(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接着剤が、アクリル、ポリウレタン、ラテックス、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンブロックコポリマー、ポリエステル、シリコーン、ポリビニルエステル及びそれらの組み合わせから成る群から選択される請求項1に記載の接着性ナノファイバー複合材。
前記接着剤が、アクリル、ポリウレタン、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンブロックコポリマー、ポリエステル、シリコーン、ポリビニルエステル及びそれらの組み合わせから成る群から選択される請求項14に記載の金属化された接着性ナノファイバー複合材。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[概説]
1つ又は複数のナノファイバーシートと接着剤とを含む多層化複合材が本明細書で開示される。開示されている「接着性ナノファイバー複合材」は一部の実施形態では、高度に導電性であり、金属化されてもよい。開示されている複合材に存在する接着剤はナノファイバーシート(複数可)の部分すべてを完全に覆う必要があるわけではなく、シート(複数可)の導電性部分を他の導電性の機能にアクセス可能のままにしておいてもよい。一部の実施形態例では、接着性ナノファイバー複合材はまた所望の構成に応じて伸縮可能であってもよい。
【0008】
本明細書で開示されているような接着性ナノファイバー複合材は多数の適用に使用されてもよい。たとえば、場合によっては、接着性ナノファイバー複合材は、導電性テープ(たとえば、銅テープ)と組み合わせて使用されて導電性テープから、接着性ナノファイバー複合材を介してテープが接着される下にある基材までの導電性経路を提供してもよい。一部の実施形態では、開示されている接着性ナノファイバー複合材は接地材として使用されてもよい。たとえば、接着性ナノファイバー複合材はコンピュータ部品を接地するのに使用されてもよい。その柔軟性の構成を考えると、接着性ナノファイバー複合材は低接触抵抗と柔軟性の双方を提供することができる。さらに、一部の例では、開示されている接着性ナノファイバー複合材は電磁遮蔽目的に使用されてもよい。たとえば、主題の開示に係る接着性ナノファイバー複合材は、場合によっては、2つの遮蔽金属成分の間でのEMI遮蔽シールとして使用されてもよい。一部の特定の実施形態では、接着性ナノファイバー複合材はテープとして使用されてその中に保存されている電子機器からの電磁放射線を阻止するのに使用される容器の接合部を封止してもよい。そのような構成は、容器の接合部を介する漏れに由来する散在する電磁放射線を防ぎ得る。精選実施形態では、開示されている接着性ナノファイバー複合材は熱伝導材として使用されてもよい。これらの及び他の実施形態では、開示されている接着性ナノファイバー複合材は、たとえば、材料全体に対して電圧を印加する、またはナノファイバーにより吸収可能な波長で照射することによってヒーターとして使用されてもよい。一部のそのような実施形態では、接着性ナノファイバー複合材に電極を直接連結してもよい。開示されている接着性ナノファイバー複合材は一部の実施形態では、完全に構築された装置に直接適用されるテープとして使用されてもよい一方で、他の実施形態では、開示されている接着性ナノファイバー複合材は構築の間に装置に組み込まれてもよい。
【0009】
[カーボンナノファイバー及びカーボンナノファイバーシートの特性]
