特許第6788009号(P6788009)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6788009
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】バルブ装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/70 20160101AFI20201109BHJP
   F02M 26/17 20160101ALI20201109BHJP
   F02M 26/71 20160101ALI20201109BHJP
   F02D 9/02 20060101ALI20201109BHJP
   F16K 11/04 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   F02M26/70 321
   F02M26/17
   F02M26/71
   F02D9/02 S
   F02D9/02 T
   F16K11/04 Z
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-528889(P2018-528889)
(86)(22)【出願日】2017年7月21日
(86)【国際出願番号】JP2017026436
(87)【国際公開番号】WO2018016618
(87)【国際公開日】20180125
【審査請求日】2018年12月17日
(31)【優先権主張番号】特願2016-144169(P2016-144169)
(32)【優先日】2016年7月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100115934
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 雅也
(72)【発明者】
【氏名】伊東 善人
【審査官】 北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−069151(JP,U)
【文献】 特開平07−279776(JP,A)
【文献】 実開昭55−170435(JP,U)
【文献】 特開昭57−046046(JP,A)
【文献】 特開昭63−192946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/70
F02D 9/02
F02M 26/17
F02M 26/71
F16K 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ体と、
前記バルブ体を往復移動可能に収容するバルブ体収容通路を有するバルブボディと、
前記バルブ体を、前記バルブ体収容通路内で一方向及び前記一方向とは反対方向に往復移動させるバルブアクチュエータと、
を備え、
前記バルブボディは、
エンジンの吸気通路に設けられたスロットル弁をバイパスするバイパス通路の一部を構成し且つ前記吸気通路において前記スロットル弁よりも上流側に接続された流入通路と、前記バルブ体収容通路との接続部分に位置する流入通路入口部と、
前記バイパス通路に接続され且つ排気管内を流れる排気ガスを前記バイパス通路を介して吸気通路に還流させる還流通路と前記バルブ体収容通路との接続部分に位置する還流通路入口部と、
前記バルブ体収容通路内の気体を前記吸気通路に排出するための出口部と、
を有し、
前記バイパス通路の一部を構成するように前記流入通路入口部及び前記出口部をそれぞれ出入口とする第1通路と、前記還流通路入口部及び前記出口部をそれぞれ出入口とする第2通路とを形成し、
前記バルブ体収容通路は、前記バイパス通路の一部を構成し、
前記バルブ体は、
前記バイパス通路を構成している前記バルブ体収容通路に収容され、前記第1通路の流路面積を調整する第1バルブ部と、
前記バイパス通路を構成している前記バルブ体収容通路に収容され、前記第2通路の流路面積を調整する第2バルブ部とを有し、
前記バルブアクチュエータは、前記第1通路の流路面積を調整する第1バルブ部及び前記第2通路の流路面積を調整する第2バルブ部を、前記バルブボディの前記バルブ体収容通路内で移動させる、バルブ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブ装置において、
前記バルブ体は、前記バルブ体収容通路内を前記一方向に移動する間に、前記第1バルブ部が前記第1通路の流路面積を増大させる一方、前記第2バルブ部が前記第2通路の流路面積を減少させる、バルブ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のバルブ装置において、
前記バルブ体は、前記バルブ体収容通路内を前記一方向とは反対方向に移動する間に、前記第1バルブ部が前記第1通路の流路面積を減少させる一方、前記第2バルブ部が前記第2通路の流路面積を増大させる、バルブ装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載のバルブ装置において、
前記バルブ体収容通路内における前記バルブ体の移動範囲は、前記第1バルブ部が前記第1通路の流路面積を調整する第1移動範囲と、該第1移動範囲とは重ならない移動範囲で前記第2バルブ部が前記第2通路の流路面積を調整する第2移動範囲とを含む、バルブ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のバルブ装置において、
前記バルブ体は、前記バルブ体収容通路内を移動する際に、前記第1バルブ部が前記第1通路の流路面積を調整している間は、前記第2バルブ部が前記第2通路を閉じていて、前記第2バルブ部が前記第2通路の開口面積を調整している間は、前記第1バルブ部が前記第1通路を閉じている、バルブ装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載のバルブ装置において、
前記第1通路及び前記第2通路は、前記出口部側の通路部分が共通である、バルブ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のバルブ装置において、
前記還流通路入口部は、前記バルブ体収容通路において、前記流入通路入口部よりも前記出口部側に位置し、
前記第1バルブ部と前記第2バルブ部とは、直列に接続されていて、
前記第2バルブ部は、前記バルブ体収容通路において前記出口部側に位置するように、前記バルブ体に設けられている、バルブ装置。
【請求項8】
請求項7に記載のバルブ装置において、
前記第2バルブ部は、筒状に形成されていて、前記第1バルブ部側の端部には、開口を形成しつつ前記第1バルブ部を接続するためのリブが設けられているとともに、側面には、前記第2バルブ部が前記バルブ体収容通路内で前記第2通路の流路面積を調整する位置に位置付けられた際に前記還流通路入口部と繋がる通気口が設けられている、バルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気通路に設けられたスロットル弁をバイパスするバイパス通路の流路面積を変更可能なバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
吸気通路に設けられたスロットル弁をバイパスするバイパス通路の流路面積を変更可能な構成が知られている。例えば特許文献1には、スロットル装置として、吸気通路を画定するスロットルボディと、前記吸気通路を開閉するべく配置されたスロットル弁と、前記スロットル弁を迂回するべく前記スロットルボディに形成されたバイパス通路と、前記バイパス通路を開閉する弁体と、前記弁体を駆動する駆動機構と、を備えた構成が開示されている。
【0003】
