(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記映像生成部は、状態判定部が前記映像投影面の透過性が低下していると判定した場合、前記虚像が明瞭になるように前記映像を生成する、請求項1に記載の映像表示装置。
前記映像生成部は、前記虚像の輝度を変えること、コントラストを変えること、フォントを変えること、線幅を変えること、及び色度を変えることの少なくとも一つによって、前記虚像を明瞭にする、請求項2に記載の映像表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
〈全体構成〉
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、本実施の形態にかかる映像表示装置が自動車に搭載されるヘッドアップディスプレイとなっている。さらに、ヘッドアップディスプレイ装置が、自動車のダッシュボードに搭載されているとして説明を行う。ヘッドアップディスプレイ装置は、自動車以外の車両や、車両以外の他の乗物に取り付けてもよい。
【0014】
図1は、自動車1のダッシュボード10上に設置されたヘッドアップディスプレイ装置100の構成を模式的に示す図である。
図1では、運転者Pを観察者としている。ヘッドアップディスプレイ装置100からは所望の画像を表示させるように、生成、調整された映像光L1が発射される。ヘッドアップディスプレイ装置100はステアリングホイール12の前方に配置されている。
【0015】
この映像光L1は、ウィンドシールド(フロントガラス)11に向けて射出される。ウィンドシールド11は可視光の一部を透過して、一部を反射する。したがって、ウィンドシールド11は、映像光L1を運転者Pの方向に反射する。ウィンドシールド11で反射した映像光L1は、運転者Pの眼に入射し、網膜上に像を結ぶ。同時に、ウィンドシールド11には外界からの外光L2も入射する。外光L2はウィンドシールド11を透過して、運転者Pの眼に入射する。したがって、外界からの外光L2とヘッドアップディスプレイ装置100からの映像光L1とがオーバーレイ(重畳)し、運転者Pの視界には外界の実景とヘッドアップディスプレイ装置100によって生成等された画像とが同時に見えることになる。ヘッドアップディスプレイ装置100は、ウィンドシールド11の前方に虚像を表示させる。これにより、運転者Pがステアリングホイール12を操作中であっても、視線を落とさずに映像を視認することができる。
【0016】
なお、以下の説明では、ヘッドアップディスプレイ装置100が自動車1のダッシュボード10上に置かれている状態での方向を基準に説明する。すなわち、自動車1の方向を基準の方向とする。例えば、ウィンドシールド11側を前方として、運転者P側を後方として説明する。同様に、自動車1のルーフ側を上方とし、地面側を下方とし、自動車1の横方向(左右方向)を側方として説明する。
【0017】
(ヘッドアップディスプレイ装置100)
図2を用いて、ヘッドアップディスプレイ装置100の構成について詳細に説明する。
図2は、ヘッドアップディスプレイ装置100の構成を模式的に示す側面図である。ヘッドアップディスプレイ装置100は、映像光投射部120と、制御部110と、凹面鏡130と、を備えている。
【0018】
映像光投射部120は、映像光L1を投射するプロジェクタを有している。具体的には、映像光投射部120は、光を発生する光源、制御信号に応じて光源で発生した光を変調する光変調素子、及び光を投射する投射レンズ等を有している。例えば、光変調素子である液晶パネルがバックライト光源からの光を変調する。あるいは、光変調素子として、MEMS(Micro Electronics Mechanical System)ミラー等の走査ミラーを用いることができる。この場合、レーザダイオードやLED(Light Emitting Diode)などの光源からの光を、制御信号に応じて走査ミラーが走査する。
【0019】
映像光投射部120は、制御信号に応じて、映像光L1を投射する。具体的には、映像光投射部120は投射映像に応じた映像光L1を生成して、前方に向けて出射する。映像光投射部120の前方には、凹面鏡130が配置されている。したがって、映像光投射部120からの映像光L1は、凹面鏡130に入射する。
【0020】
凹面鏡130は、映像光投射部120からの映像光L1を上方に反射する。凹面鏡130で反射された映像光L1が拡がりながら進むため、表示される映像が拡大される。凹面鏡130の上方には、ウィンドシールド11が配置されている。したがって、凹面鏡130で反射した映像光L1は、ウィンドシールド11に入射する。凹面鏡130は、映像光L1をウィンドシールド11に導く光学系を構成する。映像光L1をウィンドシールド11に導く光学系は、凹面鏡130のほかに、レンズや折返しミラー等などのその他の光学部品を有していてもよい。
