特許第6787779号(P6787779)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6787779
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】高分子多層フィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/25 20190101AFI20201109BHJP
   B29C 48/18 20190101ALI20201109BHJP
   B29C 48/88 20190101ALI20201109BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20201109BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20201109BHJP
【FI】
   B29C47/08
   B29C47/06
   B29C47/88 Z
   B29K105:04
   B29L7:00
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-500598(P2016-500598)
(86)(22)【出願日】2014年3月4日
(65)【公表番号】特表2016-512179(P2016-512179A)
(43)【公表日】2016年4月25日
(86)【国際出願番号】US2014020281
(87)【国際公開番号】WO2014158807
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2017年2月27日
【審判番号】不服2019-5945(P2019-5945/J1)
【審判請求日】2019年5月8日
(31)【優先権主張番号】61/777,535
(32)【優先日】2013年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド エフ.スラマ
(72)【発明者】
【氏名】ガース ブイ.アンティラ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジェイ.フラナガン
(72)【発明者】
【氏名】ブレント アール.ハンセン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ピー.ハンシェン
【合議体】
【審判長】 須藤 康洋
【審判官】 細井 龍史
【審判官】 大島 祥吾
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/081894(WO,A1)
【文献】 特開昭61−51319(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0288764(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C48/00-48/96
B29C59/00-59/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの異なる、別々の高分子フィルムを製造する方法であって、該方法は、
ニップの中へ少なくとも2つの高分子層を押出成形し、高分子多層フィルムを提供すること、ここで該ニップは、該高分子多層フィルムの第1の主平面を介してくぼみを付与する構造化された表面を有する第1のロールを含む
該高分子多層フィルムの概ね反対の第2の主表面に熱源を付与しながら、該くぼみを有する該第1の主平面を冷却ロール上を通過させること、ここで該熱源から熱を付与することにより、該高分子多層フィルムの該第1の主表面と該第2の主表面との間に延在する開口部の配列が形成される、及
該開口部の配列を有する該高分子多層フィルムの少なくとも該第1及び該第2の層を分離し、少なくとも2つの異なる、別々の高分子フィルムを提供すること、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の層は、125マイクロメートル以下の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の層は、125マイクロメートル以下の厚さを有する、請求項1又は2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記高分子多層フィルムが少なくとも30開口部/cmを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2013年3月12日出願の米国特許仮出願第61/777535号の利益を主張するものであり、当該開示は、全体として本明細書に参考として組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
