特許第6787023号(P6787023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6787023
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】省燃費制御装置及び省燃費制御方法
(51)【国際特許分類】
   F02D 29/02 20060101AFI20201109BHJP
   F02D 41/04 20060101ALI20201109BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   F02D29/02 Z
   F02D41/04
   F02D45/00
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-200900(P2016-200900)
(22)【出願日】2016年10月12日
(65)【公開番号】特開2018-62887(P2018-62887A)
(43)【公開日】2018年4月19日
【審査請求日】2019年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(74)【代理人】
【識別番号】100119356
【弁理士】
【氏名又は名称】柱山 啓之
(72)【発明者】
【氏名】大下 ワサンタ
(72)【発明者】
【氏名】竹田 友彦
(72)【発明者】
【氏名】菊池 勝倫
【審査官】 戸田 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−094883(JP,A)
【文献】 特開2012−002195(JP,A)
【文献】 特開2011−173586(JP,A)
【文献】 特開2011−99394(JP,A)
【文献】 特開2011−196346(JP,A)
【文献】 特開2000−293782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 29/02
F02D 41/04
F02D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
余裕駆動力を演算するための余裕駆動力演算部と、
余裕駆動力が所定の閾値以上になった時にアクセル開度に応じた指示燃料噴射量を下降補正する省燃費制御を実行し、余裕駆動力が所定の閾値未満になった時に省燃費制御を停止するための省燃費制御部と、
を備えている省燃費制御装置であって、
方向指示操作を検出するための方向指示操作検出部と、
車両位置を検出するための車両位置検出部と、
地図情報を格納するための地図情報格納部と、
方向指示操作を検出した時に車両位置と地図情報とに基づいて車両が交差点近傍に位置しているか、車両が高速道路上に位置しているか、車両が高速道路の合流路上に位置しているか、車両が一般道路上を走行しているか、又は車両が一般道路上に停止しているかを判定し、車両が交差点近傍に位置しているか、車両が高速道路上に位置しているか、又は車両が高速道路の合流路上に位置していると判定した時は省燃費制御を停止するべきであると判定し、車両が一般道路上を走行しているか、又は車両が一般道路上に停止していると判定した時は省燃費制御を停止するべきでないと判定するための省燃費制御停止条件判定部と、
を更に備えており、
前記省燃費制御部は、省燃費制御を停止するべきであると判定した時は余裕駆動力が所定の閾値未満にならなくても実行中の省燃費制御を停止し、省燃費制御を停止するべきでないと判定した時は余裕駆動力が所定の閾値未満にならなければ実行中の省燃費制御を停止しないように構成されている
ことを特徴とする省燃費制御装置。
【請求項2】
前記省燃費制御停止条件判定部は、方向指示操作を検出した時に車両が交差点近傍に位置している場合は交差点の右左折時と判定し方向指示操作を検出した時に車両が高速道路上に位置している場合は高速道路の追い越し時と判定し方向指示操作を検出した時に車両が高速道路の合流路上に位置している場合は高速道路の合流時と判定し、これらの場合に省燃費制御を停止するべきであると判定するように構成されている
請求項1に記載の省燃費制御装置。
【請求項3】
余裕駆動力を演算するための余裕駆動力演算ステップと、
余裕駆動力が所定の閾値以上になった時にアクセル開度に応じた指示燃料噴射量を下降補正する省燃費制御を実行するための省燃費制御実行ステップと、
余裕駆動力が所定の閾値未満になった時に省燃費制御を停止するための第一省燃費制御停止ステップと、
を含んでいる省燃費制御方法であって、
車両位置を検出するための車両位置検出ステップと、
