(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0013】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0014】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0015】
(実施の形態)
<半導体装置の製造工程について>
本実施の形態の半導体装置は、不揮発性メモリ(不揮発性記憶素子、フラッシュメモリ、不揮発性半導体記憶装置)を備えた半導体装置である。本実施の形態では、不揮発性メモリは、nチャネル型MISFET(MISFET:Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を基本としたメモリセルをもとに説明を行う。また、本実施の形態での極性(書込・消去・読出時の印加電圧の極性やキャリアの極性)は、nチャネル型MISFETを基本としたメモリセルの場合の動作を説明するためのものであり、pチャネル型MISFETを基本とする場合は、印加電位やキャリアの導電型等の全ての極性を反転させることで、原理的には同じ動作を得ることができる。
【0016】
本実施の形態の半導体装置の製造方法を、図面を参照して説明する。
【0017】
図1〜
図54は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図1〜
図54の断面図には、メモリセル領域1Aに不揮発性メモリのメモリセルが、低耐圧MIS領域1Bに低耐圧のMISFETが、高耐圧MIS領域1Cに高耐圧のMISFETが、それぞれ形成される様子が示されている。
【0018】
ここで、メモリセル領域1Aは、半導体基板SBの主面において、不揮発性メモリのメモリセルが形成される領域である。また、低耐圧MIS領域1Bは、半導体基板SBの主面において、周辺回路を構成する低耐圧のMISFETが形成される領域である。また、高耐圧MIS領域1Cは、半導体基板SBの主面において、周辺回路を構成する高耐圧のMISFETが形成される領域である。メモリセル領域1Aと低耐圧MIS領域1Bと高耐圧MIS領域1Cとは、同一の半導体基板SBの主面における互いに異なる平面領域に対応している。また、周辺回路とは、不揮発性メモリ以外の回路であり、例えば、CPUなどのプロセッサ、制御回路、センスアンプ、カラムデコーダ、ロウデコーダ、入出力回路などである。また、高耐圧MIS領域1Cに形成される高耐圧MISFETの耐圧は、低耐圧MIS領域1Bに形成される低耐圧MISFETの耐圧よりも高く、また、高耐圧MIS領域1Cに形成される高耐圧MISFETの動作電圧は、低耐圧MIS領域1Bに形成される低耐圧MISFETの動作電圧よりも高い。
【0019】
また、本実施の形態においては、メモリセル領域1A、低耐圧MIS領域1Bおよび高耐圧MIS領域1Cのそれぞれにおいて、形成するMISFETはnチャネル型であるが、導電型を逆にしてpチャネル型とすることもできる。
【0020】
半導体装置を製造するには、
図1および
図2に示されるように、まず、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)SBを用意(準備)する。それから、半導体基板SBの主面に、活性領域を規定(画定)する素子分離領域STを形成する。素子分離領域STは、酸化シリコンなどの絶縁体からなり、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法などにより形成することができる。
【0021】
次に、
図3および
図4に示されるように、メモリセル領域1Aの半導体基板SBにp型ウエルPW1を、低耐圧MIS領域1Bの半導体基板SBにp型ウエルPW2を、高耐圧MIS領域1Cの半導体基板SBにp型ウエルPW3を形成する。p型ウエルPW1,PW2,PW3は、例えばホウ素(B)などのp型の不純物を半導体基板SBにイオン注入することなどによって形成することができ、半導体基板SBの主面から所定の深さにわたって形成される。p型ウエルPW1とp型ウエルPW2とp型ウエルPW3とは、同じ導電型であるため、同じイオン注入工程で形成しても、あるいは異なるイオン注入工程で形成してもよい。p型ウエルPW1,PW2,PW3の形成後、p型ウエルPW1,PW2,PW3のそれぞれの表層部に、必要に応じてチャネルドープイオン注入を行うこともできる。
【0022】
次に、絶縁膜GF1,GF2,GF3を形成する。絶縁膜GF1は、メモリセル領域1Aにおける半導体基板SBの表面に形成され、絶縁膜GF2は、低耐圧MIS領域1Bにおける半導体基板SBの表面に形成され、絶縁膜GF3は、高耐圧MIS領域1Cにおける半導体基板SBの表面に形成される。
【0023】
絶縁膜GF1,GF2,GF3は、例えば酸化シリコン膜からなる。高耐圧MIS領域1Cの絶縁膜GF3の厚さは、メモリセル領域1Aの絶縁膜GF1の厚さや低耐圧MIS領域1Bの絶縁膜GF2の厚さよりも厚く、例えば3〜20nm程度とすることができる。また、メモリセル領域1Aの絶縁膜GF1の厚さと、低耐圧MIS領域1Bの絶縁膜GF2の厚さとは、ほぼ同じであり、例えば1〜5nm程度とすることができる。
【0024】
絶縁膜GF1,GF2,GF3形成工程は、例えば、次のようにして行うことができる。すなわち、まず、希釈フッ酸洗浄などによって半導体基板SBの表面を清浄化してから、半導体基板SBの表面に、絶縁膜GF3用の酸化シリコン膜を熱酸化法などを用いて形成する。それから、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてメモリセル領域1Aおよび低耐圧MIS領域1Bにおける絶縁膜GF3用の酸化シリコン膜を除去し、高耐圧MIS領域1Cに絶縁膜GF3用の酸化シリコン膜を残す。それから、絶縁膜GF1用と絶縁膜GF2用とを兼ねた酸化シリコン膜を、熱酸化法を用いて、メモリセル領域1Aおよび低耐圧MIS領域1Bにおける半導体基板SBの表面に形成する。このようにして、メモリセル領域1Aの半導体基板SBの表面に絶縁膜GF1が形成され、低耐圧MIS領域1Bの半導体基板SBの表面に絶縁膜GF2が形成され、高耐圧MIS領域1Cの半導体基板SBの表面に、絶縁膜GF3が形成された構造が得られる。なお、
図3および
図4では、素子分離領域ST上に絶縁膜GF2,GF3が形成されている場合が図示されているが、熱酸化法を用いて絶縁膜GF1,GF2,GF3を形成した場合には、素子分離領域ST上には絶縁膜GF1,GF2,GF3は形成されない。
【0025】
次に、
図5および
図6に示されるように、半導体基板SBの主面全面上に、すなわち絶縁膜GF1,GF2,GF3上に、制御ゲート電極CG形成用の導電膜としてシリコン膜PS1を形成する。
【0026】
シリコン膜PS1は、制御トランジスタのゲート電極用の導電膜であるが、後述のダミーゲート電極DGおよびゲート電極GE1を形成するための導電膜を兼ねている。すなわち、シリコン膜PS1により、後述の制御ゲート電極CGと後述のダミーゲート電極DGと後述のゲート電極GE1とが形成される。
【0027】
シリコン膜PS1は、多結晶シリコン膜(ポリシリコン膜)からなり、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法などを用いて形成することができる。シリコン膜PS1の膜厚(堆積膜厚)は、例えば50〜250nm程度とすることができる。成膜時はシリコン膜PS1をアモルファスシリコン膜として形成してから、その後の熱処理で、アモルファスシリコン膜からなるシリコン膜PS1を、多結晶シリコン膜からなるシリコン膜PS1に変えることもできる。シリコン膜PS1は、成膜後のイオン注入でn型不純物を導入するか、あるいは、成膜用ガスにより成膜時にn型不純物を導入することで、低抵抗率のドープトポリシリコン膜とすることができる。メモリセル領域1Aのシリコン膜PS1はn型不純物が導入されるが、低耐圧MIS領域1Bと高耐圧MIS領域1Cのシリコン膜PS1は、ノンドープのシリコン膜であってもよい。
【0028】
次に、
図5および
図6に示されるように、シリコン膜PS1上に絶縁膜CPZを形成する。絶縁膜CPZは、例えば窒化シリコン膜からなり、CVD法などを用いて形成することができる。
【0029】
次に、
図7および
図8に示されるように、シリコン膜PS1と絶縁膜CPZとの積層膜を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングする。これにより、メモリセル領域1Aに、パターニングされたシリコン膜PS1からなる制御ゲート電極CGと、パターニングされた絶縁膜CPZからなるキャップ絶縁膜CP1との積層体LM1が形成される。このとき、低耐圧MIS領域1Bおよび高耐圧MIS領域1Cでは、シリコン膜PS1と絶縁膜CPZとの積層膜は、パターニングされずにそのまま残存する。低耐圧MIS領域1Bおよび高耐圧MIS領域1Cに残存するシリコン膜PS1と絶縁膜CPZとの積層膜を、積層膜LMと称することとする。
【0030】
メモリセル領域1Aにおいて、積層体LM1の下に残存する絶縁膜GF1が、制御トランジスタのゲート絶縁膜となる。従って、メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGが半導体基板SB(p型ウエルPW1)上にゲート絶縁膜としての絶縁膜GF1を介して形成され、制御ゲート電極CG上に制御ゲート電極CGとほぼ同じ平面形状のキャップ絶縁膜CP1が形成された状態となる。メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGで覆われた部分以外の絶縁膜GF1は、パターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。
【0031】
次に、必要に応じて、メモリセル領域1Aのp型ウエルPW1の表層部に対してチャネルドープイオン注入を行う。
【0032】
次に、洗浄処理を行って、半導体基板SBの主面を清浄化処理した後、
図9および
図10に示されるように、半導体基板SBの主面全面に、すなわち、半導体基板SBの表面上と積層体LM1の上面および側面上に、メモリトランジスタのゲート絶縁膜用の絶縁膜MZを形成する。この際、積層膜LMの上面および側面上にも絶縁膜MZが形成され得る。このため、絶縁膜MZは、半導体基板SB上に、積層体LM1および積層膜LMを覆うように形成される。
【0033】
絶縁膜MZは、メモリトランジスタのゲート絶縁膜用の絶縁膜であり、内部に電荷蓄積部(電荷蓄積層)を有する絶縁膜である。なお、図面を見やすくするために、
図9および
図10では、絶縁膜MZ1と絶縁膜MZ2と絶縁膜MZ3とからなる絶縁膜MZを、単に絶縁膜MZとして図示しているが、実際には、
図9において円で囲まれた領域の拡大図に示されるように、絶縁膜MZは、絶縁膜MZ1と絶縁膜MZ1上の絶縁膜MZ2と絶縁膜MZ2上の絶縁膜MZ3との積層膜からなる。ここでは、絶縁膜MZ1は、酸化シリコン膜(酸化膜)からなり、絶縁膜MZ2は、窒化シリコン膜(窒化膜)からなり、絶縁膜MZ3は、酸化シリコン膜(酸化膜)からなる。
【0034】
絶縁膜MZを形成するには、例えば、まず酸化シリコン膜からなる絶縁膜MZ1を熱酸化法により形成してから、絶縁膜MZ1上に窒化シリコン膜からなる絶縁膜MZ2をCVD法で堆積し、更に絶縁膜MZ2上に酸化シリコン膜からなる絶縁膜MZ3をCVD法または熱酸化法あるいはその両方で形成する。酸化シリコン膜の代わりに、酸窒化シリコン膜を形成することもできる。絶縁膜MZ1の厚みは、例えば2〜10nm程度とすることができ、絶縁膜MZ2の厚みは、例えば5〜15nm程度とすることができ、絶縁膜MZ3の厚みは、例えば2〜10nm程度とすることができる。
【0035】
絶縁膜MZは、後で形成されるメモリゲート電極MGのゲート絶縁膜として機能する。絶縁膜MZのうち、絶縁膜MZ2は、電荷蓄積機能を有する絶縁膜(トラップ性絶縁膜)である。すなわち、絶縁膜MZのうち、絶縁膜MZ2は、電荷を蓄積するための絶縁膜であり、電荷蓄積部(電荷蓄積層)として機能することができる。このため、絶縁膜MZは、その内部に電荷蓄積部(ここでは絶縁膜MZ2)を有する絶縁膜とみなすことができる。絶縁膜MZのうち、トラップ性絶縁膜である絶縁膜MZ2の上下に位置する絶縁膜MZ3と絶縁膜MZ1とは、トラップ性絶縁膜に電荷を閉じ込めるための電荷ブロック層として機能することができる。絶縁膜MZ1および絶縁膜MZ3のそれぞれのバンドギャップは、トラップ性絶縁膜である絶縁膜MZ2のバンドギャップよりも大きい。
【0036】
次に、
図11および
図12に示されるように、半導体基板SBの主面全面上に、すなわち絶縁膜MZ上に、メモリセル領域1Aにおいては積層体LM1を覆うように、低耐圧MIS領域1Bおよび高耐圧MIS領域1Cにおいては積層膜LMを覆うように、メモリゲート電極MG形成用の導電膜としてシリコン膜PS2を形成する。
【0037】
シリコン膜PS2は、多結晶シリコン膜からなり、CVD法などを用いて形成することができる。シリコン膜PS2の堆積膜厚は、例えば30〜150nm程度とすることができる。成膜時はシリコン膜PS2をアモルファスシリコン膜として形成してから、その後の熱処理で、アモルファスシリコン膜からなるシリコン膜PS2を、多結晶シリコン膜からなるシリコン膜PS2に変えることもできる。シリコン膜PS2は、成膜時または成膜後のイオン注入でn型不純物が導入されて低抵抗率とされている。
【0038】
次に、
図13および