穿孔フィルムは、一般的に、皮膚に近い領域から吸収領域内へ流体を除去することを可能にする流体搬送フィルムを提供する個人衛生分野で使用されている。他の一般的な用途は、食品包装産業、より最近では吸音材においてである。これらの用途のための穿孔フィルムは、通常、100マイクロメートル(0.004インチ)未満の厚さ(より一般的には、50マイクロメートル(0.002インチ)未満の厚さ)であり、例えば、オレフィン、ポリプロピレン、6、又はポリエチレンから製造されている。
【0003】
穿孔フィルムを生産するための一般的な処理方法として、多孔板又はロールへのフィルムの真空引き、フィルムを形成かつ穿刺するための加圧流体の使用、低温ニードル又は高温ニードルのいずれかを用いたニードルパンチング法、又はフィルムを融解して孔をあけるためのレーザー法が挙げられる。しかしながら、これらのプロセスは、孔サイズ、孔密度、及び/又はフィルムのフィルム厚などの処理制限を有する傾向がある。
【0004】
穿孔フィルムの真空成形又は加圧流体成形は、フィルムを変形及び穿刺するために利用できる力により、比較的薄いフィルム(つまり、100マイクロメートル厚未満のフィルム)に制限される傾向がある。また、この種の成形プロセスにおいて使用される材料は、オレフィン系ポリマーに制限される傾向がある。この種のプロセスの別の特徴は、フィルムにおいて突出部が生成されることであり、フィルムは、穿孔が生成されるまで伸長する。この突出部は、該突出部が方向流量制御機構として機能できる流体制御の場合に有利である。しかしながら、それはまた、圧力低下が小さいことを所望される用途において不利である場合がある。突出部が、細長い孔を生成することによって表面積が増大し、流体抵抗が増大する。
【0005】
ニードルパンチングプロセスはまた、比較的薄いフィルムのために使用されることが多いが、最大約254マイクロメートル(0.010インチ)のフィルム厚の場合も時々ある。このプロセスに関する制限事項として、単位面積あたりの穿孔径及びフィルムにおける突出部が挙げられる。
【0006】
レーザー穿孔プロセスは、比較的小さい孔(つまり、50マイクロメートル未満)を提供でき、広範囲の厚さに穿孔可能であり、フィルム表面と均一な穿孔を生成することができる(すなわち、例えば、ニードルパンチングプロセスに伴う突起部がない)。レーザー穿孔プロセスの制限事項として、プロセスに好適な材料の種類並びに処理速度及び処理費用が挙げられる。レーザー穿孔プロセスは、ポリエチレンテレフタレート(PET)製、ポリカーボネート(PC)製、又は他の高ガラス転移温度材料製のフィルムを処理するのに最も適している傾向がある。レーザーは、例えば、オレフィン系材料を穿孔する際には多くの場合あまり効果的ではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、本開示は、少なくとも2つの異なる、別々の高分子フィルムを製造する方法を記載するものであり、該方法は、
ニップの中へ少なくとも2つ(一部の実施形態で、少なくとも3つ、4つ、5つ、又はそれ以上)の高分子層を押出成形し、高分子多層フィルムを提供する工程であって、該ニップは、該高分子多層フィルムの第1の主平面(すなわち、くぼみを除く比較的平坦な表面の主表面)を介してくぼみを付与する構造化された表面を有する第1のロールを含む、工程と、
該高分子多層フィルムの概ね反対の第2の主表面に熱源を付与しながら、該くぼみを有する該第1の主平面を冷却ロール上を通過させる工程であって、該熱源から熱を付与することにより、該高分子多層フィルムの該第1の主表面と該第2の主表面との間に延在する開口部の配列が形成される、工程と、
該開口部の配列を有する該高分子多層フィルムの少なくとも該第1及び該第2の層を分離し、少なくとも2つの異なる、別々の高分子フィルムを提供する工程と、を含む、方法である。
【0008】
本明細書に記載の高分子多層フィルムの実施形態は、例えば、濾過及び吸音に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】例示的な高分子フィルムを製造するための例示的な方法の概略図である。
図1A】例示的な高分子フィルムを製造するための例示的な方法の概略図である。
図1B】例示的な高分子フィルムを製造するための例示的な方法の概略図である。
図1C】例示的な高分子フィルムを製造するための例示的な方法の概略図である。
