(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6787849
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/447 20060101AFI20201109BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20201109BHJP
B41J 2/45 20060101ALI20201109BHJP
H05B 45/40 20200101ALI20201109BHJP
H03K 17/16 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
B41J2/447 101D
H05B33/14 A
B41J2/447 101L
B41J2/45
B41J2/447 101J
B41J2/447 101G
B41J2/447 101B
H05B45/40
H03K17/16 H
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-148118(P2017-148118)
(22)【出願日】2017年7月31日
(65)【公開番号】特開2019-25797(P2019-25797A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】横山 良一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆信
(72)【発明者】
【氏名】西出 雅彦
【審査官】
安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−121020(JP,A)
【文献】
特開2009−164236(JP,A)
【文献】
特開2009−003463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/447
B41J 2/45
H01L 51/50
H03K 17/16
H05B 45/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部、接地部および駆動信号出力部と、
前記接地部に接続された発光素子と、
前記電源部と前記発光素子とを接続する接続線上に直列接続された、pチャネル薄膜トランジスタおよびスイッチ素子と、
前記駆動信号出力部と前記pチャネル薄膜トランジスタのゲート電極と前記スイッチ素子に接続された駆動制御部と、を有しており、
前記駆動制御部は、前記スイッチ素子のオン、オフを制御しており、前記スイッチ素子をオフ状態としたときに、前記pチャネル薄膜トランジスタをリセットする発光装置。
【請求項2】
前記接続線上に以下の順に直列接続された、pチャネル薄膜トランジスタおよびスイッチ素子を有している請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記駆動制御部は、前記駆動信号出力部から出力し前記pチャネル薄膜トランジスタのゲート電極に入力する駆動信号の入力、非入力を制御しており、前記駆動信号の非入力のときに前記pチャネル薄膜トランジスタをリセットする請求項1または請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記駆動制御部は、前記pチャネル薄膜トランジスタをリセットするリセット動作を複数回行う請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
電源部、接地部および駆動信号出力部と、
前記電源部と前記接地部とを接続する第1の接続線上に前記電源部の側から以下の順に直列接続された、スイッチ素子、pチャネル薄膜トランジスタおよび発光素子と、
前記スイッチ素子および前記駆動信号出力部に接続された第1の駆動制御部と、
前記駆動信号出力部と前記pチャネル薄膜トランジスタのゲート電極とを接続する第2の接続線上に接続された第2の駆動制御部と、を有しており、
前記第1の駆動制御部は、前記スイッチ素子のオン、オフを制御しており、前記スイッチ素子をオフ状態とすることによって前記発光素子のオフ期間を設定し、
前記第2の駆動制御部は、前記オフ期間において、前記pチャネル薄膜トランジスタをリセットする発光装置。
【請求項6】
前記第1の駆動制御部は、前記駆動信号出力部から出力し前記pチャネル薄膜トランジスタのゲート電極に入力する駆動信号の入力、非入力を制御しており、前記駆動信号の非入力のときに前記スイッチ素子をオフ状態とする第1のオフ期間と、前記駆動信号の入力のときに前記スイッチ素子をオフ状態とする第2のオフ期間と、を設定し、
前記第2の駆動制御部は、前記第1のオフ期間および前記第2のオフ期間のそれぞれにおいて、前記pチャネル薄膜トランジスタをリセットする請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
電源部、接地部および駆動信号出力部と、
前記電源部と前記接地部を接続する第1の接続線上に前記電源部の側から以下の順に直列接続された、pチャネル薄膜トランジスタ、スイッチ素子および発光素子と、
前記pチャネル薄膜トランジスタと前記スイッチ素子との間の前記第1の接続線から分岐し前記接地部に接続される第2の接続線上に、前記スイッチ素子と並列に接続されたバイパス回路と、
前記スイッチ素子、前記バイパス回路および前記駆動信号出力部に接続された第1の駆動制御部と、
前記駆動信号出力部と前記pチャネル薄膜トランジスタのゲート電極とを接続する第3の接続線上に接続された第2の駆動制御部と、を有しており、
前記第1の駆動制御部は、前記スイッチ素子のオン、オフおよび前記バイパス回路の導通、非導通を制御しており、前記スイッチ素子をオフ状態とすることによって前記発光素子のオフ期間を設定するとともに、前記バイパス回路を導通状態とし、
前記第2の駆動制御部は、前記オフ期間において、前記pチャネル薄膜トランジスタをリセットするとともに、前記pチャネル薄膜トランジスタおよび前記バイパス回路に電流を流す発光装置。
【請求項8】
前記第1の駆動制御部は、前記駆動信号出力部から出力し前記pチャネル薄膜トランジスタのゲート電極に入力する駆動信号の入力、非入力を制御しており、前記駆動信号の非入力のときに前記スイッチ素子をオフ状態とする第1のオフ期間と、前記駆動信号の入力のときに前記スイッチ素子をオフ状態とする第2のオフ期間と、を設定するとともに、前記第1のオフ期間および前記第2のオフ期間のそれぞれにおいて、前記バイパス回路を導通状態とし、
前記第2の駆動制御部は、前記第1のオフ期間および前記第2のオフ期間のそれぞれにおいて、前記pチャネル薄膜トランジスタをリセットするとともに、前記pチャネル薄膜トランジスタおよび前記バイパス回路に電流を流す請求項7に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機LED(Organic Light Emitting diode:OLED)素子等の発光ダイオード素子を備えた発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の発光装置の1例を
図5に示す。
