特許第6787413号(P6787413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6787413回路モジュールおよび回路モジュールの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6787413
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】回路モジュールおよび回路モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20201109BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   H01L23/12 501P
   H01L21/56 R
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-568019(P2018-568019)
(86)(22)【出願日】2017年12月21日
(86)【国際出願番号】JP2017045889
(87)【国際公開番号】WO2018150724
(87)【国際公開日】20180823
【審査請求日】2019年7月2日
(31)【優先権主張番号】特願2017-28308(P2017-28308)
(32)【優先日】2017年2月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和茂
(72)【発明者】
【氏名】頭島 淳
(72)【発明者】
【氏名】江下 雄也
(72)【発明者】
【氏名】天知 伸充
【審査官】 多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−110337(JP,A)
【文献】 特開2009−289866(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/035655(WO,A1)
【文献】 特開2011−243922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/339、21/54−21/56、
23/00−23/26、27/14−27/148、
29/762
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、電子部品と、複数の接続導体と、複数の外部接続端子と、樹脂層とを備えた回路モジュールであって、
前記基板の一方主面には、第1の配線パターンが設けられており、
前記電子部品は、前記第1の配線パターンに接続され、前記第1の配線パターンと共に第1の電子回路を構成している第1の電子部品を含んでおり、
前記複数の接続導体は、各々前記第1の電子回路と前記複数の外部接続端子のうちの1つとを接続しており、
前記複数の接続導体のうちの少なくとも1つは、前記基板の一方主面の法線方向に延伸する第1の柱状導体と、前記基板の一方主面に平行な方向に延伸する板状導体とを含んでおり、
前記第1の柱状導体の一端は、前記第1の配線パターンまたは前記第1の電子部品に接続され、前記第1の柱状導体の他端は、前記板状導体に接続されており、
前記複数の外部接続端子のうちの少なくとも1つは、前記基板の一方主面の法線方向に延伸する第2の柱状導体であり、
前記樹脂層は、前記基板の一方主面上に設けられている第1の樹脂層と、前記第1の樹脂層上に設けられている第2の樹脂層とを含んでおり、
前記第1の電子部品と前記第1の柱状導体とは、前記第1の樹脂層に包埋され、前記板状導体と前記第2の柱状導体とは、前記第2の樹脂層に包埋されており、
前記第1の柱状導体の、前記基板の一方主面の法線方向に直交する断面積は、前記第2の柱状導体の、前記基板の一方主面の法線方向に直交する断面積より小さく、
前記第1の柱状導体と前記板状導体と前記第2の柱状導体とは、同一の材料で、一体の部材として形成されており、
前記第1の柱状導体は、前記第1の配線パターンまたは前記第1の電子部品に導電性接着剤を用いずに直接接続されていることを特徴とする、回路モジュール。
【請求項2】
前記基板は、他方主面に第2の配線パターンがさらに設けられており、
前記電子部品は、前記第2の配線パターンに接続され、前記第2の配線パターンと共に第2の電子回路を構成している第2の電子部品をさらに含んでおり、
前記樹脂層は、前記基板の他方主面上に設けられている第3の樹脂層をさらに含んでおり、
前記第2の電子部品は、前記第3の樹脂層に包埋されていることを特徴とする、請求項1に記載の回路モジュール。
【請求項3】
基板と、電子部品と、複数の接続導体と、複数の外部接続端子と、樹脂層とを備えた回路モジュールの製造方法であって、
前記基板の一方主面には、第1の配線パターンが設けられており、
前記電子部品は、第1の電子部品を含んでおり、
前記複数の接続導体のうちの少なくとも1つは、前記基板の一方主面の法線方向に延伸する第1の柱状導体と、前記基板の一方主面に平行な方向に延伸する板状導体とを含んでおり、
前記複数の外部接続端子のうちの少なくとも1つは、前記基板の一方主面の法線方向に延伸する第2の柱状導体であり、
前記第1の柱状導体の、前記基板の一方主面の法線方向に直交する断面積は、前記第2の柱状導体の、前記基板の一方主面の法線方向に直交する断面積より小さく、
前記樹脂層は、第1の樹脂層と、第2の樹脂層とを含んでおり、
前記基板および前記第1の電子部品を含む前記電子部品を準備または作製する第1の工程と、
前記第1の配線パターンと共に第1の電子回路を構成するように、前記第1の電子部品を前記第1の配線パターンに接続する第2の工程と、
金属ナノ粒子を含む導電性インクを用いたインクジェット法により作製された成形体を焼結させて、一端が前記第1の配線パターンまたは前記第1の電子部品に導電性接着剤を用いずに直接接続されるように、前記第1の柱状導体を形成する第3の工程と、
