(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電源制御部は、前記負荷装置の動作モードを示す動作モード情報を検知可能であり、前記動作モード情報及び前記第1の指示信号に基づいて、前記第2の指示信号を決定する、請求項1に記載の内視鏡装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0013】
(構成)
図1は、本発明の実施形態に係わる、内視鏡装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【0014】
内視鏡装置1は、装置本体2と、装置本体2に接続される挿入部3とを有する。挿入部3は、先端部4によって被写体を撮像可能である。装置本体2には、撮像画像の記録及び表示をすることができるように、外部記録装置5及び表示装置6が取り付けられる。
【0015】
先端部4には、光学系11と、撮像装置21、送信部31及びサーミスタTと、が設けられる。撮像装置21、送信部31及びサーミスタTは、負荷装置Dである。負荷装置Dには、装置本体2から3系統の電源が供給される。サーミスタTは、周囲の温度変化に応じて抵抗値が変化する温度検出デバイスである。
【0016】
光学系11は、集光レンズを有し、外部から被写体像を取り込み、撮像装置21に被写体像を投影する。
【0017】
撮像装置21は、動作モード設定部22と、受光部23と、差動信号出力部24と、を有する。
【0018】
動作モード設定部22は、挿入部3内に挿通した信号線S1によってCCU51と接続される。動作モード設定部22は、受光部23と接続され、CCU51の制御の下、受光部23におけるAGCゲイン、フレームレート及びシャッタースピード等の動作モードを設定する。
【0019】
受光部23は、差動信号出力部24と接続される。受光部23は、光電変換素子を有し、光学系11によって投影された被写体像を撮像信号に変換し、差動信号出力部24に出力する。
【0020】
差動信号出力部24は、送信部31と接続される。差動信号出力部24は、受光部23から入力された撮像信号をシリアル化して差動信号に変換し、送信部31に出力する。
【0021】
送信部31は、挿入部3内に挿通した信号線S2によって受信部41と接続される。信号線S2は、光ファイバによって構成される。送信部31は、信号線S2を介し、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)によって受信部41に光信号である差動信号を送信する。
【0022】
サーミスタTは、一端が先端部4の接地電圧GNDに接続され、他端が挿入部3内に挿通された接地線G1によって装置本体2と接続され、サーミスタ信号Tsを装置本体2に出力する。サーミスタTは、電源制御部Cの制御により、先端部4内の接地電圧GNDs、もしくは、温度検知信号Stを電源制御部Cに出力する。電源制御部Cの動作については後述する。
【0023】
先端部4の接地電圧GNDは、接地線G2によって装置本体2の接地電圧GNDと接続される。
【0024】
装置本体2は、受信部41と、CCU51と、制御部61と、バッテリ71と、電源制御部Cと、電源部Pと、を有する。
【0025】
受信部41は、CCU51と接続される。受信部41は、フォトダイオード及びトランスインピーダンスアンプを有し、送信部31から受信した光信号を電気信号である差動信号に変換し、増幅を行い、CCU51に出力する。
【0026】
CCU51は、制御部61と接続される。CCU51は、撮像装置21の制御を行い、また、撮像装置21によって出力された撮像画像の画像処理を行う。CCU51は、差動信号入力部52と、画像処理部53と、動作モード制御部54と、を有する。なお、CCU51は、FPGAによって構成されても構わない。
【0027】
差動信号入力部52は、画像処理部53と接続される。差動信号入力部52は、受信部41から入力された差動信号をパラレル化して撮像画像を生成し、画像処理部53に出力する。
【0028】
画像処理部53は、動作モード制御部54及び制御部61と接続される。画像処理部53は、差動信号入力部52から入力された撮像画像に、ノイズリダクション、ダイナミックレンジ拡張、輪郭強調等の画像処理を行い、動作モード制御部54及び制御部61に出力する。なお、画像処理部53において行われる画像処理は、ノイズリダクション、ダイナミックレンジ拡張、輪郭強調に限定されない。
【0029】
