(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位相調整部は、前記ローカル信号の位相を可変させて、消費電流が予め定めた設定電流より大きくなる位相の上限値と位相の下限値を検出し、前記ローカル信号の位相を前記検出した位相の上限値と下限値の平均値に調整することを特徴とする請求項1に記載の帰還増幅装置。
前記位相調整部は、前記消費電流の最小値が予め定めた規定電流を超えているか否かを判定し、前記消費電流が前記規定電流を超えているときに、前記電力増幅器の動作を停止させることを特徴とする請求項1又は2に記載の帰還増幅装置。
【背景技術】
【0002】
送信機などに使用される電力増幅器は、電力効率を高めるために非線形領域で動作させると非線形歪が生じ、この歪を補償するために電力増幅器に歪補償をする必要がある。
この歪補償の1つとして、カルテシアンループ歪補償がある。このカルテシアンループ歪補償は、入力ベースバンド信号(I、Q)に電力増幅器の出力信号の一部を直交復調した帰還ベースバンド信号(I′、Q′)を直交座標成分毎に負帰還させる。具体的には、入力ベースバンド信号(I、Q)から帰還ベースバンド信号(I′、Q′)を減算し、その差分値を入力ベースバンド信号(I、Q)に加算することで、電力増幅器で生じる歪成分をキャンセルして歪補償される。入力ベースバンド信号(I、Q)から帰還ベースバンド信号(I′、Q′)を減算する際、入力ベースバンド信号(I、Q)の位相と帰還ベースバンド信号(I′、Q′)の位相に位相差があるとカルテシアンループ方式の帰還増幅器の動作が不安定となり、最悪の場合には電力増幅器が発振する場合もある。この位相差が生じる原因として、帰還路のループ長や電力増幅器の位相特性、温度特性等がある。従って、入力ベースバンド信号(I、Q)の位相と帰還ベースバンド信号(I′、Q′)の位相を調整し、その位相差をなくす必要がある。従来の位相調整は、入力ベースバンド信号の位相と帰還ベースバンド信号の位相をそれぞれ検出してその位相差をゼロにするように調整していたが、位相の検出精度が悪く位相差をゼロにすることが難しいという問題があった。このため入力ベースバンド信号の位相と帰還ベースバンド信号の位相を検出することなく、位相差を調整する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この先行技術では、入力ベースバンド信号の位相と帰還ベースバンド信号の位相を検出するのでなく、入力ベースバンド信号の位相と帰還ベースバンド信号の位相との位相差によって発生するスプリアスの電力を検出し、検出したスプリアス電力が最小になるようにローカル信号の位相を調整することで、この位相差をほぼゼロにするようにしている。
【0004】
具体的には、電力増幅器の出力信号の一部を帰還信号とし、この帰還信号を所定の周波数にダウンコンバートして、このダウンコンバートされた周波数より所定の周波数上側および下側の周波数帯域を通過させるハイパスフィルタおよびローパスフィルタを使用して、電力増幅器で生じる下側スプリアスの電力と上側スプリアスの電力を抽出し、抽出したスプリアスの電力を電力検出器で検出する。
そして、検出したそれぞれのスプリアスの電力が小さくなるように位相器でローカル信号の位相を調節するようにしている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な構成部品については以下の説明を参酌して判断すべきものである。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
以下に、本発明の一実施形態に係る帰還増幅装置を使用した送信機について説明する。
図1に示すように、送信機10は、カルテシアンループ方式の帰還増幅装置を有する送信機として構成されている。この送信機10は、送信データからベースバンド信号を生成するベースバンド信号生成部21、ベースバンド信号生成部21から出力されたベースバンド信号を直交変調して変調信号を増幅するカルテシアンループ方式の帰還増幅装置30と、帰還増幅装置30から出力される送信信号を送信する送信アンテナ50とを備えている。