図14に示されるように、異方性エッチング技術により、シリコン膜PS2をエッチバック(エッチング)する。このシリコン膜PS2のエッチバック工程では、シリコン膜PS2の堆積膜厚の分だけシリコン膜PS2を異方性エッチングすることにより、積層体LM1の両方の側面上に絶縁膜MZを介してシリコン膜PS2をサイドウォールスペーサ状に残し、他の領域のシリコン膜PS2を除去する。これにより、
図13および
図14に示されるように、メモリセル領域1Aにおいて、積層体LM1の一方の側面上に絶縁膜MZを介してサイドウォールスペーサ状に残存したシリコン膜PS2により、メモリゲート電極MGが形成され、積層体LM1の他方の側面上に絶縁膜MZを介してサイドウォールスペーサ状に残存したシリコン膜PS2により、シリコンスペーサSSが形成される。メモリゲート電極MGは、メモリセル領域1Aにおいて、絶縁膜MZ上に、絶縁膜MZを介して積層体LM1と隣合うように形成される。メモリゲート電極MGとシリコンスペーサSSで覆われていない領域の絶縁膜MZは露出される。
【0039】
次に、フォトリソグラフィ技術を用いて、メモリゲート電極MGが覆われかつシリコンスペーサSSが露出されるようなフォトレジストパターン(図示せず)を半導体基板SB上に形成してから、このフォトレジストパターンをエッチングマスクとしたドライエッチングにより、シリコンスペーサSSを除去する。メモリゲート電極MGは、エッチングされずに残存する。その後、このフォトレジストパターンを除去し、
図15および
図16にはこの段階が示されている。
【0040】
次に、
図17および
図18に示されるように、絶縁膜MZのうち、メモリゲート電極MGで覆われずに露出する部分をエッチング(例えばウェットエッチング)によって除去する。この際、メモリセル領域1Aにおいて、メモリゲート電極MGの下とメモリゲート電極MGおよび積層体LM1間とに位置する絶縁膜MZは、除去されずに残存し、他の領域の絶縁膜MZは除去される。
図17からも分かるように、メモリセル領域1Aにおいて、メモリゲート電極MGと半導体基板SB(p型ウエルPW1)との間の領域と、メモリゲート電極MGと積層体LM1(制御ゲート電極CG)との間の領域との、両領域にわたって絶縁膜MZが連続的に延在している。なお、既に上述したが、上記
図9において円で囲まれた領域の拡大図に示されるように、絶縁膜MZは、絶縁膜MZ1と、絶縁膜MZ1上の絶縁膜MZ2と、絶縁膜MZ2上の絶縁膜MZ3との積層膜からなる。
【0041】
このようにして、制御ゲート電極CGと絶縁膜MZを介して隣り合うように、半導体基板SB(p型ウエルPW1)上に、内部に電荷蓄積部を有する絶縁膜MZを介してメモリセル用のメモリゲート電極MGが形成される。
【0042】
次に、
図19および
図20に示されるように、積層膜LMをフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングことにより、パターニングされた積層膜LMからなる積層体LM2を低耐圧MIS領域1Bに形成し、パターニングされた積層膜LMからなる積層体LM3を高耐圧MIS領域1Cに形成する。このパターニングの際、メモリセル領域1Aはフォトレジストパターン(図示せず)で覆われているため、メモリゲート電極MGや積層体LM1はエッチングされずに残存する。
【0043】
積層体LM2は、ダミーゲート電極(擬似的なゲート電極)DGとその上のキャップ絶縁膜CP2とからなり、積層体LM3は、ゲート電極GE1とその上のキャップ絶縁膜CP3とからなる。ダミーゲート電極DGおよびゲート電極GE1は、それぞれ、パターニングされたシリコン膜PS1からなり、キャップ絶縁膜CP2,CP3は、それぞれ、パターニングされた絶縁膜CPZからなる。
【0044】
低耐圧MIS領域1Bにおいて、積層体LM2の下に絶縁膜GF2が残存し、高耐圧MIS領域1Cにおいて、積層体LM3の下に絶縁膜GF3が残存する。低耐圧MIS領域1Bおよび高耐圧MIS領域1Cにおいて、ダミーゲート電極DGおよびゲート電極GE1で覆われた部分以外の絶縁膜GF2,GF3は、パターニング工程で行うドライエッチングや、あるいはそのドライエッチング後にウェットエッチングを行うことによって除去され得る。従って、低耐圧MIS領域1Bにおいて、ダミーゲート電極DGが、半導体基板SB(p型ウエルPW2)上に絶縁膜GF2を介して形成され、ダミーゲート電極DG上にダミーゲート電極DGとほぼ同じ平面形状のキャップ絶縁膜CP2が形成された状態となる。また、高耐圧MIS領域1Cにおいて、ゲート電極GE1が半導体基板SB(p型ウエルPW3)上に絶縁膜GF3を介して形成され、ゲート電極GE1上にゲート電極GE1とほぼ同じ平面形状のキャップ絶縁膜CP3が形成された状態となる。
【0045】
ゲート電極GE1は、高耐圧のMISFETのゲート電極であり、ゲート電極GE1のゲート長は、かなり大きい。具体的には、ゲート電極GE1のゲート長は、制御ゲート電極CGのゲート長よりも大きく、例えば300nm以上である。メモリゲート電極MGのゲート長は、制御ゲート電極CGのゲート長よりも小さいことが多く、それゆえ、ゲート電極GE1のゲート長は、メモリゲート電極MGのゲート長よりも大きい。また、高耐圧MISFET用のゲート電極GE1のゲート長は、低耐圧MISFET用の後述のゲート電極GE2よりも大きいため、ゲート電極GE1のゲート長は、ダミーゲート電極DGのゲート長よりも大きい。ここで、ダミーゲート電極DGのゲート長は、後で形成されるゲート電極GE2のゲート長方向で見たときの、ダミーゲート電極DGの寸法(ゲート長)に対応している。また、制御ゲート電極CGとダミーゲート電極DGとゲート電極GE1とは、共通の膜(ここではシリコン膜PS1)により形成されるため、制御ゲート電極CGとダミーゲート電極DGとゲート電極GE1のそれぞれの厚さは、互いに同じになる。
【0046】
次に、
図21および
図22に示されるように、n
−型半導体領域(n型不純物拡散層、エクステンション領域、LDD領域)EX1,EX2,EX3,EX4を、イオン注入法を用いて形成する。
【0047】
具体的には、例えばヒ素(As)またはリン(P)などのn型不純物を、メモリゲート電極MGおよび積層体LM1,LM2,LM3をマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて半導体基板SB(p型ウエルPW1,PW2,PW3)にイオン注入することにより、n
−型半導体領域EX1,EX2,EX3,EX4を形成することができる。この際、メモリセル領域1Aにおいて、n
−型半導体領域EX1は、メモリゲート電極MGの側面に自己整合して形成され、n
−型半導体領域EX2は、積層体LM1の側面に自己整合して形成される。また、低耐圧MIS領域1Bにおいて、n
−型半導体領域EX3は、積層体LM2の両側面に自己整合して形成される。また、高耐圧MIS領域1Cにおいて、n
−型半導体領域EX4は、積層体LM3の両側面に自己整合して形成される。
【0048】
次に、積層体LM1およびメモリゲート電極MGの側面上と、積層体LM2の両側面上と、積層体LM3の両側面上とに、絶縁膜(絶縁体)からなるサイドウォールスペーサ(側壁絶縁膜)SWを形成する。
【0049】
サイドウォールスペーサSWは、例えば、次のようにして形成することができる。すなわち、まず、半導体基板SBの主面全面上に、メモリゲート電極MGおよび積層体LM1,LM2,LM3を覆うように、サイドウォールスペーサSW形成用の絶縁膜をCVD法などを用いて堆積する。それから、この絶縁膜を異方性エッチングすることによって、メモリゲート電極MGおよび積層体LM1,LM2,LM3の各側面上に選択的にこの絶縁膜を残して、サイドウォールスペーサSWを形成する。サイドウォールスペーサSWは、積層体の側面のうち、絶縁膜MZを介してメモリゲート電極MGに隣接している側とは反対側の側面上と、メモリゲート電極MGの側面のうち、絶縁膜MZを介して積層体LM1に隣接している側とは反対側の側面上と、ダミーゲート電極DGの両側面上と、ゲート電極GE1の両側面上と、に形成される。
【0050】
次に、n
+型半導体領域(n型不純物拡散層、ソース・ドレイン領域)SD1,SD2,SD3,SD4を、イオン注入法を用いて形成する。
【0051】
具体的には、例えばヒ素(As)またはリン(P)などのn型不純物を、メモリゲート電極MGおよび積層体LM1,LM2,LM3とそれらの側面上のサイドウォールスペーサSWとをマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて半導体基板SB(p型ウエルPW1,PW2,PW3)にイオン注入する。これにより、n
+型半導体領域SD1,SD2,SD3,SD4を形成することができる。
【0052】
この際、メモリセル領域1Aにおいて、n
+型半導体領域SD1は、メモリゲート電極MGの側面上のサイドウォールスペーサSWに自己整合して形成され、n
+型半導体領域SD2は、積層体LM1の側面上のサイドウォールスペーサSWに自己整合して形成される。また、低耐圧MIS領域1Bにおいて、n
+型半導体領域SD3は、積層体LM2の両側面上のサイドウォールスペーサSWに自己整合して形成される。また、高耐圧MIS領域1Cにおいて、n
+型半導体領域SD4は、積層体LM3の両側面上のサイドウォールスペーサSWに自己整合して形成される。これにより、LDD(Lightly doped Drain)構造が形成される。
【0053】
このようにして、
図21および
図22に示されるように、n
−型半導体領域EX1とそれよりも高不純物濃度のn
+型半導体領域SD1とにより、メモリトランジスタのソース領域として機能するn型の半導体領域(後述の
図55の半導体領域MSに対応)が形成される。また、n
−型半導体領域EX2とそれよりも高不純物濃度のn
+型半導体領域SD2とにより、制御トランジスタのドレイン領域として機能するn型の半導体領域(後述の
図55の半導体領域MDに対応)が形成される。また、n
−型半導体領域EX3とそれよりも高不純物濃度のn
+型半導体領域SD3とにより、低耐圧MIS領域1BのMISFETのソース・ドレイン領域(ソースまたはドレイン用の半導体領域)として機能するn型の半導体領域が形成される。また、n
−型半導体領域EX4とそれよりも高不純物濃度のn
+型半導体領域SD4とにより、高耐圧MIS領域1CのMISFETのソース・ドレイン領域(ソースまたはドレイン用の半導体領域)として機能するn型の半導体領域が形成される。
【0054】
次に、ソースおよびドレイン用の半導体領域(n
−型半導体領域EX1,EX2,EX3,EX4およびn
+型半導体領域SD1,SD2,SD3,SD4)などに導入された不純物を活性化するための熱処理である活性化アニールを行う。
【0055】
このようにして、メモリセル領域1Aに、不揮発性メモリのメモリセルのメモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとソース・ドレイン領域とが形成され、高耐圧MIS領域1CにMISFETのゲート電極GE1とソース・ドレイン領域とが形成され、低耐圧MIS領域1BにMISFETのソース・ドレイン領域が形成された。しかしながら、低耐圧MIS領域1Bにおいて、最終的に使用するゲート電極(後述のゲート電極GE2)は、まだ形成されていない。
【0056】
次に、
図23および
図24に示されるように、いわゆるサリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)プロセスを行うことによって、n
+型半導体領域SD1,SD2,SD3,SD4の各上部(表層部)に金属シリサイド層SL1を形成する。
【0057】
金属シリサイド層SL1形成工程は、例えば次のようにして行うことができる。すなわち、まず、半導体基板SBの主面全面上に、メモリゲート電極MG、積層体LM1,LM2,LM3およびサイドウォールスペーサSWを覆うように、金属シリサイド層SL1形成用の金属膜(例えばニッケル膜)を、スパッタリング法などを用いて形成する。それから、熱処理を施すことによって、n
+型半導体領域SD1,SD2,SD3,SD4の各上部(表層部分)を金属膜と反応させことにより、n
+型半導体領域SD1,SD2,SD3,SD4の各上部に金属シリサイド層SL1を形成する。金属シリサイド層SL1は、例えば、上記金属膜がニッケル膜の場合はニッケルシリサイド層である。その後、未反応(余剰)の金属膜を除去する。
図23および
図24には、この段階の断面図が示されている。未反応の金属膜を除去した後、2度目の熱処理を行う場合もある。金属シリサイド層SL1は、メモリゲート電極MGの上部にも形成される。また、キャップ絶縁膜CP1,CP2,CP3が存在することで、制御ゲート電極CG、ダミーゲート電極DGおよびゲート電極GE1の各上部には、金属シリサイド層SL1は形成されない。
【0058】
次に、
図25および
図26に示されるように、半導体基板SBの主面全面上に、メモリゲート電極MG、積層体LM1,LM2,LM3およびサイドウォールスペーサSWを覆うように、絶縁膜IL1を形成する。絶縁膜IL1は、例えば窒化シリコン膜からなり、CVD法などを用いて形成することができる。絶縁膜IL1の形成膜厚(堆積膜厚)は、例えば、10〜30nm程度とすることができる。
【0059】
次に、
図25および
図26に示されるように、絶縁膜IL1上に、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターン(マスク層)PR1を形成する。フォトレジストパターンPR1は、開口部OP1を有しており、平面視において、開口部OP1は、積層体LM3(ゲート電極GE1)に内包されている。メモリセル領域1Aおよび低耐圧MIS領域1Bは、全体がフォトレジストパターンPR1で覆われる。
