特許第6787584号(P6787584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6787584透明導電層積層用フィルム、その製造方法、及び透明導電性フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6787584
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】透明導電層積層用フィルム、その製造方法、及び透明導電性フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/08 20060101AFI20201109BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20201109BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20201109BHJP
   H05B 33/28 20060101ALI20201109BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20201109BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20201109BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20201109BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20201109BHJP
   H01L 51/44 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   B32B15/08 D
   H01B5/14 A
   H01B5/14 B
   H05B33/14 A
   H05B33/28
   H05B33/02
   H05B33/04
   H05B33/10
   H05B33/26 Z
   H01L31/04 130
【請求項の数】12
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-548729(P2017-548729)
(86)(22)【出願日】2016年10月27日
(86)【国際出願番号】JP2016081830
(87)【国際公開番号】WO2017077933
(87)【国際公開日】20170511
【審査請求日】2019年7月31日
(31)【優先権主張番号】特願2015-218292(P2015-218292)
(32)【優先日】2015年11月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100131635
【弁理士】
【氏名又は名称】有永 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100158481
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】森田 亘
(72)【発明者】
【氏名】原 務
(72)【発明者】
【氏名】武藤 豪志
(72)【発明者】
【氏名】近藤 健
【審査官】 塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−171015(JP,A)
【文献】 特開2013−211283(JP,A)
【文献】 特開2013−016670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
H01B 5/00−5/16
H05B33/00−33/28
H01L27/32
31/02
31/04
51/44
51/50
H02S10/00−10/40
30/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明樹脂フィルム基材上に、少なくとも、透明樹脂層A、開口部を有する金属層、及び該開口部に無機微粒子を含む透明樹脂層Bとが複合層として積層された透明導電層積層用フィルムであって、該複合層の、該透明樹脂フィルム基材側の面とは反対側の面が、該金属層と該無機微粒子を含む透明樹脂層Bとからな該無機微粒子を含む透明樹脂層B全体積中の該無機微粒子の含有量が20〜70体積%である、透明導電層積層用フィルム。
【請求項2】
前記無機微粒子を含む透明樹脂層Bの厚みが100nm〜100μmである、請求項1に記載の透明導電層積層用フィルム。
【請求項3】
前記無機微粒子の累積90体積%における粒径(D90)が200nm以下である、請求項1又は2に記載の透明導電層積層用フィルム。
【請求項4】
前記無機微粒子がシリカ微粒子である、請求項1〜のいずれか1項に記載の透明導電層積層用フィルム。
【請求項5】
前記複合層の前記金属層と前記無機微粒子を含む透明樹脂層Bとからなる界面段差を含む表面のJIS−B0601−1994で規定される算術平均粗さRaが40nm以下である、請求項1に記載の透明導電層積層用フィルム。
【請求項6】
前記透明導電層積層用フィルムにさらにガスバリア層を含む、請求項1に記載の透明導電層積層用フィルム。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載の透明導電層積層用フィルムにおける複合層上に透明導電層が積層されてなる、透明導電性フィルム。
【請求項8】
前記透明導電層の表面のJIS−B0601−1994で規定される算術平均粗さRaが40nm以下である、請求項に記載の透明導電性フィルム。
【請求項9】
対向する電極の少なくとも一方が前記透明導電性フィルムで構成された電子デバイスであって、該透明導電性フィルムが請求項又はに記載の透明導電性フィルムである、電子デバイス。
【請求項10】
前記電子デバイスが、有機薄膜太陽電池又は有機EL照明である、請求項に記載の電子デバイス。
【請求項11】
透明樹脂フィルム基材上に、少なくとも、透明樹脂層A、開口部を有する金属層、及び該開口部に無機微粒子を含む透明樹脂層Bとが複合層として積層された透明導電層積層用フィルムの製造方法であって、
下記工程(A)〜(C)を含む、透明導電層積層用フィルムの製造方法。
(A)転写用基材上に前記開口部を有する金属層を形成し、該開口部に前記無機微粒子を含む透明樹脂層Bを形成し、さらに前記透明樹脂層Aを形成し複合層を形成する工程
(B)前記複合層を前記透明樹脂フィルム基材上に積層する工程
(C)前記転写用基材を剥離し、前記複合層の金属層と無機微粒子を含む透明樹脂層Bとからなる面に該転写用基材の平滑面を転写する工程
【請求項12】
前記透明導電層積層用フィルムの前記複合層上に、さらに透明導電層を積層させる工程を含む、請求項11に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明導電層積層用フィルム、その製造方法、及び透明導電性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンテッドエレクトロニクスの発展により、今後普及が期待される有機薄膜太陽電池や有機EL照明等をはじめとする、主として有機材料を用いた電子デバイスの大面積化、加えてフレキシブル化が進められている。高性能で大面積の電子デバイスとする観点から、それら電子デバイスの透光性電極として用いられる透明導電性フィルムには、デバイス動作(集電又は電圧印加)時に、透明導電層が一般に高い電気抵抗率を有することから生じる、電力損失、又は特性分布を改善するために、透明導電層表面の低抵抗化が要求されている。この要求に対し、透明導電層に補助電極層として、透明導電層より低い抵抗値を有する金属細線や金属ペーストのパターン層を設けた構造が用いられている。
【0003】