【0013】
ベースバンド信号生成部21は、入力される送信データからベースバンド信号の同相成分信号Iと直交成分信号Qとを生成し、生成したベースバンド信号の同相成分信号I及び直交成分信号Qを帰還増幅装置30に出力する。
帰還増幅装置30は、位相調整部31、歪補償部32、ローパスフィルタ33a,33b、直交変調部34、局部発振器35、アップコンバータ36、電力増幅器37、方向性結合器38、アッテネータ39、ダウンコンバータ40、直交復調部41及び電流検出部43を備えている。
【0014】
位相調整部31は、位相シフト部31aと位相制御部31bを備えている。位相制御部31bは、後述する電流検出部43で検出した電力増幅器37の消費電流値に基づいて位相シフト部31aに対して位相指令値φtを出力し、位相指令値φtを受けた位相シフト部31aは、直交復調部41に入力されるローカル信号の位相を位相指令値φtに基づいて調整する。
【0015】
なお、位相シフト部31aは、
図1の直交復調部41側に配置する代わりに、直交変調部34側に配置して、直交変調部34に入力されるローカル信号の位相を調整するようにしてもよい。
歪補償部32は、エラーアンプ32a及び32bを備えている。エラーアンプ32aは、ベースバンド信号生成部21から出力されるベースバンド信号の同相成分信号Iと、直交復調部41から出力される帰還同相成分信号I′とが入力され、同相成分信号Iと帰還同相成分信号I′との同相成分差分値ΔI(=I−I′)を同相成分信号Iに加算し、電力増幅器37で生じる同相成分信号Iの歪成分をキャンセルしてローパスフィルタ33aに出力する。
【0016】
エラーアンプ32bは、ベースバンド信号生成部21から出力されるベースバンド信号の直交成分信号Qと、直交復調部41から出力される帰還直交成分信号Q′とが入力され、直交成分信号Qと帰還直交成分信号Q′との直交成分差分値ΔQ(=Q−Q′)を直交成分信号Qに加算し、電力増幅器37で生じる直交成分信号Qの歪成分をキャンセルしてローパスフィルタ33bに出力する。
【0017】
ローパスフィルタ33aは、エラーアンプ32aから出力される同相成分信号Iの高周波数帯域のノイズ成分を除去して直交変調部34に出力する。
ローパスフィルタ33bは、エラーアンプ32bから出力される直交成分信号Qの高周波数帯域のノイズ成分を除去して直交変調部34に出力する。
直交変調部34は、同相成分信号用変調器34a、直交成分信号用変調器34b、90°移相器34c及び加算器34dを備えている。
【0018】
同相成分信号用変調器34aは、ローパスフィルタ33aから入力される同相成分信号Iで局部発振器35から出力されるローカル信号を変調した同相成分変調信号を加算器34dに出力する。
直交成分信号用変調器34bは、ローパスフィルタ33bから入力される直交成分信号Qで局部発振器35から出力されたのち90°移相器34cで90°移相されたローカル信号を変調した直交成分変調信号を加算器34dに出力する。
【0019】
加算器34dは、同相成分信号用変調器34aから出力される同相成分変調信号及び直交成分信号用変調器34bから出力される直交成分変調信号を加算して変調信号として出力する。
アップコンバータ36は、直交変調部34からの変調信号をRF帯域(例えば260MHz〜270MHz帯域)の所定の周波数にアップコンバートしてRF信号SRFに変換し、そのRF信号SRFを後段の電力増幅器37に出力する。
【0020】
電力増幅器37は、例えばNチャネルの電界効果トランジスタ(FET)を含んで構成され、ドレイン電極に電源VDCから直流電圧が印加される。この電力増幅器37でアップコンバータ36から出力されたRF信号SRFを増幅して出力送信信号SOTを生成する。そして、電力増幅器37は、この出力送信信号SOTを送信アンテナ50に出力する。
【0021】
