特許第6787259号(P6787259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6787259
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】油泡低減構造
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20201109BHJP
   B01D 19/04 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   F16H57/04 F
   B01D19/04 Z
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-117086(P2017-117086)
(22)【出願日】2017年6月14日
(65)【公開番号】特開2019-2466(P2019-2466A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2019年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】曽根 康介
(72)【発明者】
【氏名】平井 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】東小薗 誠
(72)【発明者】
【氏名】嶋村 光裕
(72)【発明者】
【氏名】後藤 肇之
(72)【発明者】
【氏名】橋本 果奈
【審査官】 小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−185867(JP,A)
【文献】 実開平03−014363(JP,U)
【文献】 中国実用新案第204420072(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/04
B01D 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動変速装置内に配される油泡低減構造であって、
前記自動変速装置内を流通する油の油路に配されたフィルターを備え、
前記フィルターは、断面が多角形状をなす骨格の間に形成された空孔を有し、
前記油路には、複数の前記フィルターが、前記油の流通する方向に沿って並んで配されており、
複数の前記フィルターは、前記油の流通する方向について、上流側から下流側に並ぶ順番に、前記油路の内壁から突出する突出寸法が大きくなっている、
油泡低減構造。
【請求項2】
前記油路には前記油を流通させるポンプが配されており、
前記フィルターは前記油路のうち前記油の流通する方向について前記ポンプの上流側に配されている、請求項1に記載の油泡低減構造。
【請求項3】
前記自動変速装置内には、ワイヤーハーネスが配索された配線盤が配されており、
前記フィルターは前記配線盤に配設されている、請求項1または請求項2に記載の油泡低減構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示された技術は、自動変速装置内の油に含まれる油泡を低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の自動変速機の内部には、ATF(Automatic Transmission Fluid)等の油が流通されている。自動変速機内を油が流通する過程で、油に空気が巻き込まれて油泡が発生する場合がある。油泡は油の被膜によって覆われた空気なので、油泡が形成されると、油圧の調節が困難になるという問題が生じる。油泡内の空気が収縮することによって油に加えた圧力が減殺されてしまうためである。
【0003】
上記の問題を解決するため、特開2012−36986号公報には、自動変速装置に取り付けられるブリーザ室の壁に、突部が形成された構造が開示されている。この突部が油泡と衝突することにより油泡を消滅させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−36986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記の構成によると、突部が形成された壁から離れた領域を油が流通する場合には、この油に含まれた油泡を減少させることはできない。このため、効率よく油泡を低減させる技術が求められている。
【0006】
本明細書に開示された技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、効率よく油泡を低減させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示された技術は、自動変速装置内に配される油泡低減構造であって、前記自動変速装置内を流通する油の油路に配されたフィルターを備え、前記フィルターは、断面が多角形状をなす骨格の間に形成された空孔を有する。
