特許第6787323号(P6787323)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6787323
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】入力装置、センサおよび電気機器
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/00 20060101AFI20201109BHJP
   H01H 36/00 20060101ALI20201109BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20201109BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   H01H13/00 B
   H01H36/00 J
   G06F3/041
   G06F1/16 312E
   G06F1/16 313Z
【請求項の数】16
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-537197(P2017-537197)
(86)(22)【出願日】2016年7月22日
(86)【国際出願番号】JP2016003425
(87)【国際公開番号】WO2017037995
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2019年7月16日
(31)【優先権主張番号】特願2015-175224(P2015-175224)
(32)【優先日】2015年9月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(72)【発明者】
【氏名】高 義輝
(72)【発明者】
【氏名】小泉 剛
(72)【発明者】
【氏名】川畑 智幹
(72)【発明者】
【氏名】海老原 宗毅
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 聡
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−216075(JP,A)
【文献】 特開2011−170659(JP,A)
【文献】 特開2008−300247(JP,A)
【文献】 特開2015−076386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00
G06F 1/16
G06F 3/041
H01H 36/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に設けられた静電容量式のセンサと
を備え、
前記センサは、
可撓性を有する導電層と、
前記導電層に対向して設けられたセンシング部の2つの列と、
前記センサの厚さ方向から見て2つの列間に設けられ、前記導電層と前記センシング部の2つの列との間を離間する構造体と
を備える入力装置。
【請求項2】
前記センサを前記筐体に押し当てる固定部材をさらに備える請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記センサと前記固定部材との間に設けられた支持層と、
前記固定部材と前記支持層との間に設けられた弾性層と
をさらに備える請求項1に記載の入力装置。
【請求項4】
前記導電層上に設けられた第1凸部および第2凸部をさらに備え
前記センサの厚さ方向から見て前記第1凸部、前記第2凸部はそれぞれ、前記2つの列と重なる位置に設けられている請求項1に記載の入力装置。
【請求項5】
前記構造体は、前記2つの列間に延設されている請求項1に記載の入力装置。
【請求項6】
前記列と前記導電層との間は、空間である請求項1に記載の入力装置。
【請求項7】
前記空間は、前記構造体により分断されている請求項6に記載の入力装置。
【請求項8】
前記導電層に対向するととともに、前記センシング部の2つ列の間に設けられたセンシング部の列をさらに備える請求項1に記載の入力装置。
【請求項9】
前記構造体を含む構造層の側方の部分が開放されている請求項1に記載の入力装置。
【請求項10】
前記センシング部は、前記センシング部の列の方向に延設された電極線と、該電極線と前記センサの厚さ方向に重なるように設けられ、線状の電極要素を含む電極体とにより構成されている請求項1に記載の入力装置。
【請求項11】
前記センサは、長尺状を有するシートであり、
前記センシング部の列は、前記センサの長手方向に向かって延びている請求項1に記載の入力装置。
【請求項12】
前記筐体は、湾曲可能である請求項1に記載の入力装置。
【請求項13】
前記筐体は、前記センサを収容する凹部を有する請求項1に記載の入力装置。
【請求項14】
前記センシング部の静電容量の変化に基づき、前記筐体の押圧を検出する制御部をさらに備える請求項1に記載の入力装置。
【請求項15】
可撓性を有する導電層と、
前記導電層に対向して設けられたセンシング部の2つの列と、
前記センサの厚さ方向から見て2つの列間に設けられ、前記導電層と前記センシング部の2つの列との間を離間する構造体と
を備える静電容量式のセンサ。
【請求項16】
筐体と、
前記筐体に設けられた静電容量式のセンサと
を備え、
前記センサは、
可撓性を有する導電層と、
前記導電層に対向して設けられたセンシング部の2つの列と、
前記センサの厚さ方向から見て2つの列間に設けられ、前記導電層と前記センシング部の2つの列との間を離間する構造体と
を備える電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、入力装置、センサおよび電気機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、入力操作を静電的に検出することが可能な感圧センサは、モバイルPC(Personal Computer)やタブレットPCなどの様々な電気機器に広く用いられている。電気機器用の感圧センサとして、容量素子を備え、入力操作面に対する操作子の操作位置と押圧力とを検出することが可能な構成を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−170659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本技術の目的は、筐体の押圧を検出することができる入力装置、センサおよび電気機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するために、第1の技術は、筐体と、筐体に設けられた静電容量式のセンサとを備え、センサは、可撓性を有する導電層と、導電層に対向して設けられたセンシング部の2つの列と、センサの厚さ方向から見て2つの列間に設けられ、導電層とセンシング部の2つの列との間を離間する構造体とを備える入力装置である。
【0006】
第2の技術は、可撓性を有する導電層と、導電層に対向して設けられたセンシング部の2つの列と、センサの厚さ方向から見て2つの列間に設けられ、導電層とセンシング部の2つの列との間を離間する構造体とを備える静電容量式のセンサである。
【0007】
第3の技術は、筐体と、筐体に設けられた静電容量式のセンサとを備え、センサは、可撓性を有する導電層と、導電層に対向して設けられたセンシング部の2つの列と、センサの厚さ方向から見て2つの列間に設けられ、導電層とセンシング部の2つの列との間を離間する構造体とを備える電気機器である。
【0008】
第4の技術は、複数の列をなすセンシング部から出力された静電容量の変化がしきい値を超えているか否かを判断し、静電容量の変化がしきい値を超えている場合には、静電容量の変化に基づき、センサ上の領域と該領域外のいずれが押圧されたかを判断することを含む検出方法である。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本技術によれば、筐体の押圧を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1Aは、電気機器のセンシングエリアが押圧されている状態を示す平面図である。図1Bは、電気機器のセンシングエリア外が押圧されている状態を示す平面図である。
図2図2Aは、センサの構成の一例を示す平面図である。図2Bは、図2AのIIB−IIB線に沿った断面図である。図2Cは、図2AのIIC−IIC線に沿った断面図である。
図3図3Aは、センシング部の配列の一例を示す平面図である。図3Bは、図3Aの各センシング部の静電容量の変化を示すグラフである。
図4図4Aは、本技術の第1の実施形態に係る電気機器の外観の一例を示す表面図である。図4Bは、本技術の第1の実施形態に係る電気機器の外観の一例を示す側面図である。図4Cは、本技術の第1の実施形態に係る電気機器の外観の一例を示す裏面図である。
図5図5は、本技術の第1の実施形態に係る電気機器の構成の一例を示すブロック図である。
図6図6Aは、センシングエリアの構成の一例を示す平面図である。図6Bは、図6AのVIB−VIB線に沿った断面図である。
図7図7Aは、センサのセンシング面の一例を示す平面図である。図7Bは、センサの側面の一例を示す側面図である。
