(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6787856
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】二酸化炭素施用装置
(51)【国際特許分類】
A01G 7/02 20060101AFI20201109BHJP
A01G 9/18 20060101ALI20201109BHJP
B01D 53/50 20060101ALI20201109BHJP
B01D 53/56 20060101ALI20201109BHJP
B01D 53/62 20060101ALI20201109BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20201109BHJP
B01D 53/82 20060101ALI20201109BHJP
B01D 53/18 20060101ALI20201109BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20201109BHJP
【FI】
A01G7/02
A01G9/18ZAB
B01D53/50 200
B01D53/56 200
B01D53/62
B01D53/78
B01D53/82
B01D53/18 110
C01B32/50
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-166997(P2017-166997)
(22)【出願日】2017年8月31日
(65)【公開番号】特開2019-41644(P2019-41644A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2019年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 隆
【審査官】
大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−231348(JP,A)
【文献】
特開2006−043498(JP,A)
【文献】
特開2015−142531(JP,A)
【文献】
特開2016−151411(JP,A)
【文献】
特開2009−183898(JP,A)
【文献】
特開平08−196860(JP,A)
【文献】
特開昭54−038266(JP,A)
【文献】
特開2016−077169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
A01G 7/02
A01G 9/14− 9/26
B01D 53/18
B01D 53/34−53/73
B01D 53/74−53/85
B01D 53/92
B01D 53/96
C01B 32/00−32/991
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、農業用ハウス内に供給する二酸化炭素施用装置であって、
液体を貯留し、燃焼排ガスが前記液体中を通過するように構成された少なくとも1つの液体貯留タンクと、
前記燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸着する吸着材が内部に配置された吸着タンクと、
前記液体中を通過した前記燃焼排ガスを前記吸着タンクに供給するように構成された供給流路と、
前記供給流路に設けられ、前記液体中を通過した前記燃焼排ガスを前記液体貯留タンクの下流側に導く機器と、
前記少なくとも1つの液体貯留タンク内の前記液体を冷却する冷却機構と、
前記機器及び前記冷却機構を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記機器の入口における前記燃焼排ガスの温度から前記吸着タンクの雰囲気温度を引いた温度差が閾値以上となった際に、前記機器の運転停止及び前記冷却機構による前記液体の冷却のうち少なくとも一方を行う、二酸化炭素施用装置。
【請求項2】
燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、農業用ハウス内に供給する二酸化炭素施用装置であって、
液体を貯留し、燃焼排ガスが前記液体中を通過するように構成された少なくとも1つの液体貯留タンクと、
前記燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸着する吸着材が内部に配置された吸着タンクと、