本明細書で使用されるとき、用語「ナノファイバー」は1μm未満の直径を有する繊維を意味する。本明細書の実施形態がカーボンナノチューブから製造されるとして主に記載されている一方で、グラフェン、ミクロンもしくはナノ尺度の黒鉛の繊維及び/又は板であろうとなかろうと他の炭素同素体、及び窒化ホウ素のようなナノ尺度繊維のさらに他の組成物が以下で記載されている技法を用いてナノファイバーシートを製造するのに使用されてもよいことが十分に理解されるであろう。本明細書で使用されるとき、用語「ナノファイバー」及び「カーボンナノチューブ」は単一壁のカーボンナノチューブ及び/又は炭素原子が一緒につなげられて円筒状の構造を形成する多重壁のカーボンナノチューブの双方を包含する。多重壁のナノチューブは2以上の壁を有する。一部の実施形態では、本明細書で参照されるカーボンナノチューブは4〜10の間の壁を有する。本明細書で使用されるとき、「ナノファイバーシート」または単に「シート」は、シートのナノファイバーの縦軸がシートの主要面に垂直ではなくシートの主要面に平行であるように(すなわち、シートの堆積させたような形態で、「フォレスト」とも呼ばれることが多い)引き抜き加工(国際公開第2007/015710号にて記載され、その全体はここに引用することによって本明細書の記載の一部をなすものとする)を介して並べられたナノファイバーのシートを指す。
【0010】
カーボンナノチューブの寸法は、使用される製造方法に応じて大きく変化することができる。たとえば、カーボンナノチューブの直径は0.4nm〜100nmであってもよく、場合によっては、1nm〜80nmの間、10〜70nmの間、または20〜50nmの間であってもよい。一部の実施形態では、カーボンナノチューブの長さは10μmから55.5cm未満までの範囲であってもよく、一部の実施形態では、20μm〜50cmの間であってもよい。カーボンナノチューブはまた、一部では132,000,000:1以上ほども高い、非常に高いアスペクト比(長さの直径に対する比)を有することもできる。広い範囲の寸法の可能性を考えると、カーボンナノチューブの特性は高度に調整可能であり、または調節可能である。カーボンナノチューブの多数の魅力的な特性が特定されている一方で、実際の適用でカーボンナノチューブの特性を生かすことには、カーボンナノチューブの特徴を維持し、または強化することができる拡張可能な且つ制御可能な製造方法が必要とされる。
【0011】
その独特の構造のために、カーボンナノチューブは、特定の適用にそれらを上手く適合させる特定の機械的な、電気的な、化学的な、熱的な、及び光学的な特性を持つ。特に、カーボンナノチューブは、優れた電気伝導性、高い機械的強度、良好な熱安定性を示し、疎水性でもある。これらの特性に加えて、カーボンナノチューブは有用な光学特性も示してもよい。たとえば、カーボンナノチューブは、発光ダイオード(LED(複数可))及び光検出器で使用されて狭く選択された波長で光を放出し、または検出してもよい。カーボンナノチューブは光子輸送及び/又は音子輸送に有用であることも分かってもよい。
【0012】
カーボンナノチューブの多数の魅力的な特性が特定されている一方で、実際の適用でカーボンナノチューブの特性を生かすことには、カーボンナノチューブの特徴を維持し、または強化することができる拡張可能な且つ制御可能な製造方法が必要とされる。種々の構成におけるカーボンナノチューブの制御された集合体を提供する方法及び装置が本明細書で開示されている。たとえば、並べたカーボンナノチューブを基材上でまたは独立して立っている形態で集合させる方法が開示されている。他の特徴に加えて、開示されている方法は、整列を壊すことなくカーボンナノチューブを上手く移動させ、カーボンナノチューブ構成の密度が制御されるようにし、光制御の機会を提供する。
【0013】
[ナノファイバーフォレスト]
主題の開示の種々の実施形態によれば、ナノファイバー(カーボンナノチューブを含むが、これらに限定されない)は、本明細書では「フォレスト」と呼ばれる構成を含む種々の構成で配置することができる。本明細書で使用されるとき、ナノファイバーまたはカーボンナノチューブの「フォレスト」は、基材上で互いに実質的に平行に配置されるほぼ同等の寸法を有するナノファイバーの配列を指す。
図1は基材上のナノファイバーのフォレスト例を示す。基材は任意の形状であってもよいが、一部の実施形態では、基材は、その上にフォレストが集合させられる平面を有し、一部の実施形態では、平面は柔軟性であってもよい。
