(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接近検知手段は、当該画像形成装置の周辺の所定範囲内にある通信端末と無線により接続して、当該通信端末から当該通信端末または当該通信端末の所持者を識別可能な情報を取得し、
前記接近人識別手段は、前記通信端末から取得した情報に基づいて当該人を識別する、
請求項1、2、5、または6のいずれかに記載の画像形成装置。
当該画像形成装置においてジョブの利用制限が設けられている場合に、前記接近検知手段で検知された人が前記利用制限を超えていないときには前記第1の電力モードで動作させると決定し、前記利用制限を超えているときには前記第2の電力モードで動作させると決定する、
請求項5または6記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1には本発明の一実施形態に係る画像形成装置1を含んだ画像形成システム100の概略の構成が、
図2には画像形成装置1の制御部16の概略の構成が、それぞれ示されている。
【0020】
図1において、画像形成システム100は、複数の画像形成装置1、1B、1C、およびサーバ2が、ネットワークNWによって互いに通信可能に接続されている。画像形成装置1、1B、1Cは、同じ機能を有している。なお、サーバ2を除外して複数の画像形成装置1、1B、1Cのみが接続された形態でもよく、また、それぞれの画像形成装置1、1B、1Cがサーバ2と1対1で接続された形態でもよい。
【0021】
また、ネットワークNWには、ユーザの所有する種々のパーソナルコンピュータも接続させており、ユーザはパーソナルコンピュータを操作して画像形成装置1にジョブを投入することができる。
【0022】
画像形成装置1は、コピー機、プリンタ、およびファクシミリ機などの機能を集約したMFP(Multi-functional Peripheral) である。画像形成装置1は、画像読取り部11、給紙部12、プリンタ部13、フィニッシャ14、操作部15、および制御部16などにより構成される。
【0023】
画像読取り部11は、自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)およびスキャナなどを備え、原稿の画像を読み取って画像データとして入力する。プリンタ部13は、電子写真方式でフルカラーまたはモノクロの画像を、給紙部12から供給された用紙に印刷する。印刷済の用紙は、フィニッシャ14から排出(排紙)され、これをユーザが回収することができる。
【0024】
操作部15は、ユーザが画像形成装置1を使用するための操作を行い、また必要な事項をユーザに表示するためのユーザインタフェースである。ユーザは、操作部15を操作して、ユーザIDや氏名などを入力することができる。また、ユーザの所持するIDカードなどを読み取らせてそれらを入力することができる。
【0025】
画像形成装置1は、また、複数のカメラ17a,17b,17cを備える。これらのカメラ17a〜cは、画像形成装置1の周辺を撮影して画像を取得し、所定範囲内で人が居るかどうかを検知したり、画像形成装置1を操作している操作者を認識して特定するためなどに用いられる。
【0026】
制御部16は、画像形成装置1の全体を制御し、画像処理などの必要な処理を行い、ネットワークを介してまたは近接通信などによって、他の画像形成装置1B,1Cやサーバ2、または外部の機器などとの間で種々のデータや情報を送受する。
【0027】
図2において、制御部16は、CPU(Central Processing Unit )20、RAM(Random Access Memory)21、ROM(Read Only Memory)22、補助記憶装置23、外部I/F24、画像処理部25、プリント処理部26、操作処理部27、スキャナ処理部28、電源処理部29、および電源部30などを備える。
【0028】
RAM21は、CPU20が処理を実行する際に必要なデータや画像データ、例えば、スキャン画像データ、プリント画像データ、仕上がりプレビュー画像データなどを一時的に記憶する。
【0029】
ROM22には、画像形成装置1の動作を制御しかつ必要な処理を実行するためのコンピュータプログラムが記憶されている。画像形成装置1における電力モードを制御するためのコンピュータプログラムも含まれる。これらプログラムは、必要に応じてRAM21にロードされ、CPU20によって実行される。また、ROM22には画像形成装置1の設置情報が記憶されている。