【0021】
ウィンドシールド11は、入射した映像光L1の一部を反射して、虚像を表示させる。したがって、上述のように、ウィンドシールド11で反射した映像光は観察者P1の眼に入射する。
【0022】
制御部110は、プロセッサやメモリなどを有する情報処理装置であり、ヘッドアップディスプレイ装置100全体を統括的に制御する。制御部110は、外部から入力された表示データに基づいて、制御信号を生成する。そして、制御部110は、制御信号を映像光投射部120に出力する。
【0023】
(映像光投射部120)
次に、映像光投射部120の構成について、
図3を用いて説明する。
図3は、映像光投射部120の構成を示す図である。映像光投射部120は、光源121と、ライトトンネル122と、フレネルレンズ123と、拡散板124と、表示素子125と、を備えている。
【0024】
光源121は、LED(Light Emitting Diode)等であり、光を放出する。光源121からのライトトンネル122に入射する。ライトトンネル122はその内部に反射面を備える導光部材であり、光が表示素子125のほぼ全面に入射するように、光源121からの光を拡げる。すなわち、ライトトンネル122は、LEDからの光を面状の光に変換する。ライトトンネル122を通過した光は、フレネルレンズ123に入射する。
【0025】
フレネルレンズ123は、ライトトンネル122から出射された光を屈折する。フレネルレンズ123を通過した光は拡散板124に入射する。拡散板124は光を拡散する。拡散板124を通過した光は、表示素子125に入射する。
【0026】
表示素子125は、液晶パネルなどの光変調素子である。表示素子125は、例えば、透過型液晶パネルであり、マトリクス状に配列された複数の画素を備えている。そして、それぞれの画素は、制御信号に応じて制御される。したがって、表示素子125は、制御部110からの制御信号に応じて、光を変調する。具体的には、表示素子125は、階調データを含む制御信号に応じて、画素ごとに透過率を制御する。表示素子125を通過した光は、制御信号に応じた映像光L1となる。これにより、映像光投射部120は、所望の画像を形成するための映像光L1を生成することができる。
【0027】
なお、映像光投射部120は、透過型の液晶パネルを利用したものに限らず、反射型の液晶パネルや、MEMSミラーなどの他の光変調素子を利用してもよい。さらに、映像光投射部120は、投影レンズなどの他の光学部品を備えていてもよい。
【0028】
(制御構成)
次に、ヘッドアップディスプレイ装置100の制御構成について、
図4を用いて説明する。
図4は、ヘッドアップディスプレイ装置100の制御構成を示すブロック図である。制御部110は、状態判定部111と、表示データ取得部112と、映像生成部113と、投射制御部114とを備えている。
【0029】
表示データ取得部112は、外部機器(不図示)から表示データを取得する。外部機器は、ヘッドアップディスプレイ装置100で表示するための表示データを生成して、ヘッドアップディスプレイ装置100に出力する。例えば、外部機器は、カーナビゲーション装置、CAN(Control Area Network)を介して接続された他の装置などである。また、外部機器は、スマートフォンやタブレット端末などの外部端末であってもよい。表示データはヘッドアップディスプレイ100の図示しない記憶部に記憶されていてもよい。
【0030】
表示データ取得部112は、ナビゲーション装置から、例えば、進行方向情報(右折、左折、直進等)、目的地までの距離情報等を取得する。また、表示データ取得部112は、自動車1の制御装置からCANを介して、自動車1の走行速度情報等を取得する。表示データ取得部112は、外部端末から、電話機能やメール機能の着信有無情報を取得する。外部端末がナビゲーションアプリを有する場合、表示データ取得部112は、外部端末から、ナビゲーションアプリからの進行方向情報、目的地までの距離情報等を取得する。表示データ取得部112は、これらの情報を、数値や文字列等を示すデジタルデータとしても取得してもよく、映像を構成するデジタルデータとして取得してもよい。さらに、映像は、サイドカメラやリアカメラで撮像した撮像画像を含んでいてもよい。
【0031】
