(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の技術では、複数の苗が移植された各トラフが、水平面において、その移動方向に対して垂直な方向に延びて構成されているため、各トラフの搬送装置は、複数のスクリューを備えた複雑な機構とならざるを得ない。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、簡素な機構により苗床を搬送できる水耕栽培システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る水耕栽培システムは、複数の苗床と、吊持部と、搬送機構とを有する。複数の苗床は、植物の苗が移植された長尺状のものである。吊持部は、上記複数の苗床が、上記苗の定植側から収穫側へ向かう所定の水平方向に配列された状態で当該各苗床を吊持する。上記搬送機構は、上記複数の苗床を、上記所定の水平方向における各苗床の間隔を、段階的または連続的に拡げながら当該所定の水平方向へ搬送する。
【0009】
これにより水耕栽培システムは、吊持部に吊持され所定の水平方向に配列された縦型の苗床を搬送機構によって水平搬送することで、横型の苗床を用いる場合に比べて簡素な機構により苗床を搬送できる。また水耕栽培システムは、吊持部が苗床を吊持することで、搬送機構に対して苗床の自重がかからないため、搬送機構の構造を簡素化し低コスト化することができる。
【0010】
上記各苗床または上記搬送機構は、上記各苗床の搬送時に当該各苗床を上記所定の水平方向へ摺動させる摺動機構を有してもよい。
【0011】
これにより水耕栽培システムは、各苗床をスムースに搬送させることができるとともに、各苗床の摩耗や破損を防止することができる。
【0012】
上記搬送機構は、上記所定の水平方向へ向かって段階的にピッチが大きくなるように形成され、上記各苗床の上端が係合可能なねじ溝を有する1本のスクリューを有してもよい。
【0013】
これにより水耕栽培システムは、1本のスクリューによって各苗床を搬送でき、システムを簡素化できる。
【0014】
上記スクリューのねじ山のうち上記定植側の端部は、新たに定植される所定数の苗床の上端をまとめて上記所定の水平方向へ摺動挿入させ上記ねじ溝に係合させることが可能な切欠き部を有してもよい。
【0015】
これにより水耕栽培システムは、スクリューが切欠き部を有することで、作業者に、所定数の苗床をスクリューに同時に挿入させることができるため、定植作業を効率化することができる。ここで所定数とは例えば3本、5本、10本等であるが、これらに限られない。
【0016】
上記苗床は、上記吊持部に吊持される位置に、上記各苗床の搬送時に当該各苗床を上記吊持部上で上記所定の水平方向へ摺動させるローラ部材を有してもよい。この場合上記ローラ部材の上記所定の水平方向における幅は、上記スクリューの上記定植側の端部のピッチと合致してもよい。
【0017】
これにより水耕栽培システムは、ローラ部材の幅とスクリューのピッチが合致することで、所定数の苗床が切欠き部から摺動挿入された場合に各苗床をスクリューのねじ溝に位置決めすることができ、各苗床の位置を調整するための余計な作業を省いて各苗床を水平方向にそのままスムースに搬送することができる。
【0018】
上記スクリューのうち、上記切欠き部が設けられた部分のねじ山及びねじ溝は、上記各苗床の上記所定の水平方向への搬送を規制し上記各苗床を当該スクリューの回転方向と平行な方向へ案内する停留部を有してもよい。
【0019】
これにより水耕栽培システムは、切欠き部を介して挿入された各苗床が、スクリューの回転に伴って移動する際に切欠き部の角に接触して損傷してしまい、ひいてはその損傷片等が植物上に落下してしまい異物が混入してしまうことを防ぐことができる。
【0020】
上記スクリューは、両端部において当該スクリューの回転軸方向に連結穴がそれぞれ形成された所定長の複数のスクリュー部材と、当該複数のスクリュー部材の上記各連結穴に係合しそれぞれ2つのスクリュー部材を連結する連結部材とを有してもよい。この場合上記搬送機構は、上記スクリューの端部を軸支するスクリュー支持部と、当該スクリュー支持部と上記スクリューとの間に設けられ上記各スクリュー部材を上記回転軸方向へ付勢する付勢部材とを有してもよい。