前記第1の樹脂層を前記基板の一方主面上に形成し、前記第1の柱状導体の他端が前記第1の樹脂層の表面から露出するようにして、前記第1の配線パターン、前記第1の電子部品および前記第1の柱状導体を前記第1の樹脂層中に包埋する第4の工程と、
金属ナノ粒子を含む導電性インクを用いたインクジェット法により作製された成形体を焼結させて、前記第1の柱状導体の他端に接続されるように、前記板状導体を前記第1の樹脂層の表面に形成する第5の工程と、
金属ナノ粒子を含む導電性インクを用いたインクジェット法により作製された成形体を焼結させて、前記第2の柱状導体を形成する第6の工程と、
前記第2の樹脂層を前記第1の樹脂層の表面上に形成し、前記第2の柱状導体の他端が前記第2の樹脂層の表面から露出するようにして、前記板状導体および前記第2の柱状導体を前記第2の樹脂層中に包埋する第7の工程とを備えることを特徴とする、回路モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記基板の他方主面には、第2の配線パターンがさらに設けられており、
前記電子部品は、第2の電子部品をさらに含んでおり、
前記樹脂層は、前記基板の他方主面上に設けられている第3の樹脂層をさらに含んでおり、
前記第1の工程は、前記基板および前記第1の電子部品ならびに前記第2の電子部品を含む前記電子部品を準備または作製する工程であり、
前記第2の配線パターンと共に第2の電子回路を構成するように、前記第2の電子部品を前記第2の配線パターンに接続する第8の工程と、
前記第3の樹脂層を前記基板の他方主面上に形成し、前記第2の配線パターンおよび前記第2の電子部品を前記第3の樹脂層中に包埋する第9の工程をさらに備えることを特徴とする、請求項に記載の回路モジュールの製造方法。
【請求項5】
基板と、電子部品と、複数の接続導体と、複数の外部接続端子と、樹脂層とを備えた回路モジュールであって、
前記基板の一方主面には、第1の配線パターンが設けられており、
前記電子部品は、前記第1の配線パターンに接続され、前記第1の配線パターンと共に第1の電子回路を構成している第1の電子部品を含んでおり、
前記複数の接続導体は、各々前記第1の電子回路と前記複数の外部接続端子のうちの1つとを接続しており、
前記複数の接続導体のうちの少なくとも1つは、前記基板の一方主面の法線方向に延伸する第1の柱状導体と、前記基板の一方主面に平行な方向に延伸する板状導体とを含んでおり、
前記第1の柱状導体の一端は、前記第1の電子部品の素体に接続され、前記第1の柱状導体の他端は、前記板状導体に接続されており、
前記複数の外部接続端子のうちの少なくとも1つは、前記基板の一方主面の法線方向に延伸する第2の柱状導体であり、
前記樹脂層は、前記基板の一方主面上に設けられている第1の樹脂層と、前記第1の樹脂層上に設けられている第2の樹脂層とを含んでおり、
前記第1の電子部品と前記第1の柱状導体とは、前記第1の樹脂層に包埋され、前記板状導体と前記第2の柱状導体とは、前記第2の樹脂層に包埋されており、
前記第1の柱状導体の、前記基板の一方主面の法線方向に直交する断面積は、前記第2の柱状導体の、前記基板の一方主面の法線方向に直交する断面積より小さいことを特徴とする、回路モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板と、基板に接続され電子回路を構成している電子部品と、外部接続端子と、電子回路と外部接続端子とを接続する接続導体と、樹脂層とを備えた回路モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
基板と、基板に接続され電子回路を構成している電子部品と、基板に接続された金属柱と、樹脂層とを備えた回路モジュールが既に知られている。そのような回路モジュールの一例として、国際公開第WO2013/035714号(特許文献1)(日本国特許第5768888号に対応)に記載された回路モジュールが挙げられる。
【0003】
図6は、特許文献1に記載の回路モジュール300の断面図である。図6に示すように、回路モジュール300は、基板301と、電子回路を構成している電子部品303ないし305と、金属柱308と、樹脂層309とを有する。金属柱308は、軸部308aと、軸部308aの一端に接続され、軸部308aと一体となっている板状部308bとを備えている。電子部品303ないし305および軸部308aの他端は、基板301の一方主面に接続されている。
【0004】
電子部品303ないし305と金属柱308とは、樹脂層309中に包埋されている。ただし、板状部308bの、軸部308aと接続されている側と対向する表面は、軸部308aの延伸方向に直交する断面の面積より広く、かつ樹脂層309の外表面と面一となるように樹脂層309から露出している。すなわち、板状部308bは、回路モジュール300における外部接続端子の役割を果たしている。また、軸部308aは、電子回路と外部接続端子とを接続する接続導体の役割を果たしている。
【0005】
特許文献1に記載の回路モジュール300では、基板301上での電子部品の配置密度の向上による回路モジュール300の小型化と、電子機器のマザー基板への接続時における接続信頼性の向上とを図ることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第WO2013/035714号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、回路モジュール300における金属柱308は、いわゆる金属ピンとして軸部308aと板状部308bとが最初から一体に製造されたものとなっている。そのため、回路モジュール300の外部接続端子の位置は、基板301上における金属柱308の位置に制限される。すなわち、外部接続端子のレイアウトの自由度が低い。