図2】例示的な高分子フィルムを製造するための別の例示的な方法の概略図である。
図2A】例示的な高分子フィルムを製造するための別の例示的な方法の概略図である。
図2B】例示的な高分子フィルムを製造するための別の例示的な方法の概略図である。
図2C】例示的な高分子フィルムを製造するための別の例示的な方法の概略図である。
図2D】例示的な高分子フィルムを製造するための別の例示的な方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、少なくとも2つの異なる、別々の高分子フィルム140、141を製造するための例示的な方法の概略図が示されている。少なくとも2つの高分子層120、121は、高分子多層フィルム110を提供するために、ニップ135の中へ押出成形される。ニップ135は、構造化された表面137を有する第1のロール136を含み、構造化された表面137は、高分子多層フィルム110の第1の主平面111を介してくぼみ113を付与する。高分子多層フィルム110の概ね反対の第2の主表面112に139の熱源を付与しながら、くぼみ113を有する第1の主平面111は、冷却ロール138上を通過する。熱源139からの熱の付与により、高分子多層フィルム110の第1の主表面111と第2の主表面112との間に延在する開口部の配列123が形成される。少なくとも2つの異なる、別々の高分子フィルム140、141を提供するために、高分子多層フィルム110の少なくとも第1及び第2の層120、121は、開口部の配列123を有する。
【0011】
本明細書に記載の多層フィルムを製造するための好適な押出成形装置(装置の構成要素を製造するための材料を含む)は、作動例を含め、本開示を検討後に当業者に明らかであるべきである。例えば、ロール(例えば、134、136、138、234、236,238)は、鋼などの金属製であってもよい。一部の実施形態で、(複数種類の)高分子材料を含有するロールの表面は、クロムめっき、ニッケルめっき、銅めっき、又はアルミニウムである。ロールは、例えば、水冷などの従来技術を使用して冷却することができる。ニップ圧は、例えば、空圧シリンダによって提供され得る。
【0012】
例示的な押出速度として、3〜15m/min(一部の実施形態で、15〜50m/min、50〜100m/min、又はそれ以上の範囲)が挙げられる。例示的な押出温度は、200℃〜230℃(一部の実施形態で230℃〜260℃、260〜300℃、又はそれ以上)の範囲である。
【0013】
多層高分子フィルムは、一般的に、ポリオレフィン、ポリエチレン、及びポリプロピレンを含む。
【0014】
高分子多層フィルムを製造するための例示的な高分子材料として、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリエチレンテレフタレート(PET)、コポリエステル類(PETg)、セルロースアセトブチレート(CAB)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリオレフィン、ポリエチレン、及びポリスチレン(PS)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリカーボネート(PC)、及びポリプロピレンが挙げられる。好適なポリプロピレン材料として、ブロックコポリマー、インパクトコポリマー、及びランダムコポリマーなどのホモポリプロピレン及び変性ポリプロピレンが挙げられる。
【0015】
任意選択的に、本明細書に記載の物品を含む任意の高分子材料は、無機充填剤、顔料、スリップ剤、及び難燃剤などの添加剤を含んでもよい。
【0016】
本明細書に記載されている高分子多層フィルムの一部の実施形態では、厚さは、125マイクロメートル超、150マイクロメートル超、200マイクロメートル超、250マイクロメートル超、500マイクロメートル超、750マイクロメートル超、1000マイクロメートル超、1500マイクロメートル超、2000マイクロメートル超、又は更には少なくとも2500マイクロメートル、一部の実施形態では、125マイクロメートル〜1500マイクロメートル、又は更には125マイクロメートル〜2500マイクロメートルの範囲である。
【0017】
開口部は、円形及び楕円形を含む、任意の種々の形状であってもよい。
【0018】