前記構造においては、例えば、補助電極層の上に透明導電層を積層した場合、補助電極層の厚みに応じた段差が生じてしまい、ひいては該段差はさらに近接するデバイス等の活性層(駆動層等)の導電部位にも影響を及ぼし、デバイス特性の低下、短絡等による不良の発生、デバイス寿命の低下の要因となってしまっていた。
上記問題を解決する方法として、特許文献1では、透明導電層と補助電極層との間に、熱硬化型ポリエステル樹脂やUV硬化型アクリレート樹脂を用いた透明樹脂層の使用が開示されている。また、特許文献2では、補助電極層と開口部に設けた透明樹脂層とからなる面が、転写基材の平滑性を反映させるプロセス等を導入することにより、透明導電層と接する面が、特許文献1よりも高い平滑性が得られる製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開第2005−332705号公報
【特許文献2】特開第2014−216175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、透明樹脂層がインジウム−スズ酸化物(ITO)の積層時の熱履歴により、機械的な変形や損傷を受けることで平滑性が損なわれ、結果として前述した従来の問題を解決するには至っていない。
特許文献2では、平滑性については、特許文献1よりも優れているものの、やはり耐熱性が十分ではなく、特許文献1と同様の問題を残している。
【0006】
本発明は、上記問題を鑑み、耐熱性が高く、補助電極層を含む表面の平滑性が優れた透明導電層積層用フィルム、その製造方法、及び表面抵抗率が低く、デバイス内における電極間での短絡による、デバイスの特性不良の発生、及びデバイス寿命の低下が抑制される透明導電性フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、透明樹脂フィルム基材上に、少なくとも透明樹脂層Aと、開口部を有する金属層と、該開口部に設けた無機微粒子を含む透明樹脂層Bとを複合層として積層した透明導電層積層用フィルムとすることにより、該複合層の、開口部を有する金属層と該開口部に設けた無機微粒子を含む透明樹脂層Bとからなる面の表面粗さの増加が、続く透明導電層の積層時の熱履歴において、抑制されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(13)を提供するものである。
(1)透明樹脂フィルム基材上に、少なくとも、透明樹脂層A、開口部を有する金属層、及び該開口部に無機微粒子を含む透明樹脂層Bとが複合層として積層された透明導電層積層用フィルムであって、該複合層の、該透明樹脂フィルム基材側の面とは反対側の面が、該金属層と該無機微粒子を含む透明樹脂層Bとからなる、透明導電層積層用フィルム。
(2)前記無機微粒子を含む透明樹脂層Bの厚みが100nm〜100μmである、上記(1)に記載の透明導電層積層用フィルム。
(3)前記無機微粒子の累積90体積%における粒径(D90)が200nm以下である、上記(1)又は(2)に記載の透明導電層積層用フィルム。
(4)前記無機微粒子を含む透明樹脂層B全体積中の該無機微粒子の含有量が20〜70体積%である、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の透明導電層積層用フィルム。(5)前記無機微粒子がシリカ微粒子である、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の透明導電層積層用フィルム。
(6)前記複合層の前記金属層と前記無機微粒子を含む透明樹脂層Bとからなる界面段差を含む表面のJIS−B0601−1994で規定される算術平均粗さRaが40nm以下である、上記(1)に記載の透明導電層積層用フィルム。
(7)前記透明導電層積層用フィルムにさらにガスバリア層を含む、上記(1)に記載の透明導電層積層用フィルム。
(8)上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の透明導電層積層用フィルムにおける複合層上に透明導電層が積層されてなる、透明導電性フィルム。
(9)前記透明導電層の表面のJIS−B0601−1994で規定される算術平均粗さRaが40nm以下である、上記(8)に記載の透明導電性フィルム。
(10)対向する電極の少なくとも一方が前記透明導電性フィルムで構成された電子デバイスであって、該透明導電性フィルムが上記(8)又は(9)に記載の透明導電性フィルムである、電子デバイス。
(11)前記電子デバイスが、有機薄膜太陽電池又は有機EL照明である、上記(10)に記載の電子デバイス。
(12)透明樹脂フィルム基材上に、少なくとも、透明樹脂層A、開口部を有する金属層、及び該開口部に無機微粒子を含む透明樹脂層Bとが複合層として積層された透明導電層積層用フィルムの製造方法であって、下記工程(A)〜(C)を含む、透明導電層積層用フィルムの製造方法。
(A)転写用基材上に前記開口部を有する金属層を形成し、該開口部に前記無機微粒子を含む透明樹脂層Bを形成し、さらに前記透明樹脂層Aを形成し複合層を形成する工程
(B)前記複合層を前記透明樹脂フィルム基材上に積層する工程
(C)前記転写用基材を剥離し、前記複合層の金属層と無機微粒子を含む透明樹脂層Bとからなる面に該転写用基材の平滑面を転写する工程
(13)前記透明導電層積層用フィルムの前記複合層上に、さらに透明導電層を積層させる工程を含む、上記(12)に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、耐熱性が高く、補助電極層を含む表面の平滑性が優れた透明導電層積層用フィルム、その製造方法、及び表面抵抗率が低く、デバイス内における電極間での短絡による、デバイスの特性不良の発生、及びデバイス寿命の低下が抑制される透明導電性フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の透明導電層積層用フィルム及び透明導電性フィルムの一例を示す断面図である。
図2】本発明の製造方法に従った工程の一例を工程順に示す説明図である。
図3】本発明の実施例で得られた透明導電層積層用フィルムの複合層の表面及び該表面に透明導電層が積層された後の透明導電性フィルムの表面を示し、(a)は実施例1の光干渉像(左が積層前、右が積層後、測定範囲:91μm×120μm)であり、(b)は比較例1の光干渉像(左が積層前、右が積層後、測定範囲:91μm×120μm)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[透明導電層積層用フィルム]
本発明の透明導電層積層用フィルムは、透明樹脂フィルム基材上に、少なくとも、透明樹脂層A、開口部を有する金属層、及び該開口部に無機微粒子を含む透明樹脂層Bとが複合層として積層された透明導電層積層用フィルムであって、該複合層の、該透明樹脂フィルム基材側の面とは反対側の面が、該金属層と該無機微粒子を含む透明樹脂層Bとからなる、透明導電層積層用フィルムである。
【0011】
図1は、本発明の透明導電層積層用フィルム及び透明導電性フィルムの一例を示す断面図である。図1において、透明導電層積層用フィルム1aは、透明樹脂フィルム基材2上に、透明樹脂層A4と、開口部7を有する金属層6と該開口部に設けた無機微粒子を含む透明樹脂層B5とから構成される複合層3が積層されてなるものである。
【0012】
透明導電層積層用フィルムを構成する前記複合層の金属層の開口部に、透明フィルム基材上の透明樹脂層Aを介し、無機微粒子を含む透明樹脂層Bを設けることにより、透明導電層積層用フィルム上に、透明導電層を積層した際に、積層時の熱履歴により、複合層と透明導電層間の熱収縮率差(弾性率差等含む)等由来の機械的相互作用による、剥がれ、クラックの発生、表面形状の悪化等を抑制することができる。さらに無機微粒子を含む透明樹脂層Bを設けることにより、透明導電層をレーザーエッチングやウェットエッチングを行う際のレーザー光やエッチング液によるダメージから透明導電層積層用フィルムを保護することもできる。
