特許第6787735号(P6787735)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6787735
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】水晶素子および水晶デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/19 20060101AFI20201109BHJP
【FI】
   H03H9/19 E
【請求項の数】6
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-192631(P2016-192631)
(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公開番号】特開2018-56861(P2018-56861A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】浪川 清一郎
【審査官】 ▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−186637(JP,A)
【文献】 特開2016−034061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H3/007−H03H3/10
H03H9/00−H03H9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略直方体形状で平板状の平板部、前記平板部よりも上下方向の厚みが厚い略直方体形状の固定部、および、前記平板部と前記固定部との間に位置し、前記平板部から前記固定部にかけて上下方向の厚みが徐々に厚くなっている中間部からなる水晶片と、
前記平板部に設けられている励振電極部、前記固定部の下面に設けられている引出部、および、一端が前記励振電極部に接続され他端が引出部に接続されている配線部からなる金属パターンと、
を有している水晶素子であって、
前記水晶素子を平面視して、
前記固定部、前記中間部、前記平板部が順に並んでいる方向を第一方向とし、
前記第一方向と直角な方向を第二方向としたとき、
前記中間部の前記第二方向の長さが、前記固定部の前記第二方向の長さよりも長くなっており、
前記水晶素子を平面視して、
前記固定部の前記第二方向の長さが、前記中間部側の前記固定部の縁部において長くなっておりR面取りされたような形状となっている
ことを特徴とする水晶素子。
【請求項2】
請求項1に記載の水晶素子であって、
前記中間部の前記第二方向の長さが、前記平板部の前記第二方向の長さよりも長くなっている
ことを特徴とする水晶素子。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の水晶素子であって、
前記金属パターンの一部が、前記固定部の側面および前記中間部の側面に設けられていることを特徴とする水晶素子。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3に記載の水晶素子であって、
前記中間部に上下方向に貫通している貫通孔が形成されている
ことを特徴とする水晶素子。
【請求項5】
請求項4に記載の水晶素子であって、
前記金属パターンの一部が、前記貫通孔の内壁面に設けられている
ことを特徴とする水晶素子。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5に記載の水晶素子と、
前記水晶素子が実装される基体と、
前記基体と接合される蓋体と、
を有していることを特徴とする水晶デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶素子および水晶デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
水晶デバイスは、例えば、基体に実装されている水晶素子が、基体と蓋体とが接合された空間内に気密封止されている状態となっている。水晶デバイスに用いられる水晶素子は、水晶片と、水晶片に設けられている励振電極部、引出部および配線部からなり、引出部に交番電圧が印加されると、配線部を介して励振電極部に交番電圧が印加され、励振電極部に挟まれている水晶片の一部が逆圧電効果および圧電効果によって振動する構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
高い周波数帯の水晶デバイスで用いられる水晶片は、基体に直接接着される固定部と、固定部より厚みが十分薄い平板部と、固定部と平板部との間にもう受けられ固定部から平板部にかけて徐々に厚みが薄くなっている中間部とから構成されている。固定部および平板部は、略直方体形状となっている。また、固定部の上面および平板部の上面は同一平面上に位置しており、水晶片は、片持梁のような形状となっている。中間部は、固定部と平板部との間に位置している。水晶素子を平面視したときに、固定部、中間部、平板部が順に並んでいる方向を第一方向とし、この第一方向と直角に交わる方向を第二方向とすると、水晶片は、固定部の第二方向の長さ、中間部の第二方向の長さ、固定部の第二方向の長さが全て等しくなっている。
従って、水晶片を平面視したときに、略矩形形状となっている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−11647号公報
【特許文献2】特開2016−34061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の水晶素子では、引出部から交番電圧を印加し、励振電極部に交番電圧を印加した際に、励振電極部に挟まれている水晶片の一部が厚みすべり振動をする構成となっているが、このとき、副次的な振動として屈曲振動が生じている。この副次的な振動である屈曲振動は、励振電極部に挟まれている部分だけでなく水晶片全体に生じる副次的な振動であって、また、主振動である厚みすべり振動と結合しやすい。厚みすべり振動と屈曲振動が結合すると、振動状態が変わり、その結果、水晶素子の等価直列抵抗値が大きくなってしまう虞がある。
【0006】
本発明では、副次的な振動である屈曲振動が原因で生じる等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる水晶素子および水晶デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決するために、本発明に係る水晶素子は、略直方体形状で平板状の平板部、平板部よりも上下方向の厚みが厚い略直方体形状の固定部、および、平板部と固定部との間に位置し、平板部から固定部にかけて上下方向の厚みが徐々に厚くなっている中間部からなる水晶片と、平板部に設けられている励振電極部、固定部の下面に設けられている引出部、および、一端が励振電極部に接続され他端が引出部に接続されている配線部からなる金属パターンと、を有している水晶素子であって、水晶素子を平面視して、固定部、中間部、平板部が順に並んでいる方向を第一方向とし、第一方向と直角な方向を第二方向としたとき、中間部の第二方向の長さが、固定部の前記第二方向の長さよりも長くなっており、水晶素子を平面視して、固定部の第二方向の長さが、中間部側の固定部の縁部において長くなっておりR面取りされたような形状となっていることを特徴とする。

【発明の効果】
【0008】
本発明に係る水晶素子は、略直方体形状で平板状の平板部、平板部よりも上下方向の厚みが厚い略直方体形状の固定部、および、平板部と固定部との間に位置し、平板部から固定部にかけて上下方向の厚みが徐々に厚くなっている中間部からなる水晶片と、平板部に設けられている励振電極部、固定部の下面に設けられている引出部、および、一端が励振電極部に接続され他端が引出部に接続されている配線部からなる金属パターンと、を有している水晶素子であって、水晶素子を平面視して、固定部、中間部、平板部が順に並んでいる方向を第一方向とし、第一方向と直角な方向を第二方向としたとき、中間部の第二方向の長さが、固定部の前記第二方向の長さよりも長くなっており、水晶素子を平面視して、固定部の第二方向の長さが、中間部側の固定部の縁部において長くなっておりR面取りされたような形状となっている。
このため、引出部から交番電圧を印加し、励振電極部に交番電圧を印加させた場合、屈曲振動の振動状態が長さに依存していることから、水晶片のそれぞれの場所で生じる屈曲振動の振動状態を異なるようにすることが可能となる。従って、水晶片の場所によって屈曲振動の振動状態を変化させることができるので、副次的な振動として生じる屈曲振動を分散させることができ、主振動である厚みすべり振動と副次的な振動である屈曲振動とが結合することを低減させることが可能となり、この結果、水晶素子の等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る水晶デバイスの斜視図である。
図2図1のA−A断面における断面図である。
図3】実施例1の水晶素子の斜視図である。
図4】(a)は、実施例1の水晶素子で用いる水晶片の上面を平面視した平面図であり、(b)は、実施例1の水晶素子で用いる水晶片の下面を上面側から平面透視した平面図である。
図5】(a)は、実施例1の水晶素子の上面を平面視した平面図であり、(b)は、実施例1の水晶素子の下面を上面側から平面透視した平面図である。
図6図5のB部の部分拡大図である。
図7】(a)は、実施例2の水晶素子で用いる水晶片の上面を平面視した平面図であり、(b)は、実施例2の水晶素子で用いる水晶片の下面を上面側から平面透視した平面図である。
