拘わらず搬送速度を変更させるように加圧力変更部73および定着部60を制御する。ここで、「加圧力に拘わらず」とは、加圧力を変更させることなく、を意味する。
【0068】
搬送速度変更検出部74は、表1に示すように、生産性優先モードの場合に、検出対象として、定着部60の状態、定着部60の状態遷移情報、ジョブ情報、給紙トレイ変更情報等の少なくとも1つに基づいて搬送速度の変更の有無を検出する。生産性優先モードでは、生産性を低下させるような制御(例えば、PPM制御)を行わないため、PPM制御に関係する因子は、検出対象から除かれる。ここで、PPM制御とは、画質や搬送性を優先するための制御である。制御部100は、搬送速度変更検出部74の検出結果に基づいて、例えば、加圧力を変更すると、生産性が低下すると判断した場合に、搬送速度を変更させる際の加圧力に拘わらず、搬送速度を変更させるように定着部60を制御する。ここで、「生産性の低下」とは、用紙Sの搬送方向に隣接する用紙S同士の隙間である紙間が拡大することをいう。
【0069】
また、搬送速度変更検出部74は、画質・搬送性優先モードの場合に、定着温度、カバレッジ等の少なくとも1つに基づいて搬送速度の変更の有無を検出する。画質・搬送性優先モードでは、PPM制御に関係する因子を検出対象として優先的に検出する。制御部100は、搬送速度変更検出部74の検出結果に基づいて、搬送速度の変更を行う必要があると判断した場合に、搬送速度を変更させる際の加圧力を複数段階のうちの小さい加圧力の段階とするように、加圧力変更部73を制御する。
【0070】
また、搬送速度変更検出部74は、耐久性優先モードの場合に、定着部60の状態、定着部60の状態遷移情報、ジョブ情報、給紙トレイ変更情報、定着温度、および、カバレッジ等の少なくとも1つに基づいて搬送速度の変更の有無を検出する。耐久性優先モードでは、定着部材への負荷の低減を優先した因子を検出するため、できるだけ多くの因子を検出対象とする。制御部100は、搬送速度変更検出部74の検出結果に基づいて、搬送速度の変更を行う必要があると判断した場合に、搬送速度を変更させる際の加圧力を複数段階のうちの小さい加圧力の段階とするように、加圧力変更部73を制御する。
【0071】
次に、
図4のフローチャートを参照し、本実施の形態における画像形成装置1の動作について説明する。なお、
図4に示す処理は、例えば印刷ジョブに対応する画像形成処理を実行する際に開始される。なお、本処理において、大加圧力をP1とし、小加圧力をP2(<P1)とし、極小加圧力をP3(<P2)する。
【0072】
先ず、ステップS100において、制御部100は、駆動開始または駆動停止による搬送速度の変更か否かを判断する。
【0073】
制御部100は、駆動開始または駆動停止による搬送速度の変更の場合(ステップS100:YES)、駆動停止による搬送速度の変更か否かを判断する(ステップS110)。
【0074】
一方で、制御部100は、駆動開始または駆動停止による搬送速度の変更がない場合(ステップS100:NO)、本処理を終了する。
【0075】
ステップS110において、駆動停止による搬送速度の変更の場合(ステップS110:YES)、制御部100は、小加圧力P2で搬送速度を変更させるか否かを判断する(ステップS120)。
ステップS120において、小加圧力P2で搬送速度を変更させる場合(ステップS120:YES)、制御部100は、大加圧力P1から小加圧力P2に変更し、小加圧力P2で搬送速度を変更させるように加圧力変更部73および定着部60を制御する(ステップS130)。その後、制御部100は本処理を終了する。
【0076】
ステップS110において、駆動停止による搬送速度の変更でない場合(ステップS110:NO)、制御部100は、大加圧力P1から極小加圧力P3に変更してから、搬送速度の変更を行い、その後、大加圧力P1に変更させるように、加圧力変更部73および定着部60を制御する(ステップS140)。その後、制御部100は本処理を終了する。
【0077】
ステップS120において、小加圧力P2で搬送速度を変更させない場合(ステップS120:NO)、制御部100は、小加圧力P2から極小加圧力P3に変更してから、搬送速度の変更を行い、その後、小加圧力P2に変更させるように、加圧力変更部73および定着部60を制御する(ステップS150)。その後、制御部100は本処理を終了する。