方向指示操作を検出した時に車両位置と地図情報とに基づいて車両が交差点近傍に位置しているか、車両が高速道路上に位置しているか、車両が高速道路の合流路上に位置しているか、車両が一般道路上を走行しているか、又は車両が一般道路上に停止しているかを判定し、車両が交差点近傍に位置しているか、車両が高速道路上に位置しているか、又は車両が高速道路の合流路上に位置していると判定した時は省燃費制御を停止するべきであると判定し、車両が一般道路上を走行しているか、又は車両が一般道路上に停止していると判定した時は省燃費制御を停止するべきでないと判定するための省燃費制御停止条件判定ステップと、
省燃費制御を停止するべきであると判定した時は余裕駆動力が所定の閾値未満にならなくても実行中の省燃費制御を停止し、省燃費制御を停止するべきでないと判定した時は余裕駆動力が所定の閾値未満にならなければ実行中の省燃費制御を停止しないための第二省燃費制御停止ステップと、
を更に含んでいる
ことを特徴とする省燃費制御方法。
【請求項4】
前記省燃費制御停止条件判定ステップにおいては、方向指示操作を検出した時に車両が交差点近傍に位置している場合は交差点の右左折時と判定し方向指示操作を検出した時に車両が高速道路上に位置している場合は高速道路の追い越し時と判定し方向指示操作を検出した時に車両が高速道路の合流路上に位置している場合は高速道路の合流時と判定し、これらの場合に省燃費制御を停止するべきであると判定する
請求項3に記載の省燃費制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省燃費制御装置及び省燃費制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
余裕駆動力が所定の閾値以上になった時にアクセル開度に応じた指示燃料噴射量を意図的に下降補正することによってエンジンの実燃料消費量を削減する省燃費制御が広く認知されている(例えば、特許文献1を参照)。省燃費制御を実行することによって車両の加速力は制限されるものの、余裕駆動力が所定の閾値未満になったりキックダウン操作を検出したりした時に省燃費制御は停止されることになる。従って、運転者は車両の加速力の制限の影響を受け難く、省燃費制御を実行することによって運転者の利便性を大きく損なうことは無い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−061177号公報
【特許文献2】特開2012−076700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
余裕駆動力が所定の閾値未満になった時の他、例えば、交差点の右左折時、高速道路の追い越し時、又は高速道路の合流時にも運転者は車両の加速力を欲すると考えられるが、非常時ならまだしも平常時にキックダウン操作をすることに抵抗が有る運転者も少なからず存在している。また、キックダウン操作をするためには、アクセルペダルを深く踏み込む(ベタ踏みする)必要があるため、運転者が急加速を心配し、キックダウン操作自体を嫌がることもある。従って、従来は、方向指示操作を検出した時は余裕駆動力が所定の閾値未満にならなくても無条件に省燃費制御を停止している。しかしながら、省燃費制御を停止するべきでない時(例えば、一般道路の車線変更時又は一般道路の合流時)にも省燃費制御を停止することになるため、車両の省燃費性能を低下させるばかりか運転者が意図していない車両挙動の変動を招く虞が有り、運転者の利便性と安全性とを損なう虞が有る。
【0005】
従って、本発明の目的は、省燃費制御を停止するべきでない時はたとえ方向指示操作を検出したとしても無条件に省燃費制御を停止せず、車両の省燃費性能を維持したまま運転者の利便性と安全性とを改善することができる省燃費制御装置及び省燃費制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
余裕駆動力を演算するための余裕駆動力演算部と、余裕駆動力が所定の閾値以上になった時にアクセル開度に応じた指示燃料噴射量を下降補正する省燃費制御を実行し、余裕駆動力が所定の閾値未満になった時に省燃費制御を停止するための省燃費制御部と、を備えている省燃費制御装置であって、方向指示操作を検出するための方向指示操作検出部と、車両位置を検出するための車両位置検出部と、地図情報を格納するための地図情報格納部と、方向指示操作を検出した時に車両位置と地図情報とに基づいて車両が交差点近傍に位置しているか、車両が高速道路上に位置しているか、車両が高速道路の合流路上に位置しているか、車両が一般道路上を走行しているか、又は車両が一般道路上に停止しているかを判定し、車両が交差点近傍に位置しているか、車両が高速道路上に位置しているか、又は車両が高速道路の合流路上に位置していると判定した時は省燃費制御を停止するべきであると判定し、車両が一般道路上を走行しているか、又は車両が一般道路上に停止していると判定した時は省燃費制御を停止するべきでないと判定するための省燃費制御停止条件判定部と、を更に備えており、前記省燃費制御部は、省燃費制御を停止するべきであると判定した時は余裕駆動力が所定の閾値未満にならなくても実行中の省燃費制御を停止し、省燃費制御を停止するべきでないと判定した時は余裕駆動力が所定の閾値未満にならなければ実行中の省燃費制御を停止しないように構成されている省燃費制御装置を提供する。
