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特許6787057売上データ処理システム及び売上データ処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6787057
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】売上データ処理システム及び売上データ処理方法
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20201109BHJP
   G06F 21/31 20130101ALI20201109BHJP
【FI】
   G07G1/12 341F
   G06F21/31
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-219376(P2016-219376)
(22)【出願日】2016年11月10日
(65)【公開番号】特開2018-77693(P2018-77693A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村上 文吾
【審査官】 國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−83374(JP,A)
【文献】 特開2004−265246(JP,A)
【文献】 特開2011−22156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00 − 1/14
G06F 21/31 − 21/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信が可能な売上データ処理装置と携帯端末、を備える売上データ処理システムであって、
前記売上データ処理装置は、
ユーザが所有する携帯端末から送信された前記携帯端末を識別する端末識別情報を取得する端末識別情報取得手段と、
前記端末識別情報取得手段により取得された前記端末識別情報に対応するユーザを特定するユーザ特定手段と、を備え、
前記携帯端末は、
前記ユーザの動作状況を取得する動作状況取得手段と、
前記動作状況取得手段により取得された前記動作状況が前記売上データ処理装置への操作であるか否かを判別する処理操作判別手段と、
前記処理操作判別手段により前記動作状況が前記売上データ処理装置への操作であると判別された場合に、前記携帯端末の前記端末識別情報を前記売上データ処理装置へ送信する端末識別情報送信手段と、
を備えることを特徴とする売上データ処理システム。
【請求項2】
前記携帯端末はセンサを備え、
前記動作状況取得手段は前記センサにより取得される情報に基づいて、ユーザの動作状況を取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の売上データ処理システム。
【請求項3】
前記売上データ処理装置は、
前記ユーザ特定手段により特定されたユーザの情報を出力する出力手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1及び2に記載の売上データ処理システム。
【請求項4】
前記売上データ処理装置は、
前記ユーザ特定手段により特定されたユーザに応じて、予め決められた設定に制御する制御手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1から3何れかに記載の売上データ処理システム。
【請求項5】
無線通信が可能な売上データ処理装置とユーザが所有する携帯端末との間で実行される売上データ処理方法であって、
前記携帯端末が、前記ユーザの動作状況を取得するステップと、
前記携帯端末が、取得された前記動作状況が前記売上データ処理装置への操作であるか否かを判別するステップと、
前記携帯端末が、取得された前記動作状況が前記売上データ処理装置への操作であると判別された場合に、前記携帯端末を識別する端末識別情報を前記売上データ処理装置へ送信するステップと、
前記売上データ処理装置が、前記携帯端末から送信された前記端末識別情報を取得するステップと、
前記売上データ処理装置が、取得された前記端末識別情報に対応するユーザを特定するステップと、
を含むことを特徴とする売上データ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、売上データ処理システム及び売上データ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品(サービスを含む)を販売する店舗等に設置され、商品の売上登録の指定を受け付ける売上データ処理装置として、電子キャッシュレジスタ(ECR;Electronic Cash Register)やPOS(Point Of Sales)端末装置等の電子装置が知られている。このような売上データ処理装置の中には、様々な方法によってユーザの特定を行うものがある。