【0060】
なお、フォトリソグラフィ技術は、半導体基板の主面全面上にフォトレジスト膜を塗布法などにより形成してから、そのフォトレジスト膜を露光、現像してパターニングすることにより、所望のフォトレジストパターンを得る技術である。
【0061】
次に、
図27および
図28に示されるように、フォトレジストパターンPR1をエッチングマスクとして用いて絶縁膜IL1およびキャップ絶縁膜CP3を順にエッチングすることにより、フォトレジストパターンPR1の開口部OP1から露出する部分の絶縁膜IL1およびキャップ絶縁膜CP3を除去する。この工程を、以下では、「
図27および
図28のエッチング工程」と称することとする。
【0062】
図27および
図28のエッチング工程を行うことにより、フォトレジストパターンPR1の開口部OP1と平面視で重なる領域では、絶縁膜IL1およびキャップ絶縁膜CP3がエッチングされて除去され、それによってゲート電極GE1の上面が露出する。一方、フォトレジストパターンPR1で覆われた領域(すなわちフォトレジストパターンPR1の開口部OP1と重ならない領域)では、絶縁膜IL1およびキャップ絶縁膜CP3は、エッチングされずに残存する。このため、
図27および
図28のエッチング工程を終了すると、絶縁膜IL1およびキャップ絶縁膜CP3には、平面視において開口部OP1と重なる位置に、開口部OP1とほぼ同じ平面形状を有する開口部OP2が形成されることになる。
【0063】
フォトレジストパターンPR1の開口部OP1と絶縁膜IL1およびキャップ絶縁膜CP3に形成された開口部OP2とは、連続している。開口部OP2は、キャップ絶縁膜CP3とその上の絶縁膜IL1との積層膜(積層構造)に形成されており、絶縁膜IL1およびキャップ絶縁膜CP3を貫通している。すなわち、開口部OP2は、絶縁膜IL1の開口部と、キャップ絶縁膜CP3の開口部とからなり、開口部OP2を構成する絶縁膜IL1の開口部とキャップ絶縁膜CP3の開口部とは、連続的につながっている。フォトレジストパターンPR1の開口部OP1は、平面視において積層体LM3(ゲート電極GE1)に内包されていたため、絶縁膜IL1およびキャップ絶縁膜CP3に形成された開口部OP2も、平面視においてゲート電極GE1に内包されている。
【0064】
絶縁膜IL1およびキャップ絶縁膜CP3をエッチングして開口部OP2を形成すると、開口部OP2の底部では、ゲート電極GE1(の上面)が露出される。
図27および
図28のエッチング工程では、ゲート電極GE1をエッチングストッパとして機能させることができる。また、
図27および
図28のエッチング工程では、メモリセル領域1Aおよび低耐圧MIS領域1Bの絶縁膜IL1は、フォトレジストパターンPR1で覆われているため、エッチングされない。
【0065】
また、絶縁膜IL1とキャップ絶縁膜CP3とは、異なる材料により形成することもできるが、同じ材料(例えば窒化シリコン)により形成されていれば、より好ましい。絶縁膜IL1とキャップ絶縁膜CP3とが、同じ材料(例えば窒化シリコン)により形成されていれば、
図27および
図28のエッチング工程において、絶縁膜IL1のエッチングとキャップ絶縁膜CP3のエッチングとを、エッチング条件を変えずに連続的に行うことが可能になるため、エッチング工程に要する時間を短縮することができる。
【0066】
また、絶縁膜IL1とキャップ絶縁膜CP1,CP2,CP3とが、同じ材料(例えば窒化シリコン)により形成されていれば、後述の
図35および
図36の研磨工程において、後述の絶縁膜IL2と絶縁膜IL1とキャップ絶縁膜CP1,CP2,CP3とを研磨しやすくなるため、後述の
図35および
図36の研磨工程を行いやすくなる。
【0067】
また、
図27および
図28のエッチング工程では、異方性のドライエッチングにより、絶縁膜IL1およびキャップ絶縁膜CP3をエッチングして絶縁膜IL1およびキャップ絶縁膜CP3に開口部OP2を形成することが好ましい。これにより、絶縁膜IL1およびキャップ絶縁膜CP3に形成される開口部OP2の平面形状を、フォトレジストパターンPR1の平面形状とほぼ同じにすることができ、開口部OP2の平面形状が変動するのを抑制または防止することができる。
【0068】
他の形態として、キャップ絶縁膜CP3を形成していなかった場合には、開口部OP2は絶縁膜IL1に形成され、絶縁膜IL1の開口部OP2の底部でゲート電極GE1(の上面)が露出される。
【0069】
次に、
図29および
図30に示されるように、フォトレジストパターンPR1をエッチングマスク(ハードマスク)として用いて、開口部OP2の底部で露出するゲート電極GE1をエッチングして、開口部OP2の底部で露出する部分のゲート電極GE1の高さ(高さ位置)を低くする。この工程を、以下では、「
図29および
図30のエッチング工程」と称することとする。
【0070】
すなわち、
図29および
図30のエッチング工程では、フォトレジストパターンPR1をエッチングマスクとしてゲート電極GE1に対してエッチング処理を施すことで、開口部OP2から露出された部分のゲート電極GE1の上面を、半導体基板SBの主面に対して垂直な方向において後退(下降)させる。
図29および
図30のエッチング工程では、フォトレジストパターンPR1で覆われた部分のゲート電極GE1、すなわち、絶縁膜IL1およびキャップ絶縁膜CP3で覆われた部分のゲート電極GE1は、エッチングされずにそのまま残存する。すなわち、平面視で開口部OP2に重ならない部分のゲート電極GE1は、エッチングされずにそのまま残存する。
【0071】
また、
図29および
図30のエッチング工程では、ゲート電極GE1の全厚みをエッチングするのではなく、厚みの一部をエッチングするため、エッチング工程を行っても、ゲート電極GE1の下の絶縁膜GF3は露出されず、
図29および
図30のエッチング工程を終了した段階で、開口部OP2の底部では、ゲート電極GE1の厚さの一部が残存している。すなわち、
図29および
図30のエッチング工程では、開口部OP2と平面視で重なる領域において、ゲート電極GE1の上部(上層部)はエッチングされて除去されるが、ゲート電極GE1の下部(下層部)は、エッチングされずに残存する。
【0072】
このため、
図29および
図30のエッチング工程を終了すると、開口部OP2から露出された部分のゲート電極GE1の上面の高さ位置は、絶縁膜IL1およびキャップ絶縁膜CP3で覆われた部分のゲート電極GE1の上面の高さ位置よりも低くなる。すなわち、
図29および
図30のエッチング工程を行う前は、ゲート電極GE1の上面は、ほぼ平坦であったが、
図29および
図30のエッチング工程を行うと、ゲート電極GE1の上面は、平面視で開口部OP2に重なる領域が窪んだ状態になる。
【0073】
また、
図29および
図30のエッチング工程を行う前に比べて、
図29および
図30のエッチング工程を行うと、開口部OP2と平面視で重なる領域において、ゲート電極GE1の厚さが薄くなる。このため、
図29および
図30のエッチング工程は、開口部OP2から露出するゲート電極GE1をエッチングして開口部OP2から露出する部分のゲート電極GE1の上面の高さを低くする工程とみなすことができるが、開口部OP2から露出するゲート電極GE1をエッチングして開口部OP2から露出する部分のゲート電極GE1の厚さを薄くする工程とみなすこともできる。
【0074】
図29および
図30のエッチング工程では、ゲート電極GE1に比べて、絶縁膜IL1およびキャップ絶縁膜CP3がエッチングされにくい条件でエッチングを行うことが好ましい。すなわち、ゲート電極GE1のエッチング速度(エッチングレート)に比べて、絶縁膜IL1およびキャップ絶縁膜CP3のエッチング速度(エッチングレート)が低くなる条件でエッチングを行うことが好ましい。
【0075】
また、
図29および
図30のエッチング工程では、異方性のドライエッチングにより、開口部OP2から露出するゲート電極GE1をエッチングすることが好ましい。これにより、開口部OP2と平面視で重なる領域のゲート電極GE1を的確にエッチングして高さを低くすることができ、ゲート電極GE1において、意図しない領域がエッチングされてしまうのを抑制または防止することができる。
【0076】
また、メモリセル領域1Aのキャップ絶縁膜CP1、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGや、低耐圧MIS領域1Bのキャップ絶縁膜CP2およびダミー制御ゲート電極DGは、フォトレジストパターンPR1や絶縁膜IL1で覆われているため、
図29および
図30のエッチング工程では、エッチングされずにそのまま残存する。
【0077】
図29および
図30のエッチング工程の後、
図31および
図32に示されるように、フォトレジストパターンPR1を、アッシングなどにより除去する。
【0078】
また、ここでは、フォトレジストパターンPR1をエッチングマスクとして用いたエッチングにより絶縁膜IL1およびキャップ絶縁膜CP3に開口部OP2を形成した後、フォトレジストパターンPR1を除去せずに、
図29および
図30のエッチング工程でフォトレジストパターンPR1をエッチングマスクとして用いてゲート電極GE1の露出部をエッチングする場合について説明した。他の形態として、
図27および
図28のようにフォトレジストパターンPR1をエッチングマスクとして用いたエッチングにより絶縁膜IL1およびキャップ絶縁膜CP3に開口部OP2を形成した後、フォトレジストパターンPR1を除去してから、
図29および
図30のエッチング工程でゲート電極GE1の露出部をエッチングする場合もあり得る。この場合は、
図29および
図30のエッチング工程は、フォトレジストパターンPR1が無い状態で行われ、絶縁膜IL1およびキャップ絶縁膜CP3がエッチングマスク(ハードマスク)として機能することができ、
図29および
図30のエッチング工程を終了すると、
図31および
図32の構造が得られる。
【0079】
次に、
図33および
図34に示されるように、半導体基板SBの主面全面上に、すなわち開口部OP2から露出されるゲート電極GE1上を含む絶縁膜IL1上に、絶縁膜IL2を形成する。
【0080】
絶縁膜IL2は、絶縁膜IL1とは異なる材料からなり、例えば酸化シリコン膜からなり、CVD法などを用いて形成することができる。上記
図33および
図34における絶縁膜IL2の形成膜厚(堆積膜厚)は、
図25および
図26における絶縁膜IL1の形成膜厚(堆積膜厚)よりも厚く、例えば、140〜700nm程度とすることができる。
【0081】
次に、
図35および
図36に示されるように、絶縁膜IL2の上面を、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法などを用いて研磨する。この工程を、以下では「
図35および
図36の研磨工程」と称することとする。この
図35および
図36の研磨工程により、メモリゲート電極MG、制御ゲート電極CG、ダミーゲート電極DGおよびゲート電極GE1の各上面が露出される。
【0082】
図35および
図36の研磨工程では、メモリゲート電極MG上およびキャップ絶縁膜CP1,CP2,CP3上の絶縁膜IL1も研磨されて除去され、また、キャップ絶縁膜CP1,CP2,CP3も研磨されて除去され、また、各サイドウォールスペーサSWの上部も研磨され得る。メモリゲート電極MGの上部に金属シリサイド層SL1を形成していた場合は、
図35および
図36の研磨工程で、メモリゲート電極MGの上部の金属シリサイド層SL1も研磨されて除去される。
【0083】
次に、
図37および
図38に示されるように、絶縁膜IL2上に、メモリセル領域1Aおよび高耐圧MIS領域1Cを覆い、かつ低耐圧MIS領域1Bを露出する絶縁膜IL3を形成する。言い換えると、制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとゲート電極GE1とを覆い、かつダミーゲート電極DGを露出する絶縁膜IL3を形成する。
【0084】
絶縁膜IL3は、CVD法による成膜と、フォトリソグラフィ法およびエッチング法によるパターニングとにより、形成することができる。絶縁膜IL3を形成することにより、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GE1は、絶縁膜IL3で覆われているため露出しておらず、一方、ダミーゲート電極DGの上面は、絶縁膜IL3で覆われずに露出した状態になる。
【0085】
次に、
図39および
図40に示されるように、ダミーゲート電極DGを選択的にエッチングして除去する。この工程を、以下では、「
図39および
図40のエッチング工程」と称することとする。
【0086】
図39および
図40のエッチング工程では、ダミーゲート電極DGに比べて、絶縁膜IL1,IL2,IL3,GF2およびサイドウォールスペーサSWがエッチングされにくい条件でエッチングを行うことが好ましい。すなわち、ダミーゲート電極DGのエッチング速度(エッチングレート)に比べて、絶縁膜IL1,IL2,IL3,GF2およびサイドウォールスペーサSWの各エッチング速度(エッチングレート)が低くなる条件でエッチングを行うことが好ましい。ダミーゲート電極DGは、シリコンにより形成されているため、
図39および