【0021】
これにより水耕栽培システムは、複数のスクリュー部材が連結されて構成されたスクリューを付勢部材によって付勢することで、スクリューが熱によって伸縮しその全長が変化した場合でも各スクリュー部材の位置を維持することができる。この場合、連結穴及び連結部材は、例えば円柱と当該円柱よりも直径が小さい半円柱とを組み合わせたような形状とされてもよい。
【0022】
上記水耕栽培システムは、高さ方向において上記搬送機構と同一以下の位置に設けられ、上記各苗床に養液を供給する養液供給部をさらに有していてもよい。
【0023】
これにより水耕栽培システムは、高さ方向において搬送機構と同一以下の位置に養液供給管を有することから、搬送機構が養液に晒されて腐食してしまうことがないため、耐久性を向上させることができる。
【0024】
上記各苗床は、当該各苗床の側面から各苗床の長手方向の垂直方向に突出して設けられ、上記養液供給部から供給される養液を上部から受けて上記苗床内部へ流通させる養液受管を有してもよい。
【0025】
これにより水耕栽培システムは、養液供給部から供給される養液を、苗床に垂直な養液受部によって苗床内に流通させることで、養液受部内部で渦流を発生させ、それにより苗床内部の各苗に養液を万遍なく行き渡らせることができる。
【0026】
上記養液供給部は、苗床の領域ごとに異なる養液を供給してもよい。
【0027】
これにより水耕栽培システムは、植物の生長に合わせて成分や濃度の異なる養液を供給することができ、例えば所定の生長段階において、それ以前の養液を異なる成分の養液に置換することで、低カリウムレタス等の機能性野菜を容易に栽培することができる。また、苗床内において養液は垂直方向へ高速に流通することから、領域毎に異なる養液を用いた場合でも、それらのコンタミネーションが極力防止され、横型の苗床が用いられる場合に比べて、領域ごとに養液を異ならせることの効果を最大限に引き出すことができる。
【0028】
上記各苗床の上記所定の水平方向に垂直な面上における揺動を規制するガイド部材をさらに有してもよい。
【0029】
これにより水耕栽培システムは、苗床が搬送中等に搬送方向の垂直面上で振れるのを防止し、植物の生長にむらが出たり植物が損傷したりするのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、本発明によれば、簡素な機構により苗床を搬送できる水耕栽培システムを提供することができる。しかし、当該効果は本発明を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0033】
[システムの構成]
図1は、本実施形態に係る水耕栽培システムの全体構成を示した図である。また
図2は、
図1に示した水耕栽培システムの一部拡大図である。また
図3は、
図2に示した水耕栽培システムを搬送方向から示した図である。
【0034】
この水耕栽培システムは、レタス、グリーンリーフ、サラダ菜、ミズ菜、ホウレンソウ、ハーブ類等の葉物野菜等の植物を栽培するためのシステムである。
【0035】
これらの図に示すように、水耕栽培システム100は、複数の栽培筒1と、当該各栽培筒1を吊持する栽培筒吊持部2と、各栽培筒1を所定の水平方向(図のX方向)へ搬送する搬送機構3とを有する。栽培筒吊持部2及び搬送機構3は、支柱フレーム4によって支持されている。
【0036】
各栽培筒1は、栽培対象の上記葉物野菜の苗Vがその側面に移植された内部が中空の筒状の苗床である。栽培筒1の材質としては、例えば、ポリ塩化ビニル等が用いられる。
【0037】
栽培筒吊持部2は、例えば中央に栽培筒1の挿通用のスリットを有する、X方向に沿ったレールとして構成され、各栽培筒が、上記苗Vの定植側(
図1及び
図2の左側)から収穫側(
図1及び
図2の右側)へ向かう所定の水平方向(X方向)に配列された状態で当該各栽培筒1を吊持する。すなわち、各栽培筒1は、その長手方向が垂直方向(Y方向)となった状態で1列に吊持される。