【0003】
例えば、POS端末装置の操作者毎に操作者カードを用意し、その操作者に関する情報をバーコード化して記載しておく。そして、操作者はPOS端末装置の操作開始前に、操作者カードに記載されているバーコードをバーコードスキャナで読み込むことにより、POS端末装置が操作者の特定を行うことができる技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07−182408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来のPOS端末装置では、操作者は操作開始前にバーコードの読み込みを行わなければならないという手間がある。通常、POS端末装置では主に会計処理が行われるが、実店舗においては顧客が会計処理の順番を待つ状況が多くあるため、操作者の手間を減らして処理能力を向上させることが望まれている。そのため、従来のような手間をかけていては会計処理の開始までに時間を要し、処理能力の向上が図れないという問題がある。
【0006】
本発明の課題は、操作開始時にユーザの手間を省くことができる売上データ処理システム及び売上データ処理方法を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の売上データ処理システムは、無線通信が可能な売上データ処理装置と携帯端末、を備える売上データ処理システムであって、前記売上データ処理装置は、ユーザが所有する携帯端末から送信された前記携帯端末を識別する端末識別情報を取得する端末識別情報取得手段と、前記端末識別情報取得手段により取得された前記端末識別情報に対応するユーザを特定するユーザ特定手段と、を備え、前記携帯端末は、前記ユーザの動作状況を取得する動作状況取得手段と、前記動作状況取得手段により取得された前記動作状況が前記売上データ処理装置への操作であるか否かを判別する処理操作判別手段と、前記処理操作判別手段により前記動作状況が前記売上データ処理装置への操作であると判別された場合に、前記携帯端末の前記端末識別情報を前記売上データ処理装置へ送信する端末識別情報送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の売上データ処理方法は、無線通信が可能な売上データ処理装置とユーザが所有する携帯端末との間で実行される売上データ処理方法であって、前記携帯端末が、前記ユーザの動作状況を取得するステップと、前記携帯端末が、取得された前記動作状況が前記売上データ処理装置への操作であるか否かを判別するステップと、前記携帯端末が、取得された前記動作状況が前記売上データ処理装置への操作であると判別された場合に、前記携帯端末を識別する端末識別情報を前記売上データ処理装置へ送信するステップと、前記売上データ処理装置が、前記携帯端末から送信された前記端末識別情報を取得するステップと、前記売上データ処理装置が、取得された前記端末識別情報に対応するユーザを特定するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作開始時にユーザの手間を省くことができる売上データ処理システム及び売上データ処理方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】売上データ処理システムを示すブロック図である。
図2】レジの物理的構成を示すブロック図である。
図3】ウェアラブル端末の物理的構成を示すブロック図である。
図4】売上データ処理システムの機能的構成を示すブロック図である。
図5】測定される電磁ノイズと動作状況の関係を示す図である。
図6】第1の実施の形態における端末DBの構成を示す図である。
図7】印刷されるレシートの一例を示す図である。
図8】識別情報送信処理を示すフローチャートである。
図9】売上データ処理を示すフローチャートである。
図10】第2の実施の形態における端末DBの構成を示す図である。
図11】ユーザ種別DBの構成を示す図である。
図12】ユーザ認証処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1図4を参照して、システム構成、及び、装置構成を説明する。まず、図1を参照して、売上データ処理システム1を説明する。図1は、売上データ処理システムを示すブロック図である。
【0013】
売上データ処理システム1は、売上データ処理装置としてのレジ10と、携帯端末としてのウェアラブル端末20と、を備える。1台のレジ10に接続されるウェアラブル端末20の台数は任意であり、1台でも複数台でも良い。
【0014】
レジ10及びウェアラブル端末20は、通信ネットワークNに接続されている。通信ネットワークNは、インターネットであるものとするが、LAN(Local Area Network)等、他のネットワークとしてもよい。