また、透明導電層を積層し、透明導電性フィルムとした時に、複合層における金属層(以下、パターン化した金属層を「補助電極層」ということがある。)により、透明導電性フィルムの表面が低抵抗化(表面抵抗率減少)される。
【0013】
〈無機微粒子を含む透明樹脂層B〉
本発明に用いる無機微粒子を含む透明樹脂層B(以下、「耐熱層」ということがある。)は、前述したように、本発明の透明導電層積層用フィルムの複合層の金属層の開口部に設けられる。耐熱性を有するため、透明導電層を積層した際の熱履歴由来の、透明導電層の表面粗さの増加を抑制するために必須として設けられる。
【0014】
本発明における耐熱層は、以下の(P)活性エネルギー線感応型組成物を硬化してなるものである。
(P)活性エネルギー線感応型組成物
活性エネルギー線感応型組成物は、(i)活性エネルギー線硬化型化合物、(ii)無機微粒子、(iii)光重合開始剤を含む。該活性エネルギー線感応型組成物に対して、活性エネルギー線を照射することで、架橋、硬化し、耐熱層を得ることができる。
また、該組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、レベリング剤、消泡剤等の添加剤を含むことができる。
なお、本発明において「活性エネルギー線」とは、紫外線又は電子線等の電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味する。
【0015】
(i)活性エネルギー線硬化型化合物
本発明において「活性エネルギー線硬化型化合物」とは、上記の活性エネルギー線を照射することにより、架橋、硬化する重合性化合物を意味する。
活性エネルギー線硬化型化合物としては、多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び/又は(メタ)アクリレート系プレポリマーが好ましく、多官能性(メタ)アクリレート系モノマーがより好ましい。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの両方を意味し、他の類似用語も同様である。
【0016】
多官能性(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、これらのモノマーは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
(メタ)アクリレート系プレポリマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート系プレポリマー、エポキシ(メタ)アクリレート系プレポリマー、ウレタン(メタ)アクリレート系プレポリマー、ポリオール(メタ)アクリレート系プレポリマー等が挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレート系プレポリマーは、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシアクリレート系プレポリマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。
ウレタンアクリレート系プレポリマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られる両末端に水酸基を有するポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリオールアクリレート系プレポリマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
なお、これらのプレポリマーは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、前記多官能性(メタ)アクリレート系モノマーと併用してもよい。
【0018】
(ii)無機微粒子
本発明に用いる無機微粒子は、特に制限されないが、透明導電層積層用フィルムの光線透過率の低下等、該透明導電層積層用フィルムの基本的な特性を損なわない範囲で選択され、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、炭酸カルシウム微粒子が挙げられる。該無機微粒子の中でも、(i)活性エネルギー線硬化型化合物と強固な結合を形成する観点から、該活性エネルギー線硬化型化合物と反応することができる重合性不飽和基を有する有機化合物で表面修飾されたシリカ微粒子が好ましい。
重合性不飽和基を有する有機化合物で表面修飾されたシリカ微粒子は、シリカ微粒子の表面のシラノール基に、該シラノール基と反応し得る官能基である(メタ)アクリロイル基を有する重合性不飽和基含有有機化合物を反応させることにより、得ることができる。
なお、本発明において、無機微粒子の表面を修飾する重合性不飽和基を有する有機化合物は、(ii)無機微粒子の構成要素として含まれるものであり、上記の(i)活性エネルギー線硬化型化合物とは区別される。
【0019】
前記シラノール基と反応し得る官能基を有する重合性不飽和基含有有機化合物としては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物等が好ましい。
【0020】
【化1】

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rはハロゲン原子又は下記式で示される基である。)
【0021】
【化2】
【0022】
このような有機化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸2−イソシアナートエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2,3−イミノプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリル酸及びその誘導体が挙げられ、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
前記無機微粒子を含む透明樹脂層B全体積中の該無機微粒子の含有量は、好ましくは20〜70体積%、より好ましくは30〜65体積%、さらに好ましくは30〜60体積%である。無機微粒子の含有量がこの範囲であると、透明導電層の積層時の熱履歴による透明導電層の表面粗さの増加の抑制、樹脂硬化時の硬化収縮由来の、複合層の補助電極層と耐熱層とからなる表面の表面粗さの増加が抑制できる。無機微粒子としては、前述したとおり、シリカ微粒子が好ましい。
【0024】
耐熱層の厚みは、耐熱層形成に用いる材料、補助電極層の材料、厚み等により適宜選択されるが、通常100nm〜100μm、好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは2〜20μmである。耐熱層の厚みがこの範囲であると、透明導電層積層時の、透明導電層積層用フィルム由来の透明導電層の表面粗さの増加を抑制することができる。
また、耐熱層の厚みtと前記金属層(補助電極層)の厚みtとの比(t/t)が、0.05〜5.0であることが好ましく、より好ましくは0.10〜4.0、さらに好ましくは0.10〜2.0、特に好ましくは0.10〜1.0である。耐熱層の厚みtと補助電極層の厚みtとの比(t/t)が、この範囲であると、耐熱層形成時の硬化収縮による複合層の表面粗さの増加を抑制することができる。
【0025】
前記無機微粒子のD90(D90は累積90体積%における粒径である)が200nm以下であることが好ましく、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは10nm以下である。D90がこの範囲であると、微粒子による光散乱が抑制され、光学特性が向上し好ましい。
なお、無機微粒子のD90の値は、後述する実施例及び比較例で用いたシリカ微粒子のD90の値を含め、動的光散乱式粒子分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製、品名:Nanotrac wave)を用いて測定した。