前記液体中を通過した前記燃焼排ガスを前記吸着タンクに供給するように構成された供給流路と、
前記供給流路に設けられ、前記液体中を通過した前記燃焼排ガスを前記液体貯留タンクの下流側に導く機器と、
前記少なくとも1つの液体貯留タンク内の前記液体を冷却する冷却機構と、
前記機器及び前記冷却機構を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記少なくとも1つの液体貯留タンク内の前記液体の温度から前記吸着タンクの雰囲気温度を引いた第1温度差、又は前記機器の入口における前記燃焼排ガスの温度から前記雰囲気温度を引いた第2温度差が閾値以上となった際に、前記機器の運転停止及び前記冷却機構による前記液体の冷却のうち少なくとも一方を行い、
前記冷却機構は、
前記少なくとも1つの液体貯留タンクに冷却空気を供給する冷却配管と、
前記冷却配管に取り付けられ、前記制御部によって開閉される開閉弁と、
を有する、二酸化炭素施用装置。
【請求項3】
請求項2に記載の二酸化炭素施用装置であって、
前記制御部は、前記第1温度差が閾値以上となった際に、前記機器の運転停止及び前記冷却機構による前記液体の冷却のうち少なくとも一方を行う、二酸化炭素施用装置。
【請求項4】
燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、農業用ハウス内に供給する二酸化炭素施用装置であって、
液体を貯留し、燃焼排ガスが前記液体中を通過するように構成された少なくとも1つの液体貯留タンクと、
前記燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸着する吸着材が内部に配置された吸着タンクと、
前記液体中を通過した前記燃焼排ガスを前記吸着タンクに供給するように構成された供給流路と、
前記供給流路に設けられ、前記液体中を通過した前記燃焼排ガスを前記液体貯留タンクの下流側に導く機器と、
前記少なくとも1つの液体貯留タンク内の前記液体を冷却する冷却機構と、
前記機器及び前記冷却機構を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記少なくとも1つの液体貯留タンク内の前記液体の温度から前記吸着タンクの雰囲気温度を引いた第1温度差、又は前記機器の入口における前記燃焼排ガスの温度から前記雰囲気温度を引いた第2温度差が閾値以上となった際に、前記機器の運転停止及び前記冷却機構による前記液体の冷却の双方を行う、二酸化炭素施用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二酸化炭素施用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
園芸植物の収率及び品質を向上させるため、二酸化炭素を農業用ハウス内に施用する二酸化炭素施用装置が公知である。一方で、農業用ハウスには、夜間の気温低下を防止するための加温機が設けられる。加温機は、重油や灯油等を燃焼して温風を農業用ハウスに供給する。
【0003】
そこで、加温機から発生する燃焼排ガス中の二酸化炭素を回収及び貯留し、任意のタイミングで二酸化炭素を農業用ハウス内に供給する二酸化炭素施用装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0004】
この二酸化炭素施用装置では、燃焼排ガスを液体貯留タンク内の液体に通過させて冷却した後に、吸着タンクによって燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸着する。
吸着タンクに吸着された二酸化炭素は、例えば昼間に吸着タンクから脱離され、農業用ハウス内に施用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−142531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記二酸化炭素施用装置では、燃焼排ガスとの熱交換により、液体貯留タンク内の液体の温度が上昇する。そのため、吸着工程を続けると、液体貯留タンク通過後の燃焼排ガスの温度は上昇していく。
【0007】
燃焼排ガスの温度が上昇すると、液体貯留タンク通過後の燃焼排ガスに含まれる水分の量が増加する。燃焼排ガスの温度は、吸着材が配置された吸着タンク内で低下するので、吸着タンク内で水分が結露として発生し、吸着材に付着する。その結果、吸着材の吸着性能が低下する。また、吸着タンク内に錆が発生する。
【0008】
