特許第6787854号(P6787854)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6787854-二酸化炭素施用装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6787854
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】二酸化炭素施用装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/02 20060101AFI20201109BHJP
   A01G 9/18 20060101ALI20201109BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20201109BHJP
   B01D 53/82 20060101ALI20201109BHJP
   B01D 53/75 20060101ALI20201109BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20201109BHJP
【FI】
   A01G7/02
   A01G9/18ZAB
   B01D53/62
   B01D53/82
   B01D53/75
   C01B32/50
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-166992(P2017-166992)
(22)【出願日】2017年8月31日
(65)【公開番号】特開2019-41639(P2019-41639A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2019年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】福岡 茂
【審査官】 大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−126708(JP,A)
【文献】 特開2013−087017(JP,A)
【文献】 特開2006−340683(JP,A)
【文献】 特開2016−040025(JP,A)
【文献】 特開2009−262086(JP,A)
【文献】 特開昭58−220626(JP,A)
【文献】 特開2014−094331(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0007779(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
A01G 7/02
A01G 9/14− 9/26
B01D 53/18
B01D 53/34−53/73
B01D 53/74−53/85
B01D 53/92
B01D 53/96
C01B 32/00−32/991
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を農業用ハウス内に供給するように構成される二酸化炭素施用装置であって、
前記燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸着する吸着材が内部に配置された複数の吸着タンクと、
前記燃焼排ガスを前記複数の吸着タンクに供給し、前記複数の吸着タンクを通過した前記燃焼排ガスを前記複数の吸着タンクの下流側に供給する流路と、
を備え、
前記複数の吸着タンクは、第1の吸着タンクと、少なくとも1つ以上の第2の吸着タンクと、から構成されており、
前記第1の吸着タンクは、前記流路において前記少なくとも1つ以上の第2の吸着タンクの上流に配置されており
前記流路は、当該流路の分岐部において第1分岐流路及び第2分岐流路に分岐し、前記第1分岐流路及び前記第2分岐流路は、前記分岐部の下流に位置する合流部で合流し、
前記複数の吸着タンクは、前記第1分岐流路に設けられ、
前記燃焼排ガスが前記第1分岐流路を流れる第1切替え状態と、前記燃焼排ガスが前記第2分岐流路を流れる第2切替え状態と、に切り替わる切替え部と、
前記切替え部を制御するように構成される制御部と、
を更に備え、
前記制御部は、
前記複数の吸着タンクにおける前記二酸化炭素の吸着量が増加してあらかじめ設定された基準に達したか否かを判定するように構成される判定部と、