【0026】
本発明の透明導電層積層用フィルムの前記複合層の、補助電極層と耐熱層とからなる界面段差を含む表面のJIS−B0601−1994で規定される算術平均粗さRaが40nm以下が好ましく、より好ましくは20nm以下であり、さらに好ましくは15nm以下である。算術平均粗さRaがこの範囲にあると、該透明導電層積層用フィルムに透明導電層を積層した場合、透明導電層の積層後の透明導電層の表面粗さを好ましい範囲に抑え、デバイス内における電極間での短絡によるデバイス特性の不良の発生、及びデバイス寿命の低下を抑制することができる。
【0027】
(iii)光重合開始剤
活性エネルギー線感応型組成物には、光重合開始剤が含有する。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
上記(i)活性エネルギー線硬化型化合物、(ii)シリカ微粒子、及び(iii)光重合開始剤を含む活性エネルギー線感応型組成物の市販品としては、例えば、「オプスターZ7530」、「オプスターZ7524」、「オプスターTU4086」(製品名、いずれもJSR社製)、等が挙げられる。
【0029】
活性エネルギー線感応型組成物には、必要に応じて、紫外線吸収剤を含有してもよい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、分子内にラジカル重合性の二重結合を有するラジカル重合性紫外線吸収剤が好ましい。
紫外線吸収剤が含有する場合の含有量としては、(i)活性エネルギー線硬化型化合物、(ii)シリカ微粒子、及び(iii)光重合開始剤の合計100質量部に対して、好ましくは0.2〜10質量部、より好ましくは0.5〜7質量部である。
【0030】
活性エネルギー線感応型組成物には、必要に応じて、光安定剤を含有してもよい。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾフェノン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系光安定剤等が挙げられる。これらの光安定剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光安定剤が含有する場合の含有量としては、(i)活性エネルギー線硬化型化合物、(ii)シリカ微粒子、及び(iii)光重合開始剤の合計100質量部に対して、好ましくは0.2〜10質量部、より好ましくは0.5〜7質量部である。
【0031】
(透明樹脂フィルム基材)
本発明に用いる透明樹脂フィルム基材は、特に限定されず、使用するデバイス等に応じて、適宜選択すればよく、例えば、柔軟性及び透明性に優れるものであれば特に限定されず、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系ポリマー、芳香族系重合体等が挙げられる。これらの中で、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアリレート等が挙げられる。また、シクロオレフィン系ポリマーとしては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物が挙げられる。このような透明樹脂フィルム基材の中で、コスト、耐熱性の観点から、二軸延伸されたポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が特に好ましい。
透明フィルム樹脂基材の厚みは、10〜500μmであることが好ましく、より好ましくは20〜300μm、さらに好ましくは25〜100μmである。この範囲であれば、透明樹脂フィルム基材としての機械強度、透明性が確保できる。
【0032】
(透明ガスバリア層)
本発明の透明導電層積層用フィルムには、透明ガスバリア層を設けることが好ましい。例えば、図1においては、透明樹脂フィルム基材2と複合層3との間に設けられ、透明樹脂フィルム基材2を透過した大気中の水蒸気の浸透を抑制し、結果として、複合層3、透明導電層1bへの水蒸気透過を防ぐ機能を有する。このため、該透明導電層積層用フィルムに透明導電層を積層し、透明導電性フィルムとした時に、透明導電層が劣化することなく、表面抵抗率が維持できる。また、電子デバイスの透光性電極として用いた時に、デバイス内部の活性層等の経時的な劣化を抑制することができ、デバイスの長寿命化に繋げることができる。
透明ガスバリア層としては、無機化合物の蒸着膜や金属の蒸着膜等の無機蒸着膜、高分子化合物を含む層にイオン注入等の改質処理を施して得られる層等が挙げられる。
前記透明樹脂フィルム基材に応じて、ガスバリア材料及び層数を適宜選択して用いることができる。
【0033】
(複合層)
本発明の複合層は、透明導電層積層用フィルムに含まれ、透明樹脂フィルム基材上に積層され、少なくとも透明樹脂層A、開口部を有する金属層、及び開口部に設けた前述した耐熱層からなる。本発明の複合層を有する透明導電層積層用フィルムに透明導電層を積層し、透明導電性フィルムとした場合には、透明導電層の低抵抗化(表面抵抗率の低下)及び透明導電層表面の表面粗さの増加を抑制する機能を有する。
複合層3は、図1においては、透明樹脂フィルム基材2に形成され、透明樹脂層A4、開口部を有する金属層(補助電極層)6、及び開口部に設けた無機微粒子を含む透明樹脂層B(耐熱層)5とからなる。
【0034】
〈金属層〉
金属層は、本発明の透明導電層積層用フィルム上に透明導電層を積層し、透明導電性フィルムとした時に、透明導電層の表面抵抗率を低下させるために設けられる。また、通常、該透明導電層の光線透過率を低下させないように、金属層のみでなるベタ層ではなく、パターン化し、開口部を有する前述した補助電極層として用いる。
【0035】
補助電極層を形成するための材料は、特に制限されないが、フォトリソグラフィー等の方法を用いてパターン化を行う場合は、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、白金等の単金属、アルミニウム−シリコン、アルミニウム−銅、アルミニウム−チタン−パラジウム等の2元ないし3元系のアルミニウム合金等を挙げることができる。これらの材料の中で、銀、銅、アルミニウム合金が好ましく、コスト、エッチング性、耐食性の観点から、銅、アルミニウム合金がより好ましい。
【0036】
また、導電性微粒子を含む導電ペーストを用いることができる。導電ペーストとしては、溶媒中に、又はバインダーを含む溶媒中に、金属微粒子、カーボン微粒子、酸化ルテニウム微粒子等の導電性微粒子を分散させたものを用いることができる。この導電ペーストを印刷し、硬化することにより、補助電極層が得られる。
【0037】
上記金属微粒子の材質としては、導電性の観点からは、銀、銅、金等が好ましく、価格の面からは銀、銅、ニッケル、鉄、コバルト等が好ましい。また、耐食性や耐薬品性の面からは、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム等が好ましい。カーボン微粒子は、導電性の面では金属微粒子に比べて劣っているが、低価格であり、耐食性及び耐薬品性に優れている。また、酸化ルテニウム(RuO)微粒子は、カーボン微粒子に比べて高価ではあるが、優れた耐食性を有する導電性物質であるため、補助電極層として使用できる。
【0038】
補助電極層は、単層であってもよく、多層構造であってもよい。多層構造としては、同種の材料からなる層を積層した多層構造であってもよく、少なくとも2種類以上の材料からなる層を積層した多層構造であってもよい。
多層構造としては、異種の材料からなる層を積層した2層構造であることがより好ましい。このような多層構造としては、例えば、最初に銀のパターン層を形成させ、その上から銅のパターン層を形成させると、銀の高導電性を保持しながら耐食性が改善されるため好ましい。
