(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6787071
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20201109BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20201109BHJP
H03F 3/217 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
H02M7/48 A
H02M3/155 Q
H03F3/217 160
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-226110(P2016-226110)
(22)【出願日】2016年11月21日
(65)【公開番号】特開2018-85798(P2018-85798A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】林 旻
(72)【発明者】
【氏名】松浦 研
(72)【発明者】
【氏名】木下 寿
【審査官】
佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−101408(JP,A)
【文献】
特開2006−054207(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0171680(US,A1)
【文献】
米国特許第03919656(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02M 3/155
H03F 3/217
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧が入力される正負2つの直流入力端子と、
交流電圧を出力する2つの交流出力端子と、
スイッチング素子と、
前記スイッチング素子の両端間に接続された第1の共振キャパシタンスと、
前記交流出力端子間に前記スイッチング素子と共に直列に接続された第1のLC共振回路と、
前記直流入力端子間に前記スイッチング素子と共に直列に接続された第2のLC共振回路とを備え、
前記第1のLC共振回路は、
インダクタンスとキャパシタンスの直列回路を含む電流経路を有し、
前記第2のLC共振回路は、
前記2つの直流入力端子のうちの一方の直流入力端子に接続される第1接続部および前記スイッチング素子に接続される第2接続部を有すると共に、インダクタンスを含んで構成される電流経路、およびインダクタンスとキャパシタンスの直列回路を含んで構成される電流経路が当該第1接続部および当該第2接続部間に形成されている電力変換装置であって、
前記第2のLC共振回路は、
前記第1接続部および前記第2接続部間のインピーダンスの周波数特性において2つの共振周波数を有して、当該2つの共振周波数のうちの低域の第1の共振周波数が、前記スイッチング素子のスイッチング周波数より高く、かつ当該2つの共振周波数のうちの高域の第2の共振周波数が、当該スイッチング周波数の略2倍であって、
前記インピーダンスが、前記第1の共振周波数で極大となり、かつ前記第2の共振周波数で極小となるように形成されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記第2のLC共振回路は、
内部に含むインダクタンスとキャパシタンスを集約化して構成された複合共振インピーダンス素子であることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記スイッチング素子は、E級スイッチング動作をすることを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記第2のLC共振回路は、
前記インピーダンスの周波数特性において前記第2の共振周波数よりも高い周波数帯域に、さらに2つの共振周波数を有して、当該2つの共振周波数のうちの低域の第3の共振周波数が、前記スイッチング周波数の2倍を超え4倍未満であり、かつ当該2つの共振周波数のうちの高域の第4の共振周波数が、前記スイッチング周波数の略4倍であって、
前記インピーダンスが、前記第3の共振周波数で極大となり、かつ前記第4の共振周波数で極小となるように形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記第2のLC共振回路は、
第1のインダクタンス、第2のインダクタンスおよび第2のキャパシタンスを内部に含み、
前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第1のインダクタンスが接続されると共に、
前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第2のインダクタンスと前記第2のキャパシタンスとの直列回路が接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記第2のLC共振回路は、
第3のインダクタンス、第4のインダクタンスおよび第3のキャパシタンスを内部に含み、
前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第3のインダクタンスと前記第4のインダクタンスとの直列回路が接続されると共に、
前記第4のインダクタンスに前記第3のキャパシタンスが並列に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記第2のLC共振回路は、
第5のインダクタンス、第6のインダクタンス、第7のインダクタンス、第4のキャパシタンスおよび第5のキャパシタンスを内部に含み、
前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第5のインダクタンスが接続され、
前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第6のインダクタンスと前記第4のキャパシタンスとの直列回路が接続され、
かつ前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第7のインダクタンスと前記第5のキャパシタンスとの直列回路が接続されていることを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記第2のLC共振回路は、
第8のインダクタンス、第9のインダクタンス、第10のインダクタンス、第6のキャパシタンスおよび第7のキャパシタンスを内部に含み、