動作モード制御部54は、動作モード設定部22と接続される。動作モード制御部54は、撮像装置21の動作モードを制御する。例えば、動作モード制御部54は、画像処理部53から入力された撮像画像に基づいて、AGCゲインを決定し、動作モード設定部22にAGCゲインを出力し、撮像装置21の動作モードを制御する。また、動作モード制御部54は、フレームレート及びシャッタースピードの設定値を動作モード設定部22に出力し、撮像装置21の動作モードを制御する。なお、動作モード制御部54は、AGCゲイン、フレームレート及びシャッタースピードの動作モードに限定せず、他の動作モードを制御しても構わない。
【0030】
制御部61は、内視鏡装置1の各部の動作を制御することができるように構成される。制御部61は、CPU(中央処理装置)62及び記憶部63を有する。CPU62の機能は、記憶部63に記憶したプログラムを読み取り、実行することによって実現される。
【0031】
制御部61は、画像処理部53から入力した撮像画像を、記憶部63に記憶可能であり、外部記録装置5に出力可能であり、表示装置6に出力可能である。制御部61は、外部記録装置5から各種情報を読取り可能である。制御部61は、動作モード制御部54に指示を出力し、動作モード制御部54の動作を制御可能である。制御部61は、電源制御部Cを介して入力される温度検知信号Stによって先端部4の温度情報を検知可能である。
【0032】
バッテリ71は、電源部Pに接続され、電源部Pに電力を供給できるように構成される。
【0033】
図2は、本発明の実施形態に係わる、内視鏡装置1における電源制御部Cの構成の一例を示すブロック図である。
図3は、本発明の実施形態に係わる、内視鏡装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【0034】
電源制御部Cは、先端部4から帰還された、帰還電圧V1s及び接地電圧GNDsに基づいて、電源部Pに、駆動電圧V1、V2、V3の電圧値を指示する信号(以下「指示信号」という)V1ref、V2ref、V3refを決定し、指示信号V1ref、V2ref、V3refを出力して電源部Pを制御する。
図2に示すように、電源制御部Cは、フィルタFt1、Ft2と、切替部Swと、増幅部Amp1、Amp2と、抵抗Rcと、減算部Dcと、演算部C11、C21、C31と、を有する。
【0035】
フィルタFt1は、入力された帰還電圧V1sから高周波ノイズを除去して増幅部Amp1に出力するローパスフィルタである。
【0036】
増幅部Amp1は、フィルタFt1から入力された帰還電圧V1sをインピーダンス変換し、減算部Dcに出力する。電流量を小さくして帰還線Fbの電圧降下を抑えることができるように、増幅部Amp1は、高い入力インピーダンスを有する。
【0037】
フィルタFt2は、入力されたサーミスタ信号Tsから高周波ノイズを除去し、切替部Swに出力するローパスフィルタである。
【0038】
切替部Swは、増幅部Amp2及び制御部61に接続される。切替部Swは、フィルタFt2から入力されたサーミスタ信号Tsの出力先が、増幅部Amp2及び制御部61のいずれか一方に、時分割方式によって所定期間毎に交互に出力先を切り替える。サーミスタ信号Tsは、接地電圧GNDsとして、増幅部Amp2に出力され、また、温度検知信号Stとして、制御部61に出力される。
【0039】
増幅部Amp2は、切替部Swから入力された接地電圧GNDsをインピーダンス変換し、減算部Dcに出力する。増幅部Amp2では、接地線G1の電圧降下を抑えることができるように、高い入力インピーダンスを有する。
【0040】
抵抗Rcは、切替部Swから制御部61に出力する温度検知信号Stを所定の固定電圧でプルアップする。先端部4の温度が変化し、サーミスタTの抵抗値が変化すると、抵抗Rcと抵抗分圧により決定される検知電圧が制御部61に入力され、制御部61は、温度の変化を検知する。
【0041】
減算部Dcは、帰還線Fb及び接地線G1の電圧降下が互いに相殺されるように、帰還電圧V1sから接地電圧GNDsを減算し、演算部C11に出力する。
【0042】
演算部C11は、帰還電圧V1sに基づいて指示信号V1refを決定し、指示信号V1refを電源回路P11に出力する。演算部C11は、目標電圧出力部C12と、増幅部C13とを有する。
【0043】
目標電圧出力部C12は、目標電圧V1tを増幅部C13に出力する。目標電圧V1tは、電源線L1によって負荷装置Dに供給する電源の目標となる電圧であり、負荷装置Dの特性に応じて予め設定される。
【0044】