映像生成部113は、表示データ取得部112が取得した表示データに基づいて、映像を生成する。そして、投射制御部114は、映像生成部113が生成した表示映像に応じた制御信号を生成する。投射制御部114は、生成した制御信号を映像光投射部120の光源121、及び表示素子125に出力する。
【0032】
映像光投射部120は、上記したように、制御信号に応じて変調された映像光L1を出射する。具体的には、光源121は、投射制御部114からの制御信号に応じた輝度の光を発生する。表示素子125は、光源121からの光を変調する。これにより、表示データに応じた映像光L1が映像光投射部120から投射される。映像光L1は凹面鏡130を介して、ウィンドシールド11に投射される。ウィンドシールド11は映像投影面となる。
【0033】
制御部110は、状態検出部160に接続され、または状態検出部160からの情報を取得可能となっている。状態検出部160は、ウィンドシールド11の状態を検出する。すなわち、状態検出部160は、ウィンドシールド11の透過性を検出する。具体的には、状態検出部160は、ウィンドシールド11に雨滴が付着しているか否かを検出する。雨滴が付着している場合、ウィンドシールド11の透過性が低下する。なお、状態検出部160は、ウィンドシールド11に付着した雨滴量に応じた情報を取得してもよい。そして、状態検出部160は、検出結果に応じた検出信号を制御部110に出力する。
【0034】
例えば、状態検出部160としては、赤外線センサを用いた水滴付着センサを用いることができる。水滴付着センサは、ウィンドシールド11の車室内側に、赤外線の出射部と受光部を備え、赤外線の戻り率によって降雨を検出する。例えば、ウィンドシールド11に雨滴が付着していると、赤外線が乱反射されるため、赤外線の戻り率が低くなる。よって、状態検出部160は、水滴付着センサによって、雨滴の有無や雨滴量を検出することができる。
【0035】
あるいは、状態検出部160は、ワイパ動作により、ウィンドシールド11の状態を検出してもよい。自動車のワイパ動作に有無により、雨滴が付着したかを検出することができる。さらに、ワイパ動作の間欠周期により、雨滴量に応じた情報を取得することができる。ワイパ動作を用いる場合、状態検出部160がCAN等からの信号により、状態を検出する。
【0036】
そして、状態判定部111は、状態検出部160からの検出信号に基づいて、ウィンドシールド11の状態を判定する。そして、状態判定部111は、判定結果を示す判定信号を映像生成部113に出力する。映像生成部113は、判定結果に基づいて、映像を生成する。
【0037】
具体的には、雨滴量が多いほど、状態判定部111は、ウィンドシールド11の透過性が低下していると判定する。
図5に状態検出部160による状態検出の結果と、透過性の関係を示す。なお、
図5では、状態検出部160としては、水滴付着センサと、ワイパ動作の2例を挙げている。また、
図5では、状態検出部160が3段階でウィンドシールド11の状態を検出している。すなわち、状態検出部160は、ウィンドシールド11の透過性の低下度合を、「なし」、「小」、「大」の3段階で評価している。
【0038】
状態検出部160が水滴付着センサを用いる場合、状態判定部111は、水滴付着センサからの検出信号に基づいて、ウィンドシールド11の状態を判定する。例えば、雨滴量が多くなるほど、赤外線の戻り率が低下する。よって、赤外線の戻り率の低下に応じて、状態検出部160は雨滴量を検出することができる。雨滴未検出時には、状態判定部111は、透過性の低下がないと判定する。すなわち、雨が降っておらず、ウィンドシールド11に雨滴(水滴)が付着していない。この場合、状態検出部160が雨滴を検出しないため、透過性が低下しない。また、検出された雨滴量が所定のしきい値よりも大きい時、透過性の低下が大きいとみなす。一方、状態検出部160が雨滴を検出しているが、検出された水滴量がしきい値よりも小さい時、状態判定部111は、透過性の低下が小さいと判定する。
【0039】
状態検出部160がワイパ動作を用いる場合、ワイパ動作を示す動作信号に基づいて、状態判定部111がウィンドシールド11の状態を判定する。ワイパ動作が未動作、又はMISTの時、状態判定部111は透過性の低下がないと判定する。例えば、雨滴が付着していない場合、運転者Pがワイパを動作しない。よって、ワイパが未動作の場合、状態判定部111は透過性の低下がないと判定することができる。また。ワイパ動作がINTの時、状態判定部111は透過性の低下が小さいと判定する。ワイパ動作がLo又はHiの時、状態判定部111は透過性の低下が大きいと判定する。
【0040】
このように、