【0008】
また、特許文献1における基板301上への金属柱308の接続は、不図示の支持体に金属柱308が立設するように一旦貼り付けてから、基板301上へ金属柱308を転写することにより行なわれる。すなわち、軸部308aは、転写時の荷重印加に耐えられる程度には太くなければならない。さらに、細い軸部308aを確実に所定の位置に転写するためには、転写を行なう装置系に極めて高い位置精度が要求される。上記の要求から、特許文献1に記載の回路モジュール300の構造では、小型化が困難となっている。
【0009】
そこで、この発明の目的は、外部接続端子のレイアウトの自由度が高く、かつ小型化を進めることができる回路モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明では、外部接続端子および電子回路と外部接続端子とを接続する接続導体の形状についての改良が図られる。
【0011】
この発明は、まず回路モジュールに向けられる。
この発明に係る回路モジュールは、基板と、電子部品と、複数の接続導体と、複数の外部接続端子と、樹脂層とを備えている。基板の一方主面には、第1の配線パターンが設けられている。電子部品は、第1の電子部品を含んでいる。第1の電子部品は、第1の配線パターンに接続され、第1の配線パターンと共に第1の電子回路を構成している。複数の接続導体は、各々第1の電子回路と複数の外部接続端子のうちの1つとを接続している。複数の接続導体のうちの少なくとも1つは、基板の一方主面の法線方向に延伸する第1の柱状導体と、基板の一方主面に平行な方向に延伸する板状導体とを含んでいる。
【0012】
第1の柱状導体の一端は、第1の配線パターンまたは第1の電子部品に接続され、第1の柱状導体の他端は、板状導体に接続されている。複数の外部接続端子のうちの少なくとも1つは、基板の一方主面の法線方向に延伸する第2の柱状導体である。
【0013】
樹脂層は、基板の一方主面上に設けられている第1の樹脂層と、第1の樹脂層上に設けられている第2の樹脂層とを含んでいる。第1の電子部品と第1の柱状導体とは、第1の樹脂層に包埋されている。板状導体と第2の柱状導体とは、第2の樹脂層に包埋されている。第1の柱状導体の、基板の一方主面の法線方向に直交する断面積は、第2の柱状導体の、基板の一方主面の法線方向に直交する断面積より小さい。
【0014】
上記の回路モジュールでは、第1の柱状導体の断面積は、第2の柱状導体の断面積より小さい。したがって、基板の一方主面上における第1の電子部品および第1の柱状導体の配置密度が高くなっている。すなわち、回路モジュールの小型化が図られている。加えて、第2の柱状導体の断面積は、第1の柱状導体の断面積より大きいため、電子機器のマザー基板への接続時における接続信頼性の向上も図られている。
【0015】
さらに、上記の回路モジュールでは、外部接続端子である第2の柱状導体に至る接続導体のうちの少なくとも1つは、基板の一方主面の法線方向に延伸する第1の柱状導体と、基板の一方主面に平行な方向に延伸する板状導体とを含んでいる。したがって、第2の柱状導体の一端が第1の柱状導体と第2の柱状導体とが同一の軸線を共有しないような位置で板状導体に接続されている場合、外部接続端子のレイアウトの自由度が高くなっている。外部接続端子のレイアウトは、板状導体の長さ、延伸方向および形状と、板状導体に対する第2の柱状導体の接続位置によって、自由に変更され得る。
【0016】
なお、第1の柱状導体を形成する方法としては、例えばインクジェット法により成形体を作製した後に、焼結させる方法が挙げられるが、これに限られない。
【0017】
この発明に係る回路モジュールは、以下の特徴を備えることが好ましい。すなわち、板状導体と第2の柱状導体とは、同一の材料で、一体の部材として形成されている。
【0018】
上記の回路モジュールでは、板状導体および第2の柱状導体が異種材料の接合による界面を生成することなく、一体の部材として形成されている。したがって、両者が強固に接続されており、界面の生成による電気抵抗の増加がない。なお、板状導体と第2の柱状導体とを一体の部材として形成する方法としては、前述のように例えばインクジェット法により成形体を作製した後に、焼結させる方法が挙げられるが、これに限られない。
【0019】
この発明に係る回路モジュールの好ましい実施形態は、以下の特徴を備えることが好ましい。すなわち、第1の柱状導体と板状導体と第2の柱状導体とは、同一の材料で、一体の部材として形成されている。そして、第1の柱状導体は、第1の配線パターンまたは第1の電子部品に直接接続されている。
【0020】
上記の回路モジュールでは、第1の柱状導体、板状導体および第2の柱状導体が異種材料の接合による界面を生成することなく、一体の部材として形成されている。また、第1の柱状導体が、第1の配線パターン上または第1の電子部品上に、はんだまたは導電性接着剤などを介さず直接形成されている。すなわち、第1の配線パターンまたは第1の電子部品、第1の柱状導体、板状導体および第2の柱状導体とが強固に接続されている。
【0021】
したがって、第1の配線パターンまたは第1の電子部品から第2の柱状導体までの電気抵抗が、低く抑えられている。なお、上記の各構成要素を一体の部材として形成し、第1の配線パターンまたは第1の電子部品に直接接続する方法は、前述のようにインクジェット法により成形体を作製した後に、焼結させる方法が挙げられるが、これに限られない。
【0022】
この発明に係る回路モジュールおよびその好ましい実施形態は、以下の特徴を備えることが好ましい。すなわち、基板は、他方主面に第2の配線パターンが設けられている。電子部品は、第2の電子部品をさらに含んでいる。第2の電子部品は、第2の配線パターンに接続され、第2の配線パターンと共に第2の電子回路を構成している。樹脂層は、基板の他方主面上に設けられている第3の樹脂層をさらに含んでいる。第2の電子部品は、第3の樹脂層に包埋されている。