本明細書に記載されている高分子多層フィルムの一部の実施形態では、少なくとも30開口部/cm(一部の実施形態では、少なくとも100開口部/cm、200開口部/cm、250開口部/cm、300開口部/cm、400開口部/cm、500開口部/cm、600開口部/cm、700開口部/cm、750開口部/cm、800開口部/cm、900開口部/cm、1000開口部/cm、2000開口部/cm、3000開口部/cm、又は更には最小4000開口部/cm、一部の実施形態では、30開口部/cm〜200開口部/cm、200開口部/cm〜500開口部/cm、又は更には500開口部/cm〜4000開口部/cm)を有する。
【0019】
本明細書に記載の高分子多層フィルムの実施形態は、例えば、濾過及び吸音に有用である。
【0020】
例示的な実施形態
1.少なくとも2つの異なる、別々の高分子フィルムを製造する方法であって、該方法は、
ニップの中へ少なくとも2つの高分子層を押出成形し、高分子多層フィルムを提供する工程であって、該ニップは、該高分子多層フィルムの第1の主平面を介してくぼみを付与する構造化された表面を有する第1のロールを含む、工程と、
該高分子多層フィルムの概ね反対の第2の主表面に熱源を付与しながら、該くぼみを有する該第1の主平面を冷却ロール上を通過させる工程であって、該熱源から熱を付与することにより、該高分子多層フィルムの該第1の主表面と該第2の主表面との間に延在する開口部の配列が形成される、工程と、
該開口部の配列を有する該高分子多層フィルムの少なくとも該第1及び該第2の層を分離し、少なくとも2つの異なる、別々の高分子フィルムを提供する工程と、を含む、方法。
2.前記第1の層は、125マイクロメートル以下(一部の実施形態では、100マイクロメートル以下、75又は更には50マイクロメートル以下、一部の実施形態では、25マイクロメートル〜125マイクロメートル、25マイクロメートル〜100マイクロメートル、又は更には25マイクロメートル〜75マイクロメートルの範囲)の厚さを有する、例示的な実施形態1に記載の方法。
3.第2の層は、125マイクロメートル以下(一部の実施形態では、100マイクロメートル以下、75又は更には50マイクロメートル以下、一部の実施形態では、25マイクロメートル〜125マイクロメートル、25マイクロメートル〜100マイクロメートル、又は更には25マイクロメートル〜75マイクロメートルの範囲)の厚さを有する、例示的な実施形態1又は2のいずれか1つに記載の方法。
4.少なくとも30開口部/cm(一部の実施形態では、少なくとも100開口部/cm、200開口部/cm、250開口部/cm、300開口部/cm、400開口部/cm、500開口部/cm、600開口部/cm、700開口部/cm、750開口部/cm、800開口部/cm、900開口部/cm、1000開口部/cm、2000開口部/cm、3000開口部/cm、又は更には最小4000開口部/cm、一部の実施形態では、30開口部/cm〜200開口部/cm、200開口部/cm〜500開口部/cm、又は更には500開口部/cm〜4000開口部/cmの範囲)を有する、例示的な実施形態1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【0021】
本発明の利点及び実施形態を、以下の実施例によって更に例示するが、これらの実施例において列挙される特定の材料、及びその量並びに他の諸条件及び詳細によって、本発明を不当に制限するものではないと解釈すべきである。すべての部及び比率(パーセンテージ)は、別途記載のない限り重量に基づくものである。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
穿孔多層高分子フィルムは、以下の手順を用いて調製された。A層、B層、及びC層からなる3層の高分子フィルム(ABC)は、幅25cmの3層のマルチマニホールドダイ(Cloeren Inc.(Orange,TX)製、商品名「CLOEREN」で入手)を供給する3台の押出成形機を用いて調製された。押出プロセスは、ツールロール(236)とスムーススチールバックアップロール(234)からなるニップ内へ垂直下方に行われた。押出プロセスは、図2に概略的に示されるように、A層がツールロール(236)と接触し、C層がバックアップロール(234)と接触するように構成された。A層用のポリマーは、6.35cmの単軸押出機で提供された。B層用のポリマーは、6.35cmの単軸押出機で提供された。C層用のポリマーは、3.2cmの単軸押出機で提供された。3つの押出成形機についての加熱領域の温度が以下の表1に示されている。
【0023】
【表1】
【0024】
押出機の毎分回転数(rpm)は、以下の表2に列記されている。
【0025】
【表2】
【0026】