図5に示す表を参照して、状態判定部111がウィンドシールド11の状態を判断する。状態検出部160からの検出信号に基づいて状態判定部111がウィンドシールド11の状態を判定することができる。もちろん、状態判定部111は、ウィンドシールド11の状態を4段階以上に分けて判定してもよく、2段階に分けて判定してもよい。ウィンドシールド11の状態を2段階に分ける場合、状態判定部111は、透過性の低下の有無を判定することができる。また、ウィンドシールド11の状態を4段階以上に分ける場合、状態判定部111において、検出された雨滴量に対するしきい値を2以上設定すればよい。
【0041】
また、ウィンドシールド11の状態を検出する状態検出部160は、水滴付着センサ又はワイパ動作に限られるものではない。さらに、状態検出部160は、水滴付着センサ及びワイパ動作を組み合わせて、ウィンドシールド11の状態を検出してもよい。
【0042】
次に、
図6を参照して、ヘッドアップディスプレイ装置100による映像表示方法を説明する。
図6は映像表示方法を示すフローチャートであり、具体的にはウィンドシールド11の状態に応じた映像変更処理を示している。なお、
図6のフローチャートの処理が開始する前に、表示データ取得部112が表示データを取得しており、状態検出部160がウィンドシールド11の状態を検出している。
【0043】
まず、状態判定部111が映像投映面(ウィンドシールド11)の透過性が低下しているか否かを判定する(S11)。すなわち、状態判定部111は、状態検出部160での検出結果に基づいて、ウィンドシールド11の状態を判断する。映像投映面の透過性低下の判定は、
図5の表にしたがって行われる。例えば、雨滴が未検出の場合、状態判定部111が透過性の低下が無いと判定する(S11のNO)。あるいは、ワイパ動作が停止又はMISTの場合、状態判定部111が透過性の低下が無いと判定する。この場合、映像変更処理を終了する。すなわち、映像生成部113が、通常通りの処理で映像を生成する。そして、映像光投射部120がデフォルト映像を表示するための映像光L1を生成して、射出する。
【0044】
透過性が低下している場合(S11のYES)、状態判定部111は、透過性の低下率が大きいか否かを判定する(S12)。すなわち、状態判定部111は、状態検出部160での検出結果に基づいて、ウィンドシールド11の状態を判断する。透過性低下率が大きいか否かの判定は、
図5の表に従って行われる。例えば、検出雨滴量が小さい場合、状態判定部111が透過性の低下が小さいと判定する(S12のNO)。一方、検出雨滴量が大きい場合、状態判定部111が透過性の低下が大きいと判定する(S12のYES)。あるいは、ワイパ動作がINTの場合、状態判定部111が透過性の低下が小さいと判定する(S12のNO)。一方、ワイパ動作がLo又はHiの場合、状態判定部111が透過性の低下が大きいと判定する(S12のYES)。
【0045】
状態判定部111が透過性の低下が大きいと判定した場合(S12のYES)、映像生成部113が視認性向上処理(大)を実行する(S13)。状態判定部111が透過性の低下が小さいと判定した場合(S12のNO)、映像生成部113が視認性向上処理(小)を実行する(S14)。
【0046】
視認性向上処理とは表示される映像に対して視認性を向上させる処理である。すなわち、視認性向上処理を行うことで、ウィンドシールド11越しに視認される虚像の視認性を向上することができる。制御部110が、視認性向上処理を行うことで、映像光投射部120は、デフォルト映像よりも視認性が向上した視認性向上映像を生成することができる。視認性向上処理(大)は視認性向上処理(小)よりも視認性を向上させる効果が大きくなっている。
【0047】
すなわち、視認性向上処理(大)を実行する場合、映像生成部113はデフォルト映像に対して視認性を大きく向上させた視認性向上映像(大)を生成する。そして、映像光投射部120が視認性向上映像(大)を表示するための映像光L1を生成して、射出する。視認性向上処理(小)を実行する場合、映像生成部113はデフォルト映像に対して視認性を少し向上させた視認性向上映像(小)を生成する。そして、映像光投射部120が視認性向上映像(小)を表示するための映像光L1を生成して、射出する。
【0048】
本実施の形態では、映像生成部113が、視認性向上処理として、虚像の表示サイズを変更する処理を行っている。状態判定部111で判定されたウィンドシールド11の透過性の低下度合に応じて、映像生成部113が表示サイズを変更している。具体的には、透過性が低下した場合、映像生成部113は、虚像の表示サイズを大きくした映像を生成する。例えば、視認性向上処理として、映像生成部113が表示全体サイズの変更、及び表示アイコンサイズの変更の少なくとも一方を行っている。