【0023】
上記の回路モジュールでは、基板の他方主面側に第2の電子回路が構成されることで、より高性能化が図られている。
【0024】
また、この発明は、回路モジュールの製造方法にも向けられる。
この発明に係る回路モジュールの製造方法は、基板と、電子部品と、複数の接続導体と、複数の外部接続端子と、樹脂層とを備えた回路モジュールの製造方法である。基板の一方主面には、第1の配線パターンが設けられている。電子部品は、第1の電子部品を含んでいる。
【0025】
複数の接続導体のうちの少なくとも1つは、基板の一方主面の法線方向に延伸する第1の柱状導体と、基板の一方主面に平行な方向に延伸する板状導体とを含んでいる。複数の外部接続端子のうちの少なくとも1つは、基板の一方主面の法線方向に延伸する第2の柱状導体である。第1の柱状導体の、基板の一方主面の法線方向に直交する断面積は、第2の柱状導体の、基板の一方主面の法線方向に直交する断面積より小さい。樹脂層は、第1の樹脂層と、第2の樹脂層とを含んでいる。そして、この発明に係る回路モジュールの製造方法は、以下の第1ないし第7の工程を備えている。
【0026】
第1の工程は、基板および第1の電子部品を含む電子部品が準備または作製される工程である。第2の工程は、第1の配線パターンと共に第1の電子回路を構成するように、第1の電子部品が第1の配線パターンに接続される工程である。第3の工程は、第1の柱状導体が形成される工程である。第1の柱状導体の形成は、金属ナノ粒子を含む導電性インクを用いたインクジェット法により作製された成形体が焼成されることにより行なわれる。その際、第1の柱状導体の一端は、第1の配線パターンまたは第1の電子部品に直接接続される。
【0027】
第4の工程は、第1の配線パターン、第1の電子部品および第1の柱状導体が第1の樹脂層中に包埋される工程である。第1の樹脂層は、基板の一方主面上に形成される。その際、第1の柱状導体の他端は、第1の樹脂層の表面から露出される。ここで、包埋とは、対象物が全て樹脂層によって被覆されている状態のみならず、上記のように対象物の大部分が樹脂層内にあり、一部が樹脂層から露出している状態も含む概念である。
【0028】
第5の工程は、板状導体が第1の樹脂層の表面に形成される工程である。板状導体の形成は、金属ナノ粒子を含む導電性インクを用いたインクジェット法により作製された成形体が焼成されることにより行なわれる。その際、板状導体は、第1の柱状導体の他端に接続される。第6の工程は、第2の柱状導体が形成される工程である。第2の柱状導体の形成は、金属ナノ粒子を含む導電性インクを用いたインクジェット法により作製された成形体が焼成されることにより行なわれる。
【0029】
第7の工程は、板状導体および第2の柱状導体が第2の樹脂層中に包埋される工程である。第2の樹脂層は、第1の樹脂層の表面上に形成される。その際、第2の柱状導体の他端は、第2の樹脂層の表面から露出される。ここで、包埋とは、前述の概念を指す。
【0030】
上記の回路モジュールの製造方法では、断面積が第2の柱状導体より小さい第1の柱状導体がインクジェット法により形成される。すなわち、基板の一方主面上における第1の電子部品および第1の柱状導体の配置密度および配置精度を高くすることができる。したがって、回路モジュールの小型化を図ることができる。
【0031】
この発明に係る回路モジュールの製造方法は、以下の特徴を備えることが好ましい。すなわち、基板の他方主面には、第2の配線パターンがさらに設けられている。電子部品は、第2の電子部品をさらに含んでいる。樹脂層は、第3の樹脂層をさらに含んでいる。
【0032】
この発明に係る回路モジュールの製造方法の好ましい実施形態における第1の工程は、基板および第1の電子部品ならびに第2の電子部品を含む電子部品が準備または作製される工程である。そして、この発明に係る回路モジュールの製造方法の好ましい実施形態は、以下の第8および第9の工程をさらに備えている。
【0033】
第8の工程は、第2の配線パターンと共に第2の電子回路を構成するように、第2の電子部品が第2の配線パターンに接続される工程である。第9の工程は、第2の配線パターンおよび第2の電子部品が第3の樹脂層中に包埋される工程である。第3の樹脂層は、基板の他方主面上に形成される。ここで、包埋とは、前述の概念を指す。
【0034】
上記の回路モジュールの製造方法では、基板の他方主面側に第2の電子回路が構成され、より高性能化が図られた回路モジュールを製造することができる。
【発明の効果】
【0035】
この発明に係る回路モジュールでは、板状導体の長さ、延伸方向および形状によって、第2の柱状導体の配置が自由に変更され得る。すなわち、外部接続端子のレイアウトの自由度が高くなっている。また、基板の一方主面上における第1の電子部品および第1の柱状導体の配置密度が高くなっている。すなわち、回路モジュールの小型化が図られている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1A】この発明に係る回路モジュールの第1の実施形態である回路モジュール100の外観図(底面図)である。
図1B図1AにおけるIB−IB線に関する矢視断面図である。
図1C】この発明に係る回路モジュールの第1の実施形態の変形例である回路モジュール100Aの断面図である。
図2A】回路モジュール100の製造方法の一例を説明するための図で、製造工程の一部を模式的に説明するための第1の断面図である。
図2B】回路モジュール100の製造方法の一例を説明するための図で、製造工程の一部を模式的に説明するための第2の断面図である。
図2C】回路モジュール100の製造方法の一例を説明するための図で、製造工程の一部を模式的に説明するための第3の断面図である。
図2D】回路モジュール100の製造方法の一例を説明するための図で、製造工程の一部を模式的に説明するための第4の断面図である。