【0030】
補助記憶装置23は、RAM21またはROM22の記憶容量が足りなくなった場合に利用される。
【0031】
外部I/F24は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol )などのプロトコル、イーサネット(登録商標)などの規格、またはUSBなどによる通信回線などを介して、他の画像形成装置1B、1Cまたはサーバ2と通信を行う。また、赤外線や電波を利用して外部の端末装置や通信装置との間で近接無線通信を行う。
【0032】
画像処理部25は、画像データに種々の処理を施したり、文字幅の調整、コントラストや配色の変換などを行う。
【0033】
外部I/F (P07 )は、イーサネット(登録商標)やUSB といった、外部からの通信を行う。遠隔の端末に仕上がりプレビュー画像を送信するために利用される。
【0034】
プリント処理部26は、原稿の画像データに付加情報を追加する処理などを行う。操作処理部27は、操作部15における操作や表示に必要な処理を行う。スキャナ処理部28は、画像読取り部11で読み込んだデータから画像データを作成する。
【0035】
電源処理部29は、画像形成装置1における電力モードを決定し、電源部30、処理回路、モータやヒータなどの種々のデバイス、その他の必要な箇所に、決定した電力モードで動作するように設定または制御を行う。
【0036】
画像形成装置1では、電力モードDMとして、第1の電力モードDM1および第2の電力モードDM2を有する。第1の電力モードDM1は、通常の電力モードであり、種々のジョブの実行時にはこの電力モードが設定される。以下において「通常モードDM1」と記載する。
【0037】
第2の電力モードDM2は、通常モードDM1よりも消費電力の少ない電力モードであり、省電力モードまたはスリープモードとも呼称される。以下において「スリープモードDM2」と記載する。スリープモードDM2は、例えば、所定時間にわたって画像形成装置1に対する操作や指令がなかった場合に設定される。
【0038】
電源部30は、制御部16、処理回路、および種々のデバイスなどに、直流または交流の電源(電力)を供給する。
【0039】
画像形成装置1は、画像読取り部11による画像読み取り(スキャンジョブ)、プリンタ部13による印刷(プリントジョブ)、複写(コピージョブ)、ファクシミリ送信(ファクスジョブ)、Box保存(保存ジョブ)など、種々のジョブを実行することができるが、これらのジョブは、ユーザによる操作部15の操作により、またホスト装置など外部の機器から外部I/F24を介して受け付けられる。
【0040】
図3には、画像形成装置1の電力モードの設定に関する機能的構成の例が示されている。
【0041】
図3において、画像形成装置1には、操作者情報取得部101、通知要否判断部102、通知部103、ユーザデータ104、接近検知部105、接近人識別部106、操作者情報受信部107、電力モード決定部108、および電力モード設定部109が設けられる。
【0042】
操作者情報取得部101は、画像形成装置1を操作している操作者SAについての操作者情報101Aを取得する。操作者情報101Aは、操作者SAのユーザIDまたは氏名などの操作者SAを特定する情報である。操作者情報101Aは、操作者SAによる操作部15の操作、またはIDカードなどの読み取りにより得られる。また、操作者SAがログインしているユーザ情報を参照したり、カメラ17による顔画像を認識することによって取得することも可能である。また、ジョブがネットワークNWを介して投入された場合には、ジョブに付された情報から操作者情報101Aが得られる。
【0043】
通知要否判断部102は、操作者情報取得部101が取得した操作者情報101Aを、他の機器である画像形成装置1B、1Cまたはサーバ2へ通知するか否かを判断する。
【0044】
通知部103は、通知要否判断部102が通知すると判断した場合に、操作者情報取得部101が取得した操作者情報101Aを当該他の機器へ通知する。通知を出すタイミングは、通知要否判断部102が通知すると判断したタイミングであってもよく、または後述するような適当なタイミングであってもよい。
【0045】
