特許第6787412号(P6787412)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6787412通信処理システム、通信処理方法、基地局および通信処理装置の制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6787412
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】通信処理システム、通信処理方法、基地局および通信処理装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/12 20090101AFI20201109BHJP
   H04W 88/04 20090101ALI20201109BHJP
【FI】
   H04W40/12
   H04W88/04
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-565974(P2018-565974)
(86)(22)【出願日】2017年12月11日
(86)【国際出願番号】JP2017044451
(87)【国際公開番号】WO2018142773
(87)【国際公開日】20180809
【審査請求日】2019年8月5日
(31)【優先権主張番号】特願2017-18828(P2017-18828)
(32)【優先日】2017年2月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(72)【発明者】
【氏名】亀井 晃
(72)【発明者】
【氏名】奥山 祐美子
(72)【発明者】
【氏名】山田 徹
(72)【発明者】
【氏名】平田 恭二
(72)【発明者】
【氏名】芹沢 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】下間 政志
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 聡
【審査官】 阿部 圭子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−111619(JP,A)
【文献】 特表2012−506192(JP,A)
【文献】 "3GPP TS 23.303 V14.1.0 (2016-12)",3GPP, [online],2016年12月16日,Pages 1-5,18,100-106,[retrieved on 2017.12.26], Retrieved from the Internet:,URL,http://www.3gpp.org/ftp//Specs/archive/23_series/23.303/23303-e10.zip
【文献】 "3GPP TS 36.300 V13.6.0 (2016-12)",3GPP, [online],2016年12月30日,Pages 1-14,282,283,[retrieved on 2017.12.26], Retrieved from the Internet:,URL,http://www.3gpp.org/ftp//Specs/archive/36_series/36.300/36300-d60.zip
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末と基地局との通信を中継する複数の中継局から前記通信端末が受信した信号の強度を、第1受信信号強度として受信する第1受信手段と、
前記基地局から前記複数の中継局が受信した信号の強度を、第2受信信号強度として受信する第2受信手段と、
前記基地局と前記通信端末とを前記複数の中継局を経由して接続する複数の通信経路のうち、前記第1受信信号強度と前記第2受信信号強度との信号強度の差がより少ない通信経路を選択する選択手段と、
を備える基地局
【請求項2】
他の中継局から前記複数の中継局のそれぞれが受信した信号の強度を、第3受信信号強度として受信する第3受信手段をさらに備え、
前記選択手段は、前記基地局と前記通信端末とを前記複数の中継局の少なくとも1つを経由して接続する複数の通信経路のうち、前記第1受信信号強度、前記第2受信信号強度および前記第3受信信号強度との信号強度の差がより少ない通信経路を選択する、請求項1に記載の基地局
【請求項3】
前記選択手段は、前記基地局と複数の前記通信端末とを前記複数の中継局を経由して接続する複数の通信経路における前記第1受信信号強度、前記第2受信信号強度および前記第3受信信号強度が所定の範囲内にある通信経路を各通信端末に対して選択する、請求項2に記載の基地局
【請求項4】
前記選択手段は、さらに前記中継局の使用の制限を考慮して、前記基地局と前記通信端末とを接続する通信経路を選択する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基地局
【請求項5】
前記通信端末は3GPP TS 23.303 V14.1.0におけるRemote UE(リモートUE)であり、前記基地局はeNBであり、前記中継局はProSe UE-to-NW Relay(リレーUE)であり、前記通信端末による受信信号強度の測定はDiscovery Procedure(ディスカバリ・プロシジャー)に含まれる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基地局
【請求項6】
前記通信端末は、IoTデバイス、MTCデバイスおよびM2Mデバイスを含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基地局
【請求項7】
通信端末と基地局との通信を中継する複数の中継局から前記通信端末が受信した信号の強度を、第1受信信号強度として受信する第1受信ステップと、
前記基地局から前記複数の中継局が受信した信号の強度を、第2受信信号強度として受信する第2受信ステップと、
前記基地局と前記通信端末とを前記複数の中継局を経由して接続する複数の通信経路のうち、前記第1受信信号強度と前記第2受信信号強度との信号強度の差がより少ない通信経路を選択する選択ステップと、
