(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発光素子から発光される光の前記発光素子から前記光波長変換シートまでの光路中に配置された導光板を更に具備することを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
図1(a)は本発明の照明装置の一例の概略断面図であり、
図1(b)は基板とLEDと反射板の概略平面図である。
図2は例えば表示装置として液晶ディスプレイを用いる場合の概略断面図である。液晶ディスプレイとしては、TV、モニター、ノート型パーソナルコンピューター、タブレット型携帯端末、スマートフォン等があるが、これらに限定されるものではない。また、照明装置は、液晶ディスプレイの他、看板、自動販売機等の表示装置に用いることができる他、家庭用照明機器、施設用照明機器などの各種照明装置として好適に用いることができるが、これらに限定されるものではない。
図1、および
図2の光学フィルムとしては、拡散フィルム、プリズムフィルム、再帰反射フィルム等が使用される。
【0028】
光波長変換シートとは、特定の波長の光を他の波長の光に変換するシートのことである。本発明においては、特定の波長の光(第1の波長の光)を他の波長の光(第2の波長の光)に変換する光波長変換シートが好ましく用いられる。
【0029】
ここで、特定の波長の光を他の波長の光に変換するとは、特定の波長にピークを有する光(第1の波長の光)が当該特定の波長以外の波長にピークを有する光(第2の波長の光)に変換されることをいう。また、第2の波長の光は1つの波長にピークを有する光でもよいし、2つの波長それぞれにピークを有する光でもよい。すなわち、第1の波長の光は光波長変換シートにより、第1の波長の光とはピークの波長が異なる1つの波長(第2の波長)にピークを有する第2の波長の光に変換されてもよいし、第2の波長αにピークを有する光および第2の波長βにピークを有する光の2つの光に変換されてもよい。
【0030】
第1の波長の光は200nm以上380nm未満(近紫外)にピークを持つ波長の光および/または380nm以上495nm未満(青)にピークを持つ波長の光であることが好ましい。より好ましくは220nm以上350nm以下にピークを持つ波長の光および/または400nm以上470nm以下にピークを持つ波長の光であり、さらに好ましくは240nm以上320nm以下にピークを持つ波長の光および/または410nm以上460nm以下にピークを持つ波長の光である。これらの波長の光を発光する発光素子として、例えば近紫外LEDや青色LEDが挙げられる。また、第2の波長の光として、495nm以上570nm未満(緑)にピークを持つ波長の光、570nm以上590nm未満(黄)にピークを持つ波長の光および590nm以上750nm以下(赤)にピークを持つ波長の光からなる群より選択される少なくとも1つの波長の光であることが好ましい。より好ましくは510nm以上565nm以下にピークを持つ波長の光、575nm以上590nm以下にピークを持つ波長の光および600nm以上700nm以下にピークを持つ波長の光からなる群より選択される少なくとも1つの波長の光であり、さらに好ましくは、520nm以上555nm以下にピークを持つ波長の光、580nm以上590nm以下にピークを持つ波長の光および610nm以上680nm以下にピークを持つ波長の光からなる群より選択される少なくとも1つの波長の光である。
【0031】
また、光波長選択フィルタとは、特定の波長の光を透過したり反射したりするフィルタのことである。
【0032】
ここで、光波長選択フィルタの面積は、光波長変換シートの面積よりも小さいことが好ましい。光波長選択フィルタの面積を光波長変換シートの面積よりも小さくして照明装置内に部分的に配置すれば、効率良く、照明装置の出射光の色を部分的に調整できるため好ましい。
【0033】
なお、発光素子とは、光を発する半導体素子のことをいう。発光素子は照明装置においてどのように設けられていてもよいが、例えば基板上に設けられる場合は光波長変換シートの面全面に対応して複数設けられていることが効率良く発光させる点から好ましく、後述する導光板を用いる場合は、導光板の端部に沿って複数設けられていることが発光効率の点から好ましい。
【0034】
(第1実施形態)
図3〜
図7を用いて、本発明の照明装置の一例である、第1実施形態について説明する。
【0035】
図3は、本発明の照明装置の第1実施形態における模式図である。光波長変換シート31と光波長選択フィルタ32が具備されており、発光素子として青色LED33が基板34に設けられている。また、発光素子からの光を反射・拡散するために、反射板37および拡散板38が設けられている。
【0036】
青色LED33、光波長変換シート31、光波長選択フィルタ32は、この順で具備されている。
【0037】
青色LED33は、光波長変換シート31と離間して具備されており、光波長変換シート31に向かって光を発光する。
【0038】
光波長選択フィルタ32の面積は、光波長変換シート31の面積よりも小さいことが好ましい。光波長選択フィルタ32の面積を光波長変換シート31の面積よりも小さくして照明装置内に部分的に配置すれば、効率良く、照明装置の出射光の色を部分的に調整できるため好ましい。
【0039】
第1実施形態において、光波長選択フィルタ32は、青色LED33から発光される第1の波長の光を反射し、該第1の波長の光が光波長変換シート31で変換されて生じる第2の波長の光を透過するものである。
【0040】
第1実施形態における光波長選択フィルタ32は、光波長変換シート31により変換された第2の波長の光について、ピークとなる波長(以下、第2の波長のピーク波長ということもある)の光を85%以上透過し、かつ第1の波長の光について、ピークとなる波長(以下、第1の波長のピーク波長ということもある)の光を20%以上反射するフィルタのことをいう。すなわち、第2の波長のピーク波長における透過率が85%以上であり、かつ第1の波長のピーク波長における反射率が20%以上であるフィルタのことをいう。なお、第2の波長の光が2つ以上あるときは、すべての第2の波長の光について透過率が85%以上であるフィルタのことをいう。