図8図8Aは、図6Aのセンシングエリアを拡大して表す平面図である。図8Bは、図8AのVIIIB−VIIIB線に沿った断面図である。図8Cは、図8AのVIIIC−VIIIC線に沿った断面図である。
図9図9は、センサの構成の一例を示す断面図である。
図10図10Aは、第1、第2電極の構成の一例を示す平面図である。図10Bは、図10Aに示した第1、第2電極とセンシング部との関係を示す図表である。
図11図11は、図10Aに示したセンシング部の構成の一例を示す平面図である。
図12図12Aは、センシング部の配列の一例を示す平面図である。図12Bは、図12Aの各センシング部の静電容量の変化を示すグラフである。
図13図13は、コントローラICの押圧検出の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図14図14A図14B図14C図14Dはそれぞれ、本技術の第1の実施形態の変形例におけるセンシングエリアの構成例を示す断面図である。
図15図15A図15B図15Cはそれぞれ、本技術の第1の実施形態の変形例におけるセンシングエリアの構成例を示す断面図である。
図16図16A図16B図16Cはそれぞれ、本技術の第1の実施形態の変形例におけるセンシングエリアの構成例を示す断面図である。
図17図17は、本技術の第2の実施形態に係る電気機器が有するセンシングエリアの構成の一例を示す断面図である。
図18図18Aは、センシング部の配列の一例を示す平面図である。図18Bは、図18Aの各センシング部の静電容量の変化を示すグラフである。
図19図19は、コントローラICの押圧検出の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図20図20は、本技術の第3の実施形態に係る電気機器の構成の一例を示す平面図である。
図21図21は、コントローラICの押圧検出の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図22図22は、コントローラICの押圧検出の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本技術の実施形態について図面を参照しながら以下の順序で説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
1 第1の実施形態(電気機器の例)
1.1 概要
1.2 電気機器の外観
1.3 電気機器の構成
1.4 センシングエリアの構成
1.5 センサの構成
1.6 センサの検出動作
1.7 押圧検出の動作
1.8 効果
1.9 変形例
2 第2の実施形態(電気機器の例)
2.1 電気機器の構成
2.2 押圧検出の動作
2.3 効果
3.第3の実施形態(電気機器の例)
3.1 電気機器の構成
3.2 押圧検出の動作
3.3 効果
3.4 変形例
【0012】
<1 第1の実施形態>
[1.1 概要]
まず、本発明者らが検討している電気機器の概要について説明する。本発明者らは、図1A図1Bに示すように、湾曲可能な筐体120の表面の押圧を検出する機能(以下「センシング機能」という。)を有する電気機器110を検討している。この電気機器110は、筐体120の内側面に感圧式のセンサ130a、130bを備えている。およそセンサ130a、130b上のエリア(領域)にセンシングエリア130Ra、130Rbを設定されている。
【0013】
本発明者らは、センサ130a、130bとしては、以下のものを用いることを検討している。但し、センサ130bはセンサ130aと同様であるので、センサ130aのみについて説明する。センサ130aは、図2A図2Cに示すように、導電層を含むリファレンス電極層(以下「REF電極層」という。)131と、接着層132と、センサ層133と、構造層134と、導電層を含むREF電極層135とを備える構成を有するものを用いることを検討している。REF電極層131、135はグランド電位に接続される。
【0014】
構造層134は、周縁構造体としての枠体134aと、複数の構造体134bとを備える。枠体134aおよび複数の構造体134bは、センサ層133とREF電極層135との間に設けられ、センサ層133とREF電極層135との間を離間する。
【0015】
センサ層133は、静電容量方式の複数のセンシング部(以下「ノード」という。)NDを含み、ノードNDは第1、第2電極133EX、133EYにより構成されている。なお、以下の説明において、各ノードNDを区別して記載する場合には、ノードNn(但し、nは1以上の整数である。)と記載する。
【0016】
ノードN1、N2、・・・、N9、N10は、図3Aに示すように、センサ130aの長手方向に等間隔で一列に配置されている。これらのノードノードN1、N2、・・・、N9、N10が、センサ層133とREF電極層135との間の距離に変化を静電容量の変化(電圧信号の変化)として検出し、FPC(Flexible printed circuits)114aを介してPCBA(Printed Circuit Board Assembly)113aに出力する。PCBA113aに搭載されたコントローラ(Integrated Circuit)IC112aは、センサ130aから供給される静電容量の変化に基づき、センシングエリア130Raの押圧の有無を判断し、その結果を電気機器のホスト(本体)に通知する。具体的には例えば、押圧が検出された場合には、押圧の検出をホストに通知するための信号(以下「押圧検出信号」という。)を“ON”する。
【0017】
ところで、センシング機能のユーザビリティ(使いやすさなど)を考慮すると、およそセンサ130a上に設定されたセンシングエリア130Raをユーザが意図して押圧した場合にのみ、コントローラIC112aがセンシングエリア130Raの押圧を検出し、その結果をホストに通知することが好ましい。
【0018】
しかしながら、センシングエリア130Raが押圧された場合(図1A図3A図3B参照)のみならず、そのセンシングエリア130Ra外が押圧された場合(図1B図3A図3B参照)にも、コントローラIC112aがセンシングエリア130Raの押圧を検出してしまう場合がある。なお、図1A図1B図3A中、位置P1は、センシングエリア130Ra内を押圧したときの当該押圧の中心位置(最も変位する位置)を示し、位置P2は、センシングエリア130Ra外を押圧したときの当該押圧の中心位置(最も変位する位置)を示す。また、鎖線で示したエリアC1、C2は、押圧によるおよその変形範囲を模式的に示すものである。以下の説明においても、位置P1、P2、エリアC1、C2は上記と同様のことを意味するものとする。
【0019】
上記誤検出は、以下の理由による。コントローラIC112aは、センサ130aから供給される静電容量の変化がしきい値Tを超えているか否かに基づき、センシングエリア130Raの押圧を検出する。一般的に電気機器110などの筐体120は、剛性が高く、押圧により湾曲する特性を有するため、押圧の仕方によっては、図1B図3Aに示すように、およそセンシングエリア130Raから外れた位置を押圧した場合にも、湾曲によってセンシングエリア130Raの位置まで変形が及んでしまう場合がある。この場合には、コントローラICが、センサ130aからしきい値Tを超える静電容量の変化を受け取るため、センシングエリア130Raが押圧されたと誤検出してしまうことになる(図3A図3BのノードN2、N6参照)。
【0020】
そこで、本発明者らは、上述のような誤検出を減らすために、センシングエリアの押圧とセンシングエリア外の押圧とを判断可能な静電容量の変化(具体的には静電容量の変化の分布)を出力できるセンサについて鋭意検討を行った。その結果、図7図8A図8C図9に示す構成を有するセンサ30aを見出すに至った。すなわち、ノードNDの2つの列を含むセンサ層32と、センサ30aの厚さ方向から見て2つの列間に設けられ、REF電極層34とセンサ層32との間を離間する構造体33aとを備えるセンサ30aを見出すに至った。
【0021】
また、本発明者らは、上記2つの列を構成する各ノードNDから出力される静電容量の変化に基いて、センシングエリアの押圧を検出する検出方法についても鋭意検討を行った。その結果、2つの列を構成する各ノードNDから出力された静電容量の変化がしきい値を超えているか否かを判断し、静電容量の変化がしきい値を超えている場合には、2つの列の静電容量の変化の差がしきい値を超えているか否かに基づき、センシングエリアの押圧とセンシングエリア外の押圧とを判断する検出方法を見出すに至った。なお、このセンシングエリアの押圧の検出方法の詳細については、後述の“1.7 押圧検出の動作”にて説明する。
【0022】
[1.2 電気機器の外観]
図4A図4Cに示すように、本技術の第1の実施形態に係る電気機器10は、いわゆるタブレット型コンピュータであり、剛性を有し、湾曲可能な筐体20を備え、この筐体20に表示装置11PLやカメラモジュール11CMなどが収容されている。表示装置11PLは電気機器10の表面10Sa側に設けられ、それとは反対側の背面10Sb側にカメラモジュール11CMが設けられている。