図40のエッチング工程において、ダミーゲート電極DGの高いエッチング選択比を確保しやすい。
図39および
図40のエッチング工程を行っても、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GE1は、絶縁膜IL3で覆われているため、エッチングされずにそのまま残存する。
【0087】
ダミーゲート電極DGが除去されたことにより、溝(凹部、窪み部)TRが形成される。溝TRは、ダミーゲート電極DGが除去された領域であり、ダミーゲート電極DGを除去するまでダミーゲート電極DGが存在していた領域に対応する。溝TRの底面は、絶縁膜GF2の上面により形成されている。溝TRの側面は、サイドウォールスペーサSW(ダミーゲート電極DGの側面上に形成していたサイドウォールスペーサSW)により形成される。
【0088】
次に、
図41および
図42に示されるように、半導体基板SB上に、すなわち溝TRの内面(底面および側面)上を含む絶縁膜IL2,IL3上に、高誘電率ゲート絶縁膜用の絶縁膜として、絶縁膜HKを形成する。絶縁膜HKは、高誘電率絶縁膜からなる。それから、
図41および
図42に示されるように、半導体基板SB上に、すなわち絶縁膜HK上に、溝TR内を埋めるように、ゲート電極用の導電膜として、金属膜MEを形成する。金属膜MEは、溝TR内を含む絶縁膜HK上に形成されるが、他の形態として、絶縁膜HKの形成を省略した場合には、金属膜MEは、溝TR内を含む絶縁膜IL2,IL3上に形成される。
【0089】
溝TRにおいて、溝TRの底面および側壁(側面)上に絶縁膜HKが形成されるが、溝TRは絶縁膜HKでは完全には埋まらず、金属膜MEを形成することにより、溝TRは絶縁膜HKと金属膜MEとにより完全に埋まった状態になる。
【0090】
絶縁膜HKは、窒化シリコンよりも誘電率(比誘電率)が高い絶縁材料膜、いわゆるHigh−k膜(高誘電率膜)である。なお、本願において、High−k膜、高誘電率膜、高誘電率絶縁膜あるいは高誘電率ゲート絶縁膜と言うときは、窒化シリコンよりも誘電率(比誘電率)が高い膜を意味する。
【0091】
絶縁膜HKとしては、酸化ハフニウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化アルミニウム膜、酸化タンタル膜または酸化ランタン膜などの金属酸化物膜を用いることができ、また、これらの金属酸化物膜は、窒素(N)およびケイ素(Si)の一方または両方を更に含有することもできる。絶縁膜HKは、例えば、ALD(Atomic layer Deposition:原子層堆積)法またはCVD法により形成することができる。ゲート絶縁膜に高誘電率膜(ここでは絶縁膜HK)を用いた場合は、酸化シリコン膜を用いた場合に比べて、ゲート絶縁膜の物理的膜厚を増加させることができるため、リーク電流を低減できるという利点を得られる。
【0092】
金属膜MEとしては、例えば、窒化チタン(TiN)膜、窒化タンタル(TaN)膜、窒化タングステン(WN)膜、炭化チタン(TiC)膜、炭化タンタル(TaC)膜、炭化タングステン(WC)膜、窒化炭化タンタル(TaCN)膜、チタン(Ti)膜、タンタル(Ta)膜、チタンアルミニウム(TiAl)膜またはアルミニウム(Al)膜などを用いることができる。金属膜MEは、金属伝導を示す導電膜であり、純金属膜や合金膜に限定されず、金属伝導を示す金属化合物膜であってもよい。また、金属膜MEを積層膜とすることもできるが、その場合、その積層膜の最下層は金属膜(金属伝導を示す導電膜)とする。また、その積層膜を、複数の金属膜の積層膜とすることもできる。金属膜MEの好適な一例として、金属膜MEを、窒化チタン(TiN)膜と該窒化チタン膜上のアルミニウム(Al)膜との積層膜とすることができる。金属膜MEは、スパッタリング法またはCVD法などを用いて形成することができる。
【0093】
次に、
図43および
図44に示されるように、溝TRの外部の不要な金属膜MEおよび絶縁膜HKをCMP法などによって除去することにより、溝TR内に絶縁膜HKおよび金属膜MEを埋め込む。すなわち、この工程では、溝TRの外部の金属膜MEおよび絶縁膜HKを除去し、溝TR内に絶縁膜HKおよび金属膜MEを残す。これにより、溝TR内に絶縁膜HKを介して金属膜MEが埋め込まれた状態になる。
【0094】
このようにして、ダミーゲート電極DGが除去された領域である溝TR内に、高誘電率絶縁膜である絶縁膜HKを介して、メタルゲート電極であるゲート電極GE2が形成される。溝TRに埋め込まれた金属膜MEが、低耐圧のMISFETのゲート電極GE2となり、溝TRに埋め込まれた絶縁膜HKが、そのMISFETのゲート絶縁膜として機能する。ゲート電極GE2は、メタルゲート電極である。
【0095】
また、本実施の形態では、ダミーゲート電極DGを除去してゲート電極GE2に置き換え、このゲート電極GE2を低耐圧MIS領域1BのMISFETのゲート電極として用いている。このため、ダミーゲート電極DGは、リプレイスメントゲート電極または置換用ゲート電極とみなすことができ、ゲート電極GE2は、MISFETを構成するゲート電極とみなすことができる。
【0096】
また、本実施の形態では、金属膜MEを用いてゲート電極GE2を形成しているため、ゲート電極GE2をメタルゲート電極とすることができる。ゲート電極GE2をメタルゲート電極としたことで、ゲート電極GE2の空乏化現象を抑制し、寄生容量をなくすことができるという利点を得られる。また、トランジスタ素子の小型化(ゲート絶縁膜の薄膜化)も可能になるという利点も得られる。
【0097】
低耐圧MIS領域1Bにおいて、絶縁膜HKは、溝TRの底面および側壁上に形成され、ゲート電極GE2は、底面および側面が絶縁膜HKに隣接する。ゲート電極GE2と半導体基板SB(p型ウエルPW2)との間には、絶縁膜GF2と絶縁膜HKが介在しており、ゲート電極GE2とサイドウォールスペーサSWとの間には、絶縁膜HKが介在している。ゲート電極GE2の直下の絶縁膜GF2,HKがMISFETのゲート絶縁膜として機能するが、絶縁膜HKは高誘電率膜であるため、高誘電率ゲート絶縁膜として機能する。
【0098】
また、金属膜MEおよび絶縁膜HKの研磨工程、またはその後のエッチング工程により、絶縁膜IL3は除去される。これにより、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GE1およびゲート電極GE2の各上面が露出される。
【0099】
次に、
図45および
図46に示されるように、絶縁膜IL2上に、低耐圧MIS領域1Bを覆い、かつメモリセル領域1Aおよび高耐圧MIS領域1Cを露出する絶縁膜IL4を形成する。絶縁膜IL4は、CVD法による成膜と、フォトリソグラフィ法およびエッチング法によるパターニングとにより、形成することができる。絶縁膜IL4を形成することで、ゲート電極GE2は絶縁膜IL4で覆われているため露出しておらず、一方、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GE1の各上面は、絶縁膜IL4で覆われずに露出した状態になる。
【0100】
次に、
図47および
図48に示されるように、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GE1の各上部に、サリサイド技術を用いて金属シリサイド層SL2を形成する。
【0101】
金属シリサイド層SL2は、具体的には次のようにして形成することができる。すなわち、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GE1の各上面上を含む絶縁膜IL2および絶縁膜IL4上に、金属シリサイド層SL2形成用の金属膜を形成する。この金属膜は、例えばニッケル(Ni)膜などからなる。それから、半導体基板SBに対して熱処理を施すことによって、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GE1の各上部を上記金属膜と反応させることで、金属シリサイド層SL2を形成する。その後、未反応の金属膜(金属シリサイド層SL2形成用の金属膜)を除去し、
図47および
図48には、この段階の断面図が示されている。未反応の金属膜を除去した後、2度目の熱処理を行う場合もある。また、本実施の形態では、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GE1の各上部に金属シリサイド層SL2を形成する場合について説明したが、他の形態として、金属シリサイド層SL2を形成しない場合もあり得る。
【0102】
次に、
図49および
図50に示されるように、半導体基板SBの主面全面上に、絶縁膜(層間絶縁膜)IL5を形成する。なお、
図49および
図50には、絶縁膜IL4をエッチングなどにより除去してから、絶縁膜IL2上に絶縁膜IL5を形成した場合が示されているが、他の形態として、絶縁膜IL4を除去せずに絶縁膜IL5を形成することもできる。絶縁膜IL5としては、例えば、酸化シリコンを主体とした絶縁膜を用いることができる。絶縁膜IL5の形成後、絶縁膜IL5の上面をCMP法で研磨するなどして、絶縁膜IL5の上面の平坦性を高めることもできる。
【0103】
次に、フォトリソグラフィ法を用いて絶縁膜IL5上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして、絶縁膜IL5,IL2,IL1をドライエッチングすることにより、絶縁膜IL5,IL2,IL1にコンタクトホールを形成する。なお、コンタクトホールを形成する際には、まず、絶縁膜IL5,IL2をドライエッチングして絶縁膜IL5,IL2にコンタクトホールを形成するとともに、絶縁膜IL1をエッチングストッパとして機能させ、その後、コンタクトホールの底部で露出する絶縁膜IL1をエッチングすることにより、絶縁膜IL5,IL2,IL1を貫通するコンタクトホールを形成することができる。絶縁膜IL1をエッチングストッパとして機能させることで、コンタクトホールの掘り過ぎを抑制または防止することができる。それから、そのコンタクトホール内に、
図51および
図52に示されるように、接続用の導電体部として、タングステン(W)などからなる導電性のプラグPGを形成する。例えば、コンタクトホール内を含む絶縁膜IL5上にバリア導体膜とタングステン膜とを順に形成してから、コンタクトホールの外部の不要なタングステン膜およびバリア導体膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去することにより、プラグPGを形成することができる。
【0104】
次に、
図53および
図54に示されるように、プラグPGが埋め込まれた絶縁膜IL5上に絶縁膜IL6を形成してから、絶縁膜IL6の所定の領域に配線溝を形成した後、配線溝内にシングルダマシン技術を用いて配線M1を埋め込む。配線M1は、例えば、銅を主成分とする銅配線(埋込銅配線)である。配線M1は、プラグPGを介して、n
+型半導体領域SD1,SD2,SD3,SD4、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GE1あるいはゲート電極GE2などと電気的に接続される。
【0105】
その後、デュアルダマシン法などにより2層目以降の配線を形成するが、ここでは図示およびその説明は省略する。また、配線M1およびそれよりも上層の配線は、ダマシン配線に限定されず、配線用の導電体膜をパターニングして形成することもでき、例えばタングステン配線またはアルミニウム配線などとすることもできる。
【0106】
以上のようにして、本実施の形態の半導体装置が製造される。
【0107】
<半導体装置の構造について>
次に、本実施の形態の半導体装置における不揮発性メモリのメモリセルの構成について、
図55を参照して説明する。
【0108】
図55は、本実施の形態の半導体装置の要部断面図であり、メモリセル領域1Aの要部断面図が示されている。なお、
図55では、図面を簡略化するために、上記
図54の構造のうち、絶縁膜IL1〜IL6,プラグPGおよび配線M1については、図示を省略している。
【0109】
図55に示されるように、半導体基板SBには、メモリトランジスタおよび制御トランジスタからなる不揮発性メモリのメモリセルMCが形成されている。実際には、半導体基板SBには、複数のメモリセルMCがアレイ状に形成されており、各メモリセル領域は、素子分離領域(上記素子分離領域STに相当するものであるが、
図55では図示せず)によって他の領域から電気的に分離されている。
【0110】
図55に示されるように、本実施の形態の半導体装置における不揮発性メモリのメモリセルMCは、スプリットゲート型のメモリセルであり、制御ゲート電極CGを有する制御トランジスタとメモリゲート電極MGを有するメモリトランジスタとの2つのMISFETを接続したものである。
【0111】
ここで、電荷蓄積部(電荷蓄積層)を含むゲート絶縁膜およびメモリゲート電極MGを備えるMISFETをメモリトランジスタといい、また、ゲート絶縁膜および制御ゲート電極CGを備えるMISFETを制御トランジスタという。従って、メモリゲート電極MGは、メモリトランジスタのゲート電極であり、制御ゲート電極CGは、制御トランジスタのゲート電極であり、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGは、不揮発性メモリのメモリセルを構成するゲート電極である。
【0112】