A層(211)及びC層(213)は、低密度ポリエチレン樹脂(メルトフローレートが55、Dow Chemical Company(Midland,MI)製、商品名「DOW959S」で入手)を用いて押出成形した。A層(211)及びC層(213)の坪量はそれぞれ、81g/m及び52g/mであった。B層(212)は、ポリプロピレン/ポリエチレンインパクトコポリマー(メルトフローレートが35、Dow Chemical Company製、商品名「DOW C700 35N」で入手)を用いて押出成形した。B層(212)の坪量は、64g/mであった。
【0027】
ニップを含む2つのロールは、公称直径30.5cmと歯幅40.6cmの水冷式ロール(234、236)であった。ニップ圧は、空圧シリンダによって供給された。スムーススチールバックアップロール(234)の温度は、21℃に設定した。ツールロール(236)は、ロールの表面を溝切りした雄型ポストの形成部(237)を有していた。雄型ポストの形成部は、クロムめっきされていた。ツール面上の(ポストとして画定された)雄型形成部(237)は、正方形のベース部を持つピラミッド型で上部は平坦な正方形であった。ポストの上部は、94マイクロメートルの正方形であり、ベース部は500マイクロメートルの正方形であった。ポストの全高は、914マイクロメートルであった。ポストの中心間距離は、半径方向とクロスロール方向の両方において820マイクロメートルであった。ツールロール(236)の温度は、38℃に設定した。ツールロール(236)とバックアップロール(234)とは、直接的に駆動された。2つのニップロール間のニップ圧は、直線上の部分1センチメートル当たり531ニュートンであった。押出物の引取ライン速度は、3.0m/minであった。
【0028】
3層用のポリマー類は、ダイ(230)からツールロール(236)とバックアップロール(234)との間のニップ(235)内へ直接的に押出成形された。ツールロール(236)上の雄型形成部(237)で、押出物にくぼみ(214)を生成した。ポリマーの薄層(215)は、ツールロール(236)とバックアップロール(234)との間に残った。一般に、この層(215)は、20マイクロメートル厚未満であった。押出物をツールロール(236)上に180℃巻いた状態で維持し、押出物を多層高分子フィルムへ冷却及び固化した。その後、多層フィルムは、ロール状に巻き取られた。
【0029】
その後、くぼみを含有する多層高分子フィルムは、以下のように穿孔フィルムになった。その開示が参考として本明細書に組み込まれている米国特許第7,037,100号(Strobelら)に記載されている火炎穿孔(flame perforation)システムは、その開示が参考として本明細書に組み込まれている米国特許第7,635,264号(Strobelら)からのバーナーの設計を利用し、薄層(215)を融解及び除去するために使用された。
【0030】
この実験における機器に対する特定の改良及びプロセス条件は以下の通りであった。
冷却ロール(238)は、エッチング又は彫刻パターンがない平滑な表面のロールであった。
Flynn Burner Corporation(New Rochelle,NY)より入手した、バーナー(231)は、30.5センチメートル(12インチ)の6ポートバーナーであり、米国特許第7,635,264号(Strobelら)に記載されているようにアンチハウリング設計で、その開示は参考として本明細書に組み込まれている。
巻出し張力:178ニュートン合計張力
巻上げ張力:178ニュートン合計張力
バーナー(231)英熱量5118BTU/cm/時間(1500W/cm/時間)
1%の過剰酸素
バーナー(231)とフィルム表面との間の空隙:12mm
ライン速度:30メートル/分
冷却ロール(238)冷却水設定値:15.5℃
【0031】
上記の条件で図2Aに概略的に示される装置を介して多層高分子フィルムを処理した。ウェブの向きは、薄いポリマー層(215)を有するフィルム(210)の側がバーナー(231)に最も近くにあり、冷却ロール(238)の反対になるようにした。冷却ロール(238)は、ポリマーの軟化点以下にフィルムの大部分を保持しながら、フィルムの本体を冷却した。バーナーの炎(239)からの熱で残留している薄いポリマー層(215)を融解することで、フィルムに穿孔(216)が生成された。A層、B層、及びC層は互いに分離し、個別に別々のロールに巻き取られた。
【0032】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本開示の予測可能な修正及び変更が当業者には自明であろう。本発明は、説明を目的とし、本出願に記載される実施形態に限定されるべきものではない。
図1
図1A
図1B
図1C
図2
図2A
図2B
図2C
図2D