図1で分かるように、フォレストにおけるナノファイバーは高さ及び/又は直径でほぼ同等であってもよい。
【0014】
一部の実施形態では、フォレストのナノファイバーはそれぞれほぼ同じ角度で基材の方に向けられてもよい。たとえば、フォレストのナノファイバーは基材に関して45°〜135°の間の角度になっていてもよい。特定の実施形態では、フォレストのナノファイバーは基材から75°〜105°の間で方向づけられてもよく、精選実施形態では、ナノファイバーは基材から約90°で方向づけられてもよい。ナノファイバーは真っすぐでないことが多いので、基材に関するナノファイバーの角度は、基材の平面とナノファイバーの近位末端と遠位末端を接続する直線との間の角度を測定することによって決定される。
【0015】
本明細書で開示されているようなナノファイバーフォレストは相対的に密であってもよい。具体的には、開示されているナノファイバーフォレストは少なくとの10億のナノファイバー/cm
2の密度を有してもよい。一部の特定の実施形態では、本明細書に記載されているナノファイバーフォレストは100億のナノファイバー/cm
2〜300億のナノファイバー/cm
2の密度を有してもよい。他の例では、本明細書に記載されているようなナノファイバーフォレストは900億のナノファイバー/cm
2の範囲での密度を有してもよい。一部の特定の実施形態では、本明細書に記載されているようなナノファイバーフォレストは、10
9を超えるナノファイバー/cm
2、10
10を超えるナノファイバー/cm
2、2×10
10を超えるナノファイバー/cm
2または3×10
10を超えるナノファイバー/cm
2の密度を有してもよい。他の実施形態では、ナノファイバー/cm
2でのナノファイバーフォレストの密度は、10
9〜3×10
10ナノファイバー/cm
2の間、10
10ナノファイバー/cm
2の間、3×10
10ナノファイバー/cm
2の間または10
10〜5×10
10ナノファイバー/cm
2の間であることができる。フォレストは密度の高い領域または密度の低い領域を含んでもよく、特定の領域にはナノファイバーがなくてもよい。フォレスト内のナノファイバーはファイバー間の接続性も示してもよい。たとえば、ナノファイバーフォレスト内での隣接するナノファイバーはファンデルワールス力によって互いに連結されてもよい。
【0016】
[ナノファイバーフォレストを製造するための方法例]
種々の方法を使用して主題の開示に係るナノファイバーフォレストを製造することができる。たとえば、一部の実施形態では、高温の加熱炉でナノファイバーを成長させてもよい。一部のそのような実施形態では、触媒を基材の上に堆積させ、反応器に入れ、次いで反応器に供給される燃料化合物にさらしてもよい。基材は、800℃〜1000℃を超える温度に耐えることができ、不活性物質であってもよい。シリコン(Si)ウエハーの代わりに他のセラミック基材(たとえば、アルミナ、ジルコニア、SiO
2及びガラスのセラミック)が使用されてもよいが、基材は下にあるシリコン(Si)ウエハー上に配置されるステンレス鋼またはアルミニウムを含んでもよい。フォレストのナノファイバーがカーボンナノチューブである例では、たとえば、アセチレン、メタン及びエタン等の脂肪族炭化水素を含む炭素系化合物が炭素原子の供給源として使用されてもよい。反応器に導入された後、次いで炭素源(複数可)が分解してもよく、得られる炭素原子が触媒上に蓄積し、基材から上方に成長することによってナノチューブを集合させ始め、ナノファイバーのフォレストを形成することができる。
【0017】
ナノファイバー成長のための反応器例の模式図が
図2に示されている。