【0023】
電気機器10の表面10Saおよび背面10Sbは、それらの面を垂直な方向からみると、長辺と短辺とを持つ矩形状を有している。電気機器10の背面10Sbの長手方向の両端部にはそれぞれセンシングエリア30Ra、30Rbが設けられている。センシングエリア30Ra、30Rbは、背面10Sbの周縁、具体的には背面10Sbの短辺に沿って設けられている。センシングエリア30Ra、30Rbは、背面10Sbに垂直な方向から見ると、例えばほぼ矩形状を有している。ユーザが電気機器10の長手方向の両端部を把持すると、センシングエリア30Ra、30Rbが指などで押圧されて、電気機器10が所定の動作を実行する。
【0024】
筐体20は、例えば、金属、木材または高分子樹脂などにより構成されている。金属としては、例えば、アルミニウム、チタン、亜鉛、ニッケル、マグネシウム、銅、鉄などの単体、またはこれらを2種以上含む合金が挙げられる。合金の具体例としては、ステンレス鋼(Stainless Used Steel:SUS)、アルミニウム合金、マグネシウム合金、チタン合金などが挙げられる。
【0025】
筐体20は、電気機器の表面10Sa側を構成する第1筐体21と、電気機器の背面10Sb側を構成する第2筐体22とを備える。第1筐体21は当該第1筐体21の中央から周縁部付近まで広がる大きな開口部21aを有し、この開口部21aから表示装置11PLの表示部が露出されている。表示装置11PL上には、タッチパネルが設けられている。第2筐体22は角部の近傍に小さな開口部22aを有し、この開口部22aからカメラモジュール11CMのレンズ部分が露出されている。
【0026】
表示装置11PLとしては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)ディスプレイなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。タッチパネルとしては、例えば、静電容量方式タッチパネルなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0027】
[1.3 電気機器の構成]
図5に示すように、本技術の第1の実施形態に係る電気機器10は、電気機器10の本体であるホスト11と、センサ30a、30bと、制御部としてのコントローラIC12a、12bとを備える。本技術では、筐体20とセンサ30a、30bとにより入力装置が構成され、入力装置はコントローラIC12a、12bなどをさらに備えていてもよい。
【0028】
センサ30a、30bは、いわゆる静電容量式の感圧センサである。センサ30a、30bはそれぞれ、センシングエリア30Ra、30Rbの押圧を静電容量の変化としてコントローラIC12a、12bに供給する。
【0029】
コントローラIC12a、12bはそれぞれ、センサ30a、30bから供給される静電容量の変化(具体的には静電容量の変化の分布)に基づき、センシングエリア30Ra、30Rbの押圧を検出し、その検出結果をホスト11に通知する。具体的には、押圧が検出された場合には、ホスト11に出力する押圧検出信号を“ON”にし、押圧が検出されない場合には、ホスト11に出力する押圧検出信号を“OFF”にする。
【0030】
ホスト11は、上述の表示装置11PLやカメラモジュール11CMなどを備え、表示装置11PL上に設けられたタッチパネルの操作に応じて、各種の処理を実行する。例えば、ホスト11は、表示装置11PLに対する画像や文字情報の表示や、表示装置11PLに表示されたカーソルの移動などの処理を実行する。また、ホスト11は、カメラモジュール11CMによる静止画や動画の撮影などを実行する。
【0031】
ホスト11は、コントローラIC12a、12bから通知される押圧の検出結果に基づき、電気機器10の動作を制御する。例えば、押圧の検出が通知された場合には、電気機器10のスリープモード(省エネモード)を解除する。一方、押圧の検出が通知されない場合には、電気機器10のスリープモードを維持する。
【0032】
[1.4 センシングエリアの構成]
図6A図6Bに示すように、電気機器10の背面10Sb側を構成する第2筐体22は、板状の主面部22PLと、その周縁に設けられた周壁部22WAとを備える。第2筐体22の内側面22SIは、その内側面22SIに垂直な方向から見ると、長辺と短辺とを持つ矩形状を有している。
【0033】
第2筐体22は、センシングエリア30Ra、30Rbの裏側の位置にそれぞれ凹部23a、23bを有している。凹部23a、23bは、内側面22SIの長手方向の両端部にそれぞれ設けられている。凹部23a、23bはそれぞれ、内側面22SIの短手方向、すなわち内側面22SIの短辺沿って延設されている。凹部23a、23bの底面は、平面状を有している。
【0034】
凹部23aにはセンサ30aが収容され、収容されたセンサ30aは固定部材としての固定プレート41により凹部23a内に保持される。同様に、凹部23bにはセンサ30bが収容され、収容されたセンサ30bは固定プレート41により凹部23b内に保持される。
【0035】
凹部23a、23bの底面における第2筐体22の厚さD(図8B図8C参照)は、センシングエリア30Ra、30Rbの検出感度向上の観点から薄いことが好ましい。凹部23a、23bの底面における第2筐体22の厚さDに対する凹部23a、23bの幅Wの比率(W/D)は、好ましくは20以上、より好ましくは23以上である。比率(W/D)が20以上であると、センシングエリア30Ra、30Rbの検出感度を向上できる。
【0036】
センサ30a、30bはそれぞれ、FPC14a、14bを介してPCBA13a、13bに電気的に接続されている。PCBA13a、13bには、上述のコントローラIC12a、12bが搭載されている。
【0037】
(センサ)
センシングエリア30Ra、30Rbの構成は同様であるので、以下ではセンシングエリア30Raについてのみ説明する。図7A図7Bに示すように、センサ30aは、センシング面(第1面)30Saと裏面(第2面)30Sbとを有する長尺状のシートであり、センシング面30Saの押圧(入力操作)を静電的に検出することが可能である。センサ30aは、センシング面30Saに垂直な方向から見ると、細長い矩形状を有している。センシング面30Saには、センサ30aの長手方向に延設された2つの凸部(第1、第2凸部)30TP、30TPが所定の間隔離して設けられている。凸部30TP、30TPは、センサ30aの長手方向に連続的に延設されたものであってもよいし、センサ30aの長手方向に不連続的に延設されたものであってもよい。また、凸部30TP、30TPは、複数の構造体がセンサ30aの長手方向に配列されたものであってもよい。
【0038】
図8A図8Cに示すように、センサ30aは、センシング面30Saと凹部23aの底面23Sとが対向するように凹部23aに収容されている。センシング面30Saは、凸部30TPを介して凹部23aの底面23Sに接している。
【0039】
センサ30aは、複数のノードNDを有している。ノードNDは、相互キャパシタンス方式の容量素子である。複数のノードNDは、センサ30aの長手方向に向かって2つの列を構成するように配列されている。センサ30aの長手方向におけるノードND間の間隔は、通常は等間隔である。但し、センサ30aに求められる特性によっては、ノードND間の間隔が非等間隔であってもよい。凸部30TPは、センサ30aの厚さ方向からみてノードNDに重なるように設けられていることが好ましい。センシングエリア30Raの検出感度を向上できるからである。
【0040】
(固定プレート)
図8A図8Cに示すように、固定プレート41は、その一方の面に設けられた接着層42を介して凹部23aの周縁部に固定されている。固定プレート41は、センサ30aを第2筐体22の内側面22SI、より具体的には凹部23aの底面23Sに押し当てるように固定することが好ましい。センシングエリア30Raの検出感度を向上できるからである。なお、図8A図8Cでは、1つの固定プレート41によりセンサ30a、30bがそれぞれ支持される例が示されているが、複数の固定プレート41によりセンサ30aが支持されるようにしてもよい。また、固定プレート41は、接着層42に代えて、または接着層42と共に、複数のネジ部材により凹部23aの周縁部に固定されていてもよい。
【0041】
固定プレート41は、例えば、高分子樹脂または金属により構成されている。固定プレート41が、高分子樹脂層と金属層との積層構造を有していてもよい。
【0042】
[1.5 センサの構成]
図8B図8C図9に示すように、センサ30aは、REF電極層31と、センサ層32と、構造層33と、REF電極層34とを備える。以下では、センサ30aの構成要素(構成部材)の両主面のうち、センシング面30Saの側となる主面を表面といい、裏面30Sbの側となる主面をそれと同様に裏面ということがある。
【0043】
センサ層32の裏面30Sbの側にREF電極層31が設けられ、センサ層32のセンシング面30Saの側にREF電極層34が設けられている。このようにREF電極層31、34をセンサ層32の両面側に設けることにより、センサ30a内に外部ノイズ(外部電場)が入り込むのを抑制することができる。REF電極層31とセンサ層32とは接着層35を介して貼り合わされている。センサ層32の表面とREF電極層34の裏面との間に構造層33が設けられている。