【0007】
前記省燃費制御停止条件判定部は、方向指示操作を検出した時に車両が交差点近傍に位置している場合は交差点の右左折時と判定し方向指示操作を検出した時に車両が高速道路上に位置している場合は高速道路の追い越し時と判定し方向指示操作を検出した時に車両が高速道路の合流路上に位置している場合は高速道路の合流時と判定し、これらの場合に省燃費制御を停止するべきであると判定するように構成されていても構わない。
【0008】
余裕駆動力を演算するための余裕駆動力演算ステップと、余裕駆動力が所定の閾値以上になった時にアクセル開度に応じた指示燃料噴射量を下降補正する省燃費制御を実行するための省燃費制御実行ステップと、余裕駆動力が所定の閾値未満になった時に省燃費制御を停止するための第一省燃費制御停止ステップと、を含んでいる省燃費制御方法であって、車両位置を検出するための車両位置検出ステップと、方向指示操作を検出した時に車両位置と地図情報とに基づいて車両が交差点近傍に位置しているか、車両が高速道路上に位置しているか、車両が高速道路の合流路上に位置しているか、車両が一般道路上を走行しているか、又は車両が一般道路上に停止しているかを判定し、車両が交差点近傍に位置しているか、車両が高速道路上に位置しているか、又は車両が高速道路の合流路上に位置していると判定した時は省燃費制御を停止するべきであると判定し、車両が一般道路上を走行しているか、又は車両が一般道路上に停止していると判定した時は省燃費制御を停止するべきでないと判定するための省燃費制御停止条件判定ステップと、省燃費制御を停止するべきであると判定した時は余裕駆動力が所定の閾値未満にならなくても実行中の省燃費制御を停止し、省燃費制御を停止するべきでないと判定した時は余裕駆動力が所定の閾値未満にならなければ実行中の省燃費制御を停止しないための第二省燃費制御停止ステップと、を更に含んでいる省燃費制御方法を提供する。
【0009】
前記省燃費制御停止条件判定ステップにおいては、方向指示操作を検出した時に車両が交差点近傍に位置している場合は交差点の右左折時と判定し方向指示操作を検出した時に車両が高速道路上に位置している場合は高速道路の追い越し時と判定し方向指示操作を検出した時に車両が高速道路の合流路上に位置している場合は高速道路の合流時と判定し、これらの場合に省燃費制御を停止するべきであると判定するようにしても構わない。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、省燃費制御を停止するべきでない時はたとえ方向指示操作を検出したとしても無条件に省燃費制御を停止せず、車両の省燃費性能を維持したまま運転者の利便性と安全性とを改善することができる省燃費制御装置及び省燃費制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る省燃費制御装置の構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係る省燃費制御方法の基本省燃費制御方法の流れ図である。
図3】本発明の実施の形態に係る省燃費制御方法の拡張省燃費制御方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に順って説明する。
【0013】
先ず、省燃費制御装置に関して説明する。
【0014】
省燃費制御装置は、エンジンの駆動力をトランスミッションを介して車両の駆動輪に伝達することによって走行する自動車(マニュアルトランスミッション車両又はオートマチックトランスミッション車両)に実装される。
【0015】
図1に示す通り、本発明の実施の形態に係る省燃費制御装置100は、余裕駆動力を演算するための余裕駆動力演算部101と、余裕駆動力が所定の閾値以上になった時にアクセル開度に応じた指示燃料噴射量を下降補正する省燃費制御を実行し、余裕駆動力が所定の閾値未満になった時に省燃費制御を停止するための省燃費制御部102と、を備えている。余裕駆動力は、駆動輪の駆動力と車両の走行抵抗との差によって定義されている。また、省燃費制御を停止するとは、アクセル開度に応じた指示燃料噴射量の下降補正を停止して通常制御に復帰させることを意味している。
【0016】