【0015】
レジ10は、個人商店、スーパーマーケット等の店舗に設置されるECR(Electronic Cash Resister)、POS(Point Of Sales)等であり、従業員であるユーザの操作により顧客に販売した商品の金額、個数等の売上データを登録する装置である。レジ10は、1つの店舗に少なくとも1台設置される。
【0016】
ウェアラブル端末20は、店舗の従業員であるユーザ1人毎に配られ、店舗での夫々の業務に関連したアプリケーション等を実行することができる端末である。なお、本実施の形態では、ウェアラブル端末20は、腕に装着できるようなリスト端末であるとし、業務中には従業員に装着されているものとする。
【0017】
また、ウェアラブル端末20は、端末毎に夫々を識別する識別情報を有しており、この識別情報は通信ネットワークNを介して、送受信可能なものであるとする。なお、複数のレジ10が店舗に設置されていた場合は、ウェアラブル端末20がどのレジ10と通信を行うかは予め決められているものとする。
【0018】
次に、図2を参照して、レジ10の物理的構成を説明する。図2は、レジ10の物理的構成を示す図である。
【0019】
図2に示すように、レジ10は、CPU(Central Processing Unit)11と、操作部12と、RAM(Random Access Memory)13と、表示部14と、記憶部15と、通信部16と、計時部17と、印刷部18と、スキャナ部19と、を備える。レジ10の各部は、バス1Aを介して接続されている。
【0020】
CPU11は、レジ10の各部を制御する。CPU11は、記憶部15に記憶されているシステムプログラム及びアプリケーションプログラムのうち、指定されたプログラムを読み出してRAM13に展開し、RAM13に展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0021】
操作部12は、売上データ登録に関する各種キー群を有し、各キーに入力された操作情報をCPU11に出力する。操作部12は、例えば、数字キー、PLU(Price Look Up)キー、部門入力キー、仮締キー、小計キー、現金(締め)キーを有する。操作部12は、表示部14の表示画面に備えられたタッチパネルでも良い。
【0022】
RAM13は、情報を一時的に記憶する揮発性のメモリであり、各種データ及びプログラムを格納するワークエリアを有する。
【0023】
表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)、ELD(Electro Luminescent Display)等により構成され、レジ10の操作にあたって必要な情報をユーザに表示する役割を持つ。また、表示部14は、感圧式、静電式等のタッチパネルによって構成されるとしても良く、操作入力の役割も果たすことができる構成としても良い。
【0024】
記憶部15は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等を有する構成で、オペレーションシステムのほか、プログラムやアプリケーション、各種情報等が記憶されている。特に、記憶部15は、後述する端末DB(DataBase)60が記憶されている。なお、記憶部15は、例えば、SDカード、IC(Integrated Circuit)カードなど、着脱自在な可搬型メモリを含む構成であってもよく、図示しないが、通信機能を介してネットワークに接続された状態においては所定の外部サーバ側の記憶領域を含むものであってもよい。
【0025】
通信部16は、例えば、無線通信用アンテナ、送信信号の変調部、受信信号の復調部等を備え、通信ネットワーク上に設けられたアクセスポイントとの間で無線通信を行うことが可能である。
【0026】
なお、通信部16は、必ずしも通信ネットワークを介すものである必要はなく、例えば、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信をウェアラブル端末20と行うものであっても良い。その際には、ウェアラブル端末20が近距離無線通信を行うことが可能な領域に近づいた場合に、自動的にペアリングを行う構成にすると良い。
【0027】
計時部17は、リアルタイムクロックであり、現在年月日時を計時し、その現在年月日時を示す現在時刻情報をCPU11に出力する。
【0028】
印刷部18は、ロール紙がセットされたサーマルプリンタ等で構成される。印刷部18は、CPU11の指示により、レシート、ジャーナル、領収書等を印刷する。
【0029】
スキャナ部19は、発光部、受光部、ゲイン回路、2値化回路を備え、1次元のバーコードを読み取るレーザースキャナである。具体的には、発光部から出射した光束がバーコードに照射され、その反射光を受光部により受光して電気信号に変換する。その電気信号をゲイン回路により増幅し、2値化回路により2値データに変換して出力する。
