特許第6787460号(P6787460)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6787460
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】ロータ、及び回転機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/26 20060101AFI20201109BHJP
   H02K 1/22 20060101ALI20201109BHJP
   H02K 1/27 20060101ALI20201109BHJP
   H02K 3/44 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   H02K1/26 Z
   H02K1/22 A
   H02K1/27 501Z
   H02K3/44 B
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-170825(P2019-170825)
(22)【出願日】2019年9月19日
【審査請求日】2020年7月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】沖津 隆志
【審査官】 小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−192907(JP,A)
【文献】 特開2016−220393(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0291515(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/26
H02K 1/22
H02K 1/27
H02K 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線を中心に回転するロータコアと、前記ロータコアに保持される複数の界磁巻線とを備えるロータであって、
鉄心と、前記鉄心に巻かれた前記界磁巻線と、前記鉄心及び前記界磁巻線を封止する絶縁性の封止体とを有する巻線ユニットを複数備え、
前記ロータコアが、複数の前記巻線ユニットのそれぞれを個別に収容する複数のユニット収容部を備え、
複数の前記ユニット収容部のそれぞれが、回転軸線方向に延在し、且つ回転軸線を中心にした周方向に並ぶ、ロータ。
【請求項2】
複数の前記ユニット収容部のそれぞれにおける回転軸線方向の端の開口を塞ぐ閉塞部材を備える、
請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
複数の永久磁石を備え、
前記ロータコアが、複数の前記永久磁石のそれぞれを個別に収容する複数の磁石収容部を備え、
複数の前記磁石収容部のそれぞれが、回転軸線方向に延在し、且つ回転軸線を中心にした周方向に並び、
複数の前記巻線ユニットのそれぞれにおける前記界磁巻線の両端が、ダイオードを介して電気接続される、
請求項1又は2に記載のロータ。
【請求項4】
複数の前記ユニット収容部のそれぞれが、開口の長手方向を、回転軸線を中心にした径方向に沿わせる姿勢で配置され、
複数の前記巻線ユニットのそれぞれが、横断面の長手方向を前記径方向に沿わせる姿勢で前記ユニット収容部内に収容され、
複数の前記磁石収容部のそれぞれが、開口の長手方向を前記ロータコアの外周に対する接線と平行な方向に沿わせる形態で配置され、
複数の前記永久磁石のそれぞれが、横断面の長手方向を前記接線と平行な方向に沿わせる姿勢で前記磁石収容部内に収容される、
請求項3に記載のロータ。
【請求項5】
複数の前記磁石収容部として、一対の前記磁石収容部からなる磁石収容部対を複数備え、
複数の前記永久磁石として、一対の前記永久磁石からなる磁石対を複数備え、
複数の前記磁石収容部対のそれぞれにおける一対の前記磁石収容部が、互いの開口の長手方向を、回転軸線を中心にした径方向の外側に向けて開くV字に沿わせる形態で配置され、
複数の前記磁石対のそれぞれにおける一対の前記永久磁石が、互いの横断面の長手方向を前記V字に沿わせる姿勢で前記磁石収容部内に収容され、
複数の前記ユニット収容部のそれぞれが、互いの開口の長手方向を前記径方向に沿わせる形態で配置され、
複数の前記巻線ユニットのそれぞれが、互いの横断面を前記径方向に沿わせる姿勢で前記ユニット収容部内に収容される、
請求項3に記載のロータ。
【請求項6】
複数の前記ユニット収容部として、一対の前記ユニット収容部からなるユニット収容部対を複数備え、
複数の前記巻線ユニットとして、一対の前記巻線ユニットからなるユニット対を複数備え、
複数の前記ユニット収容部対のそれぞれにおける一対の前記ユニット収容部が、互いの開口の長手方向を、回転軸線を中心にした径方向の外側に向けて開くV字に沿わせる形態で配置され、
複数の前記ユニット対のそれぞれにおける一対の前記巻線ユニットが、互いの横断面の長手方向を前記径方向の外側に向けて開くV字に沿わせる姿勢で前記ユニット収容部内に収容される、