をコンピュータに実行させる通信処理装置の制御プログラム。
【請求項8】
通信端末と、
基地局と、
前記通信端末と前記基地局との通信を中継する複数の中継局と、
前記通信端末において、前記複数の中継局から受信した信号の強度を第1受信信号強度として測定する第1測定手段と、
前記複数の中継局において、前記基地局から受信した信号の強度を第2受信信号強度として測定する第2測定手段と、
前記基地局において、前記基地局と前記通信端末とを前記複数の中継局を経由して接続する複数の通信経路のうち、前記第1受信信号強度と前記第2受信信号強度との信号強度の差がより少ない通信経路を選択する選択手段と、
を備える通信処理システム。
【請求項9】
通信端末と、基地局と、前記通信端末と前記基地局との通信を中継する複数の中継局と、を有する通信処理システムの通信処理方法であって、
前記通信端末において、前記複数の中継局から受信した信号の強度を第1受信信号強度として測定する第1測定ステップと、
前記複数の中継局において、前記基地局から受信した信号の強度を第2受信信号強度として測定する第2測定ステップと、
前記基地局において、前記基地局と前記通信端末とを前記複数の中継局を経由して接続する複数の通信経路のうち、前記第1受信信号強度と前記第2受信信号強度との信号強度の差がより少ない通信経路を選択する選択ステップと、
を含む通信処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信処理システム、通信処理方法、基地局および通信処理装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、3GPPではリモートデバイス(リモートUE:Remote User Equipment)からのデータを中継装置(リレーUE:Relay User Equipment/UE-to-Network Relay device)を介して基地局に送信する方法が検討されており、非特許文献1および2にその方法が開示されている。
【0003】
非特許文献1の「4.4.3 ProSe UE-to-Network Relay for Public Safety」には、そのアーキテクチャモデル、また、「5.4.4 Direct communication via ProSe UE-to-Network Relay」のFigure 5.4.4.1-1には、UE-to-Network Relay経由のProSe(D2D)接続を確立する手順が記載されている。そして、Figure 5.4.4.1-1の説明として、「リモートUEは、リレーUEを使った接続後も、リレーUEの再選択のため、リレーUEから送られるディスカバリメッセージの信号強度の測定を継続する。」との記載がある(非特許文献1、102ページ、14〜21行参照)。
【0004】
また、非特許文献2の「23.10.4 Sidelink Communication via ProSe UE-to-Network Relay」には、「UEが、リレーUEとして動作できるかどうかは基地局が制御すること」、また、「リモートUEが、最良のPC5リンク品質のリレーUEを選択すること、およびPC5リンクの信号強度があらかじめ設定された閾値を下回った場合、リレーUEの再選択プロセスを行うこと」の記載がある(非特許文献2、283ページ、1〜8行参照)。
【0005】
上記技術分野において、特許文献1には、通信端末が測定した中継局からの受信信号強度に基づいて、近傍の中継局を選択して基地局と接続する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−029851号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】3GPP TS 23.303 V14.1.0 (2016-12) Proximity-based service (ProSe)
【非特許文献2】3GPP TS 36.300 V13.6.0 (2016-12) E-UTRAN Overall description
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記文献に記載の技術で、リモートUEで受信信号強度が一番高いリレーUE候補を自身のリレーUEとして選択した場合、リモートUEの送信電力は抑えられるが、逆にリレーUEの送信電力を高くしなければならないということが起こり得る。つまり、基地局が管理するセルでのトータルの消費電力は最適化されていない。
【0009】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る通信処理システムは、
通信端末と、
基地局と、
前記通信端末と前記基地局との通信を中継する複数の中継局と、
前記通信端末において、前記複数の中継局から受信した信号の強度を第1受信信号強度として測定する第1測定手段と、
前記複数の中継局において、前記基地局から受信した信号の強度を第2受信信号強度として測定する第2測定手段と、
前記基地局において、前記基地局と前記通信端末とを前記複数の中継局を経由して接続する複数の通信経路のうち、前記第1受信信号強度と前記第2受信信号強度との信号強度の差がより少ない通信経路を選択する選択手段と、
を備える。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る通信処理方法は、
通信端末と、基地局と、前記通信端末と前記基地局との通信を中継する複数の中継局と、を有する通信処理システムの通信処理方法であって、
前記通信端末において、前記複数の中継局から受信した信号の強度を第1受信信号強度として測定する第1測定ステップと、
前記複数の中継局において、前記基地局から受信した信号の強度を第2受信信号強度として測定する第2測定ステップと、
前記基地局において、前記基地局と前記通信端末とを前記複数の中継局を経由して接続する複数の通信経路のうち、前記第1受信信号強度と前記第2受信信号強度との信号強度の差がより少ない通信経路を選択する選択ステップと、
を含む。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係る基地局は、