前記特許文献1に開示されているスロットル装置では、スロットル弁と、バイパス通路に設けられた弁体と、該弁体を駆動させるステッピングモータとが、互いに干渉しないように且つコンパクトに配置されている。また、前記スロットル装置では、スロットル弁は、シャフトにより回転自在に支持されている。よって、前記シャフトに連結されたドラムをワイヤー等によって回転させることにより、前記スロットル弁は吸気通路を開閉する。
【0004】
前記吸気通路は、前記ドラムと前記弁体を駆動させるステッピングモータとの間に位置する。したがって、ドラムに連結されるワイヤーがステッピングモータと干渉することを防止できる。
【0005】
以上のように、前記特許文献1に開示されているスロットル装置では、バイパス通路周辺の構成のコンパクト化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−198152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、上述の特許文献1に開示されているようなコンパクトなスロットル装置において、機械的に駆動されるスロットル弁等の構成を大きく変更することなく、燃費を向上することが求められている。すなわち、コンパクトなスロットル装置において、スロットル弁周辺の構成を大型化することなく、燃費を向上することが要求されている。
【0008】
本発明は、スロットル弁周辺の構成の大型化を抑制しつつ燃費を向上可能な構成を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、特許文献1に開示されているようなコンパクトな構成を有するスロットル装置において、大型化することなく燃費を向上可能な構成について鋭意検討した。本発明者らは、種々の検討を行う中で、燃費向上のために、特許文献1に開示されているような機械的に駆動されるスロットル弁を有するエンジンに、EGR(Exhaust Gas Recirculation)を適用することを考えた。EGRとは、エンジンから排出された排気ガスを、エンジンの吸気側に還流させる方法である。
【0010】
エンジンにEGRを搭載するためには、通路に設けられるEGR用バルブと、該EGR用バルブを駆動するためのアクチュエータと、流路を構成するパイプとが必要である。前記パイプは、排気管とEGR用バルブとを繋ぐ部分と、EGR用バルブと吸気通路とを繋ぐ部分とを有する。そのため、エンジンにEGRを搭載する場合には、パイプの配置を工夫しないと、エンジンが大型化する可能性がある。
【0011】
そこで、本発明者らは、エンジンにEGRを搭載しても、エンジンが大型化しないように、種々の検討を行った。本発明者らは、スロットル弁が機械的に駆動されるエンジンの構成を詳細に検討する中で、吸気通路の周辺にEGR用バルブを配置することを考えた。
【0012】
具体的には、本発明者らは、吸気通路の周辺には、スロットル弁、ワイヤーが接続されたプーリー等の部品があるため、それらの部品との干渉を避けながら、EGR用バルブを配置することを検討した。そのような検討の中で、本発明者らは、バイパス通路に設けられたバルブのアクチュエータに着目した。
【0013】
一方、本発明者らは、鋭意検討を進める中で、EGR用バルブの制御を行うエンジン運転領域と、バイパス通路のバルブの制御を行うエンジン運転領域とが重複しない点に気づいた。よって、バイパス通路のバルブを駆動するためのアクチュエータを、EGR用バルブの駆動に利用できると考えた。このように、バイパス通路のバルブを駆動するためのアクチュエータと、EGR用バルブを駆動するためのアクチュエータとを共通化すれば、バルブの周辺にスペースを確保することができる。これにより、スロットル弁が機械的に駆動される構成において、スロットル弁周辺の構成の大型化を抑制しつつ、燃費を向上可能な構成を実現することができた。
【0014】
本発明の一実施形態に係るバルブ装置は、バルブ体と、前記バルブ体を往復移動可能に収容するバルブ体収容通路を有するバルブボディと、前記バルブ体を、前記バルブ体収容通路内で往復移動させるバルブアクチュエータとを備える。前記バルブボディは、エンジンの吸気通路に設けられたスロットル弁をバイパスするバイパス通路の一部を構成し且つ前記吸気通路において前記スロットル弁よりも上流側に接続された流入通路と前記バルブ体収容通路との接続部分に位置する流入通路入口部と、排気管内を流れる排気ガスを前記吸気通路に還流させる還流通路と前記バルブ体収容通路との接続部分に位置する還流通路入口部と、前記バルブ体収容通路内の気体を前記吸気通路に排出するための出口部とを有し、前記バイパス通路の一部を構成するように前記流入通路入口部及び前記出口部をそれぞれ出入口とする第1通路と、前記還流通路入口部及び前記出口部をそれぞれ出入口とする第2通路とを形成する。前記バルブ体は、前記第1通路の流路面積を調整する第1バルブ部と、前記第2通路の流路面積を調整する第2バルブ部とを有する。前記バルブアクチュエータは、前記第1通路の流路面積を調整する第1バルブ部及び前記第2通路の流路面積を調整する第2バルブ部を、前記バルブボディの前記バルブ体収容通路内で移動させる。
【0015】
上述の構成により、スロットル弁をバイパスするバイパス通路の一部を構成する第1通路の流路面積と、排気ガスを吸気通路に還流させる還流通路に繋がる第2通路の流路面積とを、バルブアクチュエータによって駆動されるバルブ体によって調整することができる。これにより、バルブ装置の部品数を削減することができる。したがって、バルブ装置をコンパクトな構成にすることができる。
【0016】
よって、スロットル弁が機械的に駆動される構成においても、排気ガスをバイパス通路に還流させるEGRをコンパクトな構成によって実現することができる。すなわち、スロットル弁の周りの構成の大型化を抑制しつつ、燃費向上を図れる。
【0017】
前記バルブ体は、前記バルブ体収容通路内を一方向に移動する間に、前記第1バルブ部が前記第1通路の流路面積を増大させる一方、前記第2バルブ部が前記第2通路の流路面積を減少させてもよい。
【0018】
これにより、バルブ体収容通路内でのバルブ体の移動に応じて、第1通路及び第2通路のそれぞれの流路面積を変えることができる。
【0019】
前記バルブ体は、前記バルブ体収容通路内を前記一方向とは反対方向に移動する間に、前記第1バルブ部が前記第1通路の流路面積を減少させる一方、前記第2バルブ部が前記第2通路の流路面積を増大させてもよい。
【0020】
これにより、バルブ体収容通路内でのバルブ体の移動に応じて、第1通路及び第2通路のそれぞれの流路面積を変えることができる。
【0021】
前記バルブ体収容通路内における前記バルブ体の移動範囲は、前記第1バルブ部が前記第1通路の流路面積を調整する第1移動範囲と、該第1移動範囲とは重ならない移動範囲で前記第2バルブ部が前記第2通路の流路面積を調整する第2移動範囲とを含んでもよい。
【0022】
これにより、第1バルブ部による第1通路の流路面積の調整と、第2バルブ部による第2路の流路面積の調整とを、独立して行うことができる。したがって、吸気通路においてスロットル弁をバイパスする空気の流量と、吸気通路に還流される排気ガスの流量とを、それぞれ精度良く制御することができる。
【0023】
前記バルブ体は、前記バルブ体収容通路内で移動する際に、前記第1バルブ部が前記第1通路の流路面積を調整している間は、前記第2バルブ部が前記第2通路を閉じていて、前記第2バルブ部が前記第2通路の開口面積を調整している間は、前記第1バルブ部が前記第1通路を閉じていてもよい。
【0024】
これにより、第1バルブ部による第1通路の流路面積の調整と、第2バルブ部による第2路の流路面積の調整とを、より確実に独立で行うことができる。
【0025】
前記第1通路及び前記第2通路は、前記出口部側の通路部分が共通であってもよい。
