(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6787989
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】オープン出力保護を備えるドライバ
(51)【国際特許分類】
H05B 45/50 20200101AFI20201109BHJP
H05B 45/375 20200101ALI20201109BHJP
【FI】
H05B45/50
H05B45/375
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-242761(P2018-242761)
(22)【出願日】2018年12月26日
(62)【分割の表示】特願2016-527350(P2016-527350)の分割
【原出願日】2014年10月24日
(65)【公開番号】特開2019-79819(P2019-79819A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2019年1月24日
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2013/001354
(32)【優先日】2013年11月8日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】14150098.3
(32)【優先日】2014年1月3日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】チェン チー クアン
(72)【発明者】
【氏名】リ カン
【審査官】
山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−278641(JP,A)
【文献】
特開2011−222266(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3177245(JP,U)
【文献】
特開平07−255168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00 − 45/58
H05B 47/00 − 47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷を駆動するための負荷ドライバであって、前記負荷ドライバが、スイッチモードドライバであり、
出力バッファコンデンサと、
前記負荷に結合するための、前記出力バッファコンデンサに結合される2つの出力端子と、
前記2つの出力端子を通して電力を出力するための変換回路とを有し、前記変換回路が、
起動電流を受け取るための起動端子であって、前記2つの出力端子のうちの第1出力端子に結合される起動端子と、
制御可能なスイッチング素子であって、前記制御可能なスイッチング素子の制御端子が、前記2つの出力端子と直列接続し、前記制御可能なスイッチング素子が、前記起動電流によってオンにされるように、前記起動端子が、前記制御可能なスイッチング素子の前記制御端子に接続し、前記起動電流が、前記2つの出力端子に前記負荷が結合されているときに、前記2つの出力端子のうちの第2出力端子から、前記負荷を通って、前記第1出力端子に向かい、前記起動端子に向かい、前記制御可能なスイッチング素子の前記制御端子に入るものである制御可能なスイッチング素子とを有する負荷ドライバ。
【請求項2】
前記負荷ドライバが、前記第1出力端子から前記出力バッファコンデンサの第1端子へ順方向接続で結合される結合ダイオードを更に有し、前記結合ダイオードが、前記2つの出力端子に前記負荷が結合されていないときに、正の電圧バスから前記制御可能なスイッチング素子の前記制御端子の方への電流を阻止するよう適応され、
前記出力バッファコンデンサが、前記2つの出力端子及び前記結合ダイオードの直列接続部と並列であり、
前記起動端子が、前記2つの出力端子と前記結合ダイオードとの間の接合部に接続し、
前記負荷ドライバが、フィルタ段を更に有し、前記フィルタ段が、直列に接続される1つのインダクタと、各々前記インダクタの1つの端部及び接地の間に接続される第1及び第2コンデンサとを含むΠ型フィルタである請求項1に記載の負荷ドライバ。
【請求項3】
