(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成または論理的意義を有する複数の構成を、必要に応じて通信装置20Aおよび20Bのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、複数の構成要素の各々に同一符号のみを付する。例えば、通信装置20Aおよび20Bを特に区別する必要が無い場合には、各クライアントを単に通信装置20と称する。
【0022】
<0.遠隔コミュニケーションシステムの概要>
本発明の実施形態は、遠隔する拠点間でのコミュニケーションを実現する遠隔コミュニケーションシステムに関する。以下、
図1〜
図3を参照し、遠隔コミュニケーションシステムの概要を説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態による遠隔コミュニケーションシステムの構成を示す説明図である。
図1に示したように、本発明の実施形態による遠隔コミュニケーションシステムは、拠点Aに設けられる撮像装置10A、通信装置20A、および作業用端末30Aと、拠点Bに設けられる撮像装置10B、通信装置20B、および作業用端末30Bと、を備える。拠点Aと拠点Bは、ネットワーク12により接続されている。
【0024】
撮像装置10は、拠点の俯瞰映像を撮像する機能、および拠点の環境音を収音する機能を有する。拠点Aに設けられる撮像装置10Aは、拠点Aの俯瞰映像および環境音を、ネットワーク12を介して拠点Bに送信する。同様に、拠点Bに設けられる撮像装置10Bは、拠点Bの俯瞰映像および環境音を、ネットワーク12を介して拠点Aに送信する。撮像装置10は撮像する機能と収音する機能の双方を有する必要はなく、集音する機能はオフィスの中央に設置できるよう撮像装置10から分離されてもよい。
【0025】
作業用端末30は、各メンバー(ユーザ)が作業のために利用する端末である。当該作業用端末30は、例えばPC(Personal Computer)であってもよい。
【0026】
通信装置20は、拠点Aのメンバーと拠点Bのメンバーとのコミュニケーションを支援するための装置である。例えば、拠点Aに設けられる通信装置20Aは、拠点Bの撮像装置10Bから送信される拠点Bの俯瞰映像を表示し、拠点Bの環境音を出力する。同様に、拠点Bに設けられる通信装置20Bは、拠点Aの撮像装置10Aから送信される拠点Aの俯瞰映像を表示し、拠点Aの環境音を出力する。このように、各拠点の俯瞰映像および環境音が恒常的に交換されることにより、各メンバーは、異なる拠点の雰囲気、状況を、異なる拠点が同一空間に存在するかのように感じることが可能である。
【0027】
また、通信装置20は、複数のメンバー間での対話を支援する機能を有する。例えば、通信装置20は、通信装置20に表示されている他の拠点の俯瞰映像に含まれるメンバーが選択されると、通信装置20を利用するメンバーと選択されたメンバーとが対話できるように、双方のメンバーの映像および音声が交換される対話状態を確立する。
【0028】
ここで、
図2を参照し、通信装置20の構成をより具体的に説明する。
図2は、通信装置20の構成を示す説明図である。
図2に示したように、通信装置20は、操作表示部220と、音出力部224と、映像入力部228と、音声入出力部232と、を備える。
【0029】
操作表示部220は、メンバーによる操作を検出する操作部、および映像を表示する映像出力部としての機能を包含する。例えば、拠点Aに位置する通信装置20Aの操作表示部220は、
図3に示したように、拠点Bの撮像装置10Bから送信された拠点Bの俯瞰映像を表示する。
【0030】
なお、
図2においては操作表示部220に操作部と映像出力部の機能が一体的に実装される例を示したが、操作部と映像出力部の機能は分離して構成されてもよい。また、操作部としての機能は、タッチパネルで実現されてもよいし、物理的なボタンで構成されてもよいし、赤外線や超音波などによる非接触センサーで実現されてもよい。
【0031】
音出力部224(第1の音出力部)は、音を出力する機能を有し、スピーカで構成され得る。例えば、拠点Aに位置する通信装置20Aの音出力部224は、拠点Bの撮像装置10Bから送信された拠点Bの環境音を出力する。
【0032】
映像入力部228は、通信装置20を利用するメンバーを撮像する機能を有する。例えば、拠点Aに位置する通信装置20Aの映像入力部228は、通信装置20Aを利用するメンバーの映像を撮像により取得する。通信装置20Aと拠点Bの通信装置20Bとの対話状態が確立された場合、通信装置20Aの映像入力部228により取得された映像は、ネットワーク12を介して拠点Bの通信装置20Bに送信される。同様に、通信装置20Aと拠点Bの通信装置20Bとの対話状態が確立された場合、通信装置20Bの映像入力部228により取得された映像は、ネットワーク12を介して拠点Aの通信装置20Aに送信される。