【0026】
このように、第1通路及び第2通路の一部を共通化することにより、バルブ装置の小型化を図れる。
【0027】
前記還流通路入口部は、前記バルブ体収容通路において、前記流入通路入口部よりも前記出口部側に位置してもよい。前記第1バルブ部と前記第2バルブ部とが直列に接続されていてもよい。前記第2バルブ部は、前記バルブ体収容通路において前記出口部側に位置するように、前記バルブ体に設けられていてもよい。
【0028】
これにより、バルブ体収容通路において排気ガスが流れる範囲を短くすることができる。よって、バルブ体収容通路の壁面に排気ガス中の粒子状物質等が付着することを抑制することができる。したがって、バルブ体収容通路内を気体が効率良く流れることができる。
【0029】
前記第2バルブ部は、筒状に形成されていて、前記第1バルブ部側の端部には、開口を形成しつつ前記第1バルブ部を接続するためのリブが設けられているとともに、側面には、前記第2バルブ部が前記通路内で前記第2通路の流路面積を調整する位置に位置付けられた際に前記還流通路入口部と繋がる通気口が設けられていてもよい。
【0030】
上述の構成により、第1通路及び第2通路の流路面積の調整を、直列に接続された第1バルブ部及び第2バルブ部を有するバルブ体によって行うことが可能になる。
【0031】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施例のみを定義する目的で使用されるのであって、前記専門用語によって発明を制限する意図はない。
【0032】
本明細書で使用される「及び/または」は、一つまたは複数の関連して列挙された構成物のすべての組み合わせを含む。
【0033】
本明細書において、「含む、備える(including)」「含む、備える(comprising)」または「有する(having)」及びそれらの変形の使用は、記載された特徴、工程、要素、成分、及び/または、それらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/または、それらのグループのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0034】
本明細書において、「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」、及び/または、それらの等価物は、広義の意味で使用され、“直接的及び間接的な”取り付け、接続及び結合の両方を包含する。さらに、「接続された」及び「結合された」は、物理的または機械的な接続または結合に限定されず、直接的または間接的な接続または結合を含むことができる。
【0035】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0036】
一般的に使用される辞書に定義された用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されることはない。
【0037】
本発明の説明においては、いくつもの技術及び工程が開示されていると理解される。これらの各々は、個別の利益を有し、他に開示された技術の1つ以上、または、場合によっては全てと共に使用することもできる。
【0038】
したがって、明確にするために、本発明の説明では、不要に個々のステップの可能な組み合わせをすべて繰り返すことを控える。しかしながら、本明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせがすべて本発明の範囲内であることを理解して読まれるべきである。
【0039】
本明細書では、本発明に係るバルブ装置の実施形態について説明する。
【0040】
以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な例を述べる。しかしながら、当業者は、これらの具体的な例がなくても本発明を実施できることが明らかである。
【0041】
よって、以下の開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面または説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【発明の効果】
【0042】
本発明の一実施形態に係るバルブ装置によれば、スロットル弁周辺の構成の大型化を抑制しつつ燃費を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、本発明の実施形態に係るエンジンの概略構成を示す模式図である。
図2図2は、バルブ装置の概略構成を模式的に示す図である。
図3図3は、バルブ体の概略構成を示す図である。
図4図4は、第1バルブ部の小径部における軸線方向の長さを示す図2相当図である。
図5図5は、バルブ装置において排気通路全開時のバルブ体の位置を示す図2相当図である。
図6図6は、バルブ装置において排気ガスの流量制御時におけるバルブ体の位置を示す図2相当図である。
図7図7は、バルブ装置において排気通路及び空気通路がともに全閉時のバルブ体の位置を示す図2相当図である。
図8図8は、バルブ装置においてバイパスする空気の流量制御時におけるバルブ体の位置を示す図2相当図である。
図9図9は、バルブ装置において空気通路全開時のバルブ体の位置を示す図2相当図である。
図10図10は、その他の実施形態に係る図2相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下で、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0045】
<全体構成>
図1は、本発明の実施形態1に係るバルブ装置2を備えたエンジンユニット1の構成を示す概略図である。エンジンユニット1は、例えば車両の動力源として用いられる。エンジンユニット1は、単気筒を有していてもよいし、複数の気筒を有していてもよい。なお、以下では、エンジンユニット1が複数の気筒を有する構成について説明する。また、図1では、エンジンユニット1の各構成要素を簡略化して示す。
【0046】
図1に示すように、エンジンユニット1は、エンジン10と、吸気通路20の一部を構成する吸気管21と、排気通路30の一部を構成する排気管31と、スロットル装置40と、バイパス通路51を構成するバイパス回路50と、排気ガス還流通路61(還流通路)を構成する排気ガス還流管60とを備える。
【0047】
エンジン10は、公知の種々のエンジンを適用可能であるため、エンジン10の各構成要素の詳細な説明は省略する。エンジン10は、ピストン11と、シリンダ12aと、シリンダヘッド12bと、クランクケース13と、クランク軸14と、コンロッド15と、吸気弁16と、排気弁17と、燃料噴射装置18と、点火プラグ19とを備える。
【0048】
ピストン11は、シリンダ12a内に、往復移動可能に配置されている。クランク軸14は、クランクケース13内に、回転可能に配置されている。ピストン11とクランク軸14とは、コンロッド15によって連結されている。ピストン11の往復移動は、コンロッド15を介してクランク軸14に伝達される。これにより、クランク軸14が回転する。
【0049】
エンジン10には、シリンダ12aと、シリンダヘッド12bと、ピストン11とによって、燃焼室90が形成される。燃焼室90には、吸気ポート91および排気ポート92が設けられている。シリンダヘッド12bには、吸気ポート91に接続される吸気側シリンダヘッド内通路93及び排気ポート92に接続される排気側シリンダヘッド内通路94が形成されている。本実施形態では、吸気側シリンダヘッド内通路93によって、吸気管21の内部と燃焼室90とが接続されている。また、排気側シリンダヘッド内通路94によって、排気通路30と燃焼室90とが接続されている。
【0050】
