【実施例】
【0036】
合成例1:ペプチド合成
クロロトリチルクロライドレジン(Chloro trityl chloride resin;CTL resin、Nova biochem Cat No.01−64−0021)700mgを反応容器に入れ、メチレンクロライド(MC)10mlを加えて3分間撹拌した。次いで、溶液を除去し、ジメチルホルムアミド(DMF)10mlを入れて3分間撹拌した後、再び溶媒を除去した。反応器に10mlのジクロロメタン溶液を入れ、Fmoc−Asp(OtBu)−OH(Bachem,Swiss)200mmole及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA)400mmoleを入れた後、撹拌してよく溶かし、1時間撹拌しながら反応させた。反応後、洗浄し、メタノールとDIEA(2:1)とをDCM(dichloromethane)に溶かして10分間反応させ、過量のDCM/DMF(1:1)で洗浄した。溶液を除去し、ジメチルホルムアミド(DMF)を10ml入れて3分間撹拌した後、再び溶媒を除去した。脱保護溶液(20%のピペリジン(Piperidine)/DMF)10mlを反応容器に入れ、10分間常温で撹拌した後、溶液を除去した。同量の脱保護溶液を入れ、再び10分間反応を保持した後、溶液を除去し、それぞれ3分ずつDMFで2回、MCで1回、DMFで1回洗浄して、Asp−CTLレジン(Resin)を製造した。新たな反応器に10mlのDMF溶液を入れ、Fmoc−Gly−OH(Bachem,Swiss)200mmole、HoBt200mmole及びBop200mmoleを入れた後、撹拌してよく溶かした。反応器に400mmoleのDIEAを分画で2回にわたって入れた後、あらゆる固体が溶けるまで少なくとも5分間撹拌した。溶かしたアミノ酸混合溶液を脱保護されたレジンがある反応容器に入れ、1時間常温で撹拌しながら反応させた。反応液を除去し、DMF溶液で3回5分ずつ撹拌した後、除去した。反応レジンを少量取ってカイザーテスト(Nihydrin Test)を用いて反応程度を点検した。脱保護溶液で、前記のように同様に2回脱保護反応させて、Gly−Asp−CTLレジンを製造した。DMFとMCとで十分に洗浄し、もう一度カイザーテストを行った後、前記と同様に、下記のアミノ酸付着実験を行った。選定されたアミノ酸配列に基づいて、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Tyr(tBu)−OH、Fmoc−Gln(Trt)−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Ser(tBu)−OH、Fmoc−Trp−OH、及びFmoc−Ile−OH順に連鎖反応させた。Fmoc−保護基を脱保護溶液で10分ずつ2回反応させた後、よく洗浄して除去した。引き続き活性化されたフェルラ酸(Ferulic acid)を結合させた後、製造されたペプチジルレジンをDMF、MC及びメタノールでそれぞれ3回を洗浄し、窒素空気を徐々に流して乾燥した後、P
2O
5下で真空に減圧して完全に乾燥した後、脱漏溶液[トリフルオロ酢酸(Trifluroacetic acid)81.5%、蒸留水5%、チオアニソール(Thioanisole)5%、フェノール(Phenol)5%、EDT2.5%、及びTIS1%]30mlを入れた後、常温で時々振りながら2時間反応を保持した。フィルタリングを行ってレジンを濾し、レジンを少量のTFA溶液で洗浄した後、母液と合わせた。減圧を用いて全体ボリュームが半分程度残るように蒸留し、50mlの冷たいエーテルを加えて沈澱を誘導した後、遠心分離して沈澱を集め、2回さらに冷たいエーテルで洗浄した。母液を除去し、窒素下で十分に乾燥して、精製前、Feruloyl−Ile−Trp−Ser−Leu−Asp−Thr−Gln−Tyr−Gly−Gly−Arg−Gly−Asp−COOHペプチド1(配列番号1)を0.77g合成(収率:88.0%)した。分子量測定器を用いて測定時に、前記ペプチドの分子量1643.7(理論値:1643.7)が得られた。
【0037】
【表1】
【0038】
実施例1:細胞毒性実験
48ウェル培養用平板に、分周されたメラニン形成細胞(B16F10 cell line)を37℃培養器で24時間培養した後、各板の培地を除去し、無血清培地に取り替えた後、本ペプチドを濃度別(1、10、50、100、150、200uM)に処理した。次いで、72時間培養した後、MTT試薬を入れ、4時間反応させた後、生成されたホルマザンをDMSOで溶かし、560nmで吸光度を測定して、配列番号1のアミノ酸配列