前記判定部により前記吸着量が前記基準に達していないと判定された場合、前記切替え部を前記第1切替え状態とし、前記判定部により前記吸着量が前記基準に達したと判定された場合、前記切替え部を前記第2切替え状態とするように構成される切替え処理部と、
を備える、二酸化炭素施用装置。
【請求項2】
請求項1に記載の二酸化炭素施用装置であって、
前記少なくとも1つ以上の第2の吸着タンクは、複数の第2の吸着タンクである、二酸化炭素施用装置。
【請求項3】
請求項2に記載の二酸化炭素施用装置であって、
前記複数の第2の吸着タンクは、互いに並列に接続されている、二酸化炭素施用装置。
【請求項4】
請求項2に記載の二酸化炭素施用装置であって、
前記複数の第2の吸着タンクは、互いに直列に接続されている、二酸化炭素施用装置。
【請求項5】
燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を農業用ハウス内に供給するように構成される二酸化炭素施用装置であって、
前記燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸着する吸着材が内部に配置された複数の吸着タンクと、
前記燃焼排ガスを前記複数の吸着タンクに供給し、前記複数の吸着タンクを通過した前記燃焼排ガスを前記複数の吸着タンクの下流側に供給する流路と、
を備え、
前記複数の吸着タンクは、第1の吸着タンクと、複数の第2の吸着タンクと、から構成されており、
前記第1の吸着タンクは、前記流路において前記複数の第2の吸着タンクの上流に配置されており
前記複数の第2の吸着タンクは、互いに並列に接続されており、
前記第1の吸着タンクから前記複数の第2の吸着タンクへと向かう流路は、複数の流路に分岐しており、当該複数の流路は、前記複数の第2の吸着タンクにそれぞれ接続されている、二酸化炭素施用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二酸化炭素施用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
園芸植物の収率及び品質を向上させるため、二酸化炭素を農業用ハウス内に施用する二酸化炭素施用装置が公知である。一方で、農業用ハウスには、夜間の気温低下を防止するための加温機が設けられる。加温機は、重油や灯油等を燃焼して温風を農業用ハウスに供給する。
【0003】
そこで、加温機から発生する燃焼排ガス中の二酸化炭素を回収及び貯留し、貯留した二酸化炭素を農業用ハウス内に供給する二酸化炭素施用装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1記載の二酸化炭素施用装置は、燃焼排ガス中の窒素酸化物などの有害物質を除去する浄化装置と、浄化装置の下流に設けられ、燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸着する活性炭などの吸着材が内部に配置された複数の吸着タンクと、を備える。複数の吸着タンクは、互いに並列に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−126708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載の二酸化炭素施用装置において、仮に燃焼排ガス中に含まれる有害物質が浄化装置で完全に除去されなかった場合、有害物質を含む燃焼排ガスが複数の吸着タンク内に流入し、複数の吸着タンクが有害物質で汚染される。その結果、複数の吸着タンクのすべてをメンテナンスする必要性が発生し、メンテナンス工数が多大になるという問題があった。
【0007】
本開示の一局面は、複数の吸着タンクのメンテナンス工数の増加を抑制できる二酸化炭素施用装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を農業用ハウス内に供給するように構成される二酸化炭素施用装置であって、複数の吸着タンクと、流路と、を備える二酸化炭素施用装置である。複数の吸着タンクは、燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸着する吸着材が内部に配置されたタンクである。流路は、燃焼排ガスを複数の吸着タンクに供給し、複数の吸着タンクを通過した燃焼排ガスを複数の吸着タンクの下流側に供給する流路である。複数の吸着タンクは、第1の吸着タンクと、少なくとも1つ以上の第2の吸着タンクと、から構成されている。第1の吸着タンクは、流路において少なくとも1つ以上の第2の吸着タンクの上流に配置されている。