図5(a)は発光装置の全体の平面図、(b)は(a)のA部及びIC,LSI等から成る駆動素子34を拡大して示す回路図である。この発光装置は、有機LEDプリンタヘッド(OLEDPH)に適用されるものであり、ガラス基板等から成る長板状の基板31の一面に、複数の発光ダイオード素子33の発光(点灯)をそれぞれ駆動する複数の駆動回路ブロック32と、基板31の長手方向に沿って2列(2行または2段)に並べられて配置された複数の発光ダイオード素子33と、駆動回路ブロック32を構成する配線及び駆動回路ブロック32と発光ダイオード素子33を接続する配線とが、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法によって形成されている。複数の駆動回路ブロック32は、複数の発光ダイオード素子33の列に沿って列状に並べられており、例えば1つの駆動回路ブロック32が400個の発光ダイオード素子33を駆動するものであり、その駆動回路ブロック32が20個並べられている。従って、発光ダイオード素子33は合計で8000個ある。また、基板31の一面の一端部には駆動回路ブロック32及び発光ダイオード素子33を駆動し発光ダイオード素子33の発光を制御する駆動素子34が、チップオングラス(Chip On Glass:COG)方式等の実装方法によって、設置されている。また、基板31の一面における駆動素子34設置部の近傍の縁部に、フレキシブル回路基板(Flexible Printed Circuit:FPC)35が設置されている。このFPC35は、駆動素子34との間で駆動信号、制御信号等を入出力する。なお、
図5において、符号37で示す部位は、駆動素子34と駆動回路ブロック32を接続するデータ配線等の配線である。
【0003】
図5(b)に示すように、2列を成す2個の発光ダイオード素子33a,33bに対して1組の駆動回路が形成されており、1組の駆動回路は、シフトレジスタ40、論理和否定(NOR)回路41、インバータ42、CMOSトランスファゲート素子43a,43b、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)44a,44bを有している。TFT44a,44bの各ドレイン電極に有機LED素子等から成る発光ダイオード素子33a,33bがそれぞれ接続されている。また、TFT44a,44bのそれぞれは、ゲート電極とソース電極との間の接続線上に容量素子45a,45bが接続されている。
【0004】
1組の駆動回路は、以下のように順次動作する。シフトレジスタ40は、クロック端子(CLK)にハイ(「1」)のクロック信号(CLK)が入力されるとともに入力端子(in)にハイの同期信号(Vsync)が入力されたときに、出力端子(Q)からハイ(H:「1」)の信号が出力されるとともに反転出力端子(XQ)からロー(L:「0」)の信号が出力される。次に、NOR回路41は、反転出力端子(XQ)からローの信号が入力されるとともに反転イネーブル信号(XENB)であるローの信号が入力されて、ハイの信号を出力する。次に、インバータ42はローの信号を出力する。次に、CMOSトランスファゲート素子43aは、n型MOSトランジスタのゲート電極にNOR回路41からのハイの信号が入力されるとともにp型MOSトランジスタのゲート電極にインバータ42からローの信号が入力されてオン状態となり、データ信号(DATA11)を出力する。次に、データ信号(DATA11)がTFT44aのゲート電極に入力されてTFT44aがオン状態となり、データ信号(DATA11)に応じた電源電圧(VDD)による電源電流が発光ダイオード素子33aに供給される。同時に、CMOSトランスファゲート素子43bは、n型MOSトランジスタのゲート電極部にNOR回路41からのハイの信号が入力されるとともにp型MOSトランジスタのゲート電極部にインバータ42からローの信号が入力されてオン状態となり、データ信号(DATA12)を出力する。次に、データ信号(DATA12)がTFT44bのゲート電極に入力されてTFT44bがオン状態となり、データ信号(DATA12)に応じた電源電圧(VDD)による電源電流が発光ダイオード素子33bに供給される。以上の一連の動作が、次段の駆動回路によって順次実行されていき、すべての発光ダイオード素子33が順次発光していく。
【0005】
また
図6は、他の従来例を示す図であり、基板31の長手方向に沿って4列(4行または4段)に並べられて配置された複数の発光ダイオード素子33を有する構成を示す。この場合、上側2列の発光ダイオード素子33群に電源電流を供給する上側の駆動回路ブロック32群と、下側2列の発光ダイオード素子33群に電源電流を供給する下側の駆動回路ブロック32群と、を有している。
【0006】
また、
図5、
図6に示すように、基板31の発光ダイオード素子搭載面の周縁部と、封止基板36の基板31に対向する面の周縁部とが、シール部材38によって接着され封止されている。そして、シール部材38の内側の空間には、アクリル樹脂等から成る絶縁層(
図8の絶縁層59に相当する)が、駆動回路ブロック32、発光ダイオード素子33、配線37等のほとんどを覆うように配置されている。
【0007】
図7は、
図6のB部を拡大して示す部分拡大平面図、
図8は、
図7のC1−C2線における断面図である。これらの図に示すように、発光装置は、ガラス基板等の透光性を有する基板51上に形成されたTFT62と、TFT62上にアクリル樹脂、窒化シリコン(SiN
x)等から成る絶縁層57を挟んで積層された有機発光体部71、及び有機発光体部71とTFT62のドレイン電極56bとを導電接続するコンタクトホール72を含んでいる。有機発光体部71は、TFT62の側からコンタクトホール72に電気的に接続された第1電極層58、有機発光層60、第2電極層61が積層されており、絶縁層57及び第1電極層58上に有機発光層60を囲むようにアクリル樹脂等から成る他の絶縁層59が形成されている。
【0008】
また、
図6、
図7において、符号33Lで示す部位は第1電極層58及び第2電極層61によって有機発光層60に直接的に電界が印加されて発光する発光部である。発光ダイオード素子33は、平面視で、発光部33L、その周囲の第1電極層58及び有機発光層60を含む部位である。また、第1電極層58が陽極であってインジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide :ITO)等の透明電極から成り、第2電極層61が陰極であってAl,Al−Li合金,Mg−Ag合金(Agを5〜10重量%程度含む),Mg−Cu合金(Cuを5〜10重量%程度含む)等の仕事関数が約4.0V以下と低く遮光性、光反射性を有する金属、合金から成る場合、有機発光層60で発光した光は基板51側から出射される。即ち、発光方向(
図8の白抜き矢印で示す方向)が下方(底部方向)であるボトムエミッション型の発光装置となる。一方、第1電極層58が陰極であって上記の遮光性、光反射性を有する金属またはそれらの合金から成り、第2電極層61が陽極であって透明電極から成る場合、発光方向が上方(頂部方向)であるトップエミッション型の発光装置となる。
【0009】
TFT62は、基板51側から、ゲート電極52、ゲート絶縁膜53、チャネル部としてのポリシリコン膜54及びポリシリコンに不純物をチャネル部よりも高濃度に含有させた高濃度不純物領域54aから成る半導体膜、窒化シリコン(SiN
x),酸化シリコン(SiO
2)等から成る絶縁膜55、ソース電極56a及びドレイン電極56bが、順次積層された構成を有している。なお、
図6において、符号56aLで示す部位はソース電極56aにソース信号(電源電流)を伝達するソース信号線(電源配線)であり、符号52Lで示す部位はゲート電極52にゲート信号を伝達するゲート信号線である。各ゲート信号線52Lに入力するゲート信号の電圧を制御することにより、各有機発光層60の発光強度を制御することができる。すなわち、ソース信号線56aLは電源配線として機能する。
【0010】
また、
図9は
図5(b)のD部を拡大して示す回路図であり、発光ダイオード素子33aと、そのカソード側(正電圧側)に配置された駆動用のTFT44aと、を示す。