吸気弁16は、吸気ポート91を開閉する。排気弁17は、排気ポート92を開閉する。吸気弁16は、図示しない公知の動弁機構によって駆動される。同様に、排気弁17は、図示しない公知の動弁機構によって駆動される。燃料噴射装置18は、吸気通路20内に燃料を噴射する。吸気通路20内に供給された燃料は、空気とともに、混合気として燃焼室90へ送られる。点火プラグ19は、燃焼室90内の混合気に点火する。
【0051】
なお、エンジン10では、従来の構成と同様、シリンダ12a内をピストン11が一往復する間(1サイクルの間)に、吸入行程、圧縮行程、燃焼行程及び排気行程が行われる。エンジン10の各行程は、従来のエンジンと同様なので、詳しい説明を省略する。
【0052】
吸気通路20は、吸気管21の内部と、シリンダヘッド12bに設けられた吸気側シリンダヘッド内通路93とを含む。吸気通路20は、図示しないエアクリーナから、吸気管21及び吸気側シリンダヘッド内通路93を介して燃焼室90の吸気ポート91に空気を流す。
【0053】
吸気通路20には、スロットル装置40が設けられている。特に図示しないが、複数気筒を有するエンジンユニット1では、吸気通路20は、スロットル装置40よりも吸気ポート91側(以下、吸気通路20の下流側)が、各エンジン10の吸気側シリンダヘッド内通路93にそれぞれ繋がるように複数に分岐している。すなわち、スロットル装置40は、吸気通路20において、各エンジン10の吸気側シリンダヘッド内通路93に繋がるように複数に分岐している部分よりも上流側に配置されている。
【0054】
スロットル装置40は、図示しないアクセルペダル等に機械的に接続されたスロットル弁41を有する。すなわち、スロットル弁41は、吸気通路20を開閉可能なように、アクセルペダル等に接続されたワイヤー等に対して機械的に接続されている。これにより、運転者がアクセルペダル等を操作することにより、スロットル弁41が開閉する。
【0055】
吸気通路20には、吸気通路20におけるスロットル弁41の上流側と下流側とをバイパスするバイパス通路51を備えたバイパス回路50が設けられている。バイパス回路50は、バイパス通路51の流路面積を変更することによってバイパス通路51内を流れる空気量を調整するバルブ装置2を有する。すなわち、このバルブ装置2は、エンジンユニット1のアイドリング時における回転数を制御するように、バイパス通路51の流路面積を調整する。バルブ装置2は、図示しないエンジン制御装置から出力される制御信号に応じて駆動が制御される。バイパス通路51及びバルブ装置2の詳しい構成は、後述する。
【0056】
バイパス通路51には、後述する排気ガス還流通路61の一方側(出口側)が接続されている。詳しくは後述するように、この排気ガス還流通路61は、排気通路30内を流れる排気ガスを、バイパス通路51を介して吸気通路20内に流すように設けられている。排気ガス還流通路61は、上述のバルブ装置2を介して、バイパス通路51に接続されている。排気ガス還流通路61内を流れる排気ガスの流量調整は、バルブ装置2によって排気ガスの流路の面積を調整することにより行われる。すなわち、バルブ装置2は、バイパス通路51を流れる空気の流量を調整するとともに、排気ガス還流通路61内を流れる排気ガスの流量を調整する。排気ガス還流通路61の詳しい構成は、後述する。
【0057】
排気通路30には、触媒32が設けられている。すなわち、触媒32は、エンジン10から排出される排気の流れ方向において、排気ポート92よりも下流側に設けられている。これにより、触媒32は、エンジン10から排出される排気ガスの浄化を行う。
【0058】
排気通路30において、触媒32の下流側には、排気ガス還流通路61の他方側(入口側)が接続されている。これにより、排気ガス還流通路61を介して、触媒32よりも下流の排気ガスをバイパス通路51及び吸気通路20に流すことが可能になる。このように、エンジン10から排出された排気ガスをエンジン10の吸気側に還流させることにより、エンジン10の燃焼室90内での燃料の燃焼速度を低下させることができる。これにより、エンジン10から排出される排気ガスに含まれるNOxを低減することができる。
【0059】
上述のように、エンジン10から排出された排気ガスをエンジン10の吸気側に還流させる方法を、EGR(Exhaust Gas Recirculation)という。このEGRは、一般的には、エンジン10の運転領域が高負荷の領域で実行される。
【0060】
既述のとおり、排気ガス還流通路61内に流れる排気ガスの流量は、バルブ装置2によって制御される。すなわち、EGRを実行する場合には、排気ガス還流通路61から吸気通路20に排気ガスが流れるように、バルブ装置2を制御する。バルブ装置2の詳しい構成は、後述する。
【0061】
排気ガス還流通路61には、排気ガスを冷却するための排気ガス冷却器62が設けられている。すなわち、本実施形態に係るエンジン10では、排気ガスを冷却してエンジン10の吸気側に循環させる、いわゆるクールドEGRが行われる。このように、排気ガス冷却器62によって冷却された排気ガスを、エンジン10の吸気側に還流させることにより、エンジン10の燃焼室90内での燃料の燃焼温度を低下させることができる。
【0062】
上述のように燃焼室90内での燃料の燃焼速度をより低下させることにより、エンジン10から排出される排気ガスに含まれるNOxをより低減することができる。しかも、上述のように冷却された排気ガスをエンジン10の吸気側に還流させることにより、排気ガスの温度を低下させることができる。これにより、触媒32の劣化を抑制することができる。
【0063】
(バルブ装置)
次に、図2及び図3を用いて、バルブ装置2の詳しい構成を説明する。図2は、バルブ装置2の概略構成を示す断面図である。図3は、バルブ装置2のバルブ体100の概略構成を示す斜視図である。なお、図2及び図3では、説明のために、バルブ装置2の構成を簡略化して示している。
【0064】
図2に示すように、バルブ装置2は、バルブボディ52と、バルブ体100と、バルブアクチュエータ53とを備える。バルブアクチュエータ53は、例えばステッピングモータなどの駆動装置である。このバルブアクチュエータ53には、図示しないエンジン制御装置から、バルブ装置2に対して開度等の制御信号が入力される。
【0065】
バルブボディ52には、バルブボディ52を貫通するように一方向に延びる貫通穴52aと、該一方向と直交する直交方向に伸びて貫通穴52aに繋がる第1接続穴52bと、前記直交方向に延びて貫通穴52aに繋がる第2接続穴52cとが形成されている。これにより、バルブボディ52の内部には、貫通穴52a及び接続穴52b,52cによって構成される空間54が形成されている。
【0066】
詳しくは、空間54は、貫通穴52aによって形成されるメイン通路55(バルブ体収容通路)と、第1接続穴52bによって形成される空気通路56と、第2接続穴52cによって形成される排気ガス通路57とを含む。すなわち、メイン通路55は、バルブボディ52を貫通するように前記一方向に延びている。空気通路56及び排気ガス通路57は、メイン通路55に対して、その延伸方向の2箇所でそれぞれ接続されている。
【0067】
メイン通路55がバルブボディ52を貫通することにより、バルブボディ52には一対の開口部55a,55bが形成されている。メイン通路55内には、バルブ体100が往復移動可能に配置されている。バルブボディ52におけるメイン通路55の一方側の開口部55aには、開口部55aを覆うように、バルブ体100を往復移動させるためのバルブアクチュエータ53が配置されている。メイン通路55の他方側の開口部55b(出口部)は、後述するようにメイン通路55内を流れる空気または排気ガス(気体)を、吸気通路20におけるスロットル弁41よりも下流側に流すように、バルブボディ52に設けられている。