図2で分かるように、反応器は基材が配置され、ナノファイバーフォレストの成長を促すことができる加熱ゾーンを含んでもよい。反応器はまた、燃料化合物(複数可)及びキャリアガス(複数可)が反応器に供給されてもよい気体流入口と、使用済み気体が反応器から解放されてもよい気体流出口とを含んでもよい。キャリアガスの例には、窒素、水素、アルゴン及び/又はヘリウムが挙げられる。さらに、ナノファイバーに組み込まれるドーパントを気体流に加えてもよい。ドーパント例には、窒素及びホウ素が挙げられるが、これらに限定されない。ナノファイバーフォレストの堆積の間にドーパントを加える方法例は、その全体が参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第8,926,933号の段落287に記載されている。フォレストに添加剤をドープするまたは提供する他の方法例には、表面コーティング、ドーパント注入、または他の堆積及び/又は原位置反応(たとえば、プラズマ誘導反応、気相反応、スパッタリング、化学蒸着)が挙げられる。添加剤例には、とりわけ、ポリマー(たとえば、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(フェニレンテトラフタルアミド)型樹脂、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)、ポリアクリロニトリル、ポリ(スチレン)、ポリ(エーテルエーテルケトン)及びポリ(ビニルピロリドン、またはその誘導体及び組み合わせ)、元素または化合物(たとえば、フッ素)の気体、ダイヤモンド、パラジウム及びパラジウム合金が挙げられる。
【0018】
ナノファイバーの成長の間の反応条件を変えて得られるナノファイバーフォレストの特性を調整することができる。たとえば、触媒の粒度、反応温度、気体の流速及び/又は反応時間を必要に応じて調整して所望の仕様を有するナノファイバーフォレストを製造することができる。一部の実施形態では、基材上の触媒の位置を制御して所望のパターン形成を有するナノファイバーフォレストを形成する。たとえば、一部の実施形態では、触媒をあるパターンで基材上に堆積させ、パターン化された触媒から得られるフォレストの成長が同様にパターン化される。例となる触媒には、二酸化珪素(SiO
2)または酸化アルミニウム(たとえば、Al
2O
3)の緩衝層上の鉄が挙げられる。触媒は、化学蒸着(CVD)、レーザー支援CVD、プラズマ増強CVD、電子ビーム(eビーム)堆積、スパッタリング、熱蒸発、電気化学法、または原子層堆積(ALD)を含む好適な方法を用いて基材上に堆積させてもよい。パターンを形成するには、一部の実施形態では、パターンの形態で触媒を堆積させることができ、他では、触媒を特定の領域から取り除くまたはその働きを抑制してナノチューブファイバーのパターンを生じる。緩衝層は同様にあるパターンで基材に適用されてもよく、たとえば、コーティング、圧延、浸漬、インクジェット印刷、パッド印刷を介して、または上述の物理的なもしくは化学的な堆積法を使用することによって適用することができる。
【0019】
形成の後、ナノファイバーフォレストは任意で修飾されてもよい。たとえば、一部の実施形態では、ナノファイバーフォレストを、たとえば、酸化剤または還元剤等の処理剤に曝露してもよい。一部の実施形態では、フォレストのナノファイバーは任意で処理剤によって化学的に官能化されてもよい。処理剤は、物理的堆積、原子堆積、化学蒸着(CVD)、及び/又は液体もしくは気体の浸透を含むが、これらに限定されない好適な方法によってナノファイバーフォレストに導入されてもよい。一部の実施形態では、ナノファイバーフォレストを修飾してパターン化されたフォレストを形成してもよい。フォレストのパターン形成は、たとえば、フォレストから選択的にナノファイバーを取り除くことによって達成されてもよい。取り除きはレーザー切断等の化学的または物理的な手段を介して達成することができる。
【0020】
[ナノファイバーシート]