【0041】
第1の波長の光は特定の波長にピークを持つ光であり、第2の波長の光は第1の波長の光とは異なる波長にピークを持つ光である。
【0042】
図4は、第1の波長および第2の波長の一例である。
図2の波長の例は、発光素子が青色LEDであり、光波長変換シートが、青色LEDから発光された第1の波長である青色波長の青色光が変換されて第2の波長である緑色波長の緑色光を発光する緑用量子ドットと、青色光が変換されて第2の波長である赤色波長である赤色光を発光する赤用量子ドットとの2種類の量子ドットが含有されている場合の例である。青色LEDの青色光のピークは450nmであり、緑色光のピークが550nmであり、赤色光のピークが610nmである。これらの光を合成することで白色光が得られる。
【0043】
図5及び
図6は、それぞれ光波長選択フィルタ32がない場合とある場合の光路を示す図である。
【0044】
図6に示した通り、光波長選択フィルタ32は、光波長変換シートで変換した緑色光と赤色光を透過し、青色LEDが発光した青色光の一部、または全部を反射する。ここで、青色LEDが発光した青色光の一部を反射するとは、青色LEDが発光した青色光が有するピークの波長における反射率が20%以上であることをいい、青色LEDが発光した青色光の全部を反射するとは、青色LEDが発光した青色光が有するピークの波長における反射率が100%以上であることをいう。
【0045】
従って、光波長選択フィルタ32の出射面側に出射される光の青味は、
図5の場合、すなわち光波長選択フィルタ32がない場合に出射面側に出射される光よりも低減される。
【0046】
この原理によって、照明装置の端部付近など、青味が強い部分(発光素子の発光色の影響が強い部分)に、部分的に光波長選択フィルタ32を配置することで、照明装置の色ムラを改善することができる。
【0047】
なお、光波長選択フィルタ32で反射された青色光は、反射板等で反射されることにより照明装置内で再利用されるため、光の損失が少ない。従って、青色光を吸収させる原理で青味を低減させる他の色調整方法と比べて、少ない光損失で色調整することができる。
【0048】
光波長選択フィルタ32は、第1の波長のピーク波長の反射率が20%以上であることが好ましい。一方、反射率が高すぎると、青味の低減効果が大きくなりすぎることによる色ムラが発生する場合があるため、第1の波長のピーク波長の反射率は、より好ましくは25〜90%であり、さらに好ましくは30〜80%である。
【0049】
光波長選択フィルタ32は、第2の波長のピーク波長の透過率が85%以上であることが好ましく、87%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
【0050】
光波長選択フィルタ32は、例えば
図7に示すように、光波長変換シート31に積層してもよい。
【0051】
光波長選択フィルタ32は下記式(1)を満足することも好ましい。下記式(1)は、光を反射する波長帯と透過する波長帯との間での透過率の変化が急峻であることを示しており、|λ2−λ3|が小さくなるにつれて、より急峻に反射する波長帯から透過する波長帯へと変化する。このように反射する波長帯から透過する波長帯、すなわち、第1実施形態でいうところの青色LEDが発光した青色光を反射する波長帯から光波長変換シートにて青色光が変換され第2の発光波長である緑色波長の緑色光を透過する波長帯への変化が急峻に行われることによって、青色光のみを選択的・効率的に反射しつつ緑色光を透過することができ、光波長選択フィルタの効果を最大限得やすくなるものである。
【0052】
|λ2−λ3| ≦ 50 (ただし、λ1<λ2、λ1<λ3) (1)
λ1:発光素子の発光波長(nm)
λ2:光波長選択フィルタの透過率が70%となる波長(nm)
λ3:光波長選択フィルタの透過率が30%となる波長(nm)。
【0053】
光波長選択フィルタは、可視光領域で透明な屈折率の異なる2種類の膜を積層したものが好ましく用いられる。屈折率の異なる2種類の膜を積層することで、膜の界面において光を反射するようになり、2種類の膜の屈折率差と各膜の厚みを調整することによって、反射する光の波長を選択することができる。また、交互に積層する2種類の膜の積層数を調整することによって、反射率を調整することができる。
【0054】
2種類の膜は、有機樹脂材料でもよく、無機系材料でもよく、有機樹脂としては、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂のいずれでもよい。また、ホモ樹脂、共重合樹脂または2種類以上の樹脂のブレンドであってもよい。より好ましくは、成形性が良好であるため、熱可塑性樹脂である。また、各樹脂中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。
【0055】
青色LEDを用いる場合には、光波長選択フィルタ中に蛍光増白剤を含んでなることも好ましい。蛍光増白剤とは、青色LEDの発光波長よりも短波長の光によって励起されて青色光を発光するものであり、蛍光増白剤を含むことでLEDから発せられるが光波長変換シートでは波長変換できない短波長の光を光波長変換シートで緑色光や赤色光に変換可能な青色光へと変換することができ、照明装置とした際に輝度を向上させることが可能となる。
【0056】
熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチルサクシネート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、PMMAなどのアクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂、アクリロニトリル・ブタジエンスチレン共重合体、アクリロニトリル・エチレン-プロピレンゴム、スチレン共重合体などを用いることができる。この中で、強度・耐熱性・透明性の観点から、特にポリエステル樹脂であることがより好ましい。
【0057】