本開示の一局面は、吸着タンクにおける結露の発生を抑制できる二酸化炭素施用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様は、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、農業用ハウス内に供給する二酸化炭素施用装置である。二酸化炭素施用装置は、液体を貯留し、燃焼排ガスが液体中を通過するように構成された少なくとも1つの液体貯留タンクと、燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸着する吸着材が内部に配置された吸着タンクと、液体中を通過した燃焼排ガスを吸着タンクに供給するように構成された供給流路と、供給流路に設けられ、液体中を通過した燃焼排ガスを液体貯留タンクの下流側に導く機器と、少なくとも1つの液体貯留タンク内の液体を冷却する冷却機構と、機器及び冷却機構を制御する制御部とを備える。制御部は、少なくとも1つの液体貯留タンク内の液体の温度から吸着タンクの雰囲気温度を引いた第1温度差、又は機器の入口における燃焼排ガスの温度から雰囲気温度を引いた第2温度差が閾値以上となった際に、機器の運転停止及び冷却機構による液体の冷却のう
ち少なくとも一方を行う。
【0010】
このような構成によれば、液体貯留タンク内の液体の温度(以下、単に「液体温度」ともいう。)又は機器の入口における燃焼排ガスの温度(以下、単に「燃焼排ガス温度」ともいう。)と雰囲気温度との差が一定値以上になった際に、燃焼排ガスの吸着タンクへの供給を停止させるか、あるいは液体貯留タンク内の液体を冷却して燃焼排ガスの温度を低下させるので、吸着タンク内の結露の発生を抑制できる。なお、「雰囲気温度」とは、吸着タンクが配置されている環境の温度を意味し、例えば吸着タンクが農業用ハウスの内部に設置されている場合は農業用ハウス内の温度を意味し、吸着タンクが農業用ハウスの外部に設置されている場合は外気の温度を意味する。
【0011】
本開示の一態様では、制御部は、第1温度差が閾値以上となった際に、機器の運転停止及び冷却機構による液体の冷却のうち少なくとも一方を行ってもよい。このような構成によれば、燃焼排ガス温度よりも雰囲気温度の影響を受けにくく、変動が小さい液体温度を制御指標として使用するので、より確実に吸着タンク内の結露の発生を抑制できる。
【0012】
本開示の一態様では、制御部は、第1温度差、又は第2温度差が閾値以上となった際に、機器の運転停止及び冷却機構による液体の冷却の双方を行ってもよい。このような構成によれば、燃焼排ガスの吸着タンクへの供給を遮断しつつ、液体貯留タンク内の液体を冷却するので、より確実に吸着タンク内の結露の発生を抑制できると共に、冷却後速やかに吸着工程を再開できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態における二酸化炭素施用装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1の二酸化炭素施用装置の制御部が実行する処理を概略的に示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1に示す二酸化炭素施用装置1は、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を回収し、農業用ハウス内に供給するための装置である。二酸化炭素施用装置1は、農業用ハウスの内部又は外部に配置される。
【0015】
二酸化炭素施用装置1は、燃焼装置2と、第1液体貯留タンク3と、第2液体貯留タンク4と、ブロワ5と、吸着タンク6と、制御部7とを備える。
また、二酸化炭素施用装置1は、排ガス流路10と、第1取込流路11と、冷却空気流路12と、第2取込流路13と、施用空気流路14と、供給流路15と、第1排出流路16と、第2排出流路18とを備える。
【0016】
<燃焼装置>
燃焼装置2は、主に夜間、重油や灯油等の燃料を燃焼させ、農業用ハウス内の空気を温める装置である。燃焼排ガスは、煙突である排ガス流路10を介して農業用ハウス外に排出される。
【0017】
<第1液体貯留タンク>
第1液体貯留タンク3は、燃焼装置2から発生した燃焼排ガスの一部を液体Lによって冷却及び浄化するための装置である。
【0018】
第1液体貯留タンク3は、内部に液体Lを貯留している。また、第1液体貯留タンク3は、燃焼装置2で発生した燃焼排ガスを取り込み、取り込んだ燃焼排ガスが液体L中を通過するように構成されている。燃焼排ガスは、液体Lとの熱交換により冷却されると共に、液体Lに含まれる化合物によって含有する成分の一部が取り除かれる。なお、第1液体貯留タンク3内に貯留されている液体Lの体積は、第1液体貯留タンク3の容積よりも小さい。
