特許第6787855号(P6787855)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6787855-冷却加熱装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6787855
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】冷却加熱装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/24 20060101AFI20201109BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20201109BHJP
   B01D 53/82 20060101ALI20201109BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20201109BHJP
   B01D 53/60 20060101ALI20201109BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20201109BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20201109BHJP
【FI】
   A01G9/24 QZAB
   A01G9/24 N
   A01G9/24 R
   B01D53/62
   B01D53/82
   B01D53/18 110
   B01D53/60 200
   B01D53/78
   C01B32/50
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-166993(P2017-166993)
(22)【出願日】2017年8月31日
(65)【公開番号】特開2019-41640(P2019-41640A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2019年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 久幸
【審査官】 大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−231348(JP,A)
【文献】 特開昭53−092233(JP,A)
【文献】 実開昭58−107770(JP,U)
【文献】 特開2007−014890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
A01G 7/02
A01G 9/14− 9/26
B01D 53/18
B01D 53/34−53/73
B01D 53/74−53/85
B01D 53/92
B01D 53/96
C01B 32/00−32/991
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を栽培する農業用ハウスを加温するための燃焼により発生した燃焼排ガスの冷却及び加熱を行う冷却加熱装置であって、
化合物を含む液体を貯留し、前記燃焼排ガスが当該液体中を通過するように構成された第1液体貯留タンクと、
前記燃焼排ガスを前記第1液体貯留タンクへと流す流入流路と、
前記第1液体貯留タンクを通過した前記燃焼排ガスを前記農業用ハウス内に排出する排出流路と、
前記流入流路を流れている前記燃焼排ガスと、前記排出流路を流れている前記燃焼排ガスと、の間で熱交換を行わせるように構成される熱交換器と、
前記排出流路に設けられ、前記燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸着する吸着材が内部に配置された少なくとも1つの吸着タンクと、
を備え
前記熱交換器は、前記流入流路を流れている前記燃焼排ガスと、前記排出流路のうち前記少なくとも1つの吸着タンクのいずれよりも下流の流路を流れている前記燃焼排ガスと、の間で熱交換を行わせる、
冷却加熱装置。
【請求項2】
請求項に記載の冷却加熱装置であって、
前記排出流路には、前記吸着タンクに供給される空気である施用空気を、前記排出流路内に取り込むための施用空気流路が接続されており、
前記熱交換器は、前記流入流路を流れている前記燃焼排ガスと、前記排出流路を流れている前記施用空気と、の間でも熱交換を行わせる、冷却加熱装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項に記載の冷却加熱装置であって、
前記流入流路に設けられ、液体を貯留し、前記燃焼排ガスが当該液体中を通過するように構成された第2液体貯留タンクと、