前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第8のインダクタンスと前記第9のインダクタンスと前記第10のインダクタンスとの直列回路が接続され、
前記第9のインダクタンスに前記第6のキャパシタンスが並列に接続され、
かつ前記第10のインダクタンスに前記第7のキャパシタンスが並列に接続されていることを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記第2のLC共振回路は、
第11のインダクタンス、第12のインダクタンス、第13のインダクタンス、第8のキャパシタンスおよび第9のキャパシタンスを内部に含み、
前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第11のインダクタンスと前記第12のインダクタンスと前記第13のインダクタンスとがこの順に直列に接続され、
前記第12のインダクタンスと前記第13のインダクタンスとの直列回路に前記第8のキャパシタンスが並列に接続され、
かつ前記第13のインダクタンスに前記第9のキャパシタンスが並列に接続されていることを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記第2のLC共振回路は、
第14のインダクタンス、第15のインダクタンス、第16のインダクタンス、第10のキャパシタンスおよび第11のキャパシタンスを内部に含み、
前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第14のインダクタンスが接続され、
前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第10のキャパシタンスと前記第11のキャパシタンスと前記第16のインダクタンスとがこの順に直列に接続され、
かつ前記第11のキャパシタンスと前記第16のインダクタンスとの直列回路に前記第15のインダクタンスが並列に接続されていることを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記第2のLC共振回路は、
第17のインダクタンス、第18のインダクタンス、第19のインダクタンス、第12のキャパシタンスおよび第13のキャパシタンスを内部に含み、
前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第17のインダクタンスと前記第12のキャパシタンスと前記第18のインダクタンスとがこの順に直列に接続され、
前記第12のキャパシタンスと前記第18のインダクタンスとの直列回路に前記第19のインダクタンスが並列に接続され、
かつ前記第18のインダクタンスに前記第13のキャパシタンスが並列に接続されていることを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記第2のLC共振回路は、
第20のインダクタンス、第21のインダクタンス、第22のインダクタンス、第14のキャパシタンスおよび第15のキャパシタンスを内部に含み、
前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第20のインダクタンスと前記第14のキャパシタンスと前記第21のインダクタンスとがこの順に直列に接続され、
かつ前記第14のキャパシタンスと前記第21のインダクタンスとの直列回路に前記第22のインダクタンスと前記第15のキャパシタンスとがそれぞれ並列に接続されていることを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記第2のLC共振回路は、
内部に磁気結合されているインダクタンスを含んでいることを特徴とする請求項1乃至12に記載の電力変換装置。
【請求項14】
前記第1のLC共振回路に含まれている前記キャパシタンスおよび前記インダクタンスは、
前記スイッチング素子の一端と前記2つの交流出力端子のうちの一方の交流出力端子との間の第1経路内、および当該スイッチング素子の他端と当該2つの交流出力端子のうちの他方の交流出力端子との間の第2経路内に分散して配設された第16のキャパシタンスおよび第23のインダクタンスで構成されていることを特徴とする請求項1乃至13に記載の電力変換装置。
【請求項15】
請求項1乃至14に記載の電力変換装置と、
第3のLC共振回路と整流回路とを備えて構成されると共に、当該電力変換装置の前記交流出力端子間に接続されて、当該交流出力端子間から出力される前記交流電圧を直流電圧に変換して出力する交直変換回路とを備えている電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高周波帯域で動作するRFパワーアンプ、電力変換回路として、高変換効率の共振インバータまたは共振コンバータ回路がよく知られている(下記特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1には、
図14に示すように、シングルエンドスイッチング素子105と負荷ネットワークとによって構成されて、直流入力端子102a,102b間に入力される直流入力電圧V1を交流出力電圧V2に変換して出力端子103a,103bから負荷抵抗108に出力する共振インバータ101aの技術が開示されている。この場合、負荷ネットワークは、直流入力端子102a,102bのうちの高電位側の直流入力端子102aとスイッチング素子105の一端との間に接続された単一部品としてのインダクタ104と、スイッチング素子105の両端間に接続されたキャパシタンスと、出力端子103a,103bのうちの出力端子103aとスイッチング素子105の一端との間に接続されたLC共振回路(キャパシタンス106とインダクタンス107の直列回路)とを含んで構成されている。また、スイッチング素子105の他端、低電位側の直流入力端子102bおよび出力端子103bは、共通グランドGに接続されている。この共振インバータ101aでは、このスイッチング素子105の電圧V3はスイッチング素子105に接続した負荷ネットワークの応答特性によって決定される。スイッチング素子105のOFF期間にスイッチング素子105の両端間に印加される電圧V3は、スイッチング素子105のOFF直後から緩やかに上昇し、スイッチング素子105のONの直前には、電圧値及び時間に対する電圧変化率も略零となる動作をする。
【0004】
