(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
【0016】
[1.段ボールシート製造装置の構成]
本発明の段ボールシート製造システムは、段ボールシート製造装置と、段ボールシート製造装置を制御する生産管理装置とにより構成されている。各実施形態の段ボールシート製造システムは、段ボールシート製造装置の構成は同じであり、生産管理装置の構成が異なる。
そこで、先ず、
図1を参照して各実施形態で共通する段ボールシート製造装置1の構成について説明する。
【0017】
段ボールシート製造装置1は、主な構成装置として、裏ライナプレヒータ10,シングルフェーサ11,中芯プレヒータ12,片段ウェブプレヒータ13,表ライナプレヒータ14,グルーマシン15,ダブルフェーサ16,スリッタスコアラ17,カットオフ18,スタッカ19及びCCDカメラ7を備えている。
【0018】
裏ライナプレヒータ10は裏ライナ30を加熱し、中芯プレヒータ12は中芯31を加熱する。
シングルフェーサ11は、中芯プレヒータ12で加熱された中芯31を段繰りして糊付けし、裏ライナプレヒータ10で加熱された裏ライナ30を貼り合わせる。
片段ウェブプレヒータ13は、シングルフェーサ11により形成された片段ウェブ32を加熱し、表ライナプレヒータ14は表ライナ33を加熱する。
グルーマシン15は、片段ウェブプレヒータ13で加熱された片段ウェブ32に糊付けする。
【0019】
ダブルフェーサ16は、グルーマシン15により糊付けされた片段ウェブ32に表ライナプレヒータ14で加熱された表ライナ33を貼り合わせて段ボールウェブ34を形成する。
スリッタスコアラ17は、ダブルフェーサ16で形成された段ボールウェブ34に搬送方向に沿って罫入れや裁断を行い、カットオフ18は、スリッタスコアラ17で罫入れ等された段ボールウェブ34を紙幅方向に切断して最終製品である段ボールシート35を作製する。
スタッカ19は、段ボールシート35を完成順に積み重ねる。
【0020】
CCDカメラ7は、スタッカ19に積み重ねられた段ボールシート35を撮像する。
また、裏ライナプレヒータ10で加熱された裏ライナ30,中芯プレヒータ12で加熱された中芯31,片段ウェブプレヒータ13で加熱された片段ウェブ32,表ライナプレヒータ14で加熱された表ライナの各温度を検出する温度センサT1,T2,T3,T4(温度取得手段)が備えられている。
ここで、裏ライナ30,中芯31,片段ウェブ32及び表ライナ33が本発明の原紙に相当する。以下、これらを区別しない場合には原紙30〜33と表記する。
【0021】
[2.第1実施形態]
[2-1.構成]
図2を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態の段ボールシート製造システム100は、段ボールシート製造装置1と、生産管理装置2とから構成される。
生産管理装置2は、図示しない上位の生産管理システムから原紙の紙幅,坪量及びフルート等の生産状態情報を取得する生産状態情報取得部2a(生産状態情報取得手段)を備える。生産管理装置2は、取得した生産状態情報に基づき段ボールシート製造装置1の前記の各構成装置を適宜制御することによって、段ボールシート35の反りの発生を抑制しながら段ボールシート35を作成している。この反り抑制機能に着目した場合、生産管理装置2は、マトリックッス制御部20,プレ制御テーブル21,補正量計算部22,補正量テーブル23(補正テーブル),補正量更新部24(更新手段),履歴データベース25(記憶手段),反り量判定部25a,プロセスコントローラ26及び加算部27(加算手段)を備えて構成されている。
【0022】
プロセスコントローラ26は、段ボールシート製造装置1を総合制御している。具体的には、プロセスコントローラ26は、新オーダが開始されると、後述の加算部27から取得した初期制御値Asetを使用して各制御要素についてフィードフォワード制御を行う。その後、プロセスコントローラ26は、段ボールシート製造装置1から段ボールシート35のシート反り量の情報である反り情報を取得して、この情報に基づいて、シート反り量が所定範囲内に収まるよう各制御要素をフィードバック制御する。
なお、シート反り量を所定範囲内に収めるための各制御要素の調整を、プロセスコントローラ26によるフィードバック制御に加えて又は同フィードバック制御に替えて、オペレータが手動により行うようにしてもよい。
【0023】
また、プロセスコントローラ26は段ボールシート製造装置1から運転状態情報を取得して、後述のマトリックス制御部20や補正量計算部22や履歴データベース25に出力する。運転状態情報とは、段ボールシート製造装置1の制御要素の現実の制御値のことである。
このようにプロセスコントローラ26は本発明の制御手段及び制御値情報取得手段を構成する。
【0024】
プレ制御テーブル21は、制御要素の標準制御値Aを記憶したテーブルであり、各制御要素に対して、複数の異なる運転状態(本実施形態では複数の異なる生産速度)毎に用意されている。