【0033】
音声入出力部232は、音声の入力機能および出力機能(第2の音出力部)を有し、メンバー間の対話の際に用いられる。音声入出力部232は、
図2に示したように、ハンドセットで構成される。ハンドセットは把持する型である必要はなく、指向性マイクと指向性スピーカによる据え置き型でハンズフリーを行う構成でもよい。メンバー間の対話を音出力部224および通信装置20に備えられたマイク(図示していない)を用いてハンズフリーで実現することも可能であるが、ハンドセットで構成される音声入出力部232を用いることにより、周囲に漏れる音が小さくなり、周囲への迷惑がかかり難くなる。なお、音声入出力部232と通信装置20の本体とは、無線で接続されてもよいし、有線で接続されてもよいし、音声入出力部232は通信装置20の本体に設けられてもよい。
【0034】
例えば、拠点Aに位置する通信装置20Aの音声入出力部232は、対話相手のメンバーが利用する通信装置20Bから送信された対話相手のメンバーの音声を出力し、通信装置20Aを利用するメンバーの音声を収音する。通信装置20Aの音声入出力部232の収音により得られた音声は、ネットワーク12を介して、対話相手のメンバーが利用する通信装置20Bに送信される。同様に、拠点Bに位置する通信装置20Bの音声入出力部232は、対話相手のメンバーが利用する通信装置20Aから送信された対話相手のメンバーの音声を出力し、通信装置20Bを利用するメンバーの音声を収音する。通信装置20Bの音声入出力部232の収音により得られた音声は、ネットワーク12を介して、対話相手のメンバーが利用する通信装置20Aに送信される。
【0035】
なお、拠点Aと拠点Bの間には、各撮像装置10から俯瞰映像および環境音を収集し、各通信装置20への俯瞰映像および環境音の配信を集中管理する管理サーバが設けられてもよい。当該管理サーバは、通信装置20から撮像装置10への俯瞰映像および環境音の送信要求や、通信装置20から他の通信装置20への対話要求などを受信し、これら要求に応じた処理を行ってもよい。
【0036】
(背景)
異なる拠点に位置するメンバー間での対話を実現するためには、一般的に、一方のメンバーが他方のメンバーを呼び出すための発呼操作を行い、他方のメンバーが利用する通信装置が着信音を出力し、他方のメンバーが着信音に応じて応答操作を行う。しかし、対話の度に着信音が発生すると、周囲のメンバーの集中力が着信音により削がれ、作用に支障をきたすことが懸念される。
【0037】
この点に関し、一方のメンバーによる発呼操作に基づき、他方のメンバーが利用する通信装置による着信音の出力および他方のメンバーの応答操作無しに、双方のメンバーが利用する通信装置間で対話状態を確立する方法では、着信音が発生しないので、周囲のメンバーの集中力が阻害されない。
【0038】
しかし、他方のメンバーの応答操作無しに対話状態を確立する方法では、他方のメンバーが、対話を要求されたこと、および対話状態が確立されていることに気付かないことが起こり得る。
【0039】
図4は、対話を要求されたメンバーの映像例を示す説明図である。対話を要求されたメンバーは、対話要求に気付いて
図4Aに示したように映像入力部228を向いてくれることもあるが、
図4Bに示すように作業に集中していて対話要求に気付かないことや、
図4Cに示すように別のメンバーと対話をしていて対話要求に気付かないことがある。
【0040】
本件発明者は、上記事情を一着眼点にして本発明の実施形態を創作するに至った。本発明の各実施形態によれば、通信装置間の対話状態の確立を通信装置のユーザに気付かせることが可能である。以下、このような本発明の各実施形態について順次詳細に説明する。
【0041】
<1.第1の実施形態>
(構成)
図5は、本発明の第1の実施形態による遠隔コミュニケーションシステムの構成を示す説明図である。
【0042】
//撮像装置//
図5に示したように、撮像装置10は、俯瞰映像入力部120と、環境音入力部130と、通信部140と、を備える。俯瞰映像入力部120は、撮像装置10が設けられる拠点の俯瞰映像を撮像により取得する。環境音入力部130は、撮像装置10が設けられる拠点の環境音を収音により取得する。通信部140は、撮像装置10が設けられる拠点と異なる拠点に、俯瞰映像入力部120により取得された俯瞰映像および環境音入力部130により取得された環境音を送信する。
【0043】
//通信装置//
図5に示したように、通信装置20は、映像出力部221、操作部222、音出力部224、映像入力部228、音声入出力部232、通信部240、制御部250および通知音生成部260を備える。映像出力部221および操作部222は、
図2を参照して説明した操作表示部220に対応する。音出力部224、映像入力部228および音声入出力部232の構成は