なお、制御トランジスタは、メモリセル選択用トランジスタであるため、選択トランジスタとみなすこともできる。このため、制御ゲート電極CGは、選択ゲート電極とみなすこともできる。メモリトランジスタは、記憶用トランジスタである。
【0113】
以下に、メモリセルMCの構成を具体的に説明する。
【0114】
図55に示されるように、不揮発性メモリのメモリセルMCは、半導体基板SBのp型ウエルPW1中に形成されたソースおよびドレイン用のn型の半導体領域MS,MDと、半導体基板SB(p型ウエルPW1)上に形成された制御ゲート電極CGと、半導体基板SB(p型ウエルPW1)上に形成されて制御ゲート電極CGと隣り合うメモリゲート電極MGとを有している。そして、不揮発性メモリのメモリセルMCは、更に、制御ゲート電極CGおよび半導体基板SB(p型ウエルPW1)間に形成された絶縁膜(ゲート絶縁膜)GF1と、メモリゲート電極MGおよび半導体基板SB(p型ウエルPW1)間に形成された絶縁膜MZとを有している。
【0115】
制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGは、それらの対向側面の間に絶縁膜MZを介した状態で、半導体基板SBの主面に沿って延在し、並んで配置されている。制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの延在方向は、
図55や上記
図1〜
図54の紙面に垂直な方向である。なお、上記ダミーゲート電極DG、ゲート電極GE1およびゲート電極GE2の延在方向も、上記
図1〜
図54の紙面に垂直な方向である。
【0116】
制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGは、半導体領域MDおよび半導体領域MS間の半導体基板SB(p型ウエルPW1)の上に絶縁膜GF1または絶縁膜MZを介して形成されており、半導体領域MS側にメモリゲート電極MGが位置し、半導体領域MD側に制御ゲート電極CGが位置している。但し、制御ゲート電極CGは絶縁膜GF1を介し、メモリゲート電極MGは絶縁膜MZを介して、半導体基板SB上に形成されている。
【0117】
制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとは、間に絶縁膜MZを介在して互いに隣り合っている。絶縁膜MZは、メモリゲート電極MGと半導体基板SB(p型ウエルPW1)の間の領域と、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGの間の領域の、両領域にわたって延在している。
【0118】
制御ゲート電極CGと半導体基板SB(p型ウエルPW1)の間に形成された絶縁膜GF1、すなわち制御ゲート電極CGの下の絶縁膜GF1が、制御トランジスタのゲート絶縁膜として機能する。また、メモリゲート電極MGと半導体基板SB(p型ウエルPW1)の間の絶縁膜MZ、すなわちメモリゲート電極MGの下の絶縁膜MZが、メモリトランジスタのゲート絶縁膜(内部に電荷蓄積部を有するゲート絶縁膜)として機能する。なお、メモリゲート電極MGと半導体基板SB(p型ウエルPW1)との間の絶縁膜MZは、メモリトランジスタのゲート絶縁膜として機能するが、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間の絶縁膜MZは、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間を絶縁(電気的に分離)するための絶縁膜として機能する。
【0119】
絶縁膜MZのうち、絶縁膜MZ2は、電荷を蓄積するための絶縁膜であり、電荷蓄積層(電荷蓄積部)として機能する。このため、絶縁膜MZは、その内部に電荷蓄積部(ここでは絶縁膜MZ2)を有する絶縁膜とみなすことができる。絶縁膜MZ2の上下に位置する絶縁膜MZ3および絶縁膜MZ1は、電荷ブロック層または電荷閉じ込め層として機能することができる。
【0120】
半導体領域MSおよび半導体領域MDは、ソースまたはドレイン用の半導体領域である。すなわち、半導体領域MSは、ソース領域またはドレイン領域の一方として機能する半導体領域であり、半導体領域MDは、ソース領域またはドレイン領域の他方として機能する半導体領域である。ここでは、半導体領域MSはソース領域として機能する半導体領域であり、半導体領域MDはドレイン領域として機能する半導体領域である。半導体領域MS,MDは、n型の不純物が導入された半導体領域よりなり、それぞれLDD構造を備えている。すなわち、ソース用の半導体領域MSは、n
−型半導体領域EX1(エクステンション領域)と、n
−型半導体領域EX1よりも高い不純物濃度を有するn
+型半導体領域SD1(ソース領域)とを有している。また、ドレイン用の半導体領域MDは、n
−型半導体領域EX2(エクステンション領域)と、n
−型半導体領域EX2よりも高い不純物濃度を有するn
+型半導体領域SD2(ドレイン領域)とを有している。半導体領域MSは、メモリゲート電極MGとゲート長方向に隣接する位置の半導体基板SBに形成され、また、半導体領域MDは、制御ゲート電極CGとゲート長方向に隣接する位置の半導体基板SBに形成されている。
【0121】
メモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CGの互いに隣接していない側の側壁上には、絶縁体(絶縁膜)からなるサイドウォールスペーサSWが形成されている。低濃度のn
−型半導体領域EX1は、メモリゲート電極MGの側壁上のサイドウォールスペーサSWの下方に形成され、高濃度のn
+型半導体領域SD1は、低濃度のn
−型半導体領域EX1の外側(チャネル領域から遠い側)に形成されている。低濃度のn
−型半導体領域EX2は、制御ゲート電極CGの側壁上のサイドウォールスペーサSWの下方に形成され、高濃度のn
+型半導体領域SD2は、低濃度のn
−型半導体領域EX2の外側(チャネル領域から遠い側)に形成されている。メモリゲート電極MGの下の絶縁膜MZの下にメモリトランジスタのチャネル領域が形成される。また、制御ゲート電極CGの下の絶縁膜GF1の下に制御トランジスタのチャネル領域が形成される。
【0122】
n
+型半導体領域SD1,SD2の上部には、サリサイド技術などにより、金属シリサイド層SL1が形成されている。メモリゲート電極MGの上部と制御ゲート電極CGの上部には、サリサイド技術などにより、金属シリサイド層SL2が形成されている。
【0123】
<不揮発性メモリの動作について>
次に、不揮発性メモリの動作例について、
図56を参照して説明する。
【0124】
図56は、本実施の形態の「書込」、「消去」および「読出」時における選択メモリセルの各部位への電圧の印加条件の一例を示す表である。
図56の表には、「書込」、「消去」および「読出」時のそれぞれにおいて、選択したメモリセルMCのメモリゲート電極MGに印加する電圧Vmg、ソース領域(半導体領域MS)に印加する電圧Vs、制御ゲート電極CGに印加する電圧Vcg、および、ドレイン領域(半導体領域MD)に印加する電圧Vd、が記載されている。なお、
図56の表に示したものは電圧の印加条件の好適な一例であり、これに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更可能である。また、本実施の形態では、メモリトランジスタの絶縁膜MZ中の電荷蓄積部である絶縁膜MZ2への電子の注入を「書込」、ホール(正孔)の注入を「消去」と定義する。
【0125】
なお、
図56の表において、Aの欄は、書込み方法がSSI方式で、かつ消去方法がBTBT方式の場合に対応し、Bの欄は、書込み方法がSSI方式で、かつ消去方法がFN方式の場合に対応し、Cの欄は、書込み方法がFN方式で、かつ消去方法がBTBT方式の場合に対応し、Dの欄は、書込み方法がFN方式で、かつ消去方法がFN方式の場合に対応している。
【0126】
書込み方式は、いわゆるSSI(Source Side Injection)方式と呼ばれるソースサイド注入によるホットエレクトロン注入で書込みを行う書込み方式と、いわゆるFN方式と呼ばれるFN(Fowler Nordheim)トンネリングにより書込みを行う書込み方式とがある。
【0127】
SSI方式の書込みでは、例えば
図56の表のAの欄またはBの欄の「書込動作電圧」に示されるような電圧を、書込みを行う選択メモリセルの各部位に印加し、選択メモリセルの絶縁膜MZ中の絶縁膜MZ2中に電子を注入することで書込みを行う。この際、ホットエレクトロンは、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間の領域の下方のチャネル領域(ソース、ドレイン間)で発生し、メモリゲート電極MGの下の絶縁膜MZ中の電荷蓄積部である絶縁膜MZ2にホットエレクトロンが注入される。注入されたホットエレクトロンは、絶縁膜MZ2中のトラップ準位に捕獲され、その結果、メモリトランジスタのしきい値電圧が上昇する。すなわち、メモリトランジスタは書込み状態となる。
【0128】
FN方式の書込みでは、例えば
図56の表のCの欄またはDの欄の「書込動作電圧」に示されるような電圧を、書込みを行う選択メモリセルの各部位に印加し、選択メモリセルにおいて、メモリゲート電極MGから電子をトンネリングさせて絶縁膜MZ中の絶縁膜MZ2に注入することで書込みを行う。この際、電子はメモリゲート電極MGからFNトンネル効果により絶縁膜MZ3をトンネリングして絶縁膜MZ中に注入され、絶縁膜MZ2中のトラップ準位に捕獲され、その結果、メモリトランジスタのしきい値電圧が上昇する。すなわち、メモリトランジスタは書込み状態となる。
【0129】
消去方法は、いわゆるBTBT方式と呼ばれるBTBT(Band-To-Band Tunneling:バンド間トンネル現象)によるホットホール注入により消去を行う消去方式と、いわゆるFN方式と呼ばれるFNトンネリングにより消去を行う消去方式とがある。
【0130】
BTBT方式の消去では、BTBTにより発生したホールを半導体基板SB側から絶縁膜MZ中の絶縁膜MZ2に注入することにより消去を行う。例えば
図56の表のAの欄またはCの欄の「消去動作電圧」に示されるような電圧を、消去を行う選択メモリセルの各部位に印加する。これにより、BTBT現象によりホールを発生させ電界加速することで選択メモリセルの絶縁膜MZ中の絶縁膜MZ2中にホールを注入し、それによってメモリトランジスタのしきい値電圧を低下させる。すなわち、メモリトランジスタは消去状態となる。
【0131】
FN方式の消去では、例えば
図56の表のBの欄またはDの欄の「消去動作電圧」に示されるような電圧を、消去を行う選択メモリセルの各部位に印加し、選択メモリセルにおいて、メモリゲート電極MGからホールをトンネリングさせて絶縁膜MZ中の絶縁膜MZ2に注入することで消去を行う。この際、ホールはメモリゲート電極MGからFNトンネル効果により絶縁膜MZ3をトンネリングして絶縁膜MZ中に注入され、絶縁膜MZ2中のトラップ準位に捕獲され、その結果、メモリトランジスタのしきい値電圧が低下する。すなわち、メモリトランジスタは消去状態となる。
【0132】
読出し時には、例えば
図56の表のAの欄、Bの欄、Cの欄またはDの欄の「読出動作電圧」に示されるような電圧を、読出しを行う選択メモリセルの各部位に印加する。読出し時のメモリゲート電極MGに印加する電圧Vmgを、書込み状態におけるメモリトランジスタのしきい値電圧と消去状態におけるしきい値電圧との間の値にすることで、書込み状態と消去状態とを判別することができる。
【0133】
<検討の経緯について>
本発明者は、不揮発性メモリのメモリセルと周辺回路用のMISFETとを、同一の半導体基板に形成した半導体装置について検討している。
【0134】
周辺回路用のMISFETにおいて、ゲート電極にメタルゲート電極を適用すれば、ゲート電極の空乏化現象を抑制し、寄生容量をなくすことができるという利点を得られる。また、ゲート電極のゲート長が小さくなったときの短チャネル効果を改善できるという利点も得られる。また、メタルゲート電極と高誘電率ゲート絶縁膜の各材料の選択で、MISFETのしきい値電圧の調整が可能になる。
【0135】
しかしながら、信頼性の観点では、メタルゲート電極よりも、長年の使用実績があるシリコンゲート電極の方が、信頼性を確保しやすい。このため、信頼性の要求水準が高い不揮発性メモリを構成するメモリゲート電極と制御ゲート電極とについては、シリコンゲート電極を適用することを検討している。また、周辺回路用のMISFETにおいても、信頼性の要求水準が高いMISFET(例えば高耐圧のMISFET)については、ゲート電極にシリコンゲート電極を適用することを検討している。
【0136】
このため、本発明者は、シリコンゲート電極を備える不揮発性メモリのメモリセルと、メタルゲート電極を備える周辺回路用のMISFET(低耐圧のMISFET)と、シリコンゲート電極を備える周辺回路用のMISFET(高耐圧のMISFET)と、を同一の半導体基板に形成した半導体装置について検討している。つまり、不揮発性メモリのメモリセルを構成する上記制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとには、シリコンゲート電極を適用し、高耐圧MISFET用のゲート電極GE1には、シリコンゲート電極を適用し、低耐圧MISFET用のゲート電極GE2には、メタルゲート電極を適用することを、検討している。
【0137】