【0038】
そして、これら当該1列に吊持された複数の栽培筒1及び栽培筒吊持部2並びに搬送機構3からなる栽培ユニットが、上記搬送方向の垂直方向(Z方向)に複数設置されている。
図3では2つの栽培ユニットのみが示されているが、もちろん、3つ以上の栽培ユニットが設置されていても構わない。
【0039】
図3に示すように、各栽培筒1は、栽培筒本体11と、当該栽培筒本体11から継手配管等を介して分岐形成され、移植された苗Vを保持する植付枝管12を有する。なお、
図2では、各栽培筒1はその上部及び栽培筒本体11のみが簡略化されて示されている。また
図3では、2つの栽培筒1が重なった状態が示されており、手前の栽培筒1が太線で、その奥(X方向の隣)の栽培筒1(の植付枝管12)が細線で示されている。
【0040】
同図に示すように、植付枝管12は、栽培筒1の長手方向に向かって栽培筒本体11の側面の対向する位置に互い違いに配置されている。さらに、手前の太線の栽培筒1と奥の細線の栽培筒1とで示されるように、隣接する栽培筒1は、搬送方向(X方向)において、それらの植付枝管12の位置が互い違いになるように(隣接する栽培筒1において植付枝管12同士が隣接しないように)配置されている。これにより、栽培システム100内において複数の栽培筒1を高密度に配置しながらも、各苗Vが接触するのを防止し、栽培空間の使用効率を向上させることができる。
【0041】
YZ平面において植付枝管12と栽培筒本体11とがなす角度は、植付枝管12の分岐直後の部分が約90度、その余の部分が約45度となるよう屈曲形成されており、これにより苗Vの植付角度は約45度となっている。しかし、この植付角度はこれに限られない。
【0042】
また、XY平面において植付枝管12と栽培筒本体11とがなす角度(植付枝管12の搬送方向に対する角度)は約90度とされるが、各栽培筒1が同図に示す状態からその長手方向の軸回りに例えば45度以内の角度だけ回転された状態とされてもよい。
【0043】
本実施形態では、栽培筒1の苗Vを成長させるための光の光源として、自然光(太陽光)を採り入れて苗Vへ照射する採光装置7及び人工光を苗Vへ照射するLED5を併用しているが、光源は自然光のみでもよく、人工光のみでもよい。
【0044】
採光装置7としては、光ダクトや天窓等が用いられ、加えて、太陽光追尾装置やルーバーが備えられていてもよい。また人工光源として、LED5に代えて、蛍光灯や有機発光ダイオード(OLED)等が用いられてもよい。
【0045】
図3に示すように、採光装置7は、自然光を採り入れる採光口71と、水平方向で対向する一対のアクリル板72と、採光口71とアクリル板72の間に設けられた拡散板73とを有する。
【0046】
アクリル板72の形状は板状に限定されず、フィルム状など種々の形状のものが用いられる。また、自然光を光源として利用する場合、アクリル板72の素材は、光は通すが熱は通しにくい素材であってもよく、銀、銀合金、アルミニウム、鋼板など光を反射する素材が用いられてもよい。光を反射する素材を用いる場合は、苗Vに光を当てるため、苗Vの位置に応じて、板に複数の孔を設ける必要がある。これにより、採光口71から採り入れられた自然光が、反射を繰り返しながら下方に伝搬するようになり、その伝搬する過程で、板に設けた孔から苗Vに光が照射されるようになっている。また、光源が人工光源のみの場合は、植物に光が当たらないことが無いよう(植物に影ができないよう)に、光を散乱する素材(例えば、金属や光散乱フィルムを貼った板等)や、光が栽培空間から漏洩せずに、栽培空間内で光を反射させる素材(例えば、銀、アルミニウムなどの金属や、白色などに着色したアクリルなどの樹脂)を用いた方がよい。
【0047】
採光口71から採り入れられた太陽光は、拡散板73によって拡散され、アクリル板72の間で反射を繰り返しながら、アクリル板72の苗側の面から放光され、各栽培筒1の苗Vに照射される。
【0048】
また、LED5は、
図2に示すように、例えば横長形状の複数のユニットとして構成され、