方向性結合器38は、電力増幅器37から送信アンテナ50に出力される出力送信信号SOTの一部を帰還直交変調信号として取り出してアッテネータ39に出力する。
アッテネータ39は、帰還直交変調信号のレベルを調整してレベル調整後の帰還直交変調信号をダウンコンバータ40に出力する。
ダウンコンバータ40は、RF帯域の帰還送信信号を所定の周波数にダウンコンバートして直交復調部41に出力する。
【0022】
直交復調部41は、ダウンコンバータ40から出力される帰還直交変調信号を復調するものである。この直交復調部41は、同相成分信号用復調器41a及び直交成分信号用復調器41b、90°移相器41cを備えている。
同相成分信号用復調器41aは、位相シフト部31aで位相調整されたローカル信号によってダウンコンバータ40から出力される帰還直交変調信号を復調して得た帰還同相成分信号I′を歪補償部32のエラーアンプ32aに出力する。
【0023】
直交成分信号用復調器41bは、位相シフト部31aで位相調整され、移相器41cで90°移相されたローカル信号によってダウンコンバータ40から出力される帰還直交変調信号を復調して得た帰還直交成分信号Q′を歪補償部32のエラーアンプ32bに出力する。
この帰還同相成分信号I′と帰還直交成分信号Q′をそれぞれ歪補償部32のエラーアンプ32a、エラーアンプ32bに負帰還させてカルテシアンループ方式の歪補償を行っている。
【0024】
電流検出部43は、電力増幅器37の直流電源端子37aと電源VDCとの間に設けられ、電力増幅器37の消費電流Idを検出して、検出した消費電流検出値Idを位相調整部31の位相制御部31bに出力する。
位相調整部31は、電流検出部43で検出された消費電流検出値Idに基づいて直交復調部41に入力されるローカル信号の位相を調整して、入力ベースバンド信号(I,Q)と帰還ベースバンド信号(I′、Q′)との位相差がほぼゼロとなるようにする。
【0025】
この位相調整について
図2と
図3に基づいて説明する。
入力ベースバンド信号(I,Q)の位相と帰還ベースバンド信号(I′、Q′)の位相との位相差と電力増幅器37の消費電流Idとの関係を実測すると、
図3の実線図示のように、逆台形状の特性線L1で表される。すなわち、位相差0°から帰還ベースバンド信号(I′、Q′)の位相を進ませて位相差を3°,6°・・・のようにプラス方向に大きくして行くと、位相差6°までは消費電流Idは最小電流をほぼ維持するが、位相差9°で僅かに消費電流Idが増加し、その後、位相差が12°,15°と大きくなると消費電流が急激に増加する。
【0026】
同様に、位相差0°から帰還ベースバンド信号(I′、Q′)の位相を遅らせて位相差を−3°,−6°・・のようにマイナス方向に大きくして行くと、位相差−9°までは消費電流Idは最小電流をほぼ維持するが、位相差−12°,−15°とマイナス方向に大きくすると消費電流が急激に増加する。
消費電流Idの最小電流の範囲は、位相差ゼロを中心に位相差の大小方向に対して幅がある。従って、消費電流Idを基に位相差の調整を行う場合には、消費電流が最小電流となっている位相差のセンター値になるように位相調整を行うことで位相差はほぼゼロとなる。
【0027】
また、位相差(deg)と電力増幅器37の線形歪による出力送信信号S0Tのスプリアス(dB)との関係は、
図3で点線図示の特性線L2で表されるように、電力増幅器37の消費電流Idと相関関係がある。ここで、スプリアスの規格を出力送信信号S0Tに対して−60dB以下とすると、位相差が−9°から9°の間にあれば規格を満足することができる。
【0028】
次に、位相調整部31の位相制御部31bの位相制御処理について、
図2のフローチャートに基づいて説明する。この位相制御部31bは、
図2の位相制御処理を行なって位相指令値φtを算出して、位相シフト部31aに出力する。位相シフト部31aは、位相指令値φtに基づいてローカル信号の位相を調整する。なお、