前記出力バッファコンデンサの前記第1端子及び前記結合ダイオードの陰極に結合される負荷端子を更に有し、
前記制御可能なスイッチング素子が、前記負荷端子及び接地バスの間に接続され、前記制御可能なスイッチング素子が、選択的に前記負荷を前記正の電圧バス及び前記接地バスの間に結合して電流ループを形成するためのものであり、
前記起動電流が、前記スイッチング素子をオンにするためのものである請求項2に記載の負荷ドライバ。
【請求項4】
前記起動端子と前記第1出力端子との間に接続される始動抵抗器と、
前記スイッチング素子及び接地の間の電流検知抵抗器と、
前記制御可能なスイッチング素子の前記制御端子に接続されるコレクタ端子、接地されるエミッタ端子、及び前記電流検知抵抗器に接続されるベース端子を備えるトランジスタ回路とを更に有する請求項1に記載の負荷ドライバ。
【請求項5】
前記トランジスタ回路が、2つのNPNトランジスタを有するダーリントン回路であり、
前記変換回路が、前記起動端子に接続される陽極と、接地される陰極とを備える第1ダイオードを更に有し、
前記ベース端子が第3抵抗器を介して前記電流検知抵抗器に接続され、
前記起動端子が抵抗器を介して接地され、
前記変換回路が、前記スイッチング素子と直列に接続される一次巻線と、二次巻線とを含むフィードバック変圧器を有し、前記二次巻線が、前記制御可能なスイッチング素子の前記制御端子に接続されると共に、抵抗器を介して前記ダーリントン回路の前記ベース端子に接続される請求項4に記載の負荷ドライバ。
【請求項6】
前記変換回路が、前記起動端子に結合される蓄積コンデンサを更に有し、前記起動電流が、前記スイッチング素子の前記制御端子に起動電圧を供給するためにこの蓄積コンデンサを充電するためのものである請求項1に記載の負荷ドライバ。
【請求項7】
前記変換回路が、前記蓄積コンデンサの前記起動電圧がしきい電圧に達したときに始動するよう、前記蓄積コンデンサと前記スイッチング素子の前記制御端子との間に結合されるダイアックを更に有する請求項6に記載の負荷ドライバ。
【請求項8】
前記スイッチング素子が、前記負荷を正の電圧バスと接地との間に結合するスイッチングトランジスタを有し、前記ダイアックが、前記スイッチングトランジスタのベースに結合される請求項7に記載の負荷ドライバ。
【請求項9】
前記負荷ドライバが、前記第1出力端子から前記出力バッファコンデンサの第1端子へ順方向接続で結合される結合ダイオードと、前記出力バッファコンデンサの前記第1端子及び前記結合ダイオードの陰極に結合される負荷端子とを更に有し、
前記スイッチングトランジスタのコレクタ端子が前記負荷端子に結合され、前記ダイアックが抵抗器を介して前記スイッチングトランジスタの前記ベースに結合される請求項8に記載の負荷ドライバ。
【請求項10】
前記負荷ドライバが、前記第1出力端子から前記出力バッファコンデンサの第1端子へ順方向接続で結合される結合ダイオードと、前記出力バッファコンデンサの前記第1端子及び前記結合ダイオードの陰極に結合される負荷端子とを更に有し、
前記トランジスタ回路が、2つのNPNトランジスタを有するダーリントン回路であり、
前記負荷端子が、フィードバック変圧器の一次巻線を介して、前記出力バッファコンデンサの前記第1端子に結合され、前記負荷ドライバが、
温度が上昇するにつれて前記ダーリントン回路の前記ベース端子へのバイアス電流を減少させるよう適応される温度補償回路と、
前記温度が或るしきい値に達するときに、前記ダーリントン回路の前記ベース端子に流れ込むコレクタ電流を生成するよう適応される過熱防止回路とを更に有する請求項4に記載の負荷ドライバ。
【請求項11】
前記出力バッファコンデンサと並列接続の負荷抵抗器を更に有し、前記スイッチング素子が、MOSFETを有する請求項1に記載の負荷ドライバ。
【請求項12】
前記スイッチングトランジスタが、バイポーラ接合トランジスタである請求項8に記載の負荷ドライバ。
【請求項13】
請求項1に記載の負荷ドライバと、
前記負荷ドライバによって駆動される1つのLED負荷とを有するLED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、スイッチモードドライバに関する。本発明は、とりわけ、LEDドライバとしての使用のためのスイッチモードドライバに関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