図2を参照して説明した通りであるので、ここでの詳細な説明を省略する。
【0044】
通信部240は、ネットワーク12を介して映像および音声を通信する。例えば、通信部240は、他の拠点に設けられた撮像装置10から他の拠点の俯瞰映像および環境音を受信する受信部としての機能を有する。また、通信部240は、対話状態において、他の拠点に設けられた通信装置20から対話相手の映像および音声を受信する。また、通信部240は、対話状態において、映像入力部228により取得された通信装置20を利用するメンバーの映像、および音声入出力部232により取得された通信装置20を利用するメンバーの音声を、対話相手が利用する通信装置20に送信する送信部として機能する。さらに、通信部240は、他の拠点の通信装置20から対話要求を受信すること、および他の拠点の通信装置20に対話要求を送信することも可能である。
【0045】
制御部250は、通信装置20の動作全般を制御する。例えば、制御部250は、通信部240により受信された他の拠点の俯瞰映像を映像出力部221に表示させ、通信部240により受信された他の拠点の環境音を音出力部224に出力させる。また、制御部250は、他の通信装置20との対話状態においては、他の通信装置20から受信された映像を映像出力部221に表示させ、他の通信装置20から受信された音声を音声入出力部232に出力させる。また、制御部250は、他の通信装置20との対話状態においては、映像入力部228により取得された映像、および音声入出力部232により取得された音声を、他の通信装置20へ通信部240に送信させる。本明細書において、このように通信装置20間でメンバーの映像および音声が送受信され得る状態を、対話状態と呼んでいる。
【0046】
本実施形態による制御部250は、他の通信装置20からの対話要求に基づき、着信音の出力およびメンバーによる応答操作無しに、他の通信装置20と上記の対話状態を確立する。このため、通信装置20を利用するメンバーが対話状態の確立に気付いていないことがある。そこで、制御部250は、対話状態において、他の通信装置20からの呼びかけ要求(指示)に応じて、通知音生成部260に呼びかけのための通知音を生成させる。通知音生成部260により生成された通知音は音出力部224から出力される。当該通知音の出力について、
図6を参照してより具体的に説明する。
【0047】
図6は、通信装置20Aと対話状態が確立された通信装置20Bの動作例を示す説明図である。
図6に示したように、通信装置20Bの映像出力部221には、通信装置20Aを利用するメンバーの映像V1が表示されている。また、通信装置20Bの音声入出力部232は、通信装置20Aを利用するメンバーからの「○○さん」という呼びかけ声X1が出力されている。しかし、通信装置20Bを利用するメンバーM1は、作業用端末30を用いた作業に集中しており、通信装置20Aと通信装置20Bとの対話状態の確立に気付いていない。
【0048】
この時、通信装置20Aを利用するメンバーが所定の呼びかけ操作を行うと、通信装置20Bの制御部250が通知音生成部260に通知音を生成させ、音出力部224が例えば
図6に示したように「コンコン」という通知音X2を出力する。音出力部224の出力音量は音声入出力部232の出力音量よりも大きいので、メンバーM1は、音声入出力部232からの「○○さん」という呼びかけ声X1に気付かなくても、音出力部224から出力される通知音X2には気付き易い。メンバーM1は、通知音X2により通信装置20間の対話状態に気付けば、映像入力部228を向き、音声入出力部232を把持して、対話を開始することが可能である。
【0049】
なお、呼びかけ操作は、俯瞰映像に含まれるメンバーをタップする操作であってもよい。当該呼びかけ操作は、対話状態が終了するまでの間に、何度も繰り返し行われ得る。制御部250は、呼びかけ操作の繰り返し回数に応じて、通知音生成部260に次第に大きい音量で通知音を生成させてもよい。
【0050】
(動作)
以上、本発明の第1の実施形態の構成を説明した。続いて、
図7を参照し、本発明の第1の実施形態の動作を整理する。
【0051】
図7は、本発明の第1の実施形態の動作を示すフローチャートである。
図7に示したように、通信装置20Aおよび通信装置20Bは、他方の拠点の俯瞰映像および環境音を出力している(S101)。そして、通信装置20Aを利用するメンバーにより、拠点Bの俯瞰映像から対話相手が選択されると(S102)、選択された対話相手が利用する通信装置20Bに対話要求が送信され(S103)、通信装置20Bが対話要求を受理する(S104)。ここで、管理サーバが、拠点Bの俯瞰映像にクリッカブルマップを設定しておき、通信装置20Aを利用するメンバーによりタップされた位置に対応するメンバーを特定し、特定されたメンバーが利用する通信装置20Bに対話要求を送信してもよい。