図8】(a)は、実施例2の水晶素子の上面を平面視した平面図であり、(b)は、実施例2の水晶素子の下面を上面側から平面透視した平面図である。
図9】(a)は、実施例3の水晶素子で用いる水晶片の上面を平面視した平面図であり、(b)は、実施例3の水晶素子で用いる水晶片の下面を上面側から平面透視した平面図である。
図10】(a)は、実施例3の水晶素子の上面を平面視した平面図であり、(b)は、実施例3の水晶素子の下面を上面側から平面透視した平面図である。
図11】本実施形態に係る水晶素子の製造方法のフローを示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(水晶デバイスの概略構成)
図1は、本実施形態に係る水晶デバイスの斜視図であり、図2は、図1のA−A断面における断面図である。なお、本実施形態に係る水晶デバイスは、実施例1の水晶素子120を実装した場合について説明する。
【0011】
水晶デバイスは、例えば、全体として略直方体形状となっている電子部品である。水晶デバイスは、例えば、長辺または短辺の長さが、0.6mm〜2.0mmであり、上下方向の厚さが、0.2mm〜1.5mmとなっている。
【0012】
水晶デバイスは、例えば、凹部が形成されている基体110と、凹部が収容されている水晶素子120、凹部を塞ぐ蓋体130と、基体110に水晶素子120を接着、実装するための導電性接着剤140と、から構成されている。
【0013】
基体110の凹部は、蓋体130によって封入され、その内部は、例えば、真空とされ、または、適当なガス(例えば、窒素)が封入されている。
【0014】
基体110は、例えば、基体110の主体となる基板部110aと、基板部110aの上面の縁部に沿って設けられている枠部110bと、水晶素子120を実装するための搭載パッド111と、水晶デバイスを不図示の回路基板部等に実装するための実装端子112と、からなる。基体110には、基板部110aの上面の縁部に沿って枠状の枠部110bが設けられ、凹部が形成されている。
【0015】
基板部110aおよび枠部110bからなる基体110は、セラミック材料等の絶縁材料からなる。搭載パッド111および実装端子112は、例えば、金属等からなる導電層により構成されており、基板部110a内に配置された導体(図示せず)によって互いに電気的に接続されている。蓋体130は、例えば、金属から構成され、基体110、具体的には、枠部110bの上面にシーム溶接等により接合される。
【0016】
水晶素子120は、片持ち梁形状となっている水晶片121と、水晶片121に設けられている金属パターン123とから構成されている。片持ち梁形状の水晶片121は、薄型直方体の平板部121aと、平板部121aよりも厚みの薄い薄型直方体の固定部121cと、平板部121aと固定部121cとの間に設けられている中間部121bと、から構成されている。従って、水晶片121は、平面視したとき、平板部121a、中間部121b、固定部121cの順に並んで配置されている。このような水晶片121に設けられている金属パターン123は、励振電極部123a、引出部123bおよび配線部123cから構成されている。
【0017】
水晶素子120は、前述したように片持ち梁形状となっており、ATカット水晶素子である。すなわち、水晶においてX軸(電気軸)、Y軸(機械軸)およびZ軸(光軸)からなる著国座標系XYZを、X軸回りに30°以上50°以下(一例として、35°15′)回転させて直交座標系XY´Z´を定義したとき、XZ´平面に平行に切り出された板状の水晶ウエハから形成されており、平板部121aの主面がXZ´平面と平行となっている。
【0018】
金属パターン123は、一対の励振電極部123a、引出部123bおよび配線部123cからなり、金属等からなる導電性材料により形成されている。一対の励振電極部123aは、例えば、平板部121aの両主面に設けられている。一対の引出部123bは、固定部121cの下面に二つ並んで設けられている。配線部123cは、一端が励振電極部123aに接続されており、他端が引出部123bに接続されている。
【0019】
水晶素子120は、平板部121aの主面を基体110の基板部110aの上面に対向させて、基体110の凹部内に収容される。引出部123bは、基体110の基板部110aに設けられている搭載パッド111に導電性接着剤140により接着される。これにより、水晶素子120は、基体110の基板部110aに実装される。また、一対の励振電極部12aは、配線部123c、引出部123bおよび導電性接着剤140によって、基体110に設けられている搭載パッド111と電気的に接続されている。ひいては、基体110の基板部110aに設けられている実装端子112のいずれか二つと電気的に接続されている。
【0020】
このようにして構成された水晶デバイスは、例えば、不図示の回路基板の実装面に基体110の下面を対向させて配置され、実装端子112が半田などにより回路基板の実装パッド(図示せず)に接合されることによって回路基板に実装される。回路基板には、例えば、発振回路が構成されている。発振回路は、実装端子112、搭載パッド111、引出部123bおよび配線部123cを介して、励振電極部123aに交番電圧を印加して発振信号を生成する。このとき、発振回路は、例えば、水晶片121に厚みすべり振動のうち基本波振動を利用する。
【0021】
(水晶素子の構成)
本実施形態では、水晶素子の構成を実施例1〜実施例3のそれぞれの場合について説明する。図3は、実施例1の水晶素子120の斜視図であり、図5は、実施例1の水晶素子120の平面図である。図8は、実施例2の水晶素子220の平面図である。また、図10は、実施例3の水晶素子320の平面図である。
【0022】
本実施形態では、水晶素子120、220、320を基体110に実装した場合、基体110の基板部110aの上面と略平行となっている面を主面とし、水晶素子120、220.320から基体110の基板部110aへ向かう向きを下方向、基体110の基板部110aから水晶素子120、220、320へ向かう向きを上方向として説明する。
【0023】
また、本実施形態では、水晶素子120、220、320を基体110に実装した場合、基体110の基板部110a側を向く基板部110aの上面と略平行な面を下面とし、基板部110aと反対側を向く基板部110aの上面と略平行な面を上面とする。また、上面および下面を主面とする。
【0024】
従って、例えば、実施例1の水晶素子120では、基板部110a側を向く水晶素子120の面が水晶素子120の下面となり、基板部110a側を向く平板部121aの面が平板部121aの下面となり、基板部110a側を向く固定部121cの面が固定部121cの下面となる。また、基板部110a側と反対側を向く水晶素子120の面が水晶素子120の上面となり、基板部110a側と反対側を向く平板部121aの面が平板部121aの上面となり、基板部110a側と反対側を向く固定部121cの面が固定部121cの下面となる。また、平板部121aの上面と平板部121aの下面とに接している平板部121aの面を平板部121aの側面とし、固定部121cの上面と固定部121cの下面とに接している固定部121cの面を固定部121cの側面とする。
【0025】
また、本実施形態では、水晶素子120、220、320を平面視して、平板部121a、221a、321a、中間部121b、221b、321b、固定部121c、221c、321cの順番に並んで配置されているが、この平板部121a、221a、321a、中間部121b、221b、321b、固定部121c、221c、321cに並ぶ方向を第一方向とし、また、第一方向と垂直な向きを第二方向として説明する。なお、本実施形態では、第一方向は、X軸と平行となっており、第二方向は、Z´軸と平行なっている。
【0026】
(実施例1)
図3は、実施例1の水晶素子120の斜視図である。図4(a)は、実施例1の水晶素子120で用いる水晶片121の上面を平面視した平面図であり、図4(b)は、実施例1の水晶素子120で用いる水晶片121の下面を上面側から平面透視した平面図である。図5(a)は、実施例1の水晶素子120の上面を平面視した平面図であり、図5(b)は、実施例1の水晶素子120の下面を上面側から平面透視した平面図である。図6は、図5のB部の部分拡大図である。
【0027】
水晶素子120は、平板部121a、中間部121bおよび固定部121cからなる水晶片121と、励振電極部123a、引出部123bおよび配線部123cからなる金属パターン123と、から構成されている。
【0028】
水晶片121は、略直方体の平板部121aと、平板部121aより上下方向の厚みが厚く略直方体の固定部121cと、平板部121aと固定部121cとの間に位置している中間部121bと、から一体的に構成されている。このとき、水晶片121の上面は、基体110の基板部110aの上面と略平行となるようになっており、基板部110aと反対側を向く平板部121aの面、基板部110aと反対側を向く中間部121bの面、および基板部110aと反対側を向く固定部121cの面が同一平面上に位置している。従って、Y´X平面で断面視したとき、中間部121bは、平板部121aから固定部121cにかけて上下方向に厚みが徐々に厚くなっている。
また、水晶片121は、中間部121bに、上下方向に貫通している貫通孔122が形成されている。
【0029】
平板部121aは、例えば、XZ´平面に平行な一対の主面を有する略薄型直方体であり、その主面は、X軸に平行な辺およびZ´軸に平行な辺を有する略矩形である。の平板部121aのZ´軸に平行な辺であって−X軸側に位置している辺に沿って中間部121bが位置している。
【0030】