【0068】
メイン通路55における延伸方向の中央部分において、メイン通路55を構成する貫通穴52aの内壁には、メイン通路55の内方に向かって突出した仕切壁52dが設けられている。仕切壁52dは、メイン通路55の通路面積を縮小するように、前記一方向(メイン通路55の前記延伸方向)から見て円環状に設けられている。すなわち、仕切壁52dは、メイン通路55を構成する貫通穴52aの内壁の全周に設けられている。仕切壁52dの突出方向(以下、仕切壁52dの内方という)には、メイン通路55の一部である断面円形状の接続空間55eが形成される。
【0069】
なお、仕切壁52dは、メイン通路55を構成する内壁の一部のみに設けられていてもよい。この場合には、小径部103の断面形状が、貫通穴52aのうち、仕切壁52dが設けられている部分の断面形状に合うように、小径部103を構成すればよい。
【0070】
メイン通路55は、前記延伸方向において、仕切壁52dの両側に2つの空間を有する。これらの2つの空間は、バルブ体100の後述する第1バルブ部101の一部が配置される第1空間55c、及び、バルブ体100の後述する第2バルブ部110が配置される第2空間55dである。第1空間55cと第2空間55dとは、メイン通路55のうち仕切壁52dの内方に位置する接続空間55eを介して接続されている。
【0071】
第1空間55cは、メイン通路55において、仕切壁52dよりも前記一方側に位置する。第1空間55cは、メイン通路55の開口部55aを含む。第2空間55dは、メイン通路55において、仕切壁52dよりも前記他方側に位置する。第2空間55dは、メイン通路55の開口部55bを含む。第1空間55c及び第2空間55dは、それぞれ、メイン通路55の前記延伸方向に直交する断面が円形状の空間である。第1空間55c及び第2空間55dは、前記断面の直径が同等である。なお、第1空間55cの前記断面の直径と第2空間55dの前記断面の直径とは異なっていてもよい。
【0072】
第1空間55cには、空気通路56の一側が接続されている。すなわち、空気通路56は、メイン通路55に対して、仕切壁52dよりも前記一方側に接続されている。バルブボディ52には、第1空間55cと空気通路56とを接続する流入通路入口部56aが形成されている。流入通路入口部56aは、仕切壁52dに対して前記一方側に隣接するように形成されている。
【0073】
これにより、メイン通路55には、流入通路入口部56a及び前記他方側の開口部55bを出入口とする第1通路58が形成される。すなわち、第1通路58は、流入通路入口部56a、第1空間55c、接続空間55e、第2空間55d及び前記他方側の開口部55bを含む。
【0074】
第2空間55dには、排気ガス通路57の一側が接続されている。排気ガス通路57は、メイン通路55に対して、仕切壁52dよりも前記他方側、すなわち空気通路56よりも前記他方側の開口部55bに近い位置(開口部55b側)に接続されている。バルブボディ52には、第2空間55dと排気ガス通路57とを接続する還流通路入口部57aが形成されている。還流通路入口部57aは、仕切壁52dよりも前記他方側、すなわち流入通路入口部56aよりも前記他方側の開口部55bに近い位置(開口部55b側)に形成されている。
【0075】
これにより、メイン通路55内を排気ガスが流れる範囲を短くすることができる。よって、メイン通路55を構成する貫通穴52aの壁面に排気ガス中の粒子状物質等が付着することを抑制することができる。したがって、メイン通路55内を気体が効率良く流れることができる。
【0076】
メイン通路55には、還流通路入口部57a及び前記他方側の開口部55bを出入口とする第2通路59が形成される。すなわち、第2通路59は、還流通路入口部57a、第2空間55d及び前記他方側の開口部55bを含む。
【0077】
以上のように、第1通路58及び第2通路59は、メイン通路55の少なくとも一部を含む。メイン通路55の第2空間55dは、第1通路58及び第2通路59のそれぞれ一部を構成する。すなわち、第1通路58及び第2通路59は、開口部55b側の通路部分が共通である。このように、第1通路58及び第2通路59のそれぞれ一部を、共通の通路によって構成することにより、それぞれの通路のすべてを別々に設ける場合に比べて、バルブ装置2の小型化を図れる。
【0078】
空気通路56の他側は、吸気通路20におけるスロットル弁41よりも上流側に、直接または他の通路を介して、接続されている。よって、空気通路56には、吸気通路20におけるスロットル弁41よりも上流側の空気が流れる。これにより、第1通路58には、前記空気が流れる。空気通路56及びメイン通路55は、バイパス通路51の少なくとも一部を構成する。空気通路56は、流入通路の少なくとも一部を構成する。
【0079】
排気ガス通路57の他側は、排気ガス還流管60に接続されている。よって、排気ガス通路57には、排気通路30から分岐して排気ガス還流管60内を流れた排気ガスが流れる。これにより、第2通路59には、前記排気ガスが流れる。排気ガス通路57は、排気ガス還流通路61の一部を構成する。
【0080】
後述するように、第1通路58における前記空気の流れと、第2通路59における前記排気ガスの流れとは、メイン通路55に配置されたバルブ体100の往復移動によって、切り替えられる。
【0081】
本実施形態では、メイン通路55、空気通路56及び排気ガス通路57は、それぞれ、通路の断面が円形状である。メイン通路55における通路の断面の直径と、排気ガス通路57における通路の断面の直径とは、同等である。メイン通路55における通路の断面の直径は、空気通路56における通路の断面の直径よりも大きい。
【0082】
なお、メイン通路55、空気通路56及び排気ガス通路57の少なくとも一部は、通路の断面形状が円形以外であってもよい。メイン通路55における通路の断面の直径は、排気ガス通路57における通路の断面の直径よりも大きくてもよい。
【0083】
バルブ体100は、図2及び図3に示すように、第1バルブ部101と、第2バルブ部110と、第1バルブ部101と第2バルブ部110とを接続する円柱状の接続部120とを有する。バルブ体100は、バルブボディ52のメイン通路55内に往復移動可能に配置されている。
【0084】
第1バルブ部101は、大径部102と、該大径部102よりも径が小さい小径部103とを有する。第1バルブ部101は、大径部102と小径部103との間に段差部101aを有する。すなわち、第1バルブ部101は、軸線方向に延びるとともに段状に直径が変化する円柱状に形成されている。小径部103における大径部102とは反対側には、小径部103から先端に向かうほど径が小さくなる縮径部104が設けられている。縮径部104は、接続部120の一方の端部に接続されている。
【0085】
小径部103は、仕切壁52dの内方に形成される断面円形状の接続空間55eの直径と同等の直径を有する。よって、小径部103は、仕切壁52dの内面に当接する。すなわち、小径部103は、バルブ体100が往復移動する際に、仕切壁52dの前記内面に対して摺動する。
【0086】
段差部101aは、図2に示すように、バルブ体100がメイン通路55の開口部55b側に位置付けられた際に、前記軸線方向における仕切壁52dの側面のうち第1空間55c側の側面(以下、仕切壁52dにおける第1空間55c側の側面)に当接する。これにより、バルブ体100がメイン通路55の所定位置(図2に示す位置)よりも、さらに開口部55b側へ移動することを防止できる。
【0087】