【0078】
上記実施の形態における画像形成装置1によれば、制御部100は、駆動開始または駆動停止による搬送速度の変更の場合に、搬送速度を変更させる際の加圧力を小加圧力P2または極小加圧力P3とするように加圧力変更部73を制御してから、搬送速度を変更させるように定着部60を制御する。これにより、搬送速度の変更を、小さな加圧力の状態で行うことができ、加圧ローラー64などの定着部材の耐久性を上げることができる。また、搬送速度を変更させる際に、待機状態に入ることがないため、生産性の低下を防止することができる。
【0079】
(変形例1)
次に、
図5のフローチャートを参照し、変形例1における画像形成装置1の動作について説明する。
【0080】
上記実施の形態においては、駆動停止または駆動開始による搬送速度の変更の場合に、プリント条件の加圧力を変更する処理について説明したが、変形例1では、プリント中(駆動中)による搬送速度の変更の場合に、プリント条件の加圧力を変更する処理について説明する。なお、本処理において、駆動中における大加圧力をP31、小加圧力をP32(<P31)とし、極小加圧力をP4(<P32)とする。
【0081】
先ず、ステップS200において、制御部100は、搬送速度の変更前後における変更前のプリント条件の最終の用紙Sを検出する用紙検出部65の検出結果に基づいて、プリント中による搬送速度の変更か否かを判断する。
【0082】
制御部100は、プリント中による搬送速度の変更の場合(ステップS200:YES)、本処理をステップS210に移す。
【0083】
一方で、制御部100は、プリント中による搬送速度の変更でない場合(ステップS200:NO)、本処理を終了する。
【0084】
ステップS210において、制御部100は加圧力の変更であるか否かを判断する。
【0085】
制御部100は、加圧力の変更である場合(ステップS210:YES)、大加圧力P31から小加圧力P32の変更であるか否かを判断する(ステップS220)。
【0086】
制御部100は、大加圧力P31から小加圧力P32の変更である場合(ステップS220:YES)、大加圧力P31から小加圧力P32に変更した後に、搬送速度を変更させるように加圧力変更部73および定着部60を制御する(ステップS230)。その後、制御部100は本処理を終了する。
【0087】
ステップS220において、制御部100は、小加圧力P32から大加圧力P31の変更である場合(ステップS220:NO)、搬送速度を変更させた後に、小加圧力P32から大加圧力P31に変更させるように、加圧力変更部73および定着部60を制御する(ステップS250)。その後、制御部100は本処理を終了する。
【0088】
ステップS210において、制御部100は、加圧力の変更でない場合(ステップS210:NO)、大加圧力P31(または小加圧力P32)から極小加圧力P4に変更させてから、搬送速度を変更させ、その後、元の大加圧力P31(または小加圧力P32)に変更させるように、加圧力変更部73および定着部60を制御する(ステップS240)。その後、制御部100は本処理を終了する。
【0089】
上記変形例1における画像処理装置1によれば、制御部100が、プリント中による搬送速度の変更の場合に、搬送速度を変更させる際の加圧力を加圧力P31,P32のうちの小さい加圧力である小加圧力P32または極小加圧力P4とするように加圧力変更部73を制御してから、搬送速度を変更させるように定着部60を制御する。これにより、搬送速度の変更を、小さな加圧力の状態で行うことができ、また、待機状態に入ることなく行うことができ、加圧ローラー64などの定着部材の耐久性を上げることができるとともに、生産性の低下を防止することができる。
【0090】
(変形例2)
次に、ユーザーにより生産性優先モードが選択された場合の一例として、
図6のフローチャートを参照し、変形例2における画像形成装置1の動作について説明する。なお、本変形例2における処理は、変形例1と基本的に同じ処理であり、変形例1と異なる処理は、生産性が低下する場合に、加圧力(定着荷重)の変更を行わずに、搬送速度のみの変更を行うことである。
【0091】