通信端末と基地局との通信を中継する複数の中継局から前記通信端末が受信した信号の強度を、第1受信信号強度として受信する第1受信手段と、
前記基地局から前記複数の中継局が受信した信号の強度を、第2受信信号強度として受信する第2受信手段と、
前記基地局と前記通信端末とを前記複数の中継局を経由して接続する複数の通信経路のうち、前記第1受信信号強度と前記第2受信信号強度との信号強度の差がより少ない通信経路を選択する選択手段と、
を備える。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る通信処理装置の制御プログラムは、
信端末と基地局との通信を中継する複数の中継局から前記通信端末が受信した信号の強度を、第1受信信号強度として受信する第1受信ステップと、
記基地局から前記複数の中継局が受信した信号の強度を、第2受信信号強度として受信する第2受信ステップと、
前記基地局と前記通信端末とを前記複数の中継局を経由して接続する複数の通信経路のうち、前記第1受信信号強度と前記第2受信信号強度との信号強度の差がより少ない通信経路を選択する選択ステップと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基地局が管理するセルでのトータルの消費電力を適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る通信処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る通信処理システムの構成を示す図である。
図3A】前提技術としての通信処理システムの標準構成を示すブロック図である。
図3B】前提技術としての通信処理システムの標準動作を示すシーケンス図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る通信処理システムの動作を示すシーケンス図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る通信処理装置(基地局:eNB)の機能構成を示すブロック図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る基地局データベースの構成を示す図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る通信経路設定部の機能構成を示すブロック図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る中継局(リレーUE)の機能構成を示すブロック図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る通信端末(リモートUE)の機能構成を示すブロック図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る通信処理装置(基地局:eNB)のハードウェア構成を示すブロック図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る通信処理装置(基地局:eNB)の処理手順を示すフローチャートである。
図12】本発明の第3実施形態に係る通信処理システムの構成を示す図である。
図13】本発明の第3実施形態に係る通信経路設定部の機能構成を示すブロック図である。
図14】本発明の第3実施形態に係る通信処理装置(基地局:eNB)の処理手順を示すフローチャートである。
図15】本発明の第4実施形態に係る通信処理システムの構成を示す図である。
図16】本発明の第4実施形態に係る通信経路設定部の機能構成を示すブロック図である。
図17】本発明の第4実施形態に係る通信処理装置(基地局:eNB)の処理手順を示すフローチャートである。
図18】本発明の第5実施形態に係る通信経路設定部の機能構成を示すブロック図である。
図19】本発明の第5実施形態に係る中継局制限情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素は単なる例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0018】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態として通信処理システム100について、図1を用いて説明する。通信処理システム100は、中継局を有するシステムである。
【0019】
図1に示すように、通信処理システム100は、通信端末101と、基地局102と、複数の中継局103と、第1測定部111と、第2測定部131と、選択部121と、を含む。複数の中継局103は、通信端末101と基地局102との通信を中継する。第1測定部111は、通信端末101において、複数の中継局103からの第1受信信号強度を測定する。第2測定部131は、複数の中継局103において、基地局102からの第2受信信号強度を測定する。選択部121は、基地局102と複数の中継局103と通信端末101とを接続する複数の通信経路のうち、第1受信信号強度と第2受信信号強度とを比較して、その信号強度の差がより少ない通信経路を選択する。
【0020】
本実施形態によれば、信号強度の差がより少ない通信経路を選択することにより、基地局が管理するセルでのトータルの消費電力を適切に管理することができる。
【0021】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る通信処理システムについて説明する。本実施形態に係る通信処理システムにおいては、通信端末が測定する中継局からの受信信号強度と、中継局が測定する基地局からの受信信号強度とを比較して、その差がより少ない通信端末と基地局とを中継する中継局を選択する。
【0022】
《通信処理システムの構成概要》
図2は、本実施形態に係る通信処理システム200の構成を示す図である。図2は、基地局220が管理するセル内における、中継局231〜233を中継する通信端末210と基地局220との通信経路の確定について示す。
【0023】
