(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6787934
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】短縮された非患者側端部を含む使い捨てのペン注射針、および再使用可能なペンインタフェース
(51)【国際特許分類】
A61M 5/34 20060101AFI20201109BHJP
【FI】
A61M5/34 500
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-562307(P2017-562307)
(86)(22)【出願日】2016年5月31日
(65)【公表番号】特表2018-516680(P2018-516680A)
(43)【公表日】2018年6月28日
(86)【国際出願番号】US2016035104
(87)【国際公開番号】WO2016196518
(87)【国際公開日】20161208
【審査請求日】2019年2月19日
(31)【優先権主張番号】62/169,408
(32)【優先日】2015年6月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キース ナップ
(72)【発明者】
【氏名】スダーサン スリニヴァサン
【審査官】
増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−120844(JP,A)
【文献】
米国特許第03092108(US,A)
【文献】
国際公開第2012/043161(WO,A1)
【文献】
国際公開第2014/105667(WO,A2)
【文献】
特表2014−528783(JP,A)
【文献】
実開昭50−029095(JP,U)
【文献】
国際公開第2014/016889(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32−34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨てのペン注射針であって、
遠位ハブ部分、薬剤送達デバイスへの取付けのために適合された近位ハブ部分、および、前記遠位ハブ部分から前記近位ハブ部分までハブを貫通するハブボアを有する、ハブと、
前記ハブに取り付けられる針であって、遠位注射側端部、および、露呈されない非注射側端部で終端している近位針部分を有する、針と
を備え、
前記近位針部分の少なくとも一部が、前記ハブボア内に存在し、
前記遠位ハブ部分および前記近位ハブ部分は、それぞれがそれぞれのハブボア区間を有する、別々に形成された部品であり、前記ハブ部分は、前記針が前記遠位ハブ部分の前記ハブボア区間内に取り付けられた後で、それらのハブボア区間が位置合わせされて互いに結合され、
前記針の前記非注射側端部は、外側に曲げられて前記遠位ハブ部分と前記近位ハブ部分との間に挟まれる複数の脚に分割される使い捨てのペン注射針。
【請求項2】
前記近位ハブ部分は、前記ペン注射針を、薬剤容器を収容する投薬ペンに取り付けるのに適合された雌ねじを含む請求項1に記載の使い捨てのペン注射針。
【請求項3】
前記近位ハブ部分は、前記ハブボアが貫通する取付けボスを含む請求項1または請求項2に記載の使い捨てのペン注射針。
【請求項4】
前記遠位ハブ部分と前記近位ハブ部分との間で前記ハブボア区間からの薬剤の漏出を防ぐように位置決めされた環状シールを含む請求項1に記載の使い捨てのペン注射針。
【請求項5】
前記針の各脚は、前記ハブ部分の少なくとも一方にあるノッチ内に収容される請求項1に記載の使い捨てのペン注射針。
【請求項6】
前記ノッチは前記遠位ハブ部分にある請求項5に記載の使い捨てのペン注射針。
【請求項7】
前記ハブ部分の一方は、もう一方のハブ部分に面する少なくとも1つの突起を有し、前記もう一方のハブ部分は、少なくとも1つの凹部を有し、各凹部はそれぞれの突起を収容する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の使い捨てのペン注射針。
【請求項8】
前記少なくとも1つの突起は前記近位ハブ部分上にあり、前記少なくとも1つの凹部は前記遠位ハブ部分にある請求項7に記載の使い捨てのペン注射針。
【請求項9】