余裕駆動力演算部101は、駆動輪の駆動力と車両の走行抵抗力との差を計算することによって余裕駆動力を演算するように構成されている。省燃費制御部102は、余裕駆動力が所定の閾値以上になった時にアクセル開度に応じた指示燃料噴射量を意図的に下降補正することでエンジンの実燃料消費量を削減して車両の加速力を制限するように構成されている。車両の加速力を制限するとは、エンジンのトルク、エンジンの出力及び/又は車両の加速度を制限することを意味している。コントローラ103は、エンジンを制御するためのあらゆる変数を各種計器類によって把握している。例えば、コントローラ103は、アクセルポジションセンサ104によってアクセル開度を把握している。また、コントローラ103は、アクセル開度に応じた指示燃料噴射量を演算するための指示燃料噴射量演算部105を実装しており、エンジンのシリンダ内に燃料を噴射するための燃料インジェクタ106を制御している。燃料インジェクタ106は、アクセル開度に応じた指示燃料噴射量に従ってエンジンのシリンダ内に燃料を噴射するように構成されている。
【0017】
余裕駆動力が所定の閾値未満になった時の他、例えば、交差点の右左折時、高速道路の追い越し時、又は高速道路の合流時にも運転者は車両の加速力を欲すると考えられるが、非常時ならまだしも平常時にキックダウン操作をすることに抵抗が有る運転者も少なからず存在している。従って、従来は、方向指示操作を検出した時は余裕駆動力が所定の閾値未満にならなくても無条件に省燃費制御を停止している。しかしながら、省燃費制御を停止するべきでない時(例えば、一般道路の車線変更時又は一般道路の合流時)にも省燃費制御を停止することになるため、車両の省燃費性能を低下させるばかりか運転者が意図していない車両挙動の変動を招く虞が有り、運転者の利便性と安全性とを損なう虞が有る。
【0018】
従って、省燃費制御装置100は、方向指示操作を検出するための方向指示操作検出部107と、車両位置を検出するための車両位置検出部108と、地図情報を格納するための地図情報格納部109と、方向指示操作を検出した時に車両位置と地図情報とに基づいて省燃費制御を停止するべきであるか否かを判定するための省燃費制御停止条件判定部110と、を更に備えている。方向指示操作とは、運転者が進路変更を意図して方向指示器111を操作することを意味している。また、方向指示操作は、例えば、方向指示操作検出部107によって、方向指示器111の操作をカーエリアネットワーク信号を通じて把握することによって検出される。車両位置検出部108は、例えば、グローバルポジショニングシステム受信機によって構成されている。地図情報格納部109は、例えば、コントローラ103と別体の記憶媒体によって構成されている。省燃費制御停止条件判定部110は、交差点の右左折時、高速道路の追い越し時、又は高速道路の合流時に省燃費制御を停止するべきであると判定し、一般道路の車線変更時又は一般道路の合流時に省燃費制御を停止するべきでないと判定するように構成されていても構わない。例えば、車両が交差点近傍に位置していると共に方向指示操作を検出した時に交差点の右左折時と判定することができる。また、車両が高速道路上に位置していると共に方向指示操作を検出した時に高速道路の追い越し時と判定することができる。更に、車両が高速道路の合流路上に位置していると共に方向指示操作を検出した時に高速道路の合流時と判定することができる。また、車両が一般道路上を走行していると共に方向指示操作を検出した時に一般道路の車線変更時と判定することができる。また、車両が一般道路上を停止していると共に方向指示操作を検出した時に一般道路の合流時と判定することができる。高速道路とは、本来の高速道路のみならず高速道路と同視し得る程度に流れが速い自動車専用道路又は一般道路をも意味している。また、合流とは、合流路を通じて本線に合流する場合のみならず停止後に道路に復帰する場合をも意味している。なお、省燃費制御停止条件判定部110は、交差点の右左折時、高速道路の追い越し時、又は高速道路の合流時に限らず、車両位置と地図情報とに基づいて車両の加速力の制限を解除する必要があると予測することができるあらゆる状況を省燃費制御を停止するべきであると判定することができる。
【0019】
省燃費制御装置100においては、省燃費制御部102は、省燃費制御を停止するべきであると判定した時は余裕駆動力が所定の閾値未満にならなくても省燃費制御を停止し、省燃費制御を停止するべきでないと判定した時は省燃費制御を停止しないように構成されている。即ち、省燃費制御部102は、省燃費制御停止条件判定部110によって判定した結果を受けて車両の加速力の制限を解除する必要がある時のみに省燃費制御を停止するように構成されている。従って、例えば、車両の加速力の制限を解除する必要がない一般道路の車線変更時又は一般道路の合流時に省燃費制御を停止することは無く、車両の省燃費性能を維持したまま運転者の利便性と安全性とを改善することができる。