請求項3に記載のロータ。
【請求項7】
複数の前記磁石収容部として、一対の前記磁石収容部からなる磁石収容対を複数備え、
複数の前記永久磁石として、一対の前記永久磁石からなる磁石対を複数備え、
複数の前記磁石収容部対のそれぞれにおける一対の前記磁石収容部が、互いの開口の長手方向を前記径方向の外側に向けて開くV字に沿わせる形態で配置され、
複数の前記磁石対のそれぞれにおける一対の前記永久磁石が、互いの横断面の長手方向を前記径方向の外側に向けて開くV字に沿わせる姿勢で前記磁石収容部内に収容される、
請求項6に記載のロータ。
【請求項8】
回転軸線を中心にして回転するロータと、前記ロータの中心を貫通するシャフトと、回転軸線を中心にした周方向に前記ロータを囲むステータとを備える回転機であって、
前記ロータが、請求項1乃至7の何れか1項に記載のロータである、回転機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ、及び回転機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転軸線を中心に回転するロータコアと、ロータコアに保持される複数の界磁巻線とを備えるロータが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のロータは、回転軸線を中心に回転する円筒状のロータコアと、ロータコアに保持される8つのロータ巻線とを備える。このロータにおけるロータコアは、周方向に等間隔で並ぶ8つの突極を外周面に備える。8つの突極のそれぞれは、ロータコアの外周面から、回転軸線を中心とする径方向の外側に向けて突出する。界磁巻線としてのロータ巻線は、突極の外周面に巻き付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−7787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このロータにおいては、突極に対するロータ巻線の巻き付けを巻線機によって自動化する場合、高性能の巻線機を用いる必要があるため、コスト高になってしまうという課題がある。より詳しくは、例えば第1の突極に対するロータ巻線の巻き付けが終了した後、隣に存在する第2の突極に対するロータ巻線の巻き付けが行われるときに、第1の突極に巻き付けられたロータ巻線の束が、第2の突極に対するロータ巻線の巻き付け操作の邪魔になる。このため、第1の突極に巻き付けられたロータ巻線の束と、第2の突極への巻き付けの進行に伴って第2の突極の周囲において徐々に太っていくロータ巻線の束との間の僅かな隙間でも巻き付け操作を行うことができる高性能の巻線機を用いる必要があるのである。
【0006】
また、特許文献1に記載のロータにおいては、回転時の遠心力によるロータ巻線の束の崩れを防止するためには、ロータ全体を樹脂等の絶縁体でモールドする必要があるため、コスト高になってしまうという課題もある。
【0007】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高性能の巻線機を用いることによるコスト高と、ロータ全体を絶縁体でモールドすることによるコスト高とを回避することができるロータ、及び回転機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、回転軸線を中心に回転するロータコアと、前記ロータコアに保持される複数の界磁巻線とを備えるロータであって、鉄心と、前記鉄心に巻かれた前記界磁巻線と、前記鉄心及び前記界磁巻線を封止する絶縁性の封止体とを有する巻線ユニットを複数備え、前記ロータコアが、複数の前記巻線ユニットのそれぞれを個別に収容する複数のユニット収容部を備え、複数の前記ユニット収容部のそれぞれが、回転軸線方向に延在し、且つ回転軸線を中心にした周方向に並ぶ、ロータである。
【0009】
また、本発明の別の一態様は、回転軸線を中心にして回転するロータと、前記ロータの中心を貫通するシャフトと、回転軸線を中心にした周方向に前記ロータを囲むステータとを備える回転機であって、前記ロータが、本発明の一態様のロータである、回転機である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高性能の巻線機を用いることによるコスト高と、ロータ全体を絶縁体でモールドすることによるコスト高とを回避することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るモータを示す分解斜視図である。
図2】同モータのロータの回転軸線方向に直交する方向の横断面を示す断面図である。
図3】同モータのステータの回転軸線方向に直交する方向の横断面を示す断面図である。
図4】同ステータ、及び同ステータの中空内に収容される同ロータの横断面を示す断面図である。
図5】同ロータの巻線ユニットを示す斜視図である。