【0039】
本発明の補助電極層のパターンとしては、特に限定されず、格子状、ハニカム状、櫛歯状、帯状(ストライプ状)、直線状、曲線状、波線状(サイン曲線等)、多角形状の網目状、円形状の網目状、楕円状の網目状、不定形等が挙げられる。これらの中でも、格子状、ハニカム状、櫛歯状のものが好ましい。
【0040】
補助電極層の厚みは、100nm〜20μmであることが好ましく、より好ましくは100nm〜15μm、さらに好ましくは100nm〜10μmである。
補助電極層のパターンの開口部(補助電極層が形成されてない部分)の開口率としては、透明性(光線透過率)の観点から、80%以上100%未満であることが好ましく、より好ましくは90%以上99%未満であり、さらに好ましくは93%以上98%未満である。なお、開口率とは、開口部を含む補助電極層のパターンが形成されている全領域の面積に対する、開口部の総面積の割合である。
補助電極層の線幅は、1〜100μmが好ましく、より好ましくは3〜75μm、さらに好ましくは5〜60μmである。線幅がこの範囲にあれば、開口率が広く、透過率が確保でき、さらに、安定した低抵抗の透明導電性フィルムが得られるため、好ましい。
【0041】
〈透明樹脂層A〉
本発明に用いる透明樹脂層Aは、補助電極層と耐熱層からなる面に接するように設けられ、主として複合層全体の機械的強度を維持する機能を有する。
例えば、図1において、透明樹脂層A4は、透明樹脂フィルム基材2の面と、補助電極層6と耐熱層5とからなる面との間に設けられる。
【0042】
本発明に用いる透明樹脂層Aを形成する透明樹脂組成物には、例えば、活性エネルギー線硬化型化合物、熱可塑性樹脂等が含まれる。
活性エネルギー線硬化型化合物としては、前述した耐熱層に用いられるものと同一のものが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アセタール系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂等が挙げられる。また、上記樹脂を1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンが好ましい。
透明樹脂層Aの厚みは、補助電極層の材料、厚み、耐熱層の材料及び厚み等により適宜選択されるが、通常100nm〜100μm、好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは5〜25μmである。
【0043】
[透明導電性フィルム]
本発明の透明導電性フィルムは、前述したとおり本発明の透明導電層積層用フィルムにおける複合層上に、透明導電層が積層されてなるものである。図1においては、透明導電性フィルム1は、複合層3の上に透明導電層1bが積層されることにより形成される。
【0044】
(透明導電層)
透明導電層としては、透明導電性酸化物が好ましく用いられる。具体的には、インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウム−亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム−亜鉛酸化物(GZO)、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(IGZO)、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化スズ等が挙げられ、これらを単独で、もしくは複数を用いることができる。この中で、インジウム−スズ酸化物(ITO)、ガリウム−亜鉛酸化物(GZO)、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(IGZO)が好ましく、透過率、表面抵抗率、安定性の観点からインジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(IGZO)がさらに好ましく、耐湿熱性の観点からインジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(IGZO)が特に好ましい。
【0045】
さらに、透明導電層として、導電性有機高分子が好ましく用いられる。導電性有機高分子としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)[PEDOT:PSS]、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール等が挙げられる。この中で、導電性、透明性の観点から、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)[PEDOT:PSS]、ポリチオフェンが好ましく、導電性、透明性の観点から、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)[PEDOT:PSS]がさらに好ましい。
【0046】
透明導電層の厚みは10〜500nmであることが好ましく、より好ましくは10〜200nmである。この範囲では、高い透過率、低い表面抵抗率を併せ持つ薄膜が得られるため好ましい。
前記透明導電層の表面のJIS−B0601−1994で規定される算術平均粗さRaが40nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以下であり、さらに好ましくは30nm以下である。算術平均粗さRaがこの範囲にあると、デバイス内における電極間での短絡によるデバイス特性の不良の発生、及びデバイス寿命の低下を抑制することができる。
【0047】
また、透明導電層の全光線透過率は、JIS K7361−1に準拠して測定される全光線透過率が70%以上のものが好ましく、80%以上のものがより好ましく、90%以上のものがさらに好ましい。
さらに、透明導電層単層の表面抵抗率は1000(Ω/□)以下が好ましく、より好ましくは100(Ω/□)以下である。
加えて、本発明の補助電極層を有する透明導電性フィルムの表面抵抗率は5(Ω/□)以下であることが好ましく、より好ましくは1(Ω/□)以下である。表面抵抗率が5(Ω/□)以下であると、透明導電性フィルムを、有機薄膜太陽電池、有機EL照明等の大面積を必要とする電子デバイスの透光性電極等に用いた場合でも、デバイス動作(集電や電圧印加)時の、電力損失(太陽電池等の発電用電子バイスにあっては、集電電極から離れるほど透明電極層の高い電気抵抗率により電流密度が低下し、電池の性能を決める変換効率が低下)や特性分布(有機EL照明等の発光用電子デバイスにあっては、印加電極から離れるほど透明電極層の高い電気抵抗率により電流密度が低下し輝度分布等が発生)を改善することができる。
【0048】
(電子デバイス)
本発明の電子デバイスは、対向する電極の少なくとも一方が透明導電性フィルムで構成された電子デバイスであって、該透明導電性フィルムが本発明の透明導電性フィルムである。このため、透明導電性フィルムの透明導電層表面の表面粗さが小さく抑制されていることから、該透明導電性フィルムを電子デバイスに組み込んだ場合、デバイス内における機械的損傷による近接する活性層との短絡による、デバイス特性の不良の発生、及びデバイス寿命の低下が抑制された電子デバイスとすることができる。同時に、透明導電層の表面抵抗率を低くすることができ、フレキシブルであることから、例えば、大面積化が要求される有機薄膜太陽電池、有機EL照明として好ましく用いることができる。
【0049】
[透明導電層積層用フィルムの製造方法]
本発明の透明導電層積層用フィルムの製造方法は、透明樹脂フィルム基材上に、少なくとも、透明樹脂層A、開口部を有する金属層、及び該開口部に無機微粒子を含む透明樹脂層Bとが複合層として積層された透明導電層積層用フィルムの製造方法であって、下記工程(A)〜(C)を含む、透明導電層積層用フィルムの製造方法である。