【0030】
次に、図3を参照して、ウェアラブル端末20の物理的構成を説明する。図3は、ウェアラブル端末20の物理的構成を示す図である。
【0031】
図3に示すように、ウェアラブル端末20は、CPU(Central Processing Unit)21と、操作部22と、RAM(Random Access Memory)23と、表示部24と、記憶部25と、通信部26と、計時部27と、位置情報取得部28と、センサ29と、を備える。ウェアラブル端末20の各部は、バス2Aを介して接続されている。
【0032】
なお、CPU21、RAM23、表示部24、通信部26、計時部27については、レジ10のCPU11、RAM13、表示部14、通信部16、計時部17と同様な部分は重複する説明を省略し、異なる部分を主として説明する。
【0033】
CPU21は、ウェアラブル端末20の各部を制御する。操作部22は、表示部24の表示画面上に設けられたタッチパネルであり、ユーザからのタッチ入力を受け付け、その操作情報をCPU21に出力する。
【0034】
表示部24は、ウェアラブル端末20の操作にあたって必要な情報をユーザに表示するタッチパネルである。記憶部25は、情報の読み出し及び書き込みが可能な記憶部であり、例えば、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等から構成されている。
【0035】
位置情報取得部28は、アンテナ、受信回路、信号処理回路等により構成され、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される電波を受信してGPS信号を取得し、GPS信号からウェアラブル端末20の現在位置(緯度、経度、高度)を導出して現在位置情報を検出する。
【0036】
センサ29は、電磁界センサであり、電子機器等に触れることによって人体に流れる電磁ノイズを測定する。本実施の形態では、この測定された電磁ノイズから、ユーザの動作状況の特定を行うが、用いられるセンサの種類は、これに限定されるものではない。
【0037】
次に、図4を参照して、売上データ処理システム1の機能的構成を説明する。図4は、売上データ処理システム1の機能的構成を示すブロック図である。
【0038】
売上データ処理システム1は、ウェアラブル端末20が備える、測定部41、動作状況特定部42と、レジ操作判別部43と、端末識別情報送信部44と、レジ10が備える、端末識別情報受信部45と、ユーザ特定部46と、出力部47と、から構成される。
【0039】
まず、ウェアラブル端末20が備える機能的構成から説明する。測定部41は、センサ29によって電磁ノイズを測定し、測定結果をCPU21に出力する。
【0040】
動作状況特定部42は、測定部41によって測定された電磁ノイズのパターンから、ユーザの動作状況をCPU21が特定する。
【0041】
レジ操作判別部43は、動作状況特定部42によって特定されたユーザの動作状況がレジ10に対する操作であるか否かをCPU21が判別する。
【0042】
端末識別情報送信部44は、レジ操作判別部43によってユーザの動作状況がレジ10に対する操作であると判別された場合、自端末を識別するための端末識別情報を通信部26を介して、レジ10へ送信する。以上が、ウェアラブル端末20が備える機能的構成である。
【0043】
次に、レジ10が備える機能的構成の説明を行う。端末識別情報受信部45は、端末識別情報送信部44によってウェアラブル端末20から送信された端末識別情報を通信部16を介して受信する。
【0044】
ユーザ特定部46は、端末識別情報受信部45によって受信された端末識別情報に基づいて、後述する記憶部15の端末DB60よりその端末に対応するユーザをCPU11が特定する。
【0045】
出力部47は、ユーザ特定部46によって特定されたユーザに関する情報を印刷部18によってレシートに印刷することで出力する。以上が、レジ10が備える機能的構成である。
【0046】
次に、図5を参照して、測定される電磁ノイズと動作状況の関係を説明する。図5は、測定される電磁ノイズと動作状況の関係を示すブロック図である。
【0047】
家電製品やPCなどの電子機器は、動作中に夫々特徴的な微弱の電磁ノイズを放射している。ユーザがそうした電子機器に触れると、電磁ノイズが手から伝搬して体に電気的な影響を与える。
【0048】
このような電磁ノイズをセンサ29によって測定し、周辺ノイズを除去することで、触れている電子機器固有の電磁ノイズを取り出すことができる。そして、本実施の形態では、この電磁ノイズのパターンに基づいて、ユーザがどの電子機器を操作しているか、更には、ユーザの動作状況の特定まで行う。
【0049】