図3のように位相指令値φtを、1段階ずつ増加または減少すると、ローカル信号の位相シフト量が3°ずつ増加または減少するようになっている。この位相シフトの変化量は、適宜に変更できる。
この位相制御処理は、送信開始時に実行されるが、送信開始後所定時間経過する毎に繰り返し実行してもよい。
【0029】
先ず、ステップS1では、送信が開始されると現在の位相指令値φtを初期値φt(0)と設定してからステップS2に移行する。
ステップS2では、位相制御部31bが電流検出部43で検出した電力増幅器37の消費電流検出値Idを位相制御部31b内のメモリ(図示なし、以下メモリとする)に記憶してからステップS3に移行する。
【0030】
ステップS3では、ローカル信号の位相を1段階進ませるため、位相指令値φtを現在の位相指令値φt(0)に位相シフト量Δφ(=3°)を加算した新たな位相指令値φt(1)と設定してからステップS4に移行する。ここで、位相指令値φt(0)、φt(1)をφt(n)と表すと、nは整数で指令値のステップ数を表し、ローカル信号の位相を1段階ずつ進ませるために、位相シフト量Δφ(=3°)を加算される毎にインクリメントされる。
【0031】
このステップS4では、位相制御部31bが設定した位相指令値φtを位相シフト部31aに出力し、位相シフト部31aは位相指令値φtに基づいてローカル信号の位相を調整させてからステップS5に移行する。
このステップS5では、位相制御部31bが電流検出部43で検出した電力増幅器37の消費電流検出値をIdとして読込んでメモリに記憶してからステップS6に移行する。
【0032】
このステップS6では、読込んだ消費電流検出値Idが、予めスプリアスが規格値を超える電流値を閾値として設定した設定電流Ids(
図3における一点鎖線図示の例えば4〔A〕)以下であるか否かを判定し、Id≦Idsであるときには前記ステップS3に戻り、Id>IdsであるときにはステップS7に移行する。
図3では、位相指令値φtがφt(0)からφt(3)までは消費電流検出値Idが設定電流Ids以下であるので、ステップS6からステップS3に戻ることを繰り返すが、位相指令値φtがφt(4)となった時点で消費電流検出値Idが設定電流Idsを超える。
【0033】
このステップS7では、現在の位相指令値φt=φt(n)の一つ前の位相指令値φt=φt(n−1)を位相上限値φtmax(
図3ではφt(3))として位相制御部31b内のメモリに記憶してからステップS8に移行する。
ステップS8では、位相指令値φtを再度初期値φt(0)に設定し、次いでステップS9に移行して、ローカル信号の位相を現在の位相指令値φtから1段階遅らせる位相指令値となるように、位相指令値φtを現在の位相指令値φt(0)から位相シフト量Δφ(=3°)を減算し、新たな位相指令値φt(−1)と設定してからステップS10に移行する。なお、nは、ローカル信号の位相を1段階ずつ遅らせるために、位相シフト量Δφ(=3°)を減算される毎にデクリメントされる。
【0034】
このステップS10では、位相制御部31bが設定した位相指令値φtを位相シフト部31aに出力し、位相シフト部31aは位相指令値φtに基づいてローカル信号の位相を調整させてからステップS11に移行する。
このステップS11では、位相制御部31bが電流検出部43で検出した電力増幅器37の消費電流検出値Idとして読込んでメモリに記憶してからステップS12に移行する。
【0035】
このステップS11では、読込んだ消費電流検出値Idが予め設定した設定電流Ids以下であるか否かを判定し、Id≦Idsであるときには前記ステップS8に戻り、Id>IdsであるときにはステップS13に移行する。
図3では、位相指令値φtがφt(0)からφt(−3)までは消費電流検出値Idが設定電流Ids以下であるので、ステップS11からステップS8に戻ることを繰り返すが、位相指令値φtがφt(−4)となった時点で消費電流検出値Idが設定電流Idsを超える。
このステップS13では、現在の位相指令値φt=φt(n)の一つ前の位相指令値φt=φt(n+1)を位相下限値φtmin(