【0009】
このような構成によれば、燃焼排ガスは、第1の吸着タンクを通過してから少なくとも1つ以上の第2の吸着タンクに流入する。したがって、主として有害物質で汚染されるのは第1の吸着タンクである。このため、第1の吸着タンクをメンテナンスすればよいため、複数の吸着タンクのすべてが並列に接続された場合と比較して、メンテナンス工数の増加を抑制できる。
【0010】
本開示の一態様は、少なくとも1つ以上の第2の吸着タンクが、複数の第2の吸着タンクであってもよい。
このような構成によれば、本開示の一態様が第2の吸着タンクを1つしか備えない場合と比較して、より多くの二酸化炭素を吸着し、蓄積することができる。
本開示の一態様は、複数の第2の吸着タンクが、互いに並列に接続されていてもよい。
このような構成によれば、複数の第2の吸着タンクが互いに直列に接続されている場合と比較して、燃焼排ガスが通過する流路の断面積が大きくなる。よって、燃焼排ガスが複数の吸着タンクを通過しやすくできる。
【0011】
本開示の一態様は、複数の第2の吸着タンクが、互いに直列に接続されていてもよい。
仮に複数の第2の吸着タンクが互いに並列に接続されている場合において、有害物質による汚染が第1の吸着タンクで止まらないときには、複数の第2の吸着タンクが有害物質で一斉に汚染される可能性がある。これに対して、上記構成によれば、有害物質による汚染が第1の吸着タンクで止まらないときでも、複数の第2の吸着タンクのうち上流に配置されている吸着タンクで汚染が止まりやすくなる。よって、複数の第2の吸着タンクが互いに並列に接続されている場合と比較して、メンテナンス工数の増加を抑制できる。
【0012】
本開示の一態様は、以下の構成であってもよい。すなわち、流路は、当該流路の分岐部において第1分岐流路及び第2分岐流路に分岐する。第1分岐流路及び第2分岐流路は、分岐部の下流に位置する合流部で合流する。複数の吸着タンクは、第1分岐流路に設けられる。そして、本開示の一態様は、切替え部と、制御部と、を更に備える。切替え部は、燃焼排ガスが第1分岐流路を流れる第1切替え状態と、燃焼排ガスが第2分岐流路を流れる第2切替え状態と、に切り替わる。制御部は、切替え部を制御するように構成される。制御部は、判定部と、切替え処理部と、を備える。判定部は、複数の吸着タンクにおける二酸化炭素の吸着量が増加してあらかじめ設定された基準に達したか否かを判定するように構成される。切替え処理部は、判定部により吸着量が基準に達していないと判定された場合、切替え部を第1切替え状態とし、判定部により吸着量が基準に達したと判定された場合、切替え部を第2切替え状態とするように構成される。
【0013】
このような構成によれば、二酸化炭素の吸着量が基準に達した場合、燃焼排ガスの流れをショートカットできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、第1実施形態の二酸化炭素施用装置の構成を示す図である。
図2図2は、切替え処理のフローチャートである。
図3図3は、第2実施形態の二酸化炭素施用装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本開示を実施するための形態を説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1に示す二酸化炭素施用装置100は、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、農業用ハウスA内に供給するための装置である。
【0016】
二酸化炭素施用装置100は、燃焼装置2と、液体貯留タンク3と、ブロワ4と、熱交換器5と、複数(この例では4つ)の吸着タンク6a〜6dと、第1の濃度センサ7aと、第2の濃度センサ7bと、切替え部8と、制御部9と、を備える。
【0017】
また、二酸化炭素施用装置100は、排ガス流路11と、取込流路12と、排出流路13と、施用空気流路14と、開閉弁15と、を備える。
<燃焼装置>
燃焼装置2は、主に夜間、重油や灯油等の燃料を燃焼させ、農業用ハウスA内の空気を温める装置である。燃焼により発生した燃焼排ガスは、煙突である排ガス流路11を介して農業用ハウスA外に排出される。