前記近位ハブ部分は、前記ハブボアが貫通する取付けボスを含む請求項1乃至8のいずれか一項に記載の使い捨てのペン注射針。
【請求項10】
前記針の前記非注射側端部は、露呈されておらずかつ斜角が付けられてもいなければ先鋭化されてもいない請求項1に記載の使い捨てのペン注射針。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投薬ペン(medication pen)などの薬物送達デバイスとともに使用するための使い捨てのペン注射針、および、ペン注射針と薬物送達デバイスとを取り外し可能に結合するためのインタフェースを対象とする。
【背景技術】
【0002】
ペン注射針は、自己投与される注射可能な薬物のための薬剤送達システムにおいて広く使用されている。一般に使用されるペン注射針は、針支持ハブ(needle-bearing hub)を貫通する単一のステンレス鋼製カニューレ(中空針)を有する。針の非患者側(非注射側)端部は、投薬ペンの薬物格納区画の隔壁に穿孔し、一方で針の患者側(注射側)端部は、患者の組織への挿入のために適合されている。
【0003】
そのようなペン注射針は、典型的には一様なゲージを有し、そのため、カニューレの両端は、同じ内径および外径を有する。より細い針(一般に、28ゲージを越える)が、患者の快適さにとって好ましくあり得るが、それらが一様なゲージのものである場合、それらは、例えば針の座屈が原因で薬物格納区画の慣例的に厚い隔壁に確実に穿孔することができず、かつ/または、流れを過度に制限する可能性がある。これらの問題の解決策は、より太い非注射側端部を有する針を含んできた。しかし、そのような複式ゲージの針は、製造が困難でかつ費用がかかるものになる傾向がある。
【0004】
標準的なペン注射針はまた、取り扱いを誤ると、投薬ペンとの取り付けおよび投薬ペンからの取り外し中、ならびに使用したペン注射針の処理中に、非患者側端部での針刺し事故の危険性をもたらし得る。保護による解決策は、典型的には、非患者側端部のためのかなり複雑な遮蔽機構を使用することを必要としてきた。例えば、それらの全てが本願の譲受人に譲渡されその開示が参照により本明細書に完全に組み込まれている特許文献1、特許文献2、および特許文献3を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,314,464号明細書
【特許文献2】米国特許第7,384,414号明細書
【特許文献3】米国特許第7,462,168号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、短縮された非注射側(非患者側)端部、すなわち投薬ペンの薬物格納区画の隔壁に穿孔するように意図されていないものをそれぞれが有する、いくつかのタイプの使い捨ての(すなわち、1回使い切りの)ペン注射針を提供することにより、上記の問題の単純かつ効果的な解決策を提供する。いくつかのタイプのインタフェースが提供されて、それらのペン注射針と投薬ペンとの間の中間物として機能する。インタフェースは、ペンの薬物格納区画の隔壁に穿孔し、それにより取り付けられたペン注射針への薬物の流れを可能にするために、備えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、本発明は、遠位ハブ部分、薬剤送達デバイスへの取付けのために適合された近位ハブ部分、および、遠位ハブ部分から近位ハブ部分までハブを貫通するハブボアを有するハブを含む、使い捨てのペン注射針に関する。針(カニューレ)がハブに取り付けられ、針は、遠位注射側端部、および、非注射側端部で終端している近位針部分を有する。近位針部分の少なくとも一部は、ハブボア内に存在し、針の非注射側端部は、ハブボアの外側に露呈された場合に、ハブボアの長さの約半分を越えずにハブから離間される。したがって、いくつかの実施形態では、針の非注射側端部は、ハブボアの外側に露呈されず、斜角が付けられることまたは先鋭化されることを必要としないが、他の実施形態では、非注射側端部は、ハブボアの外側に−例えば、特定のタイプのインタフェースの比較的薄い隔壁に穿孔するために−露呈されるが、曲がりやすくなる程ではなく、または針刺し事故の著しい危険性をもたらすほどではなく、露呈される。
【0008】