図2E】回路モジュール100の製造方法の一例を説明するための図で、製造工程の一部を模式的に説明するための第5の断面図である。
図2F】回路モジュール100の製造方法の一例を説明するための図で、製造工程の一部を模式的に説明するための第6の断面図である。
図3A】回路モジュール100の製造方法の一例を説明するための図で、製造工程の一部を模式的に説明するための第7の断面図である。
図3B】回路モジュール100の製造方法の一例を説明するための図で、製造工程の一部を模式的に説明するための第8の断面図である。
図4A】この発明に係る回路モジュールの第2の実施形態である回路モジュール200について、基板1の一方主面の法線方向で、第2の樹脂層12側から見た外観図(底面図)である。
図4B図4AにおけるIVB−IVB線に関する矢視断面図である。
図5A】回路モジュール200の製造方法の一例の、一部の工程を説明するための第1の断面図である。
図5B】回路モジュール200の製造方法の一例の、一部の工程を説明するための第2の断面図である。
図5C】回路モジュール200の製造方法の一例の、一部の工程を説明するための第3の断面図である。
図5D】回路モジュール200の製造方法の一例の、一部の工程を説明するための第4の断面図である。
図6】背景技術の回路モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下にこの発明の実施形態を示して、この発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。この発明が適用される回路モジュールとしては、例えば無線LANモジュールなどの通信モジュール、アンテナスイッチモジュール、および電源モジュールなどの高周波用回路モジュールが挙げられるが、これに限られるものではない。
【0038】
− 回路モジュールの第1の実施形態 −
この発明に係る回路モジュールの第1の実施形態について、図1Aないし図3Bを用いて説明する。なお、図面は、要部のみを示すものであり、要部以外については簡略化のため言及および図示を省略している。また、以後の図面についても、同様に要部のみを示す。
【0039】
また、図面において、回路モジュールおよび各構成要素の構成および形態は模式的なものである。すなわち、以後で用いる図面は、たとえ実際の回路モジュールの構成および形態と異なる部分があったとしても、本質的な面で実際の回路モジュールを表すものと言うことができる。
【0040】
<回路モジュールの構造>
図1A図1Bは、この発明に係る回路モジュールの第1の実施形態である回路モジュール100の構造について説明した図面である。図1Aは、基板1の一方主面の法線方向で、第2の樹脂層12側から見た外観図(底面図)である。図1Bは、図1AにおけるIB−IB線に関する矢視断面図である。
【0041】
この発明に係る回路モジュール100は、基板1と、第1の電子部品3〜6と、金属ピン7と、複数の接続導体8と、第1の樹脂層9と、配線導体10と、複数の第2の柱状導体11と、第2の樹脂層12とを備えている。
【0042】
基板1は、例えば絶縁層が低温焼結セラミック材料であるセラミック多層基板である。なお、基板1の種類はこれに限られず、例えば絶縁層がガラスなどの織布または不織布と、エポキシ樹脂などの絶縁性の樹脂とを含んでなる複合材料である、いわゆるガラスエポキシ基板などであってもよい。基板1の一方主面には、第1の配線パターン2が設けられている。第1の配線パターン2は、例えばCuなどの金属材料を用いて形成されている。ただし、第1の配線パターン2の材質は任意であり、これに限られない。
【0043】
第1の電子部品3〜6は、例えば積層コンデンサ、積層インダクタ、各種フィルタおよび各種ICのような電子部品である。第1の電子部品3〜6は、例えばSn−Ag−Cu系のPbフリーはんだのような接合材料Sを用いて第1の配線パターン2に接続され、第1の配線パターン2と共に不図示の第1の電子回路を構成している。
【0044】
複数の接続導体8は、各々第1の電子回路と外部接続端子である第2の柱状導体11のうちの1つとを接続している。複数の接続導体および第2の柱状導体11は、例えばCu、Cu合金、AgおよびAg合金などの中から選ばれる金属材料を用いて形成されている。
【0045】
金属ピン7も、同様に第1の電子回路と外部接続端子である第2の柱状導体11とを接続している。金属ピン7は、例えばSn−Ag−Cu系のPbフリーはんだのような接合材料Sを用いて第1の配線パターン2に接続されている。なお、金属ピン7は、回路モジュールの構成によっては用いられない場合もある。金属ピン7は、上記と同様の金属材料を用いて予め形成されたものである。ただし、複数の接続導体8、金属ピン7および第2の柱状導体11の材質は任意であり、これらに限られない。
【0046】
複数の接続導体8のうちの少なくとも1つは、第1の柱状導体8aと板状導体8bとを含んでいる。第1の柱状導体8aは、基板1の一方主面の法線方向に延伸している。板状導体8bは、基板1の一方主面に平行な方向に延伸している。第2の柱状導体11は、外部接続端子となっており、基板1の一方主面の法線方向に延伸している。なお、回路モジュール100には、前述の配線導体10が含まれている。配線導体10は、板状導体8bと同一平面上に配置されており、基板1の一方主面に平行な方向となるように延伸している。ただし、配線導体10は、回路モジュールの構成によっては用いられない場合もある。
【0047】
第1の柱状導体8aの一端は、第1の配線パターン2または第1の電子部品4および6に接続されている。第1の電子部品4においては、第1の柱状導体8aの一端は、電子部品素体に接続されている。また、第1の電子部品6においては、第1の柱状導体8aの一端は、外部接続端子に接続されている。そして、第1の柱状導体8aの他端は、板状導体8bに接続されている。