図9(a)に示すように、TFT44aは、ゲート電極に駆動素子34からゲート電圧(DATA12)Vgが入力されており、ゲート電圧Vgの電圧値によって発光ダイオード素子33aに印加される駆動電圧Vsおよび駆動電流Idが制御される。なお、ゲート電圧Vgは、駆動素子34に含まれるDAC(Digital to Analog Convertor)回路部から供給される。
【0011】
図9(b)に示すように、発光ダイオード素子33aを発光させないオフ期間において、ゲート電圧Vgはゲートオフ電圧Vgoffであり、Vgoffはアノード電圧Va(VDD)に等しく一定であり、例えば14Vである。発光ダイオード素子33aを発光させるオン期間において、ゲート電圧Vgは、ゲート電圧オフゾーンVgoffz(14V〜12V)およびゲート電圧オンゾーンVgonz(12V〜8V)において電圧値が制御される。
【0012】
図9(c)に示すように、オフ期間において、駆動電圧Vsは駆動オフ電圧Vsoffであり、カソード電圧Vc(VSS)に等しく一定であり、0Vである。オン期間において、駆動電圧Vsは、駆動電圧オフゾーンVsoffz(0V〜2V)および駆動電圧オンゾーンVsonz(2V〜6V)において電圧値が制御される。
【0013】
また他の従来例として、1ラインに配列される複数の発光ダイオード素子と、電源側の給電点に接続される薄膜配線で形成した第1の電源線と、接地側の給電点に接続される薄膜配線で形成した第2の電源線とを備え、各発光ダイオード素子を第1の電源線および第2の電源線間に接続するラインヘッドであって、第1の電源線と第2の電源線間に、電源線の電圧変動抑制手段(コンデンサ)を接続したラインヘッドが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2005−153372号公報
【特許文献2】再公表特許WO2013/076771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、
図5〜
図9に示す上記従来の発光装置においては、以下の問題点があった。
図9(c)に示すように、発光装置がオフ期間からオン期間に切り替わった直後に、駆動電圧Vsが駆動電圧オンゾーンVsonz(4V〜6V)を超えた電圧値となるオーバーシュートが、200μsec(マイクロ秒)程度の期間発生していた。このオーバーシュートの期間には、駆動電流Idの最大値よりも大きい過電流が発光ダイオード素子33aに流れるために、発光装置を用いて感光ドラム等の感光部材を露光し印刷して得られた画像、印字に周期的な印刷ムラ、印字ムラが発生するという問題点があった。特許文献1に開示された電圧変動抑制手段はコンデンサであり、経時的にオーバーシュートの絶対値が大きくなったり、期間が長くなるという変動に対して対応することが非常に難しいという問題点があった。
【0016】
上記オーバーシュートが発生する原因としては、P型半導体(PMOS)に特有のスロートラップ現象等が考えられる。すなわち、駆動用のTFT44aのゲート電極に、オフ期間において高電圧(例えば、14V)のゲート電圧Vgが印加された状態が続くと、閾値電圧(14V−(電流が流れ出す電圧:12V〜13V)=1V〜2V)が電流が流れやすい側(1V〜2Vよりも低い電圧の側)に変動(シフト)する。そして、TFT44aのゲート電極にオン電圧(例えば、8V〜12V)が印加されると、オン電圧が印加された直後に上記のオーバーシュートが発生するものと考えられる。
【0017】
そこで、駆動トランジスタの閾値電圧の経時的な変化を低減するために、電源回路が電源線に出力する電圧を調整して、発光素子の両端間の電圧を発光素子の閾値電圧以下にし、駆動トランジスタのゲート電極−ソース電極間電圧が、駆動トランジスタの閾値電圧よりも大きな電圧となるリセット電圧を、駆動トランジスタのゲート電極に印加する表示装置の駆動方法が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。しかしながら、特許文献2に開示された構成においては、電源回路自体が電源線に出力する電圧を直接的に調整しているために、電源電圧をオン、オフし調整する負担が大きくなる。その結果、表示装置の駆動効率が低下しやすくなり、消費電力が大きくなりやすいという問題点があった。
【0018】
本発明は、上記の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、発光ダイオード素子の駆動電圧がオフ期間からオン期間に切り替わった直後にオーバーシュートすることを効果的に抑えること、また経時的にオーバーシュートの絶対値が大きくなったり、オーバーシュートの期間が長くなるという変動があったとしても、対応できるようにすること、さらには発光装置の駆動効率を高めて消費電力を小さくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の発光装置は、電源部、接地部および駆動信号出力部と、前記接地部に接続された発光素子と、前記電源部と前記発光素子とを接続する接続線上に直列接続された、pチャネル薄膜トランジスタおよびスイッチ素子と、前記駆動信号出力部と前記pチャネル薄膜トランジスタのゲート電極と前記スイッチ素子に接続された駆動制御部と、を有しており、前記駆動制御部は、前記スイッチ素子のオン、オフを制御しており、前記スイッチ素子をオフ状態としたときに、前記pチャネル薄膜トランジスタをリセットする構成である。
【0020】
本発明の発光装置は、好ましくは、前記接続線上に以下の順に直列接続された、pチャネル薄膜トランジスタおよびスイッチ素子を有している。
【0021】
また本発明の発光装置は、好ましくは、前記駆動制御部は、前記駆動信号出力部から出力し前記pチャネル薄膜トランジスタのゲート電極に入力する駆動信号の入力、非入力を制御しており、前記駆動信号の非入力のときに前記pチャネル薄膜トランジスタをリセットする。
【0022】
また本発明の発光装置は、好ましくは、前記駆動制御部は、前記pチャネル薄膜トランジスタをリセットするリセット動作を複数回行う。
【0023】
本発明の発光装置は、電源部、接地部および駆動信号出力部と、前記電源部と前記接地部とを接続する第1の接続線上に前記電源部の側から以下の順に直列接続された、スイッチ素子、pチャネル薄膜トランジスタおよび発光素子と、前記スイッチ素子および前記駆動信号出力部に接続された第1の駆動制御部と、前記駆動信号出力部と前記pチャネル薄膜トランジスタのゲート電極とを接続する第2の接続線上に接続された第2の駆動制御部と、を有しており、前記第1の駆動制御部は、前記スイッチ素子のオン、オフを制御しており、前記スイッチ素子をオフ状態とすることによって前記発光素子のオフ期間を設定し、前記第2の駆動制御部は、前記オフ期間において、前記pチャネル薄膜トランジスタをリセットする構成である。
【0024】
本発明の発光装置は、好ましくは、前記第1の駆動制御部は、前記駆動信号出力部から出力し前記pチャネル薄膜トランジスタのゲート電極に入力する駆動信号の入力、非入力を制御しており、前記駆動信号の非入力のときに前記スイッチ素子をオフ状態とする第1のオフ期間と、前記駆動信号の入力のときに前記スイッチ素子をオフ状態とする第2のオフ期間と、を設定し、前記第2の駆動制御部は、前記第1のオフ期間および前記第2のオフ期間のそれぞれにおいて、前記pチャネル薄膜トランジスタをリセットする。
【0025】