図2において、A1〜A3は基地局220からの中継局231〜233での受信信号強度の測定結果である。また、B1〜B3は中継局231〜233からの通信端末210での受信信号強度の測定結果である。
【0024】
基地局220において、各中継局221に対応付けて、第1受信信号強度222(A1〜A3)と第2受信信号強度222(B1〜B3)とを収集し、その信号強度の差224を求める。そして、信号強度の差224が最も少ない中継局(Relay-UE2)を、基地局220と通信端末210とを中継する中継局として選択する(225参照)。中継局(Relay-UE2)を使用することによって、通信端末210の消費電力を抑制すると共に、中継局230の消費電力を抑制することができ、通信処理システム200全体のトータルな消費電力を適切化できる。
【0025】
《前提技術》
図3Aおよび図3Bに従って、本実施形態の技術範囲における受信信号強度測定に関連する前提技術について説明する。
【0026】
図3Aは、前提技術としての通信処理システム300の標準構成を示すブロック図である。図3Aは、非特許文献1の「4.4.3 ProSe UE-to-Network Relay for Public Safety」のFigure 4.4.3-1に図示された、その通信処理システム300のアーキテクチャモデルである。また、図3Bは、前提技術としての通信処理システム300の標準動作を示すシーケンス図である。図3Bは、非特許文献1の「5.4.4 Direct communication via ProSe UE-to-Network Relay」のFigure 5.4.4.1-1に図示された、UE-to-Network Relay経由のProSe(D2D)接続を確立する手順である。
【0027】
以下、Figure 5.4.4.1-1を元に、UE-to-Network Relay のコネクション確立手順(S300)の概要を紹介する。1. UE-to-Network RelayノードはE-UTRANにアタッチし、PDNコネクションを確立する。2.リモートUEはModel-AまたはModel-Bディスカバリ手順を使ってUE-to-Network Relayノードを検索する。3.リモートUEはUE-to-Network Relayノードを選択しコネクションを確立する。4.UE-to-Network RelayノードはリモートUEのIPアドレスを設定する。5.UE-to-Network RelayノードはリモートUE IDとIP情報をMMEに報告する。6.MMEはリモート User IDとIP情報をS-GWとP-GWに報告する。7.リモートUEとP-GW間でリレートラフィックが送受信される。
【0028】
なお、Figure 5.4.4.1-1 の説明として、「リモートUEは、リレーUEを使った接続後も、リレーUEの再選択のため、リレーUEから送られるディスカバリメッセージの信号強度の測定を継続する」との記載がある。
【0029】
また、非特許文献2の「23.10.4 Sidelink Communication via ProSe UE-to-Network Relay」には、「UEが、リレーUEとして動作できるかどうかは基地局が制御すること」、また、「リモートUEが、最良のPC5リンク品質のリレーUEを選択すること、およびPC5リンクの信号強度があらかじめ設定された閾値を下回った場合、リレーUEの再選択プロセスを行うこと」の記載がある。
【0030】
《前提技術の課題》
ここで、図3BのステップS300において、リモートUEは、リレーUEの選択または再選択の必要性が発生した場合、複数のリレーUE候補から送られてくるディスカバリ・アナウンスメント・メッセージの受信信号強度を測定し、最もリンク品質がよいリレーUE候補を自身のリレーUEとして選択する。しかし、リモートUEとリレーUE間のリンク品質がよいということは、一部の例外(干渉や建物による反射、遮蔽など)を除き、その距離も近い場合が多いと考えられる。またリモートUEとリレーUEが近いということは、逆にリレーUEと基地局の距離は遠いことが推測される。つまりリモートUEで受信信号強度が一番高いリレーUE候補を自身のリレーUEとして選択した場合、リモートUEの送信電力は抑えられるが、逆にリレーUEの送信電力を高くしなければならないということが起こり得る。つまり基地局が管理するセルでのトータルの消費電力は最適化されていない。
【0031】
《本実施形態による解決技術》
本実施形態は、上記の課題を解決または緩和するため、基地局がリモートUEと複数のリレーUE候補についての状態情報を取得し、この情報をもとにリモートUEに対し最適なリレーUEを選択させるものである。なお、本実施形態のリモートUEは、IoT(Internet of Things)デバイス、MTC(Machine Type Communication)デバイスおよびM2M(Machine to Machine)デバイスなどを含む。
【0032】
《通信処理システムの動作シーケンス》
図4は、本発明の第2実施形態に係る通信処理システム200の動作を示すシーケンス図である。図4は、図3BのステップS300において、本実施形態に係る新たな条件に基づいて中継局を選択するシーケンスである。
【0033】
基地局220は、ステップS401において、ディスカバリ用信号の周波数および測定周期を、中継局231〜23nおよび通信端末210に設定する。以降、この周波数および測定周期に同期して、受信信号強度の測定が繰り返される。
【0034】
基地局220は、ステップS403において、中継局が信号強度を測定するディスカバリ用信号を発信する。そして、基地局220は、ステップS405において、各中継局が測定した受信信号強度を収集して記憶する。
【0035】
中継局231〜23nは、ステップS407において、通信端末210が信号強度を測定するディスカバリ用信号を発信する。なお、本実施形態においては、中継局430から周期的にディスカバリ・アナウンスメント・メッセージ(Discovery Announcement Message)を送信する“Model A”の場合で説明するが、通信端末410からディスカバリ・レスポンス・メッセージ(Discovery Response Message)を要求する“Model B”であってもよい。そして、基地局220は、ステップS409において、通信端末210が測定した各中継局からの受信信号強度を収集して記憶する。