前記排出流路に設けられ、前記第1液体貯留タンクに貯留された前記液体中を通過した前記燃焼排ガスを前記第1液体貯留タンクの下流側に導く機器と、
を更に備える冷却加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、植物を栽培する農業用ハウスを加温するための燃焼により発生した燃焼排ガスの冷却及び加熱を行う冷却加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃焼装置から発生する燃焼排ガス中の二酸化炭素を回収し、農業用ハウス内に供給する二酸化炭素施用装置が開示されている。
この二酸化炭素施用装置は、燃焼装置と、内部に化合物の水溶液を貯留し、燃焼排ガスを気泡状にして該水溶液中を通過させる液体貯留タンクと、を備える。
【0003】
また、二酸化炭素施用装置は、液体貯留タンクに流入する燃焼排ガスを冷却する熱交換器を備える。この熱交換器は、冷却水タンクと、該冷却水タンクに接続された配管と、の間で循環する冷却水と、燃焼排ガスと、の間で熱交換を行わせる。燃焼排ガスは、熱交換器によって冷却され、温度を低下させた状態で液体貯留タンク内の水溶液中を通過する。このため、水溶液の沸騰や水蒸気爆発が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−142531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、冷却水と燃焼排ガスとの間で熱交換が行われる。燃焼排ガスから奪われた熱エネルギーは、何ら利用されることなく、液体貯留タンク内で分散される。よって、燃焼排ガスの熱エネルギーが有効利用されているとはいえなかった。
【0006】
本開示の一局面は、植物を栽培する農業用ハウスを加温するための燃焼により発生した燃焼排ガスの熱エネルギーを有効利用できる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、植物を栽培する農業用ハウスを加温するための燃焼により発生した燃焼排ガスの冷却及び加熱を行う冷却加熱装置であって、第1液体貯留タンクと、流入流路と、排出流路と、熱交換器と、を備える冷却加熱装置である。第1液体貯留タンクは、化合物を含む液体を貯留し、燃焼排ガスが当該液体中を通過するように構成される。流入流路は、燃焼排ガスを第1液体貯留タンクへと流す流路である。排出流路は、第1液体貯留タンクを通過した燃焼排ガスを農業用ハウス内に排出する流路である。熱交換器は、流入流路を流れている燃焼排ガスと、排出流路を流れている燃焼排ガスと、の間で熱交換を行わせるように構成される。
【0008】
このような構成によれば、熱交換によって、農業用ハウス内に供給される燃焼排ガスが温められる一方、第1液体貯留タンクに流入する燃焼排ガスが冷却される。その結果、農業用ハウス内に温風が供給される。つまり、燃焼排ガスから奪われた熱エネルギーが、農業用ハウス内の暖房効果に使用される。また、第1液体貯留タンク内の液体の温度上昇が抑制されるため、二酸化炭素施用装置の冷却工程が補助される。したがって、上記構成によれば、燃焼排ガスの熱エネルギーを有効利用できる。
【0009】
本開示の一態様では、排出流路には、少なくとも1つの吸着タンクが設けられてもよい。少なくとも1つの吸着タンクは、燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸着する吸着材が内部に配置されている。熱交換器は、流入流路を流れている燃焼排ガスと、排出流路のうち少なくとも1つの吸着タンクのいずれよりも下流の流路を流れている燃焼排ガスと、の間で熱交換を行わせてもよい。
【0010】
このような構成によれば、燃焼排ガスは、少なくとも1つの吸着タンクのすべてを通過した後で熱交換により加熱される。このため、燃焼排ガスが少なくとも1つの吸着タンクに流入する前に熱交換により加熱される構成と比較して、温度上昇した燃焼排ガスが吸着タンクに供給され、吸着材が損傷するリスクを低減できる。
【0011】
本開示の一態様は、排出流路には、吸着タンクに供給される空気である施用空気を、当該排出流路内に空気を取り込むための施用空気流路が接続されていてもよい。そして、熱交換器は、流入流路を流れている燃焼排ガスと、排出流路を流れている施用空気と、の間でも熱交換を行わせてもよい。
【0012】
このような構成によれば、熱交換により加熱された施用空気を農業用ハウス内に供給できる。その結果、燃焼排ガスから奪われた熱エネルギーが、農業用ハウス内の暖房効果に使用される。よって、施用空気を農業用ハウス内に供給するときも、燃焼排ガスから奪われた熱エネルギーを有効利用できる。
【0013】