【0044】
(REF電極層)
REF電極層31は、センサ30aの裏面30Sbを構成している。REF電極層34は、センサ30aのセンシング面30Saを構成している。REF電極層31、34は、グランド電位に接続される。REF電極層31は、剛性または可撓性を有する導電性基材であり、図9に示すように、基材31aと、この基材31aの裏面に設けられた導電層31bとを備える。REF電極層31は、基材31aの側がセンサ層32の裏面に対向するように設けられている。REF電極層31は、例えば、センサ層32およびREF電極層34などよりも高い曲げ剛性を有し、センサ30aの固定プレートとして機能してもよい。一方、REF電極層34は、可撓性を有する導電性基材であり、図9に示すように、基材34aと、この基材34aの裏面に設けられた導電層34bとを備える。REF電極層34は、センサ30aのセンシング面30Saの押圧に応じて変形可能である。REF電極層34は、導電層34bの側がセンサ層32の表面に対向するように設けられている。
【0045】
基材31a、34aは、例えば、フィルム状または板状を有する。ここで、フィルムには、シートも含まれるものとする。基材31a、34aの材料としては、例えば、高分子樹脂またはガラスを用いることができる。
【0046】
高分子樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリイミド(PI)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(PE)、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン(PP)、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、環状オレフィンポリマー(COP)、ノルボルネン系熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0047】
導電層31b、34bは、電気的導電性を有するものであればよく、例えば、無機系導電材料を含む無機導電層、有機系導電材料を含む有機導電層、無機系導電材料および有機系導電材料の両方を含む有機−無機導電層などを用いることができる。
【0048】
無機系導電材料としては、例えば、金属、金属酸化物などが挙げられる。ここで、金属には、半金属が含まれるものと定義する。金属としては、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛などの金属、またはこれらの合金などが挙げられるが、これに限定されるものではない。金属酸化物としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、ガリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛、酸化亜鉛−酸化錫系、酸化インジウム−酸化錫系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0049】
有機系導電材料としては、例えば、炭素材料、導電性ポリマーなどが挙げられる。炭素材料としては、例えば、カーボンブラック、炭素繊維、フラーレン、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル、ナノホーンなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。導電性ポリマーとしては、例えば、置換または無置換のポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、およびこれらから選ばれる1種または2種からなる(共)重合体などを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0050】
なお、REF電極層31、34は、基材31a、34aを備えず、導電層31b、34bのみにより構成されていてもよい。この場合、REF電極層31、34は金属板であってもよい。また、センサ30aの裏面側に設けられるREF電極層31を省略するようにしてもよい。この場合、筐体20内にREF電極層を別途設け、このREF電極層がセンサ30aの裏面側に位置するようにすることが好ましい。
【0051】
(接着層)
接着層35は、例えば、絶縁性を有する接着剤または両面接着テープにより構成される。接着剤としては、例えば、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤およびウレタン系接着剤などからなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。ここでは、粘着(pressure sensitive adhesion)は接着(adhesion)の一種と定義する。この定義に従えば、粘着層は接着層の一種と見なされる。
【0052】
(センサ層)
センサ層32は、REF電極層31、34の間に設けられ、センシング面30Saの側となるREF電極層34との距離の変化を静電容量の変化として検出し、コントローラIC12aに出力する。具体的には、センサ層32は、2つの列を構成する複数のノードNDを含み、この複数のノードNDが、センサ層32とREF電極層31と間の距離の変化を静電容量の変化として検出し、コントローラIC12aに出力する。
【0053】
センサ層32は、静電容量式のセンサ層であり、図9に示すように、基材32aと、基材32aの裏面に設けられた複数本の第1電極(センス電極)32EYと、これらの第1電極32EYを覆う絶縁層32bと、基材32aの表面側に設けられた接着層32cと、この接着層32cを介して基材32aの表面に貼り合わされた基材32dと、この基材32dの裏面側に設けられた複数本の第2電極(パルス電極)32EXとを備える。ノードNDは、センサ30aの厚さ方向から見て第1電極32EYと第2電極32EXとが重なる部分または交差する部分で構成されている。
【0054】
以下、図10A図10Bを参照して、第1、第2電極32EY、33EXの構成の一例について説明する。ここでは、20個のノードNDが、4本の第1電極32EYと17本の第2電極32EXとの重なり部分により構成される例について説明する。但し、図10Aでは、4本の第1電極32EYをそれぞれ区別して示すために、符号“32EY”に代えて符号“Y0、Y1、Y2、Y3”を用いて記載している。同様に、17本の第2電極32EXをそれぞれ区別して示すために、符号“32EX”に代えて符号“X0、X1、・・・、X15、Y16”を用いて記載している。
【0055】
第1電極Y0、Y1が所定の間隔離して並行に配置されている。第2電極X0、X1、X3、X4は、並行に配置された第1電極Y0、Y1間の領域に引き回された後、第1電極Y0に交差されて当該領域から引き出されている。第2電極X4、X5、X6、X7、X8は、並行に配置された第1電極Y0、Y1間の領域に引き回された後、第1電極Y1に交差されて当該領域から引き出されている。
【0056】
第1電極Y2、Y3が所定の間隔離して並行に配置されている。第2電極X8、X9、X10、X11、X12は、並行に配置された第1電極Y2、Y3間の領域に引き回された後、第1電極Y2に交差されて当該領域から引き出されている。第2電極X12、X13、X14、X15、X16は、並行に配置された第1電極Y2、Y3間の領域に引き回された後、第1電極Y3に交差されて当該領域から引き出されている。
【0057】
上述のように、第2電極X0、X1、・・・・、X15、X16を第1電極Y0、Y1間の領域、および第1電極Y2、Y3間の領域に引き回すように配線しているので、第2電極X0、X1、・・・・、X15、X16を第1電極Y0、Y1間の外側の領域、および第1電極Y2、Y3間の外側の領域に引き回すように配線する場合に比べて配線に必要なスペースを縮小化することができる。
【0058】
第1電極Y0と第2電極X0、X1、X3、X4との重なり部分により、ノードN1、N2、N3、N4、N5が構成されている。第1電極Y1と第2電極X4、X5、X6、X7、X8との重なり部分により、ノードN11、N12、N13、N14、N15が構成されている。第1電極Y2と第2電極X8、X9、X10、X11、X12との重なり部分により、ノードN16、N17、N18、N19、N20が構成されている。第1電極Y3と第2電極X12、X13、X14、X15、X16との重なり部分により、ノードN6、N7、N8、N9、N10が構成されている。
【0059】
図11に示すように、第1電極32EYは、センサ30aの長手方向に延設された直線状の2本の電極線32EYaを備える。2本の電極線32EYaは、並行に設けられ、隣り合う電極線32EYa間は、接続部32EYbにより電気的に接続されている。これにより、平行して設けられた2本の電極線32EYaのうち一方が断線しても、センサ30aとしての機能が維持される。したがって、センサ30aの耐久性が向上する。