本発明のこの態様による実施形態では、近位ハブ部分は、ペン注射針を取り付けるのに適合された雌ねじを含む。他の実施形態では、近位ハブ部分は、ペン注射針を取り付けるのに適合された雄ねじを含む。さらに他の実施形態では、近位ハブ部分は、ハブボアが貫通する取付けボスを含む。特定の実施形態では、遠位ハブ部分および近位ハブ部分は、それぞれがそれぞれのハブボア区間を有する、別々に形成された部品であり、ハブ部分は、針が遠位ハブ部分のハブボア区間内に取り付けられた後で、それらのハブボア区間が位置合わせされて互いに結合される。
【0009】
別の態様では、本発明は、薬剤送達デバイスと使い捨てのペン注射針との間で使用されるように適合された再使用可能なインタフェースに関する。インタフェースは、デバイス内に収容された薬剤容器のシール(隔壁)に穿孔するように適合されたスパイクと、スパイクと軸方向に位置合わせされかつ使い捨てのペン注射針と係合するように適合された凹部とを有する本体を含む。スパイクは、スパイクを貫通して凹部と連絡する軸方向ボアを有する。本発明において、「再使用可能な」とは、薬剤送達デバイスに取り付けられたままとされて一連の使い捨てのペン注射針とともに使用され得るインタフェースを意味する。
【0010】
本発明のこの態様による実施形態では、本体は、スパイクを取り囲みかつデバイスの一部分と係合するように適合されたカラーを有する。上記その他の実施形態では、カラーは雌ねじ付きであってもよく、かつ/または、凹部は雌ねじ付きであるかもしくは滑らかであってもよい。他の実施形態では、凹部内にボアをシールする穿刺可能な隔壁が存在する。これらの実施形態のいずれかでは、スパイクは、テーパ付けされてもよく、かつ、少なくとも1つの横方向外側リブを有してもよい。これらの実施形態のいずれかでは、インタフェースがペン注射針と係合されていないときに凹部を覆うように適合されたキャップを含むことができ、キャップは、本体に繋がれてもよく、またはそれから分離されてもよい。
【0011】
本発明のさらに別の態様は、本明細書で開示された再使用可能なインタフェースのいずれかと組み合わせられた本明細書で開示された使い捨てのペン注射針の実施形態のいずれかを含む、薬剤送達システムに関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下、単なる一例として、添付の図面を参照しながら、開示される本発明の実施形態を詳細に説明する。
【
図1】それらが取り付けられ得る従来の投薬ペンに隣接した、本発明によるペン注射針および係合インタフェースの第1の実施形態の分解斜視図である。
【
図2】
図1のペン注射針の代わりにシーリングキャップを示す、
図1に類似した分解斜視図である。
【
図3】
図1に示された構成要素の分解立面図である。
【
図4】
図2に示された構成要素の分解立面図である。
【
図4A】
図2および4に示されたシーリングキャップの斜視図である。
【
図5】
図1および3に示された組み立てられた構成要素の立面図である。
【
図6】
図5における線6−6に沿ったそれらの断面図である。
【
図6A】
図6における線6A−6Aに沿ったそれらの拡大された詳細図である。
【
図7】
図2および4に示された組み立てられた構成要素の立面図である。
【
図8】
図7における線8−8に沿ったそれらの断面図である。
【
図8A】この実施形態で使用されるインタフェース部材の拡大された立面図である。
【
図8B】
図8Aにおける線8B−8Bに沿ったそれの断面図である。
【
図9】先行する図面に示されたインタフェースとともに使用するための別のシーリングキャップの実施形態の斜視図である。
【
図11】
図10における線11−11に沿ったそれの断面図である。
【
図12】投薬ペンの端部を覆う、
図9〜11のシーリングキャップの立面図である。
【
図13】
図12における線13−13に沿ったそれらの断面図である。
【
図14】それらが取り付けられ得る従来の投薬ペンに隣接した、本発明によるペン注射針および係合インタフェースの第2の実施形態の分解斜視図である。
【
図15】
図14のペン注射針の代わりにシーリングキャップを示す、
図14に類似した分解斜視図である。
【
図17】
図16における線17−17に沿ったそれらの断面図である。
【
図19】
図18における線19−19に沿ったそれらの断面図である。
【
図20】
図14および16に示された組み立てられた構成要素の立面図である。
【
図21】
図20における線21−21に沿ったそれらの断面図である。