図6】ケース内を封止樹脂で埋められる前の状態の同巻線ユニットを示す斜視図である。
図7】同ロータを示す分解斜視図である。
図8】第1実施例に係るモータのロータの横断面を示す断面図である。
図9】同モータのステータ、及び同ロータの横断面を示す断面図である。
図10】同ロータにおけるケース内を封止樹脂で埋められる前の状態の巻線ユニットを示す斜視図である。
図11】第2実施例に係るモータのロータの横断面を示す断面図である。
図12】第3実施例に係るモータのロータの横断面を示す断面図である。
図13】第4実施例に係るモータのロータの横断面を示す断面図である。
図14】第5実施例に係るモータのロータを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、各図を用いて、本発明を適用した回転機としてのモータの一実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係るモータ1を示す分解斜視図である。モータ1は、円筒状のハウジング2、フロントカバー3、リアカバー4、シャフト5、スリップリング(ブラシ)6、整流子7、ロータ(回転子)10、及びステータ(固定子)30を備える。
【0013】
軸状のシャフト5は、円柱状の整流子7と、円柱状のロータ10とを回転軸線A方向に貫通し、整流子7及びロータ10の回転軸線A上に位置する。シャフト5は、整流子7及びロータ10とともに回転軸線Aを中心にして回転駆動する。円筒状のハウジング2は、ヨークの役割を果たし、内周面で円筒状のステータ30を保持する。ハウジング2は、回転軸線A方向の両端に開口を有する。ロータ10は、ハウジング2の内周面に保持されているステータ30の中空内に収容される。有底円筒状のフロントカバー3は、底部をフロント側に向けた状態で、ハウジング2のフロント側に接続される。この接続により、フロントカバー3は、底部に設けられたシャフト穴3cにシャフト5のフロント側を貫通させ、且つハウジング2のフロント側の開口を塞いだ状態で、内部に整流子7及びスリップリング6を収容する。
【0014】
スリップリング6は、絶縁性のベース6a、金属製の正極端子6b、導電性の正極接触子6c、金属製の負極端子6d、及び導電性の負極接触子6eを備える。正極端子6bと負極端子6dとは、互いの絶縁を維持する状態で、絶縁性のベース6aに固定される。正極接触子6cは、正極端子6bの後端部に固定される。また、負極接触子6eは、負極端子6dの後端部に固定される。スリップリング6は、正極接触子6c及び負極接触子6eを整流子7の外周面に接触させる状態で、フロントカバー3に保持される。整流子7は、回転軸線Aを中心にした周方向に等間隔に並ぶ8個の接点部を備える。個々の接点部は、互いに絶縁された状態である。
【0015】
リアカバー4は、ハウジング2のリア側の開口を塞ぐように、ハウジング2に固定される。
【0016】
図2は、ロータ10の回転軸線A方向に直交する方向の横断面を示す断面図である。ロータ10は、円筒状のロータコア11と、8つの巻線ユニット12とを備える。8つの巻線ユニット12のそれぞれは、鉄心13と、鉄心13に巻き付けられた界磁巻線14とを備え、回転軸線Aを中心にした周方向において、等間隔で並ぶようにロータコア11に保持される。ロータコア11は、金属板を打ち抜き加工して得られた、中央部にシャフト穴11bを備える金属板片を、回転軸線A方向に複数枚積層して円柱状に成形されたものである。ロータコア11を構成する個々の金属板片の間には、絶縁性接着剤が介在しており、個々の金属版は互いに絶縁状態にある。ロータコア11の中央のシャフト穴11bには、シャフト(図1の5)が貫通する。
【0017】
図3は、ステータ30の回転軸線A方向に直交する方向の横断面を示す断面図である。円筒状のステータ30は、内周面において回転軸線Aを中心にして周方向に等間隔で並ぶ複数のティース(歯)31を備える。複数のティース31のそれぞれは、円筒状のステータ30の内周面から回転軸線Aに向けて突出する。
【0018】
図4は、ステータ30、及びステータ30の中空内に収容されるロータ10の横断面を示す断面図である。ステータ30の複数のティース31は、ロータ10の外周面を囲む。ロータ10においては、8つの巻線ユニット12が、ロータコア11における回転軸線Aを中心にした径方向の外側端部で周方向に並ぶ。巻線ユニット12の界磁巻線に電流が流れると、巻線ユニット12の周囲に磁束が発生して、巻線ユニット12が複数のティース31のうち、径方向に対向していないティース31の磁力に引かれる。これにより、ロータ10に周方向のトルクが発生して、ロータ10がシャフト(図1の5)及び整流子(図1の7)とともに回転する。
【0019】
図5は、巻線ユニット12を示す斜視図である。巻線ユニット12は、蓋のない箱状の形状をした樹脂製のケース15と、封止のためにケース15の内部に埋められた絶縁性の封止樹脂16とを備える。
【0020】