【0049】
図7は、視認性向上処理の具体例を示す表である。
図7には視認性向上処理(大)と視認性向上処理(小)と視認性向上処理なしの場合の処理が表として示されている。
図7では、本実施の形態にかかる視認性向上処理の例である表示全体サイズ、表示アイコンサイズを変更する処理と、後述する実施の形態2にかかる視認性向上処理の例である輝度、コントラスト、及び文字(線)太さを変更する処理が記載されている。具体的には、透過性の低下が無い場合、すなわち、視認性向上処理を行わない場合を、デフォルトとする。
【0050】
視認性向上処理として、表示全体サイズを変更する場合について説明する。視認性向上処理を行わない場合の表示全体サイズをデフォルトサイズとする。視認性向上処理(小)を行う場合、表示全体サイズをデフォルトサイズよりも大きい中サイズとする。視認性向上処理(大)を行う場合、表示全体サイズを中サイズよりも大きい大サイズとする。このように、ウィンドシールド11の透過性の低下度合いに応じて、映像生成部113は、拡大倍率を変える。
【0051】
視認性向上処理として、表示全体サイズを変更する場合、表示素子125が表示に用いる有効領域とその周辺の非有効領域を変えていけばよい。例えば、表示素子125では、ウィンドシールド11の局面に応じて歪み補正を行うために、全ての領域を用いて表示していない。すなわち、表示素子125には、表示が行われる有効領域とその周囲に非有効領域とが設けられている。有効領域では、各画素が階調表示を行い、非有効領域では各画素が黒表示を行う。
【0052】
デフォルトサイズの場合、映像生成部113は、表示素子125の中心部分の有効領域を小さくして、その周囲の非有効領域を大きくする。表示全体サイズを大きくする場合、有効領域の割合を大きくすればよい。表示素子125の有効領域内において表示できるサイズの映像を映像生成部113が生成すればよい。このようにすることで、視認性向上処理を容易に行うことができる。
【0053】
視認性向上処理として、表示アイコンサイズを変更する場合について説明する。視認性向上処理を行わない場合の表示アイコンサイズをデフォルトサイズとする。視認性向上処理(小)を行う場合、表示アイコンサイズをデフォルトサイズよりも大きい中サイズとする。視認性向上処理(大)を行う場合、表示アイコンサイズを中サイズよりも大きい大サイズとする。視認性向上処理として、表示アイコンサイズを変更する場合、映像生成部113が生成する映像を変えればよい。
【0054】
表示アイコンとしては、交差点での進行方向(右折、左折、又は直進等)を示す矢印、交差点までの距離、交差点名などがある。映像生成部113は、これらの表示アイコンの一つ以上を拡大した映像を生成する。
【0055】
図8、
図9に視認性向上処理が施された虚像の具体例を示す。
図8、
図9では、左側にデフォルト映像を示し、右側には、視認性向上処理が施された映像が示されている。
図8では表示全体サイズを変更した映像、
図9では、表示アイコンサイズを変更した映像を示している。また、
図8、
図9は、ウィンドシールド11越しに視認される虚像を示している。表示アイコンサイズを変更した場合と、表示全体サイズを変更した場合も、視認性が向上する。
【0056】
このように、虚像の表示全体サイズ又は表示アイコンサイズを拡大するよう、映像生成部113が映像を生成する。したがって、ウィンドシールド11の状態が変化した場合でも、虚像の視認性を向上することができる。ウィンドシールド11の透過性の低下が検出された場合、映像生成部113が、視認性向上処理を行う。これにより、視認性が向上した虚像を表示することができる。
【0057】
天候不順時の雨滴・雨量により悪化する視認性を向上させる。天候不順時の雨滴・雨量による視認性悪化時の運転疲労を低減させることができる。雨滴による影響が軽減されるため、虚像視認性の悪化を低減でき、良好な視認性を確保することができる。さらに、運転者Pが運転時に煩わしさを感じるのを防ぐことができる。この結果、悪天候時であっても、運者転Pが安心、安全に運転することができる。
【0058】
さらに、表示サイズ変更の例として、表示全体サイズ、又は表示アイコンサイズを変更する例を示したが、表示フォントサイズを変更してもよい。すなわち、描画する表示フォントのドット数を大きくすればよい。また、表示サイズは、縦方向、及び横方向の一方向のみについて、変更されていてもよい。この場合、歪みが発生しても表示サイズを大きくすることができる。もちろん、縦方向及び横方向の両方向について、表示サイズが変更されていてもよい。
【0059】
実施の形態2.