【0008】
上記の構成によれば、油路に配されたフィルターによって、油泡が油から分離される。フィルターによって分離された油泡は、フィルターを構成する骨格と接触する。この骨格は断面が多角形状をなしているので、骨格の稜線部分と油泡とが接触することにより、油泡が破裂する。このように、本明細書に開示された技術によれば、油が、油路に配されたフィルターを通過する間に、油泡を効率的に低減させることができる。
【0009】
本明細書に開示された技術の実施態様としては以下の態様が好ましい。
【0010】
前記油路には前記油を流通させるポンプが配されており、前記フィルターは前記油路のうち前記油の流通する方向について前記ポンプの上流側に配されていることが好ましい。
【0011】
上記の構成によれば、ポンプの吸油口の上流側に配されたフィルターによって油泡を減少させることができる。これにより、ポンプの吸油口には油泡が減少された油が流入するので、ポンプによる油圧の制御を容易に行うことができる。
【0012】
前記油路には、複数の前記フィルターが、前記油の流通する方向に沿って並んで配されており、複数の前記フィルターは、前記油の流通する方向について、上流側から下流側に並ぶ順番に、前記油路の内壁から突出する突出寸法が大きくなっていることが好ましい。
【0013】
上記の構成によれば、まず、最も上流側に配されたフィルターによって、フィルターを通過した油に含まれる油泡を減少させることができる。このとき、最上流側のフィルターは、油路の内壁から突出する突出寸法が最も小さくなっているので、油路を流通する油には、最上流側のフィルターと通過しなかった部分が存在する。最上流側のフィルターを通過しなかった油においては、油泡は減じられていない。
【0014】
次に、上流から二番目に配されたフィルターを油が通過する場合に、最上流側に配されたフィルターの下流の領域においては油泡が減少しているので、二番目に配されたフィルターが油泡で目詰まりすることが抑制される。一方、最上流側のフィルターを通過しなかった油のうち二番目のフィルターを通過した油においては、油泡が低減される。
【0015】
このように、突出寸法の異なる複数のフィルターを油が通過することにより、順次、油泡が低減されると共に、これらのフィルターが油泡で目詰まりすることを抑制することができる。
【0016】
前記自動変速装置内には、ワイヤーハーネスが配索された配線盤が配されており、前記フィルターは前記配線盤に配設されていることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、上方からワイヤーハーネスに油が流下して油泡が発生した場合でも、ワイヤーハーネスが配索された配線盤にはフィルターが配されているので、フィルターによって効率的に油泡を低減させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本明細書に開示された技術によれば、油泡を効率よく低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1に係る配線ユニットを示す斜視図
図2】自動変速装置内における配線ユニットの配置を示す模式的側面図
図3】配線ユニットと、バルブボディと、ポンプと、を示す分解斜視図
図4】配線ユニットを示す平面図
図5図4におけるV−V線断面図
図6】フィルターを示す一部拡大図
図7図6におけるVII−VII線断面図
図8】実施形態2に係る油泡低減構造を示す断面図
図9】油泡低減構造を示す拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術に係る実施形態1を図1から図7を参照しつつ説明する。本明細書に開示された油泡低減構造40は、配線ユニット10と、配線ユニット10に配設されたフィルター31と、を備える。本実施形態に係る配線ユニット10は、車両(図示せず)に搭載される自動変速装置11に配設されている。以下の説明においては、Z方向を上方とし、Y方向を前方とし、X方向を右方として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略することがある。
【0021】
(自動変速装置11)
図2に示すように、配線ユニット10は、自動変速装置11の内部を循環する油12が上方から降りかかる位置に配されている。図2に示すように、本実施形態では、自動変速装置11を構成する一対のプーリー13と、一対のプーリー13の間に架け渡されたベルト14の下方の位置に配線ユニット10が配置されている
【0022】