LEDを駆動するために用いられるもののようなスイッチモードドライバにおいては、出力バッファコンデンサが、繰り返し、充電及び放電される。駆動LEDに開回路を供給する欠陥がある場合、又は出力端子にLEDが接続されていない場合には、出力バッファコンデンサにわたる電圧は非常に高くなるかもしれず、従って、出力端子にわたる電圧は非常に高くなるかもしれず、これは、場合によっては危険であり、電子部品に損傷をもたらし得る。既知の保護回路は、相対的に多くの部品を有し、従って、相対的にコストがかかる。例えば、数多くのトランジスタ、スタビリボルト(stabilivolt)、コンデンサなどが、負荷電圧を示す変圧器二次巻線の電圧を検知するために用いられる。更に、現在のオープン保護回路は、交互に起動及び停止をし、ドライバのバーピング(burping)をもたらす、即ち、何度も再起動する。
【0003】
US2012/0299480は、ICをベースにしたLEDドライバを開示している。パワースイッチMOS461のスイッチングが、LEDラインドライバIC420によって制御される。スイッチの起動は、電源からの負荷を介した電流によってではなく、ICによって、処理される。このようなICをベースにしたソリューションは高コストである。
【0004】
US2005/0093488も、ICをベースにしたドライバを開示している。しかし、それは、リニアドライバであり、スイッチング電源ドライバではない。トランジスタは、負荷と平行であり、負荷からの電力の一部をシャントする抵抗性素子として用いられる。更に、この従来技術におけるトランジスタ108は、ICによって制御されるものであり、電源から負荷を介して来る起動電流によってオンにされるものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、相対的に少ない部品を持ち、良好な保護性能を持つ過電圧/オープン負荷保護を備えるスイッチモードドライバを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
或る態様においては、本発明は、負荷を駆動するためのドライバに起動電流を供給するための方法であって、駆動されるべき前記負荷を介して前記起動電流を供給するステップを有する方法を提供する。
【0007】
別の態様においては、本発明は、負荷を駆動するためのドライバにおける基準点において動作電流又は動作電圧を供給するための方法であって、前記動作電流又は動作電圧が、各々、駆動されるべき前記負荷を介して前記基準点を電圧バスに結合することによって、前記電圧バスから得られる方法を提供する。
【0008】
更に別の態様においては、本発明は、負荷を駆動するための負荷ドライバであり、前記負荷ドライバが、出力バッファコンデンサと、前記負荷に結合するための、前記出力バッファコンデンサに結合される2つの出力端子と、一方の出力端子から前記出力バッファコンデンサの第1端子へ順方向接続で結合される結合ダイオードと、起動電流を受け取るための起動端子を有する変換回路とを有する負荷ドライバであって、前記起動端子が、前記一方の出力端子に結合される負荷ドライバを提供する。従って、前記起動端子は、駆動される前記負荷が前記起動電流を伝導するよう存在する場合には、前記駆動される負荷を介してこの起動電流を受け取るだろう。
【0009】
上記の態様の全てにおいて、本発明は、負荷が存在しない場合には、又はこのような負荷に開回路を供給する欠陥がある場合には、前記ドライバの起動を防止する相対的に単純な回路が提供されるという利点を提供する。本発明は、更に、過電圧/オープン負荷保護が前記ドライバをバープ(burp)させないという利点を提供する。好ましくは、上述の方法及びドライバはLEDアプリケーションのためのものである。
【0010】
他の有利な詳細は、従属請求項において言及されている。
【0011】
本発明の好ましい実施例も、従属請求項又は上記の実施例と各々の独立請求項の任意の組み合わせであり得ることは理解されるだろう。
【0012】
同じ参照符号は同じ又は同様のパーツを示す図面に関する1つ以上の好ましい実施例の以下の記載によって、本発明のこれら及び他の態様、特徴及び利点を更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】従来技術のドライバ設計の回路図を概略的に示す。