ポリエステル樹脂のうち、ポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリエチレンナフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体などを用いることが好ましい。
【0058】
前述の式(1)を満足するような光波長選択フィルタを得るためには、熱可塑性樹脂からなる積層フィルムを用いることも好ましい。この場合、層数は増加する傾向があるものの、多数の層厚みを制御することで波長帯域や特に反射する波長帯から透過する波長帯への変化の急峻化も容易となる。
【0059】
光波長選択フィルタの形状は、面状でもよく、面に多数の穴が開いた形状でもよく、網目状でもよく、円形、楕円形、その他の曲線で囲まれた形状、三角形、四角形、その他の多角形等、様々な形状としてよい。
【0060】
上述したような屈折率の異なる2種類の膜を積層した光波長選択フィルタを、さらに別のシートに積層して用いることもできる。別のシートに積層する際の光波長選択フィルタの形状は、面状でもよく、面に多数の穴が開いた形状でもよく、網目状でもよく、ドット状に積層するなど離間した状態で積層してもよく、円形、楕円形、その他の曲線で囲まれた形状、三角形、四角形、その他の多角形等、様々な形状としてよい。
【0061】
光波長選択フィルタおよび/または光波長変換シートの表面が凹凸形状を有することも好ましい。ここでいう凹凸形状を有するとは、光波長選択フィルタおよび/または光波長変換シートの表面の粗さを測定した際に、JIS B0601(2001年)におけるRzが1μm以上であることを示す。より好ましくはRzが10μm以上であり、下記のような効果を得ることが容易となる。
【0062】
光波長選択フィルタおよび/または光波長変換シートの表面が凹凸形状を有することでの第1の効果は易滑性である。表面に凹凸形状を有することにより易滑性が発現するため、光波長選択フィルタおよび/または光波長変換シートを照明装置に組み込む際の傷の発生を抑制することが可能となる。
【0063】
第2の効果は光の取り出しである。本発明者らは、光波長変換シートにおいては、光が光波長変換シート内にて反射することで光ファイバーのごとくシート内に閉じ込められる現象が発生し輝度が低下するという現象を見出した。その対策として、光波長選択フィルタおよび/または光波長変換シートの表面が凹凸形状を有することで、その凹凸界面から光が取り出されるため、光波長変換シート内に取り込まれる光を減少させ、輝度向上の効果が得られるものである。
【0064】
第3の効果は、光の光路の調整である。発光素子、特に発光ダイオードから光は表示側へと比較的高い指向性を持って進むのに対して、光波長変換シートからの光は等方的に発光するために、光源正面での輝度が低下する原因となる。光波長選択フィルタおよび/または光波長変換シートの表面が凹凸形状を有することで、凹凸界面にて光の方向を調整し、特に正面方向に集光することで輝度向上を達成することが容易になるほか、照明装置、表示装置を形成する際に他の光学部材を省くこともできるため低コスト化にも寄与する。
【0065】
上記第2、第3の効果をより効率的に得るために、前記凹凸形状がマイクロレンズ形状、プリズム形状、略三角形状または略半円形状であることが好ましい。マイクロレンズ形状とは略半球状の凹凸を、プリズム形状とは略三角状の凹凸を指す。このような形状を備える場合、光は表示側へ光路が集光されるため照明装置、表示装置とした場合の正面輝度がより顕著に向上するようになる。
【0066】
前述のとおり発光素子とは、光を発する半導体素子のことであり、発光素子は、青色や近紫外波長のLEDやレーザー等、任意の好適な発光素子を用いることができる。
【0067】
光波長変換シートは、前述のとおり特定の波長の光を他の波長の光に変換するシートのことであり、例えば光波長を変換する機能を有する量子ドットや蛍光体を含有したシートである。量子ドットや蛍光体を樹脂シートに含有したものでもよく、基材となるシートに、量子ドットや蛍光体を含有した膜を積層したものでもよい。
【0068】
光波長変換シートとして、基材となるシートに、量子ドットや蛍光体を含有した膜を積層したものを用いる場合は、光波長選択フィルタの面積は、量子ドットや蛍光体を含有した膜の面積よりも小さくすることが好ましい。光波長選択フィルタの面積を量子ドットや蛍光体を含有した膜の面積よりも小さくして照明装置内に部分的に配置すれば、効率良く、照明装置の出射光の色を部分的に調整できるため好ましい。
【0069】
発光素子と光波長変換シートを用いて白色光を得る組み合わせとしては、例えば、青色LEDを用いる場合は、青色LEDから発光された第1の波長である青色波長の青色光が変換されて第2の波長である黄色波長の黄色光を発光する黄色用量子ドットを含有した光波長変換シートを用いてもよい。近紫外LEDを用いる場合は、近紫外LEDから発光された第1の波長である近紫外波長の光が変換されて第2の波長である赤色波長の赤色光を発光する赤用量子ドットと、近紫外波長の光が変換されて第2の波長である緑色波長の緑色光を発光する緑用量子ドットと、近紫外波長の光が変換されて第2の波長である青色波長の青色光を発光する青用量子ドットが含有されるものを用いてもよい。
【0070】
量子ドットとしては、ZnSシェルを有するCdSeが例として挙げられる。また、CdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdS、又はCdTe/ZnSを含むコア/シェル発光ナノ結晶を用いてもよい。
【0071】
蛍光体としては、緑色用蛍光体としてSrGa
2S
4:Eu
2+、赤色用蛍光体として(Ca,Sr,Ba)S:Eu
2+が例として挙げられる。蛍光体材料の記載において、:の前は母体を示し、後は付活剤を示す。
【0072】
また、本実施形態では白色光を得ているが、照明装置から出射される光として所望の色の光を得るために、発光素子や蛍光体の種類を適宜選択することも可能である。
【0073】
第1実施形態においても
図1や