【0018】
<液体貯留タンク>
液体貯留タンク3は、燃焼装置2から発生した燃焼排ガスの一部を、内部に貯留した液体Lによって冷却及び浄化するためのタンクである。
【0019】
液体貯留タンク3には、取込流路12が接続されており、取込流路12から液体L中に燃焼排ガスが供給される。取込流路12は、排ガス流路11に接続され、燃焼排ガスが取り込まれる。液体L中を通過した燃焼排ガスは、排出流路13に流入し、吸着タンク6a〜6dに取り込まれる。
【0020】
液体貯留タンク3に貯留される液体Lとしては、燃焼排ガス中に含まれる窒素酸化物や硫黄酸化物等の有害物質を除去できるものが好ましい。例えば、窒素酸化物や硫黄酸化物と反応する化合物の水溶液が液体Lとして好適に使用できる。
【0021】
<排出流路>
液体貯留タンク3には、排出流路13が接続されている。排出流路13は、液体貯留タンク3を通過した燃焼排ガスを農業用ハウスA外に排出する。また、排出流路13は、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を農業用ハウスA内に供給する。
【0022】
具体的には、排出流路13は、当該排出流路13の途中の分岐部13aにおいて第1分岐流路13b及び第2分岐流路13cに分岐する。第1分岐流路13b及び第2分岐流路13cは、分岐部13aの下流に位置する合流部13dで合流する。第2分岐流路13cは、第1分岐流路13bよりも分岐部13aから合流部13dまでの流路長さが短い。また、排出流路13は、合流部13dの下流で2つの流路に分岐している。2つの流路のうち一方は、排出口αから燃焼排ガスを農業用ハウスA外に排出する。2つの流路のうち他方は、供給口βから燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を農業用ハウスA内に供給する。なお、図示しない弁によって、二酸化炭素の吸着工程では排出口αから燃焼排ガスが排出されるように、二酸化炭素の施用工程では供給口βから二酸化炭素が供給されるように流路が切り替えられる。
【0023】
<ブロワ>
ブロワ4は、燃焼排ガスを液体貯留タンク3内の液体Lに通過させて吸着タンク6a〜6d又は農業用ハウスA内に送るために、燃焼排ガスを吸引し、液体貯留タンク3を通過した燃焼排ガスを農業用ハウスA内若しくは農業用ハウスA外に導く機器(いわゆる吸引器)である。ブロワ4は、二酸化炭素の吸着時に運転され、吸着を停止する際に運転が停止される。ブロワ4は、排出流路13における分岐部13aよりも上流に設けられている。
【0024】
二酸化炭素の吸着工程では、ブロワ4の運転により、液体貯留タンク3内が負圧となり、燃焼装置2で発生した燃焼排ガスが液体貯留タンク3を経由して吸着タンク6a〜6dに圧送される。
【0025】
<熱交換器>
熱交換器5は、取込流路12に設けられ、液体貯留タンク3に供給される取込流路12内の燃焼排ガスを冷却する。熱交換器5の冷媒は特に限定されない。
【0026】
<吸着タンク>
複数の吸着タンク6a〜6dは、燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸着する吸着材が内部に配置されたタンクである。吸着タンク6a〜6dは、排出流路13、具体的には、第1分岐流路13bに設けられる。
【0027】
吸着材としては、例えば活性炭、ゼオライト等の多孔質材料などが使用できる。なお、本実施形態では、吸着材として、二酸化炭素及び窒素酸化物や硫黄酸化物等の有害物質を吸着可能な吸着材(活性炭等)が使用される。
【0028】
複数の吸着タンク6a〜6dは、第1の吸着タンク6aと、3つの第2の吸着タンク6b〜6dと、から構成されている。第1の吸着タンク6aは、排出流路13において複数の吸着タンク6a〜6dのうち最も上流に配置された吸着タンクである。一方、第2の吸着タンク6b〜6dは、複数の吸着タンク6a〜6dのうち第1の吸着タンク6a以外の吸着タンクである。つまり、第1の吸着タンク6aは、排出流路13において3つの第2の吸着タンク6b〜6dの上流に配置されている。3つの第2の吸着タンク6b〜6dは、互いに並列に接続されている。
【0029】