このような半導体装置を製造するには、メタルゲート電極を適用するゲート電極(上記ゲート電極GE2)については、いわゆるゲートラストプロセスで形成し、メタルゲート電極を適用しないゲート電極(上記制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GE1)については、いわゆるゲートファーストプロセスで形成すればよい。ゲートファーストプロセスでは、完成製品で使用するゲート電極を形成してから、ソース・ドレイン用の半導体領域を形成する。一方、ゲートラストプロセスでは、ダミーのゲート電極を一旦形成してから、ソース・ドレイン用の半導体領域を形成し、その後、ダミーのゲート電極を除去し、その除去領域に、完成製品で使用する実際のゲート電極を形成する。すなわち、ゲートラストプロセスでは、ダミーのゲート電極を除去して実際に使用するゲート電極に置換する工程が存在する。このため、メタルゲート電極を適用しない上記制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GE1をゲートファーストプロセスで形成し、メタルゲート電極を適用する上記ゲート電極GE2をゲートラストプロセスで形成する場合は、ダミーのゲート電極(上記ダミーゲート電極DG)を除去して実際に使用するゲート電極(上記ゲート電極GE2)に置換する必要がある。
【0138】
ダミーゲート電極DGをゲート電極GE2に置換するには、層間絶縁膜の形成後に、その層間絶縁膜を研磨してダミーゲート電極DGを露出させる必要があるが、その際に、ゲートファーストプロセスで形成した上記制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびゲート電極GE1も露出することになる。この層間絶縁膜の研磨工程で、不具合が生じる虞があることが、本発明者の検討により分かった。これについて、
図57〜
図60を参照して以下に説明する。
【0139】
図57〜
図60は、本発明者が検討した検討例の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0140】
検討例の半導体装置の製造工程でも、本実施の形態と同様にして上記金属シリサイド層SL1形成工程までを行って、上記
図23および
図24の構造を得た後、
図57および
図58に示されるように、半導体基板SBの主面全面上に、メモリゲート電極MG、積層体LM1,LM2,LM3およびサイドウォールスペーサSWを覆うように、絶縁膜IL101と絶縁膜IL102とを順に形成する。絶縁膜IL101は、上記絶縁膜IL1に相当するものであり、例えば窒化シリコン膜からなり、絶縁膜IL102は、上記絶縁膜IL2に相当するものであり、絶縁膜IL101よりも厚く、例えば酸化シリコン膜からなる。なお、検討例の製造工程の場合は、本実施の形態における
図25〜
図30の工程は行わず、上記
図23および
図24の構造を得た後に、
図57および
図58に示されるように、絶縁膜IL101と絶縁膜IL102とからなる積層膜を形成する。すなわち、検討例の製造工程の場合は、上記フォトレジストパターンPR1形成工程、
図27および
図28のエッチング工程、および、
図29および
図30のエッチング工程は、行われない。
【0141】
それから、検討例の半導体装置の製造工程では、
図59および
図60に示されるように、絶縁膜IL102の上面を、CMP法を用いて研磨する。この工程を、以下では「
図59および
図60の研磨工程」と称することとする。この
図59および
図60の研磨工程により、メモリゲート電極MG、制御ゲート電極CG、ダミーゲート電極DGおよびゲート電極GE1の各上面が露出される。
【0142】
図59および
図60の研磨工程では、メモリゲート電極MG上およびキャップ絶縁膜CP1,CP2,CP3上の絶縁膜IL101も研磨されて除去され、また、キャップ絶縁膜CP1,CP2,CP3も研磨されて除去され、また、各サイドウォールスペーサSWの上部も研磨され得る。メモリゲート電極MGの上部に金属シリサイド層SL1を形成していた場合は、
図59および
図60の研磨工程で、メモリゲート電極MGの上部の金属シリサイド層SL1も研磨されて除去される。
【0143】
その後、検討例の半導体装置の製造工程においても、上記
図37〜
図54を参照して説明したような工程が行われるが、ここではその図示および説明は省略する。
【0144】
図59および
図60の研磨工程においては、絶縁膜IL102,IL101を主として研磨するが、それ以外にも、キャップ絶縁膜CP1,CP2,CP3も研磨され、更に、メモリゲート電極MG、制御ゲート電極CG、ダミーゲート電極DGおよびゲート電極GE1も研磨される。すなわち、
図59および
図60の研磨工程を終了した段階で、メモリゲート電極MG、制御ゲート電極CG、ダミーゲート電極DGおよびゲート電極GE1の各上面を確実に露出させようとすると、
図59および
図60の研磨工程においては、メモリゲート電極MG、制御ゲート電極CG、ダミーゲート電極DGおよびゲート電極GE1も、ある程度研磨することになる。
【0145】
また、メモリセル領域1Aと低耐圧MIS領域1Bと高耐圧MIS領域1Cとで、ゲート電極の占有率が異なると、メモリセル領域1Aと低耐圧MIS領域1Bと高耐圧MIS領域1Cとのそれぞれにおいて、ゲート電極が露出するまでに必要な研磨時間が相違してしまう。すなわち、ゲート電極の占有率が大きい領域と小さい領域とでは、そのゲート電極が露出するまでに要する研磨時間が相違してしまう。ここで、ゲート電極の占有率とは、平面視において全体に占めるゲート電極の面積の割合に対応している。このため、
図59および
図60の研磨工程において、メモリセル領域1Aと低耐圧MIS領域1Bと高耐圧MIS領域1Cとのすべての領域で、ゲート電極(CG,MG,GE1,DG)の上面を露出させようとすると、ある程度過剰に研磨時間を設定する必要があり、制御ゲート電極CG、ダミーゲート電極DGおよびゲート電極GE1も、ある程度研磨することになる。
【0146】
また、メモリゲート電極MGの上部に金属シリサイド層SL1を形成していた場合は、
図59および
図60の研磨工程において、そのメモリゲート電極MGの上部の金属シリサイド層SL1も研磨して除去する必要があるため、メモリゲート電極MGの上部の金属シリサイド層SL1が確実に除去されるように、研磨時間を設定する必要がある。このため、
図59および
図60の研磨工程において、メモリゲート電極MGの上部の金属シリサイド層SL1が確実に除去されるようにしようとすると、制御ゲート電極CG、ダミーゲート電極DGおよびゲート電極GE1を、ある程度研磨することになる。
【0147】
従って、
図59および
図60の研磨工程においては、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ダミーゲート電極DGおよびゲート電極GE1も、ある程度研磨することになる。例えば、
図59および
図60の研磨工程においては、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ダミーゲート電極DGおよびゲート電極GE1のそれぞれの研磨量(研磨厚さ)を、例えば20nm程度に設定して、研磨時間を設計することになる。
【0148】
しかしながら、
図59および
図60の研磨工程においては、主として研磨するのは、絶縁膜(絶縁膜IL102,IL101、キャップ絶縁膜CP1,CP2,CP3およびサイドウォールスペーサSW)であるため、その絶縁膜を研磨するのに相応しい研磨液(研磨スラリ)を用いることになる。このため、
図59および
図60の研磨工程においては、絶縁膜(絶縁膜IL102,IL101、キャップ絶縁膜CP1,CP2,CP3およびサイドウォールスペーサSW)に比べて、シリコン膜(制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ダミーゲート電極DGおよびゲート電極GE1)の研磨レートが低くなるような研磨液を用いることになる。
【0149】
このため、
図59および
図60の研磨工程を行うと、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ダミーゲート電極DGおよびゲート電極GE1のうち、ゲート長が大きいゲート電極GE1については、上面の平坦性が低くなり、上面に段差DSが生じてしまう虞がある。これは、ゲート電極GE1のゲート長が大きいことが原因である。
【0150】
ここで、ゲート電極GE1は、高耐圧のMISFETであり、ゲート電極GE1のゲート長は、かなり大きい。具体的には、ゲート電極GE1のゲート長は、制御ゲート電極CGのゲート長よりも大きく、例えば300nm以上である。
【0151】
図59および
図60の研磨工程において、各ゲート電極(CG,MG,DG,GE1)の角部付近は、削れやすい。すなわち、研磨工程では研磨対処物の角部は削れやすいため、
図59および
図60の研磨工程において、シリコン膜の研磨レートが低い研磨液を使用したとしても、各ゲート電極(CG,MG,DG,GE1)の角部付近は、周囲の絶縁膜が削られるのにつられて削れやすい。しかしながら、各ゲート電極(CG,MG,DG,GE1)の上面において、角部(端部)から離れた位置は、角部(端部)付近に比べて、削れにくくなる。
【0152】
このため、ゲート長が大きなゲート電極GE1においては、角部付近(すなわち上面の端部付近)は削れやすく、角部から離れた位置(すなわち上面の中央付近)は削れにくいことを反映して、
図59および
図60の研磨工程を行うと、ゲート電極GE1の上面の平坦性が低くなり、段差DSが生じてしまう。すなわち、
図59および
図60の研磨工程を終了した段階で、
図60に示されるように、ゲート電極GE1の上面は、中央部(ゲート長方向における中央部)が、端部(ゲート長方向における端部)に比べて盛り上がった状態になってしまう。
【0153】
一方、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびダミーゲート電極DGについては、ゲート長がゲート電極GE1のゲート長ほど大きくはない。このため、ゲート長が小さなこれらのゲート電極(制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびダミーゲート電極DG)については、ゲート電極の上面の中央部(ゲート長方向における中央部)が、角部からそれほど離れてはいないことから、
図59および
図60の研磨工程でゲート電極の上面全体がほぼ均一に削られることになる。このため、
図59および
図60の研磨工程を終了した段階で、
図59に示されるように、ゲート長が小さな制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびダミーゲート電極DGについては、上面の平坦性が比較的高く、上面に段差は発生しないで済む。このことは、
図35および
図36の研磨工程においても同様である。
【0154】
従って、検討例の場合、
図59および
図60の研磨工程を行って制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ダミーゲート電極DGおよびゲート電極GE1の各上面を露出させると、ゲート長が小さな制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびダミーゲート電極DGの各上面はほぼ平坦になるが、ゲート長が大きなゲート電極GE1の上面は、平坦性が低くなり、段差DSが生じてしまう。
【0155】
ゲート長が大きなゲート電極GE1の上面に段差DSが生じてしまうと、その後の工程で種々の不具合が生じる虞があるため、半導体装置の信頼性を低下させてしまう。または、半導体装置の製造歩留まりを低下させてしまう。あるいは、半導体装置の製造工程の管理を難しくしてしまう。一例を挙げると、ゲート電極GE1の上面に段差DSがあると、それを反映した段差が、上記絶縁膜IL3の上面にも生じてしまい、それが原因で、上記金属膜MEを研磨した際に金属膜MEの研磨残りが発生する虞がある。
【0156】
このため、半導体装置の信頼性や製造歩留まりを向上させるためには、層間絶縁膜を研磨して制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ダミーゲート電極DGおよびゲート電極GE1の各上面を露出させる際に、ゲート長が大きなゲート電極GE1の上面の平坦性を高め、ゲート電極GE1の上面に上記段差DSのようなものが生じないようにすることが望まれる。
【0157】
<主要な特徴と効果について>
本実施の形態の半導体装置は、メモリセル領域1Aに形成された不揮発性メモリのメモリセルと、低耐圧MIS領域1Bに形成された低耐圧MISFET(第2MISFET)と、高耐圧MIS領域1Cに形成された高耐圧MISFET(第1MISFET)と、を備えている。
【0158】
本実施の形態の半導体装置の製造工程は、半導体基板SB上に、絶縁膜GF1を介して制御ゲート電極CG(第1ゲート電極)を形成し、絶縁膜MZを介してメモリゲート電極MG(第2ゲート電極)を形成し、絶縁膜GF3を介してゲート電極GE1(第3ゲート電極)を形成し、絶縁膜GF2を介してダミーゲート電極DGを形成する工程(
図3〜
図20)、を有している。ここで、絶縁膜MZは、内部に電荷蓄積部を有する絶縁膜であり、ゲート電極GE1は、高耐圧MISFET(第1MISFET)用のゲート電極である。ゲート電極GE1のゲート長は、制御ゲート電極CGのゲート長よりも大きい。半導体装置の製造工程は、更に、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GE1およびダミーゲート電極DGを覆うように、絶縁膜IL1(第5絶縁膜)を形成する工程、を有している(