図4に示すように、小径部103における前記軸線方向の長さYは、バルブ体100が、前記所定位置(図4に実線で示す位置)から、第2バルブ部110の後述する開口部110aが還流通路入口部57aと接続されなくなる位置(図4に一点鎖線で示す位置)までの移動距離Xよりも長い。すなわち、小径部103の長さYは、後述するように還流通路入口部57aが全開状態から閉状態になるようにバルブ体100が移動する際の移動距離Xよりも大きい。これにより、小径部103が仕切壁52dの前記内面に対して摺動している間に、還流通路入口部57aを第2バルブ部110によって塞ぐことができる。したがって、詳しくは後述するが、バルブ体100の移動によって、バルブボディ52内の第1通路58及び第2通路59の一方のみに気体を流すことが可能になる。
【0088】
ここで、還流通路入口部57aが全開状態(バルブ体100が図4における実線の位置に位置付けられた状態)と閉状態(バルブ体100が図4における一点鎖線の位置に位置付けられた状態)との間で変化するようにバルブ体100が移動する範囲Xが、第2移動範囲である。この移動範囲は、第1バルブ101の小径部103によって接続空間55eを塞ぎつつ、第2バルブ110によって、還流通路入口部57aと開口部110aとが繋がっている部分の面積(流路面積)を調整可能な範囲である。
【0089】
また、還流通路入口部57aが閉状態になるバルブ体100の位置(図4における一点鎖線の位置)と、第2バルブ部110が仕切壁52dにおける第1空間55c側の側面に当たる位置(後述の図9に示す位置)との間で、バルブ体100が移動する範囲Zが、第1移動範囲である。この第1移動範囲は、後述の図8及び図9に示すように、第2バルブ110によって還流通路口部57aを閉状態にしつつ、第1バルブ101によって仕切壁52dと小径部103及び接続部120との間に形成される隙間(流路面積)の大きさを調整可能な範囲である。
【0090】
これらの範囲X,Zは、メイン通路55内をバルブ体100が移動する範囲(図5から図9に示すようにバルブ体100が移動する場合のバルブ体100の移動範囲)において重なっていない。したがって、バルブ体100の移動によって、第2バルブ110による還流通路入口部57aの開口面積の調整と、第1バルブ101によって仕切壁52dと小径部103及び接続部120との間に形成される隙間(流路面積)の大きさの調整とを、別々に行うことができる。
【0091】
縮径部104及び接続部120における前記軸線方向の長さの和は、仕切壁52dにおける前記軸線方向の寸法よりも大きい。これにより、後述の図9に示すように、第2バルブ110が仕切壁52dにおける第2空間55d側の側面に当接した場合に、仕切壁52dと縮径部104及び接続部120との間に、空気通路56から流入する空気を流すための隙間を形成することができる。
【0092】
図2に示すように、大径部102は、メイン通路55の第1空間55c内に配置されている。大径部102は、第1空間55cの直径と同等の直径を有する。よって、大径部102は、貫通穴52aのうち第1空間55cを形成する部分の内面に当接する。すなわち、大径部102は、バルブ体100が往復移動する際に、前記内面に対して摺動する。
【0093】
大径部102は、前記軸線方向の長さが、流入通路入口部56aの直径、すなわち第1接続穴52bの直径よりも大きい。これにより、図2に示すように、バルブ体100がメイン通路の前記所定位置に位置付けられた状態でも、大径部102によって流入通路入口部56aを塞ぐことができる。したがって、バルブ体100がメイン通路55の前記所定位置に位置付けられた状態で、空気通路56から第1空間55c内に、吸気通路20におけるスロットル弁41よりも上流側の空気が流入することを防止できる。
【0094】
大径部102において、小径部103とは反対側は、バルブアクチュエータ53によって回転する回転軸53aに接続されている。特に図示しないが、第1バルブ部101の内部には、大径部102における小径部103とは反対側で開口するようにネジ穴が形成されている。回転軸53aの外周面には、図示しないネジ部が設けられている。回転軸53aが第1バルブ部101に対して回転することにより、回転軸53aのネジ部に対する第1バルブ部101の軸方向位置が変化する。これにより、バルブボディ52のメイン通路55内における第1バルブ部101の位置を変化させることができる。
【0095】
第2バルブ部110は、バルブ体100がバルブボディ52のメイン通路55内に配置された状態で、第2空間55d内に往復移動可能に配置される。第2バルブ部110は、軸線方向に延びる円筒状に形成されている。第2バルブ部110は、前記軸線方向の両端部分が開口している。
【0096】
第2バルブ部110は、バルブボディ52に設けられた貫通52aのうち、第2空間55dを形成する部分の直径と同等の外径を有する。これにより、第2バルブ部110の外表面は、貫通52aのうち第2空間55dを形成する部分の内面に当接する。したがって、第2バルブ部110は、バルブ体100が往復移動する際に、前記内面に対して摺動する。
【0097】
第2バルブ部110における前記一方側の端部には、接続部120を介して第1バルブ部101が接続されている。詳しくは、図3に示すように、第2バルブ部110における前記一方側の端部には、径方向に延びるリブ110bが設けられている。接続部120の他方の端部は、第2バルブ部110における前記一方側の端部に設けられたリブ110bに接続されている。このように、第2バルブ部110における前記一方側の端部に、リブ110bを設けることにより、前記端部に気体が通過可能な開口110cが形成される。これにより、第2バルブ部110と接続部120とを接続しつつ、第2バルブ部110内を気体が通過することができる。
【0098】
第2バルブ部110は、側面の前記一方側に、該軸線方向に直交する方向から見て円形状の開口部110a(通気口)が設けられている。すなわち、第2バルブ部110の内部は、開口部110aによって、第2バルブ部110の外方と接続されている。
【0099】
第2バルブ部110は、第2空間55d内に、前記軸線方向に移動した際に開口部110aが還流通路入口部57aと接続可能な位置に配置されている。
【0100】
第2バルブ部110の開口部110aは、軸線に直交する方向から見た場合の開口面積が、還流通路入口部57aをメイン通路55側から見た場合の開口面積と同等以上になるように形成されている。
【0101】
第2バルブ部110は、前記軸線方向の長さが、開口部110a及び還流通路入口部57aにおける前記軸線方向の長さの和よりも大きい。これにより、第2バルブ部110の前記軸線方向への移動によって、還流通路入口部57aを覆った状態と開口させた状態とをそれぞれ実現することができる。
【0102】
(バルブ装置の動作)
バルブ装置2は、バイパス通路51を通って、スロットル弁41をバイパスする空気量を調整するとともに、排気ガス還流通路61から、吸気通路20におけるスロットル弁41よりも下流側に供給される排気ガス量を調整する。すなわち、本実施形態のバルブ装置2は、スロットル弁41をバイパスする空気量を調整する弁と、EGRを制御する弁とを兼ねている。
【0103】
以下で、バルブ装置2の動作、すなわち上述のような構成を有するバルブ体100がバルブボディ52のメイン通路55内を往復移動する際のバルブ体100の動きを、図5から図9を用いて説明する。
【0104】
(EGR全開状態)
図5に示すように、第1バルブ部101の段差部101aが、メイン通路55内に突出した仕切壁52dにおける第1空間55c側の側面に接触している状態では、第2バルブ部110は、開口部110aが還流通路入口部57aと接続される位置に位置付けられる。すなわち、還流通路入口部57aを第2空間55dから見て、第2バルブ部110の開口部110aは、還流通路入口部57aに対して全体が重なっている。
【0105】