【0052】
その後、通信装置20Aおよび通信装置20Bは、映像出力部221による俯瞰映像の出力を停止する(S105)。そして、通信装置20Aおよび通信装置20Bは、メンバーの映像の送受信を開始し、他方から受信したメンバーの映像の出力を開始する(S106)。なお、俯瞰映像の出力は完全に停止されなくてもよく、例えば、通信装置20は、俯瞰映像およびメンバーの映像の双方を含む画面を出力してもよい。この時、俯瞰映像よりメンバーの映像が大きく表示されてもよい。
【0053】
また、通信装置20Aおよび通信装置20Bは、音出力部224による環境音の出力を停止する(S107)。そして、通信装置20Aおよび通信装置20Bは、メンバーの音声の送受信を開始し、他方から受信したメンバーの音声の出力を開始する(S108)。これにより、通信装置20Aと通信装置20Bの間で対話状態が確立する。
【0054】
対話状態において通信装置20Aを利用するメンバーが操作部222に対して呼びかけ操作を行うと(S109)、通信装置20Bの通知音生成部260が予め設定済みの通知音を生成し(S110)、音出力部224が当該通知音を出力する(S111)。通信装置20Aを利用するメンバーは、通信装置20Bを利用するメンバーが通知音により対話状態に気付くまで呼びかけ操作を繰り返すことが可能であり、通信装置20Bを利用するメンバーが対話状態に気付いた後、対話が開始する。
【0055】
その後、通信装置20Aの操作部222に対話を終了するための操作が行われると(S113)、対話終了通知が通信装置20Bに送信され、通信装置20Bにより対話終了通知が受理される(S114)。対話を終了するための操作は、所定のボタンの選択であってもよいし、所定のジェスチャであってもよい。
【0056】
そして、通信装置20Aおよび通信装置20Bは、メンバーの映像および音声の送受信および出力を停止し(S115)、俯瞰映像および環境音の出力を再開する(S116、S117)。結果、通信装置20Aおよび通信装置20Bの状態は、S101における通信装置20Aおよび通信装置20Bの状態と等しくなる。
【0057】
(効果)
以上説明したように、本発明の第1の実施形態によれば、着信音の出力および対話相手による応答操作無しに通信装置20間での対話状態が確立される。このため、着信音により周囲のメンバーの集中を阻害することなく、対話状態を確立することが可能である。さらに、対話状態の確立後に、対話状態に気付かない対話相手に通知音により呼びかけを行うことができる。このため、対話相手が通知音により対話状態に気付き、円滑に対話を開始することが可能である。
【0058】
<2.第2の実施形態>
以上、本発明の第1の実施形態を説明した。続いて、本発明の第2の実施形態を説明する。本発明の第2の実施形態は、対話状態においてメンバーの音声による呼びかけを実現するための提案に関する。
【0059】
(構成)
図8は、本発明の第2の実施形態による遠隔コミュニケーションシステムの構成を示す説明図である。
図8に示したように、第2の実施形態による遠隔コミュニケーションシステムは、拠点Aに設けられる撮像装置10Aおよび通信装置22Aと、拠点Bに設けられる撮像装置10Bおよび通信装置22Bと、を備える。撮像装置10の構成は第1の実施形態で説明した通りであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0060】
通信装置22は、
図8に示したように、映像出力部221、操作部222、音出力部224、映像入力部228、音声入出力部232、通信部240、制御部252および対話判定部270を備える。映像出力部221、操作部222、音出力部224、映像入力部228、音声入出力部232および通信部240の構成は第1の実施形態で説明した通りであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0061】
対話要求の受理側の通信装置22の対話判定部270は、通信装置22を利用するメンバーが対話状態に気付き、対話を開始したか否かを判定する。例えば、対話判定部270は、音声入出力部232により収音された音声の音量が閾値を上回った場合に、通信装置22を利用するメンバーが対話状態に気付き、対話を開始したと判定してもよい。対話状態に気付いたメンバーは音声入出力部232を利用して発話を開始すると考えられ、音声入出力部232を利用して発話が開始されると、音声入出力部232により収音される音声の音量が大きくなると考えられるからである。例えば、対話判定部270は、
図9に示した例では、音声入出力部232により収音された音声の音量が閾値を上回った時点t1において、通信装置22を利用するメンバーが対話状態に気付き、対話を開始したと判定してもよい。
【0062】