なお、後述する目標電圧V2t、V3tも負荷装置Dの特性に応じて予め設定される。
【0045】
増幅部C13は、入力された帰還電圧V1s及び目標電圧V1tの差分に対して、所定のゲインGの増幅を行い、指示信号V1refを電源回路P11及び演算部C21に出力する。後述するように、所定のゲインGは、調整信号V1ad及び電源線L1の電圧降下よりも十分に大きくなるように、設定される。
【0046】
すなわち、電源制御部Cは、目標電圧V1tと、帰還電圧V1sから接地電圧GNDsを減算した結果とに基づいて、指示信号V1refを決定する。
【0047】
また、演算部C11は、目標電圧出力部C12によって目標電圧V1tを出力し、増幅部C13によって目標電圧V1tと帰還電圧V1sの減算結果を所定の増幅率だけ増幅し、指示信号V1refを決定する。
【0048】
演算部C21は、入力された指示信号V1refに基づいて、所定関数f1の演算を行い、指示信号V2refを電源回路P21に出力する。所定関数f1は、指示信号V1refの関数として規定される。所定関数f1は、先端部電圧V2dが目標電圧V2tになるように、予め設定される。
【0049】
すなわち、演算部C21は、指示信号V1refに対して所定の演算を行い、指示信号V2refを決定する。
【0050】
演算部C31は、入力された指示信号V2refに基づいて、所定関数f2の演算を行い、指示信号V3refを電源回路P31に出力する。所定関数f2は、指示信号V1refの関数として規定される。所定関数f2は、先端部電圧V3dが目標電圧V3tになるように、予め設定される。
【0051】
なお、所定関数f1、f2の各々は、実験的に求められた特性値によって設定しても構わないし、設計的に試算される特性値によって設定されても構わない。
【0052】
電源部Pは、負荷装置Dに電源を供給する回路である。電源部Pは、バッテリ71から入力される電力及び電源制御部Cから入力される指示信号V1ref、V2ref、V3refに基づいて、負荷装置Dに電源を供給する。電源部Pは、電源回路P11、P21、P31と、電圧調整部P11a、P21a、P31aとを有する。
【0053】
電源回路P11は、電源線L1と接続される。電源回路P11は、演算部C11から入力された指示信号V1refに基づいて、負荷装置Dを駆動するための駆動電圧V1及び駆動電流I1を生成し、電源線L1に出力する。また、電源回路P21は、演算部C21から入力された指示信号V2refに基づいて、駆動電圧V2及び駆動電流I2を電源線L2に出力する。また、電源回路P31は、演算部C31から入力された指示信号V3refに基づいて、駆動電圧V3及び駆動電流I3を電源線L3に出力する。
【0054】
電圧調整部P11a、P21a、P31aの各々は、指示信号V1ref、V2ref、V3refの各々の電圧調整を行う。電圧調整部P11aは、指示信号V1refに調整信号V1adを加算する。また、電圧調整部P21aは、指示信号V2refに調整信号V2adを加算する。また、電圧調整部P31aは、調整信号V3adを指示信号V3refに加算する。
【0055】
調整信号V1adは、例えば、工場出荷前等に、25℃等の常温環境において、先端部電圧V1dが目標電圧V1tと一致する、すなわち、V1ref=0となるように調整し、予め設定される。なお、調整信号V1adは、予め算出された設計値であっても構わない。調整信号V2adは、V2ref=0の状態において、先端部電圧V2dが電源線L2における目標電圧V2tと一致するように調整される。また、調整信号V3adも、V3ref=0の状態において、先端部電圧V3dが電源線L3における目標電圧V3tと一致するように調整される。
【0056】
電源線L1、L2、L3の各々は、挿入部3に挿通され、負荷装置Dと接続される。電源線L1は抵抗R1を有し、電源線L2は抵抗R2を有し、電源線L3は抵抗R3を有する。なお、抵抗R1、R2、R3は、環境温度に応じて変化する。
【0057】
帰還線Fbは、挿入部3に挿通され、一端が、先端部4内において、電源線L1と接続され、他端が、電源制御部Cと接続される。
【0058】
すなわち、負荷装置Dには、第1系統の電源が電源線L1によって供給され、第2系統の電源が電源線L2によって供給され、第3系統の電源が電源線L3によって供給される。
【0059】