これにより、排気ガス通路57を介して、排気ガス還流通路61内の排気ガスが第2バルブ部110の内方(第2空間55d内)に供給される。第1バルブ101の段差部101aが仕切壁52dに接触しているため、排気ガスは、仕切壁52dの内方に形成された接続空間55e内には流れない。よって、第2バルブ110内に流入した排気ガスは、開口部55b側に流れる。これにより、吸気通路20におけるスロットル弁41よりも下流側に、排気ガスが供給される。
【0106】
また、上述のように、仕切壁52dに第1バルブ部101の段差部101aが当たっているため、メイン通路55の接続空間55eは、第1バルブ部101によって塞がれている。そのため、空気通路56から第1空間55c内には、空気が流入しない。なお、空気通路56も、第1バルブ部101の大径部102によって塞がれているため、第1空間55c内には空気が流入しない。
【0107】
なお、上述の図5に示す位置にバルブ体100が位置付けられている場合には、排気ガス還流通路61から最も多くの流量の排気ガスが第2空間55d内に流入する。この状態が、EGR全開状態である。
【0108】
(EGR制御状態)
バルブアクチュエータ53によって回転軸53aが回転することにより、バルブ体100は、第1バルブ部101の段差部101aが仕切壁52dから離間するように移動する。これにより、バルブ体100は、バルブボディ52のメイン通路55内で図6に示す位置に位置付けられる。この状態では、図6に示すように、還流通路入口部57aを第2空間55dから見て、第2バルブ部110の開口部110aは、還流通路入口部57aに対して一部が重なっている。
【0109】
図6に示す状態では、還流通路入口部57aに対する第2バルブ部110の開口部110aの位置を調整することにより、排気ガスが流れる流路の面積を調整することができる。これにより、排気ガス通路57から開口部110aを介して第2バルブ部110の内方(第2空間55d内)に流入する排気ガスの流量を調整することができる。
【0110】
バルブアクチュエータ53によってメイン通路55内でバルブ体100を移動させると、第1バルブ部101の小径部103は、仕切壁52dの内面に対して摺動する。そのため、メイン通路55の第2空間55dは、仕切壁52d及び第1バルブ部101によって、第1空間55cと分断されている。よって、排気ガス通路57から第2バルブ部110内に流入した排気ガスは、開口部55bを介して、吸気通路20におけるスロットル弁41よりも下流側に流れる。
【0111】
上述のように、第1バルブ部101の小径部103が仕切壁52dの内面に対して摺動することにより、第1空間55cは、第2空間55dとは区画され且つ閉ざされた空間となる。よって、空気通路56から第2空間55d内に空気は流入しない。
【0112】
このように、還流通路入口部57aから第2空間55d内に流れ込んで第2通路59内を流れる流量を制御可能な位置に、第2バルブ部110(バルブ体100)が位置付けられている状態を、EGR制御状態という。
【0113】
(閉状態)
バルブアクチュエータ53によって回転軸53aがさらに回転することにより、バルブ体100が、メイン通路55内の図7に示す位置に位置付けられる。バルブ体100が図7に示す位置に位置付けられている場合、第1バルブ部101の小径部103が仕切壁52dの内面に対して接している。そのため、図5及び図6の場合と同様、空気通路56から第1空間55c内に空気は流入しない。
【0114】
また、バルブ体100が図7に示す位置に位置付けられている場合、第2バルブ部110の開口部110aは、還流通路入口部57aを第2空間55dから見て、還流通路入口部57aと重なっていない。そのため、排気ガス通路57から第2空間55d内に排気ガスは流入しない。
【0115】
以上のように、バルブ体100がメイン通路55内で図7に示す位置に位置付けられている場合、空気通路56及び排気ガス通路57の両方からメイン通路55内に空気及び排気ガスが流入しない。よって、吸気通路20におけるスロットル弁41よりも下流側には、空気及び排気ガスが供給されない。このように、空気通路56及び排気ガス通路57の両方からメイン通路55内に空気及び排気ガスが流入しないような位置に、バルブ体100が位置付けられている状態を、閉状態という。
【0116】
(バイパス空気量制御状態)
バルブアクチュエータ53によって回転軸53aがさらに回転することにより、バルブ体100が、メイン通路55内の図8に示す位置に位置付けられる。バルブ体100が図8に示す位置に位置付けられている場合、仕切壁52dによって形成される接続空間55e内には第1バルブ部101の縮径部104が位置付けられる。よって、第1バルブ部101の縮径部104と仕切壁52dとの間には、隙間が形成される。これにより、第1空間55cが第2空間55dと繋がる。したがって、空気通路56から第1空間55c内に空気が流れる。第1空間55c内に流れ込んだ空気は、仕切壁52dと第1バルブ部101との間を流れて、第2空間55d内に流れ込む。既述のように第2空間55d内に配置された第2バルブ部110は、開口110cを有する円筒状であるため、空気は、第2バルブ部110内を通って、開口部55bから、吸気通路20におけるスロットル弁41よりも下流側に流れる。
【0117】
バルブアクチュエータ53によってメイン通路55内におけるバルブ体100の位置を制御することにより、仕切壁52dと第1バルブ部101との隙間(接続空間55eの一部)に形成される流路の面積を調整することができる。これにより、空気通路56から第1空間55c内へ流れる空気の流量を調整することができる。したがって、バイパス通路51を介して吸気通路20におけるスロットル弁41よりも下流側に供給される空気の量を調整することができる。
【0118】
このように、吸気通路20内の空気が第1空間55cを通って第2空間55d内に流入する量を制御可能な位置に、第1バルブ部101(バルブ体100)が位置付けられている状態を、バイパス空気量制御状態という。
【0119】
(バイパス空気量全開状態)
バルブアクチュエータ53によって回転軸53aがさらに回転することにより、バルブ体100が、メイン通路55内の図9に示す位置に位置付けられる。バルブ体100が図9に示す位置に位置付けられている場合、第2バルブ部110は、仕切壁52dの第2空間55d側の側面に当たる。このとき、仕切壁52dによって形成された接続空間55e内には、少なくとも接続部120の一部が位置付けられる。
【0120】
これにより、仕切壁52dの内面と接続部120との間には、図8に示す仕切壁52dの内面と縮径部104との隙間よりも大きな隙間が形成される。すなわち、第1空間55cから第2空間55dへ流れる空気の流路面積が増大する。よって、空気通路56からメイン通路55の第1空間55c内へ流れ込む空気の量は、図8に示す状態よりも多い。第1空間55c内に流入した空気は、前記隙間を通って第2空間55d内に流れ込む。第2空間55d内に流れ込んだ空気は、第2バルブ部110の内部を通過した後、メイン通路55の開口部55bを介して、空気通路56におけるスロットル弁41よりも下流側に流れる。
【0121】
なお、バルブ体100が図9に示す位置に位置付けられている場合、還流通路入口部57aは、第2バルブ部110の側面によって塞がれている。よって、第2空間55d内に排気ガスは流れない。
【0122】
本実施形態によれば、スロットル弁41をバイパスするバイパス通路51の一部を構成する第1通路58の流路面積と、排気ガスを吸気通路20に還流させる排気ガス還流通路61に繋がる第2通路59の流路面積とを、バルブアクチュエータ53によって駆動されるバルブ体100によって調整することができる。これにより、バルブ装置2の部品数を削減することができる。したがって、バルブ装置2をコンパクトな構成にすることができる。
【0123】