【0036】
基地局220は、ステップS411において、収集した中継局や通信端末が受信した受信信号強度から、信号強度差のより少ない中継局を選択する。そして、基地局220は、ステップS413において、通信端末210に対して接続する中継局を指示することにより、通信経路が確定する。
【0037】
《通信処理装置の機能構成》
図5は、本実施形態に係る通信処理装置220(基地局:eNB)の機能構成を示すブロック図である。なお、図5には、本実施形態に関連する機能構成部を示し、通信処理装置220が有する他の機能については図示を省略している。
【0038】
通信処理装置220は、通信制御部501と、基地局データベース502と、中継局受信信号強度取得部503と、通信端末受信信号強度取得部504と、通信経路設定部505と、受信信号測定用パラメータ設定部506と、通信端末位置登録部507と、を備える。
【0039】
通信制御部501は、通信処理装置220と中継局230あるいはMMEなどの上位装置との通信を制御する。なお、図5には記載していないが、通信処理装置220と通信端末210との通信を制御してもよい。また、図5では、1つの通信制御部501が下位装置および上位装置の両方との通信を制御するように記載するが、下位装置用通信制御部と上位装置用通信制御部を別途、設けてもよい。
【0040】
基地局データベース502は、基地局としての通信処理装置220の動作に必要なデータを格納する。中継局受信信号強度取得部503は、中継局で測定した基地局からの受信信号強度を、中継局から取得して基地局データベース502に格納する。通信端末受信信号強度取得部504は、通信端末で測定した中継局からの受信信号強度を、通信端末から中継局を介して取得して基地局データベース502に格納する。通信経路設定部505は、基地局データベース502に格納された受信信号強度の測定結果を含む通信履歴情報から、通信端末210に接続する中継局230を選択して設定するよう指示する。受信信号測定用パラメータ設定部506は、基地局データベース502を参照して、通信端末210や中継局230に受信信号測定用パラメータを設定する。通信端末位置登録部507は、本基地局のセル内に在圏する通信端末210の位置を受信し、MME(Mobility Management Entity)などの上位装置に位置登録する。
【0041】
(基地局データベース)
図6は、本実施形態に係る基地局データベース502の構成を示す図である。基地局データベース502は、本実施形態の通信処理装置220の動作に必要なデータを格納する。
【0042】
基地局データベース502は、セル内の通信端末210および中継局230に対し本実施形態の制御を実現するためのパラメータを格納するパラメータ格納部610と、通信処理装置220が制御するセル内の通信端末210の受信信号強度の測定結果を含む通信端末情報格納部620と、通信処理装置220が制御するセル内の中継局230の受信信号強度の測定結果を含む中継局情報格納部630と、を含む。
【0043】
パラメータ格納部610は、通信端末でのディスカバリ処理に必要な通信端末信号強度測定パラメータ611と、中継局でのディスカバリ処理に必要な中継局信号強度測定パラメータ612と、を記憶する。通信端末信号強度測定パラメータ611および中継局信号強度測定パラメータ612は、それぞれ信号の周波数と測定周期とを含む。
【0044】
通信端末情報格納部620は、セル内に在圏する通信端末ID621に対応付けた、通信端末位置622と、各中継局からの信号強度測定結果623と、を記憶する。信号強度測定結果623は、中継局IDと信号強度とを対応付けて記憶する。
【0045】
中継局情報格納部630は、セル内に在圏する中継局ID631に対応付けた、中継局位置632と、基地局からの信号強度測定結果633と、を記憶する。
【0046】
(通信経路設定部)
図7は、本実施形態に係る通信経路設定部505の機能構成を示すブロック図である。
【0047】
通信経路設定部505は、通信端末受信信号強度取得部701と、中継局受信信号強度取得部702と、受信信号強度比較部703と、差分最小中継局選択部704と、選択中継局通知部705と、を有する。
【0048】
通信端末受信信号強度取得部701は、基地局データベース502に格納された各通信端末が測定した中継局からの受信信号強度を取得する。中継局受信信号強度取得部702は、基地局データベース502に格納された各中継局が測定した中継局からの受信信号強度を取得する。受信信号強度比較部703は、仮通信経路に従う通信端末受信信号強度と中継局受信信号強度とを順次に比較する。差分最小中継局選択部704は、受信信号強度比較部703による比較結果の中で、差分が最小となる中継局を通信端末に接続先として選択する。選択中継局通知部705は、差分最小中継局選択部704が選択した中継局を通信端末に接続先として通知する。
【0049】
《中継局の機能構成》
図8は、本実施形態に係る中継局230(リレーUE)の機能構成を示すブロック図である。なお、図8には、本実施形態に関連する機能構成部を示し、中継局230が有する他の機能については図示を省略している。
【0050】
中継局230は、通信制御部801と、中継局データベース802と、中継処理パラメータ取得部803と、通信中継処理部804と、ディスカバリ処理制御部805と、受信信号強度測定処理部806と、電源(バッテリ)807と、を備える。
【0051】
通信制御部801は、中継局230と基地局220あるいは通信端末210との通信を制御する。なお、図8には記載していないが、他の中継局230との通信を制御してもよい。また、図8では、1つの通信制御部801が基地局220と通信端末210との両方との通信を制御するように記載するが、基地局用通信制御部と通信端末用通信制御部を別途、設けてもよい。
【0052】