【0019】
具体的には、第1液体貯留タンク3には、第1取込流路11が接続されており、第1取込流路11から液体L中に燃焼排ガスが供給される。第1取込流路11は、排ガス流路10に接続され、燃焼排ガスを取り込んでいる。第1取込流路11内には、第1液体貯留タンク3内の液面と同じ位置まで液体Lが進入している。
【0020】
なお、
図1では、第1取込流路11の端部は、第1液体貯留タンク3の下面に接続されているが、第1取込流路11の端部は第1液体貯留タンク3の側面に接続されてもよい。また、第1取込流路11は、第1液体貯留タンク3の上面から第1液体貯留タンク3の内部を通って液体L中に開口するように配置されてもよい。後述する第2液体貯留タンク4の第2取込流路13についても同様である。
【0021】
液体L中に供給された燃焼排ガスは、液体L中を気泡となって浮上する。つまり、バブリングが行われる。液体L中を通過した燃焼排ガスは、第2取込流路13によって、第2液体貯留タンク4に取り込まれる。
【0022】
第1液体貯留タンク3に貯留される液体Lとしては、燃焼排ガス中に含まれる硫化物や窒化物等の有害物質を除去できるものが好ましい。例えば、硫化物や窒化物と反応する化合物の水溶液が液体Lとして好適に使用できる。
【0023】
また、第1液体貯留タンク3には、排水路17が設けられている。排水路17は、液体Lの液位が上昇した際に、液圧によって液体Lを第1液体貯留タンク3の外部に排出することで、液体Lの液位を一定に保つための流路である。
【0024】
本実施形態では、排水路17には、チャッキ弁(つまり逆止弁)17Aが設けられている。なお、液体Lの液位の上昇に合わせて液体Lを排出できる構成であれば、必ずしも排水路17にチャッキ弁17Aが設けられる必要は無い。
【0025】
第1液体貯留タンク3には、液体Lを冷却するための冷却空気流路12が接続されている。冷却空気流路12は、冷却空気を液体L中に供給することで、液体Lを冷却する冷却機構である。冷却空気流路12は、冷却配管12Aと、開閉弁12Bとを有する。
【0026】
冷却配管12Aは、一方の端部が第1液体貯留タンク3内の液体L中に配置されている。冷却配管12Aの他方の端部は、図示しない冷却空気の供給源に接続されている。
開閉弁12Bは、冷却配管12A内に取り付けられている。冷却工程において、開閉弁12Bは、冷却配管12Aによる冷却空気の供給時に開けられる。開閉弁12Bは、例えばソレノイド弁を用いることができる。
【0027】
第1液体貯留タンク3内の液体L中に供給された冷却空気は、第2取込流路13によって、第2液体貯留タンク4内の液体L中に供給される。つまり、冷却空気流路12から供給される冷却空気は、第1液体貯留タンク3内の液体Lと第2液体貯留タンク4内の液体Lとを冷却する。
【0028】
第2液体貯留タンク4内の液体Lを冷却した冷却空気は、供給流路15に接続された第2排出流路18によって、系外に排出される。なお、第2排出流路18には開閉弁18Aが設けられている。
【0029】
液体Lの冷却工程では、第2排出流路18の開閉弁18Aが開かれると共に、第1排出流路16の開閉弁16Aが閉じられる。一方、二酸化炭素の吸着工程では、第2排出流路18の開閉弁18Aが閉じられると共に、第1排出流路16の開閉弁16Aが開かれる。開閉弁16A,18Aは、例えばソレノイド弁を用いることができる。
【0030】
<第2液体貯留タンク>
第2液体貯留タンク4は、第1液体貯留タンク3を通過した燃焼排ガスを再度冷却及び浄化するための装置である。つまり、二酸化炭素施用装置1は、燃焼排ガスを2段階で冷却及び浄化する。
【0031】
第2液体貯留タンク4は、内部に第1液体貯留タンク3と同様の液体Lを貯留している。また、第2液体貯留タンク4は、第1液体貯留タンク3の液体L中を通過した燃焼排ガスを取り込み、取り込んだ燃焼排ガスが液体L中を通過するように構成されている。
【0032】
具体的には、第2液体貯留タンク4には、第2取込流路13が接続されており、第2取込流路13から液体L中に燃焼排ガスが取り込まれる。液体Lを通過した燃焼排ガスは、供給流路15によって、吸着タンク6に供給される。第2液体貯留タンク4には、第1液体貯留タンク3と同様の排水路17が設けられている。なお、第2取込流路13内には、第2液体貯留タンク4内の液面と同じ位置まで液体Lが進入している。
【0033】