【0060】
第2電極32EXは、線状の電極要素を含む電極体32EXaを備える。電極体32EXaは、例えば櫛歯状、梯子状または網目状を有する。電極体32EXaは、センサ30aの厚さ方向に電極線32EYaと重なるように設けられている。ノードNDは、電極線32EYaと電極体32EXaとの重なり部分または交差部分で構成されている。
【0061】
基材32a、32dは、上述の基材31a、34aと同様である。
【0062】
絶縁層32bの材料としては、例えば、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、絶縁レジスト、金属化合物などを用いることができる。具体的には例えば、ポリアクリレート、PVA(ポリビニルアルコール)、PS(ポリスチレン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリエステル、エポキシ、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコールなどの樹脂材料、SiO2、SiNx、SiON、Al23、Ta25、Y23、HfO2、HfAlO、ZrO2、TiO2などの金属化合物を用いることができる。
【0063】
接着層32cは、接着層35と同様である。
【0064】
(構造層)
構造層33は、センサ30aの厚さ方向から見てノードNDの2つの列間に設けられ、REF電極層34とセンサ層32との間を離間する構造体33aを備える。構造体33aは、センサ30aの厚さ方向から見てノードNDの2つの列間に延設されている。具体的には、構造体33aは、センサ30aの短手方向の中央位置に、センサ30aの長手方向に延設された連続体である。センサ30aの短手方向における構造体33aの両側にはそれぞれ、空間部33d、33dが設けられている。ノードNDは、センサ30aの厚さ方向に空間部33dと重なる位置に設けられている。ノードNDの列とREF電極層34との間には、空間部33dが設けられている。空間部33d、33dの間は、構造体33aにより分断されていることが好ましい。センシングエリア30Raの側方が押圧された場合に、2つの列間で最隣接するノードNDで検出される静電容量の変化の差が大きくなるため、センシングエリア30Raの押圧検出の精度が向上するからである。構造層33の両側方(短手方向の両側方)の部分は、開放されていることが好ましい。センシングエリア30Raの側方が押圧された場合に、2つの列間で最隣接するノードNDで検出される静電容量の変化の差が大きくなるため、センシングエリア30Raの押圧検出の精度が向上するからである。
【0065】
構造体33aは、図9に示すように、構造部33bと、接合部33cとを備える。構造部33bは、台形状、矩形状、半円形状などの断面形状を有する柱状体である。接合部33cは構造部33bの頂部に設けられ、この接合部33cを介して構造部33bとREF電極層31とが接着される。構造部33bの材料としては、例えば、絶縁性を有する樹脂材料が用いられる。このような樹脂材料としては、例えば、紫外線硬化樹脂などの光硬化性樹脂を用いることができる。接合部33cの材料としては、例えば、粘着性の樹脂材料などが用いられる。
【0066】
なお、構造体33aの構成は、上述のように構造部33bと接合部33cとが別体となった構成に限定されるものではなく、構造部33bと接合部33cとが予め一体成形された構成を採用するようにしてもよい。この場合、構造体33aの材料としては、例えば、構造部33bと接合部33cとの両機能を実現可能な材料が選択される。
【0067】
[1.6 センサの検出動作]
以下、図8C図9を参照して、センサ30aの検出動作の一例について説明する。センシングエリア30Raが指などにより押圧されると、筐体20のセンシングエリア30Raが湾曲する。この湾曲によって、凸部30TP、30TPを介してセンシング面30Saが押圧される。これにより、REF電極層34とセンサ層32との間の距離が変化する。この際、REF電極層34のうち、空間部33d、33d上に位置する部分がそれ以外の部分に比べてセンサ層32に向けて大きく変位する。この大きく変位する部分が、ノードNDに最も近づくため、高い検出感度が得られる。
【0068】
構造体33aはセンサ30aの厚さ方向から見てノードNDの2つの列間に設けられているため、以下のような特徴が得られる(図12A図12B参照)。すなわち、センシングエリア30Raが押圧された場合には、2つの列間で最隣接するノードNDの静電容量の変化は同程度となる(図12B、ノードN6、N16参照)。これに対して、センシングエリア30Raの側方の位置が押圧された場合には、2つの列間で最隣接するノードNDの静電容量の変化が大きく異なるものとなる。すなわち、2つの列間で最隣接するノードNDのうち押圧位置に近い側のノードNDでは、静電容量の変化が大きくなる傾向があるのに対して、遠い側のノードNDでは、静電容量の変化が小さくなる傾向がある(図12B、ノードN2、N12参照)。これは、REF電極層34が、ノードNDの2つの列間の位置に設けられた構造体33aにより支持されているためである。
【0069】
[1.7 押圧検出の動作]
以下、図10A図10B図12A図12B図13を参照して、コントローラIC12aにおける押圧検出の動作の一例について説明する。ここでは、コントローラIC12aにおける押圧検出の動作について説明するが、コントローラIC12bにおける押圧検出の動作も同様である。
【0070】
まず、ステップS11において、電気機器10の電源が投入されると、電気機器10の本体であるホスト11が、コントローラIC12aを初期化する。次に、ステップS12において、コントローラIC12aが第2電極X0、X1、・・・、X16に順次に所定のパルス(電圧)を印加して、第2電極X0、X1、・・・、X16を順次スキャンすることにより、ノードN1〜N20における静電容量の変化(具体的には、静電容量の変化の分布)を検出する(図10A図10B図12A図12B参照)。
【0071】
次に、ステップ13において、コントローラIC12aは、センサ30aの短手方向に対向するノードNn、N1n(但し、n:1以上10以下の整数)の各組のうちに、静電容量の変化Cn、C1n(但し、Cn、C1nはそれぞれノードNn、N1nの静電容量の変化を示す。)がしきい値Tを超えている組があるか否か判断する(図12A図12B参照)。この際、1つの組を構成しているノードNn、N1nの静電容量の変化Cn、C1nの一方がしきい値Tを超えているか否か判断してもよいし、その両方がしきい値Tを超えているか否か判断してもよい。
【0072】
ステップS13においてコントローラIC12aが静電容量の変化Cn、C1nがしきい値Tを超えている組があると判断した場合には、ステップS14において、コントローラIC12aは、しきい値Tを超えていると判断した組のノードNn、N1nの静電容量の変化の差の絶対値|ΔC|(=|Cn−C1n|)がしきい値|ΔT|を超えているか否かを判断する(図12B参照)。一方、ステップS13においてコントローラIC12aが静電容量の変化Cn、C1nがしきい値Tを超えている組がないと判断した場合には、処理はステップS12に戻る。
【0073】
ステップS14においてコントローラIC12aが静電容量の変化の差の絶対値|ΔC|がしきい値|ΔT|を超えていると判断した場合には、処理はステップS12に戻る。一方、ステップS14においてコントローラIC12aが静電容量の変化の差の絶対値|ΔC|がしきい値|ΔT|を超えていないと判断した場合には、ステップS15において、コントローラIC12aは、センシングエリア30Raの押圧が検出されたことをホスト11に通知する。ホスト11は、センシングエリア30Raの押圧が検出されたことが通知されると、スリープ処理の解除などの所定処理を実行する
【0074】
[1.8 効果]
第1の実施形態に係る電気機器10は、凹部23a、23bを内側面22SIに有する第2筐体22と、凹部23a、23bに設けられた感圧式のセンサ30a、30bとを備える。これにより、凹部23a、23bの底面23Sの裏側に設定されたセンシングエリア30Ra、30Rbが指などで押圧されると、凹部23a、23bの底面が湾曲し、凹部23a、23bの底面23Sによりセンサ30a、30bのセンシング面30Saが押圧される。したがって、センサ30a、30bは、センシングエリア30Ra、30Rbの押圧を検出することができる。
【0075】
また、センサ30a、30bは、可撓性を有するREF電極層34と、REF電極層34に対向して設けられ、ノードNDの2つの列を含むセンサ層32と、センサ30aの厚さ方向から見てノードNDの2つの列間に設けられ、REF電極層34とセンサ層32との間を離間する構造体33aとを備える。このような構成を有するセンサ30a、30bでは、センシングエリア30Ra、30Rbが押圧された場合には、2つの列間で隣接するノードNDで検出される静電容量の変化の差は小さいものとなる。一方、センシングエリア30Raの側方が押圧された場合に、2つの列間で隣接するノードNDで検出される静電容量の変化の差は大きいものとなる。したがって、センサ30a、30bは、センシングエリア30Ra、30Rbの押圧とセンシングエリア30Ra、30Rb外の押圧とを判断可能な静電容量の変化(具体的には静電容量の変化の分布)を出力できる。