ここで、制御要素とは、段ボールシート35の反りに影響を及ぼす制御可能な要素をいい、例えば、裏ライナプレヒータ10,中芯プレヒータ12,片段ウェブプレヒータ13及び表ライナプレヒータ14の各巻付角,シングルフェーサ11とグルーマシン15の各ギャップ量や、ダブルフェーサ16の加圧力等である。また、原紙に水分を付与するシャワー装置が備えられる場合には、水分付与量も制御要素となる。以降の説明では、裏ライナプレヒータ10,中芯プレヒータ12,片段ウェブプレヒータ13及び表ライナプレヒータ14の各巻付角を区別しない場合には、プレヒータ巻付角といい、制御要素としてプレヒータ巻付角を例に取り説明する。
【0025】
下表1にプレ制御テーブル21の一例を示す。この例では、プレ制御テーブル21は、原紙の坪量[g/m
2]と紙幅[mm]とに基づいてプレヒータ巻付角[degree]の標準制御値Aを設定する二次元テーブルである。なお、下表1における「A〜B」とは、「A以上B未満」を意味し、例えば「100〜200」とは、「100以上200未満」を意味する。
【表1】
【0026】
マトリックッス制御部20は、運転状態情報及び生産状態情報を取得し、運転状態情報に対応したプレ制御テーブル21を参照して、生産状態情報に応じた各制御要素の標準制御値Aを取得する。プレヒータ巻付角であれば、マトリックッス制御部20は、上表1のプレ制御テーブル21にしたがい、例えば、坪量が150、紙幅が150の場合には、標準制御値Aとして制御値A1を取得する。
マトリックッス制御部20は、取得した各制御要素の標準制御値Aを後述の加算部27へ出力する。
【0027】
反り量判定部25aは、前記CCDカメラ7から段ボールシート35の画像情報を取得して、この画像情報に基づいてシート反り量を判定する。CCDカメラ7と反り量判定部25aとにより本発明の反り情報取得手段が構成される。
履歴データベース25は、生産状態情報,反り情報を取得し、一回のオーダにおいて、少なくとも、プロセスコントローラ26のフィードバック制御やオペレータの手動調整によりシート反り量が最小となったときの生産状態情報,各制御要素の制御値情報及び反り情報を含むデータセットを一組の実績データセットとして記憶する。
履歴データベース25として下表2のようなものが例示される。なお下表2では、便宜的に制御要素の制御値情報としてプレヒータの巻付角のみ示す。なお、巻付角Aact1〜Aact5は、プロセスコントローラ26がシート反り量を抑制すべくフィードバック制御した結果又はオペレータの手動
調整の結果、得られたプレヒータの実際の巻付角である。
【表2】
【0028】
補正量テーブル23は、プレ制御テーブル21に記憶された標準制御値Aの補正量ΔAを設定するためのテーブルである。補正量ΔAは、プレ制御テーブル21に記憶された標準制御値Aの調整量であり、負の数,零又は正の数である。
補正量テーブル23は、プレ制御テーブル21と同様に、各制御要素に対して、複数の異なる運転状態(本実施形態では複数の異なる生産速度)毎に用意されている。下表3に補正量テーブル23の一例を示す。この例では、補正量テーブル23は、原紙の坪量と紙幅とに基づいてプレヒータ巻き付け量の補正量ΔAを設定する二次元テーブルである。例えば、坪量が150、紙幅が150であれば補正量ΔAとして補正量ΔA1が選択される。
【表3】
【0029】
補正量更新部24は、履歴データベース25に記録された実績データセットに基づいて補正量テーブル23を更新する。補正量更新部24は、補正量テーブル23からテーブルの構造を取得する。補正量テーブル23が上表3のテーブルであれば、紙幅について「100〜200」,「200〜300」,「300〜400」の3行からなり、坪量については「100〜200」,「200〜300」,「300〜400」及び「400〜500」の4列からなる3行×4列(=12セル)の構造であることを取得する。
【0030】
そして、更新対象のセルが、紙幅が「100〜200」且つ坪量が「100〜200」のセルであった場合の例を説明すると、補正量更新部24は、履歴データベース25から、紙幅が「100〜200」且つ坪量が「100〜200」の範囲にあり且つ反り量が最小の実績データセットを抽出し、上表2に示す例では実績データセット3を抽出する。
さらに、補正量更新部24は、補正量テーブル23の更新対象のセルと対応する標準制御値Aを、プレ制御テーブル21から取得し、上表1の例では、紙幅が「100〜200」且つ坪量が「100〜200」のセルから標準制御値Aとして制御値A1を取得する。そして、制御値A1と、実績データセット3の制御値であるAact3との差(=Aact3−A1)により、更新対象のセルの補正量ΔA1の値を更新する。
【0031】
補正量計算部22は、各制御要素について、生産状態情報と運転状態情報とに基づいて、補正量テーブル23の適宜のセルから補正量ΔAを取得し、この補正量ΔAを加算部27へ出力する。
加算部27は、各制御要素について、マトリックッス制御部20から取得した標準制御値Aに、補正量計算部22から取得した補正量ΔAを加算して得た値を初期制御値Asetとし
てプロセスコントローラ26へ出力する(初期制御値Aset=標準制御値A+補正量ΔA)。