よって、スロットル弁41が機械的に駆動される構成においても、排気ガスをバイパス通路51に還流させるEGRをコンパクトな構成によって実現することができる。すなわち、スロットル弁41の周りの構成の大型化を抑制しつつ、燃費向上を図れる。
【0124】
本実施形態によれば、バルブ体100は、メイン通路55内を一方向に移動する間に、第1バルブ部101が第1通路58の流路面積を増大させる一方、第2バルブ部110が第2通路59の流路面積を減少させる。これにより、メイン通路55内でのバルブ体100の移動に応じて、第1通路58及び第2通路59のそれぞれの流路面積を変えることができる。
【0125】
本実施形態によれば、バルブ体100は、メイン通路55内を前記一方向とは反対方向に移動する間に、第1バルブ部101が第1通路58の流路面積を減少させる一方、第2バルブ部110が第2通路59の流路面積を増大させる。これにより、メイン通路55内でのバルブ体100の移動に応じて、第1通路58及び第2通路59のそれぞれの流路面積を変えることができる。
【0126】
本実施形態によれば、メイン通路55におけるバルブ体100の移動範囲は、第1バルブ部101が第1通路58の流路面積を調整する第1移動範囲Zと、該第1移動範囲とは重ならない移動範囲で第2バルブ部110が第2通路59の流路面積を調整する第2移動範囲Xとを含む。
【0127】
これにより、第1バルブ部101による第1通路58の流路面積の調整と、第2バルブ部110による第2路59の流路面積の調整とを、独立して行うことができる。したがって、吸気通路20においてスロットル弁41をバイパスする空気の流量と、吸気通路20に還流される排気ガスの流量とを、それぞれ精度良く制御することができる。
【0128】
本実施形態によれば、バルブ体100は、メイン通路55内で移動する際に、第1バルブ部101が第1通路58の流路面積を調整している間は、第2バルブ部110が第2通路59を閉じていて、第2バルブ部110が第2通路59の開口面積を調整している間は、第1バルブ部101が第1通路58を閉じている。
【0129】
これにより、第1バルブ部101による第1通路58の流路面積の調整と、第2バルブ部110による第2路59の流路面積の調整とを、より確実に独立で行うことができる。
【0130】
本実施形態によれば、第1通路58及び第2通路59は、それらの出口側(開口部55b側)に共通の通路を有するように接続されている。このように、第1通路58及び第2通路59の一部を共通化することにより、バルブ装置2の小型化を図れる。
【0131】
本実施形態によれば、還流通路入口部57aは、メイン通路55において、流入通路入口部56aよりも通路出口側(開口部55b側)に設けられている。バルブ体100は、第1バルブ部101と第2バルブ部110とが直列に接続されている。第2バルブ部110は、バルブ体100における開口部55b側に配置されている。
【0132】
これにより、メイン通路55内を排気ガスが流れる範囲を短くすることができる。よって、メイン通路55を構成する貫通穴52aの壁面に排気ガス中の粒子状物質等が付着することを抑制することができる。したがって、メイン通路55内を気体が効率良く流れることができる。
【0133】
本実施形態によれば、第2バルブ部110は、筒状に形成されていて、第1バルブ部101側の端部には、開口110cを形成しつつ第1バルブ部101を接続するためのリブ110bが設けられているとともに、側面には、第2バルブ部110がメイン通路55内で第2通路59の流路面積を調整する位置に位置付けられた際に還流通路入口部57aと繋がる開口部110aが設けられている。
【0134】
第1バルブ部101は、円筒状の第2バルブ部110の端部に設けられたリブ110bに接続されるため、第1バルブ部101と第2バルブ部110とを直列に接続する構成を実現しつつ、メイン通路55内の空気の流れが妨げられることを防止できる。すなわち、第1バルブ101を通過してメイン通路55内を流れる空気は、第2バルブ部110の開口110cから第2バルブ部110内に流入する。前記空気は、第2バルブ部110内を通過した後、メイン通路55の開口部55bを通過して、吸気通路20におけるスロットル弁41よりも下流側に流れる。これにより、第1バルブ部101を通過した空気の流れが、第2バルブ部110によって妨げられることを防止できる。
【0135】
また、第2バルブ部110の側面には開口部110aが設けられているため、第2バルブ部110がメイン通路55内で第2通路59の流路面積を調整する位置に位置付けられた際に、還流通路入口部57aから第2バルブ部110内に排気ガスが流入する。
【0136】
したがって、上述の構成により、第1通路58及び第2通路59の流路面積の調整を、直列に接続された第1バルブ部101及び第2バルブ部110を有するバルブ体100によって行うことが可能になる。
【0137】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0138】
前記実施形態では、EGRの一例としてクールドEGRについて説明したが、エンジンユニット1は、エンジンから排出された排気ガスを冷却しないEGRを実行可能であってもよい。
【0139】
本実施形態では、バルブボディ52の第1空間55cに対して空気通路56が接続されているとともに、第2空間55dに対して排気ガス通路57が接続されている。しかしながら、第1空間55cに対して排気ガス通路57を接続するとともに、第2空間55dに対して空気通路56を接続してもよい。
【0140】
前記実施形態では、メイン通路55において、第2バルブ部110が配置される第2空間55dは、仕切壁52dよりも一方側に位置し、第1バルブ部101が配置される第1空間55cは、仕切壁52dよりも他方側に位置する。しかしながら、メイン通路55において、第2空間55dが仕切壁52dよりも他方側に位置し、第1空間55cが仕切壁52dよりも一方側に位置してもよい。
【0141】
前記実施形態では、第1空間55c及び第2空間55dは、断面円形状の空間である。しかしながら、第1空間55c及び第2空間55dは、断面四角形状など、他の断面形状であってもよい。また、第1空間55c及び第2空間55dは、異なる直径を有していてもよい。
【0142】
前記実施形態では、バルブ装置2の動作の説明において、図5から図9に示すようにバルブ体100の位置が変化した場合を説明した。しかしながら、メイン通路55内でのバルブ体100の位置は、エンジン10の運転状態に応じて変化するため、図5から図9に示す順番には限定されない。
【0143】
前記実施形態では、バルブ体100の第1バルブ部101及び第2バルブ部110は、バルブボディ52のメイン通路55内を往復移動する。しかしながら、図10に示すように、第2バルブ部210は、メイン通路55の第2空間55d内で回転可能に構成されていてもよい。すなわち、第2バルブ部210は、回転軸53aと回転可能に接続されている。第2バルブ部210は、回転軸53aの回転によって第1バルブ部201の段差部201aが仕切壁52dに接触した状態で、回転軸53aとともに回転する。
【0144】
以上の構成により、第2バルブ部210は、第1バルブ部201によって第1空間55cと第2空間55dとの間の接続空間55eを塞いだ状態で、第2空間55d内で回転する。第2バルブ部210の回転によって、第2バルブ部210に設けられた開口部210aが還流通路入口部57aに対して第2バルブ部210の周方向に相対的に移動する。これにより、第2バルブ部210の開口部210aと還流通路入口部57aとが繋がる部分の面積が変化する。したがって、第2バルブ部210の回転によって、排気ガス通路57から開口部210aを介して第2バルブ部210の内方に流入する排気ガスの流量を調整することができる。
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
図8
図9
図10