図6は、ケース15内を封止樹脂(図5の16)で埋められる前の状態の巻線ユニット12を示す斜視図である。封止樹脂で埋められる前のケース15内には、鉄心13と、鉄心13の外周面に巻き付けられた界磁巻線14とが収容される。界磁巻線14の線両端のそれぞれには被覆電線17が接続され、ケース15の外部に延ばされる。図6に示されるケース15内に、封止体としての封止樹脂が流し込まれて硬化することで、鉄心13及び界磁巻線14が封止樹脂によってケース15内に封止される。被覆電線17は、整流子(図1の7)の接点部に接続される。
【0021】
図7は、ロータ10を示す分解斜視図である。ロータ10のロータコア11は、8つの巻線ユニット12のそれぞれを個別に収容するユニット収容部として、8つのユニット用貫通口11aを備える。8つのユニット用貫通口11aのそれぞれは、回転軸線A方向に延在し、且つ回転軸線Aを中心にした周方向に等間隔で並ぶ。8つのユニット用貫通口11aのそれぞれには、巻線ユニット12が回転軸線A方向に挿入されて収容され、回転軸線A方向に延在する。
【0022】
8つのユニット用貫通口11aのそれぞれは、回転軸線A方向の両端に開口を備える。巻線ユニット12を収容したユニット用貫通口11aの両端の開口のそれぞれは、閉塞部材20の嵌め込みによって閉塞される。開口に嵌め込まれた閉塞部材20は、ユニット用貫通口11a内に収容される巻線ユニット12をユニット用貫通口11aの回転軸線A方向の中央に向けて押さえ付ける。この押さえ付けにより、ユニット用貫通口11a内において、巻線ユニット12が回転軸線A方向の所定の位置に係止される。
【0023】
図6に示される界磁巻線14は、ケース15に収容される前に巻線機によって鉄心13に巻き付けられ、鉄心13とともにケース15内に収容される。界磁巻線14を鉄心13に巻き付けるときには、鉄心13、界磁巻線14の何れの周囲においても、巻線機による巻き付け操作を邪魔するものが存在しない。このため、ごく僅かな隙間での巻線を行うことが可能な高性能の巻線機を用いる必要がなく、一般的な巻線機を用いることが可能である。従って、実施形態に係るモータ1によれば、高性能の巻線機を用いることによるコスト高を回避することができる。
【0024】
また、実施形態に係るモータ1においては、巻線ユニット12内において、界磁巻線14を封止樹脂(図5の16)によって封止していることから、回転時の遠心力が作用しても、界磁巻線14の束を崩すことがない。このため、大掛かりなモールド設備を用いてロータ10全体を樹脂等の絶縁体でモールドしなくても、界磁巻線14の束の崩れを防止することが可能である。よって、実施形態に係るモータ1によれば、ロータ10全体を樹脂等の絶縁体でモールドすることによるコスト高を回避しつつ、回転時の遠心力が作用することによる界磁巻線14の束の崩れを防止することができる。
【0025】
また、実施形態に係るモータ1においては、界磁巻線14を容易に鉄心13に巻き付けることが可能であることから、高密度の巻き付けを行うことができる。電線として丸線を鉄心13に高密度に巻き付けることが可能であることに加えて、電線として平角線を鉄心13に高密度に巻き付けることも可能である。丸線を用いる場合、界磁巻線14の束内に多くの空隙ができることから、単位体積あたりにおける電線の占有率は60〔%〕弱に留まるのに対し、平角線を用いる場合、電線の占有率を60〔%〕以上にすることができる。電線の占有率を高めることで、モータ1のトルクを高めることが可能になる。
【0026】
なお、ユニット収容部として、ユニット用貫通口11aをロータコア11に設けた例について説明したが、ユニット用貫通口11aの代わりに、回転軸線A方向に延びるユニット用凹部をユニット収容部として設けてもよい。ユニット用凹部は、回転軸線A方向の両端のうち、一端だけに開口を備えるため、一端の開口だけを閉塞部材20で塞げばよい。この場合、ロータ10における回転軸線A方向の両端部のそれぞれで重量のバランスをとるために、閉塞部材20として金属製のものを用いることが望ましい。ユニット収容部としてユニット用凹部をロータコア11に設ける構成では、閉塞部材20の数を減らして低コスト化を図ることができるとともに、閉塞部材20を開口に嵌め込む工程の工数を減らして生産性を向上させることができる。
【0027】
ロータ10に対して界磁を8極設けた構成のモータ1の例について説明したが、界磁の極数は、8極に限られるものではない。
【0028】
回転機としてのモータ1に本発明を適用した例について説明したが、回転機としての発電機(ダイナモ)に本発明を適用することも可能である。
【0029】
次に、実施形態に係るモータ1に、より特徴的な構成を付加した各実施例について説明する。なお、以下に特筆しない限り、各実施例に係るモータ1の構成は、実施形態と同様である。
【0030】
〔第1実施例〕
図8は、第1実施例に係るモータ1のロータ10の横断面を示す断面図である。図9は、第1実施例に係るモータ1のステータ30、及びステータ30の中空内に収容されるロータ10の横断面を示す断面図である。第1実施例に係るモータ1のロータ10は、周方向に等間隔で並ぶ8つのユニット用貫通口11aが、開口の長手方向を径方向に沿わせる姿勢で配置される。8つの巻線ユニット12のそれぞれは、横断面の長手方向を径方向に沿わせ、且つ回転軸線Aを中心とする放射状の姿勢でユニット用貫通孔11a内に収容される。