また、平板部121aの主面には一対の励振電極部123aが設けられており、この励振電極部123aに交番電圧が印加されると、逆圧電効果および圧電効果により励振電極部123aに挟まれている平板部121aの一部が振動する。この振動には、励振電極部123aに挟まれている部分が特に振動する主振動である厚みすべり振動と、副次的な振動である輪郭振動および屈曲振動と、がある。主振動である厚みすべり振動は、励振電極部123aに挟まれている部分が最も振動し、励振電極部123aに挟まれていない部分にも励振電極部123aの外縁から平板部121aの外縁に向かう向きに振動が伝搬している状態となっている。
副次的な振動の一つである輪郭振動は、水晶片121の形状、例えば、平板部121aにおいては平板部121aの輪郭が変形し振動している状態となっている。また、副次的な振動の一つである屈曲振動は、水晶片121の形状、例えば、平板部121aにおいては平板部121aのX軸に平行な向きまたはZ´軸に平行な向きで屈曲するように振動している状態となっている。
【0031】
中間部121bは、水晶片121の上面を平面視したとき、Z´軸に平行な二辺のうち−X軸方向側に位置している平板部121aの辺に沿って設けられており、X軸に平行な辺およびZ´軸に平行な辺を有する略矩形となっている。このとき、水晶片121の下面を上面側から平面透視したとき、中間部121bの四隅のうち平板部121a側を向く二隅が円弧形状となっている。なお、この円弧形状の円の中心は、平板部121aと中間部121bとの接している辺よりも−X軸側に位置している。
【0032】
このようにすることで、中間部121b側の平板部121aの縁部および平板部121a側の中間部121bの縁部においての、Z´軸に平行な長さを部分的に変えることができる。また、X軸に平行な辺の縁部においても、X軸に平行な中間部121bの長さおよびX軸に平行な平板部121cの長さを部分的に変えることができる。このため、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動は振動する部分の長さ(例えば、X軸に平行な長さやZ´軸に平行な長さ)に依存しているので、長さを部分的に変えることで、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動の振動状態を部分的に変えることが可能となる。
従って、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動のうち主振動である厚みすべり振動と結合しやすい振動状態を低減させることが可能となる。この結果、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動が主振動である厚みすべり振動へ与える影響を低減させることが可能となり、主振動である厚みすべり振動の振動が阻害され等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0033】
また、このように水晶片121の下面を上面側から平面透視したとき、中間部121bの四隅のうち平板部121a側を向く二隅が円弧形状にすることで、エッチング残差の形状を複雑にすることができるので、中間部121bと平板部121aとの縁部に確実に金属パターン123を形成することが可能となる。この結果、平板部121aに設けられている金属パターン123と中間部121bに設けられている金属パターン123とで断線することを低減させることができ、断線等による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
【0034】
また、中間部121bには、上下方向に貫通している貫通孔122が形成されている。このように中間部121bに貫通孔122を形成することで、中間部121bにおけるX軸に平行な長さおよびZ´軸に平行な長さを部分的に変えることができる。この結果、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動の周波数を分散させることが可能となり、副次的な振動が主振動である厚みすべり振動へ与える影響を低減させることができ、等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
【0035】
また、中間部121bに上下方向に貫通する貫通孔122を形成することにより、貫通孔122内に金属パターン123の一部を設けることが可能となる。この結果、水晶片121の上面側から水晶片121の下面側への導通を確実にすることができ、金属パターン123の部分的な断線により等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
【0036】
また、貫通孔122は、水晶片121を平面視して、開口部が略矩形となっており、その四隅が円弧形状となっている。このように開口部の四隅を円弧形状にすることで、貫通孔122の開口部に力が集中したとしても分散させることが可能となる。この結果、開口部122の開口部の四隅に力が集中し開口部の四隅から破損することを低減させることが可能となる。
【0037】
また、貫通孔122の四隅を円弧形状にすることで、中間部121bにおけるX軸に平行な長さおよびZ´軸に平行な長さを部分的に変えることができる。前述したように、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動の振動状態は、振動する部分の長さに関係しているので、このようにすることで、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動の振動状態を部分的にかえることができる。この結果、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動ののうち主振動である厚みすべり振動と結合しやすい振動状態を低減させることが可能となり、副次的な振動が主振動である厚みすべり振動へ与える影響を低減させることができ、等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
【0038】
また、貫通孔122の四隅を円弧形状にすることで、貫通孔122の内壁面に金属パターン123を形成する際に、円弧形状でない場合と比較して、貫通孔122の内壁面により確実に金属パターン123を形成することが可能となる。このため、水晶片121の上面と水晶片121の下面との金属パターン123での導通を確実に確保することができ、断線または部分的に細くなることによる等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
【0039】
固定部121cは、薄型直方体となっており、その上下方向の厚みが平板部121aの上下方向の厚みより厚くなっている。また、固定部121cは、水晶片121の上面を平面視したとき、Z´軸に平行な二辺のうち−X軸方向側に位置している中間部121bの辺に沿って設けられており、X軸に平行な辺およびZ´軸に平行な辺を有する略矩形となっている。
このとき、水晶片121の下面を上面側から平面透視したとき、固定部121cの四隅のうち中間部121b側を向く二隅が円弧形状となっている。なお、この円弧形状の円の中心は、中間部121bと固定部121cとの接している辺よりも−X軸側に位置している。
【0040】
このようにすることで、固定部121c側の中間部121bの縁部および中間部121b側の固定部121cの縁部において、Z´軸に平行な長さを部分的に変えることができる。また、X軸に平行な辺の縁部において、X軸に平行な中間部121bの長さおよびX軸に平行な固定部121cの長さを部分的に変えることができる。前述したように、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動の振動状態は、振動する部分の長さに関係しているので、このようにすることで、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動の振動状態を部分的にかえることができる。
この結果、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動のうち主振動である厚みすべり振動と結合しやすい振動状態を低減させることができ、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動が主振動である厚みすべり振動へ与える影響を低減させることが可能となり、主振動である厚みすべり振動の振動が阻害され等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0041】
また、このように中間部121b側の固定部121cの隅部を円弧形状にすることで、エッチング残差の形状を複雑にすることができるので、中間部121bと固定部121cとの縁部に確実に金属パターン123を形成することが可能となる。この結果、固定部121cに設けられている金属パターン123と中間部121bに設けられている金属パターン123とで断線することを低減させることができ、断線等による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
【0042】
また、固定部121cは、水晶片121を平面視したとき、固定部121cの四隅のうち中間部121bと反対側を向く二隅に切欠きが形成されている。
【0043】
このようにすることで、水晶片121を平面視したとき、固定部121cのZ´軸に平行な長さを、中間部121b側の長さと中間部121bと反対側の長さとを異なるようにすることができる。前述したように、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動の振動状態は、振動する部分の長さに関係しているので、このようにすることで、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動の振動状態を部分的にかえることができる。