自動変速装置11を構成するバルブボディ15には、複数(本実施形態では7つ)のソレノイドバルブ16が左右方向に並んで取り付けられている。ソレノイドバルブ16は略円筒形状をなしている。各ソレノイドバルブ16の上部には、機器側コネクタ17が配設されている。
【0023】
(ワイヤーハーネス18)
配線ユニット10はワイヤーハーネス18を備える。このワイヤーハーネス18は複数の電線19を備える。各電線19の端部には電線側コネクタ20が接続されている。電線側コネクタ20に設けられたロック部21が、機器側コネクタ17に設けられたロック受け部22に係合することにより、電線側コネクタ20が機器側コネクタ17に抜け止め状態で接続されるようになっている。
【0024】
(配線盤23)
バルブボディ15の上部には、配線盤23が、ねじ止め、ロック構造、接着等、公知の手法により固定されている。配線盤23には、ワイヤーハーネス18が配索されている。配線盤23は、合成樹脂、金属等、必要に応じて任意の材料を適宜に選択することができる。本実施形態に係る配線盤23は絶縁性の合成樹脂製とされる。
【0025】
配線盤23は、概ねプレート状をなしている。配線盤23の上面には、上方に開口する主配索溝24が左右方向に延びて設けられている。主配索溝24の右端部は閉塞されており、主配索溝24の左端部は左方に開口されている。
【0026】
配線盤23には、左右方向に並ぶと共に前方に延びる複数(本実施形態では7つ)の副配索溝25が、主配索溝24から分岐して形成されている。副配索溝25は上方に開口している。副配索溝25の後端部は主配索溝24と連通しており、副配索溝25の前端部は前方に開口している。
【0027】
各電線側コネクタ20の後端部から後方に導出された電線19は、副配索溝25に配索されると共に、主配索溝24において、他の電線側コネクタ20に接続された電線19と合流して配索されている。主配索溝24の左端部からは、複数の電線19が左方に導出されている。
【0028】
副配索溝25の右側壁の上端部には左方に突出する電線押さえ部26が設けられている。電線押さえ部26の左端部と、副配索溝25の左側壁との間には隙間が設けられており、この隙間から電線19を副配索溝25の中に押し込むことができるようになっている。この電線押さえ部26により、副配索溝25内に配索された電線19が、副配索溝25から外れることが抑制されるようになっている。
【0029】
主配索溝24の後壁及び前壁の上端部には、主配索溝24の内方に突出する一対の電線押さえ部27が設けられている。この電線押さえ部27により、主配索溝24内に配索された電線19が、主配索溝24から外れることが抑制されるようになっている。主配索溝24の後壁に設けられた電線押さえ部27は前方に突出しており、主配索溝24の前壁に設けられた電線押さえ部27は後方に突出している。一対の電線押さえ部27の間には隙間が設けられており、この隙間から電線19を主配索溝24の中に押し込むことができるようになっている。
【0030】
配線盤23の右端部寄りの位置には、下方に突出する集油部28が設けられている。集油部28は、配線盤23から下方に垂下した連結部29と、連結部29の下端部から後方に突出すると共に左右方向に貫通された筒部30と、を備える。筒部30は左右方向に延びる角筒状をなしている。筒部30の左側の開口縁には後述するフィルター31が配設されている。一方、筒部30の右端部は右方に開口されている。
【0031】
(フィルター31)
フィルター31は、シート状、又は板状をなしている。フィルター31は板面が上下方向に延びるように配されている。フィルター31には、フィルター31の左方と右方とを連通する複数の連通孔が形成されている。これにより、フィルター31に対して油12を左方から右方に流通させることにより、油12に含まれる油泡がフィルター31により分別されるようになっている。
【0032】
図6に示すように、フィルター31は、合成樹脂製又は金属製の骨格32の間に空孔34が形成されてなる。フィルター31を構成する合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、6,6-ナイロン等のポリアミド、などの任意の合成樹脂を必要に応じて適宜に選択できる。また、フィルター31を構成する金属としては、ステンレス鋼、ニッケル、クロム、ニッケル―クロム合金等、必要に応じて任意の材料から適宜に選択できる。フィルター31としては、例えば、セルメット(登録商標、住友電気工業製)を好適に用いることができる。
【0033】
図7に示すように、フィルター31は断面が多角形状をなす骨格32によって構成されてなる。本実施形態においては、骨格32は、概ね三角形状の断面形状を有している。このため、油12中の油泡は、フィルター31により濾過されるとともに、フィルター31を構成する骨格32の稜線部分33と接触することによって破裂させることができるようになっている。
【0034】