また、内視鏡装置1は、挿入部3の先端部4に設けられた負荷装置Dに、装置本体2から第1の電源及び第2の電源を供給する電源部Pと、目標電圧V1tと、第1の電源の電圧を先端部4から装置本体2に帰還させた帰還電圧V1sとに基づいて、第1の指示信号V1refを決定し、第1の指示信号V1refに応じた第1の電源を出力するように、電源部Pに指示を行い、第1の指示信号V1refに基づいて、第2の指示信号V2refを決定し、第2の指示信号V2refに応じた第2の電源を出力するように、電源部Pに指示を行い、電源部Pの制御を行う電源制御部Cと、を有する。
【0060】
また、内視鏡装置1は、第1の電源線L1と、第2の電源線L2と、帰還線Fbと、を有し、第1の電源線L1は、電源部Pから負荷装置Dに、第1の電源を供給し、第2の電源線L2は、電源部Pから負荷装置Dに、第2の電源を供給し、帰還線Fbは、先端部4内において第1の電源線L1と接続され、帰還電圧V1sを帰還させる。
【0061】
(動作)
実施形態に係わる内視鏡装置1の動作について説明をする。
【0062】
図4は、本発明の実施形態に係わる、内視鏡装置1における指示信号V1refと温度の関係を示すグラフである。
図5は、本発明の実施形態に係わる、内視鏡装置1における指示信号V1refと、指示信号V2ref及び指示信号V3refとの関係を示すグラフである。
【0063】
まず、第1系統の電源を供給する回路の動作について説明をする。
【0064】
演算部C11では、目標電圧出力部C12が、増幅部C13に目標電圧V1tを出力する。
【0065】
増幅部C13には、目標電圧V1tと、帰還電圧V1sとの差が入力される。増幅部C13は、入力された電圧を所定のゲインGだけ増幅し、G×(V1t−V1s)によって示される指示信号V1refを電源回路P11に出力する。V1s=V1dであるため、指示信号V1refは、G×(V1t−V1d)によっても示される。なお、帰還電圧V1sから減算される接地電圧GNDsについては、説明を省略する。
【0066】
電源回路P11には、電圧調整部P11aによって調整信号V1adを加算した指示信号V1refが入力される。電源回路P11は、指示信号V1refに応じ、駆動電圧V1及び駆動電流I1を生成し、電源線L1に出力する。なお、実施形態では、電源回路P11のゲインが、1倍の例を説明するが、電源回路P11のゲインはこれに限定されない。
【0067】
電源線L1では、抵抗R1×駆動電流I1によって示される電圧降下が発生する。したがって、先端部電圧V1dは、数式(1)のように示される。
V1d=V1ref+V1ad−I1×R1・・・(1)
【0068】
数式(1)に基づいて、数式(2)が導かれる。
V1ref=G×(V1t−V1d)
V1d=G×(V1t−V1d)+V1ad−I1×R1
V1d=(G×V1t+V1ad−I1×R1)/(1+G)・・・(2)
【0069】
数式(2)において、所定のゲインGは、調整信号V1ad及びI1×R1によって示される電圧降下よりも十分に大きくなるように予め設定される。したがって、先端部電圧V1dは、目標電圧V1tと近似する。
【0070】
25℃等の常温環境において、調整信号V1adは、先端部電圧V1dが目標電圧V1tと一致するように調整される。調整後は、V1ref=G×(V1t−V1d)=0になる。常温環境における抵抗R1rmを有する電源線L1に、平均的な電流である平均電流I1avが流れるとき、調整信号V1adは、数式(1)に基づいて、数式(3)のように示される。
V1ref=0
V1t=V1d
V1ad=V1t+I1av×R1rm・・・(3)
【0071】
数式(1)と数式(3)に基づいて、指示信号V1refは、数式(4)のように示される。
V1d=V1ref+V1t+I1av×R1rm−I1×R1
V1ref=I1×R1−I1av×R1rm・・・(4)
【0072】
環境温度が上昇すると、抵抗R1も上昇する。したがって、
図4に示すように、環境温度が上昇すると、指示信号V1refの電圧も上昇する。
【0073】
これにより、内視鏡装置1では、環境温度に応じて抵抗R1が変化すると、指示信号V1refも変化し、先端部電圧V1dは、目標電圧V1tになるように調整される。
【0074】
次に、第2系統の電源を供給する回路の動作について説明をする。
【0075】
演算部C21には、演算部C11から指示信号V1refが入力される。演算部C21は、V1refに対して所定関数f1の演算を行い、指示信号V2refを電源回路P21に出力する。電源回路P21には、電圧調整部P21aによって調整信号V2adを加算した指示信号V2refが入力される。電源回路P21は、指示信号V2refに応じ、駆動電圧V2及び駆動電流I2を生成し、電源線L2に出力する。
【0076】