以下、変形例1と異なる処理について主に説明し、変形例1と同じ処理については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0092】
ステップS220において、大加圧力P31から小加圧力P32の変更である場合(ステップS220:YES)、制御部100は、小加圧力P32に変更させると、紙間が拡大するか否かを判断する(ステップS260)。
【0093】
ステップS260において、紙間が拡大しない場合(ステップS260:NO)、制御部100は、大加圧力P31から小加圧力P32に変更した後に、搬送速度を変更させるように加圧力変更部73および定着部60を制御する(ステップS230)。
【0094】
一方、ステップS260において、紙間が拡大する場合(ステップS260:YES)、制御部100は、加圧力を変更させずに、搬送速度のみを変更させるよう定着部60を制御する(ステップS270)。
【0095】
ステップ210において、加圧力の変更でない場合(ステップS210:NO)、制御部100は、極小加圧力P4に変更させると、紙間が拡大するか否かを判断する(ステップS280)。
【0096】
ステップS280において、紙間が拡大しない場合(ステップS280:NO)、制御部100は、大加圧力P31(または小加圧力P32)から極小加圧力P4に変更させてから、搬送速度を変更させ、その後、大加圧力P31(または小加圧力P32)に変更させように、加圧力変更部73および定着部60を制御する(ステップS240)。
【0097】
一方、ステップS280において、紙間が拡大する場合(ステップS280:YES)、制御部100は、加圧力を変更させずに、搬送速度のみを変更させるよう定着部60を制御する(ステップS270)。
【0098】
上記変形例2における画像処理装置1によれば、制御部100が、プリント中による搬送速度の変更において、紙間の拡大等のように生産性が低下する場合に、加圧力に拘わらず(加圧力を変更させず)、搬送速度を変更させるように定着部60を制御する。これにより、定着部材の耐久性を上げつつ、生産性の低下をさらに防止することができる。
【0099】
本発明は、画像形成装置1を含む複数のユニットで構成される画像形成システムに適用できる。複数のユニットには、例えば、後処理装置、ネットワーク接続された制御装置等の外部装置が含まれる。
【0100】
また、本発明において、制御部100は、駆動開始、駆動停止、または、駆動中による搬送速度の変更の前後の加圧力(加圧力の大きさを問わない)が同じ場合、その加圧力よりも小さな加圧力に変更した後に、搬送速度を変更させるように加圧力変更部73および定着部60を制御してもよい。これにより、定着部材の耐久性を上げることができる。
【0101】
また、上記実施の形態で、制御部100が加圧力に拘わらずに搬送速度を変更させるように定着部60を制御するか否かを、紙間の拡大に基づいて判断したが、本発明はこれに限らず、他の条件(例えば、カバレッジなど)に基づいて判断してもよい。
【0102】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明の実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0103】
[実施例]
最後に、本発明者が行った、上記実施の形態における有効性を確認する実験の結果について説明する。
【0104】
[実施例1、2における画像形成装置の構成]
実施例1、2における画像形成装置としては、
図1,2の構成を有する画像形成装置1を用いた。
【0105】
[実験1の条件]
図7に示すように、実験1の条件として、1サイクルの駆動開始および駆動停止による搬送速度の変更を1万サイクル実施した。1サイクルにおけるプリントでは、プリント200枚通紙を1万サイクル、合計で200万枚通紙を実施した。実施後に、加圧ローラーの耐久性を比較評価した。
【0106】
[実験1における実施例1、比較例1−1等の条件]
【表2】
表2に示すように、実施例1では、極小加圧力で搬送速度の変更を行った。比較例1−1では、加圧力の変更と搬送速度の変更とを同じタイミングで行った。比較例1−2では、加圧力の変更後に、搬送速度の変更のタイミングで行った。比較例1−3では、搬送速度の変更後に、加圧力の変更のタイミングで行った。