フィルター31は、筒部30と、接着、ねじ止め等の公知の手法により取り付けられていてもよく、また、フィルター31は筒部30と一体にインサート成型される構成としてもよい。
【0035】
(ポンプ35)
自動変速装置11には、油12を自動変速装置11内に流通させるためのポンプ35が配設されている。ポンプ35は、自動変速装置11内を流通する油12を吸入するための吸油口36を有する。ポンプ35の吸油口36は、集油部28左方に配されている。ポンプ35の吸油口36は右方に開口している。ポンプ35と吸油口36とは一体に形成されて、略直方体形状をなしている。ポンプ35は、吸油口36から吸入した油12を図示しない吐出口から吐出して、自動変速装置11内に流通させている。ポンプ35は、バルブボディ15にねじ止め等の公知の手法により固定されている。
【0036】
配線盤23とポンプ35とが組み付けられた状態では、ポンプ35の吸油口36と、筒部30の左端縁とが整合するように設定されている。これにより、油12の流通方向について、ポンプ35の吸油口36の上流側には、フィルター31が位置するようになっている。
【0037】
図5に示すように、筒部30の左端縁から油12が吸入されることにより、筒部30、フィルター31、及び、吸油口36の下流側にかけて、矢線Aで示す方向に沿って油12が流通する油路37が形成されている。換言すると、油路37にフィルター31が配設されている。
【0038】
(組み付け工程の一例)
続いて、本実施形態に係る配線ユニット10の組み付け工程の一例について説明する。配線ユニット10の組み付け工程は以下の記載に限定されない。
【0039】
複数の電線19の端部に端子金具(図示せず)を接続し、各端子金具を電線側コネクタ20のキャビティ(図示せず)内に収容する。
【0040】
絶縁性の合成樹脂材を射出成型することにより配線盤23を形成する。配線盤23の主配索溝24、及び副配索溝25に電線19を収容して、複数の電線19を配索する。配線盤23の副配索溝25の前端部から、電線側コネクタ20が接続された電線19を導出する。また、配線盤23の主配索溝24の左端部から、複数の電線19を導出する。
【0041】
ポンプ35を、バルブボディ15に固定する。次いで、配線盤23をバルブボディ15の上部に固定する。続いて、電線側コネクタ20を、機器側コネクタ17に後方から接続する。これにより、配線ユニット10の組み付け工程が完了する。
【0042】
(実施形態の作用効果)
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態は、自動変速装置11内に配される油泡低減構造40であって、自動変速装置11内を流通する油12の油路37に配されたフィルター31を備え、フィルター31は、断面が多角形状をなす骨格32の間に形成された空孔34を有する。
【0043】
上記の構成によれば、油路37に配されたフィルター31によって、油泡が油12から分離される。フィルター31によって分離された油泡は、フィルター31を構成する骨格32と接触する。この骨格32は断面が多角形状をなしているので、骨格32の稜線部分33と油泡とが接触することにより、油泡が破裂する。このように、実施形態によれば、油12が、油路37に配されたフィルター31を通過する間に、油泡を効率的に低減させることができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、油路37には油12を流通させるポンプ35が配されており、フィルター31は油路37のうち油12の流通する方向についてポンプ35の上流側に配されている。
【0045】
上記の構成によれば、ポンプ35の吸油口36の上流側に配されたフィルター31によって油泡を減少させることができる。これにより、ポンプ35の吸油口36には油泡が減少された油12が流入するので、ポンプ35による油圧の制御を容易に行うことができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、自動変速装置11内には、ワイヤーハーネス18が配索された配線盤23が配されており、フィルター31は配線盤23に配設されている。
【0047】
上記の構成によれば、上方からワイヤーハーネス18に油12が流下して油泡が発生した場合でも、ワイヤーハーネス18が配索された配線盤23にはフィルター31が配されているので、フィルター31によって効率的に油泡を低減させることができる。
【0048】
<実施形態2>
次に、実施形態2について、図8及び図9を参照しつつ説明する。本実施形態に係る油泡低減構造60は、筒部50と、筒部50に配設された第1フィルター51、第2フィルター52、及び第3フィルター53と、を備える。筒部50は油路37の一部を構成している。
【0049】