本開示の一態様は、第2液体貯留タンクと、機器と、を更に備えていてもよい。第2液体貯留タンクは、流入流路に設けられ、液体を貯留し、燃焼排ガスが当該液体中を通過するように構成される。機器は、排出流路に設けられ、第1液体貯留タンクに貯留された液体中を通過した燃焼排ガスを農業用ハウス内に導く。
【0014】
十分に冷却されていない燃焼排ガスが機器に供給された場合、機器が破損する場合がある。上記構成によれば、第2液体貯留タンクにおいても燃焼排ガスが冷却される。よって、熱交換器における熱交換及び第1液体貯留タンク内の液体のみによって燃焼排ガスを冷却する構成と比較して、機器の破損を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態の二酸化炭素施用装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本開示を実施するための形態を説明する。
[1.構成]
図1に示す冷却加熱装置1は、農業用ハウスAを加温するための燃焼により発生した燃焼排ガスの冷却及び加熱を行う装置である。冷却加熱装置1は、二酸化炭素施用装置100の一部として実装される。二酸化炭素施用装置100は、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、植物を栽培する農業用ハウスA内に供給するための装置である。二酸化炭素施用装置100は、冷却加熱装置1のほかに、吸着タンク7と、濃度センサ8a,8bと、切替え部9と、制御部10と、施用空気流路14と、開閉弁14aと、を備える。
【0017】
冷却加熱装置1は、燃焼装置2と、第1液体貯留タンク3と、ブロワ4と、熱交換器5と、第2液体貯留タンク6と、を備える。また、冷却加熱装置1は、排ガス流路11と、取込流路12と、排出流路13と、を備える。
【0018】
<燃焼装置>
燃焼装置2は、主に夜間、重油や灯油等の燃料を燃焼させ、農業用ハウスA内の空気を温める装置である。燃焼により発生した燃焼排ガスは、煙突である排ガス流路11を介して農業用ハウスA外に排出される。
【0019】
<第1液体貯留タンク>
第1液体貯留タンク3は、燃焼装置2から発生した燃焼排ガスの一部を、内部に貯留した液体Lによって冷却及び浄化するためのタンクである。
【0020】
第1液体貯留タンク3は、燃焼装置2で発生した燃焼排ガスを取り込み、取り込んだ燃焼排ガスが液体L中を通過するように構成されている。燃焼排ガスは、液体Lとの熱交換により冷却されるとともに、液体Lに含まれる化合物によって燃焼排ガスが含有する成分の一部が取り除かれる。
【0021】
具体的には、第1液体貯留タンク3には、取込流路12が接続されており、取込流路12から液体L中に燃焼排ガスが供給される。取込流路12は、排ガス流路11に接続され、燃焼排ガスが取り込まれる。
【0022】
なお、図1では、取込流路12の端部は、第1液体貯留タンク3の下面に接続されているが、取込流路12の端部は第1液体貯留タンク3の側面に接続されてもよい。また、取込流路12は、第1液体貯留タンク3の上面から第1液体貯留タンク3の内部を通って液体L中に開口するように配置されてもよい。
【0023】
液体L中に供給された燃焼排ガスは、液体L中を気泡となって浮上する。つまり、バブリングが行われる。液体L中を通過した燃焼排ガスは、排出流路13に流入し、吸着タンク7に取り込まれる。
【0024】
第1液体貯留タンク3に貯留される液体Lとしては、燃焼排ガス中に含まれる窒素酸化物や硫黄酸化物等の有害物質を除去できるものが好ましい。例えば、窒素酸化物や硫黄酸化物と反応する化合物の水溶液が液体Lとして好適に使用できる。
【0025】
<排出流路>
第1液体貯留タンク3には、排出流路13が接続されている。排出流路13は、第1液体貯留タンク3を通過した燃焼排ガスを農業用ハウスA内に排出する。本実施形態では、排出流路13は、当該排出流路13の途中の分岐部13aにおいて第1分岐流路13b及び第2分岐流路13cに分岐する。第1分岐流路13b及び第2分岐流路13cは、分岐部13aの下流に位置する合流部13dで合流する。第2分岐流路13cは、第1分岐流路13bよりも分岐部13aから合流部13dまでの流路長さが短い。
【0026】
<ブロワ>
ブロワ4は、燃焼排ガスを液体貯留タンク3内の液体Lに通過させて吸着タンク7又は農業用ハウスA内に送るために、燃焼排ガスを吸引し、液体貯留タンク3を通過した燃焼排ガスを農業用ハウスA内若しくは農業用ハウスA外に導く機器(いわゆる吸引器)である。ブロワ4は、二酸化炭素の吸着時に運転され、吸着を停止する際に運転が停止される。ブロワ4は、排出流路13における分岐部13aよりも上流に設けられている。
【0027】