フォレストの構成における配置に加えて、主題の出願のナノファイバーはシートの構成においても配置されてもよい。本明細書で使用されるとき、用語「ナノファイバーシート」、「ナノチューブシート」または単に「シート」は、ナノファイバーが平面にて実質的に端から端まで並べられるナノファイバーの配置を指す。一部の実施形態では、ナノファイバーシートはシートの厚さの100倍を超えて大きい長さ及び/又は幅を有する。一部の実施形態では、ナノファイバー整列の方向はナノファイバーシート全体にわたって連続性であってもよい。一部の実施形態では、長さ、幅またはその双方はシートの平均厚さより10
3、10
6または10
9倍大きい。ナノファイバーシートは、たとえば、約5nm〜20μmの間、10nm〜10μmの間、20nm〜100nmの間、30nm〜80nmの間、または40nm〜60nmの間の厚さを有することができる。ナノファイバーシートは意図される適用に好適である任意の長さ及び幅を有してもよい。一部の実施形態では、ナノファイバーシートは1cm〜10メートルの間の長さ及び1cm〜1メートルの間の幅を有してもよい。これらの長さは単に説明のために提供される。ナノファイバーシートの長さ及び幅は、ナノチューブ、フォレストまたはナノファイバーシートのいずれかの物理的または化学的な特性によってではなく、製造機器の構成によって制約される。たとえば、連続法は任意の長さのシートを製造することができる。これらのシートはそれらが製造されるにつれてロールに巻き上げることができ、一部の実施形態では、離型シートをナノファイバーシートと共に巻くことができる。
【0021】
ナノファイバーシート例の説明は、説明される相対的な寸法と共に
図3にて示されている。
図3で分かるように、ナノファイバーが端から端まで並べられる軸はナノファイバー整列の方向と呼ばれる。一部の実施形態では、ナノファイバー整列の方向はナノファイバーシート全体を通して連続的であってもよい。ナノファイバーは互いに必ずしも完全に平行ではなく、ナノファイバー整列の方向はナノファイバーの整列の方向の平均または一般測定であることが理解される。
【0022】
形成後、ナノファイバーシートは任意で物理的にまたは化学的に修飾されてもよい。たとえば、一部の実施形態では、ナノファイバーシートは、たとえば、酸化剤または還元剤等の処理剤に曝露されてもよい。追加の実施形態では、シートのナノファイバーは処理剤によって任意で化学的に官能化されてもよい。処理剤は、吸着または共有結合等の化学結合を介してナノファイバーと相互作用することができる。
【0023】
ナノファイバーシートを互いの上に積み重ねて多層シートを形成してもよい。ナノファイバー整列の共通の方向を有するように、またはナノファイバー整列の異なる方向を有するようにナノファイバーシートを積み重ねてもよい。任意の数のナノファイバーシートは、互いの上に積み重ねられて多層のナノファイバーシートを形成してもよい。たとえば、一部の実施形態では、ナノファイバーシートは2、3、4、5、10以上の個々のナノファイバーシートを含んでもよい。隣接しているシート上のナノファイバー整列の方向は1°未満、5°未満または10°未満異なってもよい。他の実施形態では、隣接しているシート上のナノファイバー整列の方向は40°を超えて、45°を超えて、60°を超えて、80°を超えて、または85°を超えて異なってもよい。特定の実施形態では、隣接しているシート上のナノファイバー整列の方向は90°であってもよい。異なる角度での個々のシートの積み重ねは、たとえば、引張り強度及び/又は電気伝導性等の特性を変えてもよい。
【0024】
シートを製造することができる任意の種類の好適な方法を用いてナノファイバーシートが集合させてもよい。一部の実施形態例では、ナノファイバーシートはナノファイバーフォレストから引き出される。ナノファイバーフォレストから引き出されるナノファイバーシートの例は
図4にて示されている。