よって、特許文献1の共振インバータ101aでは、スイッチング素子105のスイッチングによるスイッチング素子105の両端間に接続されたキャパシタンスに蓄積されているエネルギーの放電損失が無いため、高周波スイッチング動作が可能になる。この利点により、特許文献1の共振インバータ101aは、通信システムのRFパワーアンプや、後段に整流平滑回路を付ける高周波スイッチング電源まで幅広く使われている。しかし、特許文献1の共振インバータ101aでは、スイッチング素子105のOFF期間中にスイッチング素子105の両端間に印加される電圧ピーク値が電圧共振によって直流入力電圧V1の略3.6倍まで上昇する。
【0005】
一方、特許文献2には、
図15に示すように、特許文献1のインバータ特性を維持すると同時に、スイッチング素子105の両端にスイッチング周波数の2次高調波成分を抑えるLC共振回路(インダクタンス113とキャパシタンス114の直列回路)を付けることによって、スイッチング素子105の両端間に印加される電圧ピーク値を直流入力電圧V1の略2倍まで抑えることを可能とする共振コンバータ101bの技術が開示されている。この共振コンバータ101bの負荷ネットワークは、上記した共振インバータ101aの負荷ネットワークの構成に加えて、上記したインダクタンス113およびキャパシタンス114と共に、共振インバータ101aのLC共振回路(キャパシタンス106とインダクタンス107の直列回路)と出力端子103a,103bとの間に配設された交直変換回路(並列接続されたインダクタンス109およびキャパシタンス110で構成されるLC共振回路と、キャパシタンス111および接合容量を含むダイオード112で構成される整流平滑回路とを含む回路)を有して、直流入力端子102a,102b間に入力される直流入力電圧V1を直流出力電圧V4に変換して出力端子103a,103bから負荷抵抗108に出力する。なお、共振インバータ101aと同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略した。この特許文献2の共振コンバータ101bでも、特許文献1の共振インバータ101aと同じようにRF帯域までの高周波スイッチング動作が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3919656号明細書
【特許文献2】米国特許第7889519号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の技術である特許文献1の共振インバータ101aでは、動作時にスイッチング素子105の両端間に印加される電圧ピーク値が電圧共振によって直流入力電圧V1の略3.6倍まで上昇する。そのために、直流入力電圧V1に比して高耐圧で、それ故に高ON抵抗のスイッチング素子をスイッチング素子105に使用する必要性が生じ、そのことがコストアップ、変換効率の低下等の要因となる課題がある。
【0008】
一方、従来の技術である特許文献2の共振コンバータ101bでは、スイッチング素子105の両端にスイッチング周波数の2次高調波成分を抑えるLC共振回路(インダクタンス113とキャパシタンス114の直列回路)を付けることによって、スイッチング素子105の両端間に印加される電圧ピーク値を直流入力電圧V1の略2倍まで抑えることを可能としている。但し、2次高調波成分を抑える上記のLC共振回路が、コンバータ内の各部に独立して分散しているので、高周波でスイッチング動作をさせる際に実装パターンの引き回しの影響が大きくなる課題がある。この影響によって共振スイッチング動作を最適化、安定化させる事が難しい等の課題もある。加えて部品実装コストアップ(生産コスト低減)、部品実装面積拡大(装置の小型化)、装置全体の動作として動作最適化させるための調整が難しい等の課題も残る。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、上記した従来の共振インバータまたは共振コンバータ等の電力変換装置に必要な入力インダクタンスをインダクタによる単一部品から、装置の動作条件、特に発振周波数に対して最適化されたインピーダンスの周波数特性Z(以降、最適化インピーダンス特性Zと表記する場合は、このインピーダンスの周波数特性を示す。)を有するインダクタンスとキャパシタンスを組み合わせたLC共振回路に置き換えることで、共振インバータまたは共振コンバータの優位な特性を持つ高変換効率、小型、低コストの電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく、本発明に係る電力変換装置では、直流電圧が入力される正負2つの直流入力端子と、交流電圧を出力する2つの交流出力端子と、スイッチング素子と、前記スイッチング素子の両端間に接続された第1の共振キャパシタンスと、前記交流出力端子間に前記スイッチング素子と共に直列に接続された第1のLC共振回路と、前記直流入力端子間に前記スイッチング素子と共に直列に接続された第2のLC共振回路とを備え、前記第1のLC共振回路は、インダクタンスとキャパシタンスの直列回路を含む電流経路を有し、前記第2のLC共振回路は、前記2つの直流入力端子のうちの一方の直流入力端子に接続される第1接続部および前記スイッチング素子に接続される第2接続部を有すると共に、インダクタンスを含んで構成される電流経路、およびインダクタンスとキャパシタンスの直列回路を含んで構成される電流経路が当該第1接続部および当該第2接続部間に形成されている。
また、前記第2のLC共振回路は、前記第1接続部および前記第2接続部間のインピーダンスの周波数特性において2つの共振周波数を有して、当該2つの共振周波数のうちの低域の第1の共振周波数が、前記スイッチング素子のスイッチング周波数より高く、かつ当該2つの共振周波数のうちの高域の第2の共振周波数が、当該スイッチング周波数の略2倍であって、前記インピーダンスが、前記第1の共振周波数で極大となり、かつ前記第2の共振周波数で極小となる構成としている。また、前記第2のLC共振回路は、内部に含むインダクタンスとキャパシタンスを集約化して構成された複合共振インピーダンス素子としてもよい。
【0011】
本発明に係る電力変換装置では、前記スイッチング素子は、E級スイッチング動作をする構成としている。
【0013】
この場合、前記第2のLC共振回路は、第1のインダクタンス、第2のインダクタンスおよび第2のキャパシタンスを内部に含み、前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第1のインダクタンスが接続されると共に、前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第2のインダクタンスと前記第2のキャパシタンスとの直列回路が接続されている。