【
図22】
図15および18に示された組み立てられた構成要素の立面図である。
【
図23】
図22における線23−23に沿ったそれらの断面図である。
【
図24】本発明によるペン注射針の第3の実施形態の斜視図である。
【
図25】
図24のペン注射針とともに使用するための本発明によるインタフェースの斜視図である。
【
図26】従来の投薬ペンと組み立てられた、
図24および25の構成要素の立面図である。
【
図27】
図26における線27−27に沿ったそれらの断面図である。
【
図28】
図24のペン注射針の一部であるカニューレ(針)の斜視図である。
【
図29】
図24のペン注射針の前部(遠位)ハブ部分の正面斜視図である。
【
図31】
図30の前部(遠位)ハブ部分と組み立てられた、
図28のカニューレの背面斜視図である。
【
図32】
図24のペン注射針の後部(近位)ハブ部分の正面斜視図である。
【
図33A】
図33における線33A−33Aに沿ったそれの断面図である。
【
図34A】
図34における線34A−34Aに沿ったそれの断面図である。
【
図35】それらが取り付けられ得る従来の投薬ペンに隣接した、本発明によるペン注射針および係合インタフェースの第4の実施形態の分解立面図である。
【
図37】
図35および36に示された組み立てられた構成要素の立面図である。
【
図38】
図35における線38−38に沿ったそれらの断面図である。
【
図38A】
図38における線38A−38Aに沿ったそれらの拡大された詳細図である。
【
図40】
図39における線40−40に沿ったそれの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図は全体に概略的なものであり、必ずしも原寸に比例するものではない。
【0014】
本明細書において、「遠位」方向は、注射部位に向かう方向、すなわち、針(カニューレ)の患者側(注射側)端部に向かう方向であり、「近位」方向は、反対の方向、すなわち、針の非患者側(非注射側)端部に向かう方向である。「軸」方向は、針の長手軸に沿うまたは平行な方向であり、針は一般に、投薬ペンに軸方向に配置される。
【0015】
図面のうちの多くに示された従来の投薬ペン2は、ペン針を取り付けるための雄ねじ付き端部4を有し、かつ、穿孔可能な隔壁8をその分注側端部に有する薬剤容器6を収容する。
【0016】
図1、3、5、6、および6Aを参照すると、本発明による薬剤送達システムの第1の実施形態が、使い捨てのペン注射針10と、再使用可能なインタフェース部材30とを含む。ペン注射針10は、ハブ14に固定された中空のステンレス鋼製針(カニューレ)12を有し、ハブ14は、好ましくは当技術分野で知られている適切なプラスチックで作られる。
図6Aで明らかなように、ハブ14は、遠位ハブ部分16、投薬ペン2の雄ねじ付き端部4と係合するように適合された雌ねじ20付きの近位ハブ部分(カラー)18、および、両端で開口している軸方向に延在するハブボア22を有する。針12は、斜角が付けられかつ先鋭化された遠位注射側端部24と、非注射側端部28を含む近位針部分26とを有する。近位針部分26は、エポキシもしくはUV硬化性接着剤などの接着剤、スピン溶接、挿入成形、または当技術分野で知られている他の手段により、ハブボア22内に固定される。
【0017】
重要なことには、この実施形態では、針の非注射側端部28は、容器6の隔壁8に穿孔することができないように、斜角が付けられていないかまたは先鋭化されておらず、かつ、ハブボア22の外側に露呈されていない。代わりに、隔壁の穿孔は、円板様のカラー32を有するインタフェース部材30によって達成され、カラー32からは、テーパ付けされたスパイク34が延在する。
図6Aを参照すると、部材30の本体は、両端で開口している軸方向ボア36と、スパイクに軸方向に位置合わせされてボア36に対して開口しているカラー32内の凹部38とを有する。スパイク34の外表面上の、遠位に傾斜したリブ40が、スパイクが容器6の隔壁8から外れないようにする働きをする。
【0018】
図8A、8B、および8Cは、インタフェース部材30への任意選択の追加物を示し、具体的には、カラー32の遠位面にある環状溝44内に据え付けられた環状シール(Oリング)42を示す。この追加物は、投薬ペンに取り付けられたときのペン注射針のハブ14との封着、またはペン注射針が取り付けられていないときのキャップとの封着を強化する働きをする。