【0031】
ロータコア11の横断面における外縁部には、8つの磁石用貫通口11cが設けられる。8つの磁石用貫通口11cのそれぞれは、回転軸線A方向に延び、且つ周方向において互いに隣り合う2つの巻線ユニット12の間に配置される。また、8つの磁石用貫通口11cのそれぞれは、開口の長手方向を、ロータコア11の外周に対する接線と平行な方向に沿わせる姿勢で配置される。
【0032】
ロータコア11において、回転軸線Aを中心とする径方向における回転軸線A側の領域には、8つの空洞23が設けられる。8つの空洞23のそれぞれは、互いに隣り合う2つの巻線ユニット12の間に配置され、巻線ユニット12から延びる磁束をシャフト(図1の5)に回り込ませることを抑制する役割を担う。
【0033】
第1実施例に係るモータ1のロータ10においては、永久磁石22から発せられる磁力を回転トルクとして利用することで、高トルク化、及び高回転化を図ることができる。
【0034】
図9において、ステータ30は、周方向に並ぶ48個のティース31を備える。48個のティース31のそれぞれは、三相交流電源におけるU相用のティース31、V相用のティース31、W相用のティース31の何れかに分類される。図9では、便宜上、図示が省略されているが、U相用のティース31には、U相用のコイルが巻き付けられ、U相用のコイルには、三相電源におけるU相の電圧が印加される。また、V相用のティース31には、V相用のコイルが巻き付けられ、V相用のコイルには、三相電源におけるV相の電圧が印加される。また、W相用のティースには、W相用のティース31が巻き付けられ、W相用のティースには、三相電源におけるW相の電圧が印加される。48個のティース31は、周方向の時計回りにおいて、U相用のティース31、V相用のティース31、W相用のティース31という順で繰り返し配置される。なお、各相のティース31の並び順は、前述した並び順に限定されない。各相が所定の順序で繰り返し並ぶ態様であれば、どのような順序であってもよい。
【0035】
図10は、第1実施例に係るモータ1のロータ10におけるケース15内を封止樹脂(図5の16)で埋められる前の状態の巻線ユニット12を示す斜視図である。鉄心13に巻き付けられた界磁巻線14の線両端は、ダイオード24を介して接続される。
【0036】
図9において、8つの巻線ユニット12のうち、互いに隣り合う巻線ユニット12の対は、互いの内部のダイオード(図10の24)の向きを逆方向にする姿勢で配置される。ロータ10とステータ30との間の空間には、空間高調波が発生する。この空間高調波と、ステータ30のティース31に巻かれたコイルに流れる高調波とが重畳されると、図10に示される界磁巻線14に、一方向の誘導電流が発生する。つまり、第1実施例に係るモータ1においては、ロータ10の界磁巻線14に対して外部電源を電気接続しなくても、界磁巻線14に電流を流して巻線ユニット12の周囲に磁束を発生させることが可能である。よって、第1実施例に係るモータ1においては、界磁巻線14に対して外部電源を電気接続するためのスリップリング(図1の6)、及び整流子(図1の7)を設けていない。
【0037】
従って、第1実施例に係るモータ1によれば、スリップリング及び整流子の摩耗によるモータ1の寿命低下を回避することができる。なお、特許文献1に記載のモータにおいては、ロータの突極に巻き付けたロータ巻線にダイオードを接続する必要があり、ロータの形状が複雑であることから、ダイオードの接続操作に手間を要するという不具合がある。これに対し、第1実施例に係るモータ1によれば、鉄心、及び鉄心に巻き付けられた界磁巻線という単純な構造物に対してダイオードを接続することが可能であるので、ダイオードの接続操作を容易にして生産性を高めることができる。
【0038】
また、第1実施例に係るモータ1では、高速回転時に端子間電圧が増大することから、ロータ10の磁束量を抑える弱め界磁制御を行う場合には、ロータ10の界磁巻線に重畳する高周波をなくすことで、ロータ10に鎖交する磁束量を減少させることが可能である。よって、第1実施例に係るモータ1によれば、弱め界磁制御に必要な無効電流を低減することができる。
【0039】
後述する第2実施例、第3実施例、及び第4実施例に係るモータ1においても、界磁巻線14の両端を、ダイオード24を介して接続しており、第1実施例に係るモータ1と同様の効果を奏することができる。
【0040】
〔第2実施例〕
図11は、第2実施例に係るモータ1のロータ10の横断面を示す断面図である。第2実施例に係るモータ1のロータ10は、複数の磁石用貫通口11cとして、一対の磁石用貫通口11cからなる磁石用貫通口対11dを8対備える。磁石収容部対たる8対の磁石用貫通口対11dのそれぞれにおける一対の磁石用貫通口11cは、互いの開口の長手方向を、回転軸線Aを中心にした径方向の外側に向けて開くV字に沿わせる形態で配置される。