供給流路15は、液体中を通過した燃焼排ガスを液体貯留タンクの下流側の吸着タンク6を介して農業用ハウス内又は農業ハウス外に供給するように構成されている。供給流路15は、第1供給配管15Aと、第2供給配管15Bとを有する。第1供給配管15Aは、第2液体貯留タンク4内の液面よりも上方の空間に一方の端部が配置されている。第1供給配管15Aの他方の端部は、第2供給配管15Bと、後述する施用配管14Aとに接続されている。
【0034】
<ブロワ>
ブロワ5は、供給流路15に設けられ、第1液体貯留タンク3及び第2液体貯留タンク4の液体中を通過した燃焼排ガスを液体貯留タンクの下流側に導くように構成された機器(つまり吸引器)である。本実施形態では、ブロワ5は、燃焼排ガスを吸着タンク6、農業用ハウス内及び農業用ハウス外に供給する。ブロワ5は、供給流路15の第2供給配管15Bに配置されている。
【0035】
二酸化炭素の吸着工程では、ブロワ5の運転により、第1液体貯留タンク3及び第2液体貯留タンク4内が負圧となり、燃焼装置2で発生した燃焼排ガスが第1液体貯留タンク3及び第2液体貯留タンク4を経由して吸着タンク6に圧送される。
【0036】
<吸着タンク>
吸着タンク6は、燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸着する吸着材が内部に配置されている。二酸化炭素の吸着工程では、ブロワ5によって供給された燃焼排ガス中の二酸化炭素が吸着材によって吸着される。吸着材としては、例えば活性炭、ゼオライト等の多孔質材料などが使用できる。
【0037】
一方、二酸化炭素の施用工程では、施用空気流路14から施用空気が吸着タンク6内に供給され、吸着材から二酸化炭素が脱離する。脱離した二酸化炭素は、第1排出流路16
を介して農業用ハウス内に施用される。
【0038】
なお、本実施形態では、施用空気流路14は供給流路15に接続されている。具体的には、施用空気流路14と供給流路15とは第2供給配管15Bを共有している。また、施用空気流路14は、施用配管14Aと、開閉弁14Bとを有する。
【0039】
施用配管14Aは、一方の端部が第2供給配管15Bに接続されている。施用配管14Aの他方の端部は、大気に開放している。開閉弁14Bは、施用配管14A内に取り付けられている。開閉弁14Bは、施用配管14Aによる施用空気の供給時に開けられる。開閉弁14Bは、例えばソレノイド弁を用いることができる。
【0040】
施用配管14Aから流入した施用空気の流入圧力は、第2液体貯留タンク4の液面を押し下げる圧力よりも小さいため、施用空気は供給流路15に導かれる。
【0041】
<制御部>
制御部7は、二酸化炭素施用装置1の運転を制御する装置である。具体的には、制御部7は、ブロワ5の運転及び停止の制御、冷却機構等におけるソレノイド弁の開閉の制御等を行う。
【0042】
また、本実施形態では、制御部7は、第2液体貯留タンク4内の液体Lの温度T2から吸着タンク6の雰囲気温度T0を引いた温度差(T2−T0)が閾値以上となった際に、ブロワ5の運転を停止すると共に、冷却空気流路12による第1液体貯留タンク3内及び第2液体貯留タンク4内の液体Lの冷却を行う冷却工程が実行される。
【0043】
(制御部の処理)
以下、
図2のフロー図を参照しつつ、制御部7が実行する処理について説明する。
図2に示す処理は、二酸化炭素の吸着工程において実行される。つまり、ブロワ5の運転により、燃焼排ガスが吸着タンク6に供給されている工程において、
図2の処理が実行される。なお、本実施形態では、二酸化炭素の吸着工程で液体Lの冷却は行われない。
【0044】
図2に示す処理において、制御部7は、液体Lの温度T2と雰囲気温度T0との温度差(T2−T0)が閾値以上か判定する(ステップS10)。例えば閾値を5℃とすれば、液体Lの温度T2が雰囲気温度T0+5℃以上となったときに、制御部7は、温度差(T2−T0)が閾値以上と判定する。
【0045】
液体Lの温度T2は第2液体貯留タンク4内に配置された温度計19Aによって測定される。また、雰囲気温度T0は、吸着タンク6等が配置された筐体内に配置された温度計19Bによって測定される。
【0046】
ステップS10で用いる閾値は、第2液体貯留タンク4を通過した燃焼排ガスの温度がブロワ5の入口で雰囲気温度T0と同じになるときの液体Lの温度T2から、雰囲気温度T0を引いた値とすることができる。
【0047】
液体Lの温度T2と雰囲気温度T0との温度差(T2−T0)が閾値以上の場合(S10:YES)、制御部7は、ブロワ5の運転を停止し、燃焼排ガスの吸着タンク6への供給を停止する(ステップS20)。さらに、制御部7は、冷却空気流路12による液体Lの冷却を行う(ステップS30)。ステップS30の冷却工程では、開閉弁12Bが開状態になり、開閉弁16Aが閉状態、開閉弁18Aが開状態となる。このように、ステップS20及びステップS30によって、吸着工程から冷却工程への切り替えが行われる。