なお、操作者情報101Aを他の機器へ通知する場合に、画像形成装置1B、1Cのいずれに通知するか、またはサーバ2に通知するかは、画像形成装置1、1B、1Cの配置状態、およびネットワークNWにおけるこれらの接続状態などに依存する。通知先についても通知部103が決定することができる。
【0046】
ユーザデータ104は、画像形成装置1を使用したユーザ、および使用していなくても登録されたユーザについてのデータベースである。ユーザデータ104は、各ユーザについてのユーザID、氏名、所属、役職、使用履歴、顔写真、利用制限、およびパスワードなどを含む。ユーザデータ104は、サーバ2からダウンロードしてもよく、また画像形成装置1に設けることなく、必要な都度にサーバ2から転送を受けまたはサーバ2のデータを参照するようにしてもよい。
【0047】
接近検知部105は、カメラ17a,17b,17cなどからの画像に基づいて、画像形成装置1の周辺の所定範囲内で人が接近していることを検知する。また、カメラ17a,17b,17cに代えて、またはこれとともに、赤外線または超音波による検知器を用いてもよい。また、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末との間で近接通信を行うことで検知してもよい。
【0048】
接近人識別部106は、接近検知部105によって人を検知したときに、当該人を識別する。
【0049】
操作者情報受信部107は、他の機器から他の画像形成装置1B,1Cを操作した操作者STについての情報である操作者情報101Tを受信する。
【0050】
電力モード決定部108は、接近人識別部106の識別結果106Aと操作者情報受信部107で受信した操作者情報101Tとに基づいて、通常モードDM1またはスリープモードDM2のいずれの電力モードDMで動作させるかを決定する。
【0051】
電力モード設定部109は、画像形成装置1における電力モードDMを設定する。例えば、画像形成装置1の電源がオンされたとき、それに続くウオーミングアップ時、ジョブの実行時、ジョブの実行後の所定時間内などは、通常モードDM1が設定される。また、所定時間にわたって画像形成装置1に対する操作や指令がなかった場合に、スリープモードDM2が設定される。
【0052】
また、電力モード決定部108の決定にしたがって、電力モードDMが設定または変更される。
【0053】
電源部30、処理回路31、デバイス32などは、電力モード設定部109で設定された電力モードDMで動作するように設定され、または制御される。
【0054】
なお、処理回路31は、
図2に示す各部を含む処理回路であり、デバイス32は、搬送ローラや感光体などを駆動するモータ、ソレノイド、定着用のヒータなどである。
【0055】
また、各部は次のように処理または動作することができる。
【0056】
通知要否判断部102は、例えば、操作者SAの操作によって当該画像形成装置1でジョブが実行される場合に、通知すると判断する。
【0057】
通知部103は、例えば、ジョブの実行開始または実行完了のいずれかのタイミングで、操作者情報取得部101が取得した操作者情報101Aを他の機器1B、1C,2へ通知する。
【0058】
通知部103は、例えば、操作者SA操作者の指示に応じたタイミングで、操作者情報取得部101が取得した操作者情報101Aを他の機器1B、1C,2へ通知する。
【0059】
通知要否判断部102は、例えば、当該画像形成装置1で排紙された用紙を操作者SAが回収した場合に、通知すると判断する。
【0060】
通知要否判断部102は、例えば、画像形成装置1を操作している操作者SAが画像形成装置1が固有に持っている設定を変更した場合に、通知すると判断する。
【0061】
接近検知部105は、例えば、当該画像形成装置1の周辺の所定範囲内を撮影するカメラ17であり、接近人識別部106は、カメラ17により撮影された画像に基づいて当該人を識別する。
【0062】
接近検知部105は、例えば、当該画像形成装置1の周辺の所定範囲内にある通信端末と無線により接続して、当該通信端末から当該通信端末または当該通信端末の所持者を識別可能な情報を取得し、接近人識別部106は、通信端末から取得した情報に基づいて当該人を識別する。
【0063】
電力モード決定部109は、他の機器1B、1C,2から操作者情報101Tを受信してから所定の時間内に接近検知部105で検知された人についての識別結果106Aと操作者情報101Tとを比較し、一致しなかった場合に通常モード(第1の電力モード)DM1で動作させると決定し、一致した場合にスリープモード(第2の電力モード)DM2で動作させると決定する。