具体的には、第1分岐流路13bにおける第1の吸着タンク6aから第2の吸着タンク6b〜6dへと向かう流路は、3つの流路に分岐している。そして、3つの流路は、3つの第2の吸着タンク6b〜6dにそれぞれ接続されている。そして、3つの流路は、3つの第2の吸着タンク6b〜6dの下流であって合流部13dよりも上流で合流している。
【0030】
二酸化炭素の吸着工程では、ブロワ4によって供給された燃焼排ガスが吸着タンク6a〜6dに供給される。燃焼排ガスは、まず第1の吸着タンク6aを通過し、その後第2の吸着タンク6b〜6dを通過する。燃焼排ガスが吸着タンク6a〜6dを通過することで、燃焼排ガス中の二酸化炭素が吸着材に吸着される。そして、吸着タンク6a〜6dを通過した燃焼排ガスは、排出口αを介して農業用ハウスA外に排出される。
【0031】
一方、二酸化炭素の施用工程では、施用空気流路14から施用空気が吸着タンク6a〜6d内に供給され、吸着材から二酸化炭素が脱離される。脱離した二酸化炭素は、排出流路13の供給口βを介して農業用ハウスA内に施用される。
【0032】
なお、施用空気流路14は、分岐部13aよりも上流で排出流路13に接続されている。施用空気流路14の一方の端部は排出流路13に接続されている。施用空気流路14の他方の端部は大気に開放している。
施用空気流路14から流入した施用空気の流入圧力は、液体貯留タンク3の液面を押し下げる圧力よりも小さいため、施用空気は排出流路13に導かれる。
【0033】
開閉弁15は、施用空気流路14に設けられる。開閉弁15は、施用空気流路14による施用空気の供給時に開けられる。開閉弁15としては、例えばソレノイド弁を用いることができる。
【0034】
<濃度センサ>
第1の濃度センサ7aは、排出流路13の第1分岐流路13bにおいて吸着タンク6a〜6dの上流に設けられる。第1の濃度センサ7aは、吸着タンク6a〜6dに流入する燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素の濃度を検出する。第1の濃度センサ7aは、検出結果を示す信号を信号線16aを介して制御部9に送信する。
【0035】
第2の濃度センサ7bは、排出流路13の第1分岐流路13bにおいて吸着タンク6a〜6dの下流に設けられる。詳細には、第2の濃度センサ7bは、第1分岐流路13bにおける第2の吸着タンク6b〜6dを通過する3つの流路が1つの流路に合流する合流部の下流に設けられる。第2の濃度センサ7bは、吸着タンク6a〜6dから流出した燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素の濃度を検出する。第2の濃度センサ7bは、検出結果を示す信号を信号線16bを介して制御部9に送信する。
【0036】
後述するように、濃度センサ7a,7bは、複数の吸着タンク6a〜6dにおける二酸化炭素の吸着量を検出するために使用される。
<切替え部>
切替え部8は、分岐部13aに設けられる。切替え部8は、燃焼排ガスが第1分岐流路13bを流れる第1切替え状態と、燃焼排ガスが第2分岐流路13cを流れる第2切替え状態と、に選択的に切り替わる。切替え部8は、制御部9により制御される。
【0037】
<制御部>
制御部9は、CPUと、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ(以下、メモリ)と、を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。制御部9の各種機能は、CPUが非遷移的実体的記憶媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、メモリが、プログラムを格納した非遷移的実体的記憶媒体に該当する。
【0038】
制御部9は、二酸化炭素施用装置100の運転を制御する。具体的には、制御部9は、信号線16cを介してブロワ4の運転及び停止を制御し、信号線16dを介して開閉弁15の開閉を制御する。また、制御部9は、濃度センサ7a,7bから取得した検出結果に基づき、信号線16eを介して切替え部8を制御する。
【0039】
詳細には、メモリに格納された上記プログラムの実行により、後述する図2に示す切替え処理が実行される。そして、切替え処理の実行により、切替え部8を制御する制御信号が信号線16eを介して切替え部8に送信され、切替え部8の切替え状態が切り替わる。
【0040】
[1−2.処理]
次に、制御部9が実行する切替え処理について、図2のフローチャートを用いて説明する。なお、切替え処理は、二酸化炭素施用装置100の運転中において周期的に実行される。