【0107】
図8に示すように、実施例1および各比較例において、駆動停止による搬送速度を570mm/sから0mm/sに変更させた。また、駆動開始による搬送速度を0mm/sから570mm/sに変更させた。また、駆動停止の初期における加圧力を大加圧力とし、駆動停止の終期における加圧力を小加圧力とした。また、駆動開始の初期における加圧力を小加圧力とし、駆動開始の終期における加圧力を大加圧力とした。
実施例1では、駆動停止および駆動開始による搬送速度の変更において、搬送速度を変更させる際の加圧力を極小加圧力とした。
比較例1−1では、駆動停止において、搬送速度の変更と同じタイミングで、加圧力を大加圧力から小加圧力に変更した。また、駆動開始において、搬送速度の変更と同じタイミングで、加圧力を小加圧力から大加圧力に変更した。
比較例1−2では、駆動停止において、搬送速度の変更前のタイミングで、加圧力を大加圧力から小加圧力に変更した。つまり、小加圧力の状態で搬送速度の変更を行った。また、駆動開始において、搬送速度の変更前のタイミングで、加圧力を小加圧力から大加圧力に変更した。つまり、大加圧力の状態で搬送速度の変更を行った。
比較例1−3では、駆動停止において、搬送速度の変更後のタイミングで、加圧力を大加圧力から小加圧力に変更した。つまり、大加圧力の状態で搬送速度の変更を行った。また、駆動開始において、搬送速度の変更後のタイミングで、加圧力を小加圧力から大加圧力に変更した。つまり、小加圧力の状態で搬送速度の変更を行った。
【0108】
[加圧ローラーの測定]
実施例1および各比較例において、0万枚通紙、50万枚通紙、100万枚通紙、200万枚通紙毎に、加圧ローラーの硬度をアスカーC型の硬度計により測定した。
【0109】
【表3】
表3に測定された加圧ローラーの硬度を示す。
また、
図9は、通紙枚数と加圧ローラーの硬度との関係を示す図である。
図9の横軸に通紙枚数(単位:万枚)を表し、縦軸に加圧ローラーの硬度を表した。
図9に、加圧ローラーの硬度の推移変化をプロットした。
【0110】
[実施例1および各比較例の評価]
【表4】
表4に示すように、画像影響に関する評価について、画像影響なしを“○”、画像影響多少あるが、実質上なしを“△”、画像影響ありを“×”で表した。また、加圧ローラーの状態に関する評価ついて、チェーブシワや亀裂などの見た目ランクで評価した。見た目で問題なしを“○”、見た目で多少変化ありを“△”、見た目で不良状態を“×”で表した。
【0111】
実施例1の評価は、画像影響なし、見た目で問題なしであった。この評価が得られたのは、実施例1における搬送速度の変更が極小加圧力の状態で行われ、加圧ローラーの耐久性が向上したためであると考えられる。これに対し、比較例1−1の評価は、画像影響あり、見た目で不良状態であった。この評価は、比較例1−1が、搬送速度の変更と同じタイミングで加圧力を変更したために、加圧ローラーの耐久性が低下したためであると考えられる。また、比較例1−2の評価は、それぞれ、画像影響多少あるが、実質上なし、見た目で不良状態であった。この評価は、駆動開始時における搬送速度の変更が大加圧力の状態で行われ、加圧ローラーの耐久性が低下したためであると考えられる。また、比較例1−3の評価は、それぞれ、画像影響多少あるが、実質上なし、見た目で不良状態であった。この評価は、駆動停止時における搬送速度の変更が大加圧力の状態で行われ、加圧ローラーの耐久性が低下したためであると考えられる。
【0112】
[実験2の条件]
図10に示すように、駆動中における実験2として、条件1から条件6を1サイクル、1条件毎に50プリントの1サイクルあたり300プリントとし、7000サイクル、合計210万プリントを実施した。実施後に、加圧ローラーの耐久性を比較評価した。
1サイクルを次のように構成した。普通紙(坪量64g/m
2)の搬送を、搬送速度125枚/分(加圧ローラーの回転速度570mm/sに相当)で大加圧力の状態で行った(条件1)。次に、大加圧力から小加圧力に変更し、搬送速度を搬送速度を125枚/分から70枚/分(加圧ローラーの回転速度330mm/sに相当)に変更させた(条件1から条件2)。次に、小加圧力の状態で、搬送速度70枚/分で上質紙(坪量64g/m