【0064】
画像形成装置1においてジョブの利用制限が設けられている場合に、接近検知部105で検知された人が利用制限を超えていないときには通常モードDM1で動作させると決定し、利用制限を超えているときにはスリープモードDM2で動作させると決定する。
【0065】
図3に示す各部の機能は、所定のプログラムがCPUによって実行されることにより、および専用の処理回路などのハードウェア構成により実現される。
【0066】
なお、「操作者」「人」「ユーザ」「接近者」「接近人」などの語句は、「人」の立場によって表現が異なっているのである。
【0067】
次に、画像形成システム100における各画像形成装置1の動作について、具体的な実施例を用いて説明する。
〔第1の実施例〕
図4には、画像形成システム100における2つの画像形成装置1A,1Bの配置例が示されている。つまり、ある事務所の通路TRの脇に、互いに少し離れた位置に、2台の画像形成装置1A,1Bが配置されている。
【0068】
これら画像形成装置1A,1Bは、上に説明した機能を有し、互いにネットワークNWで接続されている。
【0069】
画像形成装置1Aに対して、操作者SAが操作を行っている。操作者SAは、画像形成装置1Aを操作し、例えばコピージョブを実行させた後、用事が済んだので立ち去るが、通路TRを通る途中で画像形成装置1Bに近づく。
【0070】
画像形成装置1Bは、所定時間にわたって操作がなかったのでスリープモードとなっているが、操作者SAが周辺の所定範囲HNB、例えば半径1m内に入ったときに、人が接近していることを検知し、当該人を識別して、例えばその人のユーザIDまたは氏名などの識別結果106Aを得る。
【0071】
他方、画像形成装置1Aは、操作者SAによるジョブの実行後、操作者SAについての操作者情報101Aを画像形成装置1Bに通知する。画像形成装置1Bは、操作者情報101Aを、操作者情報101Tとして受信する。
【0072】
画像形成装置1Bは、識別結果106Aと操作者情報101Tとを比較するが、これらはいずれも操作者SAを特定する情報であるので、互いに一致する。したがって、画像形成装置1Bは、スリープモードを解除することなく、そのままスリープモードを維持する。操作者SAは、画像形成装置1Bの前を通過する。
【0073】
このように、スリープモードである画像形成装置1Bが人(操作者SA)を検知した場合であっても、操作者SAは他の画像形成装置1Aを操作した直後であるので、画像形成装置1Bを使用する可能性は低いと判断することによって、無駄なスリープ復帰をすることがない。
【0074】
なお、画像形成装置1Aは、得られた操作者情報101Tを他の機器へ通知するか否かを判断するが、その判断基準としては、例えば、当該画像形成装置1Aで必要なジョブを実行した場合に、他の画像形成装置1を使用する可能性が低いので、通知すると判断する。
【0075】
他方、当該画像形成装置1Aでジョブを実行したが、その実行が十分でなかったり、実行が中断された場合、または操作を行ってジョブを投入したが結局は実行しながった場合などは、他の画像形成装置1を使用する可能性が高いので、通知しないと判断する。
【0076】
第1の実施例をフローチャートで示すと次のとおりである。
【0077】
図5において、画像形成装置1Aは、操作者SAを識別する(#101)。他の機器へ通知するか否かを判断し(#102)、イエスと判断したので、操作者情報101Aを他の機器へ通知する(#103)。
【0078】
図6において、画像形成装置1Bでは、接近者がいるかどうかを判断する(#111)。操作者SAが検知されたので、識別する(#112)。識別結果106Aと操作者情報101T(101A)とを比較し、いずれの電力モードDMで動作させるかを決定する(#113)。
【0079】
ここの例では、画像形成装置1Bは現在、スリープモードDM2となっており、識別結果106Aと操作者情報101Tとが一致するので、スリープ復帰を行うことなく、スリープモードDM2を維持する(#114、116)。
【0080】
もし、操作者情報101T(101A)を受信しなかったり、受信しても識別結果106Aと一致しなかった場合には、従来と同じ通常のスリープ復帰が行われ、通常モード(第1の電力モード)DM1に移行する(#115)。
【0081】