図5に示すように、各動作を行う際にはセンサ29によってノイズパターン50が測定される。図5のノイズパターン50は、上から、レジ操作、パソコン操作、タブレット操作を行っている際のノイズパターンを示している。このように、各動作を行った際にセンサ29によって測定されるノイズパターン50は異なった特徴を示している。これらのノイズパターン50を基に、ユーザの動作状況は何であるか、そして、本実施の形態においては、レジ操作を行っているか否かを判別することが可能となる。
【0050】
次に、図6を参照して、レジ10の記憶部15に記憶される端末DB60を説明する。図6は、端末DB60の構成を示す図である。
【0051】
端末DB60は、複数のウェアラブル端末20夫々について、端末識別情報や対応するユーザが記憶されているものであり、図6に示すように、端末DB60は、端末管理ID61、端末識別情報62、端末名63、ユーザ名64、の項目を有する。以上のような端末DB60に含まれる項目内容は、各ウェアラブル端末20夫々に対応して記憶されている。また、これらの情報は予めユーザによって登録が行われるものとする。
【0052】
端末管理ID61は、登録されているウェアラブル端末20を管理するために端末毎に割り振られた識別情報である。端末を登録した順に、新しい端末管理ID61が各端末に与えられ、端末DB60に情報が格納される。
【0053】
端末識別情報62は、ウェアラブル端末20が夫々を識別するために有している識別情報である。また、レジ10は、ウェアラブル端末20から端末識別情報を受信したら、この端末識別情報62から一致する情報を探し出して、ユーザの特定を行う。
【0054】
端末名63は、各端末に夫々与えられた名前であり、任意に設定、変更が可能である。
【0055】
ユーザ名64は、各端末に対応するユーザの名前である。本実施の形態におけるユーザの特定とは、受信した端末識別情報からこのユーザ名64を特定することである。このため、ユーザ名64をレシートに印刷して出力することが可能である。なお、ユーザ名64の他にもユーザに関する項目を端末DB60が有する構成としても良い。
【0056】
次に、図7を参照して、レジ10における会計処理において印刷されるレシートの一例を説明する。図7は、印刷されるレシートの一例を示す図である。
【0057】
レジ10では、会計処理において売上の入力、登録が完了すると、図7に示すようなレシート70が印刷部18によって印刷される。図7に示すように、印刷されるレシート70には、店舗情報71、取引情報72、担当者情報73が記載されている。
【0058】
店舗情報71は、レジ10が設置されている店舗に関する情報であり、店舗名、店舗の住所、電話番号等を含む。
【0059】
取引情報72は、今回の会計処理によって行われた取引内容であり、取引が行われた日時、購入商品とその価格、合計の取引金額等を含む。なお、取引が行われた日時に関しては、計時部17によって取得された日時を用いる構成にすると良い。
【0060】
担当者情報73は、会計処理を行った担当者に関する情報であり、例えば、担当者の名前等である。担当者情報73は、レジ10がウェアラブル端末20から端末識別情報を受信し、一致する端末識別情報62からユーザ名64を特定することで、特定されたユーザ名64がレシートに記載されたものである。
【0061】
次に、図8を参照して、ウェアラブル端末20における識別情報送信処理について説明する。図8は、識別情報送信処理を示すフローチャートである。識別情報送信処理は、ウェアラブル端末20が、ユーザの動作状況がレジ操作であると判別された場合に、レジ10に対して自端末の端末識別情報を送信する処理である。
【0062】
まず、CPU21は、センサ29によって電磁ノイズの測定を行う(ステップS11)。即ち、CPU21は、測定部41として機能する。
【0063】
次に、CPU21は、測定された電磁ノイズのパターンから、ユーザの動作状況を特定する(ステップS12)。即ち、CPU21は、動作状況特定部42として機能する。特定の方法は、例えば、図5に示したような各操作に対応する電磁ノイズのパターンを記憶部25に記憶させておき、測定結果と比較する方法等にすると良い。
【0064】
そして、CPU21は、特定された動作状況がレジ10に対する操作であったか否かを判別する(ステップS13)。即ち、CPU21は、レジ操作判別部43として機能する。
【0065】
動作状況がレジ10に対する操作でないと判別された場合(ステップS13;NO)、ステップS11に戻り、再びセンサ29によって電磁ノイズの測定を行う。一方、動作状況がレジ10に対する操作であると判別された場合(ステップS13;YES)、CPU21は、通信部26を介して、操作対象であるレジ10へ自端末の端末識別情報を送信する(ステップS14)。これにより、ユーザがレジ10を操作している際に、ウェアラブル端末20からレジ10へ端末識別情報の送信が行われる。