このため、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動ののうち主振動である厚みすべり振動と結合しやすい振動状態を低減させることができ、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動が主振動である厚みすべり振動へ与える影響を低減させることが可能となる。
この結果、主振動である厚みすべり振動の振動が副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動に阻害され、等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0044】
また、このように水晶片121を平面視したとき、固定部121cの四隅のうち中間部121bと反対側を向く二隅に切欠きを形成することで、固定部121cの側面の面数を増やすことができる。従って、結晶軸(X軸、Y´軸、Z´軸)との位置関係によってエッチング速度が異なることから、側面の面数を多くすることで、固定部121cの側面と固定部121cの上面または固定部121cの下面とがなす角度の範囲を広くすることができる。
このため、固定部121cの側面と固定部121cの上面または固定部121cの下面との縁部において、側面と上面または下面とのなす角度が急峻となり金属パターン123が断線することを低減させることができる。この結果、金属パターン123の断線による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
【0045】
また、このように水晶片121を平面視したとき、固定部121cの四隅のうち中間部121bと反対側を向く二隅に切欠きを形成することで、水晶片121を水晶ウエハ状で形成する際に、隣接する水晶片121の平板部121a間の距離と比較して、隣接する水晶片121の固定部121c間の距離を長くすることができる。このため、隣接する水晶片121が固定部121cの側面に金属パターン123を設ける際に影となり固定部121cの側面に金属パターン123が設けることができなくなることを低減させることができる。
従って、このようにすることで、固定部121cの側面に確実に金属パターン123を設けることができ、断線による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0046】
また、このとき、水晶片121を平面視して、切欠きは、略矩形となっており、Z´軸に平行な辺のうち+X軸側に位置している切欠きの辺は、円弧形状になっている。
【0047】
このようにすることで、水晶片121を平面視したとき、固定部121cのZ´軸に平行な長さを、部分的に異なるようにすることができる。また、固定部121cのX軸に平行な長さを、部分的に異なるようにすることができる。前述したように、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動の振動状態は、振動する部分の長さに関係しているので、このようにすることで、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動の振動状態を部分的にかえることができる。
このため、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動のうち主振動である厚みすべり振動と結合しやすい振動状態を低減させることができ、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動が主振動である厚みすべり振動へ与える影響を低減させることが可能となる。この結果、主振動である厚みすべり振動の振動が副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動に阻害され、等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0048】
また、このように切欠きの辺を円弧形状にすることで、切欠き部が形成されている固定部121cの側面の面数を増やすことができる。従って、結晶軸(X軸、Y´軸、Z´軸)との位置関係によってエッチング速度が異なることから、側面の面数を多くすることで、固定部121cの側面と固定部121cの上面または固定部121cの下面とがなす角度の範囲を広くすることができる。
このため、固定部121cの側面と固定部121cの上面または固定部121cの下面との縁部において、側面と上面または下面とのなす角度が急峻となり金属パターン123が断線することを低減させることができる。
この結果、金属パターン123の断線による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
【0049】
このような水晶片121に設けられている金属パターン123は、水晶素子120の外部から電圧を印加するためのものである。金属パターン123は、一層となっていてもよいし、複数の金属層が積層されていてもよい。金属パターン123は、特に図示しないが、例えば、第一金属層と、第一金属層上に積層されている第二金属層とからなる。第一金属層は、水晶と密着性のよい金属が用いられ、例えば、ニッケル、クロム、ニクロムまたはチタンのいずれか一つが用いられる。第一金属層に水晶と密着性のよい金属を用いることで、水晶と密着しにくい金属を第二金属層に用いることができる。
第二金属層は、金属材料の中で電気的抵抗率が低く、安定した材料が用いられ、例えば、金、金を含む合金、銀または銀を含む合金のいずれか一つが用いられる。電気抵抗率が比較的低い材料を用いることで、金属パターン123自身の抵抗率を小さくすることができ、この結果、水晶素子120の等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。また、安定した金属材料を用いることで、水晶素子120が存在する周囲の空気と反応し金属パターン123の重さが変化し水晶素子120の周波数が変化することを低減させることができる。
【0050】
励振電極部123aは、平板部121aに電圧を印加するためのものである。励振電極部123aは、一対となっている。また、励振電極部123aは、水晶素子120を平面して、略矩形形状となっている。励振電極部123aは、水晶素子120を平面視して、例えば、励振電極部123aの中心(具体的には、励振電極部123aの対角線の交点)が平板部121aの中心(具体的には、平板部121aの対角線の交点)と比較すると、中間部121bより離れた位置に設けられている。
このようにすることで、励振電極部123aに電圧が印加され励振電極部123aに挟まれている平板部121aの一部が振動するとき、励振電極部123aに挟まれている部分から平板部121aの縁部まで振動が伝搬し、平板部121aの縁部まで伝搬した振動が中間部121bで反射した場合であっても、この中間部121bで反射された振動が励振電極部123aで挟まれている振動を阻害する量を低減させることが可能となる。この結果、水晶素子120の等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0051】
引出部123bは、水晶素子120を水晶デバイスとして用いる場合、基体110に実装するためのものであり、基体110の基板部110aの上面に設けられている搭載パッド111と導電性接着剤140によって電気的に接着される。引出部123bは、一対となっており、基板部110aの搭載パッド111と対向する位置であって、固定部121の下面にZ´軸に平行な向きに二つ並んで設けられている。
【0052】
配線部123cは、励振電極部123aと引出部123bとを電気的に接続させるためのものであり、水晶片121の表面に設けられている。
【0053】
X軸およびY´軸に平行な水晶素子120の側面を視た場合、この面に金属パターン123の一部が設けられている。このとき、金属パターン123は、水晶片121の平板部121a、中間部121bおよび固定部121cに跨るように形成されている。
【0054】
このようにすることで、水晶片121の上面側の金属パターン123と水晶片121の下面側の金属パターン123とに接続している部分をより多くすることで、水晶片121の上面側に設けられている金属パターン123と水晶片121の下面側の金属パターン123とを確実に導通させることができる。このため、金属パターン123の断線による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0055】
また、このように、X軸およびY´軸に平行な水晶片121の側面であって、平板部121a、中間部121bおよび固定部121cに跨るように金属パターン123の一部を設けることで、この金属パターン123が錘の役割を果たすこととなり、平板部121a、中間部121bおよび固定部121cにおいて、Z´軸に平行な向きで生じる屈曲振動および輪郭振動を抑制させることができる。
この結果、副次的な屈曲振動および輪郭振動を抑制させることができるので、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動が主振動である厚みすべり振動へ与える影響を低減させることが可能となり、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動により等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0056】