【0041】
まず、S101で、制御部9は、第1の濃度センサ7a及び第2の濃度センサ7bから検出結果を取得する。
続いて、S102で、制御部9は、吸着タンク6a〜6dにおける二酸化炭素の吸着量が増加してあらかじめ設定された基準(以下、設定基準)に達したか否かを判定する。ここでいう吸着タンク6a〜6dにおける二酸化炭素の吸着量は、各吸着タンク6a〜6dの二酸化炭素の吸着量の総和を意味する。また、本実施形態では、設定基準は、各吸着タンク6a〜6dにおける吸着量の上限の総和である。
【0042】
具体的には、S102では、制御部9は、第1の濃度センサ7aにより検出された二酸化炭素の濃度と、第2の濃度センサ7bにより検出された二酸化炭素の濃度と、の差分を算出する。そして、制御部9は、算出した濃度差が所定値以下であるか否かを判定する。
【0043】
制御部9は、算出した濃度差が所定値以下であると判定した場合、吸着タンク6a〜6dにおける吸着量が設定基準に達したと判定する。
一方、制御部9は、算出した濃度差が所定値よりも大きいと判定した場合、吸着タンク6a〜6dにおける吸着量が設定基準に達していないと判定する。
【0044】
制御部9は、S102で吸着タンク6a〜6dにおける吸着量が設定基準に達していないと判定した場合には、S103へ移行し、切替え部8を第1切替え状態とした後、図2の切替え処理を終了する。
【0045】
すなわち、制御部9は、吸着量が上限に達していないと判定した場合、燃焼排ガスが吸着タンク6a〜6dを通過するように切替え部8を制御する。
一方、制御部9は、S102で吸着タンク6a〜6dにおける吸着量が設定基準に達したと判定した場合には、S104へ移行し、切替え部8を第2切替え状態とした後、図2の切替え処理を終了する。
【0046】
すなわち、制御部9は、吸着量が上限に達したと判定した場合、燃焼排ガスが吸着タンク6a〜6dを通過することなく農業用ハウスA内及び農業用ハウスA外に供給されるように切替え部8を制御する。
【0047】
[1−3.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)第1の吸着タンク6aは、排出流路13において第2の吸着タンク6b〜6dの上流に配置されている。よって、燃焼排ガスは、第1の吸着タンク6aを通過してから第2の吸着タンク6b〜6dに流入する。したがって、仮に燃焼排ガスに含まれる有害物質が液体貯留タンク3で完全に除去されなかった場合、主として有害物質で汚染されるのは第1の吸着タンク6aである。このため、第1の吸着タンク6aをメンテナンスすればよいため、複数の吸着タンク6a〜6dのすべてが並列に接続された場合と比較して、メンテナンス工数の増加を抑制できる。
【0048】
(2)本実施形態では、二酸化炭素施用装置100は、複数の第2の吸着タンク6b〜6dを備える。
したがって、二酸化炭素施用装置が第2の吸着タンクを1つしか備えない場合と比較して、より多くの二酸化炭素を吸着し、蓄積することができる。
(3)本実施形態では、複数の第2の吸着タンク6b〜6dは、互いに並列に接続されている。複数の第2の吸着タンク6b〜6dが互いに直列に接続されている場合と比較して、燃焼排ガスが通過する流路の断面積が大きくなる。よって、燃焼排ガスが複数の吸着タンク6a〜6dを通過しやすくできる。ひいては、燃焼排ガスを吸着タンク6a〜6dに流入させるためブロワ4に供給するエネルギーを押さえることができる。
【0049】
(4)制御部9は、吸着タンク6a〜6dにおける二酸化炭素の吸着量が設定基準に達していないと判定した場合、切替え部8を第1切替え状態として燃焼排ガスが第1分岐流路13bを通過するようにする。一方、制御部9は、吸着量が設定基準に達したと判定された場合、切替え部8を第2切替え状態として燃焼排ガスが第2分岐流路13cを通過するようにする。
【0050】
したがって、二酸化炭素の吸着量が設定基準(上限)に達した場合、燃焼排ガスの流れをショートカットできる。
なお、本実施形態では、排ガス流路11、取込流路12及び排出流路13からなる流路が特許請求の範囲の「流路」に相当する。また、S102が判定部としての処理に相当し、S103及びS104が切替え処理部としての処理に相当する。
【0051】
[2.第2実施形態]
[2−1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0052】