【0076】
また、コントローラIC12a、12bは、2つの列を構成する各ノードNDから出力された静電容量の変化が第1のしきい値を超えているか否かを判断し、静電容量の変化が第1のしきい値を超えている場合には、2つの列間で隣接するノードNDの静電容量の変化の差が第2のしきい値を超えているか否かに基づき、センシングエリア30Ra、30Rbの押圧とセンシングエリア30Ra、30Rb外の押圧とを判断する。したがって、センシングエリア30Ra、30Rbの押圧をより正確に検出することができる。
【0077】
[1.9 変形例]
図14Aに示すように、センサ30aと固定プレート41との間に設けられた支持層としての支持プレート43と、固定プレート41と支持プレート43との間に設けられた弾性層44とがさらに備えられるようにしてもよい。なお、図示を省略するが、センサ30aと固定プレート41との間に支持プレート43のみが備えられるようにしてもよい。
【0078】
支持プレート43は、センサ30aの裏面30Sbを支持するためのものである。支持プレート43は、センサ30aよりも変形し難いものが好ましい。すなわち、支持プレート43は、センサ30aよりも剛性が高いものが好ましい。センシングエリア30Raの検出感度を向上できるからである。
【0079】
支持プレート43は、例えば、高分子樹脂または金属により構成されている。スプリングプレート27aが、高分子樹脂層と金属層との積層構造を有していてもよい。高分子樹脂としては、基材31a、34aと同様のものを例示することができる。金属としては、筐体20と同様のものを例示することができる。
【0080】
弾性層44は、例えば、発泡ウレタンなどのゴムにより構成されている。弾性層44の片面または両面に粘着層が設けられていてもよい。弾性層44は、例えば、シート状を有するが、これに限定されるものではない。
【0081】
図14Bに示すように、支持プレート43は、コの字状の断面を有していてもよい。この場合、支持プレート43は、その凹部内にセンサ30aを収容するようにして、第2筐体22の凹部23aに嵌め合わされる。支持プレート43は、センサ30aのセンシング面30Saと凹部23aの底面23Saとの接触が保たれるように、センサ30aを凹部23a内に固定する。センシングエリア30Raの検出感度向上の観点からすると、支持プレート43は、センサ30aを凹部23aの底面23Saに押し当てるようにして、センサ30aを凹部23a内に固定する押当部材であることが好ましい。この場合、固定プレート41は設けられていなくてもよい。
【0082】
図14Cに示すように、凹部23aの両側面に溝23GVを設け、この溝23GVに板状の固定プレート41の両端が嵌め合わされるようにしてもよい。この場合、センサ30aと固定プレート41との間に、必要に応じて支持プレート43および弾性層44の少なくとも一方を設けるようにしてもよい。
【0083】
図14Dに示すように、支持プレート43を支持体45に固定するようにしてもよい。支持体45としては、例えば、筐体20内に収容されるパネル、基板などの部材、筐体20を構成する第1筐体21などが挙げられる。
【0084】
図15Aに示すように、センサ51aは、センサ層32とREF電極層34との間の周縁部に構造体33eを含む構造層33を備えるものであってもよい。構造体33eは、センサ層32とREF電極層34との間の周縁部に連続的に設けられた枠体であってもよいし、センサ層32とREF電極層34との間の周縁部に断続的に設けられた枠体であってもよい。構造体33eの高さは構造体33aの高さよりも低く、構造体33eの頂部とREF電極層34との間に隙間が設けられていてもよいし、構造体33eの頂部とセンサ層32との間に隙間が設けられていてもよい。
【0085】
図15Bに示すように、センサ52aは、REF電極層31とセンサ層32との間に構造層36をさらに備えるものであってもよい。構造層36は、REF電極層31とセンサ層32との間の周縁部に設けられた構造体36aを含んでいる。図示を省略するが、構造層36が、上記構造体36aに代えて、または上記構造体36aとともに、センサ30aの短手方向の中央の位置に、センサ30aの長手方向に延設された構造体を含んでいてもよい。
【0086】
図15Cに示すように、センサ30aが接着層37を介して凹部23aの底面23Sに貼り合わされるようにしてもよい。この場合、固定プレート41を設けなくてもよい。
【0087】
図16Aに示すように、センサ53aは、REF電極層34(図8C参照)を備えていないものであってもよい。このセンサ53aを用いる場合、複数の構造体33aの頂部が凹部23aの底面23Sに接するように、凹部23a内に固定される。この場合、凹部23aの底面23Sの部分がREF電極層(導電層)として機能する。このため、第2筐体22のうち少なくとも凹部23aの底面23Sの部分が、導電性を有している。具体的には例えば、第2筐体22の全体または第2筐体22の内側面22SIが導電性を有していてもよいし、第2筐体22のうち凹部23aの内側面または凹部23aの底面23Sのみが導電性を有していてもよい。全体が導電性を有する第2筐体22は、金属により構成された金属筐体であってもよい。
【0088】
第2筐体22の内側面22SIが導電性を有する構成の場合、内側面22SIに導電層が設けられている。第2筐体22のうち凹部23aの内側面または凹部23aの底面23Sのみが導電性を有する構成の場合、凹部23aの内側面または凹部23aの底面23Sに導電層が設けられている。導電層は、例えば、メッキ層、蒸着層、スパッタリング層、金属箔、導電ペーストなどを乾燥硬化して得られる導電層などである。
【0089】
上述の構成を有するセンサ53aでは、第2筐体22の底面23Sの部分をREF電極層34として用いるので、センサ51aの構成を簡略化および薄型化できる。
【0090】
図16Bに示すように、センサ54aは、REF電極層31(図8C参照)を備えていないものであってもよい。この場合、固定プレート41がREF電極層(導電層)として機能する。このため、固定プレート41のうち少なくともセンサ層32と対向する面が、導電性を有している。具体的には例えば、固定プレート41の全体が導電性を有していてもよいし、固定プレート41のうちセンサ層32と対向する面のみが導電性を有していてもよい。
【0091】
固定プレート41の全体が導電性を有する構成の場合、固定プレート41が導電材料で構成されている。固定プレート41のうちセンサ層32と対向する面のみが導電性を有する構成の場合、このセンサ層32と対向する面に導電層が設けられている。導電層は、例えば、メッキ層、蒸着層、スパッタリング層、金属箔、導電ペーストなどを乾燥硬化して得られる導電層などである。
【0092】
上述の構成を有するセンサ54aでは、固定プレート41をREF電極層31として用いるので、センサ54aの構成を簡略化および薄型化できる。
【0093】
図16Cに示すように、センサ55aは、REF電極層31、34(図8C参照)の両方を備えていないものであってもよい。
【0094】
上述の構成を有するセンサ55aでは、凹部23aの底面23Sの部分を表面側のREF電極層として用い、かつ固定プレート41を裏面側のREF電極層として用いるので、センサ52aの構成を簡略化および薄型化できる。
【0095】
センシング面30Saに凸部30TPを設けないようにしてもよい。この場合、構造体33aとして弾性率が低いものを用いることが好ましい。センサ30aの検出感度を向上できるからである。
【0096】
センサ30aが対向する一組のノードNDのみを備えるものであってもよい。この場合、センサ30aは、第2筐体22の角部、辺部の所定箇所、主面部22PLの所定箇所などに設けられていてもよい。この場合、第2筐体22の角部などの所定部の押圧を精度良く検出することが可能となる。
【0097】
第1の実施形態では、静電容量の変化を比較する各組のノードNn、N1nがセンサ30aの短手方向に対向している場合について説明したが、静電容量の変化を比較する各組のノードNn、N1nがセンサ30aの短手方向に対向せず、センサ30aの長手方向にずれていてもよい。この場合、コントローラIC12aは、最隣接するノードNn、N1nの静電容量の変化を比較するようにすればよい。ノードNnに対して2つのノードN1n、N1n+1が最隣接する場合には、コントローラIC12aは、最隣接する2つのノードNn、N1nおよびノードNn、N1n+1の両方について静電容量の変化を比較するようにしてもよいし、予め定められたノードNn、N1nおよびノードNn、N1n+1のいずれかについて静電容量の変化を比較するようにしてもよい。
【0098】
第1の実施形態では、ノードNDの2つの列がセンサ30aの長手方向に延びる直線状である場合について説明したが、ノードNDの2つの列がセンサ30aの短手方向に蛇行する列(例えばジグザグの列)であってもよい。
【0099】