【0032】
[2−2.制御フロー]
以下、
図3を参照して、上表3のプレヒータ巻付角の補正量テーブル23を例に取り、更新制御に係る制御フローを説明する。なお、この制御フローは、新たな実績データセットが履歴データベース25に一定量蓄積された頃を見計らって実行され、例えば一日毎や一週間毎に繰り返し実行される。
先ず、ステップA10において、12個のセルの中から、補正量テーブル23の更新対象となるセルが設定される。本実施形態では、生産計画で予定されている各種シート材の紙種の仕様、例えば坪量「100〜200」に対応して、紙幅「100〜200」,「200〜300」,「300〜400」3つのセルが順次設定される。そして、ステップA20において、履歴データベース25内の検索が行われ、ステップA30において、更新対象となるセルと同じ坪量の範囲且つ同じ紙幅の範囲にある実績データセットの有無が判定され、該当する実績データセットがあればステップA40に進み、該当する実績データセットが無ければステップA60に進む。
【0033】
ステップA40では、該当する実績データセットの内、シート反り量が最小の実績データセットが抽出され、ステップA50において、この実績データセットに含まれるプレヒータ巻付角の制御値に基づいて該当するセルの数値が書き換えられる。
ステップA60では、補正量テーブル23において更新対象となる3つのセル全てについて補正量の更新制御(該当する実績データセットがないため書き換えが行われない場合も含む)が完了したか否かが判定される。全てセルについて補正量の更新制御が完了した場合には、補正量テーブル23の更新が終了し、そうでない場合にはステップA10に戻って更新対象となるセルが変更された後、ステップA20以降のステップが実行される。
【0034】
[2−3.作用・効果]
本実施形態によれば、生産状態情報,制御値情報及び反り情報を少なくとも含む実績データセットが履歴データベース25に記憶され、この履歴データベース25に記憶された実績データセットの中から、シート反り量の良好な制御値に基づいて補正量テーブル23が更新される。すなわち実績に基づいて補正量テーブル23が、シート反り量を一層抑制できるように更新される。
以降、同じような生産状態においては、この更新された補正量テーブル23から得られる補正量ΔAによって、プレ制御テーブル21に記憶されたプレヒータ巻付角の標準制御値Aが補正されて、初期制御値Asetが設定される。
この結果、以降、同じような生産状態においては、実績に基づいて更新された補正量テーブル23にしたがって制御値の初期制御値Asetが設定されるようになるので、プレヒータ巻付角をフィードバック制御やオペレータの手動調整により速やかに最適化することができ、段ボールシートの反りを速やかに矯正することができる。
また、プレ制御テーブル21の標準制御値Aに対して、シート反り量を抑制するための実績に基づく補正量ΔAが補正量テーブル23に記憶されることになる。すなわち、標準制御値Aが最適制御値からどの程度の誤差があったのか管理することができるので、この誤差の原因を解析することで、例えば実績のない生産状態における標準制御値Aの最適化を図ることが可能となる。
【0035】
[2−4.変形例]
[2−4−1.第1変形例]
図4を参照して、本発明の第1実施形態の第1変形例について説明する。本変形例の段ボールシート製造システム100−1は、段ボールシート製造装置1と、生産管理装置2−1とから構成される。
図4に示すように、本変形例の生産管理装置2−1は、太枠で示す箇所が前記第1実施形態と異なり、本
変形例は前記第1実施形態に対して、制御テーブル21aが追加され、マトリックス制御部20に替えて制御入力計算部20aが設けられている。その他の構成要素は、前記第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0036】
制御テーブル21aは、生産状態に応じて初期制御値Asetを設定するのに使用され、プレ制御テーブル21(上表1参照)と同じ構造を有している。段ボールシート製造システムの初回運転開始時は、制御テーブル21aの各セルには、プレ制御テーブル21の対応するセルに格納されている標準制御値Aが初期制御値Asetとしてそのまま入力されている。換言すれば、初回運転開始時は、制御テーブル21aはプレ制御テーブル21を複製したものとなっている。
【0037】
制御テーブル21aは、補正量テーブル23が更新されると、補正量テーブル23において書き換えられたセルの補正量ΔAを取得すると共に、プレ制御テーブル21からこのセルに対応したセルに格納された標準制御値Aを取得して、これらの補正量ΔAと標準制御値Aとを加算して、対応するセルを更新する。
このように制御テーブル21aと補正量テーブル23とにより標準制御値Aを補正して初期制御値Asetを設定しており、制御テーブル21a及び補正量テーブル23は本発明の補正テーブルに相当する。
制御入力計算部20aは、運転状態情報及び生産状態情報を取得し、運転状態情報に対応した制御テーブル21aを参照して、生産状態情報に応じた各制御要素の初期制御値Asetを取得し、この初期制御値Asetをプロセスコントローラ26に出力する。