電源線L2では、抵抗R2×駆動電流I2によって示される電圧降下が発生する。したがって、数式(1)に基づき、先端部電圧V2dは、数式(5)のように示される。
V2d=f1(V1ref)+V2ad−I2×R2・・・(5)
【0077】
一方、常温環境において、f1(V1ref)=0となるような所定関数f1の特性を前提に考えたとき、その状態において、先端部電圧V2dが目標電圧V2tと一致するように、調整信号V2adを調整すると、数式(6)が成立する。
V2ad=V2t+I2av×R2rm・・・(6)
【0078】
ここで、抵抗R2rmは、常温環境における電源線L2の抵抗値を示し、平均電流I2avは、電源線L2を流れる平均的な電流値を示す。数式(6)に示すように、調整信号V2adが調整された前提において、さらに制御特性が所定関数f1となるように、制御が実行された結果、V2d=V2tの関係が保たれていると仮定する。つまり、数式(6)を数式(5)に代入し、V2d=V2tとしてf1(V1ref)について解くと数式(7)が成立する。
f1(V1ref)=I2×R2−I2av×R2rm・・・(7)
なお、V2refは、f1(V1ref)と同じ値であるため、V2refと表現しても良い。
【0079】
電源線L1、L2は、同じ環境温度にあるため、抵抗R2=m×抵抗R1、駆動電流I2=n×駆動電流I1(mとnは、比例定数)によって規定される。この関係と数式(4)、数式(7)の関係から、数式(8)が導かれる。
V2ref=f1(V1ref)=m×n×V1ref・・・(8)
【0080】
図5及び数式(8)に示すように、指示信号V2refは、指示信号V1refに応じて変化する。
【0081】
これにより、内視鏡装置1では、環境温度に応じて抵抗R1及び指示信号V1refが変化すると、指示信号V2refも変化し、先端部電圧V2dは、目標電圧V2tになるように調整される。
【0082】
また、内視鏡装置1では、環境温度に応じて負荷装置Dの負荷が変化しても、先端部電圧V2dは、目標電圧V2tになるように調整される。
【0083】
第3系統の電源を供給する回路の動作は、第2系統の電源を供給する回路の動作と同じであるため、説明を省略する。なお、
図8にあるように、指示信号V3refは、V3ref=f2(V1ref)によって示され、指示信号V1refに応じて変化する。
【0084】
上述の実施形態によれば、内視鏡装置1は、挿入部3の先端部4に3系統の電源をより安定的に供給でき、かつ先端部4に電源回路を有しないため、先端部4をより細径に形成することができる。
【0085】
(実施形態の変形例1)
実施形態では、環境温度の変化に応じて駆動電圧V1、V2、V3が供給されるが、負荷装置Dの動作モードの変化に応じて駆動電圧V1、V2、V3が供給されるように構成しても構わない。
【0086】
図6は、本発明の実施形態の変形例1に係わる、内視鏡装置1における構成の一例を示すブロック図である。
図7は、本発明の実施形態の変形例1に係わる、指示信号V2refを説明するグラフである。本変形例1では、実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0087】
図6に示すように、装置本体2は、電源線L1、L2、L3に流れる駆動電流I1、I2、I3を測定する電流測定部Mを有する。電流測定部Mは、電流測定回路M1、M2、M3を有する。
【0088】
演算部C21aは、入力された指示信号V1ref及び駆動電流I1、I2に基づいて、所定関数f1aの演算を行い、指示信号V2refを電源回路P21に出力する。変形例1では、所定関数f1aは、指示信号V1ref及び駆動電流I1、I2の関数として規定される。
【0089】
演算部C31aは、入力された指示信号V2ref及び駆動電流I1、I3に基づいて、所定関数f2aの演算を行い、指示信号V3refを電源回路P31に出力する。変形例1では、所定関数f2aは、指示信号V1ref及び駆動電流I1、I3の関数として規定される。
【0090】
電流測定回路M1は、電源線L1に流れる駆動電流I1を測定し、測定結果を演算部C21、C31に出力する。
【0091】
電流測定回路M2は、電源線L2に流れる駆動電流I2を測定し、測定結果を演算部C21に出力する。
【0092】
電流測定回路M3は、電源線L3に流れる駆動電流I3を測定し、測定結果を演算部C31に出力する。
【0093】