【0048】
温度差(T2−T0)が閾値未満の場合(S10:NO)は、液体Lの温度が低く、吸着タンク6での結露が発生しない状態であるので、処理フローはステップS10に戻り、吸着工程が継続する。つまり、制御部7は、温度差(T2−T0)が閾値以上となるまで、吸着工程を継続する。ただし、吸着工程の停止指令が入力されると、制御部7は、温度差(T2−T0)が閾値未満であっても吸着工程を停止する。
【0049】
[1−2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)第2液体貯留タンク4内の液体Lの温度T2と雰囲気温度T0との温度差が一定値以上になった際に、燃焼排ガスの吸着タンク6への供給を停止させ、第1液体貯留タンク3内及び第2液体貯留タンク4内の液体Lをそれぞれ冷却して燃焼排ガスの温度を低下させるので、吸着タンク6内の結露の発生を抑制できる。
【0050】
(1b)燃焼排ガス温度よりも雰囲気温度の影響を受けにくく、変動が小さい液体Lの温度を制御指標として使用することと、吸着タンク6に近い下流側の第2液体貯留タンク4における液体Lの温度T2を使用することとによって、より確実に吸着タンク6内の結露の発生を抑制できる。
【0051】
(1c)燃焼排ガスの吸着タンク6への供給を遮断しつつ、第1液体貯留タンク3及び第2液体貯留タンク4内の液体Lを冷却するので、より確実に吸着タンク6内の結露の発生を抑制できると共に、冷却後速やかに吸着工程を再開できる。
【0052】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0053】
(2a)上記実施形態の二酸化炭素施用装置1において、液体Lを貯留する液体貯留タンクの数は1つでもよい。また、二酸化炭素施用装置1は、3つ以上の液体貯留タンクを備えてもよい。
【0054】
(2b)上記実施形態の二酸化炭素施用装置1において、第2液体貯留タンク4内の液体Lの温度T2に替えて、第1液体貯留タンク3内の液体Lの温度T1を用いて制御を行ってもよい。つまり、第1液体貯留タンク3内の液体Lの温度T1と雰囲気温度T0との温度差(T1−T0)が閾値以上になった際に、燃焼排ガスの吸着タンク6への供給を停止させ、第1液体貯留タンク3内及び第2液体貯留タンク4内の液体Lをそれぞれ冷却して燃焼排ガスの温度を低下させてもよい。
【0055】
また、制御部7は、第2液体貯留タンク4内の液体Lの温度T2と雰囲気温度T0との第1温度差(T2−T0)に替えて、ブロワ5の入口における燃焼排ガスの温度T3から雰囲気温度T0を引いた第2温度差(T3−T0)が閾値以上となった際に、燃焼排ガスの吸着タンク6への供給停止と液体Lの冷却とを行ってもよい。
【0056】
(2c)上記実施形態の二酸化炭素施用装置1において、制御部7は、第1温度差又は第2温度差が閾値以上となった際に、必ずしも燃焼排ガスの吸着タンク6への供給を停止する必要はない。つまり、制御部7は、第1温度差又は第2温度差が閾値以上となった際に、吸着工程を停止させることなく、冷却工程を行ってもよい。また、二酸化炭素施用装置1の使用状況によっては、制御部7は、第1温度差又は第2温度差が閾値以上となった際に、液体Lの冷却を行わずに吸着工程を停止させることだけを行ってもよい。
【0057】
(2d)上記実施形態の二酸化炭素施用装置1において、液体貯留タンク内の液体Lの
冷却機構は上述の手段に限定されない。例えば、冷却機構は、冷却空気以外の冷媒を液体貯留タンクに供給するものであってもよいし、液体貯留タンクを冷媒や電気的エネルギーにより冷却するものであってもよい。
【0058】
(2e)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0059】
1…二酸化炭素施用装置、2…燃焼装置、3…第1液体貯留タンク、
4…第2液体貯留タンク、5…ブロワ、6…吸着タンク、7…制御部、
10…排ガス流路、11…第1取込流路、12…冷却空気流路、12A…冷却配管、
12B…開閉弁、13…第2取込流路、14…施用空気流路、14A…施用配管、
14B…開閉弁、15…供給流路、15A…第1供給配管、15B…第2供給配管、
16…第1排出流路、16A…開閉弁、17…排水路、17A…チャッキ弁、
18…第2排出流路、18A…開閉弁、19A,19B…温度計。