【
図2】本発明によるドライバの実施例の回路図を概略的に示す。
【
図3】本発明によるドライバの別の実施例の回路図を概略的に示す。
【
図4】
図2に示されているような回路の動作を図示するための電流/電圧信号のグラフを示す。
【
図5】
図2に示されているような回路の動作を図示するための電流/電圧信号のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、あらゆるタイプの負荷のためのドライバに関するが、前記ドライバは、特にLEDドライバとしての適用に有用であり、以下では、本発明は、特にLED負荷の例について説明及び図示されるが、この例は、本発明の範囲をLEDまで減らさない。
図1は、現在のドライバ100の設計の回路図を概略的に示している。ドライバ100は、AC電源に接続するための入力端子101、102と、整流段103と、フィルタ段104とを有する。入力フィルタ段104の出力側は、正の電圧バス105と、負又は接地の電圧バス106とに接続する。ブロック110は、変換回路である。それは、第1抵抗器112を介して正の電圧バス105に接続されると共に、第1ダイオード113を介して接地の電圧バス106に接続される基準ノード111を有し、第1ダイオード113の陰極端子は、基準ノード111に接続される。
【0015】
変換回路110においては、第1NPNトランジスタ114が、基準ノード111に接続されるベース端子を持つ共に、電流検知抵抗器115を介して接地の電圧バス106に接続されるエミッタ端子を持つ。2つのNPNトランジスタから成るダーリントン回路116は、基準ノード111に接続されるコレクタ端子を持ち、接地の電圧バス106に接続されるエミッタ端子を持ち、第3抵抗器117を介して第1NPNトランジスタ114のエミッタ端子に接続されるベース端子を持つ。
【0016】
出力整流及びフィルタ段120は、正の電圧バス105と第1NPNトランジスタ114のコレクタ端子との間に接続される第2ダイオード121を有し、第2ダイオード121の陰極端子は正の電圧バス105に接続されている。フィードバック変圧器130の変圧器一次巻線122は、第2ダイオード121の陽極端子に接続される1つの端子を持つ。第4抵抗器123及び出力バッファコンデンサ125の並列配置が、正の電圧バス105と変圧器一次巻線122の第2端子との間に接続される。
【0017】
フィードバック変圧器130の変圧器二次巻線131は、接地の電圧バス106に接続される1つの端子を持つと共に、第5抵抗器132を介してダーリントン回路116のベース端子に接続される第2端子を持つ。第2コンデンサ133及び第6抵抗器134の直列配置が、変圧器二次巻線131の第2端子と基準ノード111との間に接続される。
【0018】
ドライバ100は、各々、正の電圧バス105及び変圧器二次巻線122の第2端子に接続される、出力端子128及び129を持つ。図面は、これらの2つの出力端子128、129の間に駆動LED負荷Lが接続されることを示している。
【0019】
駆動LEDに開回路を供給する欠陥がある場合、又は出力端子128、129にLEDが接続されていない場合には、出力バッファコンデンサ125にわたる電圧は非常に高くなるかもしれず、従って、出力端子128、129にわたる電圧は非常に高くなるかもしれず、これは、場合によっては危険であり、電子部品に損傷をもたらし得る。
【0020】
この問題を防止するため、図示されているドライバ設計は、基準ノード111と接地との間に接続される出力過電圧/オープン負荷保護回路140を含む。図面において見られ得るように、出力過電圧/オープン負荷保護回路140は、基準ノード111に接続されるエミッタ端子を持つPNPトランジスタ141と、基準ノード111及びトランジスタ141のベース端子の間に接続される抵抗器142と、接地の電圧バス106及びトランジスタ141のコレクタ端子の間に接続されるツェナーダイオード143と、トランジスタ141のコレクタ端子に接続される抵抗器144と、抵抗器144及び接地の電圧バス106の間に接続されるコンデンサ145と、コンデンサ145及び抵抗器144の間のノードに接続される抵抗器146と、抵抗器146及び変圧器二次巻線131の第2端子の間に接続されるダイオード147と、トランジスタ141のコレクタ端子に接続されるベース端子を持ち、トランジスタ141のベース端子に接続されるコレクタ端子を持ち、ダイオード147及び抵抗器146の間のノードに接続されるエミッタ端子を持つNPNトランジスタ148とを有する。従って、この出力電圧保護回路140は、8個の部品を必要とする。