【0066】
次に、図9を参照して、レジ10における会計処理について説明する。図9は、会計処理を示すフローチャートである。会計処理は、レジ10によって、顧客が持ってくる購入希望の商品について、売上入力、売上登録を行う処理である。
【0067】
まず、CPU11は、スキャナ部19によって商品に記載されているバーコードを読み取ることで売上の入力を開始する(ステップS201)。そして、売上の入力を行っている際に、CPU11は、通信部16を介してユーザが装着しているウェアラブル端末20から端末識別情報を受信する(ステップS202)。即ち、CPU11は、端末識別情報受信部45として機能する。なお、図8のフローチャートで説明した通り、ウェアラブル端末20ではユーザがレジ10の操作を行っていると判別した場合に、端末識別情報の送信を行うため、ステップS201において売上の入力を開始すると、自動的に端末識別情報の受信を行うことが可能である。
【0068】
次に、CPU21は、既にユーザが特定されているか否かを判別する(ステップS203)。既にユーザが特定されていると判別された場合は(ステップS203;YES)、そのまま売上の入力がすべて完了するまで待機し、ステップS206に進む。このように判別することで、通常連続して行われる会計処理において、毎回後述するステップで行うようなユーザの特定を行う必要がなくなる。
【0069】
一方、ユーザが特定されていないと判別された場合(ステップS203;NO)、CPU11は、受信した端末識別情報からユーザの特定を行う(ステップS204)。即ち、CPU11は、ユーザ特定部46として機能する。具体的には、記憶部15の端末DB60から、受信した端末識別情報と一致する端末識別情報62を探し出し、対応して記憶されているユーザ名64を特定する。
【0070】
そして、CPU11は、ユーザの特定を行うことができたか否かを判別し(ステップS205)、ユーザの特定を行うことができたと判別されたら(ステップS205;YES)、売上入力がすべて完了した後に(ステップS206)、特定されたユーザ名64と今回の売上を対応付けて登録する(ステップS207)。売上の登録が完了したら、ユーザ名64が記載された図7に示すようなレシート70を印刷部18によって印刷する(ステップS208)。即ち、CPU11は、出力部47として機能する。
【0071】
一方、ステップS205においてユーザの特定を行うことができなかったと判別されたら(ステップS205;NO)、売上入力がすべて完了した後に(ステップS209)、ユーザ名64無しで今回の売上を登録する(ステップS210)。そして、ユーザ名64無しのレシートを印刷部18によって印刷する(ステップS211)。
【0072】
このように、第1の実施の形態では、ユーザがレジ操作を行うと、自動的にユーザの特定が行われ、そのユーザの情報をレシートに印刷して出力することができる。
【0073】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、ユーザがスキャナ部19によって売上の入力を開始すると、ウェアラブル端末20と通信し、ユーザの特定を行った。第2の実施の形態では、ユーザの特定をレジ操作のための認証手段として利用し、特定されないユーザに対してはレジ操作を許可しない。また、ユーザが特定された場合には、そのユーザに対応したレジ操作の権限を与え、行えるレジ操作をユーザに応じて制限する。
【0074】
図10を参照して、第2の実施の形態における端末DB100を説明する。図10は、端末DB100の構成を示す図である。
【0075】
図10に示すように、端末DB100は、端末管理ID101、端末識別情報102、端末名103、ユーザ名104、ユーザ種別105、の項目を有する。なお、ユーザ種別105以外の項目に関する説明は、図6における項目と同様であるので、説明を省略する。
【0076】
ユーザ種別105は、ユーザ名104に対応するユーザの種別を表すものであり、例えば、管理者、一般、ゲストのようなものがある。このユーザ種別105に基づいて、詳しくは後述する図11において説明するが、行えるレジ操作をユーザに応じて制限することが可能である。
【0077】
次に、図11を参照して、ユーザ種別DB110を説明する。図11は、ユーザ種別DB110の構成を示す図である。
【0078】
図11に示すように、ユーザ種別DB110は、ユーザ種別ID111、ユーザ種別112、売上登録113、基本設定114、売上管理115、の項目を有する。これらの項目内容は、端末DB100と同様に、各ユーザ種別夫々に対応して記憶されており、予めユーザによって登録が行われるものとする。
【0079】
ユーザ種別ID111は、登録されているユーザ種別を管理するためにユーザ種別毎に割り振られた識別情報である。ユーザ種別を登録した順に、新しいユーザ種別ID111が各ユーザ種別に与えられ、ユーザ種別DB110に情報が格納される。