また、水晶素子120の下面を上面側から平面透視したとき、平板部121aに設けられている金属パターン123は、Z´軸に平行な長さが部分的に異なっている。本実施形態では、例えば、中間部121b側の平板部121aの辺に沿って設けられている金属パターン123のZ´軸に平行な長さと、励振電極部123aと配線部123cとの境界部分の配線部123cのZ´軸に平行な長さとは、異なっている。
【0057】
このようにすることで、平板部121aと中間部121bとの段差において、Z´軸に平行な金属パターン123の長さを広くすることができるので、平板部121aと中間部121bとで段差があることによる断線を低減させることができる。また、励振電極部123a側の配線部123cのZ´軸に平行な長さを中間部121b側の配線部123cのZ´軸に平行な長さより短くすることで、上述した断線を低減させつつも、配線部123cを設けたことによる主振動である厚みすべり振動への振動阻害を低減させている。
【0058】
また、平板部121aの中間部121b側の端部に、金属パターン123の一部が設けられている状態となっているため、平板部121aの中間部121b側の端部での屈曲振動を低減させることが可能となっている。この結果、副次的な屈曲振動による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0059】
平板部121aに設けられている金属パターン123のうち、Z´軸に平行な長さが部分的に長くなっている金属パターン123の一部のX軸に平行な長さは、平板部121aのX軸に平行な長さの0.05倍以上かつ0.1倍以下となっている。この長さが平板部121aのX軸に平行な長さの0.05倍より小さい場合には、中間部121bと平板部121aとの段差においてZ´軸に平行な金属パターン123の長さが短くなってしまい、部分的に断線し等価直列抵抗値が大きくなってしまう虞がある。
平板部121aのX軸に平行な長さの0.1倍より大きい場合には、中間部121a側の平板部121aに設けられている金属パターン123(部分的に太い金属パターン123の部分)によって、励振電極部123aに近くなってしまい主振動である厚みすべり振動が阻害され等価直列抵抗値が大きくなってしまう虞がある。つまり、平板部121aに設けられている配線部123cのうちZ´軸に平行な長さが部分的に太くなっている部分のX軸に平行な長さは、平板部121aのX軸に平行な長さの0.05倍以上でかつ0.1倍以下の長さとすることで、等価直列抵抗値が大きくなることを低減させている。
【0060】
また、平板部121aに設けられている配線部123cのうちZ´軸に平行な長さが部分的に長い部分の長さは、中間部121bに設けられている金属パターン123のZ´軸に平行な長さとほぼ同じとなっており、かつ、固定部121cに設けられている金属パターン123のZ´軸に平行な長さとほぼ同じとなっている。つまり、水晶素子120の下面を上面側から平面透視したとき、金属パターン123は、固定部121c、中間部121bおよび平板部121aに跨って設けられている。
【0061】
このようにすることで、固定部121cと中間部121bとの段差、および、中間部121bと平板部121aとの段差において、金属パターン123が断線することを低減させることができる。この結果、それぞれの段差において金属パターン123の一部が断線し、透過直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
【0062】
また、このようにすることで、中間部121bおよび中間部121b側の平板部121aの端部に金属パターン123を設けることとなるので、この金属パターン123が錘の役割を果たすこととなり、中間部121bおよび中間部121b側の平板部121aの端部において副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動を低減させることが可能となる。この結果、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動が主振動である厚みすべり振動を阻害することを低減させることができ、主振動である厚みすべり振動が阻害されることで等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
【0063】
前述したように、水晶素子120の下面を上面側から平面透視したとき、金属パターン123は、固定部121cのZ´軸に平行な長さと中間部121bのZ´軸に平行な長さと平板部121aのZ´軸に平行な長さとがほぼ同じとなるように、固定部121c、中間部121b、平板部121aに跨って設けられている。
【0064】
このようにすることで、水晶片121の上面側と水晶片121の下面側とで金属パターン123を設けることが可能となる。従って、水晶片121の上面側に設けられている金属パターン123と水晶片121の下面側で設けられている金属パターン123とが断線することを低減させることが可能となる。この結果、金属パターン123の断線による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0065】
また、このように貫通孔122の内壁面に金属パターン123を設けることで、この内壁面に設けられた金属パターン123が錘の役割を果たし、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動を低減させることが可能となる。この結果、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動が、主振動である厚みすべり振動を阻害することを低減させることができ、主振動ある厚みすべり振動が阻害されることにより等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
【0066】
別の観点では、水晶素子120の下面を上面側から平面透視したとき、貫通孔122の開口部から隣接する水晶片121のX軸に平行な辺までの最短距離は、中間部121bに設けられている金属パターン123のZ´軸に平行な長さよりも短くなっているといえる。このとき、中間部121bに設けられている金属パターン123のZ´軸に平行な長さと貫通孔122の開口部から隣接する水晶片121のX軸に平行な辺までの最短距離との差は、貫通孔122の開口部のZ´軸に平行な長さの0.1倍以上0.4倍以下となっている。
この差が、貫通孔122の開口部のZ´軸に平行な長さが0.1倍よりも小さい場合、貫通孔122の四隅が円弧形状となっているため形状が複雑となっている箇所にのみ設けられることとなり、内壁面に設けられる金属パターン123が断線してしまう虞がある。差が0.4倍よりも大きい場合には、隣接する金属パターン123との距離が近くなるため、隣接する金属パターン123と短絡してしまう虞がある。従って、貫通孔122の内壁面に設けられている金属パターン123のZ´軸に平行な長さは、貫通孔122の開口部のZ´軸に平行な長さの0.1倍以上かつ0.4倍以下とすることで、貫通孔122の内壁面での断線を低下させつつ隣接する金属パターン123との短絡を低減させている。
【0067】
このような水晶素子120は、略直方体形状で平板状の平板部121a、平板部121aより上下方向の厚みが厚い略直方体形状の固定部121c、および、平板部121aと固定部121cとの間に位置し、平板部121aから固定部121cにかけて上下方向の厚みが徐々に厚くなっている中間部121bからなる水晶片121と、平板部121aの両主面に設けられている励振電極部123a、固定部121cの下面に設けられている引出部123b、および、一端が励振電極部123aに接続され他端が引出部123bに接続されている配線部123cからなる金属パターン123と、を備えている水晶素子120であって、中間部121bに上下方向に貫通している貫通孔122が形成されており、金属パターン123の一部が水晶片121の側面および固定部121cに形成されている貫通孔122の内壁面に設けられている。
【0068】
別の観点では、X軸およびY´軸に平行な水晶素子120の側面を視た場合、この面に金属パターン123の一部が設けられている。このとき、金属パターン123は、水晶片121の平板部121a、中間部121bおよび固定部121cに跨るように形成されているといえる。
【0069】
このようにすることで、水晶片121の上面側の金属パターン123と水晶片121の下面側の金属パターン123とに接続している部分をより多くすることで、水晶片121の上面側に設けられている金属パターン123と水晶片121の下面側の金属パターン123とを確実に導通させることができる。このため、金属パターン123の断線による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0070】
また、このように、X軸およびY´軸に平行な水晶片121の側面であって、平板部121a、中間部121bおよび固定部121cに跨るように金属パターン123の一部を設けることで、この金属パターン123が錘の役割を果たすこととなり、平板部121a、中間部121bおよび固定部121cにおいて、Z´軸に平行な向きで生じる屈曲振動および輪郭振動を抑制させることができる。この結果、副次的な屈曲振動および輪郭振動を抑制させることができるので、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動が主振動である厚みすべり振動へ与える影響を低減させることが可能となり、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動により等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0071】