【0038】
[2−4−2.第2変形例]
図5を参照して、本発明の第1実施形態の第2変形例について説明する。本変形例の段ボールシート製造システム100−2は、段ボールシート製造装置1と、生産管理装置2−2とから構成される。
図5に示すように、本変形例の生産管理装置2−2は、太枠で示す箇所が前記第1変形例と異なる。つまり、本変形例は前記第1変形例に対して、補正量テーブル23及び補正量更新部24に替えて補正後制御テーブル23a及び制御値更新部24a(更新部)が設けられている。その他の構成要素は、前記第1変形例と同様であるため、第1変形例と同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
制御値更新部24aは、履歴データベース25に記録された履歴に基づいて補正後制御テーブル23aを更新する。具体的には、制御値更新部24aは、補正後制御テーブル23aからテーブルの構造を取得した上で、履歴データベース25から、所定の生産状態に属し且つ反り量が最小の実績データセットを抽出し、補正後制御テーブル23aの更新対象となるセルを、この実績データセットのプレヒータ巻付角(更新値)で更新する。
【0040】
補正後制御テーブル23aは、初期制御値Asetを設定するのに使用され、制御値更新部24aにより更新されると、更新されたセルに格納された変更後の制御値を制御テーブル21aに出力する。制御テーブル21aは、その対応するセルに格納された初期制御値Asetが、補正後制御テーブル23aから入力された制御値で更新される。
制御テーブル21aと補正後制御テーブル23aとにより標準制御値Aを補正して初期制御値Asetを設定しており、制御テーブル21a,補正後制御テーブル23a及び制御
値更新部24aは本発明の補正テーブルに相当する。
【0041】
以下、
図6を参照して、本変形例に係る補正後制御テーブル23aの更新制御の制御フローを説明する。なお、この制御フローは、第1実施形態の補正後制御テーブル23aの制御フローと同様に、新たな実績データセットが履歴データベース25に蓄積された頃を見計らって実行され、例えば1日毎や一週間毎に繰り返し実行される。
先ず、ステップB10において、段ボールシート製造システムの初回運転時であれば、制御テーブル21aに、プレ制御テーブル21に入力されている制御値がそのまま入力される。次いで、ステップB20において、補正後制御テーブル23aの更新対象となるセルが設定される。本変形例では、生産計画で予定されている各種シート材の紙種の仕様に対応したセルが順次設定される。そして、ステップB30において、履歴データベース25内に、このセルに該当する実績データセットがないか検索され、ステップB40において該当する実績データセットの有無が判定され、該当する実績データセットがあればステップB50に進み、該当する実績データセットが無ければステップB70に進む。
【0042】
ステップB50では、該当する実績データセットの内、シート反り量が最小の実績データセットが抽出され、ステップB60において、このシート反り量が最小の実績データセットにおけるプレヒータ巻付角により、該当するセルの制御値が更新され、ステップB70へ進む。
【0043】
ステップB70では、補正後制御テーブル23aにおいて更新対象となる全てセルについて制御値の更新制御が完了したか否かが判定される。全てセルについて制御値の更新制御が完了した場合には、補正後制御テーブル23aの更新が終了し、そうでない場合にはステップB20に戻って更新対象となるセルが変更された後、ステップB30以降のステップが実行される。
補正後制御テーブル23aの更新が完了すると、補正後制御テーブル23aで更新されたセルに格納された数値により、対応する制御テーブル21aのセルの更新が行われる。
【0044】
[2−4−3.第3変形例]
図7を参照して、本発明の第1実施形態の第3変形例について説明する。本変形例の段ボールシート製造システム100−3は、段ボールシート製造装置1と、生産管理装置2−3から構成される。
図7に示すように、本変形例の生産管理装置2−3は、
図5に示す前記第2変形例に対して、太線で示す箇所が前記第1変形例と異なる。つまり、制御テーブル21aが省略され、補正後制御テーブル23aに替えて補正後制御テーブル23bが設けられている。その他の構成要素は、前記第1変形例と同様であるため、第1変形例と同一の符号を付して説明を省略する。
補正後制御テーブル23bは、前記第2変形例の制御テーブル21aと補正後制御テーブル23bとを一体化したものである。具体的には、段ボールシート製造システムの初回運転開始時には、補正後制御テーブル23bの各セルには、初期制御値Asetとして、プレ制御テーブル21の対応するセルに格納された標準制御値Aがそのまま格納される。その他の点は前記第2変形例の補正後制御テーブル23aと同様であり、補正後制御テーブル23bは、本発明の補正テーブルに相当する。
【0045】
[2−4.その他]