第1の実施形態では、構造体33aはセンサ30aの長手方向に延設された連続体である場合について説明したが、構造体33aは、断続的に設けられた不連続体であってもよい。また、複数の構造体33aが、センサ30aの短手方向の中央位置に、長手方向に向かって配列されていてもよい。この場合、構造体33aは、例えば、錐体状、柱状(例えば円柱状、多角柱状)、針状、球体の一部の形状(例えば半球体状)、楕円体の一部の形状(例えば半楕円体状)、多角形状などが挙げられるが、これらの形状に限定されるものではなく、他の形状を採用するようにしてもよい。
【0100】
第1、第2電極32EY、32EXが同一面内に形成されていてもよい。この場合、第1、第2電極32EY、32EXがそれぞれ、櫛歯状の第1、第2電極体を備え、櫛歯状の第1、第2電極体が噛み合わされるようにして設けられるようにしてもよい。
【0101】
上述の第1の実施形態では、センシングエリア30Ra、30Rbの押圧によりスリープモードを解除する例について説明したが、これ以外の電気機器10の動作がセンシングエリア30Ra、30Rbの押圧により実行されるようにしてもよい。例えば、センシングエリア30Ra、30Rbの押圧により出力音声の大小の調整、画面の明るさ調整、スリープ動作への以降などが実行されるようにしてもよい。
【0102】
コントローラIC12a、12bが、センサ30a、30Bから供給される静電容量の変化に基づき、センシングエリア30Raの押圧が所定時間以上続いているか否かを判断し、押圧が所定時間以上続いている場合のみ、ホスト11にセンシングエリア30Raの押圧を通知するようにしてもよい。この場合、ユーザが意図せずにセンシングエリア30Raを押圧した場合の誤動作を減らすことができる。
【0103】
コントローラIC12a、12bが、センサ30a、30Bから供給される静電容量の変化に基づき、センシングエリア30Raの押圧が所定時間内に所定回数検出されたか否かを判断し、所定時間内に所定回数検出された場合のみ、ホスト11にセンシングエリア30Raの押圧を通知するようにしてもよい。この場合にも、上記と同様の利点が得られる。
【0104】
第1の実施形態では、第2筐体22が有する凹部23a、23bにセンサ30a、30bを設ける例について説明したが、凹部23a、23bはなくてもよい。また、凹部23a、23bの側面は曲面や傾斜面でもよい。
【0105】
筐体20は、湾曲可能な基材の一例であり、センサ30aは湾曲可能な種々の基材に用いることができる。センサ30aが設けられる面は平面に限定されるものではなく、曲面、屈曲面、波面などであってもよい。また、基材の形状は、平板状に限定されるものではなく、湾曲板状、屈曲板状、波板状などのものであってもよい。
【0106】
上述の第1の実施形態では、電気機器がタブレット型コンピュータである場合を例として説明したが、本技術はこれに限定されるものではなく、筐体などの外装体を有する種々の電気機器に適用可能である。例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォンなど携帯電話、テレビ、リモートコントローラ、カメラ、ゲーム機器、ナビゲーションシステム、電子書籍、電子辞書、携帯音楽プレイヤー、スマートウオッチやヘッドマウンドディスプレイなどのウェアラブル端末、ラジオ、電動工具、冷蔵庫、エアコン、ウェアラブル機器、ステレオ、温水器、電子レンジ、食器洗浄器、洗濯機、乾燥機、照明機器、玩具、医療機器、ロボットなどにも適用可能である。なお、電気機器には、いわゆる電子機器も含まれるものとする。
【0107】
また、本技術は電気機器に限定されるものではなく、電気機器以外の様々なものに適用可能である。例えば、住宅をはじめとする建築物、建築部材、乗り物、テーブルや机などの家具、製造装置、分析機器などに適用可能である。建築部材としては、例えば、敷石、壁材、フロアータイル、床板などが挙げられる。乗り物としては、例えば、車両(例えば自動車、オートバイなど)、船舶、潜水艦、鉄道車両、航空機、宇宙船、エレベータ、遊具などが挙げられる。
【0108】
<2.第2の実施形態>
[2.1 電気機器の構成]
図17に示すように、本技術の第2の実施形態に係る電気機器10では、センサ60aは、3列に配列された複数のノードNDを含むセンサ層61と、センサ60aの厚さ方向から見てノードNDの各列の間にそれぞれ設けられた構造体33a、33aを含む構造層62とを備えている。ノードNDの各列とREF電極層34との間には空間部33dが設けられている。また、REF電極層34は、ノードNDの各列間の位置に設けられた構造体33aにより支持されている。センシング面30Saには、センサ60aの長手方向に延設された3つの凸部30TPが所定の間隔離して設けられている。凸部30TPは、センサ60aの厚さ方向から見て空間部33dとノードNDの列と重なる位置に設けられている。
【0109】
上述の構成を有する電気機器10では、センシングエリア30Raが指などにより押圧されると、筐体20のセンシングエリア30Raが湾曲する。この湾曲によって、凸部30TPを介してセンシング面30Saが押圧される。これにより、押圧位置およびその近傍において、ノードNDとREF電極層34との距離が変位し、ノードNDにおける静電容量が変化する。一方、センシングエリア30Raの側方の位置が指などにより押圧されると、その位置を中心として筐体20が湾曲する。この湾曲がセンシングエリア30Raまで及ぶ場合には、凸部30TPを介してセンシング面30Saが押圧されることになる。この場合、押圧の中心位置に近いノードNDほど、REF電極層34との距離が小さくなり、静電容量の変化が大きくなる傾向がある。
【0110】
コントローラIC12a、12bは、静電容量の変化をノードNDの3つの列間で比較することにより、センシングエリア30Ra、30Rbの押圧を判断する。より具体的には、ノードNDの列間方向(センサ60aの短手方向)に隣接する3つのノードNDの静電容量の変化を比較することにより、センシングエリア30Ra、30Rbの押圧を判断する。
【0111】
[2.2 押圧検出の動作]
以下、図18A図18B図19を参照して、コントローラIC12aにおける押圧検出の動作の一例について説明する。
【0112】
まず、ステップS31において、電気機器10の電源が投入されると、電気機器10の本体であるホスト11が、コントローラIC12aを初期化する。次に、ステップS32において、コントローラIC12aがセンサ60aに含まれる複数の第2電極32EXに順次所定のパルス(電圧)を印加して、それらの第2電極32EXを順次スキャンすることにより、ノードN1〜N30における静電容量の変化(具体的には、静電容量の変化の分布)を検出する(図18A図18B参照)。
【0113】
次に、ステップ33において、コントローラIC12aは、センサ60aの短手方向に隣接するノードNn、N1n、N2n(但し、nは1以上10以下の整数である。)の組のうちに、静電容量の変化Cn、C1n、C2n(但し、Cn、C1n、C2nはそれぞれノードNn、N1n、N2nの静電容量の変化を示す。)がしきい値Tを超えている組があるか否か判断する(図18A図18B参照)。この際、1つの組を構成しているノードNn、N1n、N2nの静電容量の変化Cn、C1n、C2nの少なくとも1つがしきい値Tを超えているか否か判断してもよいし、少なくとも2つがしきい値Tを超えているか否か判断してもよいし、3つすべてがしきい値Tを超えているか否か判断してもよい。
【0114】
ステップS33においてコントローラIC12aが静電容量の変化Cn、C1n、C2nがしきい値Tを超えていると判断した場合には、ステップS34において、コントローラIC12aは、しきい値Tを超えていると判断した組のCn、C1n、C2nがCn<C1n、およびC1n>C2nの関係を満たすか否かを判断する。一方、ステップS33においてコントローラIC12aが静電容量の変化Cn、C1n、C2nがしきい値Tを超えていないと判断した場合には、処理はステップS32に戻る。
【0115】
ステップS34においてコントローラIC12aがCn<C1n、およびC1n>C2nの関係を満たすと判断した場合には、ステップS34において、コントローラIC12aはセンシングエリア30Raの押圧が検出されたことをホスト11に通知する。一方、ステップS34においてコントローラIC12aがCn<C1n、およびC1n>C2nの関係を満たさないと判断した場合には、処理はステップS32に戻る。
【0116】
[2.3 効果]
第1の実施形態に係る電気機器10は、センサ60aの3つの列を備え、センサ60aの幅方向に並ぶ各組のノードNn、N1n、N2nの静電容量の変化Cn、C1n、C2nに基づき、センシングエリア30Ra内に荷重中心が存在するか否かを判断する。したがって、センシングエリア30Ra内に荷重中心が存在しているか否かを、より正確に判断することができる。
【0117】
<3 第3の実施形態>
[3.1 電気機器の構成]
図20に示すように、本技術の第3の実施形態に係る電気機器70は、矩形状を有する背面10Sbの長手方向の端部には3つのセンシングエリア30Ra、71Ra、72Raが設けられている点において、第1の実施形態に係る電気機器10とは異なっている。
【0118】