【0041】
ロータ10は、複数の永久磁石22として、一対の永久磁石22からなる磁石対25を8対備える。8対の磁石対25のそれぞれにおける一対の永久磁石22は、互いの横断面の長手方向をV字に沿わせる姿勢で磁石用貫通口11cに収容される。
【0042】
8つのユニット用貫通口11aのそれぞれは、互いの開口の長手方向を径方向に沿わせる形態で配置される。8つの巻線ユニット12のそれぞれは、互いの横断面を径方向に沿わせる姿勢でユニット用貫通口11a内に収容される。
【0043】
かかる構成のモータ1においては、磁石対25の一対の永久磁石22が前述のようなV字に沿わせる姿勢で配置されることで、第1実施例に係るモータ1に比べて、永久磁石22から延びる磁束の密度を高めて、より高いトルクを発揮することができる。一方、第1実施例に係るモータ1においては、第2実施例に係るモータ1に比べて、永久磁石22の数を減らす(半減)ことで、永久磁石22を磁石用貫通口11c内に挿入する工程の工数を減らして、低コスト化を図ることができる。
【0044】
〔第3実施例〕
図12は、第3実施例に係るモータ1のロータ10の横断面を示す断面図である。第3実施例に係るモータ1のロータ10は、複数のユニット用貫通口11aとして、一対のユニット用貫通口11aからなるユニット用貫通口対11eを8対備える。また、ロータ10は、複数の巻線ユニット12として、一対の巻線ユニット12からなるユニット対26を8対備える。
【0045】
ユニット収容部対たる8対のユニット用貫通口対11eのそれぞれにおける一対のユニット用貫通口11aは、互いの開口の長手方向を、回転軸線Aを中心にした径方向の外側に向けて開くV字に沿わせる形態で配置される。8対のユニット対26のそれぞれにおける一対の巻線ユニット12は、互いの横断面の長手方向を径方向の外側に向けて開くV字に沿わせる姿勢でユニット用貫通口11a内に収容される。
【0046】
かかる構成のモータ1においては、ユニット対26の一対の巻線ユニット12が前述のようなV字に沿わせる姿勢で配置されることで、第1実施例に係るモータ1に比べて、巻線ユニット12から延びる磁束の密度を高めて、より高いトルクを発揮することができる。一方、第1実施例に係るモータ1においては、第3実施例に係るモータ1に比べて、巻線ユニット12の数を減らす(半減)ことで、巻線ユニット12をユニット用貫通口11a内に挿入する工程の工数を減らして、低コスト化を図ることができる。
【0047】
〔第4実施例〕
第4実施例に係るモータ1は、以下に説明する点の他が、第3実施例に係るモータ1と同様の構成になっている。
【0048】
図13は、第4実施例に係るモータ1のロータ10の横断面を示す断面図である。第4実施例に係るモータ1のロータ10は、複数の磁石用貫通口11cとして、一対の磁石用貫通口11cからなる磁石用貫通口対11dを8対備える。また、ロータ10は、複数の永久磁石22として、一対の永久磁石22からなる磁石対25を8対備える。
【0049】
8対の磁石用貫通口対11dのそれぞれにおける一対の磁石用貫通口11cは、互いの開口の長手方向を径方向の外側に向けて開くV字に沿わせる形態で配置される。8対の磁石対25のそれぞれにおける一対の永久磁石22は、互いの横断面の長手方向を径方向の外側に向けて開くV字に沿わせる姿勢で磁石用貫通口11c内に収容される。
【0050】
かかる構成のモータ1においては、磁石対25の一対の永久磁石22が前述のようなV字に沿わせる姿勢で配置されることで、第3実施例に係るモータ1に比べて、永久磁石22から延びる磁束の密度を高めて、より高いトルクを発揮することができる。一方、第3実施例に係るモータ1においては、第4実施例に係るモータ1に比べて、永久磁石22の数を減らす(半減)ことで、永久磁石22を磁石用貫通口11c内に挿入する工程の工数を減らして、低コスト化を図ることができる。
【0051】
〔第5実施例〕
図14は、第5実施例に係るモータ1のロータ10を示す分解斜視図である。このロータ10において、8つの巻線ユニット12のそれぞれにおける回転軸線A方向の長さは、ロータコア11における回転軸線A方向の長さと同じである。ロータコア11の回転軸線A方向における一方側(紙面左側)の端面に設けられた、8つのユニット用貫通口11aの開口は、閉塞部材としての閉塞プレート21によって共通して塞がれる。即ち、閉塞プレート21は、8つのユニット用貫通口11aの開口を一体で塞ぐ。閉塞プレート21の直径は、ロータコア11の直径と同じであるか、あるいは、ロータコア11の直径よりも僅かに小さい。閉塞プレート21の径方向の中心部には、シャフト(図1の5)を貫通させるためのシャフト穴が設けられる。閉塞プレート21は、シャフトに設けられた溝に嵌め込まれるCリング19によって、ロータコア11の回転軸線A方向の一端面に向けて押さえつけられる。ロータコア11の回転軸線A方向の他方側に設けられた、8つのユニット用貫通口11aの開口も、回転軸線A方向の一方側と同様にして、閉塞プレート21によって共通して塞がれる。