図2と同様に光波長選択フィルタの出射側に光学シートが設けられることも好ましいが、特にプリズムシートやマイクロレンズシート、偏光反射フィルムのような輝度向上フィルムが設けられることが好ましい。プリズムシートやマイクロレンズ、偏光反射フィルムは、従来からも正面輝度向上のために有益に用いられるものであるが、特に光波長変換シートと組み合わせて用いる場合、いったん光波長変換シートを透過した光を光学フィルム上で反射させ光波長変換シート側へ反射・再波長変換することができ、高価な量子ドットなどの使用量削減による低コスト化の効果も得られる。
【0074】
さらに好ましい組み合わせとして、光波長選択フィルタの波長λ3における透過率が最大になる方向と、輝度向上フィルムの波長λ3における透過率が最大になる方向との為す角度が80°以上となるように配置されることが挙げられる。ここでいう透過率が最大となる方向とは、フィルム面に垂直に波長λ3の偏光を入射し、偏光面を5°ずつ回転させて透過率が最大となる方向である。光波長選択フィルタと輝度向上フィルムの透過率が最大となる方向が直交するに従い、光波長選択フィルタで反射できなかった偏光を輝度向上フィルムにて効率的に反射することができ、光波長選択フィルタの効果をさらに向上させることが可能となる。
【0075】
反射板37としては、白色フィルムのような光拡散性の反射フィルムを用いてもよいが、より好ましくは、正反射性の反射フィルムである。ここでいう正反射性とは、JIS Z8741(1997年)のとおり入射角度60°、出射角度60°にて測定した光沢度が100以上であることである。正反射性の反射フィルムを用いることにより、光選択波長フィルタで反射された光や光波長変換シートで波長変換・発光する光の散乱を抑制しつつ高効率で光を反射できるようになるため、照明装置の色ムラを抑制する効果が得られる。
【0076】
(第2実施形態)
図8は、本発明の照明装置の第2実施形態における模式図である。光波長変換シート81と光波長選択フィルタ82が具備されており、導光板85の端部に、発光素子として青色LED83が具備されている。
【0077】
青色LED83、光波長変換シート81、光波長選択フィルタ82は、この順で具備されている。
【0078】
青色LED83は、光波長変換シート81と離間して具備されている。青色LED83の光は、導光板85の端部から入光して導光板で導光されながら出射される。この原理によって、光波長変換シート81に向かって光を発光する。
【0079】
光波長選択フィルタ82の面積は、光波長変換シート81の面積よりも小さいことが好ましい。光波長選択フィルタ82の面積を光波長変換シート81の面積よりも小さくして照明装置内に部分的に配置すれば、効率良く、照明装置の出射光の色を部分的に調整できるため好ましい。
【0080】
第2実施形態における他の態様は、第1実施形態と同様である。
【0081】
(第3実施形態)
図9〜
図12を用いて、本発明の照明装置の一例である、第3実施形態について説明する。
【0082】
図9は、本発明の照明装置の第3実施形態における模式図である。光波長変換シート91と光波長選択フィルタ92が具備されており、発光素子として青色LED93が基板94に設けられている。また、発光素子からの光を反射・拡散するために、反射板97および拡散板98が設けられている。
【0083】
青色LED93、光波長選択フィルタ92、光波長変換シート91は、この順で具備されている。
【0084】
青色LED93は、光波長変換シート91と離間して具備されており、光波長変換シート91に向かって光を発光する。
【0085】
光波長選択フィルタ92の面積は、光波長変換シート91の面積よりも小さいことが好ましい。光波長選択フィルタ92の面積を光波長変換シート91の面積よりも小さくして照明装置内に部分的に配置すれば、効率良く、照明装置の出射光の色を部分的に調整できるため好ましい。
【0086】
第3実施形態において、光波長選択フィルタ92は、青色LED93から発光される第1の波長の光を透過し、該第1の波長の光が光波長変換シート91で変換されて生じる第2の波長の光を反射するものである。
【0087】
第3実施形態における光波長選択フィルタ92は、青色LED93から発光される第1の波長の光について、ピークとなる波長(以下、第1の波長のピーク波長ということもある)を85%以上透過し、かつ光波長変換シート91で変換されて生じる第2の波長の光について、ピークとなる波長(以下、第2の波長のピーク波長ということもある)の光を20%以上反射するフィルタのことをいう。すなわち、第1の波長のピーク波長における透過率が85%以上であり、かつ第2の波長のピーク波長における反射率が20%以上であるフィルタのことをいう。なお、第2の波長の光が2つ以上あるときは、すべての第2の波長の光について反射率が20%以上であるフィルタのことをいう。
【0088】
図10及び
図11は、それぞれ光波長選択フィルタ92がない場合とある場合の光路を示す図である。
【0089】
図10に示した通り、光波長選択フィルタ92がない場合は、光波長変換シートで発光した緑色光と赤色光のうち、出射面側の反対側に出射される光は、照明装置内を拡散する。
【0090】
図11に示した通り、光波長選択フィルタ92は、青色LEDが発光した青色光を透過し、光波長変換シートで発光した緑色光と赤色光のうち、出射面側の反対側に出射される光の一部、または全部を反射し、光波長選択フィルタを具備した近辺の出射面側に緑色光と赤色光を出射する。従って、光波長選択フィルタ92の近辺で出射面側に出射される光の青味は、
図10の場合、すなわち光波長選択フィルタ92がない場合に出射面側に出射される光よりも低減される。
【0091】
この原理によって、照明装置の端部付近など、青味が強い部分(発光素子の発光色の影響が強い部分)に、部分的に光波長選択フィルタ92を配置することで、照明装置の色ムラを改善することができる。
【0092】
光波長選択フィルタ92を使えば、青色光を吸収させる原理で青味を低減させる他の色調整方法と比べて、少ない光損失で色調整することができる。
【0093】
光波長選択フィルタ92は、第1の波長のピーク波長の透過率が85%以上であることが好ましく、87%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