【0021】
ここで、このオープン負荷保護の動作原理を説明する。負荷Lがオープンである場合、出力コンデンサ125が、高い電圧まで充電されるだろう。フィードバック変圧器130の結合巻線122及び131を介して、コンデンサ145が充電されるだろう。コンデンサ145の両端の電圧が、ツェナーダイオード143のツェナー電圧を上回るとき、ツェナーダイオード143が、降伏状態になる。次いで、トランジスタ148及び141が、オンにされ、ノード111における電圧を接地に引き込み、それによって、第1トランジスタ114をオフにする。しかしながら、コンデンサ145が低いレベルまで放電するとき、それは、トランジスタ148をオンに保つことができず、従って、保護回路140は、ノード111を接地へ引き込むのを停止する。電力バス105は、ノード111を介して再びトランジスタ114のベースに起動電圧を印加し、トランジスタ114を再びオンにさせ、コンデンサ125が再び充電される。上記のプロシージャは、オープン負荷状態が続く限り繰り返す。従って、保護回路140は、周期的に起動及び停止し、これは、「バーピング」と呼ばれている。これは、ドライバにとって望ましくない。
【0022】
図2は、本発明によるドライバ200の回路図を概略的に示している。
【0023】
第1実施例においては、ドライバ200は、出力コンデンサ125と、負荷Lを結合するための出力コンデンサ125に結合される2つの出力端子128及び129と、1つの出力端子129から出力コンデンサ125の端子への順方向接続の結合ダイオード202と、負荷端子及び起動端子111を備える変換回路110とを有し、前記負荷端子は、負荷Lをループ状に電力バス105と結合するために結合ダイオード202を介して1つの出力端子129に結合され、起動端子111は、駆動負荷Lが起動電流Isを伝導するよう存在する場合には、駆動負荷Lを介してこの起動電流を受け取るよう1つの出力端子129に結合される。
【0024】
別の実施例においては、ドライバ200は、出力コンデンサ125と並列接続の負荷抵抗器123を更に有する。
【0025】
更に別の実施例においては、ドライバ200は、起動端子111と1つの出力端子129との間の始動抵抗器112を更に有する。また、前記変換回路110は、選択的に負荷Lを電力バス105と接地との間に結合して閉ループを形成するための、スイッチング素子114、例えば、トランジスタ114を更に有し、前記起動電流Isは、前記トランジスタ114をオンにするためのものである。他のタイプのスイッチング素子、例えば、MOSFETも利用可能であることは理解され得る。
【0026】
トランジスタ114をオンにするために起動電流を用いる多くの方法がある。
図2は、始動抵抗器112が、接地抵抗器201によって形成されるバイアス電圧ノードに接続することを示している。起動電流は、トランジスタ114にオン状態を開始させるのに十分なベース電圧をトランジスタ114に供給するよう、接地抵抗器201の両端に起動電圧を形成するだろう。後で説明する
図3に示されているような別の実施例においては、起動電流は、トランジスタに十分なベース電圧を供給するよう起動コンデンサを充電するために用いられる。
【0027】
本発明によるLEDドライバ200の設計は、以下の特徴、即ち、
1)過電圧保護回路140が取り除かれている点、
2)以下では「始動抵抗器」とも示される第1抵抗器112が、正の電圧バス105ではなく、出力端子129に接続する点、
3)ダイオード113と並列に接地抵抗器201が接続される点、
4)出力端子129と、第4抵抗器123、出力バッファコンデンサ125及び変圧器一次巻線122の交点との間に順方向の形で結合ダイオード202が接続される点において、
図1のドライバ100から逸脱する。
【0028】
部品数が、従来技術設計と比べて実質的に少なく、従って、実質的にコストを削減することは、明らかであるだろう。図示されている例は、ドライバの負荷としてLEDを含むが、本発明は、LEDに限定されず、他のタイプの負荷も適用可能であることに注意されたい。