【0014】
あるいは、前記第2のLC共振回路は、第3のインダクタンス、第4のインダクタンスおよび第3のキャパシタンスを内部に含み、前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第3のインダクタンスと前記第4のインダクタンスとの直列回路が接続されると共に、前記第4のインダクタンスに前記第3のキャパシタンスが並列に接続されている。
【0015】
本発明に係る電力変換装置では、前記第2のLC共振回路は、前記インピーダンスの周波数特性において前記第2の共振周波数よりも高い周波数帯域に、さらに2つの共振周波数を有して、当該2つの共振周波数のうちの低域の第3の共振周波数が、前記スイッチング周波数の2倍を超え4倍未満であり、かつ当該2つの共振周波数のうちの高域の第4の共振周波数が、前記スイッチング周波数の略4倍であって、前記インピーダンスが、前記第3の共振周波数で極大となり、かつ前記第4の共振周波数で極小となる構成としている。
【0016】
この場合、前記第2のLC共振回路は、第5のインダクタンス、第6のインダクタンス、第7のインダクタンス、第4のキャパシタンスおよび第5のキャパシタンスを内部に含み、前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第5のインダクタンスが接続され、前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第6のインダクタンスと前記第4のキャパシタンスとの直列回路が接続され、かつ前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第7のインダクタンスと前記第5のキャパシタンスとの直列回路が接続されている。
【0017】
あるいは、前記第2のLC共振回路は、第8のインダクタンス、第9のインダクタンス、第10のインダクタンス、第6のキャパシタンスおよび第7のキャパシタンスを内部に含み、前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第8のインダクタンスと前記第9のインダクタンスと前記第10のインダクタンスとの直列回路が接続され、前記第9のインダクタンスに前記第6のキャパシタンスが並列に接続され、かつ前記第10のインダクタンスに前記第7のキャパシタンスが並列に接続されている。
【0018】
あるいは、前記第2のLC共振回路は、第11のインダクタンス、第12のインダクタンス、第13のインダクタンス、第8のキャパシタンスおよび第9のキャパシタンスを内部に含み、前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第11のインダクタンスと前記第12のインダクタンスと前記第13のインダクタンスとがこの順に直列に接続され、前記第12のインダクタンスと前記第13のインダクタンスとの直列回路に前記第8のキャパシタンスが並列に接続され、かつ前記第13のインダクタンスに前記第9のキャパシタンスが並列に接続されている。
【0019】
あるいは、前記第2のLC共振回路は、第14のインダクタンス、第15のインダクタンス、第16のインダクタンス、第10のキャパシタンスおよび第11のキャパシタンスを内部に含み、前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第14のインダクタンスが接続され、前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第10のキャパシタンスと前記第11のキャパシタンスと前記第16のインダクタンスとがこの順に直列に接続され、かつ前記第11のキャパシタンスと前記第16のインダクタンスとの直列回路に前記第15のインダクタンスが並列に接続されている。
【0020】
あるいは、前記第2のLC共振回路は、第17のインダクタンス、第18のインダクタンス、第19のインダクタンス、第12のキャパシタンスおよび第13のキャパシタンスを内部に含み、前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第17のインダクタンスと前記第12のキャパシタンスと前記第18のインダクタンスとがこの順に直列に接続され、前記第12のキャパシタンスと前記第18のインダクタンスとの直列回路に前記第19のインダクタンスが並列に接続され、かつ前記第18のインダクタンスに前記第13のキャパシタンスが並列に接続されている。
【0021】
あるいは、前記第2のLC共振回路は、第20のインダクタンス、第21のインダクタンス、第22のインダクタンス、第14のキャパシタンスおよび第15のキャパシタンスを内部に含み、前記第1接続部および前記第2接続部間に前記第20のインダクタンスと前記第14のキャパシタンスと前記第21のインダクタンスとがこの順に直列に接続され、かつ前記第14のキャパシタンスと前記第21のインダクタンスとの直列回路に前記第22のインダクタンスと前記第15のキャパシタンスとがそれぞれ並列に接続されている。
【0022】
あるいは、前記第2のLC共振回路は、内部に磁気結合されているインダクタンスを含んでいる。
【0023】
本発明に係る電力変換装置では、前記第1のLC共振回路に含まれている前記キャパシタンスおよび前記インダクタンスは、前記スイッチング素子の一端と前記2つの交流出力端子のうちの一方の交流出力端子との間の第1経路内、および当該スイッチング素子の他端と当該2つの交流出力端子のうちの他方の交流出力端子との間の第2経路内に分散して配設された第16のキャパシタンスおよび第23のインダクタンスで構成されている。
【0024】
本発明に係る電力変換装置では、上記のいずれかの電力変換装置と、第3のLC共振回路と整流回路とを備えて構成されると共に、当該電力変換装置の前記交流出力端子間に接続されて、当該交流出力端子間から出力される前記交流電圧を直流電圧に変換して出力する交直変換回路とを備えている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、共振インバータまたは共振コンバータ等の電力変換装置において入力インダクタンスを、インダクタによる単一部品から、インダクタンスを含んで構成される電流経路と、インダクタンスとキャパシタンスの直列回路を含んで構成される電流経路とが第1接続部および第2接続部間にそれぞれ形成された(つまり、この2つの電流経路が第1接続部および第2接続部間に並列に形成された)第2のLC共振回路(最適化インピーダンス特性Zを有する複合共振回路)に置き換えることで、共振インバータ、または共振コンバータの特性を容易に最適化する事が可能となる。