(A)転写用基材上に前記開口部を有する金属層を形成し、該開口部に前記無機微粒子を含む透明樹脂層Bを形成し、さらに前記透明樹脂層Aを形成し複合層を形成する工程
(B)前記複合層を前記透明樹脂フィルム基材上に積層する工程
(C)前記転写用基材を剥離し、前記複合層の金属層と無機微粒子を含む透明樹脂層Bとからなる面に該転写用基材の平滑面を転写する工程
本発明の透明導電層積層用フィルムの製造方法について、図を用いて説明する。
【0050】
図2は、本発明の製造方法に従った工程の一例を工程順に示す説明図を示し、(a)は転写用基材8上に開口部7を有する金属層6を形成した後の断面図であり、(b)は無機微粒子を含む透明樹脂層B5を金属層6の開口部7に形成した後の断面図であり、(c)はさらに、金属層6と無機微粒子を含む透明樹脂層B5とからなる面に透明樹脂層A4を形成し、それらを複合層3とした後の断面図であり、(d)は得られた複合層3を透明樹脂フィルム基材2上に積層させる工程を示す断面図であり、(e)は複合層3を積層した後、複合層3の、透明樹脂フィルム基材2とは接しない面側から転写用基材8を剥離し、転写用基材8面の平滑性を複合層3に転写した後の断面図である。
【0051】
<(A)複合層形成工程>
複合層形成工程は、転写用基材上に、開口部を有する金属層と、該開口部に無機微粒子を含む透明樹脂層Bと、及びそれらの面上に透明樹脂層Aとを形成することにより、複合層を形成する工程であり、金属層形成工程、無機微粒子を含む透明樹脂層B形成工程、及び透明樹脂層A形成工程からなる。
【0052】
(金属層形成工程)
金属層形成工程は、転写用基材上に、金属層からなるパターン(補助電極層)を形成する工程である。図2(a)においては、転写用基材8上に、金属層(補助電極層)6を形成する工程である。
【0053】
本発明に用いる転写用基材は、基材フィルムからなり、その上にシリコーン樹脂組成物を硬化した硬化層を設けていることが好ましい。
基材フィルムとしては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリメチルペンテン等のポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ酢酸ビニルフィルム等を挙げることができるが、これらの中でポリエステルフィルムが好ましく、特に二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。基材フィルムの厚さは、機械強度、耐久性の観点から、10μm〜500μmが好ましく、より好ましくは25μm〜300μmであり、さらに好ましくは50μm〜100μmである。基材フィルムの表面粗さは、転写物の剥離性、転写物の表面粗さの観点から、Raで30nm以下が好ましく、より好ましくは20nm以下であり、さらに好ましくは10nm以下である。
硬化層の形成方法としては、シリコーン樹脂組成物と、所望により用いられる各種添加剤成分からなる塗工液を、前記の基材フィルム上に、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法等により塗工することができる。この際、塗工液の粘度調整の目的で、適当な有機溶剤を加えてもよい。有機溶剤としては、特に制限は無く、様々なものを用いることができる。例えばトルエン、ヘキサンなどの炭化水素化合物をはじめ、酢酸エチル、メチルエチルケトン及び、これらの混合物などが用いられる。
【0054】
補助電極層の形成方法としては、転写用基材上に、パターンが形成されていないベタ金属層を設けた後、フォトリソグラフィー法を主体とした公知の物理的処理もしくは化学的処理、又はそれらを併用する等により、所定のパターン形状に加工する方法、またインクジェット法、スクリーン印刷法等により直接補助電極層のパターンを形成する方法等が挙げられる。
パターンが形成されていない補助電極層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法(物理気相成長法)、もしくは熱CVD法、ALD法(原子層蒸着法)等のCVD法(化学気相成長法)などのドライプロセス、又はディップコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ドクターブレード法等の各種コーティング法や電着等のウェットプロセス、銀塩法等が挙げられ、補助電極層の材料に応じて適宜選択される。
また、スクリーン印刷等の方法で、補助電極層のパターンを形成する場合は、導電性微粒子を含む導電ペーストを用いることができる。フォトリソグラフィー法等の方法を用いてパターン化を行っても勿論かまわない。工程の簡便さ、コスト、タクトタイムの短縮の観点から、導電ペーストのパターン印刷が好ましく用いられる。
導電ペーストとしては、前述したように、溶媒中に、又はバインダーを含む溶媒中に、金属微粒子、カーボン微粒子、酸化ルテニウム微粒子等の導電性微粒子を分散させたものを用いることができる。この導電ペーストを印刷し、硬化することにより、補助電極層が得られる。
上記金属微粒子の材料としては、前述したとおりである。
【0055】
(無機微粒子を含む透明樹脂層B形成工程)
無機微粒子を含む透明樹脂層B形成工程は、金属層の開口部に無機微粒子を含む透明樹脂層B(耐熱層)を積層する工程であり、例えば、図2(b)においては、無機微粒子を含む透明樹脂を有する透明樹脂組成物を、転写用基材8上の金属層(補助電極層)6の開口部7に積層して、無機微粒子を含む透明樹脂層B(耐熱層)5を形成する工程である。
【0056】
耐熱層の形成方法としては、熱ラミネート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ドクターブレード法、マイヤーバーコーティング法等が挙げられる。
また、前述した活性エネルギー線硬化型化合物を用いる場合、活性エネルギー放射線を照射する方法としては、例えば、紫外線や電子線などが挙げられる。上記紫外線は、高圧水銀ランプ、フュージョンHランプ、キセノンランプなどで得られ、光量は、通常100〜1000mJ/cmであり、一方、電子線は、電子線加速器などによって得られ、照射量は、通常150〜350kVである。この活性エネルギー線の中では、特に紫外線が好適である。なお、電子線を使用する場合は、光重合開始剤を添加することなく、硬化膜を得ることができる。
【0057】
(透明樹脂層A形成工程)
透明樹脂層A形成工程は、開口部を有する金属層と開口部に設けた無機微粒子を含む透明樹脂層Bとからなる面に、透明樹脂層Aを積層する工程であり、例えば、図2(c)においては、透明樹脂を含む透明樹脂組成物を、転写用基材8上の金属層(補助電極層)6と無機微粒子を含む透明樹脂層B(耐熱層)5とからなる面に積層して、透明樹脂層A4を形成する工程である。
【0058】
透明樹脂層Aの形成方法、それらの硬化方法等については、前述した耐熱層と同一である。
また、透明樹脂層Aとして熱可塑性樹脂を用いる場合は、製造が簡便にできることから、熱ラミネートが好ましい。熱ラミネートは、公知の方法で行われるが、ラミネート条件は、通常、加熱温度120〜180℃、加圧量0.1〜25MPaである。
【0059】
<(B)複合層積層工程>
複合層積層工程は、複合層形成工程で得られた転写用基材上の複合層を透明フィルム基材側に積層する工程であり、例えば、図2(d)においては、透明フィルム基材2と複合層3とを対向させ、透明フィルム基材2に複合層3を積層する工程である。
【0060】
<(C)平滑面転写工程>
平滑面転写工程は、転写用基材と複合層とからなる面を剥離し、転写用基材の平滑面を複合層の補助電極層と耐熱層からなる面に転写する工程である。例えば、図2(e)に示すように、転写用基材8と複合層3との界面を剥離することにより、転写用基材8の面の平滑性を複合層3の面に転写して、表面粗さが小さく、段差の小さい、補助電極層と耐熱層とからなる面を形成することができる。転写方法及び剥離方法は、特に制限はなく、公知の方法で行うことができる。
【0061】