中継局データベース802は、ディスカバリ処理パラメータ821を有し、中継局830の動作に必要なデータを格納する。中継処理パラメータ取得部803は、基地局220から設定される中継処理に必要なパラメータを取得して、中継局データベース802に格納する。通信中継処理部804は、中継局データベース802に格納された中継処理パラメータを用いて、基地局220と通信端末210との通信を中継する。ディスカバリ処理制御部805は、中継局データベース802のディスカバリ処理パラメータ821に格納されたパラメータを用いて、接続する通信端末210に対しディスカバリ処理を制御する。受信信号強度測定処理部806は、基地局220からの受信信号強度を測定して基地局に通知する。電源(バッテリ)807は、中継局230を動作させるための電源である。
【0053】
《通信端末の機能構成》
図9は、本実施形態に係る通信端末210(リモートUE)の機能構成を示すブロック図である。なお、図9には、本実施形態に関連する機能構成部を示し、通信端末210が有する他の機能については図示を省略している。
【0054】
通信端末210は、通信制御部901と、通信端末データベース902と、通信処理パラメータ取得部903と、通信処理部904と、受信信号強度測定処理部905と、電源(バッテリ)906と、を備える。
【0055】
通信制御部901は、通信端末210と中継局230との通信を制御する。なお、図9には記載していないが、基地局220や他の通信端末210との通信を制御してもよい。
【0056】
通信端末データベース902は、通信端末210の動作に必要なデータを格納する。通信処理パラメータ取得部903は、基地局220から設定される通信処理に必要なパラメータを取得して、通信端末データベース902に格納する。通信処理部904は、通信端末データベース902に格納された通信処理パラメータを用いて、中継局230を中継する基地局220との通信を処理する。なお、通信処理部904は、受信信号強度の測定結果に基づく中継局の再選択処理も行なう。受信信号強度測定処理部905は、通信端末データベース902に格納されたパラメータを用いて、中継局230から送信される受信信号強度を測定して、中継局を介して基地局に通知する。電源(バッテリ)906は、通信端末210用の電源である。
【0057】
《通信処理装置のハードウェア構成》
図10は、本実施形態に係る通信処理装置220(基地局:eNB)のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0058】
図10で、CPU(Central Processing Unit)1010は演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで図5の機能構成部を実現する。CPU1010は複数のプロセッサを有し、異なるプログラムやモジュール、タスク、スレッドなどを並行して実行してもよい。ROM(Read Only Memory)1020は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびプログラムを記憶する。ネットワークインタフェース1030は、ネットワークを介して、中継局230、通信端末210あるいは他の上位装置との通信を制御する。
【0059】
RAM(Random Access Memory)1040は、CPU1010が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM1040には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する領域が確保されている。通信端末情報1041は、基地局としての通信処理装置220のセルの在圏内にいる通信端末の情報である。通信端末情報1041は、各通信端末の通信端末IDに対応付けて、通信端末位置データおよび受信信号強度データなどを含む。中継局情報1042は、基地局としての通信処理装置220のセルの在圏内にいる中継局の情報である。中継局情報1042は、各中継局の中継局IDに対応付けて、中継局位置データおよび受信信号強度データなどを含む。受信信号測定用パラメータ1143は、中継局230および通信端末210で受信信号強度を測定するために用いるパラメータである。中継局選択テーブル1044は、本実施形態の中継局選択のアルゴリズムに相当するテーブルである。送受信データ1045は、ネットワークインタフェース1030を介して、中継局230、通信端末210あるいは他の上位装置と送受信するデータである。
【0060】
ストレージ1050は、データベースや各種のパラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。基地局データベース502は、図6に示したデータベースである。ストレージ1050には、以下のプログラムが格納される。基地局制御プログラム1051は、情報処理装置220全体の情報処理を制御するプログラムである。通信端末受信信号強度取得モジュール1052は、通信端末210が測定した受信信号強度を通信端末から中継局を介して取得して基地局データベース502に蓄積するモジュールである。中継局受信信号強度取得モジュール1053は、中継局230が測定した受信信号強度を中継局から取得して基地局データベース502に蓄積するモジュールである。通信経路設定モジュール1054は、基地局データベース502の通信履歴を参照して接続する中継局430を選択して、基地局と通信端末間の通信経路を設定するモジュールである。受信信号測定用パラメータ設定モジュール1055は、受信信号強度を所定周期で測定するためのパラメータを設定するためのモジュールである。通信端末位置登録モジュール1056は、セル内に在圏する通信端末の位置を登録するためのモジュールである。
【0061】
なお、図10のRAM1040やストレージ1050には、通信処理装置220が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関連するプログラムやデータは図示されていない。
【0062】
《通信処理装置の処理手順》
図11は、本実施形態に係る通信処理装置220(基地局:eNB)の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、図10のCPU1010がRAM1040を用いて実行し、図5の機能構成部を実現する。
【0063】