【0048】
図1Bでは図示されていないが、第1の柱状導体8aの一端の面積は、他端の面積より広くなっており、第1の柱状導体8aは、細長い円錐台のような形状となっている。また、第2の柱状導体11の一端の面積は、他端の面積より広くなっており、第2の柱状導体11も、円錐台のような形状となっている。
【0049】
回路モジュール100では、第1の柱状導体8aと板状導体8bと第2の柱状導体11とは、同一の材料で、一体の部材として形成されている。そして、第1の柱状導体8aは、第1の配線パターン2または第1の電子部品4および6に直接接続されている。ここで、第1の柱状導体8aと第1の配線パターン2または第1の電子部品4および6とが直接接続されているとは、前述したようにはんだまたは導電性接着剤などの接合材料を用いずに両者が接続されていることを指す。
【0050】
第1の電子部品3〜6と第1の柱状導体8aとは、第1の樹脂層9に包埋されている。板状導体8bと第2の柱状導体11とは、第2の樹脂層12に包埋されている。第1の樹脂層9は、基板1の一方主面上に設けられている。第2の樹脂層12は、第1の樹脂層上に設けられている。第1の樹脂層9および第2の樹脂層12は、フィラーとしてガラス材料やシリカなどを分散させた樹脂材料を用いて形成されている。ただし、樹脂材料単体で第1の樹脂層9および第2の樹脂層12が形成されていてもよい。第1の樹脂層9と第2の樹脂層12とは、同一の、または異なる樹脂材料のどちらを用いて形成されていてもよい。
【0051】
そして、第1の柱状導体8aの、基板1の一方主面の法線方向に直交する断面積は、第2の柱状導体11の、基板1の一方主面の法線方向に直交する断面積より小さくなっている。
【0052】
回路モジュール100では、基板1の一方主面上における第1の電子部品3〜6、および第1の柱状導体8aの配置密度が高くなっており、回路モジュール100の小型化が図られている。加えて、第1の柱状導体8aの断面積に比べて第2の柱状導体11の断面積がより大きいため、回路モジュール100の、電子機器のマザー基板への接続時における接続信頼性の向上も図られている。
【0053】
また、回路モジュール100では、第2の柱状導体11の一端が第1の柱状導体8aと第2の柱状導体11とが同一の軸線を共有しないような位置で板状導体に接続されている場合、外部接続端子のレイアウトの自由度が高くなっている。すなわち、外部接続端子のレイアウトは、板状導体8bの長さ、延伸方向および形状と、板状導体8bに対する第2の柱状導体11の接続位置によって、自由に変更され得る。
【0054】
板状導体8bは、上記のように基板1の一方の主面に平行な配線として機能している。一方、例えば第1の電子部品5がICであり、電子機器のマザー基板からのノイズを遮断したい場合が考えられる。その場合、図1Cに示される第1の実施形態の変形例である回路モジュール100Aのように、基板1の一方主面の法線方向から見たときに、板状導体8bの1つが、第1の電子部品を被覆するように形成される。このようにすることで、板状導体8bの1つをシールドとして機能させることができる。
【0055】
また、第1の柱状導体8a、板状導体8bおよび第2の柱状導体11が一体の部材として形成されているため、それぞれが強固に接続されている。そして、第1の柱状導体8aが第1の配線パターン2または第1の電子部品6に接続されている場合、第1の配線パターン2または第1の電子部品6から第2の柱状導体11までの電気抵抗が低く抑えられている。また、第1の電子部品4がICのような動作中の発熱量の大きい電子部品である場合、第1の電子部品4の電子部品素体に接続されている第1の柱状導体8aは、サーマルビアとしての機能を果たしている。
【0056】
なお、第1の柱状導体8aと板状導体8bと第2の柱状導体11とは、上記の回路モジュール100のように、同一の材料で、一体の部材として形成されていなくてもよい。例えば、板状導体8bと第2の柱状導体11とが、同一の材料で、一体の部材として形成されていてもよい。例えば、断面積が第2の柱状導体11より小さく、長さが長くなる第1の柱状導体8aは、電気抵抗率のより低いAgを用いて形成され、第2の柱状導体11は、Cuを用いて形成されていてもよい。
【0057】
逆に、長さの長い第1の柱状導体8aは、第1の樹脂層9に包埋される際に樹脂の流動圧力などによって破壊されないように、強度の高いCuを用いて形成され、長さの短い第2の柱状導体11は、Agを用いて形成されていてもよい。さらに、第1の柱状導体8aと板状導体8bと第2の柱状導体11とが、全て別の材料で形成されていてもよい。
【0058】
この場合、板状導体8bおよび第2の柱状導体11が一体の部材として形成されていることで、両者が強固に接続されており、界面の生成による電気抵抗の増加がない。また、第1の柱状導体8aに係る電気抵抗がより小さくなっている。
【0059】
<回路モジュールの製造方法>
図2A図2Fおよび図3A図3Bは、この発明に係る回路モジュールの第1の実施形態である回路モジュール100の製造方法の一例について説明した図面である。図2A図2F、ならびに図3Aおよび図3Bは、回路モジュール100の製造方法の一例において順次行われる各工程の要部をそれぞれ模式的に表す断面図である。なお、図2A図2Fおよび図3A図3Bの各図は、図1AにおけるIB−IB線に関する矢視断面図(図1B参照)に相当する。
【0060】
図2Aは、基板1および第1の電子部品3〜6を含む電子部品が作製または準備される工程(第1の工程)を示す断面図である。この回路モジュール100の製造方法においては、各工程は基板1が集合基板1Mの状態で行われる。なお、各工程が基板1の状態で行われていてもよい。すなわち、後述する切断工程は、この発明における必須の工程ではない。集合基板1Mの一方主面上には、第1の配線パターン2が設けられている。また、回路モジュール100には、金属ピン7も含まれているため、第1の工程で金属ピン7も作製または準備される。