なお、画像形成装置1Bが元々通常モードDM1ードとなっていた場合には、識別結果106Aおよび操作者情報101Tに係わらず、通常モードDM1を維持する。
【0082】
第1の実施例をシーケンス図で示すと次のとおりである。
【0083】
図7において、画像形成装置1Aが操作者SAを識別すると、通知条件をみたした場合に、その操作者情報101Tを画像形成装置1Bに通知する。画像形成装置1Bは、接近者があった場合に、それを識別し、その識別結果106Aと操作者情報101Tとに応じて、電力モードDMを判断し、必要に応じて電力モードDMを切り替える。
【0084】
ここの例では、識別結果106Aと操作者情報101Tとが一致し、スリープモードDM2を維持する。
〔第2の実施例〕
図8には、画像形成システム100において、2つの画像形成装置1A,1Bが接近して並んで配置された例が示されている。これら画像形成装置1A,1Bにおいて人の接近を検知する所定範囲HNA,HNBには重複部分がある。
【0085】
この場合の画像形成装置1A,1Bの処理動作は、第1の実施例で示した
図5、6のフローチャートと同じであるが、互いに同時に並行して処理または動作が進行する。
【0086】
つまり、操作者SAは画像形成装置1Aを操作しているが、その間において、操作者SAが画像形成装置1Bの所定範囲HNBに入ることになるので、画像形成装置1Bにおける接近者の検知が行われる。
【0087】
図9において、画像形成装置1Aが操作者SAを識別すると、通知条件をみたした場合に、その操作者情報101Tを画像形成装置1Bに通知する。画像形成装置1Bは、操作者SAを接近者として検知して識別し、その識別結果106Aと操作者情報101Tとに応じて、電力モードDMを判断し、必要に応じて電力モードDMを切り替える。
【0088】
ここの例では、識別結果106Aと操作者情報101Tとが一致し、スリープモードDM2を維持する。
〔第3の実施例〕
第3の実施例では、操作者情報101Aの通知を出すタイミングの例について説明する。第3の実施例は、請求項5の例である。
【0089】
図10には、第3の実施例の画像形成装置1Aの通知タイミング決定の例のフローチャートが示されている。
【0090】
ここでは、画像形成装置1Aがジョブ実行を実行し、他の画像形成装置1Bへ通知すると判断した場合に、通知を出すタイミングとして、(1)ジョブ開始時、(2)ジョブ実行中、(3)ジョブ完了時、の3通りがある。
【0091】
いずれのタイミングで通知を出すかは、そのジョブの処理にかかる時間などに応じて決定するようにしてもよい。タイミングの決定は次のように行われる。
【0092】
まず、第1の実施例において説明したように、通知するかどうかの要否判断は、画像形成装置1Aでジョブが実行されて操作者SAの用事が済んだとき、つまりそれ以降に他の画像形成装置1Bを使う可能性が低いときに、他の画像形成装置1Bへ通知するという考え方を基本とする。
【0093】
これを踏まえると、通知を出すタイミングは、基本的には、ジョブの開始時や実行中よりも、完了時に通知を出すことが好ましい。その理由は、例えば、ジョブを実行した後に、トナー切れや紙切れなどが発生してジョブがストップしてしまう場合がある。この場合に、操作者SAがそのジョブを急いで完了させたいと考え、他の画像形成装置1Bの所へ行ってジョブをやり直すという行動を起こす可能性がある。この場合に、操作者SAは、トナー切れや紙切れは後でゆっくりと解決すればよいと考える。このように、ジョブが完了するまでは、操作者SAが他の画像形成装置1Bを使いに行く可能性があるため、ジョブが完了してから通知を出すことが好ましい。
【0094】
但し、大量のコピーをする場合などのようにジョブの実行に長時間かかる場合には、ジョブ完了時ではなく、ジョブ開始時または実行中に通知を出すのが好ましい。その理由は、ジョブの実行に長時間かかる場合に、操作者SAは、一旦その場を離れて、ジョブが完了する頃を見計らって画像形成装置1Aの所へ戻ってくる、という行動を取ることが考えられる。そのため、一旦離れた際に、使う予定のない他の画像形成装置1Bへ接近して、無駄にスリープ復帰させてしまうということが起こり得る。これを防止するためには、長時間かかるジョブの場合に、ジョブ完了時ではなく、ジョブ開始時または実行中の適当なタイミングで、他の画像形成装置1Bに通知を出すことが好ましい。
【0095】