図25および
図26)。半導体装置の製造工程は、更に、絶縁膜IL1に、ゲート電極GE1の一部を露出する開口部OP2を形成する工程(
図27および
図28)と、開口部OP2から露出するゲート電極GE1をエッチングして、開口部OP2から露出する部分のゲート電極GE1の上面の高さを低くする工程(
図29および
図30)と、を有している。半導体装置の製造工程は、更に、絶縁膜IL1上に、開口部OP2から露出する部分のゲート電極GE1を覆うように、絶縁膜IL2(第6絶縁膜)を形成する工程(
図33および
図34)と、絶縁膜IL2および絶縁膜IL1を研磨して、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GE1およびダミーゲート電極DGを露出させる工程(
図35および
図36)と、を有している。半導体装置の製造工程は、更に、ダミーゲート電極DGを除去する工程(
図37〜
図40)と、ダミーゲート電極DGが除去された領域である溝TR内にゲート電極GE2(第4ゲート電極)を形成する工程(
図41〜
図44)、を有している。ここで、ゲート電極GE2は、低耐圧MISFET(第2MISFET)用のゲート電極である。
【0159】
本実施の形態の主要な特徴のうちの一つは、次の点である。すなわち、絶縁膜IL1を形成した後、絶縁膜IL2を形成する前に、絶縁膜IL1に、ゲート電極GE1の一部を露出する開口部OP2を形成する工程(
図27および
図28のエッチング工程)と、開口部OP2から露出するゲート電極GE1をエッチングして、開口部OP2から露出する部分のゲート電極GE1の上面の高さを低くする工程(
図29および
図30のエッチング工程)と、を行う。本実施の主要な特徴のうちの他の一つは、ゲート電極GE1のゲート長は、制御ゲート電極CGのゲート長よりも大きいことである。
【0160】
本実施の形態では、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GE1およびダミーゲート電極DGを覆うように、絶縁膜IL1および絶縁膜IL2を形成し、その絶縁膜IL2,IL1を
図35および
図36の研磨工程で研磨して、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GE1およびダミーゲート電極DGを露出させるが、この点は、上記検討例と類似している。しかしながら、本実施の形態では、絶縁膜IL1を形成した後、絶縁膜IL2を形成する前に、
図27および
図28のエッチング工程と、
図29および
図30のエッチング工程とを行っており、これにより、
図35および
図36の研磨工程を終了した段階でのゲート電極GE1の上面の平坦性を高めることができる。その理由について、以下に説明する。
【0161】
本実施の形態では、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GE1およびダミーゲート電極DGを覆うように、絶縁膜IL1を形成した後、
図27および
図28のエッチング工程により、絶縁膜IL1に、ゲート電極GE1の一部を露出する開口部OP2を形成する。それから、
図29および
図30のエッチング工程により、開口部OP2から露出するゲート電極GE1をエッチングして、開口部OP2から露出する部分のゲート電極GE1の上面の高さを低くする。その後、絶縁膜IL2を形成するが、この段階で、上記検討例(
図57および
図58)と本実施の形態(
図33および
図34)とで、ゲート電極GE1の上面の高さ位置が相違している。すなわち、
図34における開口部OP2から露出する部分のゲート電極GE1の上面の高さ位置は、
図58におけるゲート電極GE1の上面の高さ位置よりも低くなっている。このため、上記検討例の
図59および
図60の研磨工程よりも、本実施の形態の
図35および
図36の研磨工程の方が、ゲート電極GE1の研磨面積を減らすことができる。このため、上記検討例の
図59および
図60の研磨工程を終了した段階よりも、本実施の形態の
図35および
図36の研磨工程を終了した段階の方が、ゲート電極GE1の上面の平坦性を高めることができ、ゲート電極GE1の上面に
図60に示されるような段差DSが生じてしまうのを、防止しやすくなる。
【0162】
また、本実施の形態では、
図29および
図30のエッチング工程により、開口部OP2から露出する部分のゲート電極GE1の上面の高さを低くしたことで、ゲート電極GE1の上面において、開口部OP2の外周(側壁)に平面視で重なる位置に段差が形成され、従って、開口部OP2の外周(側壁)に平面視で重なる位置に角部が形成されることになる。つまり、
図27および
図28のエッチング工程と
図29および
図30のエッチング工程とを行うことは、
図35および
図36の研磨工程におけるゲート電極GE1の研磨面積自体を減らす効果だけでなく、ゲート電極GE1の上面に強制的に角部を形成する(角部を増やす)効果とがある。
【0163】
上述のように、研磨工程では研磨対処物の角部は削れやすいため、
図35および
図36の研磨工程において、シリコン膜の研磨レートが低い研磨液を使用したとしても、ゲート電極GE1の上面において、角部付近は、周囲の絶縁膜が削られるのにつられて削れやすい。本実施の形態では、
図27および
図28のエッチング工程と
図29および
図30のエッチング工程とを行うことにより、ゲート電極GE1の上面に強制的に角部を形成した(増やした)ことで、
図35および
図36の研磨工程で、ゲート電極GE1の上面において、角部から離れていることで削れにくくなる箇所が生じにくくなる。このため、
図35および
図36の研磨工程を終了した段階で、ゲート電極GE1の上面の平坦性を高めることができ、ゲート電極GE1の上面に
図60に示されるような段差DSが生じてしまうのを、抑制または防止することができる。
【0164】
つまり、上記検討例の場合は、
図59および
図60の研磨工程において、ゲート電極GE1の大面積の平坦な上面を研磨する必要がある。これに起因して、ゲート電極GE1の上面において、角部付近ではゲート電極GE1が削れやすいが、角部から離れた位置(すなわちゲート電極GE1の上面の中央部)では、ゲート電極GE1はほとんど削れないことで、
図59および
図60の研磨工程を終了した段階で、ゲート電極GE1の上面に
図60に示されるような段差DSが生じてしまう。
【0165】
それに対して、本実施の形態では、
図27および
図28のエッチング工程と
図29および
図30のエッチング工程とを行うことにより、
図35および
図36の研磨工程において、ゲート電極GE1の研磨面積を減らすことができ、また、ゲート電極GE1の上面における角部を増やすことができる。これにより、ゲート電極GE1の上面において、研磨され難い箇所が生じにくくなるため、
図35および
図36の研磨工程を終了した段階で、ゲート電極GE1の上面の平坦性を高めることができ、ゲート電極GE1の上面に
図60に示されるような段差DSが生じるのを、抑制または防止することができる。
【0166】
また、ゲート長が小さな制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびダミーゲート電極DGについては、
図59および
図60の研磨工程の場合と同様に、
図35および
図36の研磨工程でも、ゲート電極の上面全体がほぼ均一に削られることになる。このため、
図35および
図36の研磨工程を終了した段階で、
図35に示されるように、ゲート長が小さな制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびダミーゲート電極DGについては、上面の平坦性が比較的高く、上面に段差は発生しないで済む。
【0167】
このため、本実施の形態では、ゲート長が小さな制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MGおよびダミーゲート電極DGだけでなく、ゲート長が大きなゲート電極GE1についても、
図35および
図36の研磨工程を終了した段階で、ゲート電極の上面の平坦性を高めることができる。このため、
図35および
図36の研磨工程よりも後の工程を行いやすくなる。従って、半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。また、半導体装置の製造工程の管理が容易になる。
【0168】
また、本実施の形態の製造工程は、ダミーゲート電極DGのゲート長が小さい場合だけでなく、ダミーゲート電極DGのゲート長が大きい場合でも、有効である。なぜなら、ダミーゲート電極DGのゲート長が大きい場合は、
図35および
図36の研磨工程を終了した段階で、ダミーゲート電極DGの上面に上記段差DSのような段差が形成され得るが、その後にダミーゲート電極DGは除去されるため、不具合には繋がりにくいからである。つまり、
図35および
図36の研磨工程を終了した段階で、ゲート電極GE1の上面に段差が形成されていることは防ぐべきであるが、ダミーゲート電極DGの上面に段差が形成されていることは、ある程度許容され得る。このため、本実施の形態の製造方法は、ダミーゲート電極DGのゲート長がゲート電極GE1のゲート長よりも小さい場合だけでなく、ダミーゲート電極DGのゲート長が、ゲート電極GE1のゲート長以上である場合でも、有効である。
【0169】
本実施の形態の技術思想は、制御ゲート電極CGのゲート長よりもゲート電極GE1のゲート長が大きい場合には、層間絶縁膜を研磨してゲート電極GE1の上面を露出させた際に、ゲート電極GE1の上面に上記段差DSが生じる懸念があることを見出し、そのような懸念を解消するために、
図29および
図30のエッチング工程でゲート電極GE1を予めエッチングしている。つまり、制御ゲート電極CGとゲート電極GE1とのうち、ゲート長が大きなゲート電極GE1を、
図29および
図30のエッチング工程におけるエッチング対象とし、ゲート長が小さな制御ゲート電極CGは、
図29および
図30のエッチング工程におけるエッチング対象とはしない。これにより、ゲート長が小さな制御ゲート電極CGと、ゲート長が大きなゲート電極GE1との両方について、
図35および
図36の研磨工程を終了した段階で、ゲート電極(CG、GE1)の上面の平坦性を高めることができる。
【0170】
また、制御ゲート電極CGのゲート長とメモリゲート電極MGのゲート長とのそれぞれよりも、ゲート電極GE1のゲート長が大きい場合に、本実施の形態を適用することが好ましい。すなわち、制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとゲート電極GE1とのうち、ゲート長が最も大きなゲート電極GE1を、
図29および
図30のエッチング工程におけるエッチング対象とし、ゲート電極GE1よりもゲート長が小さな制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGは、
図29および
図30のエッチング工程におけるエッチング対象とはしない。これにより、ゲート長が小さな制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGと、ゲート長が大きなゲート電極GE1との両方について、
図35および
図36の研磨工程を終了した段階で、ゲート電極(CG,MG,GE1)の上面の平坦性を高めることができる。
【0171】
また、ゲート電極GE1のゲート長が300nm以上の場合に、本実施の形態を適用すれば、その効果は極めて大きい。すなわち、上記検討例の場合には、ゲート電極GE1のゲート長が大きければ、層間絶縁膜(IL102,IL101)を研磨してゲート電極GE1の上面を露出させた際に、ゲート電極GE1の上面に上記段差DSが生じる懸念があるが、特にゲート電極GE1のゲート長が300nm以上になると、ゲート電極GE1の上面に上記段差DSが形成されやすくなる。それに対して、本実施の形態では、ゲート電極GE1のゲート長が300nm以上の場合であっても、
図29および
図30のエッチング工程でゲート電極GE1を予めエッチングしておくことで、
図35および
図36の研磨工程を終了した段階で、ゲート電極GE1の上面に上記段差DSに相当するものが形成されるのを抑制または防止することができる。
【0172】
また、
図35および
図36の研磨工程において、ゲート電極GE1の研磨レート(研磨速度)が、絶縁膜IL2および絶縁膜IL1の研磨レート(研磨速度)よりも低い場合に、本実施の形態を適用すれば、その効果は極めて大きい。その理由は、以下の通りである。
【0173】
すなわち、
図35および
図36の研磨工程においては、主として研磨するのは、絶縁膜(絶縁膜IL2,IL1、キャップ絶縁膜CP1,CP2,CP3およびサイドウォールスペーサSW)であるため、その絶縁膜を研磨するのに相応しい研磨液(研磨スラリ)を用いることになる。このため、
図35および
図36の研磨工程においては、絶縁膜(絶縁膜IL2,IL1、キャップ絶縁膜CP1,CP2,CP3およびサイドウォールスペーサSW)に比べて、シリコン膜(制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ダミーゲート電極DGおよびゲート電極GE1)の研磨レートが低くなるような研磨液(研磨スラリ)を用いることになる。例えば、酸化シリコン膜や窒化シリコン膜の研磨レートに比べて、シリコン膜の研磨レートが低くなるような研磨液を、用いることになる。しかしながら、そのような研磨液を用いる場合には、上記検討例の製造工程を適用すると、層間絶縁膜(IL102,IL101)を研磨してゲート電極GE1の上面を露出させた際に、ゲート電極GE1の上面に上記段差DSが形成されやすくなってしまう。それに対して、本実施の形態では、そのような研磨液を用いる場合であっても、