【0080】
ユーザ種別112は、端末DB100のユーザ種別105と対応しており、具体的なユーザ種別を表す名前である。
【0081】
売上登録113、基本設定114、売上管理115は、レジ10において行うことが可能な操作の種類である。ユーザ種別112に応じて、これらの操作が許可させるか否かが決定される。つまり、ユーザに応じて行えるレジ操作が制限される。
【0082】
例えば、レジ10が、「ユーザA」を特定した場合、図10の端末DB100を参照すると、ユーザAのユーザ種別105は「管理者」であることがわかる。そして、ユーザ種別DB110から、管理者に対応する権限を調べると、売上登録113、基本設定114、ユーザ種別115すべてが「許可」となっていることがわかる。以上から、管理者であるユーザAには、売上登録113、基本設定114、売上管理115すべてが許可される。
【0083】
次に、図12を参照して、レジ10におけるユーザ認証処理について説明する。図12は、ユーザ認証処理を示すフローチャートである。ユーザ認証処理は、レジ10によって、ユーザを特定し、特定されたユーザに応じて行えるレジ操作を制限する処理である。なお、本処理において、レジ10はユーザの特定が行われるまでほぼ全ての操作が制限されている状態、即ち、ロックされた状態であるものとする。
【0084】
まず、CPU11は、ユーザによって操作部12に含まれるロック解除キーが操作されたか否かを判別する(ステップS31)。ロック解除キーが操作されない場合は(ステップS31;NO)、そのまま操作が行われるまで待機する。なお、ロック解除キーは、ユーザがレジ10の操作を開始しようとする際に操作されるキーである。ロック解除キーが操作されると、ウェアラブル端末20では、ユーザの動作状況がレジ10への操作であると判別されるため、端末識別情報がレジ10へ送信される。なお、必ずしもロック解除キーに限定されるものではなく、例えば、レジ10の起動キー等、ウェアラブル端末20において、ユーザがレジ10を操作していると判別できるものがあれば良い。
【0085】
ユーザによってロック解除キーが操作されたと判別された場合(ステップS31;YES)、CPU11は、通信部16を介してユーザが装着しているウェアラブル端末20から端末識別情報を受信する(ステップS32)。即ち、CPU11は、端末識別情報受信部45として機能する。
【0086】
そして、CPU11は、受信した端末識別情報からユーザの特定を行う(ステップS33)。即ち、CPU11は、ユーザ特定部46として機能する。受信した端末識別情報からユーザが特定された場合(ステップS34;YES)、レジ10のロックを解除して(ステップS35)、そのユーザに応じたレジ操作の権限を与える(ステップS36)。なお、受信した端末識別情報からユーザが特定されなかった場合は(ステップS34;NO)、ロックを解除せずステップS31に戻る。
【0087】
このように、第2の実施の形態では、ユーザの特定をレジ操作のための認証手段として利用し、特定されないユーザに対してはレジ操作を許可しないことが可能となる。また、特定されたユーザに対応したレジ操作の権限を与え、行えるレジ操作をユーザに応じて制限することができる。
【0088】
以上、上記実施の形態によれば、売上データ処理システム1は、無線通信が可能なレジ10とウェアラブル端末20を備え、レジ10は、ユーザが所有するウェアラブル端末20から送信されたウェアラブル端末20を識別する端末識別情報を取得し、端末識別情報に対応するユーザを特定し、ウェアラブル端末20は、ユーザの動作状況を取得し、動作状況がレジ10への操作であるか否かを判別し、動作状況がレジ10への操作であると判別された場合に、ウェアラブル端末20の端末識別情報をレジ10へ送信する。即ち、売上データ処理システム1は、端末識別情報取得手段と、ユーザ特定手段と、動作状況取得手段と、処理操作判別手段と、端末識別情報送信手段と、を備える。
【0089】
このため、操作開始時にユーザの手間を省くことができる売上データ処理システム及び売上データ処理方法を実現することができる。
【0090】
また、ウェアラブル端末20はセンサを備え、センサにより取得される情報に基づいて、ユーザの動作状況を取得する。このため、ユーザの動作状況を自動的に取得することが可能である。
【0091】
また、レジ10は、特定されたユーザの情報を出力する。このため、ユーザの情報をレシートに印刷することができる。
【0092】
また、レジ10は、特定されたユーザに応じて、予め決められた設定に制御する。このため、ユーザに応じて行えるレジ操作を制限することができる。
【0093】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る売上データ処理システム及び売上データ処理方法の一例であり、これに限定されるものではない。