図10のフローチャートはこのような考え方のもとで、通知を出すタイミングを自動的に決定する。
【0096】
図10において、ジョブが開始されると(#121)、ジョブの実行時間が一定以上であるか否かが判断される(#122)。この場合の一定時間は、例えば、1分間、2分間、3分間、5分間などである。一定以上である場合に、ジョブ開始時に通知を出す(#123)。ステップ#123において、ジョブ開示時ではなく、ジョブ実行中の適当なタイミング、例えば原稿を読み取るなどしてジョブの実行時間が分かったタイミング、または電子写真プロセスにおける現像、転写、定着などの重要なプロセスを終えたタイミング、ジョブ開示から所定時間経過したタイミングなどとしてもよい。
〔第4の実施例〕
第4の実施例では、通知要否判断部102において他の機器へ通知するか否かを判断するタイミングの例について説明する。第4の実施例は、請求項7の例である。
【0097】
なお、この場合には、通知すると判断した場合にはそのタイミングで通知するのが好ましいので、実質的には操作者情報101Aの通知を出すタイミングの他の例であるともいえる。
【0098】
画像形成装置1Aが他の画像形成装置1Bへ通知を出すのは、上に述べたように、操作者SAが画像形成装置1Aへの用事を済ませたときが好ましい。用事を済ませたと判断できる基準の一つとして、画像形成装置1Aの排紙トレイにある用紙が操作者SAによって回収されたときに用事が済んだと判断してよいと考えられる。操作者SAが画像形成装置1Aを使ってコピーを実行した時に、最後に取る行動としては、排出された用紙を回収することであるので、その行動が検知されれば、画像形成装置1Aへの用事は済んだと判断できる。
【0099】
したがって、画像形成装置1Aの排紙トレイにある用紙が操作者SAによって回収されたタイミングで、通知要否判断部102が通知するか否かを判断する。そして、通知すると判断した場合に、そのタイミングで通知を出す。
【0100】
なお、排紙トレイにある用紙が回収されたかどうかは、排紙トレイに用紙があるかどうかを検知するための検知センサーを設けることで判定可能である。
〔第5の実施例〕
第5の実施例では、通知要否判断部102において他の機器へ通知するか否かを判断する判断基準の他の例について説明する。第5の実施例は、請求項8の例である。
【0101】
図11には、第5の実施例の画像形成装置1Aの通知要否判断の例のフローチャートが示されている。
【0102】
まず、画像形成装置1Aが持っている設定項目を、(1)他の画像形成装置と共通の設定である「共通設定」、(2)当該画像形成装置に固有の設定である「固有設定」、との2種類に分けて考える。
【0103】
まず、操作者SAが、ある画像形成装置1Aにおいて「共通設定」を変更した場合について説明する。
【0104】
例えば、省エネに関する設定やセキュリティに関する設定など、多くの画像形成装置が持っている設定項目(共通設定項目)が、ある画像形成装置1Aで変更されたとき、これは、画像形成装置の管理者が各画像形成装置1A,1B,1C…の設定の変更のために巡回している、という状況が考えられる。
【0105】
この場合には、ある画像形成装置1のもとを離れた後、他の画像形成装置1B,1C…の所へ出向いて同様に設定の変更のための操作をする可能性がある。このような状況の場合には、他の画像形成装置1B,1C…へ通知を送らない。したがって、通知しないと判断する。
【0106】
次に、操作者SAが、ある画像形成装置1において「固有設定」を変更した場合について説明する。
【0107】
例えば、画像形成装置1Aはカラー機であり、画像形成装置1Bがモノクロ機である場合に、画像形成装置1Aには画像形成装置1Bにはないカラーに関する設定項目が存在する。つまり、画像形成装置1Aに固有の設定項目が存在し、この設定を操作者SAが変更したとしても、その後、画像形成装置1Bの所へ行って同じ設定を変更することはない。したがって、このような状況の場合には、通知すると判断する。
【0108】
図11において、設定が変更された場合に(#131)、その設定変更が「固有設定」であるか否かを判断する(#132)。「固有設定」である場合には、他の画像形成装置1Bへ通知すると判断し(#133)、「固有設定」でない場合、つまり「共通設定」であった場合には、他の画像形成装置1Bへ通知しないと判断する(#134)。
〔第6の実施例〕