また、対話判定部270は、通信装置22を利用するメンバーの映像に基づいて対話の開始を判定することも可能である。例えば、対話判定部270は、映像入力部228により取得されたメンバーの映像において、メンバーが正面を向いた場合に、通信装置22を利用するメンバーが対話状態に気付き、対話を開始したと判定してもよい。
【0063】
制御部252は、通信装置22の動作全般を制御する。例えば、制御部252は、通信部240により受信された他の拠点の俯瞰映像を映像出力部221に表示させ、通信部240により受信された他の拠点の環境音を音出力部224に出力させる。また、制御部252は、他の通信装置22との対話状態においては、他の通信装置22から受信された映像を映像出力部221に表示させ、他の通信装置22から受信された音声を音声入出力部232に出力させる。また、制御部252は、他の通信装置22との対話状態においては、映像入力部228により取得された映像、および音声入出力部232により取得された音声を、他の通信装置22へ通信部240に送信させる。
【0064】
本実施形態による制御部252は、通信装置22が対話要求の受理側である場合、他の通信装置22から受信された他の通信装置22を利用するメンバーの音声を、音出力部224に出力させる。そして、制御部252は、通信装置22を利用するメンバーが対話を開始したことが対話判定部270により判定されると、他の通信装置22を利用するメンバーの音声の出力先を音声入出力部232に切り替える。以下、
図10を参照してより具体的に説明する。
【0065】
図10は、第2の実施形態による呼びかけを示す説明図である。
図10に示したように、対話要求の受理側であるである通信装置22Bの映像出力部221には、通信装置22Aを利用するメンバーの映像V2が表示されている。しかし、通信装置22Bを利用するメンバーM1は、作業用端末30を用いた作業に集中しており、通信装置22Aと通信装置22Bとの対話状態の確立に気付いていない。
【0066】
この時、通信装置22Aを利用するメンバーが通信装置22Aの音声入出力部232を通じてメンバーM1に話しかけると、
図10に示すように、通信装置22Aを利用するメンバーの音声X3が通信装置22Aの音出力部224から出力される。メンバーM1は、音声X3により通信装置22間の対話状態に気付き、映像入力部228を向く、もしくは音声入出力部232を利用して発話を行うと、他の通信装置22を利用するメンバーの音声の出力先が音声入出力部232に切り替える。このため、メンバーM1は、音声入出力部232を利用して対話を行うことが可能である。
【0067】
(動作)
以上、本発明の第2の実施形態の構成を説明した。続いて、
図11を参照し、本発明の第2の実施形態の動作を整理する。
【0068】
図11は、本発明の第2の実施形態の動作を示すフローチャートである。
図11に示したS101〜S107の処理は、
図7を参照して説明したS101〜S107の処理と実質的に同一である。
【0069】
通信装置22Aおよび通信装置22Bが音出力部224による環境音の出力を停止すると(S107)、通信装置22Aの音声入出力部232により収音された音声が通信装置22Bに送信され(S208)、通信装置22Bの音出力部224が当該音声を出力する(S209)。一方、通信装置22Bの音声入出力部232により収音された音声が通信装置22Aに送信され(S210)、通信装置22Aの音声入出力部232が当該音声を出力する(S211)。
【0070】
その後、通信装置22Bを利用するメンバーが対話を開始したことが通信装置22Bの対話判定部270により判定されると(S212)、制御部252は、通信装置22Aから受信される音声の出力先を、音出力部224から音声入出力部232に切り替える(S213)。その後、通信装置22Aの音声入出力部232と通信装置22Bの音声入出力部232を介した対話が行われる(S214)。
【0071】
その後、
図7を参照して説明したS113〜S117の処理が行われ、通信装置22Aおよび通信装置22Bの状態は、S101における通信装置22Aおよび通信装置22Bの状態と等しくなる。
【0072】
(効果)
以上説明したように、本発明の第2の実施形態によれば、対話状態の確立後に、対話状態に気付かない対話相手に、対話要求元のメンバーの音声により呼びかけを行うことができる。すなわち、無機質な通知音での呼びかけでなく、対話要求元のメンバーの音声での呼びかけを行うことが可能である。このため、対話相手は、対話要求元のメンバーの映像を見る前に、対話要求元のメンバーを認識することも可能である。
【0073】
また、対話判定部270により判定に基づいて対話要求元のメンバーの音声の出力先が自動的に音声入出力部232に切り替わるので、対話相手が応答ボタンなどを操作する必要が無く、操作性が良い。
【0074】