本発明の発光装置は、電源部、接地部および駆動信号出力部と、前記電源部と前記接地部を接続する第1の接続線上に前記電源部の側から以下の順に直列接続された、pチャネル薄膜トランジスタ、スイッチ素子および発光素子と、前記pチャネル薄膜トランジスタと前記スイッチ素子との間の前記第1の接続線から分岐し前記接地部に接続される第2の接続線上に、前記スイッチ素子と並列に接続されたバイパス回路と、前記スイッチ素子、前記バイパス回路および前記駆動信号出力部に接続された第1の駆動制御部と、前記駆動信号出力部と前記pチャネル薄膜トランジスタのゲート電極とを接続する第3の接続線上に接続された第2の駆動制御部と、を有しており、前記第1の駆動制御部は、前記スイッチ素子のオン、オフおよび前記バイパス回路の導通、非導通を制御しており、前記スイッチ素子をオフ状態とすることによって前記発光素子のオフ期間を設定するとともに、前記バイパス回路を導通状態とし、前記第2の駆動制御部は、前記オフ期間において、前記pチャネル薄膜トランジスタをリセットするとともに、前記pチャネル薄膜トランジスタおよび前記バイパス回路に電流を流す構成である。
【0026】
本発明の発光装置は、好ましくは、前記第1の駆動制御部は、前記駆動信号出力部から出力し前記pチャネル薄膜トランジスタのゲート電極に入力する駆動信号の入力、非入力を制御しており、前記駆動信号の非入力のときに前記スイッチ素子をオフ状態とする第1のオフ期間と、前記駆動信号の入力のときに前記スイッチ素子をオフ状態とする第2のオフ期間と、を設定するとともに、前記第1のオフ期間および前記第2のオフ期間のそれぞれにおいて、前記バイパス回路を導通状態とし、前記第2の駆動制御部は、前記第1のオフ期間および前記第2のオフ期間のそれぞれにおいて、前記pチャネル薄膜トランジスタをリセットするとともに、前記pチャネル薄膜トランジスタおよび前記バイパス回路に電流を流す。
【発明の効果】
【0027】
本発明の発光装置は、電源部、接地部および駆動信号出力部と、前記接地部に接続された発光素子と、前記電源部と前記発光素子とを接続する接続線上に直列接続された、pチャネル薄膜トランジスタおよびスイッチ素子と、前記駆動信号出力部と前記pチャネル薄膜トランジスタのゲート電極と前記スイッチ素子に接続された駆動制御部と、を有しており、前記駆動制御部は、前記スイッチ素子のオン、オフを制御しており、前記スイッチ素子をオフ状態としたときに、前記pチャネル薄膜トランジスタをリセットする構成であることから、以下の効果を奏する。駆動制御部は、スイッチ素子をオフ状態としたときに、pチャネル薄膜トランジスタをリセットするので、駆動用のpチャネル薄膜トランジスタの閾値電圧の経時的な変化を抑えることができる。その結果、発光素子の駆動電圧がオフ期間からオン期間に切り替わった直後にオーバーシュートすることを効果的に抑えることができる。また、駆動制御部によってリセットに用いるリセットパルスの時間幅、電圧を制御できるので、経時的にオーバーシュートの絶対値が大きくなったり、オーバーシュートの期間が長くなるという変動があったとしても、対応できる。また、電源部の電源電圧を直接制御する必要がないので、発光装置の駆動効率を高めて消費電力を小さくすることができる。
【0028】
本発明の発光装置は、前記接続線上に以下の順に直列接続された、pチャネル薄膜トランジスタおよびスイッチ素子を有している場合、発光素子の直前にスイッチ素子が配置されており、スイッチ素子のオン、オフを制御するだけで発光素子のオン、オフを制御できる。その結果、回路構成が簡易化され、発光装置の駆動効率をより高めて消費電力をより小さくすることができる。
【0029】
また本発明の発光装置は、前記駆動制御部は、前記駆動信号出力部から出力し前記pチャネル薄膜トランジスタのゲート電極に入力する駆動信号の入力、非入力を制御しており、前記駆動信号の非入力のときに前記pチャネル薄膜トランジスタをリセットする場合、pチャネル薄膜トランジスタのゲート電極に高電圧のオフ電圧が印加されている駆動信号の非入力時においてリセットするので、pチャネル薄膜トランジスタの閾値電圧の経時的な変化を抑える効果が向上する。
【0030】
また本発明の発光装置は、前記駆動制御部は、前記pチャネル薄膜トランジスタをリセットするリセット動作を複数回行う場合、pチャネル薄膜トランジスタの閾値電圧の経時的な変化を抑える効果がより向上する。
【0031】
本発明の発光装置は、電源部、接地部および駆動信号出力部と、前記電源部と前記接地部とを接続する第1の接続線上に前記電源部の側から以下の順に直列接続された、スイッチ素子、pチャネル薄膜トランジスタおよび発光素子と、前記スイッチ素子および前記駆動信号出力部に接続された第1の駆動制御部と、前記駆動信号出力部と前記pチャネル薄膜トランジスタのゲート電極とを接続する第2の接続線上に接続された第2の駆動制御部と、を有しており、前記第1の駆動制御部は、前記スイッチ素子のオン、オフを制御しており、前記スイッチ素子をオフ状態とすることによって前記発光素子のオフ期間を設定し、前記第2の駆動制御部は、前記オフ期間において、前記pチャネル薄膜トランジスタをリセットする構成であることから、以下の効果を奏する。第2の駆動制御部は、オフ期間において、pチャネル薄膜トランジスタをリセットするので、pチャネル薄膜トランジスタの閾値電圧の経時的な変化を抑えることができる。その結果、発光素子の駆動電圧がオフ期間からオン期間に切り替わった直後にオーバーシュートすることを効果的に抑えることができる。また、第2の駆動制御部によってリセットに用いるリセットパルスの時間幅、電圧を制御できるので、経時的にオーバーシュートの絶対値が大きくなったり、オーバーシュートの期間が長くなるという変動があったとしても、対応できる。また、第1の駆動制御部は、スイッチ素子のオン、オフを制御しており、スイッチ素子をオフ状態とすることによって発光素子のオフ期間を設定するので、電源部の電源電圧を直接制御する必要がなく、その結果、発光装置の駆動効率を高めて消費電力を小さくすることができる。
【0032】
本発明の発光装置は、前記第1の駆動制御部は、前記駆動信号出力部から出力し前記pチャネル薄膜トランジスタのゲート電極に入力する駆動信号の入力、非入力を制御しており、前記駆動信号の非入力のときに前記スイッチ素子をオフ状態とする第1のオフ期間と、前記駆動信号の入力のときに前記スイッチ素子をオフ状態とする第2のオフ期間と、を設定し、前記第2の駆動制御部は、前記第1のオフ期間および前記第2のオフ期間のそれぞれにおいて、前記pチャネル薄膜トランジスタをリセットする場合、ある程度の電圧値(データ値)を有することが多い駆動信号の入力時においてもリセットするので、pチャネル薄膜トランジスタの閾値電圧の経時的な変化を抑える効果が向上する。
【0033】
本発明の発光装置は、電源部、接地部および駆動信号出力部と、前記電源部と前記接地部を接続する第1の接続線上に前記電源部の側から以下の順に直列接続された、pチャネル薄膜トランジスタ、スイッチ素子および発光素子と、前記pチャネル薄膜トランジスタと前記スイッチ素子との間の前記第1の接続線から分岐し前記接地部に接続される第2の接続線上に、前記スイッチ素子と並列に接続されたバイパス回路と、前記スイッチ素子、前記バイパス回路および前記駆動信号出力部に接続された第1の駆動制御部と、前記駆動信号出力部と前記pチャネル薄膜トランジスタのゲート電極とを接続する第3の接続線上に接続された第2の駆動制御部と、を有しており、前記第1の駆動制御部は、前記スイッチ素子のオン、オフおよび前記バイパス回路の導通、非導通を制御しており、前記スイッチ素子をオフ状態とすることによって前記発光素子のオフ期間を設定するとともに、前記バイパス回路を導通状態とし、前記第2の駆動制御部は、前記オフ期間において、前記pチャネル薄膜トランジスタをリセットするとともに、前記pチャネル薄膜トランジスタおよび前記バイパス回路に電流を流す構成であることから、以下の効果を奏する。第2の駆動制御部は、オフ期間において、pチャネル薄膜トランジスタをリセットするので、pチャネル薄膜トランジスタの閾値電圧の経時的な変化を抑えることができる。その結果、発光素子の駆動電圧がオフ期間からオン期間に切り替わった直後にオーバーシュートすることを効果的に抑えることができる。また、第2の駆動制御部は、オフ期間において、pチャネル薄膜トランジスタに電流を流すので、上記オーバーシュートによる過電流がpチャネル薄膜トランジスタに流れることをより効果的に抑えることができる。また、第2の駆動制御部によってリセットに用いるリセットパルスの時間幅、電圧を制御できるので、経時的にオーバーシュートの絶対値が大きくなったり、オーバーシュートの期間が長くなるという変動があったとしても、対応できる。また、第1の駆動制御部は、スイッチ素子のオン、オフを制御しており、スイッチ素子をオフ状態とすることによって発光素子のオフ期間を設定するので、電源部の電源電圧を直接制御する必要がなく、その結果、発光装置の駆動効率を高めて消費電力を小さくすることができる。