上記製造方法により得られた透明導電層積層用フィルムに対し、さらに下述する透明導電層形成工程を経ることにより、透明導電性フィルムを製造することができる。
【0062】
<透明導電層形成工程>
透明導電層形成工程は、前記工程で得られた透明導電層積層用フィルムの複合層の補助電極層と耐熱層とからなる面側に、透明導電層を積層する工程である。例えば、図2(f)においては、透明導電性酸化物又は導電性有機高分子を、複合層3上に積層して、透明導電層1bを形成する工程である。
【0063】
透明導電層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD(物理気相成長法)、もしくは熱CVD、原子層蒸着(ALD)等のCVD(化学気相成長法)などが挙げられる。上記手法により積層した後、必要に応じて、他の積層体に影響を及ぼさない範囲で加熱処理を施すことにより、より優れた表面抵抗率を有する透明導電層を形成することができる。
【0064】
また、透明導電層として、透明導電層形成用塗布液を用いることができる。該透明導電層の形成方法としては、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ドクターブレード法等が挙げられる。上記手法により塗布し、乾燥させた後、必要に応じて、他の積層体に影響を及ぼさない範囲で、加熱処理や紫外線照射等の硬化処理を施すことにより、より優れた表面抵抗率を有する透明導電層を形成することができる。
【0065】
本発明で用いる透明導電層形成用塗布液は、溶媒と、該溶媒中に分散された導電性酸化物微粒子を含み、導電性酸化物微粒子としては、前記透明導電層用材料としても挙げた透明性と導電性を有するインジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウム−亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム−亜鉛酸化物(GZO)、インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物(IGZO)、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化スズ等を用いることができる。該導電性酸化物微粒子の平均粒径は、10〜100nmが好ましい。この範囲であれば、高い透明性と高い導電性を確保できるため、好ましい。
【0066】
透明導電層形成用塗布液には、単層での膜強度を高めるために、バインダーを添加してもよい。該バインダーとしては、有機バインダーと無機バインダーの両方、またはいずれか一方を用いることができ、形成面となる透明樹脂層B、補助電極層への影響を考慮して、適宜選定することができる。
有機バインダーとしては、特に限定されないが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線(UV)硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等から適宜選定することができる。例えば、熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、PET樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられ、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂等、紫外線硬化性樹脂としては、各種オリゴマー、モノマー、光重合開始剤を含有する樹脂等、電子線硬化性樹脂としては、各種オリゴマー、モノマーを含有する樹脂等をそれぞれ挙げることができる。
また、無機バインダーとしては、特に限定されないが、シリカゾルを主成分とするバインダーを挙げることができる。無機バインダーは、フッ化マグネシウム微粒子、アルミナゾル、ジルコニアゾル、チタニアゾル等や、有機官能基で修飾されたシリカゾルを含んでいてもよい。
【0067】
本発明の製造方法によれば、耐熱性が高く、表面粗さが小さい、補助電極層と耐熱層とからなる面を有する、透明導電層積層用フィルムを製造することができる。さらに該面上に透明導電層を積層することにより、表面抵抗率が低く、しかも、デバイス内における電極間での短絡による、デバイスの特性不良の発生、及びデバイス寿命の低下が抑制可能な透明導電性フィルムを製造することができる。
【実施例】
【0068】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0069】
実施例、比較例で作製した、透明導電層積層用フィルム及び透明導電性フィルムの表面粗さ、及び透明導電性フィルムの表面抵抗率の評価は、以下の方法で行った。
(a)界面段差、表面粗さ
透明導電層積層用フィルムの複合層の補助電極層と無機微粒子を含む透明樹脂層Bとからなる表面(転写基材の平滑面転写後)、及び該表面に透明導電層を積層した後の表面について、光干渉式表面粗さ計(Veeco社製、型名:Wyko NT1100)を用い、JIS−B0601−1994で規定される算術平均粗さRaを測定し、異種の層同士の界面部位の段差を含む表面粗さを評価した。
(b)透明導電性フィルムの表面抵抗率
低抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、装置名:ロレスタAX MCP−T370)により、25℃50%RHの環境下で、透明導電性フィルムの表面抵抗率(Ω/□)を測定した。
【0070】
(実施例1)
スクリーン印刷装置(マイクロ・テック社製、装置名:MT−320TV)を用い、転写用基材(リンテック社製、品名:PLD8030)上に導電ペースト(三ツ星ベルト社製、品名:EC−264)を印刷し、加熱乾燥することで、厚み6μm、線幅50μm、ピッチ2000μmの格子状の金属細線パターンからなる補助電極層を形成した。
次に、無機微粒子を含む透明樹脂層B、すなわち耐熱層としてアクリル樹脂組成物A*1(JSR社製、品名:オプスターZ7530)をバーコートにて塗布し、補助電極層の開口部に耐熱層を設け、さらに、透明樹脂層Aとしてアクリル樹脂組成物B*2(東亞合成社製、品名:UVX−6125)をバーコートにて塗布し、補助電極層及び耐熱層上に透明樹脂層Aを設け、補助電極層、耐熱層及び透明樹脂層Aとからなる複合層を形成した(この時点では、耐熱層及び透明樹脂層Aは共に未硬化)。そして、転写用基材と接する面とは反対側の複合層側の面と、後述する透明ガスバリア層を有する透明樹脂フィルム基材の、該透明樹脂フィルム基材と接する面とは反対側の透明ガスバリア層側の面とをラミネートし、透明ガスバリア層を有する透明樹脂フィルム基材側からUV照射をし、複合層中の耐熱層及び透明樹脂層Aを硬化させた(硬化後の耐熱層の厚み:2μm;硬化後の透明樹脂層Aの厚み:30μm)。最後に、複合層から転写用基材を剥離することで、透明樹脂フィルム基材上に、透明ガスバリア層を介し、開口部を有する金属層(補助電極層)、耐熱層、及び透明樹脂層Aとからなる複合層が積層された透明導電層積層用フィルムを作製した。
*1:活性エネルギー線硬化性樹脂であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA;密度:1.25g/cm)と無機微粒子としての反応性シリカ(シリカ1とする;密度:2.1g/cm;D90:5.23nm)とを質量比40:60で混合,無機微粒子の含有量:49体積%,光重合開始剤:3質量%,固形分濃度:19質量%,溶媒:メチルエチルケトン
*2:アクリル樹脂組成物B(アクリル系活性エネルギー線硬化型樹脂使用)
塗液粘度:380mPa・sec
塗液固形分濃度:100%
硬化収縮率:8.9%
動的粘弾性測定装置(TAインスツルメント社製、機種名「DMA Q800」)において測定したガラス転移温度:148℃
動的粘弾性測定装置において、引張りモード、周波数11Hz、昇温速度3℃/minで測定したときの23℃における貯蔵弾性率:2.2GPa