また、このような水晶素子120は、水晶片121の下面を平面視したとき、平板部121aの上面と固定部121cの上面とが同一平面上に位置しており、平板部121a側を向く中間部121bの角部が円弧形状となっている。
【0072】
このようにすることで、中間部121b側の平板部121aの縁部および平板部121a側の中間部121bの縁部においての、Z´軸に平行な長さを部分的に変えることができる。また、X軸に平行な辺の縁部においても、X軸に平行な中間部121bの長さおよびX軸に平行な平板部121cの長さを部分的に変えることができる。このため、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動は振動する部分の長さ(例えば、X軸に平行な長さやZ´軸に平行な長さ)に依存しているので、長さを部分的に変えることで、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動の振動状態を部分的にかえることできる。この結果、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動のうち主振動である厚みすべり振動と結合しやすい振動状態を低減させることができ、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動が主振動である厚みすべり振動へ与える影響を低減させることが可能となり、主振動である厚みすべり振動の振動が阻害され等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0073】
また、このように水晶片121の下面を上面側から平面透視したとき、中間部121bの四隅のうち平板部121a側を向く二隅が円弧形状にすることで、エッチング残差の形状を複雑にすることができるので、中間部121bと平板部121aとの縁部に確実に金属パターン123を形成することが可能となる。この結果、平板部121aに設けられている金属パターン123と中間部121bに設けられている金属パターン123とで断線することを低減させることができ、断線等による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
【0074】
また、このような水晶素子120は、水晶片121を平面視したとき、平板部121aの上面と固定部121bの上面とが同一平面上に位置した状態で、平板部121a、中間部121b、固定部121cの順に並んで配置されており、平板部121aと反対側を向く固定部121cに切欠きを形成する。
【0075】
別の観点では、略直方体形状で平板状の平板部121a、平板部121aよりも上下方向の厚みが厚い略直方体形状の固定部121c、および、平板部121aと固定部121cとの間に位置し、平板部121aから固定部121cにかけて上下方向の厚みが徐々に厚くなっている中間部121bからなる水晶片121と、平板部121aに設けられている励振電極部123a、固定部121cの下面に設けられている引出部123b、および、一端が励振電極部123aに接続され他端が引出部123bに接続されている配線部123cからなる金属パターン123と、を有している水晶素子120であって、水晶素子120を平面視して、固定部121c、中間部121b、平板部121aが順に並んでいる方向を第一方向(X軸方向)とし、第一方向(X軸方向)と直角な方向を第二方向(Z´軸方向)としたとき、中間部121bの第二方向(Z´軸方向)の長さが、固定部121cの第二方向(Z´軸方向)の長さよりも長くなっているといえる。
【0076】
このようにすることで、水晶片121を平面視したとき、固定部121cのZ´軸に平行な長さを、中間部121b側の長さと中間部121bと反対側の長さとを異なるようにすることができる。前述したように、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動の振動状態は、振動する部分の長さに関係しているので、このようにすることで、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動の振動状態を部分的にかえることができる。このため、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動のうち主振動である厚みすべり振動と結合しやすい振動状態を低減させることができ、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動が主振動である厚みすべり振動へ与える影響を低減させることが可能となる。この結果、主振動である厚みすべり振動の振動が副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動に阻害され、等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0077】
また、このように水晶片121を平面視したとき、固定部121cの四隅のうち中間部121bと反対側を向く二隅に切欠きを形成することで、固定部121cの側面の面数を増やすことができる。従って、結晶軸(X軸、Y´軸、Z´軸)との位置関係によってエッチング速度が異なることから、側面の面数を多くすることで、固定部121cの側面と固定部121cの上面または固定部121cの下面とがなす角度の範囲を広くすることができる。このため、固定部121cの側面と固定部121cの上面または固定部121cの下面との縁部において、側面と上面または下面とのなす角度が急峻となり金属パターン123が断線することを低減させることができる。この結果、金属パターン123の断線による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
【0078】
また、このように水晶片121を平面視したとき、固定部121cの四隅のうち中間部121bと反対側を向く二隅に切欠きを形成することで、水晶片121を水晶ウエハ状で形成する際に、隣接する水晶片121の平板部121a間の距離と比較して、隣接する水晶片121の固定部121c間の距離を長くすることができる。このため、隣接する水晶片121が固定部121cの側面に金属パターン123を設ける際に影となり固定部121cの側面に金属パターン123が設けることができなくなることを低減させることができる。従って、このようにすることで、固定部121cの側面に確実に金属パターン123を設けることができ、断線による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0079】
また、このような水晶素子120は、水晶素子120を平面視して、固定部121cの第二方向(Z´軸方向)の長さが、中間部121b側の固定部121cの縁部においてに長くなっておりR面取りされたような形状となっている。
【0080】
このようにすることで、水晶片121を平面視したとき、固定部121cのZ´軸に平行な長さを、部分的に異なるようにすることができる。また、固定部121cのX軸に平行な長さを、部分的に異なるようにすることができる。前述したように、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動の振動状態は、振動する部分の長さに関係しているので、このようにすることで、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動の振動状態を部分的にかえることができる。このため、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動ののうち主振動である厚みすべり振動と結合しやすい振動状態を低減させることができ、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動が主振動である厚みすべり振動へ与える影響を低減させることが可能となる。
この結果、主振動である厚みすべり振動の振動が副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動に阻害され、等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0081】
また、このように切欠きの辺を円弧形状にすることで、切欠き部が形成されている固定部121cの側面の面数を増やすことができる。従って、結晶軸(X軸、Y´軸、Z´軸)との位置関係によってエッチング速度が異なることから、側面の面数を多くすることで、固定部121cの側面と固定部121cの上面または固定部121cの下面とがなす角度の範囲を広くすることができる。このため、固定部121cの側面と固定部121cの上面または固定部121cの下面との縁部において、側面と上面または下面とのなす角度が急峻となり金属パターン123が断線することを低減させることができる。この結果、金属パターン123の断線による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
【0082】
また、このような水晶素子120は、中間部121bに上下方向に貫通している貫通孔122が形成されている。
【0083】