<3.変形例>
以上、本発明の実施形態を説明した。以下では、本発明の実施形態の幾つかの変形例を説明する。なお、以下に説明する各変形例は、単独で本発明の実施形態に適用されてもよいし、組み合わせで本発明の実施形態に適用されてもよい。また、各変形例は、本発明の実施形態で説明した構成に代えて適用されてもよいし、本発明の実施形態で説明した構成に対して追加的に適用されてもよい。
【0075】
(第1の変形例)
第1の実施形態では、対話要求元のメンバーによる呼びかけ操作に基づいて通知音が出力される例を説明したが、通知音の出力のトリガは呼びかけ操作に限られない。例えば、着信側の通信装置20は、第2の実施形態で説明した対話判定部270を備え、対話の開始が判定されるまで、間欠的に通知音を出力してもよい。
【0076】
(第2の変形例)
本発明の実施形態では相手からの応答の有無によらず対話状態が確立されるので、本来的には着信音は必須でないが、対話要求の受理側の通信装置20は、対話要求の受理時に短時間(例えば、2秒以内)または小音量(例えば、通知音よりも小さい音量)の着信音を出力してもよい。かかる構成によれば、対話要求の受理時に対話要求の受理側のメンバーが対話状態に気付き得るし、短時間または小音量の着信音であれば周囲への悪影響を抑制することが可能である。
【0077】
(第3の変形例)
上述した第1の実施形態と第2の実施形態の双方の機能が組み合わせられた通信装置も実現可能である。当該通信装置は、対話の開始前に、通知音による呼びかけ、および音声による呼びかけのいずれも出力可能である。または、当該通信装置は、当該通信装置の利用者の好み、対話相手または拠点の状況などにより、第1の実施形態の機能または第2の実施形態の機能のいずれかを有効化してもよい。
【0078】
(第4の変形例)
第2の実施形態では、対話要求の受理側の通信装置22の対話判定部270が、対話要求の受理側のメンバーの映像または音声から対話の開始を判定する例を説明したが、対話判定部270は他の方法で判定を行ってもよい。例えば、対話判定部270は、対話要求元の通信装置22から受信されるメンバーの音声の音量に基づいて対話の開始を判定してもよい。具体的には、メンバーの音声の音量が閾値を一定時間にわたって下回った場合、呼びかけが終わったと考えられるので、対話要求の受理側メンバーが対話を開始したと判定してもよい。ここで、一定時間は、対話要求の受理側のメンバーが呼びかけに気付いてから対話を開始するまでに発生するタイムラグである。また、制御部252は、対話状態の確立から一定時間が経過した場合、対話要求元のメンバーの音声の出力先を音声入出力部232に切り替えてもよい。
【0079】
<4.ハードウェア構成>
以上、本発明の各実施形態を説明した。上述した映像処理および音声処理などの情報処理は、ソフトウェアと、以下に説明する通信装置20のハードウェアとの協働により実現される。
【0080】
図12は、通信装置20のハードウェア構成を示したブロック図である。通信装置20は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、ホストバス204と、を備える。また、通信装置20は、ブリッジ205と、外部バス206と、インタフェース207と、入力装置208と、表示装置209と、音声出力装置210と、ストレージ装置(HDD)211と、ドライブ212と、ネットワークインタフェース215とを備える。
【0081】
CPU201は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って通信装置20内の動作全般を制御する。また、CPU201は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM202は、CPU201が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM203は、CPU201の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス204により相互に接続されている。CPU201、ROM202およびRAM203とソフトウェアとの協働により、制御部250(252)、通知音生成部260および対話判定部270などの機能が実現され得る。
【0082】
ホストバス204は、ブリッジ205を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス206に接続されている。なお、必ずしもホストバス204、ブリッジ205および外部バス206を分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0083】