その結果、スイッチング素子の両端間に印加される電圧ピーク値を容易に直流入力電圧の略2倍まで抑えられるため、低耐圧故に低ON抵抗のスイッチング素子の使用が可能となり、その効果として高効率な電力変換装置を提供することができる。
また、共振インバータ、または共振コンバータの共振動作に関する一部の機能部を第2のLC共振回路に集約することが可能な構成となるため、2端子の複合共振インピーダンス素子とする事が可能となる。特に高周波でスイッチング動作をさせる場合、高周波のスイッチング電流が流れるパターンの引き回しが長いと、様々な弊害を生じる。本技術により、パターンの引き回しを極力短くする事、スイッチング回路部(スイッチング素子、第1の共振キャパシタンス、および第2のLC共振回路を含む回路)をコンパクトに設計する事が可能となり、その結果としてノイズによる影響を受ける、逆にノイズを放出する等のノイズの影響を抑える事が容易となる。また部品を集約する事で、複数必要なインダクタンスを磁気結合させる事が可能となり、磁気コアの個数を減らし、低コストと最適化が容易となる。またインダクタのコアのコア特性が、変動した時に、個々のインダクタとしての素子特性の変動差を小さく抑える事が可能となり動作の安定性に寄与する。さらに生産コストの低減、装置の小型化、装置の動作の最適化も達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1実施の形態に係る電力変換装置としてのインバータ装置1aの回路構成を模式的に示した構成図である。
【
図2】本発明おける最適化インピーダンス特性Zを有する第2のLC共振回路41を構成する内部素子を複合共振インピーダンス素子に集約した構成図である。
【
図3】本発明おける最適化インピーダンス特性Zを有する第2のLC共振回路41の2つの共振周波数を有する場合および4つの共振周波数を有する場合の周波数特性を説明するための説明図である。
【
図4】本発明おける極小値が1つの最適化インピーダンス特性Zを有する第2のLC共振回路41の回路構成を模式的に示した構成図である。
【
図5】本発明おける極小値が1つの他の最適化インピーダンス特性Zを有する第2のLC共振回路41の回路構成を模式的に示した構成図である。
【
図6】本発明おける極小値が2つの最適化インピーダンス特性Zを有する第2のLC共振回路41の回路構成を模式的に示した構成図である。
【
図7】本発明おける極小値が2つの他の最適化インピーダンス特性Zを有する第2のLC共振回路41の回路構成を模式的に示した構成図である。
【
図8】本発明おける極小値が2つの他の最適化インピーダンス特性Zを有する第2のLC共振回路41の回路構成を模式的に示した構成図である。
【
図9】本発明おける極小値が2つの他の最適化インピーダンス特性Zを有する第2のLC共振回路41の回路構成を模式的に示した構成図である。
【
図10】本発明おける極小値が2つの他の最適化インピーダンス特性Zを有する第2のLC共振回路41の回路構成を模式的に示した構成図である。
【
図11】本発明おける極小値が2つの他の最適化インピーダンス特性Zを有する第2のLC共振回路41の回路構成を模式的に示した構成図である。
【
図12】インバータ装置1aの動作を説明するための波形図である。
【
図13】本発明の第2実施の形態に係る電力変換装置としてのコンバータ装置1bの回路構成を模式的に示した構成図である。
【
図14】特許文献1の共振インバータの回路構成を模式的に示した構成図である。
【
図15】特許文献2の共振コンバータの回路構成を模式的に示した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、本発明の対象は以下の実施形態に限定されるものではない。また以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれると共に、その構成要素は、適宜組み合わせることが可能である。
【0028】
図面を参照して、発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0029】
まず、
図1を参照して、本発明の好適な実施形態に係る電力変換装置の全体構成について、電力変換装置の一例としてのインバータ装置1aを挙げて説明する。このインバータ装置1aは、負荷ネットワーク4及びスイッチング素子5とを備えている。
【0030】
また、インバータ装置1aは、一対の直流入力端子2a,2b(以下、特に区別しないときには「直流入力端子2」ともいう)、及び一対の交流出力端子3a,3b(以下、特に区別しないときには「交流出力端子3」ともいう)を備えている。
【0031】
具体的には、一対の直流入力端子2a,2bの間には、基準電位(本例では共通グランドG)に接続された直流入力端子2bを低電位側として、直流入力電圧(直流電圧)V1が入力される。一対の交流出力端子3a,3bの間には、基準電位(本例では共通グランドG)に接続された交流出力端子3bを基準として交流出力端子3aの電位が正負に変化する交流出力電圧V2(交流電圧)が出力される。また、このインバータ装置1aには負荷抵抗6が接続される。
【0032】
スイッチング素子5はMOSFETやバイポートランジスタなどで構成されている。インバータ装置1aは、スイッチング素子5のON/OFFにより、直流入力端子2から入力される直流入力電圧V1を交流出力電圧V2に変換して交流出力端子3から出力する。
【0033】
負荷ネットワーク4は、最適化インピーダンス特性Zを有する第2のLC共振回路41と、第1の共振キャパシタンス42(スイッチング素子5の出力容量を含む)と、第1のLC共振回路43とを備えた、スイッチング素子5のON/OFFに対する応答負荷である。
【0034】
この場合、上記の負荷抵抗6は交流出力端子3a,3b間に接続されて、この負荷抵抗6には、直流入力端子2に入力された直流入力電圧V1から変換された交流出力電圧V2が供給される。
【0035】
第2のLC共振回路41は、2つの外部接続端子(第1接続部41aおよび第2接続部