【0034】
本発明の発光装置は、前記第1の駆動制御部は、前記駆動信号出力部から出力し前記pチャネル薄膜トランジスタのゲート電極に入力する駆動信号の入力、非入力を制御しており、前記駆動信号の非入力のときに前記スイッチ素子をオフ状態とする第1のオフ期間と、前記駆動信号の入力のときに前記スイッチ素子をオフ状態とする第2のオフ期間と、を設定するとともに、前記第1のオフ期間および前記第2のオフ期間のそれぞれにおいて、前記バイパス回路を導通状態とし、前記第2の駆動制御部は、前記第1のオフ期間および前記第2のオフ期間のそれぞれにおいて、前記pチャネル薄膜トランジスタをリセットするとともに、前記pチャネル薄膜トランジスタおよび前記バイパス回路に電流を流す場合、ある程度の電圧値(データ値)を有することが多い駆動信号の入力期間においてもリセットするので、pチャネル薄膜トランジスタの閾値電圧の経時的な変化を抑える効果が向上する。また、第2の駆動制御部は、第2のオフ期間においても、pチャネル薄膜トランジスタに電流を流すので、リセット動作の直後に上記オーバーシュートによる過電流がpチャネル薄膜トランジスタに流れることをより効果的に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1(a),(b)は、本発明の発光装置について実施の形態の1例を示す図であり、(a)はpチャネル薄膜トランジスタ、スイッチ素子、発光素子および駆動制御部の回路図、(b)は(a)の構成の回路のタイミングチャートである。
【
図2】
図2(a),(b)は、本発明の発光装置について実施の形態の他例を示す図であり、(a)はpチャネル薄膜トランジスタ、スイッチ素子、発光素子、第1および第2の駆動制御部の回路図、(b)は(a)の構成の回路のタイミングチャートである。
【
図3】
図3(a),(b)は、本発明の発光装置について実施の形態の他例を示す図であり、(a)はpチャネル薄膜トランジスタ、スイッチ素子、発光素子、第1および第2の駆動制御部の回路図、(b)は(a)の構成の回路のタイミングチャートである。
【
図4】
図4(a),(b)は、本発明の発光装置について実施の形態の他例を示す図であり、(a)はpチャネル薄膜トランジスタ、スイッチ素子、発光素子、第1および第2の駆動制御部の回路図、(b)は(a)の構成の回路のタイミングチャートである。
【
図5】
図5(a),(b)は、従来の発光装置の1例を示すものであり、(a)は発光装置の平面図、(b)は発光装置の回路図である。
【
図6】
図6は、従来の発光装置の他例を示すものであり、発光装置の平面図である。
【
図7】
図7は、
図6のB部を拡大して示す部分拡大平面図である。
【
図9】
図9(a),(b),(c)は、
図5の発光装置を示すものであり、(a)は
図5のD部を拡大して示す回路図、(b)はオフ期間およびオン期間における駆動用のTFTのゲート電圧Vgを示すグラフ、(c)はオフ期間およびオン期間における発光ダイオード素子の駆動電圧Vsを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の発光装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、本発明の発光装置の実施の形態における構成部材のうち、本発明の発光装置を説明するための主要な構成部材を示している。従って、本発明の発光装置は、図に示されていない回路基板、配線導体、制御IC,LSI等の周知の構成部材を備えていてもよい。なお、本発明の発光装置を示す
図1〜
図4において、従来例を示す
図5〜
図9と同じ部位には同じ符号を付しており、それらの詳細な説明は省く。
【0037】
本発明の発光装置は、
図1に示すように、電源部Va(VDD:14V)、接地部Vc(VSS:0V)および駆動信号出力部(DAC)と、接地部Vcに接続された発光素子としての有機の発光ダイオード素子(OLED)33aと、電源部Vaと発光ダイオード素子33aとを接続する接続線90上に以下の順と順不同に直列接続された、pチャネルTFT44aおよびスイッチ素子としてのnチャネルTFT86と、駆動信号出力部(DAC)とpチャネルTFT44aのゲート電極とスイッチ素子86に接続された駆動制御部100と、を有しており、駆動制御部100は、nチャネルTFT86のオン、オフを制御しており、nチャネルTFT86をオフ状態としたときに、pチャネルTFT44aをリセットする構成である。なお、
図1の構成は、接続線90上に電源部Vaの側から以下の順に直列接続された、pチャネルTFT44aおよびnチャネルTFT86を有する構成を示している。そして、上記の構成により以下の効果を奏する。駆動制御部100は、nチャネルTFT86をオフ状態としたときに、pチャネルTFT44aをリセットするので、駆動用のpチャネルTFT44aの閾値電圧の経時的な変化を抑えることができる。その結果、発光ダイオード素子33aの駆動電圧がオフ期間からオン期間に切り替わった直後にオーバーシュートすることを効果的に抑えることができる。また、駆動制御部100によってリセットに用いるリセットパルスの時間幅、電圧を制御できるので、経時的にオーバーシュートの絶対値が大きくなったり、オーバーシュートの期間が長くなるという変動があったとしても、対応できる。また、電源部Vaの電源電圧を直接制御する必要がないので、発光装置の駆動効率を高めて消費電力を小さくすることができる。
【0038】
本発明において、pチャネルTFT44aをリセットするとは、pチャネルTFT44aのゲート電極に、pチャネルTFT44aがオフされ始める電圧(12V〜13V程度)よりも低電圧、例えば0Vのリセットパルスを出力し印加することを意味する。リセットパルスとしては、
図1に示すようなボトム電圧(0V等)を有する逆台形波、逆矩形波、逆三角波等の波形を有するものが採用し得る。
【0039】
電源部Va、接地部Vcおよび駆動信号出力部(DAC)は、
図5に示すIC,LSI等の駆動素子34の端子、またはその端子から引き出された引き出し線の端部に配置された電極パッドなどに相当する。従って、電源部Vaは、電源端子部Va、電源電極パッド部Va等と換言することもできる。接地部Vc、駆動信号出力部(DAC)についても同様である。また、
図1〜
図4には、パルス幅変調部(Pulse Width Modulation:PWM)、反転パルス幅変調部(XPWM)、選択部(Select:SEL)、反転選択部(XSEL)、リセット部(Reset:RST)、反転リセット部(Reset:XRST)が示されているが、これらについても電源部Vaと同様である。
【0040】
発光ダイオード素子33aは、アノード電極33aa、カソード電極33acを有しており、アノード電極33aaは電源部Vaの側に接続され、カソード電極33acは接地部Vcの側に接続される。また、スイッチ素子はnチャネルTFT86であるが、これに限らずpチャネルTFT等のスイッチ機能を有するものであればよい。
【0041】
本発明の発光装置は、