通信処理装置220は、ステップS1101において、強度測定用信号の周波数および測定周期を、通信端末と中継局とに設定する。通信処理装置220は、ステップS1103において、中継局に向けた信号を発信して、中継局で測定された受信信号強度を取得する。通信処理装置220は、ステップS1105において、中継局から発信されて、通信端末で測定された受信信号強度を、中継局を介して取得する。
【0064】
通信処理装置220は、ステップS1107において、仮通信経路の中継局の受信信号強度と通信端末の受信信号強度とを比較して、比較結果である差分値を記憶する。通信処理装置220は、ステップS1109において、比較してない他の中継局が残っている場合は、ステップS1107を繰り返す。
【0065】
他の中継局が残ってなければ、通信処理装置220は、ステップS1111において、受信信号強度の差が最も小さい中継局を選択する。そして、通信処理装置220は、ステップS1113において、選択された中継局を通信端末に通知して、データ通信処理を実行させる。
【0066】
本実施形態によれば、通信端末で測定される中継局からの受信信号強度と、中継局で測定される基地局からの受信信号強度との差が少ない中継局を選択するので、基地局が管理するセルでのトータルの消費電力を適切に管理することができる。
【0067】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る通信処理システムについて説明する。本実施形態に係る通信処理システムは、上記第2実施形態と比べると、複数の中継局によって基地局と通信端末間を中継する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0068】
《通信処理システムの構成概要》
図12は、本実施形態に係る通信処理システム1200の構成を示す図である。なお、図12において、図2と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
【0069】
図12は、基地局1220が管理するセル内における、中継局231〜233を中継する通信端末210と基地局1220との通信経路の確定について示す。図12においては、複数の中継局による中継もできる。
【0070】
図12において、A1〜A3は基地局220からの中継局231〜233での受信信号強度の測定結果である。また、B1〜B3は中継局231〜233からの通信端末210での受信信号強度の測定結果である。さらに、C32は、中継局233からの中継局232での受信信号強度の測定結果である。
【0071】
基地局1220において、各中継局221に対応付けて、第1受信信号強度222(A1〜A3)と第2受信信号強度222(B1〜B3)と、さらに、第3受信信号強度1224(C12、C13、C23、C32など)を収集し、その信号強度の差1225を求める。そして、信号強度の差1225が最も少ない中継局(Relay-UE3)および中継局(Relay-UE2)を、基地局220と通信端末210とを中継する中継局として選択する(1226参照)。中継局(Relay-UE3)および中継局(Relay-UE2)を使用することによって、通信端末210の消費電力を抑制すると共に、中継局の消費電力を抑制することができ、通信処理システム200全体のトータルな消費電力を適切化できる。
【0072】
(通信経路設定部)
図13は、本実施形態に係る通信経路設定部1305の機能構成を示すブロック図である。なお、図13において、図7と同様の機能構成部には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
【0073】
通信経路設定部1305は、中継局間受信信号強度取得部1306と、差分最小中継局組選択部1304と、を有する。中継局間受信信号強度取得部1306は、基地局データベース502に格納された中継局間で測定した受信信号強度を取得する。差分最小中継局組選択部1304は、受信信号強度比較部703による受信信号強度の比較結果から、複数の中継局の組による中継を選択する。
【0074】
《通信処理装置の処理手順》
図14は、本実施形態に係る通信処理装置1220(基地局:eNB)の処理手順を示すフローチャートである。なお、図14において、図11と同様のステップには同じステップ番号を付して、重複する説明は省略する。
【0075】
通信処理装置1220は、ステップS1406において、中継局から発信されて、他の中継局で測定された受信信号強度を取得する。
【0076】
通信処理装置1220は、ステップS1407において、仮通信経路の中継局の受信信号強度と通信端末の受信信号強度と中継局間の受信信号強度とを比較して、比較結果である差分値を記憶する。通信処理装置1220は、ステップS1409において、比較してない他の仮通信経路が残っている場合は、ステップS1407を繰り返す。
【0077】
他の仮通信経路が残ってなければ、通信処理装置1220は、ステップS1411において、受信信号強度の差が最も小さい中継局組を選択する。そして、通信処理装置1220は、ステップS1413において、選択された中継局組の通信経路を通信端末および中継局に通知して、データ通信処理を実行させる。
【0078】
本実施形態によれば、測定した受信信号強度の差が少なくなるように複数の中継局を含む通信経路を選択するので、基地局が管理するセルでのトータルの消費電力をより適切に管理することができる。
【0079】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る通信処理システムについて説明する。本実施形態に係る通信処理システムは、上記第2実施形態および第3実施形態と比べると、基地局が管理するセル内での各通信機能要素による消費電力をトータルに管理できる点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0080】
《通信処理システムの構成概要》
図15は、本実施形態に係る通信処理システム1500の構成を示す図である。なお、図15において、図2と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