【0094】
例えば、上記実施の形態では、ウェアラブル端末20は1台のレジ10と通信を行う構成となっていたが、これに限定されるものではなく、複数台のレジ10と通信を行っても良い。その際は、ウェアラブル端末20はどのレジ10を操作しているのか判別する必要があるが、例えば、位置情報取得部28によって所得される現在位置情報と予め記憶部25に記憶している複数のレジ10の位置情報とを比較することで、最も近いレジ10を操作対象として判別すると良い。
【0095】
また、上記の実施の形態では、ウェアラブル端末20が動作状況を判別していたが、これに限定されるものではなく、例えば、ウェアラブル端末20はセンサ29によって電磁ノイズの測定のみ行い、測定結果をレジ10へ送信して、レジ10で動作状況を判別しても良い。
【0096】
また、上記の実施の形態では、端末DB60、100において、1台の端末に1人のユーザが対応して記憶されているが、これに限定されるものではなく、1台の端末に複数人対応付けられるものとしても良い。
【0097】
また、上記の実施の形態では、ユーザ種別112は、管理者、一般、ゲストとしていたが、これに限定されるものではなく、他の種別であっても良いし、3つに限定されるものでもない。同様に、与えられるレジ操作の権限を示す売上登録113、基本設定114、売上管理115も一例に過ぎず、他のレジ操作の権限であってもよいし、3つに限定されるものではない。
【0098】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
無線通信が可能な売上データ処理装置と携帯端末、を備える売上データ処理システムであって、
前記売上データ処理装置は、
ユーザが所有する携帯端末から送信された前記携帯端末を識別する端末識別情報を取得する端末識別情報取得手段と、
前記端末識別情報取得手段により取得された前記端末識別情報に対応するユーザを特定するユーザ特定手段と、を備え、
前記携帯端末は、
前記ユーザの動作状況を取得する動作状況取得手段と、
前記動作状況取得手段により取得された前記動作状況が前記売上データ処理装置への操作であるか否かを判別する処理操作判別手段と、
前記処理操作判別手段により前記動作状況が前記売上データ処理装置への操作であると判別された場合に、前記携帯端末の前記端末識別情報を前記売上データ処理装置へ送信する端末識別情報送信手段と、
を備えることを特徴とする売上データ処理システム。
<請求項2>
前記携帯端末はセンサを備え、
前記動作状況取得手段は前記センサにより取得される情報に基づいて、ユーザの動作状況を取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の売上データ処理システム。
<請求項3>
前記売上データ処理装置は、
前記ユーザ特定手段により特定されたユーザの情報を出力する出力手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1及び2に記載の売上データ処理システム。
<請求項4>
前記売上データ処理装置は、
前記ユーザ特定手段により特定されたユーザに応じて、予め決められた設定に制御する制御手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1から3何れかに記載の売上データ処理システム。
<請求項5>
無線通信が可能な売上データ処理装置とユーザが所有する携帯端末との間で実行される売上データ処理方法であって、
前記携帯端末が、前記ユーザの動作状況を取得するステップと、
前記携帯端末が、取得された前記動作状況が前記売上データ処理装置への操作であるか否かを判別するステップと、
前記携帯端末が、取得された前記動作状況が前記売上データ処理装置への操作であると判別された場合に、前記携帯端末を識別する端末識別情報を前記売上データ処理装置へ送信するステップと、
前記売上データ処理装置が、前記携帯端末から送信された前記端末識別情報を取得するステップと、
前記売上データ処理装置が、取得された前記端末識別情報に対応するユーザを特定するステップと、
を含むことを特徴とする売上データ処理方法。
【符号の説明】
【0099】
1 売上データ処理システム
10 レジ
11 CPU
12 操作部
13 RAM
14 表示部
15 記憶部
16 通信部
17 計時部
18 印刷部
19 スキャナ部
1A バス
20 ウェアラブル端末
21 CPU
22 操作部
23 RAM
24 表示部
25 記憶部
26 通信部
27 計時部
28 位置情報取得部
29 センサ
2A バス
N 通信ネットワーク
図1
図2
図3
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図5
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図10
図11
図12