図3に示すように、アクリル板72の苗側の面に設けられている。当該LED5は、例えば、上記苗Vに対して照射される光が、太陽光のみでは所定の目標値に達しない場合に、上記太陽光を補光する役割を担う。当該LED5による補光は、採光装置7による太陽光の照射と並行して実行されるほか、太陽光が照射されない夜間においても行われる。
【0049】
また、上記各栽培筒1は、上述の通り、例えばポリ塩化ビニル等の材料で形成されているが、金属やその他の樹脂から形成されていてもよい。この場合、栽培筒1は、上記自然光または人工光に対して高い反射率(例えば70%以上)を有していること(銀色系や白色系の着色がされていること)が好ましい。これにより、採光装置7及びLED5から各栽培筒1に照射された光の反射光も苗Vの生長促進に有効利用することができる。
【0050】
図1乃至
図3に示すように、搬送機構3は、上記一列の各栽培筒1をX方向へ搬送するための1本のスクリュー31を有する。詳細は後述するが、当該スクリュー31は、上記搬送方向へ向かって段階的にピッチが大きくなるように形成され、上記各栽培筒1の上端が係合可能なねじ溝を有する。これにより、搬送機構3は、
図1及び
図2に示すように、搬送方向(X方向)に向かって各栽培筒1の間隔を段階的または連続的に拡げながら各栽培筒1を搬送することが可能となる。
【0051】
当該スクリュー31は、例えば図示しないモータ等で回転駆動することができるほか、
図2に示すハンドル6を用いて作業者が手動で駆動することも可能とされている。当該スクリュー31の詳細については後述する。
【0052】
図3に示すように、各栽培筒1の上部には、各栽培筒1に養液(固形又は液状の肥料を水に溶かした液体肥料)を供給するための養液供給管8が設けられている。養液は、図示しない養液タンクから図示しないポンプによって養液供給管8を流通し、栽培筒1の養液受管13の受け口まで供給され、当該養液受管13を介して栽培筒の内部の苗Vの根へ行き渡るようになっている。
【0053】
ここで、養液供給管8は、高さ方向(Y方向)において、上記搬送機構3と同一以下の位置に設けられる。これにより、搬送機構3が養液に晒されて腐食してしまうことがないため、耐久性を向上させることができる。
【0054】
また、養液受管13は、各栽培筒1の側面から各栽培筒1の長手方向の垂直方向(水平方向)に突出して設けられ、その端部の受け口から上記養液供給管8から供給される養液を受ける。これにより、受け口から流入した養液が水平方向の養液受管13に衝突し、養液受管13の内部で渦流が発生するため、栽培筒本体11の内部も渦を巻くように養液が流れるので、各苗Vに養液を万遍なく行き渡らせることができる。
【0055】
また、各栽培筒1の下部端部に相当する位置には、例えば各栽培筒1を挟んで対向する支柱フレームの間に、各栽培筒1が搬送方向に垂直な面(YZ平面)上における揺動を規制する栽培筒下部ガイド9が設けられている。これにより、各栽培筒1が搬送中等に搬送方向の垂直面上で振れるのが防止され、苗Vの生長にむらが出たり苗Vが損傷したりするのが防止される。
【0056】
また、水耕栽培システム100は、図示しない空調装置を有しており、当該空調設備から供給される空気は、支柱フレーム4の上部の、搬送機構3の近傍に設けられた空調ダクト10から下方に噴出される。また、当該空気とは別に、水耕栽培システム100内部には、苗Vの光合成に用いられる二酸化炭素も供給され、当該二酸化炭素は上記空気と混合され、栽培空間に充填される。また、栽培空間はアクリル板72によって覆われているため、空調効率も向上する。
【0057】
その他、図示しないが、水耕栽培システム100は、上記LED5の駆動状態や、液肥ポンプからの養液の供給状態等を制御する制御装置を有している。
【0058】
[搬送機構及び摺動機構の構成]
次に、上記搬送機構3及びそれを補助する摺動機構について説明する。
【0059】
図4は、
図3に示した水耕栽培システム100の搬送機構3部分の拡大図である。また
図5は、
図4に示した搬送機構3を側面方向から示した図である。
【0060】