図1に示すように、接続線90上に以下の順に直列接続された、pチャネルTFT44aおよびnチャネルTFT86を有していることが好ましい。この場合、発光ダイオード素子33aの直前にnチャネルTFT86が配置されており、nチャネルTFT86のオン、オフを制御するだけで発光ダイオード素子33aのオン、オフを制御できる。その結果、回路構成が簡易化され、発光装置の駆動効率をより高めて消費電力をより小さくすることができる。
【0042】
また本発明の発光装置は、
図1(b)に示すように、駆動制御部100は、駆動信号出力部から出力しpチャネルTFT44aのゲート電極に入力する駆動信号の入力、非入力を制御しており、駆動信号の非入力のときにpチャネルTFT44aをリセットすることが好ましい。この場合、pチャネルTFT44aのゲート電極に高電圧のオフ電圧が印加されている駆動信号の非入力期間においてリセットするので、pチャネルTFT44aの閾値電圧の経時的な変化を抑える効果が向上する。
【0043】
また本発明の発光装置は、
図1(b)に示すように、駆動制御部100は、pチャネルTFT44aをリセットするリセット動作を複数回行うことが好ましい。この場合、pチャネルTFT44aの閾値電圧の経時的な変化を抑える効果がより向上する。なお、
図1(b)のタイミングチャートにおける1回目のリセットは、黒表示電圧(非駆動信号)のサンプリング動作、すなわち選択部(SEL)から選択パルスが出力されるとともに反転選択部(XSEL)から反転選択パルスが出力される動作、と同期しており、2回目のリセットは、白表示電圧(駆動信号)のサンプリング動作と同期している。このようなサンプリング動作と同期してリセット動作を行う回路は、回路構成が簡易化されるので低消費電力化に有利である。2回目のリセットは、白表示電圧(駆動信号)のサンプリング動作と同期しているので、駆動信号の入力期間の開始直前に行われており、このように駆動信号の入力期間の開始直前にリセットすることが好ましい。この場合、発光ダイオード素子33aの駆動電圧がオフ期間からオン期間に切り替わった直後にオーバーシュートすることをより効果的に抑えることができる。なお、リセット動作をサンプリング動作と同期させることは必ずしも必要ではない。
【0044】
駆動制御部100は、駆動信号出力部(DAC)の側から以下の順で接続された、CMOSトランスファゲート素子から成る4端子型スイッチ素子82、容量素子83、CMOSトランスファゲート素子から成る4端子型スイッチ素子84、nチャネルTFT85を有している構成である。
【0045】
4端子型スイッチ素子82は、pチャネルTFTとnチャネルTFTから成り、それらのソース電極同士、ドレイン電極同士がそれぞれ共通接続されており、pチャネルTFTのゲート電極が反転選択部(XSEL)に接続され、nチャネルTFTのゲート電極が選択部(SEL)に接続されている。nチャネルTFTのゲート電極に選択パルスが入力されるとともにpチャネルTFTのゲート電極に反転選択パルスが入力されたときに、4端子型スイッチ素子82はオン状態となる。
【0046】
容量素子は、一方の電極が、4端子型スイッチ素子82と4端子型スイッチ素子84との間の接続線上におけるノードn1に接続され、他方の電極が、pチャネルTFT81とpチャネルTFT44aとの間の接続線90上におけるノードn3に接続されている。容量素子は、黒表示電圧(非駆動信号)が4端子型スイッチ素子82を通過してきた場合、ノードn1の電圧VGfを黒表示電圧に保持し、白表示電圧(駆動信号)が4端子型スイッチ素子82を通過してきた場合、ノードn1の電圧VGfを白表示電圧に保持する。なお、ゲート電極がパルス幅変調部(PWM)に接続されたpチャネルTFT81は常時オン状態とされているが、pチャネルTFT81から次段以降をオフしたい場合、pチャネルTFT81をオフ状態とするようにパルス幅変調部(PWM)からオフ信号を出力することもできる。
【0047】
4端子型スイッチ素子84は、pチャネルTFTとnチャネルTFTから成り、それらのソース電極同士、ドレイン電極同士がそれぞれ共通接続されており、pチャネルTFTのゲート電極が選択部(SEL)に接続され、nチャネルTFTのゲート電極が反転選択部(XSEL)に接続されている。nチャネルTFTのゲート電極に反転選択パルスが入力されるとともにpチャネルTFTのゲート電極に選択パルスが入力されたときに、4端子型スイッチ素子84はオン状態となる。すなわち、4端子型スイッチ素子84は4端子型スイッチ素子82と動作が逆である。従って、4端子型スイッチ素子82がオフするとともに4端子型スイッチ素子84がオンしたときに、ノードn1の電圧VGfがノードn2の電圧VG(pチャネルTFT44aのゲート電圧Vgに等しい)に移行するように動作する。
【0048】
nチャネルTFT85は、ゲート電極が選択部(SEL)に接続され、ソース電極がノードn2に接続され、ドレイン電極が接地部に接続されている。nチャネルTFT85は、駆動信号の非入力期間において、ゲート電極に選択パルスが入力されたときにオンし、ノードn2の電圧VGをリセット電圧(0V)に引き下げる。これにより、pチャネルTFT44aのゲート電極にリセットパルスが入力される。このような、pチャネルTFT44aのゲート電極にリセットパルスを入力するリセット動作は、駆動信号の入力期間において実施してもかまわない。なお、駆動制御部100は、
図2の構成における第2の駆動制御部122、
図3の構成における第2の駆動制御部132、
図4の構成における第2の駆動制御部142と共通する構成を有しているので、以下
図2〜
図4の構成の説明においてそれらの詳細な説明は省く。
【0049】
本発明の発光装置は、
図2に示すように、電源部Vaと接地部Vcとを接続する第1の接続線91上に電源部Vaの側から以下の順に直列接続された、スイッチ素子としてのpチャネルTFT81、pチャネルTFT44aおよび発光ダイオード素子33aと、pチャネルTFT81および駆動信号出力部(DAC)に接続された第1の駆動制御部121と、駆動信号出力部とpチャネルTFT44aのゲート電極とを接続する第2の接続線92上に接続された第2の駆動制御部122と、を有しており、第1の駆動制御部121は、pチャネルTFT81のオン、オフを制御しており、pチャネルTFT81をオフ状態とすることによって発光ダイオード素子33aのオフ期間(発光ダイオード素子33aに電流Idが流れない期間)を設定し、第2の駆動制御部122は、オフ期間において、pチャネルTFT44aをリセットする構成である。この構成により、以下の効果を奏する。第2の駆動制御部122は、オフ期間において、pチャネルTFT44aをリセットするので、pチャネルTFT44aの閾値電圧の経時的な変化を抑えることができる。その結果、発光ダイオード素子33aの駆動電圧がオフ期間からオン期間に切り替わった直後にオーバーシュートすることを効果的に抑えることができる。また、第2の駆動制御部122によってリセットに用いるリセットパルスの時間幅、電圧を制御できるので、経時的にオーバーシュートの絶対値が大きくなったり、オーバーシュートの期間が長くなるという変動があったとしても、対応できる。また、第1の駆動制御部121は、pチャネルTFT81のオン、オフを制御しており、pチャネルTFT81をオフ状態とすることによって発光ダイオード素子33aのオフ期間を設定するので、電源部Vaの電源電圧を直接制御する必要がなく、その結果、発光装置の駆動効率を高めて消費電力を小さくすることができる。
【0050】