【0029】
動作は以下の通りである。駆動されるべきLED Lが存在する場合には、第1トランジスタ114のベース端子は、LED L及び始動抵抗器112を介して正の電圧バス105から正のバイアス電圧を受け取り、故に、変換回路110は、正常に動作している。始動抵抗器112及び接地抵抗器201は、前記バイアス電圧のための分圧器として動作する。抵抗器201の両端の電圧が第1トランジスタ114のVbeを上回るとき、第1トランジスタ114はオンになり、LED Lは、閉ループ状に電力バス105及び接地と結合される。第1トランジスタ114のコレクタ・エミッタ枝における電流は、電流検知抵抗器115にわたって検知電圧を生じさせ、この検知電圧は、負荷電流を示し、前記検知電圧は、ダーリントン回路116のベース端子に入力電圧として供給される。負荷電流が十分に高いとき、第1トランジスタ114のベース電圧が低くなり、第1トランジスタ114がオフにされるように、ダーリントン回路116がオンになるだろう。この動作が繰り返され、それによって、LEDが駆動される。前記第1トランジスタ114は、スイッチモードドライバのスイッチングトランジスタである。
【0030】
負荷LED Lがない場合には、結合ダイオード202も、正の電圧バス105から、コンデンサ125を通る及び抵抗器123を通る、始動抵抗器112の方への電流を阻止する状態で、始動抵抗器112は、正の電圧を全く受け取らず、第1トランジスタ114のベース端子は、接地抵抗器201によって接地の電圧バス106の電圧レベルまで引き下げられ、これは、ドライバが起動するのを防止する。従って、効率的な方法で、出力部に高い電圧が生じることが防止される。更に、結合ダイオード202は、出力バッファコンデンサ125が始動抵抗器112において放電するのも防止することに注意されたい。
【0031】
図4及び5は、
図2に示されているようなドライバ200の実施例における時間の関数としての電流及び電圧信号を図示している。より具体的には、
図4における上のグラフは、スイッチングトランジスタ114のベース電流Ib(Q1)と、LEDLにおける負荷電流I(Led1)とを示している。時間30msにおいて、負荷が故意に遮断されている。ベース電流Ib(Q1)に関しては、負荷がオープンになった後に、
図1において示されているようなドライバにおいては保護回路140の再起動により生じるだろうバーピング/一時的上昇がないことが見られ得る。
図4における下のグラフは、出力バッファコンデンサ125にわたる電圧V(a,C1)と、出力端子128における、即ち、正のバス105における電圧V(a)とを示している。コンデンサにわたる電圧は、高すぎる値までは充電されないだろうことが見られ得る。
図5のグラフは、長期間における、出力バッファコンデンサ125にわたる電圧V(a,C1)と、負荷電流I(Led1)とを示している。負荷がオープンになると、負荷電流はゼロに達し、出力バッファコンデンサ125にわたる電圧は徐々に減少する。
【0032】
図3は、本発明によるリングコア変圧器を有する定電流LEDドライバ300の回路図を概略的に示している。
【0033】
ドライバ300は、AC電源に接続するための入力端子301、302と、整流段303と、入力フィルタ段304とを有する。入力フィルタ段304の出力側は、正の電圧バス305と、負又は接地の電圧バス306とに接続する。ブロック310は、変換回路である。変換回路310においては、第1NPNトランジスタ314が、第1抵抗器311の1つの端子に接続されるベース端子を持つ共に、第2抵抗器315を介して接地の電圧バス306に接続されるエミッタ端子を持つ。2つのNPNトランジスタから成るダーリントン回路316は、第1NPNトランジスタ314のベース端子に接続されるコレクタ端子を持ち、接地の電圧バス306に接続されるエミッタ端子を持ち、第3抵抗器317を介して第1NPNトランジスタ314のエミッタ端子に接続されるベース端子を持つ。第1NPNトランジスタ314は、スイッチモードドライバ300のスイッチングトランジスタである。
【0034】