両図に示すように、各栽培筒1の上部の、栽培筒吊持部2に吊持される位置には、栽培筒1の本体11に接続された水平フレーム部材14を介して、一対のローラ部材15が設けられている。
【0061】
当該ローラ部材15は、同
図Z方向の軸により回転可能とされており、当該ローラ部材15が栽培筒吊持部2に支持されることで、搬送機構3のスクリュー31による各栽培筒1の搬送時に、当該各栽培筒1を栽培筒吊持部2上で上記搬送方向(X方向)へ摺動させる摺動機構として機能する。当該摺動機構により、各栽培筒1をよりスムースに搬送させることができるとともに、各栽培筒1の摩耗や破損を防止することができる。
【0062】
図5に示すように、各栽培筒1において、各ローラ部材15及びそれを保持する水平フレーム部材14の搬送方向における幅(長さ)は、上記スクリュー31の定植側の端部におけるピッチP1に合致している。これにより、定植側において各栽培筒1を新たにスクリュー31に係合させて定植作業を行う際に、各栽培筒1をスクリュー31に容易に位置決めすることができる。
【0063】
また、
図4に示すように、スクリュー31は、回転駆動時において、ローラ等で構成されたスクリューガイド33によってガイドされる。
【0064】
図6は、
図4に示した搬送機構3のスクリュー31の一部省略A−A断面図である。また
図7は、
図6のB部分の拡大図であり、
図8は、
図6のC部分の拡大図である。
【0065】
これらの図に示すように、スクリュー31は、所定長(例えば1200mm程度)の複数(例えば10本程度)のスクリュー部材35が、連結キー36によって連結されて構成されている。
【0066】
各スクリュー部材35は、その両端部において、その回転軸方向に連結穴(
図10の連結穴44(大径部44a及び小径部44b)参照)を有し、各連結キー36は、当該連結穴に係合する略円柱形状を有する。具体的には、各連結キー36は、円柱状のキー本体36aの表面に、当該キー本体36aよりも直径が小さい円柱状のキー歯36bが突出形成されて構成されている。
【0067】
スクリュー31は各栽培筒1を1ピッチずつ搬送方向に移動させるためのものであり、そのトルクは比較的小さいため、連結キー36及び連結穴の形状を円柱状としてもその連結強度を十分に保つことができ、また円柱状にすることで、角柱形状にする場合よりも加工の手間とコストを大きく下げることができる。
【0068】
また、
図8に示すように、スクリュー31のスクリュー軸37の端部はスクリュー軸受38によって軸支され、当該スクリュー軸受38とスクリュー31との間には、上記各スクリュー部材35をスクリュー31の回転軸方向(X方向)へ付勢する付勢部材としてのコイルばね32を有する。
【0069】
当該コイルばね32により、スクリュー部材35の連結力が維持されるとともに、スクリュー31が熱によって伸縮しその全長が変化した場合でも、各スクリュー部材35の位置を所定位置に維持することができる。
【0070】
図9は、
図6に示したスクリュー部材35の底面部分の斜視図である(すなわち、スクリュー部材35の天地を逆にして見た斜視図である)。また
図10は、
図9に示したスクリュー部材35を回転軸方向から見た図である。また
図11は、
図9に示したスクリュー部材35の一部拡大側面図である。
【0071】
これらの図に示すように、スクリュー部材35のねじ山41のうち上記定植側の端部には、直方体形状の切欠き部43が形成されている。当該切欠き部43は、新たに定植される所定数の栽培筒1の上端をまとめて上記搬送方向へ摺動挿入させ、ねじ溝42に係合させることが可能なものである。
【0072】
当該切欠き部43により、作業者は、新たな定植時に所定数の栽培筒1をスクリュー31に
図9の挿入方向へ同時に挿入させることができるため、定植作業を効率化することができる。ここで所定数とは例えば3本、5本、10本等であるが、これらに限られない。
【0073】
上記
図5でも説明したが、
図11に示すように、各栽培筒1において、各ローラ部材15及びそれを保持する水平フレーム部材14の搬送方向における幅は、上記スクリュー31の定植側の端部におけるピッチP1(スクリュー31が1回転すると、栽培筒1はピッチP1分だけ搬送方向へ進む)に合致している。