【0019】
図4Aは、ペン注射針が取り付けられていないときにカラー32の凹部38をシールするための1つのタイプのキャップ46を示す。プラスチック、またはシリコーンゴムなどの弾性材料で作られたプレスオンキャップ(press-on cap)46は、凹部38内にぴったり嵌まるサイズおよび形状となされた栓様の端部48と、キャップが把持されかつ取り除かれることを可能にする、反対側のフランジ状の端部49とを有する。
【0020】
図9〜13は、カラー32にある凹部38をシールするための別のタイプのキャップを示す。このキャップ50は、プラスチックで作られ、かつ、投薬ペン2の雄ねじ付き端部4と係合するように適合された雌ねじ付きカラー52を有するという点でハブ14に類似することが好ましい。しかし、このキャップの端部は閉じられており、またそれは、カラー32にある凹部38内にぴったり嵌まるための栓のようなサイズおよび形状となされた内部軸方向突出部54を有する。
【0021】
図14、16、17、20、および21を参照すると、本発明による薬剤送達システムの第2の実施形態が、使い捨てのペン注射針60と、再使用可能なインタフェース部材80とを含む。ペン注射針60は、プラスチック製ハブ64に固定された中空のステンレス鋼製針(カニューレ)62を有する。
図17で明らかなように、ハブ64は、遠位ハブ部分66、雄ねじ付きの近位ハブ部分68、および、両端で開口している軸方向に延在するハブボア72を有する。針62は、斜角が付けられかつ先鋭化された遠位注射側端部74と、非注射側端部78を含む近位針部分76とを有する。近位針部分は、第1の実施形態に関して前述された手段のうちのいずれかにより、ハブボア72内に固定される。
【0022】
この実施形態でも、針の非注射側端部78は、容器6の隔壁8に穿孔することができないように、斜角が付けられていないかまたは先鋭化されておらず、かつ、ハブボア72の外側に露呈されていない。代わりに、隔壁の穿孔は、インタフェース部材80によって達成され、このインタフェース部材80は、両端で開口している軸方向ボア84を持つ、軸方向に延在する滑らかなスパイク82を有する。スパイク82は、投薬ペン2の雄ねじ付き端部4と係合するように適合された雌ねじ付カラー86を含む、成形された本体の一部である。本体はまた、ハブ64のねじ付きの近位ハブ部分68と係合するように適合された、遠位に面したねじ付きの凹部88を含む。スパイクの軸方向ボア84は、凹部88内に開口している。したがって、インタフェース部材80が投薬ペン2に螺合されると、そのスパイク82は、容器6の隔壁8に穿孔して、ねじ式接続によって所定の位置に留まる(
図21参照)。
【0023】
凹部88にキャップを付けることにより、ペン注射針が取り付けられていないときに容器6から薬剤が漏出することが防がれる。
図15、17、19、20、および21は、1つのタイプのキャップ付け解決法、すなわち、先の実施形態の栓タイプのキャップ46に似ているが、好ましくはキャップの置き忘れを防ぐためにインタフェース部材80の本体に繋がれる、プレスオンキャップ90を示す。キャップ90、テザー92、およびインタフェース部材80の本体は、一体に成形されることが好ましい。あるいは、キャップ90およびテザー92は、一体に形成されてから任意の適切な手段により部材80の本体に取り付けられてもよく、または、それら3つの全てが、別々に形成されてから結合されてもよい。好ましくは部材80の本体に繋がれる、雄ねじ付きの栓などの他のタイプのキャップも使用され得る。
【0024】
図24〜27を参照すると、本発明による薬剤送達システムの第3の実施形態が、再使用可能なインタフェース100と、使い捨てのペン注射針120とを含む。インタフェース100は、投薬ペン2の雄ねじ付き端部4と係合するように適合された雌ねじ付きカラー102を有するという点で先の実施形態のインタフェース80に類似し、カラーは、端が開口した軸方向ボア106を有する、近位に延在する滑らかなスパイク104を取り囲む。この実施形態はまた、ペン注射針を取り付けるための遠位に面した凹部を有するが、この実施形態における凹部108は、滑らかなものであり、遠位に突出するボス110内に形成されている。ペン注射針が取り付けられていないときには、薬剤が凹部108を通って漏れるのを防ぐために、栓タイプのキャップが必要になるであろう。本明細書において説明されるキャップのうちのいずれかなどの、適切に構成された栓タイプのキャップが、この目的に十分であろう。