【0094】
光波長選択フィルタ92は、第2の波長のピーク波長の反射率が20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
【0095】
光波長選択フィルタ92は下記式(1)を満足することも好ましい。下記式(1)は、光を反射する波長帯と透過する波長帯との間での透過率の変化が急峻であることを示しており、|λ2−λ3|が小さくなるにつれて、より急峻に反射する波長帯から透過する波長帯へと変化する。このように反射する波長帯から透過する波長帯、すなわち、第3実施形態でいうところの青色LEDが発光した青色光を透過する波長帯から光波長変換シートにて青色光が変換され第2の発光波長である緑色波長の緑色光を反射する波長帯への変化が急峻に行われることによって、青色光のみを選択的・効率的に透過しつつ緑色光や赤色光を反射することができ、光波長選択フィルタの効果を最大限得やすくなるものである。
【0096】
|λ2−λ3| ≦ 50 (ただし、λ1<λ2、λ1<λ3) (1)
λ1:発光素子の発光波長(nm)
λ2:光波長選択フィルタの透過率が70%となる波長(nm)
λ3:光波長選択フィルタの透過率が30%となる波長(nm)。
【0097】
光波長選択フィルタ92は、例えば
図12に示すように、光波長変換シート91に積層してもよい。
【0098】
第3実施形態においても
図1や
図2と同様に光波長選択フィルタの出射側に光学シートが設けられることも好ましいが、特にプリズムシートやマイクロレンズシート、偏光反射フィルムのような輝度向上フィルムが設けられる際には、光波長選択フィルタの波長λ3における透過率が最大になる方向と、輝度向上フィルムの波長λ3における透過率が最大になる方向との為す角度が10°以下となるように配置されることが好ましい。光波長選択フィルタと輝度向上フィルムの透過率が最大となる方向が平行となることで、輝度向上フィルムから光波長変換シート、光波長選択フィルタへと反射された光を効率的に光波長選択フィルタで反射し発光素子へ反射することを抑制でき、照明装置の色ムラを抑制する効果が得られる。
【0099】
第3実施形態における他の態様は、第1実施形態と同様である。
【0100】
(第4実施形態)
図13は、本発明の照明装置の第4実施形態における模式図である。光波長変換シート131と光波長選択フィルタ132が具備されており、導光板135の端部に、発光素子として青色LED133が具備されている。
【0101】
青色LED133、光波長選択フィルタ132、光波長変換シート131は、この順で具備されている。
【0102】
青色LED133は、光波長変換シート131と離間して具備されている。青色LED133の光は、導光板135の端部から入光して導光板で導光されながら出射される。この原理によって、光波長変換シート131に向かって光を発光する。
【0103】
光波長選択フィルタ132の面積は、光波長変換シート131の面積よりも小さいことが好ましい。光波長選択フィルタ132の面積を光波長変換シート131の面積よりも小さくして照明装置内に部分的に配置すれば、効率良く、照明装置の出射光の色を部分的に調整できるため好ましい。
【0104】
第4実施形態における他の態様は、第3実施形態と同様である。
【0105】
(第5実施形態)
図14〜
図17を用いて、本発明の照明装置の一例である、第5実施形態について説明する。
【0106】
図14は、本発明の照明装置の第5実施形態における模式図である。第1光波長変換シート146と第2光波長変換シート141が具備されており、発光素子として青色LED143が基板144に設けられている。また、発光素子からの光を反射・拡散するために、反射板147および拡散板148が設けられている。
【0107】
第1光波長変換シート146、青色LED143、第2光波長変換シート141は、この順で具備されている。
【0108】
青色LED143は、第2光波長変換シート141と離間して具備されており、第2光波長変換シート141に向かって光を発光する。
【0109】
第1光波長変換シート146の面積は、第2光波長変換シート141の面積よりも小さいことが好ましい。第1光波長変換シート146の面積を第2光波長変換シート141の面積よりも小さくして照明装置内に部分的に配置すれば、効率良く、照明装置の出射光の色を部分的に調整できるため好ましい。
【0110】
図15及び
図16は、それぞれ第1光波長選択フィルタ146がない場合とある場合の光路を示す図である。
【0111】
図15、
図16に示す通り、青色LEDから第2光波長変換シート141に向かって発光された青色光の一部は、拡散板148の表面で反射されて出射面側と反対側に出射される。また、他の光学シートの表面や、第2光波長変換シートの表面でも一部が反射され、出射面側と反対側に出射される。出射面側と反対側に出射された光は、反射板で反射されて出射面側に向かい、その一部は、再び拡散板148等の表面で反射されて出射面側と反対側に出射されるということを繰り返す。
【0112】
図16に示す通り、第1光波長変換シート146がある場合は、出射面側と反対側に出射された青色光は、緑色光や赤色光など、青色波長のピーク波長とは異なる波長にピークを持つ光に変換された後、反射板によって出射面側に出射される。一方、
図15に示す通り、第1光波長変換シート146がない場合は、出射面側と反対側に出射された青色光は波長変換されずに反射板によって出射面側に出射される。従って、第1光波長変換シート146がある場合、第1光波長変換シート146の近辺で出射面側に出射される光の青味は、
図15の場合、すなわち第1光波長変換シート146がない場合に出射面側に出射される光よりも低減される。
【0113】
この原理によって、照明装置の端部付近など、青味が強い部分(発光素子の発光色の影響が強い部分)に、部分的に光波長変換シート146を配置することで、照明装置の色ムラを改善することができる。
【0114】
第1光波長変換シート146を使えば、青色光を吸収させる原理で青味を低減させる他の色調整方法と比べて、少ない光損失で色調整することができる。
【0115】
第1光波長変換シート146は、例えば