【0074】
これにより、複数(同図の例では5本)の栽培筒1が切欠き部43からまとめて摺動挿入された場合に、作業者は、各栽培筒1をスクリュー31のねじ溝42にそのまま位置決めすることができ、各栽培筒1の位置を調整するための余計な作業を省いて各栽培筒1を搬送方向にそのままスムースに搬送することができる。
【0075】
また、上述したように、スクリュー31のピッチは、定植側から収穫側にかけて徐々に(段階的に)大きくなるように設計されている。定植側の(最も小さい)ピッチは例えば50mmであり、それから収穫側へ向かって例えば100mm、150mm、200mmと段階的に拡大する。同一のピッチとなるピッチ数は、作業者が定植側においてまとめて定植する栽培筒1の本数及び収穫側においてまとめて収穫する栽培筒1の本数と合致し、またはそれらの本数の整数倍とされてもよい。
【0076】
図12は、
図9に示したスクリュー部材35の略式展開図である。
【0077】
同図に示すように、スクリュー部材35の定植側端部において切欠き部43が設けられた部分のねじ山41及びねじ溝42は、停留部45を有する。当該停留部45は、各栽培筒1の搬送方向(X方向)への搬送を規制し、上記各栽培筒1をスクリュー31の回転方向と平行な方向へ案内する停留部45を有する。
【0078】
すなわち、上記定植側端部のねじ山41及びねじ溝42は、その螺旋状の軌道が切欠き部43のやや手前の位置で一旦停止し、回転軸の平行方向(Y方向)に軌道修正され、切欠き部43をやや過ぎた位置から再び螺旋状の軌道に戻るような形状とされている。
【0079】
当該停留部45が設けられることで、切欠き部43を介して挿入された各栽培筒が、スクリュー31の回転に伴って移動する際に、切欠き部43の角に接触したり引っ掛かったりして損傷してしまうのを防ぐことができ、ひいてはその損傷片等が栽培筒1の苗V上に落下して、苗Vに異物が混入してしまうことを防ぐことができる。
【0080】
[領域毎に異なる養液の供給]
本実施形態においては、水耕栽培システム100は、栽培筒1の苗Vに供給する養液を、領域毎に異ならせることができる。
図13は、水耕栽培システム100を、供給養液毎の領域に分割した様子を示した図である。
【0081】
同図に示すように、水耕栽培システム100は、隣接間隔(すなわち、対応するスクリュー31のピッチ)が同一の栽培筒1の領域ごとに異なる養液(例えばスクリュー31の異なるピッチの数が3つであれば、3つの異なる養液)を供給することができる。
【0082】
上述したように、栽培筒1は垂直方向に吊持されていることから、養液供給管8から養液受管13を介して供給される養液は、栽培筒1内において垂直方向へ高速に流通することから、領域毎に異なる養液を用いた場合でも、それらのコンタミネーションが極力防止される。したがって、横型の苗床が用いられる場合に比べて、領域毎に養液を異ならせることの効果を最大限に引き出すことができる。
【0083】
これにより水耕栽培システム100は、苗Vの生長に合わせて成分や濃度の異なる養液を供給することができ、例えば所定の生長段階において、それ以前の養液を異なる成分の養液に置換することで、低カリウムレタス等の機能性野菜を容易に栽培することができる。
【0084】
[まとめ]
以上説明したように、本実施形態によれば、水耕栽培システム100は、栽培筒吊持部2に吊持され搬送方向に一列に配列された縦型の栽培筒1を搬送機構3(1本のスクリュー31)によって水平搬送することで、横型の苗床を用いる場合に比べて簡素な機構により苗床を搬送できる。また、栽培筒吊持部2が栽培筒1を吊持することで、搬送機構3に対して栽培筒1の自重がかからないため、搬送機構3の構造を簡素化し低コスト化することができる。さらに、高さ方向において搬送機構3と同一以下の位置に養液供給管8を有することから、搬送機構3が養液に晒されて腐食してしまうことがないため、耐久性を向上させることができる。
【0085】
[変形例]
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
【0086】