原紙30〜33の温度が所定温度以下になると、貼り合せ不良が生じるおそれがある。そこで、前記第1実施形態及び第1変形例〜第3変形例において、原紙30〜33の温度を検出する温度センサT1〜T4により検出された温度が閾値温度未満の時には、このときの生産状態情報やシート反り量を実績データセットとして履歴データベース25に記憶させないようにしてもよい。或いは、実績データセットを構成する情報データとして原紙30〜33の温度を組み込むと共に、補正量更新部24及び制御値更新部24aは、原紙30〜33の温度が閾値温度未満の実績データセットについては、補正量テーブル23や補正後制御テーブル23a,23bの更新に使用しないようにしてもよい。
【0046】
[3.第2実施形態]
[3-1.生産管理装置の構成]
図8及び
図9を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の段ボールシート製造システム100Aは、段ボールシート製造装置1と、生産管理装置2Aとから構成される。
図8に示すように、本実施形態の生産管理装置2Aは、太枠で示す箇所が前記第1実施形態と異なる。つまり、本実施形態は第1実施形態に対して、補正量更新部24Aの機能が一部異なり、予測モデル生成部28が追加されている。その他の構成要素は、前記第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
補正量更新部24Aは、履歴データベース25に記録された実績データセットに基づいて補正テーブル23を更新する点は第1実施形態の補正量更新部24と同様であり、加えて、更新対象となるセルを予測モデル生成部28に出力して、予測モデル生成部28(第一予測モデル生成手段)に、前記セルにおけるプレヒータ巻付角の反り予測モデルM1を生成するように要求する。
予測モデル生成部28は、履歴データベース25から取得した実績データセットに基づいて、補正量更新部24Aから要求のあった更新対象のセルについて反り予測モデルM1を作成し、この反り予測モデルM1を記憶する。
補正量更新部24Aは、反り予測モデルM1を使用して、更新対象となるセルにおいて段ボールシート35の反り量が所定値以下となる最適プレヒータ巻付角Aprdを求め、プレ制御テーブル21から取得した標準制御値Aと最適プレヒータ巻付角Aprdとの差(=Aprd−A)を新たな補正量として、更新対象のセルの補正量ΔAの値を更新する。
【0048】
図9を参照し、補正量計算部22,補正量更新部24A及び予測モデル生成部28について、プレヒータ巻付角[degree]を例に取り、さらに説明する。
予測モデル生成部28は、更新対象のセルが、紙幅が「100〜200」且つ坪量が「100〜200」のものであれば紙幅及び坪量がこれらの範囲に入る実績データセットを履歴データベース25から取得する。そして、
図9に塗りつぶしの四角で示す実績データセット(運転データ)から、プレヒータ巻付角から段ボールシート35の反り量を求める回帰モデルである反り予測モデルM1を生成する。反り予測モデルM1は、近傍探索モデルや回帰木などに例示される統計モデルでもよいし、物理モデルでも良い。統計モデルを使用する場合には、履歴データベース25から取得した実績データセットから直接求めることができ、物理モデルを使用する場合には、物理モデルによる予測結果が実績データセットと合うよう調整パラメータをフィッティングする。
補正量更新部24Aは、この反り予測モデルM1により、反り量が最良となる最適プレヒータ巻付角Aprd
を求める。
図9に示す例では、シート反り量が零(ゼロ)になる72[degree]が最適プレヒータ巻付角Aprdとして設定される。
【0049】
補正量計算部22は、生産状態が、坪量のように連続的に変化するものである場合、プレヒータ巻付角に例示される制御要素の補正量ΔAを坪量に応じて連続的又は小刻みに変化させることが考えられる。例えば、上表3の補正量テーブルの坪量が100〜200[g/m
2]の範囲において、坪量が100〜200[g/m
2]のときの補正量ΔA1と、200〜300[g/m
2]のときの補正量ΔA2とを線形補間して10[g/m
2]毎に補正量ΔAを設定することが考えられる。
このような場合には、予測モデル生成部28は、坪量10[g/m
2]毎に反り予測モデルM1を生成し、補正量更新部24Aは、これらの反り予測モデルM1により、各線形補間点のシート反り量をそれぞれ求めた上で、最適プレヒータ巻付角Aprdを求め、補正量テーブルを更新すればよい。
【0050】
具体的には、予測モデル生成部28は、坪量10[g/m
2]刻みで、100,110,120,130,…,190,200[g/m
2]の全11点のそれぞれについて、反り予測モデルM1を生成し、補正量更新部24Aは、これらの反り予測モデルM1に基づいて、全11点のシート反り量を予測し、これらの11点におけるシート反り量の合計値が最小となるプレヒータ巻付角、又は、これらの11点におけるシート反り量の最大値が最小となるプレヒータ巻付角を、最適プレヒータ巻付角Aprdとして設定する。そして、補正量更新部24Aは、この最適プレヒータ巻付角Aprdを使用して補正量テーブル23を更新する。