出力整流及びフィルタ段320は、正の電圧バス305に接続される1つの端子を持つ出力バッファコンデンサ325を有する。正の電圧バス305と第1NPNトランジスタ314のコレクタ端子との間に第1ダイオード321が接続され、第1ダイオード321の陰極端子は正の電圧バス305に接続されている。フィードバック・リングコア変圧器330の変圧器一次巻線322は、第1ダイオード321の陽極端子に接続される1つの端子を持つ。変圧器一次巻線322の第2端子と出力バッファコンデンサ325との間にインダクタ323が接続される。
【0035】
変圧器二次巻線331は、第1抵抗器311の第2端子に接続される1つの端子を持つと共に、第1NPNトランジスタ314のエミッタ端子に接続される第2端子を持つ。
【0036】
ドライバ300は、正の電圧バス305に接続される第1出力端子328と、第2ダイオード325の陽極が第2出力端子329の方へ向けられている状態の第2ダイオード325を介して、出力バッファコンデンサ325及びインダクタ323の間の交点ノードに結合される第2出力端子329とを有する。図面は、2つの出力端子328、329の間に駆動LED Lが接続されることを示している。
【0037】
ドライバ300は、接地の電圧バス306に接続される1つの端子を持つと共に、「始動抵抗器」とも示される充電抵抗器342を介して第2出力端子329に接続される第2端子を持つ蓄積コンデンサ341を更に有する。第3ダイオード343は、第3ダイオード343の陽極が蓄積コンデンサ341の方へ向けられている状態で、蓄積コンデンサ341の第2端子を、第1トランジスタ314のコレクタ端子に接続する。ダイアック344は、蓄積コンデンサ341の第2端子を第1抵抗器311の第2端子に接続する。
【0038】
動作は以下の通りである。駆動されるべきLED Lが存在する場合には、蓄積コンデンサ341が、正の電圧バス305から負荷LED L及び充電抵抗器342を介して充電される。蓄積コンデンサ341の電圧がしきい値に達すると、ダイアック344が、トリガされ、第1トランジスタ314にベース電流を供給するだろう。次いで、第1トランジスタ314が、第3ダイオード343を介して蓄積コンデンサ341を放電させ、同時に、変圧器一次巻線322に電流を引き込む。これは、第1トランジスタ314がその飽和領域において動作するまで、繰り返される。負荷電流が十分に大きいとき、電流検知抵抗器315は、負荷電流を示す高い電圧をダーリントン回路316に供給するだろう。このことは、第1トランジスタ314のベース電圧を低下させ、従って、第1トランジスタ314をオフにするだろう。この動作は繰り返され、それによって、LEDが駆動される。
【0039】
負荷LED Lがない場合には、蓄積コンデンサ341は充電されず、ダイアック344は始動せず、故に、第1トランジスタ314は導通されることができず、ドライバ300は起動することができない。従って、効率的な方法で、出力部に高い電圧が生じることが防止される。
【0040】
図3に示されているようなドライバ300の実施例においては、フィードバック変圧器300がリングコアとして実施されることから、一定の負荷電流を持つことが望ましい。ダーリントン回路316内の2つのトランジスタの電圧は1.2Vであり、抵抗器315の抵抗は一定であり、従って、抵抗器315を流れる電流は一定である。
【0041】
また、リングコアが用いられることから、温度ドリフトは重要な問題である。この問題を解決する又は少なくとも減らすために、温度補償回路360を備えるドライバ300が示されている。温度補償回路360は、NTC抵抗器361を有し、NTC抵抗器361は、抵抗器362を介して接地361に接続される一方の端子を持ち、NTC抵抗器361は、変圧器三次巻線363に接続される陽極を持つダイオード364の陰極に接続される他方の端子を持つ。PNPトランジスタ365は、抵抗器366を介してダイオード364の陰極に接続されるエミッタ端子を持ち、抵抗器367を介してNTC抵抗器361及び抵抗器362の間のノードに接続されるベース端子を持ち、ダーリントン回路316のベース端子に接続されるコレクタ端子を持つ。トランジスタ365は、ダーリントン回路316のベース端子にバイアス電流を供給する。NTC抵抗器は負の温度係数を持ち、即ち、温度が上昇するにつれて抵抗が減少することに注意されたい。
【0042】