上述の実施形態において、搬送機構3はピッチが段階的に大きくなるスクリュー31によって構成された。しかし、搬送機構3はこれに限られない。例えば、搬送機構3として、
図14に示すようなリンク機構を用いることもできる。
【0087】
同図は、当該搬送機構3としてのリンク機構50の略式透過側面図である。同図に示すように、リンク機構50は、天井部51及びアーム部52を有する。
【0088】
アーム部52は例えば細長い菱形状の板部材で構成され、その両端部には、Z方向の軸回りに回転可能な上部ローラ54及び下部ローラ55が設けられる。またアーム部52は例えばその上部ローラ側において、栽培筒1の水平フレーム部材14の側壁と、支軸53を介して回転可能に連結されている。栽培筒1は、上述の実施形態と同様の、栽培筒吊持部2上を摺動可能なローラ部材15を有する。
【0089】
また天井部51は、その高さ(天井部51と栽培筒吊持部2との間の距離)が斜面を介して段階的に小さくなるように形成されている。
【0090】
この構成により、最も定植側(同図左端)の栽培筒1が搬送方向(X方向右側)へ移動すると、栽培筒1に接続されたアーム部52の下部ローラ55がその1つ前の栽培筒1を押すことで、複数の栽培筒1が連動して搬送方向へ移動する。それとともに、上記天井部51の高さが段階的に小さくなっていることから、それに沿って上部ローラ54の位置が下方へ移動するとともに、支軸53を中心にアーム部52が搬送方向へ回転し、それにより下部ローラ55の位置も搬送方向へ移動することから、下部ローラ55によって押される1つ前の栽培筒1との間の距離も、天井部51の高さの変化に伴って大きくなる。
【0091】
このような構成により、上記ピッチの異なるスクリュー31と同様に、栽培筒1間の間隔を段階的に広げながら各栽培筒1を搬送方向へ搬送することが可能となる。
【0092】
上述の実施形態では、摺動部材としてのローラ部材15は各栽培筒1の上部(栽培筒吊持部2に支持される部分)に設けられた。しかし、ローラ部材は栽培筒1に設けられる代わりに、栽培筒吊持部2に設けられてもよい。
【0093】
図15は、ローラ部材が栽培筒吊持部2に設けられた場合の摺動機構の構成を搬送方向側から示した図である。同図に示すように、栽培筒吊持部2の底面及び側面には、栽培筒1の水平フレーム部材14を搬送方向へ摺動させるための複数の円柱状のホイール61(いわゆるミニミニホイール)が設けられている。当該ホイール61は、搬送方向の定植側から収穫側に亘って多数隣接して設けられ、ホイールコンベアとして機能する。
【0094】
各ホイール61は、円柱状に限らず、複数の円盤状ローラがZ方向に連結されて構成されていてもよい。また同図では搬送機構としてスクリュー31が示されているが、当該スクリュー31に代えて上記リンク機構50が用いられてもよい。
【0095】
これにより、栽培筒1の構造をより簡素化することができ、栽培筒1を定植する際の作業性が向上する。
【0096】
上述の実施形態におけるスクリュー31の切欠き部43の長さは、図示したものに限られず、より多くの本数の栽培筒1をまとめて摺動挿入できるものであってもよい。また、上記スクリュー31の停留部45の長さ(面積)も、図示したものに限られず、適宜変更可能である。
【0097】
また、スクリュー31の異なるピッチの数も上述の実施形態で図示したものに限られず、適宜変更可能であり、またその場合、ピッチの数に応じて用いる異なる養液の数も併せて適宜変更可能である。
【0098】
上述の実施形態においては、苗が移植された苗床として栽培筒1が示された。しかし、苗床は筒状に限られず、側面に苗を保持可能な円柱状の発泡体(スポンジ等)や、側面から苗を吊下げ可能な棒状体等、長尺状のものであればどのような形態のものであっても構わない。
【0099】
上述の実施形態では、養液は、養液タンクからポンプによって養液供給管8を流通し、栽培筒1の養液受管13の受け口まで供給され、当該養液受管13を介して栽培筒の内部へ供給された。しかし、養液供給管8に代えて、スクリュー31の軸方向の中心に穴が設けられ、当該スクリュー1の穴を通して各栽培筒1へ養液が供給されてもよい。