このように中間部121bに貫通孔122を形成することで、中間部121bにおけるX軸に平行な長さおよびZ´軸に平行な長さを部分的に変えることができる。前述したように、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動の振動状態は、振動する部分の長さに関係しているので、このようにすることで、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動の振動状態を部分的にかえることができる。この結果、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動ののうち主振動である厚みすべり振動と結合しやすい振動状態を低減させることが可能となり、副次的な振動が主振動である厚みすべり振動へ与える影響を低減させることができ、等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
【0084】
また、中間部121bに上下方向に貫通する貫通孔122を形成することにより、貫通孔122内に金属パターン123の一部を設けることが可能となる。この結果、水晶片121の上面側から水晶片121の下面側への導通を確実にすることができ、金属パターン123の部分的な断線により等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
【0085】
また、このような水晶素子120は、金属パターン123の一部が、貫通孔122の内壁面に設けられている。
【0086】
このようにすることで、水晶片121の上面側と水晶片121の下面側とで金属パターン123を設けることが可能となる。従って、水晶片121の上面側に設けられている金属パターン123と水晶片121の下面側で設けられている金属パターン123とが断線することを低減させることが可能となる。この結果、金属パターン123の断線による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0087】
また、このように貫通孔122の内壁面に金属パターン123を設けることで、この内壁面に設けられた金属パターン123が錘の役割を果たし、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動を低減させることが可能となる。この結果、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動が、主振動である厚みすべり振動を阻害することを低減させることができ、主振動ある厚みすべり振動が阻害されることにより等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
【0088】
また、このような水晶素子120は、水晶素子120の(X軸およびY´軸に平行な)側面を平面視したとき、前述したように金属パターン123の一部が、平板部121a、中間部121bおよび固定部121cに跨るようにように設けられている。つまり、金属パターン123の一部が、固定部121cの側面および中間部121bの側面に設けられているといえる。
【0089】
従って、このように、固定部121cの(X軸およびY´軸に平行な)側面おより中間部121bの(X軸およびY´軸に平行な)側面に金属パターン123の一部を設けることで、この金属パターン123が錘の役割を果たすこととなり、固定部121cおよび中間部121bにおいて、Z´軸に平行な向きで生じる屈曲振動おより輪郭振動を抑制することができる。この結果、副次的な振動である屈曲振動おより輪郭振動が主振動である厚みすべり振動へ与える影響を低減させることが可能となり、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動により等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0090】
(実施例2)
次に、本実施形態の実施例2に係る水晶素子220について説明する。なお、本実施形態の実施例2における水晶素子220のうち上述した水晶素子220と同様の部分については、同一の符合を付して適宜説明する。図7(a)は、実施例2の水晶素子220で用いる水晶片221の上面を平面視した平面図であり、図7(b)は、実施例2の水晶素子220で用いる水晶片221の下面を上面側から平面透視した平面図である。図8(a)は、実施例2の水晶素子220の上面を平面視した平面図であり、図8(b)は、実施例2の水晶素子220の下面を上面側から平面透視した平面図である。
【0091】
本実施形態の実施例2に係る水晶素子220は、水晶素子220を平面視して、Z´軸に平行な中間部221bの長さが、Z´軸に平行な固定部221cの長さと比較して短くなっている点で実施例1と異なる。
【0092】
実施例2に係る水晶素子220は、断面視して片持ち梁形状となっている水晶片221と、水晶片221に設けられている金属パターン223とから構成されている。
【0093】
水晶片221は、略直方体形状の平板部221a、平板部221aより上下方向の厚みが厚い略直方体形状の固定部221c、おより、平板部221aと固定部221cとの間に位置し、平板部221aから固定部221cにかけて上下方向の厚みが徐々に厚くなっている中間部221bから構成されている。また、水晶片221の中間部221bには、上下方向に貫通している貫通孔222が形成されている。
【0094】
ここで、水晶片221を平面視して、水晶片221の固定部221c、中間部221b、平板部221aが並んでいる方向を第一方向とし、この第一方向と直交する方向を第二方向とする。なお、第一方向は、水晶のX軸と平行となっており、第二方向は、Z´軸と平行となっている。
【0095】
水晶片121の下面を上面側から平面透視したとき、X軸に直角な方向における中間部221bの長さは、X軸に直角な方向における平板部221aの長さとほぼ同じとなっており、X軸に直角な方向における固定部221cのZ´軸に平行な長さよりも短くなっている。
【0096】
このようにすることで、Z´軸に平行な向きで生じる副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動の振動状態を中間部221bと固定部221cとで異なるようにすることができるので、副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動のうち主振動である厚みすべり振動と結合しやすい振動状態を低減させることが可能となり、副次的な振動である屈曲振動おより輪郭振動が主振動である厚みすべり振動へ与える影響を低減させることが可能となる。この結果、主振動である厚みすべり振動の振動が副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動に阻害され、等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0097】
また、このようにすることで、水晶片221を平面視したとき、固定部221cと中間部221bとの境界における側面の面数を増やすことができる。従って、結晶軸(X軸、Y´軸、Z´軸)との位置関係によってエッチング速度が異なることから、側面の面数を多くすることで、固定部221cの側面と固定部221cの上面または固定部221cの下面とがなす角度の範囲を広くすることができる。このため、固定部221cの側面と固定部221cの上面または固定部221cの下面との縁部において、側面と上面または下面とのなす角度が急峻となり金属パターン223が断線することを低減させることができる。この結果、金属パターン123の断線による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
【0098】
また、このようにすることで、水晶片221を水晶ウエハ状で形成する際に、隣接する水晶片221の平板部221a間の距離と比較して、隣接する水晶片221の固定部121c間の距離を長くすることができる。このため、隣接する水晶片221が固定部221cの側面に金属パターン223を設ける際に影となり固定部221cの側面に金属パターン223が設けることができなくなることを低減させることができる。従って、このようにすることで、固定部221cの側面に確実に金属パターン223を設けることができ、断線による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0099】
従って、このような水晶素子220は、平板部221aの上面と固定部221cの上面とが同一平面上に位置した状態で、平板部221a、中間部221b、固定部221cの順に並んで配置されており、水晶片221を平面視して、平板部221a、中間部221b、固定部221cが並んでいる方向に対して直角な方向において、中間部221bの長さが固定部221cの長さよりも長くなっている。このため、上述したように等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0100】
(実施例3)
本実施形態の実施例3に係る水晶素子320について説明する。なお、本実施形態の実施例における水晶素子320のうち上述した水晶素子220と同様の部分については、同一の符合を付して適宜説明する。図9(a)は、実施例3の水晶素子320で用いる水晶片321の上面を平面視した平面図であり、図9(b)は、実施例3の水晶素子320で用いる水晶片321の下面を上面側から平面透視した平面図である。図10(a)は、実施例3の水晶素子320の上面の平面図であり、図10(b)は、実施例3の水晶素子320の下面を上面側から平面透視した平面図である。
【0101】
本実施形態の実施例3に係る水晶素子320は、水晶素子320を平面視して、Z´軸に平行な中間部321bのZ´軸に平行な長さが、Z´軸に平行な固定部212cの長さより短く、かつ、Z´軸に平行な平板部321aの長さよりも短くなっている点で実施例2と異なる。
【0102】
実施例3に係る水晶素子320は、断面視して片持ち梁形状となっている水晶片321と、水晶片321に設けられている金属パターン323とから構成されている。