【0020】
次に、省燃費制御方法に関して説明する。
【0021】
図2に示す通り、本発明の実施の形態に係る省燃費制御方法は、イグニッションキーオン後に省燃費制御装置100によって実行される基本省燃費制御方法M100を含んでいる。基本省燃費制御方法M100は、余裕駆動力演算ステップS101と、余裕駆動力判定ステップS102と、省燃費制御実行ステップS103と、第一省燃費制御停止ステップS104と、を含んでいる。
【0022】
余裕駆動力演算ステップS101においては、余裕駆動力演算部101によって余裕駆動力を演算する。余裕駆動力判定ステップS102においては、省燃費制御部102によって余裕駆動力が所定の閾値以上になったか否かを判定し、余裕駆動力が所定の閾値以上になった時は省燃費制御実行ステップS103に進み、余裕駆動力が所定の閾値未満である時は第一省燃費制御停止ステップS104に進む。省燃費制御実行ステップS103においては、省燃費制御部102によってアクセル開度に応じた指示燃料噴射量を下降補正する省燃費制御を実行する。第一省燃費制御停止ステップS104においては、省燃費制御部102によって省燃費制御を停止する。
【0023】
また、図3に示す通り、本発明の実施の形態に係る省燃費制御方法は、イグニッションキーオン後に省燃費制御装置100によって実行される拡張省燃費制御方法M200を含んでいる。拡張省燃費制御方法M200は、方向指示操作判定ステップS201と、車両位置検出ステップS202と、省燃費制御停止条件判定ステップS203と、第二省燃費制御停止ステップS204と、を含んでいる。
【0024】
方向指示操作判定ステップS201においては、方向指示操作検出部107によって方向指示操作を検出したか否かを判定し、方向指示操作を検出した時は車両位置検出ステップS202に進み、方向指示操作を検出しなかった時は方向指示操作を検出する迄は方向指示操作判定ステップS201を繰り返す。車両位置検出ステップS202においては、車両位置検出部108によって車両位置を検出する。省燃費制御停止条件判定ステップS203においては、省燃費制御停止条件判定部110によって方向指示操作を検出した時に車両位置と地図情報とに基づいて省燃費制御を停止するべきであるか否かを判定し(走行環境の特定に車両位置と地図情報とを使用する点は、例えば、特許文献2を参照)、省燃費制御を停止するべきであると判定した時は第二省燃費制御停止ステップS204に進み、省燃費制御を停止するべきでないと判定した時は方向指示操作判定ステップS201に戻る。また、省燃費制御停止条件判定ステップS203においては、交差点の右左折時、高速道路の追い越し時、又は高速道路の合流時に省燃費制御を停止するべきであると判定し、一般道路の車線変更時又は一般道路の合流時に省燃費制御を停止するべきでないと判定することができる。第二省燃費制御停止ステップS204においては、省燃費制御部102によって余裕駆動力が所定の閾値未満にならなくても省燃費制御を停止する。また、第二省燃費制御停止ステップS204を実行している間は基本省燃費制御方法M100の制御ループを停止し、拡張省燃費制御方法M200を優先することができる。
【0025】
以上の通り、車両の加速力の制限を解除する必要があると予測される時は、余裕駆動力が所定の閾値未満にならなくても省燃費制御を停止している。従って、省燃費制御を停止するべきでない時はたとえ方向指示操作を検出したとしても無条件に省燃費制御を停止せず、車両の省燃費性能を維持したまま運転者の利便性と安全性とを改善することができる。特に、マニュアルトランスミッション車両にあっては、車両の加速力を制限することによって運転者に早め早めのシフトアップを促すことができるため、省燃費制御を実行することによって車両の省燃費性能を大きく向上させることができる。
【符号の説明】
【0026】
100 省燃費制御装置
101 余裕駆動力演算部
102 省燃費制御部
103 コントローラ
104 アクセルポジションセンサ
105 指示燃料噴射量演算部
106 燃料インジェクタ
107 方向指示操作検出部
108 車両位置検出部
109 地図情報格納部
110 省燃費制御停止条件判定部
111 方向指示器
M100 基本省燃費制御方法
S101 余裕駆動力演算ステップ
S102 余裕駆動力判定ステップ
S103 省燃費制御実行ステップ
S104 第一省燃費制御停止ステップ
M200 拡張省燃費制御方法
S201 方向指示操作判定ステップ
S202 車両位置検出ステップ
S203 省燃費制御停止条件判定ステップ
S204 第二省燃費制御停止ステップ
図1
図2
図3