【0025】
図28〜34Aを参照すると、ペン注射針120は、中空のカニューレ(針)122を含むアセンブリであり、カニューレ(針)122は、その遠位注射側端部において斜角が付けられかつ先鋭化されている。針112の近位部分は、遠位ハブ部分112と近位ハブ部分114との間に保持される。カニューレ122が貫通するボス110が、遠位ハブ部分112上に形成される。近位に突出する取付けボス116が、近位ハブ部分114上に形成され、かつ、インタフェース100の凹部108と係合して隙間のない継手(例えば、ルアーテーパ継手)を形成するように構成される。近位ハブ部分114はまた、2つのハブ部分の間から薬剤が浸出するのを防ぐ環状シール(Oリング)124を収容する、環状溝118を有する。
【0026】
遠位ハブ部分112の後部係合(内側)面は、中心のハブボアから放射状に広がる少なくとも2つの溝126を有する。溝126は、レーザまたは他の適切な手段によって形成された、ステンレス鋼製カニューレ122のそれぞれの分割された端部128を収容する。遠位ハブ部分112はまた、近位ハブ部分114上の遠位に面した2つの突起130を受容し好ましくはそれらの突起30としっかり係合するように構成された、2つの凹部または窓132を有する。カニューレ122がその分割された端部を溝126に入れて遠位ハブ部分112のハブボア区間内に取り付けられた後、2つのハブ部分112、114は、それらのハブボア区間が位置合わせされて押し合わせられる。2つのハブ部分は、凹部132での突起130の摩擦的かつ/または密接な機械的ロッキング係合によって、互いに保持され、このことは、接着剤を塗布すること、または硬化プロセスを経ることの必要性をなくす。したがって、この実施形態でも、針122の非注射側端部128は、斜角が付けられていないか、先鋭化されていないか、または、ハブボアの外側に露呈されていない。
【0027】
図35〜40に示された実施形態は、針(カニューレ)の近位部分の一部が露呈されていること以外は、第1の実施形態に似ている。しかし、露呈された部分は非常に短く、針の非注射側端部は十分に遮蔽される。簡潔さおよび便宜のために、これらの図では、同様の部品は第1の実施形態(
図1〜8C)の説明で使用されたのと同じ参照番号によって示され、また、説明は違いに重点を置く。
【0028】
図40を参照すると、比較的薄い隔壁136が、凹部38内に固定されて、ペン注射針が取り付けられていないときに薬剤が軸方向ボア36および凹部38を通って漏出するのを防ぐシールを形成する。隔壁136は、当技術分野で知られておりまた針12などの十分に細いカニューレによって穿刺されたときに自己密閉する、任意の従来の材料で作られる。したがって、針12の非注射側端部138は、斜角が付けられかつ先鋭化され、かつ、ペン注射針が完全に取り付けられたときに隔壁136に穿孔するのにちょうど足りるだけハブボア22を越えて突出する。針12は、スパイクのボア36に侵入するのに十分なほど長く突き出ることが好ましいが、これは必須ではない。針12の近位端部の十分な剛性を維持するため、および、針刺し事故をなおも防ぐために、ハブ14からのその非注射側端部138の突出距離は、好ましくは、隔壁136を穿孔する作業を達成するのに必要とされるだけであるべきであり、好ましくは、ハブボアの長さの約半分を越えないものあり、より好ましくは、ハブボアの長さの約3分の1を越えないものであり、最も好ましくは、ハブボアの長さの約4分の1を越えないものである。ハブボアの長さの半分の突出でも、非注射側端部138は周囲のカラー18によって十分に保護されるはずである。
【0029】
上記実施形態のそれぞれにおいて、ステンレス鋼製針への薬剤の流れは、針に薬剤を直接供給するプラスチック製インタフェースのより大きな内腔によって強化される。このことは、患者の快適さを向上させるためにさらに小ゲージの針を使用することを可能にする。針の短縮された(隠された、または非常に短い)非患者側端部もまた、針刺し事故の危険性を最小限に抑える。
【0030】
好ましい実施形態に関する上記の説明は、本発明の限界と見なされるべきではなく、本発明の限界は、以下の請求項およびそれらの均等物によって定められる。