ここで、吸着タンク7は、燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸着する吸着材が内部に配置されたタンクである。本実施形態では、吸着タンク7は、第1分岐流路13bに配置されている。吸着材としては、例えば活性炭、ゼオライト等の多孔質材料などが使用できる。
【0028】
二酸化炭素施用装置における二酸化炭素の吸着工程では、ブロワ4の運転により、第1液体貯留タンク3内が負圧となり、燃焼装置2で発生した燃焼排ガスが第1液体貯留タンク3を経由して吸着タンク7に圧送される。そして、燃焼排ガスが吸着タンク7を通過することで、燃焼排ガス中の二酸化炭素が吸着材に吸着される。
【0029】
一方、二酸化炭素の施用工程では、二酸化炭素施用装置100の施用空気流路14から空気(以下、施用空気)が吸着タンク7内に供給され、吸着材から二酸化炭素が脱離する。脱離した二酸化炭素は、排出流路13を介して農業用ハウスA内に施用される。
【0030】
ここで、施用空気流路14は、分岐部13aよりも上流で排出流路13に接続されている。施用空気流路14の一方の端部は排出流路13に接続されている。施用空気流路14の他方の端部は大気に開放している。
施用空気流路14から流入した施用空気の流入圧力は、第1液体貯留タンク3の液面を押し下げる圧力よりも小さいため、施用空気は排出流路13に導かれる。
【0031】
開閉弁14aは、施用空気流路14に設けられる。開閉弁14aは、施用空気流路14による施用空気の供給時に開けられる。開閉弁14aとしては、例えばソレノイド弁を用いることができる。
【0032】
<熱交換器>
熱交換器5は、当該熱交換器5の外部から供給される2つの流体をその内部に通過させ、両流体間で熱交換を行わせる熱交換器である。熱交換器5は、取込流路12と、排出流路13のうち合流部13dよりも下流の流路と、に跨がるように設けられる。熱交換器5は、取込流路12を流れている燃焼排ガスと、排出流路13のうち合流部13dよりも下流の流路を流れている流体と、の間で熱交換を行わせる。すなわち、熱交換器5は、第1液体貯留タンク3よりも上流の流路を流れている燃焼排ガスと、第1液体貯留タンク3よりも下流の流路を流れている流体と、の間で熱交換を行わせる。
【0033】
この熱交換により、二酸化炭素の吸着工程では、第1液体貯留タンク3を通過して窒素酸化物等の有害物質が除去された燃焼排ガスが加熱され、クリーンな温風が生成される。そして、生成された温風が農業用ハウスA内に供給される。
【0034】
一方、二酸化炭素の施用工程では、施用空気流路14から排出流路13に流入した施用空気が吸着タンク7を介して熱交換器5に送られる。そして、熱交換器5における熱交換により施用空気が加熱され、温風が生成される。そして、生成された温風が農業用ハウスA内に供給される。
【0035】
また、熱交換により、第1液体貯留タンク3に流入する燃焼排ガスが冷却される。
<第2液体貯留タンク>
第2液体貯留タンク6は、燃焼装置2から発生した燃焼排ガスの一部を、内部に貯留した液体Mによって冷却するためのタンクである。
【0036】
第2液体貯留タンク6は、燃焼排ガスを取り込み、取り込んだ燃焼排ガスが液体M中を通過するように構成されている。燃焼排ガスは、液体Mとの熱交換により冷却される。
第2液体貯留タンク6は、取込流路12において熱交換器5の下流に設けられる。熱交換器5における熱交換により冷却された燃焼排ガスが、第2液体貯留タンク6を介して更に冷却される。第2液体貯留タンク6を通過した燃焼排ガスは、取込流路12を介して第1液体貯留タンク3に流入する。なお、本実施形態では、アルカリ性の冷却水が第2液体貯留タンク6に貯留されている。
【0037】
一方、二酸化炭素施用装置100が備える濃度センサ8a,8bは、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素の濃度を検出する。濃度センサ8aは、第1分岐流路13bにおいて吸着タンク7の上流に設けられる。濃度センサ8bは、第1分岐流路13bにおいて吸着タンク7の下流に設けられる。濃度センサ8a,8bは、検出結果を示す信号を信号線16a,16bを介して制御部10に送信する。
【0038】
切替え部9は、分岐部13aに設けられる。切替え部9は、燃焼排ガスが第1分岐流路13bを流れる第1切替え状態と、燃焼排ガスが第2分岐流路13cを流れる第2切替え状態と、に選択的に切り替わる。切替え部9は、制御部10により制御される。
【0039】
制御部10は、二酸化炭素施用装置100の運転を制御する。具体的には、制御部10は、信号線16cを介してブロワ4の運転及び停止を制御し、信号線16dを介して開閉弁14aの開閉を制御する。また、制御部10は、濃度センサ8a,8bから取得した検出結果に基づき、信号線16eを介して切替え部9を制御する。