図17に示すように、反射板に積層してもよい。
【0116】
第1光波長変換シート146は、量子ドットや蛍光体を反射板に含有したものでもよい。量子ドットや蛍光体を反射板に含有したシートは、波長変換機能と反射機能を有するシートとなる。
【0117】
第1光波長変換シートの形状は、面状でもよく、面に多数の穴が開いた形状でもよく、網目状でもよく、円形、楕円形、その他の曲線で囲まれた形状、三角形、四角形、その他の多角形等、様々な形状としてよい。
【0118】
なお、第1光波長変換シートは、前述のとおり特定の波長の光を他の波長の光に変換するシートのことであり、例えば光波長を変換する機能を有する量子ドットや蛍光体を含有したシートである。量子ドットや蛍光体を樹脂シートに含有したものでもよく、基材となるシートに量子ドットや蛍光体を含有した膜を積層したものでもよい。また、基材として反射板を用いてもよい。基材となるシートに積層する量子ドットや蛍光体を含有した膜の形状は、面に多数の穴が開いた形状でもよく、網目状でもよく、ドット状に積層するなど離間した状態で積層してもよく、円形、楕円形、その他の曲線で囲まれた形状、三角形、四角形、その他の多角形等、様々な形状としてよい。
【0119】
光波長変換シートとして、基材となるシートに量子ドットや蛍光体を含有した膜を積層したものを用いる場合は、第1光波長変換シートの量子ドットや蛍光体を含有した膜の面積は、第2光波長変換シートの量子ドットや蛍光体を含有した膜の面積よりも小さくすることが好ましい。第1光波長変換シートの量子ドットや蛍光体を含有した膜の面積を第2光波長変換シートの量子ドットや蛍光体を含有した膜の面積よりも小さくして照明装置内に部分的に配置すれば、効率良く、照明装置の出射光の色を部分的に調整できるため好ましい。
【0120】
第5実施形態における他の態様は、第1実施形態と同様である。
【0121】
(第6実施形態)
図18は、本発明の照明装置の第6実施形態における模式図である。第1光波長変換シート186と第2光波長変換シート181が具備されており、導光板185の端部に、発光素子として青色LED183が具備されている。
【0122】
第1光波長変換シート186、青色LED183、第2光波長変換シート181は、この順で具備されている。
【0123】
青色LED183は、第2光波長変換シート181と離間して具備されている。青色LED183の光は、導光板185の端部から入光して導光板で導光されながら出射される。この原理によって、第2光波長変換シート181に向かって光を発光する。
【0124】
第1光波長変換シート186の面積は、第2光波長変換シート181の面積よりも小さいことが好ましい。第1光波長変換シート186の面積を第2光波長変換シート181の面積よりも小さくして照明装置内に部分的に配置すれば、効率良く、照明装置の出射光の色を部分的に調整できるため好ましい。
【0125】
第6実施形態における他の態様は、第5実施形態と同様である。
【実施例】
【0126】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、本実施例における、測定方法、評価方法を以下に示す。
【0127】
[測定方法および評価方法]
(1)照明装置の分光スペクトル
下記の分光放射輝度計を用い、下記条件にて、暗室内で、照明装置Aの中央部の分光スペクトルを測定した。中央部を決定するにあたり、照明装置Aの最上面に設置されているプリズムフィルム(155mm×98mm)の中央部を、照明装置Aの中央部とした。また、照明装置に用いられている分光放射輝度計とディスプレイ間の距離は500mmとした。
・分光放射輝度計 CS−1000A(コニカミノルタセンシング株式会社製)
・対物レンズ:マクロ対物レンズ
・測定モード:AUTO。
【0128】
(2)光波長選択フィルタの分光反射率
サンプルを50mm×50mmで切り出した。次いで、分光光度計((株)日立製作所製、U−4100 Spectrophotometer)を用いて、入射角度Φ=10度における相対反射率を測定した。付属の積分球の内壁は、硫酸バリウムであり、標準板は、酸化アルミニウムである。測定波長は、250nm〜1,200nm、スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲイン2と設定し、走査速度600nm/分で測定した。サンプルの裏面を油性インキで黒塗りした。
【0129】
(3)光波長選択フィルタ、光学シートの分光透過率
サンプルを50mm×50mmで切り出した。(株)日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)に付属の積分球を用いた基本構成で透過率測定を行った(入射角0°)。測定は装置付属の酸化アルミニウムの副白板を基準とし、測定条件としてスリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/min.で測定した。また、偏光成分を含む透過率測定の際には付属のグランテーラ社製偏光子を設置し、サンプルを一定の方向で固定した後に偏光子を5°ずつ回転させて透過率を測定し、透過率が最大となった角度を計測した。
【0130】
(4)光波長変換シートの分光スペクトル
サンプルを50mm×50mmに切り出し、サンプルの裏面を油性インキで黒塗りし、以下の分光測色計を用いて測定した。
・分光測色計 CM−2600d(コニカミノルタセンシング株式会社製)
・白色校正板 CM−A145(コニカミノルタセンシング株式会社製)
・ターゲットマスク CM−146(φ8mm用)。
【0131】
(5)照明装置の色座標・輝度
照明装置Aを実施例1〜10に記載の構成とし、その中央部の色座標(x値、y値)を、下記の分光放射輝度計を用い、下記条件にて、暗室内で測定した。中央部を決定するにあたり、照明装置Aの最上面に設置されているプリズムフィルム(155mm×98mm)の中央部を、中央部とした。また、照明装置に用いられている分光放射輝度計とディスプレイ間の距離は500mmとした。
・分光放射輝度計 CS−1000A(コニカミノルタセンシング株式会社製)
・対物レンズ:マクロ対物レンズ