第6の実施例では、接近検知部105および接近人識別部106における人(接近者)の識別方法の例について説明する。第6の実施例は、請求項10の例である。
【0109】
すなわち、接近検知部105として、人(操作者SA)が持っている端末(通信端末)を活用する。人が端末を持ってMFP に接近してきたとき、そしてその端末と画像形成装置1Aとが無線によって接続可能な状態にあるときに、画像形成装置1Aはその端末と自動で接続し、端末から人を識別可能な情報を取得する。人を識別可能な情報としては、例えば、過去にその端末から画像形成装置1Aへログインした履歴があり、その際に端末上で入力されたログインIDなどを用いることができる。
〔第7の実施例〕
第7の実施例では、電力モード決定部108において電力モードDMを決定する判断基準の例について説明する。第7の実施例は、請求項11の例である。
【0110】
ここでは、画像形成装置1Bが人の接近を検知したときに、通常モードDM1またはスリープモードDM2のいずれの電力モードDMで動作するかを判断する方法について説明する。なお、人の接近を検知したときの画像形成装置1Bの状態が、スリープモードDM2の場合と通常モードDM1の場合との2パターンに分けて説明する。
【0111】
まず、スリープモードDM2のときに人が接近してきた場合について説明する。
【0112】
画像形成装置1Bが他の画像形成装置1Aから何も通知を受け取っていない状態、つまり他の画像形成装置1Aが使われていない状況で人の接近を検知した場合は、その人は画像形成装置1Bを使うためにきていると判断し、通常モードDM1に移行する。
【0113】
また、他の画像形成装置1Aから通知を受け取って一定時間以内の間に人の接近を検知した場合は、通知されている操作者情報101Tと接近者の識別結果106Aとを比較して、通常モードDM1に移行するかどうかを判断する。
【0114】
すわなち、通知を受け取った操作者情報101Tと接近者の識別結果106Aとが一致する場合には、接近者は直近で他の画像形成装置1Aを使い終わっており、画像形成装置1Bに近づいてきて使用することなく通り過ぎる可能性が高いので、スリープモードDM2を維持する。
【0115】
通知を受け取った操作者情報101Tと接近者の識別結果106Aとが一致しない場合には、接近者は直近で他の画像形成装置1Aを使っておらず、画像形成装置1Bを使用する可能性が高いので、スリープ復帰して通常モードDM1に移行する。
【0116】
図12には、第7の実施例の画像形成装置1Bの処理の例のフローチャートが示されている。
【0117】
図12において、スリープモードDM2である場合に、接近者を検知すると(#141)、一定時間内に他の画像形成装置1Aから通知を受けているか否かを判断する(#142)。一定時間内に他の画像形成装置1Aから通知を受けている場合には、接近者を識別し(#143)、識別結果106Aと操作者情報101T(101A)とを比較し、異なる場合には通常モードDM1に移行し(#145)、一致する場合にはスリープモードDM2を維持する(#146)。
【0118】
次に、通常モードDM1のときに人が接近してきた場合について説明する。
【0119】
上にも述べたように、画像形成装置1Bは、通常モードDM1であるときに、無操作時間が一定以上経過したタイミングでスリープモードDM2に移行する。そのため、無操作時間をカウントするタイマー(カウンター)が設けられている。例えば、無操作時間が1分経過したらスリープモードDM2へ移行する、という設定の場合に、タイマーの値が1分になったタイミングでスリープモードDM2に移行する。なお、タイマーには、例えば、1分、6分、1時間などの時間を実勢することができる。
【0120】
まず、他の画像形成装置1Aから何も通知を受け取っていない状態、つまり他の画像形成装置1Aが使われていない状況で、人の接近を検知した場合は、その人は画像形成装置1Bを使うためにきていると判断し、通常モードDM1を維持し、タイマーの値をリセットする。
【0121】
また、他の画像形成装置1Aから通知を受け取って一定時間以内に、人の接近を検知したときは、接近者の識別結果106Aと通知を受け取った操作者情報101Tとを比較し、通常モードDM1へ移行するか否かを判断する。
【0122】
すなわち、一致しない場合には、接近者は直近で他の画像形成装置1Aを使っておらず、画像形成装置1Bを使用する可能性が高いので、通常モードDM1を維持し、タイマーの値をリセットする。
【0123】