【0040】
詳細には、制御部10は、濃度センサ8aから取得した二酸化炭素の濃度と濃度センサ8bから取得した二酸化炭素の濃度と差分に基づき、吸着タンク7における二酸化炭素の吸着量が上限に達したか否かを判定する。
【0041】
そして、制御部10は、二酸化炭素の吸着量が上限に達してないと判定した場合には、切替え部9を第1切替え状態とする。切替え部9が第1切替え状態のときは、第1分岐流路13b側に燃焼排ガスが流れ、燃焼排ガスが吸着タンク7を通過する。一方、制御部10は、二酸化炭素の吸着量が上限に達したと判定した場合には、切替え部9を第2切替え状態とする。切替え部9が第2切替え状態のときは、第2分岐流路13c側に燃焼排ガスが流れる。
【0042】
[2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)熱交換器5は、取込流路12を流れている燃焼排ガスと、排出流路13を流れている燃焼排ガスと、の間で熱交換を行わせる。
【0043】
したがって、熱交換によって、農業用ハウスA内に供給される燃焼排ガスが温められる一方、第1液体貯留タンク3に流入する燃焼排ガスが冷却される。その結果、農業用ハウスA内に温風が供給される。つまり、燃焼排ガスから奪われた熱エネルギーが、農業用ハウスA内の暖房効果に使用される。また、第1液体貯留タンク3内の液体の温度上昇が抑制されるため、二酸化炭素施用装置の冷却工程が補助される。したがって、燃焼排ガスの熱エネルギーを有効利用できる。
【0044】
(2)本実施形態では、取込流路12を流れている燃焼排ガスと、排出流路13のうち吸着タンク7よりも下流の流路を流れている燃焼排ガスと、の間で熱交換器5による熱交換が行われる。つまり、燃焼排ガスは、吸着タンク7を通過した後で熱交換により加熱される。このため、燃焼排ガスが吸着タンク7に流入する前に熱交換により加熱される構成と比較して、温度上昇した燃焼排ガスが吸着タンク7に供給され、吸着材が損傷するリスクを低減できる。
【0045】
(3)本実施形態では、熱交換器5は、取込流路12を流れている燃焼排ガスと、供給流路13を流れている施用空気と、の間でも熱交換を行わせる。
したがって、熱交換により加熱された施用空気を農業用ハウス内に供給できる。その結果、燃焼排ガスから奪われた熱エネルギーが、農業用ハウスA内の暖房効果に使用される。よって、施用空気を農業用ハウスA内に供給するときも、燃焼排ガスから奪われた熱エネルギーを有効利用できる。
【0046】
(4)十分に冷却されていない燃焼排ガスがブロワ4に供給された場合、ブロワ4が破損する場合がある。本実施形態の構成によれば、第2液体貯留タンク6においても燃焼排ガスが冷却される。よって、熱交換器5における熱交換及び第1液体貯留タンク3内の液体Lのみによって燃焼排ガスを冷却する構成と比較して、ブロワ4の破損を抑制できる。
【0047】
なお、本実施形態では、排ガス流路11及び取込流路12からなる流路が流入流路に相当し、ブロワ4が機器に相当する。
[3.他の実施形態]
以上、本開示を実施するための形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0048】
(1)上記実施形態において、熱交換器が複数設けられてもよい。そして、複数の熱交換器は、流入流路を流れている燃焼排ガスと、排出流路を流れている燃焼排ガスと、の間で熱交換を行わせてもよい。このような構成によれば、熱交換器が1つしか設けられていない構成と比較して、燃焼排ガスの冷却効果又は加熱効果を更に向上できる。
【0049】
(2)第2液体貯留タンク6には、アルカリ性以外の液体、例えば、普通の水が貯留されてもよい。また例えば、第1液体貯留タンク3と同様の化合物を含む液体が貯留されてもよい。
(3)上記実施形態では、機器としてブロワ4を例示したが、機器はこれに限られるものではない。機器は、例えば、送風ファンなどでもよい。
【0050】
(4)上記実施形態において、冷却加熱装置1は第2液体貯留タンク6を備えていなくてもよい。
(5)上記実施形態では、排出流路13には1つの吸着タンク7が設けられるが、吸着タンクの数はこれに限られるものではない。排出流路13には複数の吸着タンクが設けられてもよい。
【0051】
(6)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言によって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0052】
1…冷却加熱装置、2…燃焼装置、3…第1液体貯留タンク、4…ブロワ、
5…熱交換器、6…第2液体貯留タンク、7…吸着タンク、8a,8b…濃度センサ、
11…排ガス流路、12…取込流路、13…排出流路、14…施用空気流路。
図1