本実施の形態では、実施の形態1と視認性向上処理が異なっている。本実施の形態では、視認性向上処理として、映像生成部113が虚像を明瞭になるように映像を生成している。なお、視認性向上処理以外の処理、及び構成については実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。本実施の形態にかかる視認性向上処理としては、
図7に示すように、輝度の変更、コントラストの変更、文字(線)の太さの変更がある。
【0060】
視認性向上処理として、輝度を変更する場合について説明する。視認性向上処理を行わない場合の輝度をデフォルト輝度とする。視認性向上処理(小)を行う場合、輝度をデフォルト輝度よりも高い中輝度とする。視認性向上処理(大)を行う場合、輝度を中輝度よりも高い高輝度とする。視認性向上処理として、輝度を変更する場合、光源121の光量を制御すればよい。
【0061】
視認性向上処理として、コントラストを変更する場合について説明する。視認性向上処理を行わない場合のコントラストをデフォルト値とする。視認性向上処理(小)を行う場合、コントラストをデフォルト値よりも大きい中コントラストとする。視認性向上処理(大)を行う場合、コントラストを中コントラストよりも高い高コントラストとする。
【0062】
視認性向上処理として、文字(線)太さを変更する場合について説明する。視認性向上処理を行わない場合のコントラストをデフォルト値とする。視認性向上処理(小)を行う場合、文字(線)太さをデフォルト値よりも太い中サイズとする。視認性向上処理(大)を行う場合、文字(線)太さを中サイズよりも太い太サイズとする。
【0063】
虚像を明瞭にする視認性向上処理の項目としては、
図7の表に示す項目に限定されるものではない。映像生成部113の処理において視認性を向上させることができるものであればよい。例えば、視認性向上処理として、映像生成部113が虚像の色度を変更してもよい。例えば、虚像を表示するための映像をネガポジ反転すること、2階調化すること、RGB色を変更することなどして、画像の色度を変更することができる。
【0064】
ネガポジ反転では、白表示に近い高階調画素を黒表示に近い低階調画素にし、黒表示に近い低階調画素を白表示に近い高階調画素にする。2諧調化では、8ビット等の多階調の映像を、1ビット(白黒)の2階調の映像にする。RGB交換・変更は方向矢印の表示色を強調色に変更する。
【0065】
図10〜
図14に視認性向上処理が施された虚像の具体例を示す。
図10〜
図14では、左側にデフォルト映像を示し、右側には、視認性向上処理が施された映像が示されている。また、
図10〜
図14は、ウィンドシールド11越しに視認される虚像を示している。
図10は輝度変更、
図11はコントラスト変更、
図12はネガポジ反転、
図13は2階調化、
図15はRGB変更した映像を示している。
【0066】
なお、視認性向上処理として、輝度変更や色度変更を行う場合、照度センサの検出結果に応じて、輝度や色度を変更してもよい。例えば、自動車1に搭載されている照度センサによって、周囲の照度を検出する。そして、照度センサの検出結果に応じて、輝度や色度を変更してもよい。
【0067】
このように、本実施形態にかかる映像表示方法によれば、天候不順時の雨滴により悪化する視認性を向上させることができる。運転者Pが虚像を明瞭に視認することができるため、視認性悪化時の運転疲労を低減させることができる。
【0068】
例えば、雨が降っても運転者Pは虚像を見ることができるが、雨滴と虚像とが共に近いため、双方に焦点が合ってしまう。このため、虚像認識の視認性が著しく悪化したり、更にその影響で運転時に煩わしさを感じたり、大きな疲労が発生してしまう。特に、ドットサイズの細かい画像や文字においては、雨滴サイズや雨滴量の影響によっては認識が困難となってしまう。しかしながら、本実施の形態にかかるように、雨滴付着時に視認性向上処理を実行することで、視認性を向上することができる。また、雨滴の非付着時には、視認性向上処理を行わず、通常通りのデフォルト映像を表示している。よって、雨滴の非付着時において、過剰に強調することなく表示できるため、運転疲労を軽減することができる。
【0069】
上記の説明では、状態検出部160が、雨滴の有無、及び雨量の変化を検出したが、その他の天候についても対応することができる。例えば、雪や砂塵等でウィンドシールド11の状態が変化した場合でも、同様に処理することができる。例えば、雪や砂塵などで、ウィンドシールド11の透過性が低下したか否に応じて、視認性向上処理を行うことができる。さらに、2つ以上の視認性向上処理を組み合わせてもよい。例えば、表示全体サイズの変更、表示アイコンサイズの変更、輝度変更、コントラスト変更、文字(太さ)太さ変更、色度変更の内の2以上を組み合わせてもよい。
【0070】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。