コントローラIC12aは、3つのセンシングエリア30Ra、71Ra、72Raのうちいずれのエリアが押圧されたかを検出し、その検出結果に応じた動作を実行する。センシングエリア30Raは、およそセンサ30a上に設けられたエリアである。センシングエリア71Ra、72Raはそれぞれ、センシングエリア30Raの両側に隣接して設けられたエリアである。センシングエリア30Ra、71Ra、72Raにはそれぞれ異なる電気機器の機能が割り当てられるようにしてもよいし、センシングエリア30Ra、71Ra、72Raによりメニュー画面などの操作が行えるようにしてもよい。
【0119】
[3.2 押圧検出の動作]
以下、図21を参照して、コントローラIC12aにおける押圧検出の動作の一例について説明する。なお、ステップS11〜S15までの処理は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0120】
ステップS14においてコントローラIC12aが静電容量の変化の差の絶対値|ΔC|がしきい値より小さくないと判断した場合には、ステップS16において、コントローラIC12aは、静電容量の変化の差ΔCがΔC>0であるか否か、すなわち正の値を取るか否かを判断する。
【0121】
ステップS16においてコントローラIC12aがΔC>0であると判断した場合には、ステップS17において、コントローラIC12aは、センシングエリア71Raの押圧が検出されたことをホスト11に通知する。一方、ステップS16においてコントローラIC12aがΔC>0でないと判断した場合には、ステップS18において、コントローラIC12aはセンシングエリア72Raの押圧が検出されたことをホスト11に通知する。
【0122】
[3.3 効果]
第3の実施形態では、1つのセンサ30aを用いて、センサ30a上に設定されたセンシングエリア30Raと、その両側にそれぞれ設けられたセンシングエリア71Ra、72Raとの押圧を検出することができる。したがって、センシングエリア30Ra、71Ra、72Raそれぞれに対してセンサ30aを設けた場合に比べて電気機器70の構成を簡略化できる。また、電気機器70のコストも低減できる。
【0123】
[3.4 変形例]
本技術の第3の実施形態に係る電気機器70は、センサ30aに代えて、第2の実施形態におけるセンサ60aを備える。
【0124】
以下、図22を参照して、コントローラIC12aにおける押圧検出の動作の一例について説明する。なお、ステップS31〜S35までの処理は、第2の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0125】
ステップS34においてコントローラIC12aがCn<C1n、およびC1n>C2nの関係を満たさないと判断した場合には、ステップS36において、コントローラIC12aは、Cn>C1n>C2nの関係を満たすか否かを判断する。
【0126】
ステップS36においてコントローラIC12aがCn>C1n>C2nの関係を満たすと判断した場合には、ステップS37において、コントローラIC12aは、センシングエリア71Raの押圧が検出されたことをホスト11に通知する。一方、ステップS36においてコントローラIC12aがCn<C1n<C2nの関係を満たさないと判断した場合には、ステップS38において、コントローラIC12aは、Cn<C1n<C2nの関係を満たすか否かを判断する。
【0127】
ステップS38においてコントローラIC12aがCn<C1n<C2nの関係を満たすと判断した場合には、ステップS39において、コントローラIC12aはセンシングエリア72Raの押圧が検出されたことをホスト11に通知する。一方、ステップS38においてコントローラIC12aがCn<C1n<C2nの関係を満たさないと判断した場合には、処理はステップS32に戻る。
【0128】
コントローラIC12aは、上述のセンシングエリア30Ra、71Ra、72Raのうちの1つまたは2つのエリアの検出のみをホスト11に通知するようにしてもよい。この場合、電気機器70が上述のセンシングエリア30Ra、71Ra、72Raのうちの1つまたは2つのエリアのみをあたかも有しているようにできる。
【0129】
以上、本技術の実施形態およびその変形例について具体的に説明したが、本技術は、上述の実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本技術の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0130】
例えば、上述の実施形態およびその変形例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよい。
【0131】
また、上述の実施形態およびその変形例の構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、本技術の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0132】
また、本技術は以下の構成を採用することもできる。
(1)
筐体と、
前記筐体に設けられた静電容量式のセンサと
を備え、
前記センサは、
可撓性を有する導電層と、
前記導電層に対向して設けられたセンシング部の2つの列と、
前記センサの厚さ方向から見て2つの列間に設けられ、前記導電層と前記センシング部の2つの列との間を離間する構造体と
を備える入力装置。
(2)
前記センサを前記筐体に押し当てる固定部材をさらに備える(1)に記載の入力装置。
(3)
前記センサと前記固定部材との間に設けられた支持層と、
前記固定部材と前記支持層との間に設けられた弾性層と
をさらに備える(1)または(2)に記載の入力装置。
(4)
前記導電層上に設けられた第1凸部および第2凸部をさらに備え
前記センサの厚さ方向から見て前記第1凸部、前記第2凸部はそれぞれ、前記2つの列と重なる位置に設けられている(1)から(3)のいずれかに記載の入力装置。
(5)
前記構造体は、前記2つの列間に延設されている(1)から(4)のいずれかに載の入力装置。
(6)
前記列と前記導電層との間は、空間である(1)から(5)のいずれかに記載の入力装置。
(7)
前記空間は、前記構造体により分断されている(6)に記載の入力装置。
(8)
前記導電層に対向するととともに、前記センシング部の2つ列の間に設けられたセンシング部の列をさらに備える(1)から(7)のいずれかに記載の入力装置。
(9)
前記構造体を含む構造層の側方の部分が開放されている(1)から(8)のいずれかに記載の入力装置。
(10)
前記センシング部は、前記センシング部の列の方向に延設された電極線と、該電極線と前記センサの厚さ方向に重なるように設けられ、線状の電極要素を含む電極体とにより構成されている(1)から(9)のいずれかに記載の入力装置。
(11)
前記センサは、長尺状を有するシートであり、
前記センシング部の列は、前記センサの長手方向に向かって延びている(1)から(10)のいずれかに記載の入力装置。
(12)
前記筐体は、湾曲可能である(1)から(11)のいずれかに記載の入力装置。
(13)
前記筐体は、前記センサを収容する凹部を有する(1)から(12)のいずれかに記載の入力装置。
(14)
前記センシング部の静電容量の変化に基づき、前記筐体の押圧を検出する制御部をさらに備える(1)から(13)のいずれかに記載の入力装置。
(15)
可撓性を有する導電層と、
前記導電層に対向して設けられたセンシング部の2つの列と、
前記センサの厚さ方向から見て2つの列間に設けられ、前記導電層と前記センシング部の2つの列との間を離間する構造体と
を備える静電容量式のセンサ。
(16)
(1)から(14)のいずれかに記載の入力装置を備える電気機器。
(17)
複数の列をなすセンシング部から出力された静電容量の変化がしきい値を超えているか否かを判断し、
前記静電容量の変化がしきい値を超えている場合には、前記静電容量の変化に基づき、前記センサ上の領域と該領域外のいずれが押圧されたかを判断する
ことを含む検出方法。
(18)
前記押圧の判断は、前記静電容量の変化を前記複数の列間で比較することにより行われる(17)に記載の検出方法。
(19)
前記押圧の判断は、列間方向に隣接する前記センシング部の静電容量の変化を比較することにより行われる(17)に記載の検出方法。
(20)
前記押圧の判断は、列間における前記静電容量の変化の差がしきい値を超えているか否かに基づき行われる(17)に記載の検出方法。
【0133】
10 電気機器
10Sa 表面
10Sb 背面
11 ホスト
11PL 表示装置
11CM カメラモジュール
12a、12 コントローラIC
13a、13b PCBA
14a、14b FPC
20 筐体
21 第1筐体
22 第2筐体
23a、23b 凹部
30Ra、30Rb センシングエリア
30a、30b センサ
ND ノード(センシング部)
30TP 凸部(第1、第2凸部)
31b、34b 導電層
33a 構造体
33d 空間部(空間)
32EXa 電極体
32EYa 電極線
41 固定プレート(固定部材)
43 支持プレート(支持層)
44 弾性層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22