図2(b)に示すように、第1の駆動制御部121は、駆動信号出力部から出力しpチャネルTFT44aのゲート電極に入力する駆動信号の入力、非入力を制御しており、駆動信号の非入力のときにpチャネルTFT81をオフ状態とする第1のオフ期間と、駆動信号の入力のときにpチャネルTFT81をオフ状態とする第2のオフ期間と、を設定し、第2の駆動制御部122は、第1のオフ期間および第2のオフ期間のそれぞれにおいて、pチャネルTFT44aをリセットすることが好ましい。この場合、ある程度の電圧値(データ値)を有することが多い駆動信号の入力期間においてもリセットするので、pチャネルTFT44aの閾値電圧の経時的な変化を抑える効果が向上する。
【0051】
第1のオフ期間におけるリセット期間と第2のオフ期間におけるリセット期間とを比較したとき、第1のオフ期間におけるリセット期間が第2のオフ期間におけるリセット期間よりも長いことがより好ましい。この場合、pチャネルTFT44aのゲート電極に高電圧のオフ電圧が印加されている駆動信号の非入力期間にある第1のオフ期間におけるリセット期間が長くなるので、pチャネルTFT44aの閾値電圧の経時的な変化を抑える効果がより向上する。
【0052】
第1の駆動制御部121は、それに入力される、駆動信号(DAC信号)、パルス幅変調信号(PWM信号)および反転パルス幅変調信号(XPWM信号)のタイミングを制御し、出力する。パルス幅変調信号(PWM信号)は、pチャネルTFT81のオン、オフの制御および第2の駆動制御部122の制御に供され、反転パルス幅変調信号(XPWM信号)は第2の駆動制御部122の制御に供される。すなわち、パルス幅変調信号(PWM信号)は、第2の駆動制御部122における4端子型スイッチ素子84のpチャネルTFTのゲート電極に入力されるとともにnチャネルTFT85のゲート電極に入力され、反転パルス幅変調信号(XPWM信号)は、第2の駆動制御部122における4端子型スイッチ素子84のnチャネルTFTのゲート電極に入力される。
【0053】
また第1の駆動制御部121は、
図5に示す駆動素子34に含まれる回路部、駆動素子34に含まれるRAM,ROM等のプログラマブル領域、あるいは駆動素子34と異なるIC,LSI等の他の駆動素子であってもよい。さらには基板上にCVD法等の薄膜形成法によって形成された、低温ポリシリコン(Low-Temperature Poly Silicon:LTPS)から構成された薄膜回路であってもよい。第1の駆動制御部121は、
図3の構成における第1の駆動制御部131、
図4の構成における第1の駆動制御部141と同様のものである。
【0054】
図3に示す構成は、
図2の構成において、第1のオフ期間におけるリセット期間を第1のオフ期間内で自在に調整できるとともに、第2のオフ期間におけるリセット期間を第2のオフ期間内で自在に調整できるようにした構成である。その目的のために、リセット部(RST)、反転リセット部(XRST)を付加し、リセット信号(RST信号)は、第2の駆動制御部122における4端子型スイッチ素子84のpチャネルTFTのゲート電極に入力されるとともにnチャネルTFT85のゲート電極に入力され、反転リセット信号(XRST信号)は、第2の駆動制御部122における4端子型スイッチ素子84のnチャネルTFTのゲート電極に入力される。従って、第1の駆動制御部121は、それに入力される、駆動信号(DAC信号)、パルス幅変調信号(PWM信号)、リセット部(RST)および反転リセット部(XRST)のタイミングを制御し、出力する。
【0055】
図3の構成においても、第1のオフ期間におけるリセット期間と第2のオフ期間におけるリセット期間とを比較したとき、第1のオフ期間におけるリセット期間が第2のオフ期間におけるリセット期間よりも長いことがより好ましい。この場合、pチャネルTFT44aのゲート電極に高電圧のオフ電圧が印加されている駆動信号の非入力期間にある第1のオフ期間におけるリセット期間が長くなるので、pチャネルTFT44aの閾値電圧の経時的な変化を抑える効果がより向上する。
【0056】
本発明の発光装置は、
図4に示すように、電源部Vaと接地部Vcを接続する第1の接続線93上に電源部Vaの側から以下の順に直列接続された、pチャネルTFT44a、スイッチ素子としてのpチャネルTFT91および発光ダイオード素子33aと、pチャネルTFT44aとpチャネルTFT91との間の第1の接続線93から分岐し接地部Vcに接続される第2の接続線94上に、pチャネルTFT91と並列に接続されたバイパス回路としてのnチャネルTFT87と、pチャネルTFT91、nチャネルTFT87および駆動信号出力部に接続された第1の駆動制御部141と、駆動信号出力部とpチャネルTFT44aのゲート電極とを接続する第3の接続線95上に接続された第2の駆動制御部142と、を有しており、第1の駆動制御部141は、pチャネルTFT91のオン、オフおよびnチャネルTFT87の導通、非導通を制御しており、pチャネルTFT91をオフ状態とすることによって発光ダイオード素子33aのオフ期間を設定するとともに、nチャネルTFT87を導通状態とし、第2の駆動制御部142は、オフ期間において、pチャネルTFT44aをリセットするとともに、pチャネルTFT44aおよびnチャネルTFT87に電流(Idrv,Ibp)を流す構成である。このとき、pチャネルTFT44aに電流Idrvが流れ、nチャネルTFT87に電流Ibpが流れ、それらの電流値は等しい。
【0057】
上記の構成により以下の効果を奏する。第2の駆動制御部142は、オフ期間において、pチャネルTFT44aをリセットするので、pチャネルTFT44aの閾値電圧の経時的な変化を抑えることができる。その結果、発光ダイオード素子33aの駆動電圧がオフ期間からオン期間に切り替わった直後にオーバーシュートすることを効果的に抑えることができる。また、第2の駆動制御部142は、オフ期間において、pチャネルTFT44aに電流を流すので、上記オーバーシュートによる過電流がpチャネルTFT44aに流れることをより効果的に抑えることができる。また、第2の駆動制御部142によってリセットに用いるリセットパルスの時間幅、電圧を制御できるので、経時的にオーバーシュートの絶対値が大きくなったり、オーバーシュートの期間が長くなるという変動があったとしても、対応できる。また、第1の駆動制御部141は、pチャネルTFT91のオン、オフを制御しており、pチャネルTFT91をオフ状態とすることによって発光ダイオード素子33aのオフ期間を設定するので、電源部Vaの電源電圧を直接制御する必要がなく、その結果、発光装置の駆動効率を高めて消費電力を小さくすることができる。
【0058】
本発明の発光装置は、第1の駆動制御部141は、駆動信号出力部から出力しpチャネルTFT44aのゲート電極に入力する駆動信号の入力、非入力を制御しており、駆動信号の非入力のときにpチャネルTFT91をオフ状態とする第1のオフ期間と、駆動信号の入力のときにpチャネルTFT91をオフ状態とする第2のオフ期間と、を設定するとともに、第1のオフ期間および第2のオフ期間のそれぞれにおいて、nチャネルTFT87を導通状態とし、第2の駆動制御部142は、第1のオフ期間および第2のオフ期間のそれぞれにおいて、pチャネルTFT44aをリセットするとともに、pチャネルTFT44aおよびnチャネルTFT87に電流を流すことが好ましい。この場合、ある程度の電圧値(データ値)を有することが多い駆動信号の入力期間においてもリセットするので、pチャネルTFT44aの閾値電圧の経時的な変化を抑える効果が向上する。また、第2の駆動制御部142は、第2のオフ期間においても、pチャネルTFT44aに電流を流すので、リセット動作の直後に上記オーバーシュートによる過電流がpチャネルTFT44aに流れることをより効果的に抑えることができる。
【0059】