・測定モード:AUTO
(6)光沢度
JIS−Z8741(1997年)に規定された方法に従って、スガ試験機製デジタル変角光沢度計UGV−5Dを用いて、60°鏡面光沢度を測定した。測定はn=5で行い、最大値と最小値を除いた平均値を光沢度とした。
【0132】
[評価に使用した照明装置(照明装置A)]
光源が青色LEDであり、光波長変換シートが搭載されている照明装置Aとして、Kindle Fire HDX 7のバックライトを用いた。光波長変換シートのサイズは158mm×98mmであった。なお、実施例9においては、照明装置Aに搭載されていた光波長変換シートを第2光波長変換シートとして用いた。
【0133】
図19は照明装置Aの簡易図である。青色LED193、導光板195、光沢度930の反射フィルム197(実施例6は除く)、光波長変換シート191、プリズムシート199(2枚)という構成であった。
【0134】
照明装置Aの分光スペクトルを測定した結果、青色LEDから出光される青色光の青色波長は450nmにピークがあり、光波長変換シートで変換された緑色光の緑色波長、赤色光の赤色波長は、それぞれ550nm、610nmにピークがあった。
【0135】
[実施例1]
光波長選択フィルタAを以下に示す方法にて得た。
【0136】
ポリエステルAとして、固有粘度0.8のポリエチレンテレフタレートを用いた。またポリエステルBとしてシクロヘキサンジメタノールが30mol%共重合された共重合ポリエステルを62質量%とポリエチレンテレフタレート38質量%を分散したブレンドチップを用いた。これらポリエステルAおよびポリエステルBは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。
【0137】
ポリエステルAおよびポリエステルBは、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプにて吐出比がポリエステルA組成物/ポリエステルB組成物=1.66/1になるように計量しながら、フィルタを介した後、フィードブロックにて合流させた。合流したポリエステルAおよびポリエステルBは、スタティックミキサーに供給し、501層フィードブロックにて合流させて、厚み方向に交互にA/B/A・・・B/Aと501層積層された積層体とした。
【0138】
このようにして得られた計501層からなる積層体をTダイに供給しシート状に成形した後、静電印加しながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
【0139】
得られたキャストフィルムは、85℃から100℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.3倍延伸後、一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃の熱風で予熱後、110℃の温度で幅方向に3.8倍延伸した。延伸したフィルムは、テンター内でリラックス率3%および150℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。厚み40μmで、各層の厚みが43〜83nmに段階的に変化した光波長選択フィルタAを得た。
【0140】
光波長選択フィルタAの分光反射率、分光透過率を測定した結果、450nmの反射率は69%、550nmの透過率は88%、610nmの透過率は90%であった。
【0141】
光波長選択フィルタAを60mm×98mmに切り出し、照明装置Aの光波長変換シートとプリズムシートの間に配置した。配置する際は、60mmの辺が照明装置の長辺と並行になるようにし、光波長選択フィルタAの中央部が照明装置Aの中央部になるように配置した。照明装置Aの中央部を決定するにあたり、照明装置Aに設置されているプリズムフィルム(155mm×98mm)の中央部を、中央部とした。
【0142】
光波長選択フィルタAを配置した場合の色座標(x値、y値)、輝度と、配置しなかった場合の色座標(x値、y値)、輝度を測定した。評価結果を表1に記載する。
【0143】
[実施例2]
光波長選択フィルタAの配置場所を、照明装置Aの2枚のプリズムシートの間とした以外は、実施例1と同様にして、光波長選択フィルタAを配置した場合の色座標(x値、y値)、輝度と、配置しなかった場合の色座標(x値、y値)、輝度を測定した。評価結果を表1に記載する。
【0144】
[実施例3]
実施例1のプリズムシートの上に、偏光度90%の偏光反射フィルムを設け、光選択波長フィルタAの透過率が最大となる方向と偏光反射フィルムの透過率が最大となる方向とが90°で直交するように配置した以外は、実施例1と同様にして、光波長選択フィルタAを配置した場合の色座標(x値、y値)、輝度と、配置しなかった場合の色座標(x値、y値)、輝度を測定した。評価結果を表1に記載する。
【0145】
[実施例4]
光波長選択フィルタBとして、ポリエステルBをスピログリコール25mol%、シクロヘキサンジカルボン酸30mol%が共重合された共重合ポリエステルとし、厚みを70μm、各層の厚みを76〜145nmに段階的に変化した以外は実施例1と同様にして、光波長選択フィルタBを得た。
【0146】
光波長選択フィルタBの分光反射率、分光透過率を測定した結果、450nmの透過率は90%、550nmの反射率は34%、610nmの反射率は90%であった。
【0147】
光波長選択フィルタとして、光波長選択フィルタBを用い、光波長選択フィルタの配置場所を、照明装置Aの導光板と光波長変換シートの間にした以外は実施例1と同様にして、光波長選択フィルタBを配置した場合の色座標(x値、y値)、輝度と、配置しなかった場合の色座標(x値、y値)、輝度を測定した。評価結果を表1に記載する。
【0148】
[実施例5]
実施例4のプリズムシートの上に、偏光度90%の偏光反射フィルムを設け、光選択波長フィルタBの透過率が最大となる方向と偏光反射フィルムの透過率が最大となる方向とが平行となるように配置した以外は、実施例4と同様にして、光波長選択フィルタBを配置した場合の色座標(x値、y値)、輝度と、配置しなかった場合の色座標(x値、y値)、輝度を測定した。評価結果を表1に記載する。