41b)を有した1端子対回路網、あるいは複合共振インピーダンス素子のような2端子素子であって、内部に複数のインダクタンスと少なくとも一つのキャパシタンスを含み、2つの接続部41a,41b間に、等価的にインダクタンスのみで構成される電流経路(インダクタンスを含んで構成される電流経路の一例)と、等価的にインダクタンスとキャパシタンスの直列回路のみで構成される電流経路(インダクタンスとキャパシタンスの直列回路を含んで構成される電流経路の一例)とを並列に有していて、各接続部41a,41b間から見たインピーダンスの周波数特性として最適化インピーダンス特性Zを有している。上記の複合共振インピーダンス素子とは、第2のLC共振回路41に含まれるインダクタンスとキャパシタンスとを集約化して1つの電子部品として構成したものであり、第2のLC共振回路41の一実施形態である。第2のLC共振回路41の各接続部41a,41bのうちの一方(本例では接続部41a)は直流入力端子2aに接続され、また、各接続部41a,41bのうちの他方(本例では接続部41b)は、スイッチング素子5の一端に接続されている。スイッチング素子5の他端は、直流入力端子2bに接続されている。よって、スイッチング素子5がONの時、直流入力端子2a→第2のLC共振回路41→スイッチング素子5→直流入力端子2bの直流電流ループが形成される。
図1では、第2のLC共振回路41が、直流入力端子2a,2bのうちの正側の直流入力端子2aに接続されているので、上記の電流ループとなるが、第2のLC共振回路41が負側の直流入力端子2bに接続される構成でもよく、この構成の場合の直流電流ループは、直流入力端子2a→スイッチング素子5→第2のLC共振回路41→直流入力端子2bとなる。
【0036】
第1の共振キャパシタンス42は、スイッチング素子5の両端に接続された共振スイッチングのための共振キャパシタンスであるが、スイッチング素子5が半導体素子の場合には、スイッチング素子5が持つ接合部のキャパシタンスを含めても良いし、接合部のキャパシタンスのみで構成しても良い。
【0037】
第1のLC共振回路43の1実施例は、第16のキャパシタンス431と第23のインダクタンス432を含んで構成されて、スイッチング素子5の両端間と交流出力端子間3a,3bを相互に接続する経路内に、第16のキャパシタンス431と第23のインダクタンス432が直列に接続されている。
図1のインバータ装置1aでは、一例として、第1のLC共振回路43の一端(一例として、第16のキャパシタンス431と第23のインダクタンス432の直列回路における第23のインダクタンス432側の一端)は交流出力端子3aに接続され、第1のLC共振回路43の他端(一例として、第16のキャパシタンス431と第23のインダクタンス432の直列回路における第16のキャパシタンス431側の他の一端)はスイッチング素子5の一端に接続され、スイッチング素子5のスイッチ端子の他端は交流出力端子3bに接続されている。よって、スイッチング素子がONの時、交流出力端子3a⇔第1のLC共振回路43⇔スイッチング素子5⇔交流出力端子3bの交流電流ループが形成される。
図1では、第1のLC共振回路43が交流出力端子3aに接続されているので、上記の電流ループとなるが、第1のLC共振回路43が、交流出力端子3bに接続される構成でもよく、この場合の電流ループは、交流出力端子3a⇔スイッチング素子5⇔第1の共振回路43⇔交流出力端子3bとなる。また第1のLC共振回路43内に含まれている第16のキャパシタンス431と第23のインダクタンス432は交流電流ループ内で直列に接続されていれば良く、
図1に示すような互いに直接的に接続される構成に代えて、交流出力端子3aからスイッチング素子5までの経路と、スイッチング素子5から交流出力端子3bまでの経路とに別れて接続される構成でも良い。
【0038】
次に、
図1に示した最適化インピーダンス特性Zを有する第2のLC共振回路(または複合共振インピーダンス素子)41について説明する。
図2は、
図1に示された第2のLC共振回路(または複合共振インピーダンス素子)41において内部の素子構成情報の機密保持を容易とする2端子のブラックボックスとして表した部品図である。このブラックボックスの中身は、相互インダクタンスを含めたインダクタ等のインダクタンスと、キャパシタ等のキャパシタンスを含んでいる。
【0039】
図1の第2のLC共振回路41(または複合共振インピーダンス素子)は、
図3において破線で示すように、二つの共振周波数(第1共振周波数および第2共振周波数)を有するインピーダンスの周波数特性のLC共振回路で構成することもできるし、同図において実線で示すように、この二つの共振周波数(第1共振周波数および第2共振周波数)に加えてさらに二つの共振周波数(第3共振周波数および第4共振周波数)を有するインピーダンスの周波数特性のLC共振回路で構成することもできる。
【0040】
最適化インピーダンス特性Zを有する第2のLC共振回路41のインピーダンス特性は、第1の共振周波数がインバータ装置1aのスイッチング周波数よりも高く、第1の共振周波数でインピーダンスが極大となり、第2の共振周波数がスイッチング周波数の略2倍であり、第2の共振周波数でインピーダンスが極小となるインピーダンス特性となっている。
【0041】
また、共振周波数を4つ有する場合の第2のLC共振回路41のインピーダンス特性は、第1の共振周波数と第2の共振周波数とについては上記した二つの共振周波数のときと同じインピーダンス特性であり、第3の共振周波数と第4の共振周波数については、第3の共振周波数がスイッチング周波数の2倍よりも高く4倍より低く、かつ第3の共振周波数でインピーダンスが極大となり、第4の共振周波数がスイッチング周波数の略4倍であり、かつ第4の共振周波数でインピーダンスが極小となるインピーダンス特性となっている。スイッチング素子5の両端間にはスイッチング周波数と同じ周波数で電圧が発生するが、第2のLC共振回路(または複合共振インピーダンス素子)41が上記したようにスイッチング周波数の偶数倍(上記の例では、2倍、または2倍および4倍)でインピーダンスが極小となるインピーダンス特性(最適化インピーダンス特性Z)を有するように構成されているため、この両端間に発生する電圧の波形を構成する高調波成分のうちの偶数成分が第2のLC共振回路41によって減衰させられて、基本波成分(1次高調波成分)と奇数成分(主として3次高調波成分)が残る。この結果、スイッチング素子5の両端間に発生する電圧を、直流入力電圧V1の略2倍まで抑えることが可能となる。
【0042】
続いて、
図1に示す第2のLC共振回路41の具体的な回路構成の実施例について、
図4から
図11までを用いて説明する。
【0043】
図4は二つの共振周波数を有する第2のLC共振回路41の実施例1である。この第2のLC共振回路41は、第1のインダクタンス411と、第2のインダクタンス412と、第2のキャパシタンス413とを備え、第1接続部41aおよび第2接続部41b間に第1のインダクタンス411が接続されると共に、両接続部41a,41b間に第2のインダクタンス412と第2のキャパシタンス413の直列回路が接続されて構成されている。