前述した第1実施形態の二酸化炭素施用装置100では、第2の吸着タンク6b〜6dは互いに並列に接続される。これに対し、図3に示す第2実施形態の二酸化炭素施用装置200では、第2の吸着タンク6b〜6dは互いに直列に接続される点で、第1実施形態と相違する。
【0053】
具体的には、第1分岐流路13bにおける第1の吸着タンク6aから第2の吸着タンク6b〜6dへと向かう流路は分岐することなく合流部13dに至る。そして、第2の吸着タンク6b〜6dは、第1分岐流路13bにおいて順に設けられている。
【0054】
[2−2.効果]
以上に述べた第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1)〜(4)に加え、以下の効果が得られる。
【0055】
本実施形態では、複数の第2の吸着タンク6b〜6dは、互いに直列に接続されている。
仮に複数の第2の吸着タンク6b〜6dが互いに並列に接続されている場合において、窒素酸化物などの有害物質による汚染が第1の吸着タンク6aで止まらないときには、複数の第2の吸着タンク6b〜6dが有害物質で一斉に汚染される可能性がある。
【0056】
これに対して、本実施形態の構成によれば、有害物質による汚染が第1の吸着タンク6aで止まらないときでも、複数の第2の吸着タンク6b〜6dのうち上流に配置されている吸着タンク6bで汚染が止まりやすくなる。よって、複数の第2の吸着タンク6b〜6dが互いに並列に接続されている場合と比較して、メンテナンス工数の増加を抑制できる。
【0057】
また、一般に、吸着タンクの断面積に対して、その吸着タンクの長手方向の距離が長いほど二酸化炭素の吸収効率は高いため、複数の第2の吸着タンク6b〜6dが互いに並列に接続されている場合と比較して、二酸化炭素の吸収効率を向上させることができる。
【0058】
[3.他の実施形態]
以上、本開示を実施するための形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0059】
(1)上記各実施形態では、二酸化炭素施用装置100,200は3つの第2の吸着タンク6b〜6dを備えているが、第2の吸着タンクの数はこれに限られるものではない。第2の吸着タンクの数は1つでもよい。また、第2の吸着タンクの数は3以外の複数でもよい。
【0060】
(2)複数の第2の吸着タンクのうち、一部の吸着タンクを互いに並列に接続し、他の一部の吸着タンクを互いに直列に接続してもよい。つまり、複数の第2の吸着タンクは、直列接続と並列接続との両方を用いて接続してもよい。
【0061】
(3)上記各実施形態において、設定基準は、吸着タンク6a〜6dにおける二酸化炭素の吸着量の上限でなくてもよい。例えば、設定基準は、上限以外のあらかじめ設定された所定基準であってもよい。
【0062】
また、上記各実施形態では、各吸着タンク6a〜6dの二酸化炭素の吸着量の総和に基づき、切替え部8を切り替えるための判定が行われるが、判定に使用される吸着量はこれに限られるものではない。例えば、複数の吸着タンク6a〜6dのいずれか1つの吸着量に基づき、判定が行われてもよい。つまり、複数の吸着タンク6a〜6dのうちの少なくとも1つの吸着タンクの吸着量に基づき、判定が行われてもよい。
【0063】
また、上記各実施形態において、吸着タンク6a〜6dの少なくとも1つの内部に濃度センサを設置して二酸化炭素の濃度が検出されてもよい。
(4)上記実施形態では、排出流路13は第1分岐流路13b及び第2分岐流路13cに分岐するが、排出流路はこれに限られるものではない。排出流路13は第1分岐流路13b及び第2分岐流路13cに分岐していなくてもよい。
【0064】
(5)上記各実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記各実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言によって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0065】
2…燃焼装置、3…液体貯留タンク、4…ブロワ、5…熱交換器、
6a…第1の吸着タンク、6b〜6d…第2の吸着タンク、11…排ガス流路、
12…取込流路、13…排出流路、100,200…二酸化炭素施用装置。
図1
図2
図3