一致する場合には、接近者は直近で他の画像形成装置1Aを使い終わっており、画像形成装置1Bを使用する可能性が低いので、スリープモードDM2を維持し、タイマーの値はリセットしない。
【0124】
図13には、第7の実施例の画像形成装置1Bの処理の他の例のフローチャートが示されている。
【0125】
図13において、通常モードDM1である場合に、接近者を検知すると(#151)、一定時間内に他の画像形成装置1Aから通知を受けているか否かを判断する(#152)。一定時間内に他の画像形成装置1Aから通知を受けている場合には、接近者を識別し(#153)、識別結果106Aと操作者情報101T(101A)とを比較する(#154)。異なる場合には通常モードDM1を維持し、タイマーの値をリセットする(#155)。一致する場合には通常モードDM1を維持する。
〔第8の実施例〕
第8の実施例では、電力モード決定部108において電力モードDMを決定する判断基準の他の例について説明する。第8の実施例は、請求項12の例である。
【0126】
ここでは、第7の実施例での判断基準に加えて、接近者がその画像形成装置1Bを使用可能かどうかという条件も考慮して、いずれの電力モードDMで動作させるかの判断を行う。
【0127】
すなわち、ユーザ(操作者SA)毎に利用制限を設けている場合がある。例えば、1カ月にコピーできる枚数を100枚まで、という利用制限を画像形成装置1に設定しておくことが可能である。このような設定がされている状況で、画像形成装置1Bに接近してくる人を識別し、その人の現在の利用状況を確認して、既に100枚コピー済みの状態、つまり今月はこれ以上コピーできない状態であれば、通常モードDM1へ移行しない。もし利用制限がなく、あっても制限に達していない人であれば通常モードDM1に移行する。
【0128】
図14には、第8の実施例において、スリープモードDM2である場合の画像形成装置1Bの処理の例のフローチャートが示されている。
【0129】
図14において、スリープモードDM2である場合に、接近者を検知すると(#161)、一定時間内に他の画像形成装置1Aから通知を受けているか否かを判断する(#162)。一定時間内に他の画像形成装置1Aから通知を受けている場合には、接近者を識別し(#163)、識別結果106Aと操作者情報101T(101A)とを比較し、異なる場合には(#164でイエス)、利用制限を越えていないかどうかを判断する(#165)。利用制限を越えていない場合には(#175でイエス)、通常モードDM1に移行し(#166)、越えている場合にはスリープモードDM2を維持する(#167)。
【0130】
図15には、第8の実施例において、通常モードDM1である場合の画像形成装置1Bの処理の例のフローチャートが示されている。
【0131】
図15において、通常モードDM1である場合に、接近者を検知すると(#171)、一定時間内に他の画像形成装置1Aから通知を受けているか否かを判断する(#172)。一定時間内に他の画像形成装置1Aから通知を受けている場合には、接近者を識別し(#173)、識別結果106Aと操作者情報101T(101A)とを比較し、異なる場合には(#174でイエス)、利用制限を越えていないかどうかを判断する(#175)。利用制限を越えていない場合には(#175でイエス)、通常モードDM1を維持し、タイマーの値をリセットする(#176)。越えている場合には、通常モードDM1を維持し、タイマーの値はリセットしない。
【0132】
上に述べた種々の実施例などの実施形態によると、複数の画像形成装置1A,1B,1C…が連携することによって、ある画像形成装置がスリープモードである場合に、そこに接近している人を検知した場合においても、スリープモードDM2を維持するので、無駄なスリープ復帰を防止することができる。
【0133】
上に述べた実施形態において、第2の電力モードDM2であるスリープモードまたは省電力モードとして、通常モードDM1よりも消費電力の低い種々の電力モードを設定することができる。ジョブの実行時間が一定以上であるか否かを判断する一定時間、および第2の電力モードDM2に移行する時間を計時するタイマーの値などは、種々設定することができる。
【0134】
その他、画像形成装置1の全体または各部の構成、処理の内容、順序、またはタイミングなどは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。