温度補償回路360の動作は以下の通りである。温度が上昇するとき、ダーリントン回路316のVbeはドリフト(減少)し、スイッチングトランジスタ314のより早いオフをもたらし、それによって、負荷電流を減少させる。他方で、温度が上昇するにつれて、NTC抵抗器361の抵抗は減少し、トランジスタ365のベース電圧を増加させ、従って、トランジスタ365のコレクタ電流を減少させる。従って、ダーリントン回路316のベース端子へのバイアス電流は減少し、従って、ダーリントン回路316は、より遅くにオンにされ、従って、トランジスタ314は、より遅くにオフにされ、より多くの負荷電流が供給されることができる。
【0043】
更に、過熱保護回路370を備えるドライバ300が示されている。過熱保護回路370は、NTC抵抗器361及び抵抗器362の間のノードに接続されるエミッタ端子を持ち、ダーリントン回路316のベース端子に接続されるコレクタ端子を持ち、抵抗器372を介して接地のバス306に接続されると共に、抵抗器373を介してダイオード364の陰極に接続されるベース端子を持つPNPトランジスタ371を有する。抵抗器372及び373の直列配置と並列にコンデンサ374が接続される。
【0044】
過熱保護回路370の動作は以下の通りである。
【0045】
温度が上昇するにつれて、NTC抵抗器361の抵抗は減少し、トランジスタ371のエミッタ電圧を増加させる。温度が或るしきい値に達するとき、エミッタ・ベース間電圧差は0.6Vより高く、従って、トランジスタ371はオンになり、ダーリントン回路316のベースに流れ込むコレクタ電流を生成する。ダーリントン回路316のこの付加的なベース電流は、スイッチングトランジスタ314のより早いカットオフをもたらす。それ故、LED負荷はオフであり、電力は制限され、過熱保護を実現する。
【0046】
要約すると、本発明によれば、負荷を駆動するための負荷ドライバのための起動電流が前記負荷を介して供給される。
【0047】
更に、本発明によれば、負荷を駆動するための負荷ドライバにおいて、基準点における動作電流又は動作電圧は、前記負荷を介して前記基準点を電圧バスに結合することによって、前記電圧バスから得られる。
【0048】
更に、本発明によれば、負荷を駆動するための負荷ドライバは、出力コンデンサと、前記出力コンデンサに結合される2つの出力端子とを有する。一方の出力端子から前記出力バッファコンデンサの端子へ順方向接続で結合ダイオードが結合される。変換回路の起動端子は、前記負荷が起動電流を伝導するよう存在する場合には、駆動される前記負荷を介してこの起動電流を受け取るよう、前記一方の出力端子に結合される。
【0049】
図面及び上述の説明において本発明を詳細に図示し、説明しているが、このような図及び説明は、説明的なもの又は例示的なものであって、限定するものではないとみなされるべきであることは、当業者には明らかであろう。本発明は、開示されている実施例に限定されない。それどころか、添付の請求項において規定されるような本発明の保護範囲内で、幾つかの変形及び修正が可能である。例えば、スイッチングトランジスタの代わりに、別のタイプの制御可能なスイッチが用いられてもよい。
【0050】
請求項に記載の発明を実施する当業者は、図面、明細及び添付の請求項の研究から、開示されている実施例に対する他の変形を、理解し、達成し得る。請求項において、「有する」という用語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数の存在を除外しない。或る特徴が異なる従属請求項において列挙されている場合であっても、本発明は、共通してこれらの特徴を有する実施例にも関する。請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されてはならない。
【0051】
上記においては、本発明による装置の機能ブロックを図示しているブロック図を参照して、本発明を説明している。これらの機能ブロックの1つ以上は、このような機能ブロックの機能が個々のハードウェアコンポーネントによって実施されるハードウェアにおいて実施されてもよいが、これらの機能ブロックの1つ以上は、このような機能ブロックの機能が、コンピュータプログラムの1つ以上のプログラムライン、又はマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ディジタルシグナルプロセッサなどのようなプログラム可能な装置によって実施されるように、ソフトウェアで実施されることも可能であることは理解されたい。