図29および
図30のエッチング工程でゲート電極GE1を予めエッチングしておくことで、
図35および
図36の研磨工程を終了した段階で、ゲート電極GE1の上面に上記段差DSに相当するものが形成されるのを抑制または防止することができる。このため、
図35および
図36の研磨工程におけるゲート電極GE1の研磨レート(研磨速度)が、
図35および
図36の研磨工程における絶縁膜IL2および絶縁膜IL1の研磨レート(研磨速度)よりも低くなる場合に、本実施の形態を適用すれば、その効果は極めて大きい。また、本実施の形態を適用すれば、
図35および
図36の研磨工程において、使用する研磨液の選択の幅が広がり、
図35および
図36の研磨工程に相応しい研磨液を使用できるという効果も得ることができる。
【0174】
また、本実施の形態においては、
図29および
図30のエッチング工程でゲート電極GE1のエッチング処理を終了した段階での、開口部OP2から露出する部分のゲート電極GE1の厚さ(第1厚さ)T1が、
図35および
図36の研磨工程で研磨処理を終了した段階での制御ゲート電極CGの厚さ(第2厚さ)T2とほぼ同じであることが好ましい(すなわちT1=T2)。なお、厚さT1は、上記
図30に示され、厚さT2は、上記
図35に示されている。この理由について、以下に説明する。
【0175】
すなわち、厚さT1を厚さT2よりも厚くしていた場合には、
図35および
図36の研磨工程において、平面視で開口部OP2と重なる部分のゲート電極GE1もある程度研磨する必要があるため、
図35および
図36の研磨工程を終了した段階で、ゲート電極GE1の上面に段差が形成される可能性は、上記検討例の場合よりは小さくなるが、多少は存在することになる。一方、厚さT1を厚さT2よりも薄くしていた場合には、
図35および
図36の研磨工程において、平面視で開口部OP2と重なる部分のゲート電極GE1を研磨する必要はほとんどなくなるが、厚さT1を薄くし過ぎていると、それに伴って、研磨終了時にゲート電極GE1上に絶縁膜IL2の研磨残りが生じる懸念がある。
図35および
図36の研磨工程において、ゲート電極GE1上に絶縁膜IL2の研磨残りが生じてしまうと、例えば、後で金属シリサイド層SLを形成する際に、ゲート電極GE1上における絶縁膜IL2の研磨残りが、ゲート電極GE1の上部に金属シリサイド層SL2を形成するのを阻害する懸念がある。それに対して、厚さT1を厚さT2と同じ(T1=T2)にしていた場合には、
図35および
図36の研磨工程において、平面視で開口部OP2と重なる部分のゲート電極GE1はほとんど研磨する必要はなく、また、厚さT1を薄くし過ぎることに伴う、研磨終了時でのゲート電極GE1上の絶縁膜IL2の研磨残りの懸念も、回避することができる。このため、
図29および
図30のエッチング工程を終了した段階での、開口部OP2から露出する部分のゲート電極GE1の厚さT1を、
図35および
図36の研磨工程を終了した段階での制御ゲート電極CGの厚さT2とほぼ同じにしておくことが、より好ましい。そうすることにより、
図35および
図36の研磨工程を終了した段階で、ゲート電極GE1上に絶縁膜IL2の研磨残りが生じるのをより的確に抑制または防止できるとともに、ゲート電極GE1の上面に上記段差DSのようなものが生じてしまうのを、より的確に抑制または防止することができる。
【0176】
なお、厚さT1と厚さT2とが同じ(T1=T2)であることは、
図35および
図36の研磨工程における制御ゲート電極CGの研磨量(研磨厚み、研磨された部分の厚さ)と、
図29および
図30のエッチング工程におけるゲート電極GE1のエッチング量(エッチング厚み、エッチングされた部分の厚さ)とを、ほぼ同じにしたことに対応している。本実施の形態では、
図35および
図36の研磨工程における制御ゲート電極CGの研磨量の分だけ、
図29および
図30のエッチング工程でゲート電極GE1を予めエッチングしておくことが好ましい。これにより、
図35および
図36の研磨工程を終了した段階で、ゲート電極GE1の上面の平坦性を、より的確に高めることができ、また、ゲート電極GE1上に絶縁膜IL2の研磨残りが生じるのを、より的確に防止できる。
【0177】
また、
図35および
図36の研磨工程で研磨処理を終了した段階での、ゲート電極GE1の中央部(ゲート長方向における中央部)の厚さ(第3厚さ)T3は、
図35および
図36の研磨工程で研磨処理を終了した段階での制御ゲート電極CGの厚さT2と同じであることが好ましい(すなわちT3=T2)。ここで、厚さT3は、上記
図36に示され、厚さT2は、上記
図35に示されている。ここで、制御ゲート電極CGの厚さT2は、代表的には、制御ゲート電極CGの中央部(ゲート長方向における中央部)の厚さである。
図35および
図36の研磨工程を終了した段階で、ゲート長が大きなゲート電極GE1の中央部の厚さT3が、ゲート長が小さな制御ゲート電極CGの厚さT2と同じであれば、ゲート長が大きなゲート電極GE1の上面の平坦性を、ゲート長が小さな制御ゲート電極CGの上面の平坦性と同じレベルにすることができたことになる。この場合、本実施の形態を適用した効果を、十分に享受することができたと言える。
【0178】
次に、
図61〜
図64を参照して、ゲート電極GE1と上記開口部OP2との関係について更に説明する。
図61〜
図64は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部平面図であり、
図29および
図30と同じ工程段階が示されている。なお、
図61〜
図64には、理解を簡単にするために、ゲート電極GE1と開口部OP2のみを示し、他の構成要素は、図示を省略している。上記
図30の断面図は、
図61の場合に対応している。なお、
図61〜
図64の各図において、上記開口部OP1の平面位置は、開口部OP2の平面位置と実質的に一致している。
【0179】
図61の場合は、1つのゲート電極GE1に対して、1つの開口部OP2が設けられている。すなわち、ゲート電極GE1の上方において、上記絶縁膜IL1(およびキャップ絶縁膜CP3)に1つの開口部OP2が形成され、その開口部OP2から露出する部分のゲート電極GE1が、すなわち、その開口部OP2と平面視で重なる部分のゲート電極GE1が、
図29および
図30のエッチング工程でエッチングされて高さが低くなる。
図61には、開口部OP2の平面形状は、矩形の場合が示されているが、矩形以外の平面形状を採用することもできる。
【0180】
図61の場合で特徴的なのは、開口部OP2は、平面視において、ゲート電極GE1に内包されていることである。すなわち、開口部OP2の平面寸法(平面積)は、ゲート電極GE1の平面寸法(平面積)よりも小さく、平面視において、開口部OP2は、ゲート電極GE1に内包されている。平面視において、開口部OP2がゲート電極GE1に内包されている理由は、次のようなものである。
【0181】
すなわち、
図29および
図30のエッチング工程において、開口部OP2から露出するゲート電極GE1をエッチングするのは、
図35および
図36の研磨工程において、ゲート電極GE1の研磨面積を減らすためと、ゲート電極GE1の上面における角部を増やすためである。平面視において、開口部OP2がゲート電極GE1に内包されていれば、
図29および
図30のエッチング工程で、開口部OP2から露出するゲート電極GE1をエッチングすることで、ゲート電極GE1の上面において、開口部OP2の外周(側壁)に沿った位置に角部を形成することができる。これにより、
図35および
図36の研磨工程を終了した段階で、ゲート電極GE1の上面の平坦性を的確に高めることができ、ゲート電極GE1の上面に
図60に示されるような段差DSが生じるのを、的確に抑制または防止することができる。
【0182】
また、平面視において、開口部OP2がゲート電極GE1に内包されておらず、開口部OP2がゲート電極GE1からはみ出していた場合には、必然的に上記フォトレジストパターンPR1の開口部OP1が、ゲート電極GE1からはみ出すことになる。そのような場合には、
図27および
図28のエッチング工程において、平面視でゲート電極GE1からはみ出した部分の開口部OP1の直下の位置で、絶縁膜IL1やサイドウォールスペーサSWが過剰にエッチングされてしまう虞があるが、これは望ましくは無い。本実施の形態のように、平面視において、開口部OP2がゲート電極GE1に内包されていれば、必然的に上記フォトレジストパターンPR1の開口部OP1が平面視においてゲート電極GE1からはみ出すことはなく、
図27および
図28のエッチング工程において、絶縁膜IL1やサイドウォールスペーサSWが過剰にエッチングされてしまうのを防止することができる。この観点でも、平面視において、開口部OP2がゲート電極GE1に内包されていることが好ましい。
【0183】
また、平面視において、ゲート電極GE1の外周から開口部OP2までの距離(間隔、最短距離)L1は、80nm程度か、それ以上に設定することが好ましい(L1≧80nm)。すなわち、平面視において、ゲート電極GE1の上面のうち、ゲート電極GE1の外周から80nm以内の領域は、開口部OP2と重ならない(開口部OP2から露出しない)ようにすることが好ましい。これにより、フォトマスクの合わせずれなどに起因して、フォトレジストパターンPR1の形成位置が設計位置からずれたとしても、平面視において開口部OP2がゲート電極GE1に内包されるという条件を、的確に達成することができる。このことは、
図61の場合だけでなく、
図62の場合、
図63の場合および
図64の場合も共通である。
【0184】
次に、
図62の場合と
図63の場合と
図64の場合について説明する。
図62の場合、
図63の場合、および
図64の場合は、1つのゲート電極GE1に対して、複数の開口部OP2が設けられている。すなわち、ゲート電極GE1の上方において、上記絶縁膜IL1(およびキャップ絶縁膜CP3)に複数の開口部OP2が形成され、その複数の開口部OP2から露出する部分のゲート電極GE1が、すなわち、その複数の開口部OP2と平面視で重なる部分のゲート電極GE1が、
図29および
図30のエッチング工程でエッチングされて高さが低くなる。
【0185】
図62の場合は、Y方向に帯状(線状)に延在する開口部OP2が、X方向に複数並んでいる。各開口部OP2は、Y方向の寸法が、X方向の寸法よりも大きい。
【0186】
ここで、X方向およびY方向は、半導体基板SBの主面に略平行な方向であり、かつ、X方向とY方向とは、互いに直交している。X方向は、ゲート電極GE1のゲート長方向およびゲート幅方向の一方とし、Y方向は、ゲート電極GE1のゲート長方向およびゲート幅方向の他方とすることができる。
【0187】
図63の場合は、例えば矩形状の複数の開口部OP2が、X方向およびY方向にアレイ状(行列状)に配列している。また、
図63の開口部OP2の配列(アレイ状の配列)において、列毎に1/2ピッチずつ配列をずらすことにより、複数の開口部OP2を、いわゆる千鳥配列で並べることもでき、その場合(千鳥配列の場合)が
図64に示されている。また、
図62〜
図64には、開口部OP2の平面形状は、矩形の場合が示されているが、矩形以外の平面形状を採用することもできる。
【0188】
図62の場合、
図63の場合および
図64の場合で特徴的なのは、ゲート電極GE1の上方において、開口部OP2は複数形成され、それら複数の開口部OP2が、平面視において、ゲート電極GE1に内包されていることである。平面視において、複数の開口部OP2がゲート電極GE1に内包されている理由は、
図61の場合に、開口部OP2がゲート電極GE1に内包されている理由と同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0189】
また、
図62〜
図64の各場合のように、1つのゲート電極GE1に対して、開口部OP2を複数設けた場合には、次のような効果を得ることができる。
【0190】
すなわち、1つのゲート電極GE1に対して開口部OP2を複数設けた場合には、複数の開口部OP2の総面積を大きくしなくとも、
図29および
図30のエッチング工程でゲート電極GE1の上面に効率的に角部を形成することができる。このため、1つのゲート電極GE1に対して開口部OP2を複数設けた場合には、複数の開口部OP2の総面積を任意の値に調整しやすく、
図29および
図30のエッチング工程後にゲート電極GE1上に存在するキャップ絶縁膜CP3や絶縁膜IL1の面積を調整しやすくなる。このため、他の領域におけるキャップ絶縁膜(CP1,CP2)やその上の絶縁膜IL1の占有率とのバランスを考慮して、高耐圧MIS領域1Cのゲート電極GE1上に存在するキャップ絶縁膜CP3や絶縁膜IL1の面積を調整することができるため、
図35および
図36の研磨工程を行いやすくなる。例えば、
図35および
図36の研磨工程において、絶縁膜IL1の研磨面積やキャップ絶縁膜の研磨面積を、メモリ領域1Aや低耐圧MIS領域1Bと高耐圧MIS領域1Cとで、均一にしやすくなるため、
図35および
図36の研磨工程を行いやすくなる。
【0191】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。