【0052】
かかる構成においては、8つのユニット用貫通口11aのそれぞれの開口を塞ぐ工程が1つの工程で済むので、それぞれの開口を個別に塞ぐ態様に比べて、工数を減らして生産性を高めることができる。
【0053】
本発明は上述の実施形態、各実施例に限られず、本発明の構成を適用し得る範囲内で、実施形態、各実施例とは異なる構成を採用することもできる。本発明は、以下に説明する態様毎に特有の作用効果を奏する。
【0054】
〔第1態様〕
第1態様は、回転軸線(例えば回転軸線A)を中心に回転するロータコア(例えばロータコア11)と、前記ロータコアに保持される複数の界磁巻線(例えば界磁巻線14)とを備えるロータ(例えばロータ10)であって、鉄心(例えば鉄心13)と、前記鉄心に巻かれた前記界磁巻線と、前記鉄心及び前記界磁巻線を封止する絶縁性の封止体(例えば封止樹脂16)とを有する巻線ユニット(例えば巻線ユニット12)を複数備え、前記ロータコアが、複数の前記巻線ユニットのそれぞれを個別に収容する複数のユニット収容部(例えばユニット用貫通口11a)を備え、
前記複数のユニット収容部のそれぞれが、回転軸線方向に延在し、且つ回転軸線を中心にした周方向に並ぶ、ロータである。
【0055】
かかる構成において、ロータコアとは別体の巻線ユニットを製造するために、鉄心に対して界磁巻線を巻き付けるときには、鉄心、界磁巻線の何れの周囲においても、巻線機による巻き付け操作を邪魔するものが存在しない。このため、ごく僅かな隙間での巻線を行うことが可能な高性能の巻線機を用いる必要がなく、一般的な巻線機を用いることが可能である。よって、第1態様によれば、高性能の巻線機を用いることによるコスト高を回避することができる。
【0056】
また、第1態様の巻線ユニットにおいては、界磁巻線を絶縁性の封止体によって封止していることから、回転時の遠心力が作用しても、界磁巻線の束を崩すことがない。このため、大掛かりなモールド設備を用いてロータ全体を樹脂等の絶縁体でモールドしなくても、界磁巻線の束の崩れを防止することが可能である。よって、第1態様によれば、ロータ全体を樹脂等の絶縁体でモールドすることによるコスト高を回避しつつ、回転時の遠心力が作用することによる界磁巻線の束の崩れを防止することができる。
【0057】
また、第1態様においては、界磁巻線を容易に鉄心に巻き付けることが可能であることから、高密度の巻き付けを行うことができる。例えば、電線として丸線を鉄心に高密度に巻き付けることが可能であることに加えて、電線として平角線を鉄心に高密度に巻き付けることも可能である。よって、モータのトルクを高めることができる。
【0058】
〔第2態様〕
第2態様は、第1態様の構成を備え、且つ、複数の前記ユニット収容部のそれぞれにおける回転軸線方向の端の開口を塞ぐ閉塞部材(例えば閉塞部材20)を備える、ロータである。
【0059】
かかる構成によれば、ユニット収容部内において、巻線ユニットを回転軸線方向の所定の位置に係止することができる。
【0060】
〔第3態様〕
第3態様は、第1態様又は第2態様の構成と、複数の永久磁石(例えば永久磁石22)とを備え、前記ロータコアが、複数の前記永久磁石のそれぞれを個別に収容する複数の磁石収容部(例えば磁石用貫通口11c)を備え、複数の前記磁石収容部のそれぞれが、回転軸線方向に延在し、且つ回転軸線を中心にした周方向に並び、複数の前記巻線ユニットのそれぞれにおける前記界磁巻線の両端が、ダイオード(例えばダイオード24)を介して電気接続される、ロータである。
【0061】
かかる構成では、ロータの界磁巻線に対して外部電源を電気接続しなくても、界磁巻線に電流を流して巻線ユニットの周囲に磁束を形成することが可能であるため、界磁巻線14に対して外部電源を電気接続するためのスリップリング、及び整流子が不要である。よって、第3態様によれば、スリップリング及び整流子の摩耗によるモータ1の寿命低下を回避することができる。
【0062】
〔第4態様〕
第4態様は、第3態様の構成を備え、複数の前記ユニット収容部のそれぞれが、開口の長手方向を、回転軸線を中心にした径方向に沿わせる姿勢で配置され、複数の前記巻線ユニットのそれぞれが、横断面の長手方向を前記径方向に沿わせる姿勢で前記ユニット収容部内に収容され、複数の前記磁石収容部のそれぞれが、開口の長手方向を前記ロータコアの外周に対する接線と平行な方向に沿わせる形態で配置され、複数の前記永久磁石のそれぞれが、横断面の長手方向を前記接線と平行な方向に沿わせる姿勢で前記磁石収容部に収容される、ロータである。
【0063】
かかる構成によれば、永久磁石から発せられる磁力を回転トルクとして利用することで、高トルク化、及び高回転化を図ることができる。また、第4態様によれば、ロータの極数が同数であれば、後述の第5態様に比べて、永久磁石の数を減らすことで、永久磁石を磁石収容部内に挿入する工程の工数を減らして、低コスト化を図ることができる。
【0064】
〔第5態様〕