【0061】
図2Bは、第1の配線パターン2と共に不図示の第1の電子回路を構成するように、第1の電子部品3〜6および金属ピン7が第1の配線パターン2に接続される工程(第2の工程)を示す断面図である。第1の電子部品3〜6および金属ピン7の一端は、前述の接合材料Sを用いて、所定の第1の電子回路を構成するように、集合基板1Mの一方主面上の第1の配線パターン2に接続される。
【0062】
図2Cは、第1の柱状導体8aが形成される工程(第3の工程)である。第1の柱状導体8aの形成は、Cuナノ粒子を含む導電性インクを用いたインクジェット法により作製された成形体を、例えば150℃程度の温度で焼結させることにより行なわれる。その際、第1の柱状導体8aは、集合基板1Mの一方主面の法線方向に延伸するように形成される。
【0063】
また、第1の柱状導体8aの一端は、第1の配線パターン2または第1の電子部品4および6に直接接続される。図2Cでは図示されていないが、第1の柱状導体8aの一端の面積は、他端の面積より広くなっており、第1の柱状導体8aは、細長い円錐台のような形状となっている。前述したように、第1の柱状導体8aの材質は、Cu以外の金属材料でもよい。
【0064】
図2Dは、第1の配線パターン2、第1の電子部品3〜6、金属ピン7および第1の柱状導体8aが、第1の樹脂層9中に包埋される工程(第4の工程)である。この回路モジュール100の製造方法における第4の工程は、基板1が集合基板1Mの状態で、第1の集合樹脂層9Mにより上記の構成要素を包埋することにより行われる。第1の集合樹脂層9Mは、前述の樹脂材料を集合基板1Mの一方主面上に塗工、硬化させることにより形成される。
【0065】
その際、第1の柱状導体8aの他端および金属ピン7の他端は、第1の集合樹脂層9Mの表面から露出される。第1の柱状導体8aの他端および金属ピン7の他端は、それらの高さ位置に合わせて第1の集合樹脂層9Mが集合基板1Mの一方主面上に形成されることで露出されるようにしてもよい。また、それらが被覆される程度に第1の集合樹脂層9Mが集合基板1Mの一方主面上に形成された後、第1の集合樹脂層9Mが研磨されることにより露出されるようにしてもよい。
【0066】
図2Eは、板状導体8bが第1の集合樹脂層9Mの表面に形成される工程(第5の工程)である。板状導体8bの形成は、Cuナノ粒子を含む導電性インクを用いたインクジェット法により作製された成形体が焼成されることにより行なわれる。その際、板状導体8bは、集合基板1Mの一方主面に平行な方向に延伸するように形成される。また、板状導体8bは、第1の柱状導体8aの他端に接続される。
【0067】
板状導体8bの形成は、例えばCuナノ粒子を含む導電性ペーストのスクリーン印刷またはマスク印刷により行なわれていもよい。前述したように、板状導体8bの材質は、Cu以外の金属材料でもよい。
【0068】
図2Fは、第2の柱状導体11が形成される工程(第6の工程)である。第2の柱状導体11の形成は、Cuナノ粒子を含む導電性インクを用いたインクジェット法により作製された成形体が焼成されることにより行なわれる。図2Fでは図示されていないが、第2の柱状導体11の一端の面積は、他端の面積より広くなっており、第2の柱状導体11も、円錐台のような形状となっている。
【0069】
また、第2の柱状導体11の形成は、例えばCuナノ粒子を含む導電性ペーストのスクリーン印刷またはマスク印刷により行なわれてもよい。前述したように、板状導体8bの材質は、Cu以外の金属材料でもよい。
【0070】
図3Aは、板状導体8bおよび第2の柱状導体11が第2の樹脂層12中に包埋される工程(第7の工程)である。この回路モジュール100の製造方法における第7の工程は、基板1が集合基板1Mの状態で、第2の集合樹脂層12Mにより上記の構成要素を包埋することにより行われる。第2の集合樹脂層12Mは、前述の樹脂材料を第1の集合樹脂層9Mの表面上に塗工、硬化させることにより形成される。その際、第2の柱状導体11の他端は、第2の集合樹脂層12Mの表面から露出される。第2の柱状導体11の他端の露出の仕方は、第4の工程と同様である。
【0071】
この回路モジュール100の製造方法では、この工程までで回路モジュール100の集合体100Mが製造される。なお、各工程が基板1の状態で行われている場合は、この工程までで回路モジュール100が完成する。すなわち、後述する切断工程は行なわれない。
【0072】
図3Bは、回路モジュール100の集合体100Mが切断され、回路モジュール100に個片化される工程(切断工程)である。集合体100Mの切断は、例えばダイシングソーを用いて行なわれる。この回路モジュール100の製造方法では、この工程までで回路モジュール100が完成する。
【0073】
この回路モジュール100の製造方法では、断面積が第2の柱状導体11より小さい第1の柱状導体8aがインクジェット法により形成される。すなわち、基板1の一方主面上における第1の電子部品3〜6および第1の柱状導体8aの配置密度および配置精度を高くすることができる。したがって、回路モジュール100の小型化を図ることができる。
【0074】
− 回路モジュールの第2の実施形態 −
この発明に係る回路モジュールの第2の実施形態について、図4A図4Bおよび図5A図5Dを用いて説明する。
【0075】
<回路モジュールの構造>
図4A図4Bは、この発明に係る回路モジュールの第2の実施形態である回路モジュール200の構造について説明した図面である。図4Aは、基板1の一方主面の法線方向で、第2の樹脂層12側から見た外観図(底面図)である。図4Bは、図4AにおけるIVB−IVB線に関する矢視断面図である。
【0076】