のN末端にフェルラ酸が結合したペプチドからなるペプチドのメラニン細胞に対する細胞毒性の有無を確認するために、MTTアッセイを進行し、その結果を
図1に示した。
【0039】
図1から確認できるように、1uMから200uM処理群まで細胞毒性を示さないことを確認した。
【0040】
実施例2:メラニン生成量の測定
6ウェル培養用平板に、分周されたメラニン形成細胞(B16F10 cell line)を37℃培養器で24時間培養した後、各板の培地を除去し、新たな培地(2%血清培地)に取り替えた後、α−MSH(200ng/ml)、アルブチン(200、500uM)及び本ペプチドを濃度別(50、100、200uM)に処理した。次いで、72時間培養した後、培養液を除去し、細胞を取り外した後、1.5mlチューブに移して、13,000rpmで3分間遠心分離して、上澄み液を除去し、細胞ペレットを回収してメラニンを観察した。細胞ペレットを2M NaOH 150μlずつ入れて、60℃で30分間細胞内メラニンを溶解させた。96ウェル平板の各ウェルに溶解させて得た上澄み液を100μlずつ入れて、490nmで吸光度を測定して、その結果を
図2a及び
図2bに示した。
【0041】
図2a及び
図2bから確認できるように、配列番号1のアミノ酸配列
のN末端にフェルラ酸が結合したペプチドからなるペプチドの濃度依存的なメラニン生成抑制効果を確認した(**P≦0.01)。
【0042】
実施例3:メラニン生成量の肉眼観察
6ウェル培養用平板に、分周されたメラニン形成細胞(B16F10 cell line)を37℃培養器で24時間培養した後、各板の培地を除去し、新たな培地(10%血清培地)に取り替えた後、α−MSH(200ng/ml)、アルブチン(500uM)及び本ペプチドを濃度別(50、100、200uM)に処理した。次いで、72時間培養した後、光学顕微鏡を通じて形成されたメラニンを観察した結果を
図3に示した。
【0043】
図3から確認できるように、配列番号1のアミノ酸配列
のN末端にフェルラ酸が結合したペプチドからなるペプチドの濃度依存的なメラニン生成抑制効果を細胞の形態で確認した。
【0044】
実施例4:細胞内チロシナーゼ活性の測定
黒色腫細胞株(B16F10)細胞を6ウェル培養用平板に24時間培養し、α−MSH(200ng/ml)と濃度別ペプチド(50、100、200uM)または陽性対照群であるアルブチン(200、500uM)とを処理して72時間培養した。次いで、氷の上に6ウェル培養用平板を載せ、冷たいPBSで洗浄した後、1%Triton X−100が含有された0.1M リン酸ナトリウムバッファ(pH6.8、溶解バッファ)を300μl入れ、細胞を1.5mlチューブに集めて、−270℃に急速冷凍させた後、解凍させる反応を5回繰り返して細胞膜を破壊した。次いで、13,000rpmで20分間遠心分離した後、上澄み液を他の1.5mlチューブに集め、この試料のタンパク質を定量した。試料のタンパク質濃度が同じ濃度になるように希釈して、96ウェル培養用平板に3個ウェルずつ分周し、10mM L−dopa 20μlを添加して37℃で1時間培養後、475nmで吸光度を測定し、その結果を
図4に示した。
【0045】
図4から確認できるように、配列番号1のアミノ酸配列
のN末端にフェルラ酸が結合したペプチドからなるペプチドの濃度依存的なチロシナーゼ活性抑制効果を確認した(**P≦0.01)。
【0046】
実施例5:チロシナーゼ発現量の測定
6ウェル培養用平板に、分周されたメラニン形成細胞(B16F10 cell line)を37℃培養器で24時間培養した後、各板の培地を除去し、新たな培地(10%血清培地)に取り替えた後、α−MSH(200ng/ml)及び本ペプチドを濃度別(50、100uM)に処理した。次いで、48時間培養した後、FITCが付着されたチロシナーゼ抗体(Santa cruz biotechnology,米国)及びFITC付着2次IgG抗体(Santa cruz biotechnology,米国)を用いて細胞内発現タンパク質を染色し、蛍光顕微鏡を通じて発現程度を測定して、その結果を
図5に示した。
【0047】
図5から確認できるように、配列番号1のアミノ酸配列
のN末端にフェルラ酸が結合したペプチドからなるペプチドの濃度依存的なチロシナーゼ発現抑制効果を確認した。
【0048】
実施例6:メラニン形成因子の遺伝子発現の変化観察