第5態様は、第3態様の構成を備え、複数の前記磁石収容部として、一対の前記磁石収容部からなる磁石収容部対(例えば磁石用貫通口対11d)を複数備え、複数の前記永久磁石として、一対の前記永久磁石からなる磁石対(例えば磁石対25)を複数備え、複数の前記磁石収容部対のそれぞれにおける一対の前記磁石収容部が、互いの開口の長手方向を、回転軸線を中心にした径方向の外側に向けて開くV字に沿わせる形態で配置され、複数の前記磁石対のそれぞれにおける一対の前記永久磁石が、互いの横断面の長手方向を前記V字に沿わせる姿勢で前記磁石収容部内に収容され、複数の前記ユニット収容部のそれぞれが、互いの開口の長手方向を前記径方向に沿わせる形態で配置され、複数の前記巻線ユニットのそれぞれが、互いの横断面を前記径方向に沿わせる姿勢で前記ユニット収容部内に収容される、ロータである。
【0065】
かかる構成によれば、磁石対の一対の永久磁石が前述のようなV字に沿わせる姿勢で配置されることで、第4態様に比べて、永久磁石から延びる磁束の密度を高めて、より高いトルクを発揮することができる。
【0066】
〔第6態様〕
第6態様は、第3態様の構成を備え、複数の前記ユニット収容部として、一対の前記ユニット収容部からなるユニット収容部対(例えばユニット用貫通口対11e)を複数備え、複数の前記巻線ユニットとして、一対の前記巻線ユニットからなるユニット対(例えばユニット対26)を複数備え、複数の前記ユニット収容部対のそれぞれにおける一対の前記ユニット収容部が、互いの開口の長手方向を、回転軸線を中心にした径方向の外側に向けて開くV字に沿わせる形態で配置され、複数の前記ユニット対のそれぞれにおける一対の前記巻線ユニットが、互いの横断面の長手方向を前記径方向の外側に向けて開くV字に沿わせる姿勢で前記ユニット収容部内に収容される、ロータである。
【0067】
かかる構成によれば、ユニット対の一対の巻線ユニットが前述のようなV字に沿わせる姿勢で配置されることで、第4態様に比べて、巻線ユニットから延びる磁束の密度を高めて、より高いトルクを発揮することができる。
【0068】
〔第7態様〕
第7態様は、第6態様の構成を備え、複数の前記磁石収容部として、一対の前記磁石収容部からなる磁石収容部対を複数備え、複数の前記永久磁石として、一対の前記永久磁石からなる磁石対を複数備え、複数の前記磁石収容部対のそれぞれにおける一対の前記磁石収容部が、互いの開口の長手方向を前記径方向の外側に向けて開くV字に沿わせる形態で配置され、複数の前記磁石対のそれぞれにおける一対の前記永久磁石が、互いの横断面の長手方向を前記径方向の外側に向けて開くV字に沿わせる姿勢で前記磁石収容部内に収容される、ロータである。
【0069】
かかる構成によれば、磁石対の一対の永久磁石が前述のようなV字に沿わせる姿勢で配置されることで、第6態様に比べて、永久磁石から延びる磁束の密度を高めて、より高いトルクを発揮することができる。
【0070】
〔第8態様〕
第8態様は、第1〜7の何れかの態様を備え、回転軸線を中心にして回転するロータと、前記ロータの中心を貫通するシャフト(例えばシャフト5)と、回転軸線を中心にした周方向に前記ロータを囲むステータ(例えばステータ30)とを備える回転機であって、前記ロータが、第1態様〜第7態様の何れかのロータである、回転機である。
【0071】
かかる構成によれば、高性能の巻線機を用いることによるコスト高と、ロータ全体を絶縁体でモールドすることによるコスト高とを回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、モータ、発電機等の回転機に適用が可能である。
【符号の説明】
【0073】
A:回転軸線、 1:モータ(回転機) 、2:ハウジング、 3:フロントカバー、 4:リアカバー、 5:シャフト、 6:スリップリング、 7:整流子、 10:ロータ、 11:ロータコア、 11a:ユニット用貫通口、 11b:シャフト穴、 11c:磁石用貫通口、 11d:磁石用貫通口対、 11e:ユニット用貫通口対、 12:巻線ユニット、 13:鉄心、 14:界磁巻線、 15:ケース、 16:封止樹脂(封止体)、 20:閉塞部材、 24:ダイオード、 25:磁石対、 26:ユニット対、30:ステータ、 31:ティース

【要約】      (修正有)
【課題】高性能の巻線機を用いることによるコスト高と、ロータ全体を絶縁体でモールドすることによるコスト高とを回避することができるロータ、及びこれを備える回転機を提供する。
【解決手段】ロータ10は、回転軸線Aを中心に回転するロータコア11を備える。ロータコア11は、複数の巻線ユニット12のそれぞれを個別に収容する複数のユニット用貫通口11aを備える。複数の巻線ユニット12のそれぞれは、鉄心と、鉄心に巻かれた界磁巻線と、鉄心及び界磁巻線を封止する絶縁性の封止樹脂とを有し、ユニット用貫通口11a内に、回転軸線A方向に延在する姿勢で収容される。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14