動的粘弾性測定装置において、引張りモード、周波数11Hz、昇温速度3℃/minで測定したときの100℃における貯蔵弾性率:0.6GPa
【0071】
〈透明ガスバリア層の作製〉
透明樹脂フィルム基材(帝人デュポンフィルム社製、PENQ65HWA)に、下記のプライマー層形成用溶液をバーコート法により塗布し、70℃で、1分間加熱乾燥した後、UV光照射ライン(Fusion UV Systems JAPAN社製、高圧水銀灯;積算光量100mJ/cm、ピーク強度1.466W、ライン速度20m/分、パス回数2回)を用いてUV光照射を行い、厚さ1μmのプライマー層を形成した。得られたプライマー層上に、ペルヒドロポリシラザン含有液(AZエレクトロニックマテリアルズ社製、商品名:AZNL110A−20)をスピンコート法により塗布し、得られた塗膜を120℃で2分間加熱することにより、厚み150nmのペルヒドロポリシラザン層を形成した。さらに、得られたペルヒドロポリシラザン層に、下記の条件により、アルゴン(Ar)をプラズマイオン注入し、プラズマイオン注入したペルヒドロポリシラザン層(以下、「無機層A」という。)を形成した。
次いで、無機層A上に、無機層Aと同様に酸窒化珪素層(無機層B)を形成し、透明樹脂フィルム基材上に2層目の透明ガスバリア層を作製した。
(プライマー層形成用溶液)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学社製、商品名:A−DPH)20質量部をメチルイソブチルケトン100質量部に溶解させた後、光重合性開始剤(BASF社製、商品名:Irgacure127)を、固形分に対して3質量%となるように添加して、プライマー層形成用溶液を調製した。
プラズマイオン注入は、下記の装置を用い、以下の注入条件で行った。
〈プラズマイオン注入装置〉
RF電源:型番号「RF56000」、日本電子社製
高電圧パルス電源:「PV−3−HSHV−0835」、栗田製作所社製
〈プラズマイオン注入条件〉
・プラズマ生成ガス:Ar
・ガス流量:100sccm
・Duty比:0.5%
・繰り返し周波数:1000Hz
・印加電圧:−6kV
・RF電源:周波数 13.56MHz、印加電力 1000 W
・チャンバー内圧:0.2Pa
・パルス幅:5sec
・処理時間(イオン注入時間):200sec
・搬送速度:0.2m/min
【0072】
さらにまた、スパッタリング装置(アルバック社製、装置名:ISP−4000S−C)により、得られた透明導電層積層用フィルムの複合層面上にインジウム−スズ酸化物(ITO)を50nm積層することにより、透明導電性フィルムを作製した。
作製した透明導電層積層用フィルムの複合層側の表面及び透明導電性フィルムの透明導電層側の表面の算術平均粗さRa、及び透明導電性フィルムの表面抵抗率を評価した。結果を表1に示す。
【0073】
(実施例2)
実施例1において、耐熱層の厚みを4μmに変更した以外は、実施例1と同様に、透明導電層積層用フィルム及び透明導電性フィルムを作製した。作製した透明導電層積層用フィルムの複合層側の表面及び透明導電性フィルムの透明導電層側の表面の算術平均粗さRa、及び透明導電性フィルムの表面抵抗率を評価した。結果を表1に示す。
【0074】
(実施例3)
実施例1において、耐熱層の厚みを19μmに変更した以外は、実施例1と同様に、透明導電層積層用フィルム及び透明導電性フィルムを作製した。作製した透明導電層積層用フィルムの複合層側の表面及び透明導電性フィルムの透明導電層側の表面の算術平均粗さRa、及び透明導電性フィルムの表面抵抗率を評価した。結果を表1に示す。
【0075】
(実施例4)
実施例1において、耐熱層の形成に用いた無機微粒子を含むアクリル樹脂組成物Aを、無機微粒子(日産化学社製、品名:MIBK−AC−2140Z)を含むアクリル樹脂組成物C*3に変更し、厚みを3μm、無機微粒子の含有量を30体積%とした以外は、実施例1と同様に、透明導電層積層用フィルム及び透明導電性フィルムを作製した。作製した透明導電層積層用フィルムの複合層側の表面及び透明導電性フィルムの透明導電層側の表面の算術平均粗さRa、及び透明導電性フィルムの表面抵抗率を評価した。結果を表1に示す。
*3:活性エネルギー線硬化性樹脂であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA;密度:1.25g/cm)と無機微粒子としての反応性シリカ(MIBK−AC−2140Z;シリカ2とする;密度:2.1g/cm;D90:5.59nm)とを質量比56:44で混合、無機微粒子の含有量:30体積%、光重合開始剤:3質量%、固形分濃度:50質量%、溶媒:メチルイソブチルケトン
【0076】
(実施例5)
実施例4において、無機微粒子の含有量を30体積%から40体積%に変更した以外は、実施例4と同様に、透明導電層積層用フィルム及び透明導電性フィルムを作製した。作製した透明導電層積層用フィルムの複合層側の表面及び透明導電性フィルムの透明導電層側の表面の算術平均粗さRa、及び透明導電性フィルムの表面抵抗率を評価した。結果を表1に示す。
【0077】
(実施例6)
実施例4において、無機微粒子の含有量を30体積%から60体積%に変更した以外は、実施例4と同様に、透明導電層積層用フィルム及び透明導電性フィルムを作製した。作製した透明導電層積層用フィルムの複合層側の表面及び透明導電性フィルムの透明導電層側の表面の算術平均粗さRa、及び透明導電性フィルムの表面抵抗率を評価した。結果を表1に示す。
【0078】
(比較例1)
実施例1において、耐熱層を設けない以外、実施例1と同様にして、透明導電層積層用フィルム及び透明導電性フィルムを作製した。作製した透明導電層積層用フィルムの複合層側の表面及び透明導電性フィルムの透明導電層側の表面の算術平均粗さRa、及び透明導電性フィルムの表面抵抗率を評価した。結果を表1に示す。
【0079】
(比較例2)
実施例4において、耐熱層に無機微粒子を含まない(耐熱層ではない)ようにした以外は、実施例4と同様にして、透明導電層積層用フィルム及び透明導電性フィルムを作製した。作製した透明導電層積層用フィルムの複合層側の表面及び透明導電性フィルムの透明導電層側の表面の算術平均粗さRa、及び透明導電性フィルムの表面抵抗率を評価した。結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
表1から明らかなように、実施例1、2及び3では、耐熱層なしとした比較例1に比べ、ITO積層前の算術平均粗さRaの値が小さく優れていた。また、ITO積層前後の算術平均粗さRaの増加が抑制され、優れた平滑性が維持されていることがわかった。
また、実施例4、5及び6では、耐熱層に無機微粒子を含まないようにした透明樹脂層を用いた比較例2に比べ、ITO積層前の算術平均粗さRaの値が小さく優れていた。さらに、ITO積層前後の算術平均粗さRaの増加が抑制され、平滑性が維持されていることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の透明導電層積層用フィルムは、耐熱性が高く、補助電極層を含む表面の平滑性が優れていることから、該透明導電層積層用フィルムに透明導電層を積層した透明導電性フィルムの表面も平滑性が優れるため、電子デバイス内における電極間の短絡による、デバイスの特性不良の発生、及びデバイス寿命の低下が抑制され、かつ表面抵抗率の低い透明導電性フィルムが得られる。例えば、対向する電極の少なくとも一方の透明導電性フィルムが、本発明の透明導電性フィルムで構成された電子デバイス(有機薄膜太陽電池、有機EL照明)等に適用できる。
【符号の説明】
【0083】
1:透明導電性フィルム
1a:透明導電層積層用フィルム
1b:透明導電層
2:透明樹脂フィルム基材
3:複合層
4:透明樹脂層A
5:無機微粒子を含む透明樹脂層B(耐熱層)
6:金属層(補助電極層)
7:開口部
8:転写用基材
図1
図2
図3