筒部50には、油12の流通方向(矢線Aで示す方向)の上流側から、第1フィルター51、第2フィルター52、及び第3フィルター53が、筒部50の上壁から下方に延びて形成されている。第1フィルター51、第2フィルター52、及び第3フィルター53は、間隔を空けて、油12の流通方向に沿って並んで配されている。
【0050】
第1フィルター51の、筒部50の上壁からの突出寸法L1と、第2フィルター52の、筒部50の上壁からの突出寸法L2と、第3フィルター53の、筒部50の上壁からの突出寸法L3との大小関係は、L1<L2<L3となっている。換言すると、第1フィルター51、第2フィルター52、及び第3フィルター53の、筒部50の上壁からの突出寸法は、油12の流通方向について上流側から下流側に並ぶ順番で、大きくなっている。
【0051】
第3フィルター53は、筒部50の左端部の開口部分に対応する大きさに形成されている。これにより、筒部50を流通する油12は、第3フィルター53を必ず通過するようになっている。
【0052】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0053】
本実施形態によれば、まず、最も上流側に配された第1フィルター51によって、第1フィルター51を通過した油12に含まれる油泡を減少させることができる。このとき、第1フィルター51は、筒部50の上壁から突出する突出寸法L1が最も小さくなっているので、油路37を流通する油には、第1フィルター51と通過しなかった部分が存在する。第1フィルター51を通過しなかった油12においては、油泡は減じられていない。
【0054】
次に、上流から二番目に配された第2フィルター52を油12が通過する場合に、最上流側に配された第1フィルター51の下流の領域においては油泡が減少しているので、二番目に配された第2フィルター52が油泡で目詰まりすることが抑制される。一方、第1フィルター51を通過しなかった油12のうち第2フィルター52を通過した油12においては、油泡が低減される。
【0055】
次に、上流から三番目に配された第3フィルター53を油12が通過する場合に、第1フィルター51、及び第2フィルター52の下流の領域においては油泡が減少しているので、三番目に配された第3フィルター53が油泡で目詰まりすることが抑制される。一方、第1フィルター51及び第2フィルター52を通過しなかった油12は、必ず第3フィルター51を通過するようになっており、このとき、第3フィルター51によって、油12から油泡が低減される。
【0056】
これにより、油12から油泡が低減されると共に、第1フィルター51、第2フィルター52、及び第3フィルター53が油泡で目詰まりすることを抑制することができる。
【0057】
<他の実施形態>
本明細書に開示された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に開示された技術の技術的範囲に含まれる。
【0058】
(1)本実施形態においては、油路37のうちポンプ35の上流側にフィルター31が配される構成としたが、これに限られず、フィルター31は油路37の任意の位置に配設することができる。
【0059】
(2)本実施形態においては、7つのソレノイドバルブ16が並んで配される構成としたが、これに限られず、ソレノイドバルブ16の個数は1個、2個から6個、又は7個以上であってもよく、また、一列に並んでいなくてもいい。
【0060】
(3)本実施形態においては、フィルター31は配線盤23に配設される構成としたが、これに限られず、フィルター31は、油12の流通経路内であれば任意の位置に配設することができる。
【0061】
(4)実施形態2においては、複数のフィルターは筒部の上壁から下方に延びる構成としたが、これに限られず、複数のフィルターは、筒部の側壁、又は、底壁から筒部の内方に突出する構成としてもよい。
【0062】
(5)実施形態2においては、3つのフィルターが筒部内に配される構成としたが、これに限られず、2つ、又は4つ以上のフィルターが筒部内に配される構成としてもよい。
【0063】
(6)実施形態2においては、複数のフィルターは間隔を空けて並んで配される構成としたが、これに限られず、油12の流通方向に沿って、複数のフィルターが互いに接触した状態で並んで配される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0064】
11:自動変速装置
12:油
18:ワイヤーハーネス
23:配線盤
31:フィルター
32:骨格
34:空孔
35:ポンプ
37:油路
40:油泡低減構造
51:第1フィルター
52:第2フィルター
53:第3フィルター
L1:第1フィルターの突出寸法
L2:第2フィルターの突出寸法
L3:第3フィルターの突出寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9