補正量計算部22は、例えば坪量が150[g/m
2]のときの補正量ΔAを求める場合には、補正量テーブル23から、坪量が100〜200[g/m
2]のときの補正量ΔA1と、坪量が200〜300[g/m
2]のときの補正量ΔA2とを取得し、これらの補正量ΔA1,ΔA2を線形補間して坪量が150[g/m
2]のときの補正量ΔAを求める。
【0051】
[3−2.作用・効果]
(1)本実施形態によれば、履歴データベース25に実績データセットが少ない又は存在しない生産状態でも、反り予測モデルM1を使用して反り量を予測することができ、段ボールシート35の反りを抑制することができる。
【0052】
(2)本実施形態によれば、特に、補正量テーブル23を更新するので、生産状態情報の変化に応じて制御要素の制御量をどのように補正するかについて、プレ制御テーブル21が示す知見を活用できるので、反り予測モデルM1を使用して精度良く初期制御値Asetを設定することができるという利点がある。
以下、この理由を、本実施形態と、プレ制御テーブル21を直接更新する手法(以下「比較例」という)とを比較して説明する。本実施形態も比較例も、同じ実績データに基づいて、プレ制御テーブルに規定される標準制御値Aを補正するものとして説明する。
【0053】
先ず、比較例について説明する。例えば、履歴データベース25から下表4に示すようなプレヒータ巻付角の実績データが得られているとする。下表4は、縦の列を坪量とし、横の列をプレヒータ巻付角としたものであり、セル内の数字は、対応する坪量とプレヒータ巻付角とにおけるシート反り量を示し、セル内がブランクのものは実績データが無いことを示す。例えば、坪量が100[g/m
2]、プレヒータ巻付角が20[degree]におけるシート反り量は0.15であり、坪量が100[g/m
2]、プレヒータ巻付角が60[degree]におけるシート反り量の実績データは存在しない。
【0054】
また、太枠で囲んだセルは、初回運転開始前(更新前)のプレ制御テーブルに初期制御値Asetとして規定される標準制御値Aに対応する。すなわち、プレ制御テーブルでは、坪量100,150,200,250,300[g/m
2]に対して、それぞれ、プレヒータ巻付角20,20,40,100,120[degree]が標準制御値Aとして設定されている。
【表4】
表4の実績データから線形回帰により反り予測モデルM1を作成し、この反り予測モデルM1から実績データのない坪量及びプレヒータ巻付角におけるシート反り量を予測したものを表5に示す。表5の塗りつぶされたセルが、反り予測モデルM1からシート反り量を予測したセルである。また、この予測結果から、太枠で囲んで示す各坪量に関して最もシート反り量の少ない最適プレヒータ巻付角Aprdにより、プレ制御テーブル21の初期制御値Asetが標準制御値Aから更新されている。すなわち、坪量100,150,200,250,300[g/m
2]に対して、それぞれ、プレヒータ巻付角40,40,60,20,20[degree]を初期制御値Asetとして、プレ制御テーブル21が更新される。
【表5】
【0055】
下表6に、更新前及び更新後の初期制御値Asetを纏める。下表6からも明らかなように、250,300[g/m
2]の坪量の初期制御値Asetについては、更新前の標準制御値Aに較べて大幅に変更される上に、100〜200[g/m
2]の坪量の標準制御値Aよりも小さくなっている。更新前の初期制御値Asetである標準制御値Aは、坪量が大きくなるにしたがってプレヒータ巻付角の最適値は大きくなる傾向があるとの知見を反映して設定されたものであるが、更新後の初期制御値Asetでは、このような知見が反映されていない。
【表6】
【0056】
次に、本実施形態について説明する。例えば、履歴データベース25から下表7に示すような実績データが得られているとする。下表7は、縦の列を坪量とし、横の列をプレヒータ巻付角の補正量ΔAとしたものであり、セル内の数字は、対応する坪量とプレヒータ巻付角の補正量ΔAとにおけるシート反り量を示し、セル内がブランクのものは実績データが無いことを示す。
なお、プレ制御テーブルでは、比較例の場合と同じく、100,150,200,250,300[g/m
2]の坪量に対して、それぞれ、20,20,40,100,120[degree]のプレヒータ巻付角が標準制御値Aとして設定されている。
【表7】
【0057】
表7のプレヒータ巻付角の実績データから線形回帰により反り予測モデルM1を作成し、この反り予測モデルM1から実績データのない坪量及びプレヒータ巻付角におけるシート反り量を予測したものを表8に示す。表8の塗りつぶされたセルが、反り予測モデルM1からシート反り量を予測されたセルである。また、この予測結果から、太枠で囲んで示すように、各坪量に関して最もシート反り量の少ない最適プレヒータ巻付角Aprdに対応した補正量より補正量テーブル23の補正量ΔAが更新されている。すなわち、100,150,200,250,300[g/m
2]の坪量に対して、それぞれ補正量ΔAとして40[degree]が設定されるように、補正量テーブル23が更新される。