回路モジュール200は、基板1の他方主面側に第2の電子回路が構成され、第2の電子回路に係る構成要素が第3の樹脂層に包埋されていることが前述の回路モジュール100と異なっている。それ以外の構成要素については、回路モジュール100と同様であるため、ここではそれらについてのさらなる説明を省略する。
【0077】
この発明に係る回路モジュール200は、前述の回路モジュール100の構成要素に加えて、第2の電子部品14〜18と、第3の樹脂層19とを備えている。
【0078】
基板1は、前述したようにセラミック多層基板またはガラスエポキシ基板などである。基板1の一方主面には、第1の配線パターン2が設けられ、他方主面には第2の配線パターン13が設けられている。第2の配線パターン13は、第1の配線パターン2と同様に、例えばCuなどの金属材料を用いて形成されている。ただし、第2の配線パターン13の材質は任意であり、これに限られない。
【0079】
第2の電子部品14〜18も、第1の電子部品3〜6と同様に、例えば積層コンデンサ、積層インダクタ、各種フィルタおよび各種ICのような電子部品である。第2の電子部品14〜18は、例えばSn−Ag−Cu系のPbフリーはんだのような接合材料Sを用いて第2の配線パターン13に接続され、第2の配線パターン13と共に不図示の第2の電子回路を構成している。
【0080】
第2の電子部品14〜18は、第3の樹脂層19に包埋されている。第3の樹脂層19は、基板1の他方主面上に設けられている。第3の樹脂層19は、第1の樹脂層9および第2の樹脂層12と同様に、フィラーとしてガラス材料やシリカなどを分散させた樹脂材料を用いて形成されている。ただし、樹脂材料単体で第3の樹脂層19が形成されていてもよい。第1の樹脂層9と第2の樹脂層12と第3の樹脂層とは、同一の、または異なる樹脂材料のどちらを用いて形成されていてもよい。
【0081】
回路モジュール200は、基板1の他方主面側に第2の電子回路が構成されることで、より高性能化が図られている。
【0082】
<回路モジュールの製造方法>
図5A図5Dは、この発明に係る回路モジュールの第2の実施形態である回路モジュール200の製造方法の一例について説明した図面である。図5A図5Dは、回路モジュール200の製造方法の一例において順次行われる各工程の要部で、回路モジュール100の製造方法と異なる工程をそれぞれ模式的に表す断面図である。それ以外の工程については、回路モジュール100の製造方法と同様であるため、ここではそれらについてのさらなる説明を省略する。
【0083】
なお、図5A図5Dの各図は、図4AにおけるIVB−IVB線に関する矢視断面図(図4B参照)に相当する。
【0084】
図5Aは、基板1、第1の電子部品3〜6、金属ピン7および第2の電子部品14〜18を含む電子部品が作製または準備される工程(第1の工程)を示す断面図である。この回路モジュール200の製造方法においては、回路モジュール100の製造方法と同様に、各工程は基板1が集合基板1Mの状態で行われる。各工程が基板1の状態で行われていてもよいことも、回路モジュール100の製造方法と同様である。集合基板1Mの一方主面上には第1の配線パターン2が設けられており、他方主面上には第2の配線パターン13が設けられている。
【0085】
図5Bは、第2の配線パターン13と共に不図示の第2の電子回路を構成するように、第2の電子部品14〜18が第2の配線パターン13に接続される工程(第8の工程)を示す断面図である。第2の電子部品14〜18の一端は、前述の接合材料Sを用いて、所定の第2の電子回路を構成するように、集合基板1Mの他方主面上の第2の配線パターン13に接続される。
【0086】
図5Cは、第2の配線パターン13および第2の電子部品14〜18が、第3の樹脂層19中に包埋される工程(第9の工程)である。この回路モジュール200の製造方法における第9の工程は、基板1が集合基板1Mの状態で、第3の集合樹脂層19Mにより上記の構成要素を包埋することにより行われる。第3の集合樹脂層19Mは、前述の樹脂材料を集合基板1Mの他方主面上に塗工、硬化させることにより形成される。
【0087】
この回路モジュール200の製造方法では、この工程までで回路モジュール200の集合体200Mが製造される。なお、各工程が基板1の状態で行われている場合は、この工程までで回路モジュール200が完成する。すなわち、後述する切断工程は行なわれない。
【0088】
図5Dは、回路モジュール200の集合体200Mが切断され、回路モジュール200に個片化される工程(切断工程)である。集合体200Mの切断は、例えばダイシングソーを用いて行なわれる。この回路モジュール200の製造方法では、この工程までで回路モジュール200が完成する。
【0089】
この回路モジュール200の製造方法では、基板1の他方主面側に第2の電子回路が構成され、より高性能化が図られた回路モジュール200を製造することができる。
【0090】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることができる。また、この明細書に記載の各実施形態は、例示的なものであり、異なる実施形態間において、構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることを指摘しておく。
【0091】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0092】
1 基板、2 第1の配線パターン、3〜6 第1の電子部品、7 金属ピン、8 接続導体、8a 第1の柱状導体、8b 板状導体、9 第1の樹脂層、10 配線導体、11 第2の柱状導体、12 第2の樹脂層、13 第2の配線パターン、14〜18 第2の電子部品、19 第3の樹脂層、100,200 回路モジュール、S 接合材料
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6