すなわち、装置本体2は、第1の電源の第1の駆動電流I1を測定し、測定結果を第2の演算部C21に出力する第1の電流測定回路M1と、第2の電源の第2の駆動電流I2を測定し、測定結果を第2の演算部C21に出力する第2の電流測定回路M2と、を有し、第2の演算部C21は、第1の指示信号V1refと、第1の駆動電流I1と、第2の駆動電流I2とに基づいて、第2の指示信号V2refを決定する。
【0094】
次に実施形態の変形例1の動作について説明をする。
【0095】
温度による抵抗R1、R2の変化を温度変化係数kによって表すと、R1=kR1rm、R2=kR2rmと表すことができる。
【0096】
なお、温度変化係数kは、温度Tp、所定の温度係数αに基づき、k=α(Tp−25+1)によって規定される。
【0097】
温度変化係数kによって数式(4)を変形し、さらに、温度変化係数kについて解くと、数式(9)になる。
V1ref=I1×kR1rm−I1av×R1rm
V1ref=R1rm×(kI1−I1av)
k=(V1ref+R1rm×I1av)/(R1rm×I1)・・・(9)
【0098】
数式(7)及び数式(9)に基づいて、数式(10)が導かれる。
V2ref=I2×kR2rm−I2av×R2rm
V2ref=R2rm(kI2−I2av)
V2ref=(R2rm/R1rm)×(I2/I1)×V1ref+R2rm×((I1av×I2)/I1−I2av)
V2ref=(R2rm/R1rm)×(I2/I1)×V1ref+R2rm×I2av((I2/I1)×(I1av/I2av)−1)・・・(10)
【0099】
常温環境における抵抗R1rm、R2rm、平均電流I1av、I2avは、予め設定される。指示信号V2refは、電流測定回路M1、M2によって測定された駆動電流I1、I2及び演算部C11から入力された指示信号V1refによって決定される。
【0100】
例えば、
図7に示すように、破線で表されたV2ref=f1(V1ref)の傾きに対して、実線で表されたV2ref=f1a(V1ref,I2/I1)の傾きは大きくなる。
【0101】
これにより、内視鏡装置1では、負荷装置Dの動作モードの変化に応じて指示信号V1ref及び駆動電流I1、I2が変化すると、指示信号V2refも変化し、先端部電圧V2dは、目標電圧V2tになるように調整される。
【0102】
第3系統の電源を供給する回路の動作は、第2系統の電源を供給する回路の動作と同じであるため、説明を省略する。
【0103】
上述の実施形態の変形例1によれば、内視鏡装置1は、挿入部3の先端部4に3系統の電源をより安定的に供給でき、かつ挿入部3の先端部4をより細径に形成することができる。
【0104】
(実施形態の変形例2)
実施形態の変形例1では、負荷装置Dの動作モードの変化を電流測定部Mによって検出するが、制御部61が電源制御部Cに動作モード情報を出力しても構わない(
図1の2点鎖線)。本変形例の説明では、実施形態と同じ構成については、説明を省略する。
【0105】
実施形態の変形例2では、所定関数f1、f2は、指示信号V1ref及び動作モード情報の関数として規定される。
【0106】
すなわち、電源制御部Cは、負荷装置Dの動作モードを示す動作モード情報を検知可能であり、動作モード情報及び第1の指示信号に基づいて、第2の指示信号を決定する。
【0107】
これにより、内視鏡装置1では、回路をより簡素化できる。
【0108】
なお。実施形態では、負荷装置Dは、撮像装置21、送信部31及びサーミスタTであるが、これに限定されない。例えば、負荷装置Dは、先端部4に設けられた加速度センサAs(
図1の2点鎖線)でも構わないし、先端部4に設けられた他の装置であっても構わない。
【0109】
なお、実施形態では、信号線S2は、光ファイバによって構成されるが、撮像信号を電気的に伝達する金属によって構成されても構わない。
【0110】
なお、実施形態では、電源線L1、L2、L3は3本であるが、電源線は、2本又は4本以上であっても構わない。
【0111】
本明細書における各「部」は、実施形態の各機能に対応する概念的なもので、必ずしも特定のハードウェアやソフトウェア・ルーチンに1対1には対応しない。したがって、本明細書では、実施形態の各機能を有する仮想的回路ブロック(部)を想定して実施形態を説明した。また、本実施形態における各「部」の全てあるいは一部をソフトウェアにより実現してもよい。また、本実施形態における動作は、その性質に反しない限り、動作順序を変更し、複数同時に動作し、あるいは動作毎に異なった順序で動作してもよい。
【0112】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。