【表8】
【0058】
下表9に、初期制御値Asetの補正前(=A)と補正後(=A+ΔA)とを纏める。
【表9】
このように本実施形態では、更新後において
、250,300[g/m
2]の坪量についてプレヒータ巻付角の標準制御値Aから
の補正量
ΔAが40[degree]と比較例に較べて少なく、また、プレヒータ巻付角の初期制御値Aset(=標準制御値A+補正量ΔA)も坪量が大きくなるにしたがって大きくなる傾向が維持されている。
これは、本実施形態では、プレ制御テーブル21の標準制御値Aそのものを更新するのではなく、補正量テーブル23の補正量を更新しているので、標準制御値Aを、制御値のベース部分として残すことができることによる。つまり、坪量が大きくなるにしたがってプレヒータ巻付角を大きく設定することでシート反り量を抑制できるといった、プレ制御テーブル21に反映された知見を確実に残せるためである。
【0059】
[4.第3実施形態]
[4−1.生産管理装置の構成]
図10及び
図11を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態の段ボールシート製造システム100Bは、段ボールシート製造装置1と、生産管理装置2Bとから構成される。
本実施形態の生産管理装置2Bは、第2実施形態の生産管理装置2Aに対して、履歴データベース,予測モデル生成部及び補正量更新部の機能が異なるだけなので、
図10に太枠で示す履歴データベース25A,予測モデル生成部28A及び補正量更新部24Bについてだけ説明する。その他の構成要素等は、前記第2実施形態と同様であるため、
図10及び
図11に第4実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
履歴データベース25Aは、温度センサT1,T2,T3,T4から、プレヒータ出口又はプレヒータ出口よりも僅かに下流側の原紙30〜33の温度情報を取得し、実績データセットを構成する情報として、原紙30〜33の温度情報の少なくとも一つを含む。
予測モデル生成部28Aは、履歴データベース25Aから、実績データセットとして、反り量情報に加えて温度情報を取得する。そして、
図11に示すように、反り予測モデルM1に加えて、塗りつぶしの丸で示す温度情報に基づいて、プレヒータ巻付角から温度を予測する温度予測モデルM2を生成する。このように予測モデル生成部28Aは、本発明の第一予測モデル生成手段及び第二予測モデル生成手段を一体に構成する。第一予測モデル生成手段及び第二予測モデル生成手段を別々に構成してももちろんよい。
【0061】
補正量更新部24Bは、温度予測モデルM2により予想される温度が、閾値温度よりも高温となるプレヒータ巻付角の中から、シート反り量が最も少ないものを最適プレヒータ巻付角Aprdとして設定する。
図11に示す例では、75[degree]が最適プレヒータ巻付角Aprdとして設定される。なお、閾値温度は、それ以下の温度になると貼り付け不良が生じるおそれのある温度、又は、この温度に余裕を持たせた温度である。
【0062】
[4−2.作用・効果]
本実施形態によれば、第2実施形態の作用効果に加え、温度が貼り付け不良が生じるおそれのない温度となるよう、補正量テーブル23が更新されるので、貼り付け不良を抑制することができる。
【0063】
[5.第4実施形態]
[5-1.生産管理装置の構成]
図12及び
図13を参照して、本発明の第
4実施形態について説明する。本実施形態の段ボールシート製造システム100Cは、段ボールシート製造装置1と、生産管理装置2Cとから構成される。
図12に示すように、本実施形態の段ボールシート製造システム及び生産管理装置2Cは、太枠で示す箇所が前記第2実施形態と異なる。つまり、本実施形態は第2実施形態に対して、予測モデル生成部28B及び補正量更新部24Cの機能がそれぞれ一部異なる。その他の構成要素は、前記第2実施形態と同様であるため、第2実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
補正量更新部24Cは、更新対象となるセルを予測モデル生成部28Bに出力する。
予測モデル生成部28Bは、履歴データベース25から取得した実績データセットに基づいて、補正量更新部24Cから要求にあった更新対象のセルについて、反り予測モデルM1(+1δ)及び反り予測モデルM1(−1δ)を生成して記憶する。
前記補正量更新部24Cは、予測モデル生成部28Bにより生成されたこの反り予測モデルM1(+1δ)及び反り予測モデルM1(−1δ)を使用して、更新対象となるセルにおいて最適プレヒータ巻付角Aprdを求め、プレ制御テーブル21から取得した標準制御値Aと最適プレヒータ巻付角Aprdとの差(=Aprd−A)により、更新対象のセルの補正量ΔAの値を使用して補正量テーブル23を更新する。
【0065】
図13を参照し、補正量更新部24C及び予測モデル生成部28Bについて、制御要素としてプレヒータ巻付角[degree]を例に取り、さらに説明する。