【0149】
[実施例6]
実施例4の反射フィルムを光沢度32の白色フィルムとした以外は、実施例4と同様にして、光波長選択フィルタBを配置した場合の色座標(x値、y値)、輝度と、配置しなかった場合の色座標(x値、y値)、輝度を測定した。評価結果を表1に記載する。
【0150】
[実施例7]
光波長選択フィルタB上に以下の方法で表面凹凸を設けた。
【0151】
まず、光波長選択フィルタBに、塗剤1をコーティングし、膜厚5μmの塗膜を形成した。
【0152】
(塗剤1)
アデカオプトマー KRM−2199(旭電化工業(株)製) 10質量部
アロンオキセタン OXT−221(東亞合成(株)製) 1質量部
アデカオプトマー SP170(旭電化工業(株)製) 0.25質量部
この塗剤1をコーティングした面に、長手方向に垂直な断面形状が凹型の溝が複数掘り込まれた金型を押しあて、コーティングした面の裏面から超高圧水銀灯により紫外線を300mJ/cm
2照射して塗剤を硬化させ、金型を離型しレンズ形状を得た。ここで得られたレンズ形状は、ピッチ2μm、高さ1μmのプリズム形状を有するものであった。
【0153】
続いて、形成されたレンズ形状が上面となるように光波長変換シートの下部に設けた
そのほかの構成は実施例4と同様にして、光波長選択フィルタBを配置した場合の色座標(x値、y値)、輝度と、配置しなかった場合の色座標(x値、y値)、輝度を測定した。評価結果を表1に記載する。
【0154】
[実施例8]
ポリエステルB中に蛍光増白剤であるイーストマン社製「OB−1」を0.1質量%添加した以外は、実施例4と同様にして、光波長選択フィルタBを配置した場合の色座標(x値、y値)、輝度と、配置しなかった場合の色座標(x値、y値)、輝度を測定した。評価結果を表1に記載する。
【0155】
[実施例9]
第1光波長変換シートAを以下に示す方法にて得た。
【0156】
ポリエチレンテレフタレートのペレット100質量部を真空乾燥した後、250℃〜300℃に加熱された押出機Aに供給しポリエステル層(第一層)を形成すると共に、押出機Bを有する複合製膜装置において、ポリエステル層(第二層)を形成するため、乾燥したポリエチレンテレフタレート原料77.5質量部と、乾燥した三井化学社製のポリメチルペンテン樹脂(以降PMPと省略することもある)20質量部に、ポリエチレンテレフタレートに蛍光体を添加したマスターペレット(マスターペレット総量に対して蛍光体として“ルモゲン”F Yellow 083:BASF社製を400μg/g含有)を2.5質量部混合して、ポリエチレンテレフタレート原料の全体量100質量%中のPMP含有量が20質量%、蛍光体10μg/gになるように調整し、このポリエチレンテレフタレート原料を真空乾燥した後、250〜300℃に加熱された押出機Bに供給し、溶融してTダイ三層用複合口金内に導入した。
【0157】
これらポリマーをA層(第一層)/B層(第二層)/A層(第一層)となるように三層積層装置を通して三層積層させ、Tダイよりシート状に成形した。さらにこのシート状フィルムを表面温度10℃〜40℃の冷却ドラムで冷却固化させた未延伸フィルムを70〜98℃に加熱したロール群に導き、長手方向に3.3倍縦延伸した後に冷却ロールに通し、続いて、縦延伸されたフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き120℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後テンター内で180〜240℃の熱固定温度処理をし、厚み150μmのフィルムを得た。
【0158】
第1光波長変換シートAを用い、照明装置Aの反射板と導光板の間に配置した以外は実施例1と同様にして、第1光波長変換シートAを配置した場合の色座標(x値、y値)、輝度と、配置しなかった場合の色座標(x値、y値)、輝度を測定した。評価結果を表1に記載する。
【0159】
[実施例10]
ポリエステル層(第二層)を形成するため、乾燥したポリエチレンテレフタレート原料79.75質量部と、乾燥した三井化学社製のポリメチルペンテン樹脂20質量部に、ポリエチレンテレフタレートに蛍光体を添加したマスターペレット(マスターペレット総量に対して蛍光体として“ルモゲン”F Yellow 083:BASF社製を400μg/g含有)を0.25質量部混合して、ポリエチレンテレフタレート原料の全体量100質量%中のPMP含有量が20質量%、蛍光体1μg/gになるように調整した以外は、実施例4と同様にして、フィルムを作成し、第1光波長変換シートBとした。
【0160】
第1光波長変換シートBを用い、照明装置Aの反射板と導光板の間に配置した以外は実施例1と同様にして、第1光波長変換シートBを配置した場合の色座標(x値、y値)、輝度と、配置しなかった場合の色座標(x値、y値)、輝度を測定した。評価結果を表1に記載する。
【0161】
[評価]
上記の実施例に従って照明装置の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。また、
図20にxy色度図を示す。
【0162】
表1に記載した通り、光波長選択フィルタA、B、第1光波長変換シートA、Bを配置した場合には、配置しなかった場合と比較して、x値、y値のどちらかが同じ値でどちらかが大きくなるか、両方が大きくなった。x値、y値の変化が最も大きかったものは、実施例2であり、次いで、実施例1であった。
【0163】
ここで、
図20のxy色度図に示す通り、青味が強い色の座標位置は、x値、y値の値が小さくなる方向であり、青味が低減されるということは、反対に、x値、y値の値が大きくなるということである。
【0164】
光波長選択フィルタA、B、第1光波長変換シートA、Bを配置した場合は、配置しなかった場合と比較して、x値、y値のどちらかが同じ値でどちらかが大きくなるか、両方が大きくなっており、すなわち青味が低減されており、照明装置の中で青味が強い部分近辺に光波長選択フィルタA、B、第1光波長変換シートA、Bを部分的に配置すれば、照明装置の色ムラを調整することができる。
【0165】
【表1】