図4の構成においても、第1のオフ期間におけるリセット期間と第2のオフ期間におけるリセット期間とを比較したとき、第1のオフ期間におけるリセット期間が第2のオフ期間におけるリセット期間よりも長いことがより好ましい。この場合、pチャネルTFT44aのゲート電極に高電圧のオフ電圧が印加されている駆動信号の非入力期間にある第1のオフ期間におけるリセット期間が長くなるので、pチャネルTFT44aの閾値電圧の経時的な変化を抑える効果がより向上する。
【0060】
図4の構成において、第1の駆動制御部141は、それに入力される、駆動信号(DAC信号)、パルス幅変調信号(PWM信号)および反転パルス幅変調信号(XPWM信号)のタイミングを制御し、出力する。パルス幅変調信号(PWM信号)は、第2の駆動制御部142における4端子型スイッチ素子84のpチャネルTFTのゲート電極に入力されるとともにnチャネルTFT85のゲート電極に入力され、反転パルス幅変調信号(XPWM信号)は、第2の駆動制御部142における4端子型スイッチ素子84のnチャネルTFTのゲート電極に入力される。
【0061】
バイパス回路は、nチャネルTFT87であるが、これに限らずpチャネルTFT等であってもよく、パルス幅変調信号(PWM信号)によって導通状態を制御できるものであればよい。
【0062】
本発明の発光装置は、例えばその発光ダイオード素子33aの発光部が有機発光層を有するものであるが、発光部は、第1の電極層、有機発光層、第2の電極層が積層されて構成される。陽極である第1の電極層に用いられる透明電極は、インジウム錫酸化物(ITO)、インイジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化珪素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)、リン,ボロンを含むシリコン(Si)等の導電性材料であって透光性を有する材料から成る。陰極である第2の電極層は、Al,Al−Li合金,Mg−Ag合金(Agを5〜10重量%程度含む),Mg−Cu合金(Cuを5〜10重量%程度含む)等の仕事関数が約4.0V以下と低く遮光性、光反射性を有する金属、合金から成る。
【0063】
有機発光層は、バックライトが不要な自発光型の有機電界発光性を有するものである。例えば有機発光層は数100nm程度の厚みを有する積層構造体であり、陰極側から電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極を積層したものである。電極層間の各層の厚みは数nm〜数100nm程度である。電極層を含む厚みは1μm程度である。有機発光層の発光層の発光材料としては、低分子蛍光色素材料、蛍光性の高分子材料、金属錯体材料等が採用し得る。
【0064】
発光層に正孔を注入しやすくするためには発光層のイオン化エネルギーが6.0eV以下であることがよく、発光層に電子を注入しやすくするためには発光層の電子親和力が2.5eV以上であることがよい。発光層の発光材料としては、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体(BeBq)、トリ(ジベンゾイルメチル)フェナントロリンユーロピウム錯体(Eu(DBM)
3(Phen))、ジトルイルビニルビフェニル(DTVBi)などがある。高分子材料としては、蛍光性のポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリアルキルチオフェン等のπ共役高分子があり、これらの高分子材料は置換基の導入によってキャリア輸送性を制御することができる。電子輸送層の材料としては、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレンテトラカルボン酸誘導体等が採用し得る。正孔輸送層の材料としては、1,1-ビス(4-ジ-p-アミノフェニル)シクロヘキサン、トリフェニルアミン誘導体、カルバゾール誘導体等が採用し得る。正孔輸送層に正孔を注入する正孔注入層の材料としては、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン、芳香族ジアミン等が採用し得る。
【0065】
第1の電極層、有機発光層、第2の電極層は、蒸着法、スパッタリング法等の薄膜形成法等によって形成され得る。例えば、第1の電極層はスパッタリング法等によって形成でき、有機発光層は真空蒸着法、インクジェット法、スピンコート法、印刷法等によって形成でき、第2の電極層は電子ビーム(Electron Beam:EB)蒸着法、スパッタリング法等によって形成できる。
【0066】
発光ダイオード素子33aを駆動制御等する各TFTは、基板側から、ゲート電極、ゲート絶縁膜、チャネル部としてのポリシリコン膜及びポリシリコンに不純物をチャネル部よりも高濃度に含有させた高濃度不純物領域から成る半導体膜、窒化シリコン(SiN
x),酸化シリコン(SiO
2)等から成る絶縁膜、ソース電極及びドレイン電極が、順次積層された構成を有している。TFTを構成する半導体は低温ポリシリコン(Low-Temperature Poly Silicon:LTPS)、アモルファスシリコン、インジウムガリウム亜鉛酸化物(Indium Gallium Zinc Oxide:IGZO)等の酸化物半導体などから成っていてもよい。またTFTは、ゲート電極がチャネル部の下方にあるボトムゲート型のTFTであるか、またはゲート電極がチャネル部の上方にあるトップゲート型のTFTであってもよく、さらにゲート電極がチャネル部の下方及び上方の双方にあるダブルゲート型のTFTであってもよい。トップゲート型のTFT、ダブルゲート型のTFTは、一般に遮光性を有する金属等から成るゲート電極がチャネル部の上方にあるので、チャネル部に光が入り込むことをより抑えることができ好適である。
【0067】
なお、本発明の発光装置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、適宜の変更、改良が施されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の発光装置は、有機LEDプリンタヘッド(OLEDPH)、光通信装置等に好適に用いられる。本発明の発光装置は、例えばOLEDPHとして構成する場合、長板状の基板の長手方向に複数の発光ダイオード素子を列状に並ぶように形成する。また、基板上に複数の発光ダイオード素子を2次元的(平面的)に並ぶように配置することによって有機EL表示装置として構成し得る。さらに本発明の発光装置を用いた有機EL表示装置は、各種の電子機器に適用できる。その電子機器としては、照明装置、自動車経路誘導システム(カーナビゲーションシステム)、船舶経路誘導システム、航空機経路誘導システム、自動車等の乗り物の計器用インジケータ、インスツルメントパネル、スマートフォン端末、携帯電話、タブレット端末、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電子手帳、電子書籍、電子辞書、パーソナルコンピュータ、複写機、ゲーム機器の端末装置、テレビジョン、商品表示タグ、価格表示タグ、産業用のプログラマブル表示装置、カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー、ファクシミリ、プリンター、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機、医療用表示装置、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、デジタル表示式腕時計、スマートウォッチなどがある。
【符号の説明】
【0069】
33a 発光ダイオード素子
44a pチャネルTFT
86 nチャネルTFT
100 駆動制御部
121,131,141 第1の駆動制御部
122,132,142 第2の駆動制御部
DAC 駆動信号出力部
PWM パルス幅変調部
Va 電源部
Vc 接地部