メラニン形成細胞(B16F10 cell line)を6ウェル培養用平板に24時間培養後、α−MSH(200ng/ml)、アルブチン(500uM)及び本ペプチドを濃度別(100、200uM)に処理する。24時間培養された細胞のRNA抽出後、cDNAを製作した。メラニン形成に関与する因子であるMITF、チロシナーゼ及びTRP1に対するそれぞれの特異的な下記表2のプライマーを用いてPCRし、各遺伝子の発現変化を観察して、その結果を
図6に示した。
【0049】
【表2】
【0050】
図6から確認できるように、配列番号1のアミノ酸配列
のN末端にフェルラ酸が結合したペプチドからなるペプチドの高いMITF、チロシナーゼ、TRP1遺伝子発現抑制効果を確認した。
【0051】
実施例7:メラニン形成因子のタンパク質発現の変化観察
メラニン形成細胞(B16F10 cell line)を6ウェル培養用平板に24時間培養後、α−MSH(200ng/ml)及び本ペプチドを濃度別(50、100uM)に処理した。次いで、72時間培養した後、細胞を溶解してメラニン形成に関与する核心因子であるMITF(Santa cruz biotechnology,米国)及びチロシナーゼ(Santa cruz biotechnology,米国)の発現を特異的な抗体を用いたウェスタンブロット方法を用いて観察して、その結果を
図7に示した。
【0052】
図7から確認できるように、配列番号1のアミノ酸配列
のN末端にフェルラ酸が結合したペプチドからなるペプチドのMITF及びチロシナーゼタンパク質発現抑制効果を確認した。
【0053】
実施例8:メラニン形成信号伝達物質の観察
メラニン形成細胞(B16F10 cell line)を6ウェル培養用平板に24時間培養後、α−MSH(200ng/ml)及び本ペプチドを濃度別(50、100uM)に処理した。次いで、10分間細胞を培養した後、細胞を溶解してメラニン形成に関与する信号伝逹物質であるCREBのリン酸化程度を特異的な抗体(Santa cruz biotechnology,米国)を用いたウェスタンブロット方法を用いて観察して、その結果を
図8に示した。
【0054】
図8から確認できるように、配列番号1のアミノ酸配列
のN末端にフェルラ酸が結合したペプチドからなるペプチドのCREBリン酸化抑制効果を確認した。
【0055】
前記結果を通じて、配列番号1のアミノ酸
配列のN末端にフェルラ酸が結合したペプチドからなるペプチドが、α−MSHで活性化されたMC1R信号伝逹経路を阻害して、メラニン生成抑制効果を示すということを確認することができた。
【0056】
実施例9:角質形成細胞の活性及び食菌作用に関連した遺伝子発現の変化観察
ヒト角質形成細胞株(HaCaT)を6ウェル培養用平板に24時間培養後、活性を誘導する物質であるトリプシン及び本ペプチドを濃度別(100、200uM)に処理した。次いで、16時間培養された細胞のRNA抽出後、cDNAを製作した。トリプシン作用によって活性化された角質形成細胞の表面受容体のうち1つであるPAR2に対する特異的なプライマー対(下記表3参照)を用いてPCRし、各遺伝子の発現変化を観察して、その結果を
図9に示した。
【0057】
【表3】
【0058】
図9から確認できるように、セリンプロテアーゼであるトリプシン処理による角質細胞のPAR2活性化によって、遺伝子発現が誘導され、配列番号1のアミノ酸配列
のN末端にフェルラ酸が結合したペプチドからなるペプチド処理を通じて濃度依存的にPAR2遺伝子発現が減少することを観察した。
【0059】
実施例10:角質形成細胞へのメラノソーム流入抑制の確認(分離されたメラノソーム使用)
ヒト角質形成細胞株(HaCaT)を6ウェル培養用平板に24時間培養し、無血清培養培地にマウス黒色腫細胞株(B16F10)から分離したメラノソームを3時間前処理し、濃度別ペプチド(10、50、100、200uM)または陽性対照群であるアルブチン(200uM)を処理して48時間培養した。次いで、PBSで洗浄して、流入されていないメラノソームを除去し、角質形成細胞を収集、沈澱した後、得たペレットに1M NaOHを添加し、80℃オーブンでペレットを溶解させた後、490nmでOD値を測定する。配列番号1のアミノ酸
配列のN末端にフェルラ酸が結合したペプチドからなるペプチドの濃度別メラノソーム流入抑制効果を観察するために、メラノーマから分離したメラノソームを用いて角質細胞食菌作用アッセイを行って、その結果を
図10に示した。
【0060】
図10から確認できるように、吸光度測定を通じて角質細胞内に流入されたメラノソームの量を確認した結果、配列番号1のアミノ酸配列
のN末端にフェルラ酸が結合したペプチドからなるペプチドの食菌作用抑制効果を確認することができた。
【0061】
実施例11:角質形成細胞へのメラノソーム流入抑制の確認(分離されたメラノソーム使用)