【0103】
水晶片321は、略直方体形状の平板部321a、平板部321aより上下方向の厚みが厚い略直方体形状の固定部321c、および、平板部321aと固定部321cとの間に位置し、平板部321aから固定部321cにかけて上下方向の厚みが徐々に厚くなっている中間部321bから構成されている。また、水晶片321の中間部321bには、上下方向に貫通している貫通孔322が形成されている。
【0104】
ここで、水晶片321を平面視して、水晶片321の固定部321c、中間部321b、平板部321aが並んでいる方向を第一方向とし、この第一方向と直交する方向を第二方向とする。なお、第一方向は、水晶のX軸と平行となっており、第二方向は、Z´軸と平行となっている。
【0105】
水晶片321の下面を上面側から平面透視したとき、中間部321bのZ´軸に平行な長さは、平板部321aのZ´軸に平行な長さより短くなっており、かつ、固定部321cのZ´軸に平行な長さよりも短くなっている。
【0106】
このようにすることで、Z´軸に平行な向きで生じる副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動の振動状態を、平板部321a、中間部321bおよび固定部321cにおいて異なるようにすることができる。また、Z´軸に平行な中間部321bの長さをZ´軸に平行な平板部321aの長さと比較して長くすることで、平板部321aがZ´軸に平行に屈曲することを抑制させることが可能となる。従って、このようにすることで、平板部321aで生じる副次的な振動である屈曲振動および輪郭振動を抑制することができ、結果、平板部321aでの主振動である厚みすべり振動に副軸的な振動である屈曲振動および輪郭振動が阻害することを低減し、主振動である厚みすべり振動が阻害されることによる等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0107】
また、このようにすることで、水晶片321を平面視したとき、水晶片321の側面の面数を増やすことができる。従って、結晶軸(X軸、Y´軸、Z´軸)との位置関係によってエッチング速度が異なることから、側面の面数を多くすることで、固定部321cの側面と固定部321cの主面とがなす角度、中間部321bの側面と中間部321bの上面とがなす角度、または、平板部321aの側面と平板部321aの主面とがなす角度の範囲を広くすることができる。このため、水晶片321の主面と水晶片321の側面とのなす角度が急峻となり金属パターン323が断線することを低減させることができ、断線による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
【0108】
また、このようにすることで、水晶片321を水晶ウエハ状で形成する際に、隣接する水晶片321の平板部321a間の距離、および、隣接する水晶片321の固定部321c間の距離を、隣接する水晶片321の中間部321b間の距離よりも長くすることができる。このため、固定部321cの側面および平板部321aの側面に確実に金属パターン323を形成することができ、断線による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0109】
従って、このような水晶素子320は、水晶片321を平面視して、平板部321a、中間部321b、固定部321cが並んでいる方向に対して直角な方向において、中間部321bの長さが平板部321aの長さよりも長くなっている。言い換えると、実施例3に係る水晶素子320は、中間部321bの第二方向(Z´軸方向)の長さが、平板部321aの第二方向(Z´軸方向)の長さよりも長くなっている。このため、上述したように等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
【0110】
このように実施例1〜実施例3に示したような水晶素子を水晶デバイスに用いることで、等価直列抵抗値が大きくなることを低減させた水晶デバイスを得ることができる。
【0111】
(水晶素子の製造方法)
水晶素子の製造方法について説明する。なお、本実施形態では、実施例1に示した水晶素子120を製造する場合いついて説明する。図11は、実施例1に示した水晶素子120を製造する場合のフローを示したフロー図である。
【0112】
水晶素子の製造方法は、水晶ウエハ用意工程、水晶ウエハエッチング工程、金属パターン形成工程、および個片化工程を含んでいる。
【0113】
水晶ウエハ用意工程は、水晶素子120の固定部121cと上下方向の厚みが同じ水晶ウエハを用意する工程である。水晶ウエハは、互いに直交しているX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有しており、その上下方向の厚みは、固定部121cの上下方向の厚みと同じとなっている。
【0114】
水晶ウエハエッチング工程は、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて、水晶片121となる部分を形成するように水晶ウエハをエッチングする工程である。水晶ウエハエッチング工程では、まず、水晶ウエハの両主面に耐食金属膜が形成され、この耐食金属膜上に感光性レジストが塗布される。次に、この感光性レジストが塗布された水晶ウエハを所定のパターンに現像、露光し、で耐食用金属膜の一部が露出させる。そして、露出している耐食用金属膜を剥離させ、水晶ウエハの一部を露出させる。このとき、例えば、水晶ウエハの一方の主面を平面視すると、水晶片121の上面となる部分は露出しておらず、水晶ウエハの他方の主面を平面視すると、振動部121aおよび中間部121bとなる部分は水晶ウエハが露出した状態となっている。その後、平板部121aとなる部分が所定の厚みとなるまでエッチングし、感光性レジストおよび耐食用金属膜を剥離させる。
【0115】
金属パターン形成工程は、形成された水晶片121となる部分に所定の金属パターン123を形成する工程である。金属パターン形成工程では、例えば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いられる。フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いる場合には、水晶片121となる部分が複数形成されている水晶ウエハの両主面に金属パターン123となる金属膜が形成される。このとき、金属膜は、例えば、蒸着技術またはスパッタリング技術が用いられる。その後、金属膜上に感光性レジストが塗布され、現像、露光され、金属膜の一部が露出される。露出している金属膜を剥離し、感光性レジストを剥離することで、所定の金属パターン123が水晶片121となる部分に設けられる。また、別の例として、金属パターン形成工程では、スパッタリング技術または蒸着技術が用いられる。
【0116】
つまり、金属パターン形成工程では、スパッタリング技術または蒸着技術により水晶片の所定の位置に被着させていることとなる。実施例1〜実施例3に記載した水晶素子を製造する場合、水晶片121の側面となる部分に確実に金属パターン123を形成することができ、生産性を向上させることができる。
【0117】
個片化工程は、水晶片121となる部分を個片化する工程である。
【0118】
従って、本実施形態に係る水晶素子の製造方法は、固定部121cと上下方向の厚みが同じ水晶ウエハを用意する水晶ウエハ用意工程と、フォトリソグラウフィー技術およびエッチング技術を用いて、水晶片121となる部分を形成するように水晶ウエハをエッチングする水晶ウエハエッチング工程と、形成された水晶片121となる部分に所定の金属パターン123を形成する金属パターン形成工程と、水晶片121となる部分を個片化する個片化工程と、を含んでいる。
【0119】
このようにすることで、実施例1〜実施例3に係る水晶素子を製造する場合において、水晶片121の側面に確実に金属パターン123を形成することができる。従って、実施例1〜実施例3に係る水晶素子を製造することにより、従来の水晶素子を製造する場合と比較して水晶片121の側面での断線することを低減させることができ、生産性を向上させることができる。
【0120】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の形態で実施されてよい。
【0121】
水晶素子を有するデバイスは、水晶振動子に限定されない。例えば、水晶素子に加えて、水晶素子に電圧を印加して発振信号を生成する集積回路素子を有する発振器であってもよい。また、例えば、水晶デバイスは、恒温槽付きであってもよい。例えば、基体は、上面および下面に凹部を有する断面H型形状であってもよいし、平板状であってもよい。
【0122】
水晶素子の形状および寸法は、実施形態において例示したものに限定されず、適宜設定されてもよい。励振電極部の形状は、平面視して、略矩形に限定されず、例えば、楕円形状であってもよい。
【符号の説明】
【0123】
110・・・基体
110a・・・基板部
110b・・・枠部
111・・・搭載パッド
112・・・実装端子
120、220、320・・・水晶素子
121、221、321・・・水晶片
121a、221a、321a・・・平板部
121b、221b、321b・・・中間部
121c、221c、321c・・・固定部
122、222、322・・・貫通孔
123、223、323・・・金属パターン
123a、223a、323a・・・励振電極部
123b、223b、323b・・・引出部
123c、223c、323c・・・配線部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11