図3ではφt(−3))として位相制御部31ab内のメモリに記憶してからステップS14に移行する。
【0036】
このステップS14では、今までメモリに記憶した全ての消費電流検出値Idが電力増幅器37によるスプリアスのレベルが予め設定した規定値以上であれば電力増幅器として異常と判断する規定電流Idrを超えているか否かを判定する。この判定結果が、Id>Idrであるとき電力増幅器37は異常と判断しステップS15に移行し、Id≦Idrであるとき電力増幅器37は正常と判断しステップS16に移行する。なお、規定電流Idrと設定電流Idsの関係は規定電流Idr≧設定電流Idsとする。規定電流Idr=設定電流Idsとなる場合は、設定電流Idsがスプリアスの規格値を超える電流値を閾値とする場合である。また、規定電流Idr>設定電流Idsとなる場合は、設定電流Idsがスプリアスの規格値を超えないようにマージンをとれるように電流値を設定した場合である。
【0037】
また、ステップS15では、電力増幅器37が異常と判断されたため電力増幅器の動作を停止させて位相制御処理を終了する。送信機の場合、表示部(図示なし)に異常を示す異常表示を行なうようにしてもよい。
ステップS16では、メモリに記憶されている位相指令値の上限値φtmax及び位相指令値の下限値φt(min)を読込み、位相指令値の上限値φt(max)及び位相指令値の下限値φtminの平均値を新たな位相指令値φtとして設定してからステップS17に移行する。
【0038】
このステップS17では、設定した位相指令値φtを位相シフト部31aに出力し位相シフト部31aに位相指令値φtに基づいてローカル信号の位相を調整させてから位相制御処理を終了する。
したがって、電力増幅器37の消費電流が最小となるように位相シフト部31aでローカル信号の位相を調整することで、入力ベースバンド信号(I,Q)の位相と帰還ベースバンド信号(I′、Q′)の位相との位相差をほぼゼロとすることができる。
【0039】
本実施形態では、入力ベースバンド信号(I,Q)の位相と帰還ベースバンド信号(I′、Q′)の位相との位相差をほぼゼロとする方法として、電力増幅器37の消費電流Idを電流検出部43で検出し、位相制御部31bによって、検出した消費電流検出値Idが最小となる位相指令値φtを設定し、設定した位相指令値φtを基に位相シフト部31aがローカル信号の位相を調整する。これにより、カルテシアンループ歪補償における入力ベースバンド信号(I,Q)の位相と帰還ベースバンド信号(I′、Q′)の位相との位相差をほぼゼロとすることができ、結果スプリアスの電力を抑制することができる。
【0040】
また、位相指令値の上限値φtmax及び位相指令値の下限値φtminを検出し、これら位相指令値の上限値φtmax及び位相指令値の下限値φtminの平均値を位相指令値φtとすることで、
図3に示すように、消費電流検出値Idが最小電流となっている位相差のセンター値、即ち、位相差がほぼゼロとなる位相指令値φtを設定することができる。
【0041】
なお、上記実施形態では、消費電流検出値Idの最小電流が複数の位相指令値φtに跨っている場合の位相制御について説明したが、これに限定されるものではなく、
図4に示すように、消費電流検出値Idが1つの最小値をとる特性である場合には、位相を変化させたときに消費電流検出値Idが前回値より小さくなる方向に位相指令値φtを順次変化させて検出した消費電流検出値が前回値より大きくなったときに、前回の位相指令値φt(n−1)を位相指令値φtとして設定するようにしてもよい。
【0042】
以上、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これらの説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。したがって、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例又は実施形態も網羅すると解すべきである。