【0044】
また、
図5は二つ共振周波数を有する第2のLC共振回路41の実施例2である。この第2のLC共振回路41は、第3のインダクタンス414と、第4のインダクタンス415と、第3のキャパシタンス416を備え、第1接続部41aおよび第2接続部41b間に第3のインダクタンス414と第4のインダクタンス415が直列に接続されると共に、第4のインダクタンス415に第3のキャパシタンス416が並列に接続されて構成されている。
【0045】
また、
図6は四つ共振周波数を有する第2のLC共振回路41の実施例3である。この第2のLC共振回路41は、第5のインダクタンス417と、第6のインダクタンス418と、第7のインダクタンス419と、第4のキャパシタンス420と、第5のキャパシタンス421とを備え、第1接続部41aおよび第2接続部41b間に第5のインダクタンス417が接続され、両接続部41a,41b間に第6のインダクタンス418と第4のキャパシタンス420との直列回路が接続され、かつ両接続部41a,41b間に第7のインダクタンス419と第5のキャパシタンス421との直列回路が接続されて構成されている。
【0046】
また、
図7は四つ共振周波数を有する第2のLC共振回路41の実施例4である。この第2のLC共振回路41は、第8のインダクタンス422と、第9のインダクタンス423と、第10のインダクタンス424と、第6のキャパシタンス425と、第7のキャパシタンス426とを備え、第1接続部41aおよび第2接続部41b間に第8のインダクタンス422と第9のインダクタンス423と第10のインダクタンス424とが直列に接続され、第9のインダクタンス423に第6のキャパシタンス425が並列に接続され、かつ第10のインダクタンス424に第7のキャパシタンス426が並列に接続されて構成されている。
【0047】
また、
図8は四つ共振周波数を有する第2のLC共振回路41の実施例5である。この第2のLC共振回路41は、第11のインダクタンス427と、第12のインダクタンス428と、第13のインダクタンス429と、第8のキャパシタンス430と、第9のキャパシタンス431とを備え、第1接続部41aおよび第2接続部41b間に第11のインダクタンス427と第12のインダクタンス428と第13のインダクタンス429とがこの順に直列に接続され、第13のインダクタンス429に第9のキャパシタンス431が並列に接続され、かつ第12のインダクタンス428と第13のインダクタンス429との直列回路に第8のキャパシタンス430が並列に接続されて構成されている。
【0048】
また、
図9は四つ共振周波数を有する第2のLC共振回路41の実施例6である。この第2のLC共振回路41は、第14のインダクタンス432と、第15のインダクタンス433と、第16のインダクタンス434と、第10のキャパシタンス435と、第11のキャパシタンス436とを備え、第1接続部41aおよび第2接続部41b間に第14のインダクタンス432が接続され、両接続部41a,41b間に第10のキャパシタンス435と第11のキャパシタンス436と第16のインダクタンス434がこの順に直列に接続され、かつ第11のキャパシタンス436と第16のインダクタンス434との直列回路に第15のインダクタンス433が並列に接続されて構成されている。
【0049】
また、
図10は四つ共振周波数を有する第2のLC共振回路41の実施例7である。この第2のLC共振回路41は、第17のインダクタンス437と、第18のインダクタンス438と、第19のインダクタンス439と、第12のキャパシタンス440と、第13のキャパシタンス441とを備え、第1接続部41aおよび第2接続部41b間に第17のインダクタンス437と第12のキャパシタンス440と第18のインダクタンス438とがこの順に直列に接続され、第18のインダクタンス438に第13のキャパシタンス441が並列に接続され、かつ第12のキャパシタンス440と第18のインダクタンス438との直列回路に第19のインダクタンス439が並列に接続されて構成されている。
【0050】
また、
図11は四つ共振周波数を有する第2のLC共振回路41の実施例8である。この第2のLC共振回路41は、第20のインダクタンス442と、第21のインダクタンス443と、第22のインダクタンス444と、第14のキャパシタンス445と、第15のキャパシタンス446とを備え、第1接続部41aおよび第2接続部41b間に第20のインダクタンス442と第14のキャパシタンス445と第21のインダクタンス443とがこの順に直列に接続され、かつ第14のキャパシタンス445と第21のインダクタンス443との直列回路に第22のインダクタンス444と第15のキャパシタンス446とがそれぞれ並列に接続されて構成されている。
【0051】
また、第2のLC共振回路41は、その内部の複数のインダクタにおいて磁気結合されているインダクタを含んでいてもよい。これにより、簡単な回路構成で四つ共振周波数を有する第2のLC共振回路または複合共振インピーダンス素子を実現すると同時に磁気コアの個数を減らし、低コストと最適化が容易となる。また、インダクタのコアのコア特性が変動した時に、個々のインダクタとしての素子特性の変動差を小さく抑える事が可能となり動作の安定性に寄与する。
【0052】
次に、
図1に示したインバータ装置1aの基本動作について、
図12の定常動作波形図を参照して、各期間における動作波形について詳細に説明する。
【0053】
各期間における動作波形について、まずは、時間t0から時間t1までの期間での動作について説明する。時間t(=t0)の時、スイッチング素子5のON/OFFを制御する制御回路か
ら出力される駆動信号電圧Vpは、スイッチング素子5をONとするためハイレベルになり、時間t(=t1)までにハイレベルを維持する。よって、時間t0から時間t1までの期間は、スイッチング素子5がONし、スイッチング素子5の両端間に印加される電圧V3は零であり、第1の共振キャパシタンス42に流れる電流icは零である。スイッチング素子5に流れる電流isは、負荷ネットワーク4の特性によって、零から緩やかに上昇する。入力電流として、最適化インピーダンス特性Zを有する第2のLC共振回路41に流れる電流i1は共振電流となるため一つの正の共振ピークを有する。一方、この期間での出力電流i2は、負の正弦波電流で、時間t(=t1)で最小値をもつ。
【0054】
次に、