2)を搬送した(条件2)。次に、小加圧力から大加圧力に変更し、搬送速度を70枚/分から125枚/分に変更させた(条件2から条件3)。次に、大加圧力の状態で、搬送速度125枚/分で普通紙を搬送した(条件3)。次に、大加圧力から小加圧力に変更し、搬送速度を125枚/分のままとした(条件3から条件4)。次に、小加圧力の状態で、搬送速度125枚/分で普通紙を搬送した(条件4)。次に、小加圧力から大加圧力に変更し、搬送速度を125枚/分から70枚/分に変更させた(条件4から条件5)。次に、大加圧力の状態で、搬送速度70枚/分で上質紙を搬送した(条件5)。次に、大加圧力から小加圧力に変更し、搬送速度を70枚/分から125枚/分に変更させた(条件5から条件6)。次に、小加圧力の状態、搬送速度125枚/分で普通紙を搬送した(条件6)。
【0113】
[実験2における実施例2、比較例2−1等の条件]
【表5】
表5に示すように、実施例2では、加圧力変更が大から小であれば、加圧力変更を搬送速度の変更前に行った。また、加圧力変更が小から大であれば、加圧力変更を搬送速度の変更後に行った。比較例2−1では、加圧力の増減に関係なく(大から小であるか、また、小から大であるかに関係なく)、加圧力変更を搬送速度の変更と同じタイミングで行った。比較例2−2では、加圧力の増減に関係なく、加圧力変更を搬送速度の変更の前のタイミングで行った。比較例2−3では、加圧力の増減に関係なく、加圧力変更を搬送速度の変更後のタイミングで行った。
【0114】
図11に示すように、実施例2および各比較例において、上記の条件1から条件2へのタイミングについて、加圧力変更を搬送速度の変更と同じタイミングとした場合(
図11に“A”で示す)、加圧力変更を搬送速度の変更の前のタイミングとした場合(
図11に“B”で示す)、加圧力変更を搬送速度の変更の後のタイミングとした場合(
図11に“C”で示す)をそれぞれ実施した。
【0115】
また、上記の条件2から条件3へのタイミングについて、加圧力変更を搬送速度の変更と同じタイミングとした場合(
図11に“D”で示す)、加圧力変更を搬送速度の変更の前のタイミングとした場合(
図11に“E”で示す)、加圧力変更を搬送速度の変更の後のタイミングとした場合(
図11に“F”で示す)をそれぞれ実施した。
【0116】
[加圧ローラーの測定]
実施例2および各比較例において、0万枚通紙、50万枚通紙、100万枚通紙、200万枚通紙毎に、加圧ローラーの硬度をアスカーC型の硬度計により測定した。
【0117】
【表6】
表6に測定された加圧ローラーの硬度を示した。
また、
図12は、通紙枚数と加圧ローラーの硬度との関係を示す図である。
図12の横軸に通紙枚数(単位:万枚)を表し、縦軸に加圧ローラーの硬度を表した。
図12に、加圧ローラーの硬度の推移変化をプロットした。
【0118】
[実施例2および各比較例の評価]
【表7】
表7に示すように、画像影響に関する評価について、画像影響なしを“○”、画像影響多少あるが、実質上なしを“△”、画像影響ありを“×”で表した。また、加圧ローラーの状態に関する評価ついて、チェーブシワや亀裂などの見た目ランクで評価した。見た目で問題なしを“○”、見た目で多少変化ありを“△”、見た目で不良状態を“×”で表した。
【0119】
実施例2の評価は、画像影響なし、見た目で問題なしであった。この評価が得られたのは、実施例2における駆動中の搬送速度の変更が小加圧力の状態で行われ、加圧ローラーの耐久性が向上したためであると考えられる。これに対し、比較例2−1の評価は、画像影響あり、見た目で不良状態であった。この評価は、比較例2−1が、搬送速度の変更と同じタイミングで加圧力を変更したために、加圧ローラーの耐久性が低下したためであると考えられる。また、比較例2−2の評価は、それぞれ、画像影響多少あるが、実質上なし、見た目で多少変化ありであった。この評価は、プリント条件の変更(条件2から条件3)における搬送速度の変更が大加圧力の状態で行われ、加圧ローラーの耐久性が低下したためであると考えられる。また、比較例2−3の評価は、それぞれ、画像影響多少あるが、実質上なし、見た目で多少変化ありであった。この評価は、プリント条件の変更(条件1から条件2)における搬送速度の変更が大加圧力の状態で行われ、加圧ローラーの耐久性が低下したためであると考えられる。