ヒト角質形成細胞株(HaCaT)を6ウェル培養用平板に24時間培養し、無血清培養培地にマウス黒色腫細胞株(B16F10)から分離したメラノソームを3時間前処理し、濃度別ペプチド(10、50、100、200uM)または陽性対照群であるアルブチン(200uM)を処理して48時間培養した。次いで、後にPBSで洗浄して、流入されていないメラノソームを除去し、フォンタナ・マッソン染色(fontana−masson stain)して、角質形成細胞のメラノソーム食菌作用抑制を顕微鏡を通じて観察した。配列番号1のアミノ酸配列
のN末端にフェルラ酸が結合したペプチドからなるペプチドの濃度別メラノソーム流入抑制効果を観察するために、黒色腫から分離したメラノソームを用いて角質細胞食菌作用アッセイを行って、その結果を
図11に示した。
【0062】
図11から確認できるように、光学顕微鏡イメージ分析を通じて角質細胞内に流入されたメラノソームの量を確認した結果、配列番号1のアミノ酸配列
のN末端にフェルラ酸が結合したペプチドからなるペプチドの濃度依存的な食菌作用抑制効果を確認することができた。
【0063】
実施例12:角質形成細胞へのメラノソーム流入抑制の確認(生体粒子使用)
ヒト角質形成細胞株(HaCaT)を24ウェル培養用平板に24時間培養し、0.5%FBS培養培地に濃度別ペプチド(100、200uM)または陽性対照群であるアルブチン(200uM)を処理して24時間培養した。次いで、Vybrant.Phagocytosis Assay Kit(V−6694)を使ってヒト角質形成細胞株の食菌作用(phagocytosis)抑制を蛍光顕微鏡を通じて観察した。配列番号1のアミノ酸配列
のN末端にフェルラ酸が結合したペプチドからなるペプチドの濃度別メラノソーム流入抑制効果を観察するために、蛍光−結合生体粒子を用いて角質細胞食菌作用アッセイを行って、その結果を
図12に示した。
【0064】
図12から確認できるように、蛍光顕微鏡イメージ分析を通じて角質細胞内に流入された生体粒子の量を確認した結果、配列番号1のアミノ酸配列
のN末端にフェルラ酸が結合したペプチドからなるペプチドの明らかな食菌作用抑制効果を確認することができた。
【0065】
実施例13:角質形成細胞でのメラノソーム分解能の観察
ヒト角質形成細胞株(HaCaT)を6ウェル培養用平板に24時間培養し、無血清培養培地にマウス黒色腫細胞株(B16F10)から分離したメラノソームを48時間処理した後、PBSで洗浄して、流入されていないメラノソームを除去し、濃度別ペプチド(100、200uM)または陽性対照群であるアルブチン(200uM)及びTGF β−1を処理して72時間培養した。角質形成細胞で食菌作用されたメラノソームの分解を測定するために、角質形成細胞を収集、沈澱した後、得たペレットに1M NaOHを添加し、80℃オーブンでペレットを溶解させた後、490nmでOD値を測定して、その結果を
図13に示した。
【0066】
図13から確認できるように、角質細胞に流入されたメラノソームに対する配列番号1のアミノ酸配列
のN末端にフェルラ酸が結合したペプチドからなるペプチドの分解促進効能を観察した結果、濃度依存的な効果が確認された。
【0067】
実施例14:生体内美白効能の観察(in vivo)
8週齢のC57BL/6ラットのしっぽにリポソーム化されたペプチド(5,000ppm)及び陽性対照群であるアルブチンを1日に1回ずつ塗布して、約8週間実験を進行した。実験終了後にラットを犠牲して、しっぽ皮膚組織を摘出し、それをパラフィンで包埋してパラフィンブロックを製作した。次いで、パラフィン切片に作ってフォンタナ・マッソン染色して形態学的に観察して、その結果を
図14aないし
図14cに示した。
【0068】
図14aから確認できるように、8週間塗布実験を進行した結果、対照群に比べて、配列番号1のアミノ酸配列
のN末端にフェルラ酸が結合したペプチドからなるペプチドを含んだリポソーム処理群のしっぽの色が明るくなることを観察することができた。
【0069】
また、
図14b及び
図14cのF&M染色を通じるメラニン分布確認結果、対照群表皮の基底層に分布されたメラニンに比べて、配列番号1のアミノ酸配列
のN末端にフェルラ酸が結合したペプチドからなるペプチド処理群の分布量が著しく少ないことを確認することができた。
【0070】
以上、本発明の特定の部分を詳しく記述したところ、当業者において、このような具体的な記述は、単に望ましい具現例であり、これにより、本発明の範囲が制限されるものではないという点は明白である。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物とによって定義される。