図12の時間t1から時間t2までの期間の動作について説明する。時間t(=t1)でスイッチング素子5への駆動信号電圧Vpは、スイッチング素子5をOFFとするためローレベルになり、時間t(=t2)までローレベルを維持する。従って、時間t1から時間t2までの間にスイッチング素子5がOFFし、このOFFになった直後からスイッチング素子5の両端間に印加される電圧V3は、負荷ネットワーク4の特性によって、共振して零から直流入力電圧V1の略2倍の振幅電圧まで緩やかに上昇し、そのあと降下して、時間t(=t2)で零に戻ると共に、時間に対する導関数(時間に対する電圧変化率)も零となる。つまり、スイッチング素子5は、E級スイッチング動作をする。
【0055】
また、この期間内にスイッチング素子5をOFFとさせることで、それまでスイッチング素子5に流れていた電流isは零となり、第1の共振キャパシタンス42に流れるicに切替わる。入力電流として、最適化インピーダンス特性Zを有する第2のLC共振回路41に流れる電流i1は二つの負方向の共振ピークを有する共振電流となる。一方、出力電流i2は時間t(=t1)で最小ピーク値となった直後から上昇する。また、出力電流i2は、この期間内に共振し、最大ピーク値を有する。
【0056】
その後の時間t2から時間t3までの期間は、前述した時間t0から時間t1までの期間の動作と同様であり、さらにその後の時間t3から時間t4までの期間は、前述した時間t1から時間t2までの期間の動作と同様である。つまり、時間t0から時間t2までの期間の動作が、それ以降の期間のおいても繰り返される。
【0057】
このように、このインバータ装置1aでは、スイッチング素子5への駆動信号電圧Vpの出力によってスイッチング素子5のON/OFFを繰り返させることで、高い変換効率で直流入力電圧V1から交流出力電圧V2への変換が可能である。ここで、最適化インピーダンス特性Zを有する第2のLC共振回路41を用いることで、スイッチング素子5の両端間に印加されるピーク電圧を直流入力電圧V1の略2倍の振幅に抑えられる。その効果として、スイッチング素子5の耐圧を下げることに付随して低ON抵抗のスイッチング素子を選定できることになる。その結果、スイッチング素子5における導通損失(ON損失)を減らすことを達成でき、電力変換装置の変換効率をさらに高めることが可能となる。また最適化インピーダンス特性Zを有する第2のLC共振回路41を用いることで高周波のスイッチング動作において最適化が容易となる。
【0058】
以上、スイッチング素子5をON/OFF制御する駆動信号電圧VpのON時間がOFF時間より短い実施例である。スイッチング素子5のON時間とOFF時間が異なる場合は各部の動作電圧と動作電流ピーク時間が異なる場合もある。
【0059】
また、最適化インピーダンス特性Z有する第2のLC共振回路41を用いた実施例は、
図1に示すインバータ装置1a(入力の直流電圧を交流のAC電圧に変換できるインバータ回路の一例)だけに限定されるものではなくて、例えば
図13に示すコンバータ装置1b(入力直流電圧を出力直流電圧に変換する電力変換装置の一例)への適用も可能である。
【0060】
図13のコンバータ装置1bは、
図1のインバータ装置1aの交流出力端子3a,3bに、この交流出力端子3a,3bから出力される交流出力電圧V2を直流出力電圧V4に変換して直流出力端子7a,7b間から出力する交直変換回路(キャパシタンスおよびインダクタンスを含む第3のLC共振回路45と、整流素子および平滑素子を含んだ整流平滑回路46とを備えた変換回路)を付加したものである。また、負側の直流入力端子2bと負側の直流出力端子7bは、共通グランドGに接続されている。その他の構成は、
図1と同様である。第3のLC共振回路45は、キャパシタンスとインダクタンスとが並列に接続されて構成され、整流平滑回路46は、接合容量を含むダイオード等の整流素子とコンデンサ等の平滑素子とが直列に接続されて構成されている。また、直流出力電圧V4は整流平滑回路46(具体的には、この整流平滑回路46の平滑素子の2つの端子に接続された直流出力端子7a,7b)から出力される。これにより、直流出力端子7a,7bに負荷抵抗6を接続したときに、負荷抵抗6には直流出力電圧V4が供給される。また、
図13の出力電流i3は交流正弦波ではなくて、リップル成分を有する直流電流となっている。
【0061】
なお、電力変換装置としてのコンバータ装置は、上記のコンバータ装置1bの構成に限定されるものではなく、第1のLC共振回路
43、第3のLC共振回路45、および整流平滑回路46の組合せによって、降圧形、昇圧形、および昇降圧形のコンバータ装置を構成する事も可能である。また、整流平滑回路46の前段に絶縁トランスを挿入する構成とすることで入力直流電圧と出力直流電圧間を絶縁したコンバータ装置を構成する事も可能である。
【0062】
以上、本発明の電力変換装置について、種々の実施の形態を挙げて説明したが、上記実施の形態の説明に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、
図1,13に示すように、直流入力端子2bと出力端子(交流出力端子3bや直流出力端子7b)が共通グランドGで繋がる構成を基本構成とする実施の形態について説明したが、グランドを共通としない構成(つまり、直流入力端子2bおよび出力端子(交流出力端子3bや直流出力端子7b)のいずれか一方が共通グランドGに繋がらない構成)を採用することもできる。この構成では、第2のLC共振回路(または複合共振インピーダンス素子)41は、負側の直流入力端子2bとスイッチング素子5との間に接続されることも可能である。あるいは、第1のLC共振回路43は、上記したように、スイッチング素子5と出力端子(交流出力端子3bや直流出力端子7b)を結ぶ共通グランドG側に接続されることも可能であるし、第1のLC共振回路43に含まれる第16のキャパシタンス431と第23のインダクタンス432を、交流出力端子3a(または直流出力端子7a)からスイッチング素子5までの経路と、スイッチング素子5から交流出力端子3b(または直流出力端子7b)までの経路とに分けて(分散して)接続することも可能である。
【符号の説明】
【0063】
1a インバータ装置
1b コンバータ装置
2a,2b 直流入力端子
3a,3b 交流出力端子
4 負荷ネットワーク
5 スイッチング素子
41 第2のLC共振回路
41a 第1接続部
41b 第2接続部
42 第1の共振キャパシタンス
43 第1のLC共振回路
431 第16のキャパシタンス
432 第23のインダクタンス
V1 直流入力電圧
V2 交流出力電圧