【0081】
図15は、基地局1520が管理するセル内における、中継局231〜23mを中継する通信端末211〜21nと基地局1220との通信経路の確定について示す。図15においては、複数の中継局による中継もでき、個々の基地局と通信端末との通信経路でなく、セル内でのトータルな通信経路が電源消費の偏りを無くした安定した通信処理システムを実現する。
【0082】
図15において、A1〜A4は基地局1520からの中継局231〜234での受信信号強度の測定結果である。また、B11〜Bmnは中継局231〜23mからの通信端末211〜21nでの受信信号強度の測定結果である。さらに、C12〜Cmmは、中継局231からの中継局23mでの受信信号強度の測定結果である。
【0083】
本実施形態においては、基地局1520において、受信信号強度の上限値1521と下限値1522とを記憶し、この上限値1521と下限値1522との間に、全ての受信信号強度が含まれるように、中継局を中継する通信経路を選択する。かかる上限値1521を超える場合は、2つの通信機器が接近し過ぎていて無駄な中継であることを意味し、下限値1522を下回る場合は、2つの通信機器が離れ過ぎていて通信品質が不安定であることを意味する。このような上限値1521と下限値1522との設定が可能である。
【0084】
(通信経路設定部)
図16は、本実施形態に係る通信経路設定部1605の機能構成を示すブロック図である。なお、図16において、図7または図13と同様の機能構成部には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
【0085】
通信経路設定部1605は、上限/下限信号強度取得部1607と、受信信号強度比較部1603と、強度範囲内中継局選択部1604と、を有する。上限/下限信号強度取得部1607は、基地局データベース502から受信信号強度の上限値と下限値とを取得する。受信信号強度比較部1603は、受信信号強度を互いに比較するのでなく、受信信号強度が上限値と下限値との間に収まるか否かを比較する。そして、強度範囲内中継局選択部1604は、全ての受信信号強度が上限値と下限値間に収まる中継局の選択を通信端末および中継局に通知する。
【0086】
《通信処理装置の処理手順》
図17は、本実施形態に係る通信処理装置1520(基地局:eNB)の処理手順を示すフローチャートである。なお、図17において、図11または図14と同様のステップには同じステップ番号を付して、重複する説明は省略する。
【0087】
通信処理装置1520は、ステップS1701において、基地局データベース502から受信信号強度の上限値および下限値を取得する。
【0088】
通信処理装置1520は、ステップS1707において、基地局と中継局間の受信信号強度と、中継局と通信端末間の受信信号強度と、中継局間の受信信号強度とを、それぞれ上限値および下限値と比較して、比較結果を記憶する。通信処理装置1520は、ステップS1709において、比較してない他の仮通信経路の受信信号強度が残っている場合は、ステップS1707を繰り返す。
【0089】
他の仮通信経路の受信信号強度が残ってなければ、通信処理装置1520は、ステップS1711において、全体の受信信号強度が上限値と下限値間にあるように通信経路を選択する。そして、通信処理装置1520は、ステップS1713において、選択された中継局組の通信経路を通信端末および中継局に通知して、データ通信処理を実行させる。
【0090】
本実施形態によれば、測定した受信信号強度が上限値と下限値との間となるように全通信機能要素を含む通信経路を選択するので、基地局が管理するセルでのトータルの消費電力をさらに適切に管理することができる。
【0091】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る通信処理システムについて説明する。本実施形態に係る通信処理システムは、上記第2実施形態乃至第4実施形態と比べると、中継局の制限を考慮して通信経路を選択する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0092】
(通信経路設定部)
図18は、本実施形態に係る通信経路設定部1805の機能構成を示すブロック図である。図18において、図7または図13と同じ機能構成部には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
【0093】
通信経路設定部1805は、中継局制限情報取得部1808と、中継局組選択部1804(中継局制限考慮)と、を有する。中継局制限情報取得部1808は、基地局データベース502から中継局制限情報を取得する。中継局組選択部1804は、中継局制限情報を考慮して中継局組を選択する。
【0094】
(中継局制限情報)
図19は、本実施形態に係る中継局制限情報1926を示す図である。なお、図19は、図2または図12に図示の中継局選択テーブルと同様の機能要素には同じ参照番号を付して、重複する説明は省略する。
【0095】
中継局制限情報1926は、例えば、各々の中継局が中継可能な通信数(チャネル数)や、現在使用中の通信数(チャネル数)、バッテリの残量、などが含まれる。これらの制限情報を、受信信号強度による中継局選択と組み合わせて、より安定的に電力消費を管理する。なお、これらの制限情報は中継局選択において優先順位を付けて考慮されてよい。例えば、バッテリの残量は選択を避ける最優先の制限となる。
【0096】
本実施形態によれば、中継局の制限を考慮して中継局を選択するので、通信品質を保持して基地局が管理するセルでのトータルの消費電力を適切に管理することができる。
【0097】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0098】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の範疇に含まれる。
【0099】
この出願は、2017年2月3日に出願された日本国特許出願 特願2017−018828号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19