予測モデル生成部28Bは、更新対象のセルの範囲に入る実績データセットを履歴データベース25から取得する。そして、
図13に塗りつぶしの四角で示す実績データセットから、第2実施形態と同様の手法により、反り予測モデルM1(+1δ),M(−1δ)を生成する。反り予測モデルM1(+1δ),M(−1δ)は、第2実施形態の反り予測モデルM1に対して、標準偏差δ分の不確かさをプラス側、マイナス側にそれぞれ見込んだものである。かかる不確かさの算出方法は特定の手法に限定されない。
【0066】
補正量更新部24Cは、シート反り量を、この2つの反り予測モデルM1(+1δ),M(−1δ)に挟まれた領域として予測する。すなわち、補正量更新部24Cは、プレヒータ巻付角に対するシート反り量を、予測の不確かさに起因する幅を持った予測幅Rwfとして予測する。この予測幅Rwfは、実績データセットが少ない領域ほど広くなり、実績データセットの存在する領域から離れるほど広くなる。
【0067】
そして、補正量更新部24Cは、予測幅Rwfがシート反り量の許容範囲R0とオーバラップする割合が最大となるプレヒータ巻付角を最適プレヒータ巻付角Aprdとして設定する。
図13に示す例では最適プレヒータ巻付角Aprdとして75[degree]が設定される。
【0068】
[5−2.作用・効果]
本実施形態によれば、シート反り量を予測幅Rwfとして予測し、この予測幅Rwfが、シート反り量の許容範囲R0とオーバラップする割合が最大となるプレヒータ巻付角を最適プレヒータ巻付角Aprdとする。予測の不確かさが大きいほど予測幅Rwfは大きくなるので、運転実績が少ないなど予測の不確かさが大きなプレヒータ巻付角は、最適プレヒータ巻付角Aprdとして設定されにくくなる。
したがって、最適プレヒータ巻付角Aprdに不適切なプレヒータ巻付角が選択されてしまうことを抑制して、補正量テーブル23を適切に更新することができるので、段ボールシート35の反りを一層速やかに矯正することができる。
【0069】
[5−3.変形例]
図14に示すように、予測モデル生成部28Bにより予測シート反り量が最大となるような反り最悪予測モデルM3を、例えばガウス過程やベイズ回帰により生成して、この予測モデルM3が最小となるプレヒータ巻付角度を最適プレヒータ巻付角Aprdとして補正量テーブル23の更新に使用してもよい。
図14に示す例では最適プレヒータ巻付角Aprdとして76[degree]が設定される。
【0070】
[6.第5実施形態]
[6-1.生産管理装置の構成]
要部のみ示す
図15を参照して、本発明の第5実施形態に係る生産管理装置2Dについて説明する。
本実施形態の段ボールシート製造システム及び生産管理装置2Dは、太枠で示す補正量制限部23aを備えた点以外は、
図8に示す第2実施形態と同じであるので、補正量制限部23aについてだけ説明する。
【0071】
補正量制限部23aは、補正量更新部24Aが、補正対象のセルの補正量ΔAを更新する際に、その更新による変更幅を閾値以内に制限するものである。具体的には、補正量制限部23aは、補正対象のセルに関して、補正量テーブル23から現在の補正量ΔAを取得すると共に補正量更新部24Aから更新後に使用予定の補正量ΔA′を取得する。そして、現在の補正量と、更新後に使用予定の補正量との差(=ΔA′−ΔA)の絶対値、すなわち補正量の変更幅が、閾値を越える場合には、この変更幅が閾値内に収まるように補正量ΔA′を修正する。具体例としては、更新対象のセルの現在の補正量ΔAが40[degree]、更新後に使用予定の補正量ΔA′が100[degree]、閾値が10[degree]の場合には、補正量制限部23aによって補正量ΔA′が50[degree]に修正される。
【0072】
[6−2.作用・効果]
(1)本実施形態によれば、更新に伴う補正量ΔAの変更幅が制限され、ひいては初期制御値Asetの変更幅が制限される。反り予測モデルM1の不確かさが大きい場合、この反り予測モデルM1に基づいて導出された補正量ΔA′も不確かさが大きいと推察される。したがって、この補正量ΔA′により補正
量テーブル23を更新すると、初期制御値Asetが不適切な値となって段ボールシート35の反りを却って抑制できなくなるリスクがあるが、補正量ΔAの変化幅を制限することで、反り予測モデルM1の不確かさが大きい場合でもこのようなリスクを回避することができる。
(2)本実施形態では、補正量ΔAの変化量を制限することで予測モデルの不確かさに対応しているので、反り予測モデルM1(+1δ),M(−1δ)を生成することで予測モデルの不確かさに対応した第4実施形態に較べて、反り予測モデルM1(+1δ),M(−1δ)を生成するための複雑なプロセスを省略することができる。
[7.その他]
(1)上記の第2〜第5実施形態では、第1実施形態の構成に対し、予測モデル生成部28A,28Bを加えた構成となっているが、第1実施形態の第1変形例〜第3変形例に対して予測モデル生成部を加えてもよい。
(2)上記第5実施形態では、第2実施形態の構成に対し、補正量制限部23aを加えた構成となっているが、その他の前記実施形態及び前記変形例に対して補正量制限部を加えてもよい。