入力装置208は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、センサー、スイッチおよびレバーなどメンバーが情報を入力するための入力手段と、メンバーによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU201に出力する入力制御回路などから構成されている。通信装置20を利用するメンバーは、該入力装置208を操作することにより、通信装置20に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。当該入力装置208は、例えば操作部222に対応する。
【0084】
表示装置209は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、プロジェクター装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示装置を含む。表示装置209は、例えば映像出力部221に対応する。また、音声出力装置210は、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置を含む。音声出力装置210は、例えば、音出力部224および音声入出力部232に対応する。
【0085】
ストレージ装置211は、本実施形態にかかる通信装置20の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置211は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置211は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid Strage Drive)、あるいは同等の機能を有するメモリ等で構成される。このストレージ装置211は、ストレージを駆動し、CPU201が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0086】
ドライブ212は、記憶媒体用リーダライタであり、通信装置20に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ212は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体24に記録されている情報を読み出して、RAM203またはストレージ装置211に出力する。また、ドライブ212は、リムーバブル記憶媒体24に情報を書き込むこともできる。
【0087】
ネットワークインタフェース215は、例えば、ネットワーク12に接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、ネットワークインタフェース215は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0088】
<5.むすび>
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、着信音により周囲のメンバーの集中を阻害することなく、対話状態を確立することが可能である。さらに、対話状態の確立後に、対話状態に気付かない対話相手に通知音または音声により呼びかけを行うことができる。このため、対話相手が通知音または音声により対話状態に気付き、円滑に対話を開始することが可能である。
【0089】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0090】
例えば、本発明の実施形態は、オフィス間におけるテレワークシステムだけでなく、在宅勤務をするメンバーの自宅とオフィス、在宅勤務をするメンバーの自宅同士などの、多様な形態のテレワークにも適用可能である。
【0091】
また、上記の実施形態では、通信装置20と作業用端末30が別々に構成される例を説明したが、通信装置20の機能は、作業用端末30などの他の情報処理装置に実装されてもよい。
【0092】
また、上記の実施形態では、俯瞰映像および環境音の双方が拠点間で共有される例を説明したが、拠点間で俯瞰映像は共有されず、環境音が共有されてもよい。同様に、対話状態においては、メンバーの映像は通信されず、メンバーの音声が通信されてもよい。
【0093】
また、本明細書の遠隔コミュニケーションシステムの処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、遠隔コミュニケーションシステムの処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0094】
また、通信装置20に内蔵されるCPU201、ROM202およびRAM203などのハードウェアに、上述した通信装置20の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。