図4で分かるように、ナノファイバーはフォレストから横方向に引き出され、次いで端から端まで並べられてナノファイバーシートを形成してもよい。ナノファイバーシートがナノファイバーフォレストから引き出される実施形態では、フォレストの寸法を制御して特定の寸法を有するナノファイバーシートを形成してもよい。たとえば、ナノファイバーシートの幅はシートが引き出されるナノファイバーフォレストの幅にほぼ等しい。さらにたとえば、所望のシート長が達成されたら引き抜き加工を行うことによってシートの長さを制御することができる。保存及び輸送のためにカーボンナノファイバーシートをロールに巻き上げることができる。場合によっては、シートを損傷することなく、5mm未満の半径にCNTシートを巻き上げることができる。次いで必要なときにシートをロールからほどくことができる。
【0025】
形成の後、ナノファイバーシートを1つ又は複数の処理後工程に供してもよい。たとえば、一部の実施形態では、ナノファイバーシートは任意で圧縮されてもよい。ナノファイバーシートを液体にさらし、その後、その液体のほとんどまたはすべてを取り除くこと(たとえば、蒸発による)を含むが、これらに限定されない適当な圧縮方法を用いてナノファイバーシートを圧縮してもよい。たとえば、液体を吸収すること、液体のエアロゾルにシートをさらすこと、蒸気凝縮、コーティング、毛細管吸収、またはそれらの組み合わせを含む種々の方法で液体をナノファイバーシートに導入してもよい。液体は水性であっても、または非水性であってもよく、且つプロトン性溶媒であってもよく、または非プロトン性溶媒であってもよい。2、3以上の液体の混合物も使用されてもよい。圧縮がシートの厚さに影響を与えてもよい。一部の具体例では、ナノファイバーシートは圧縮に先立って10〜20μmの厚さを有してもよく、圧縮後、10〜50nmの間の厚さを有してもよい。ナノファイバーシートの体積密度は圧縮に先立って約0.0015g/cm
3であってもよく、圧縮後、360の倍数で増加してもよい。
【0026】
圧縮法を用いて、カーボンナノチューブシートの種々の実施形態の体積密度を10×、20×、50×、100×、500×、または1000×を超える倍数で増やすことができる。体積密度の増加は一部の実施形態では大きくてもよい一方で、面密度における付随する増加はゼロまたはゼロ近くであってもよいことに留意のこと。このことは、圧縮されたシートはそれが圧縮された元のシートと本質的に同じ長さ及び幅を有することができることを意味する。種々の実施形態では、圧縮は、10%未満、5%未満または1%未満の面収縮を生じることができる。
【0027】
ナノファイバーシートは種々の適用に活用できる多数の特性を有してもよい。たとえば、ナノファイバーシートは、調節可能な不透明性、高い機械的強度及び柔軟性、熱伝導性及び電気伝導性を有してもよく、且つ疎水性も示してもよい。シート内でのナノファイバーの高度の整列を考えると、ナノファイバーシートは極端に薄くてもよく、それをほぼ二次元にしてもよい。一部の例では、ナノファイバーシートは10〜200nmの間の厚さ(通常測定の許容範囲内で測定されたとき)である。これらの厚さは390〜750nmの波長範囲での可視光に対して完全に透明であり得る。シートは電磁放射線の多数の他の波長に対しても透明であってもよい。本明細書で使用されるとき、波長の95%を超える入射放射線を製品が透過するのであれば、その波長または波長の範囲に対して製品は透明である。一部の実施形態では、ナノファイバーシートの包含は最小限の追加の面積及び/又は体積だけを成分または表面に加えてもよい。本明細書で開示されているようなナノファイバーシートは高純度も有してもよく、その際、場合によっては、ナノファイバーシートの重量パーセントの90%を超える、95%を超えるまたは99%を超える部分がナノファイバーシートに起因する。同様に、ナノファイバーシートは90重量%を超える、95重量%を超える、99重量%を超えるまたは99.9重量%を超える炭素を含んでもよい。ナノファイバー及びシートは、脂肪族炭素を欠いてもよく、専ら、単一壁及び/又は2、3、4、5または5を超える壁を含むものを含む多重壁を形成するアリール構造であってもよい。ナノチューブは種々の実施形態では、肘掛椅子構造、ジグザグ構造及び/又はキラル構造を含むことができる。一部の実施形態では、ナノファイバーシートは650〜1200オーム/スクエアの電気抵抗を有してもよい一方で、他の実施形態では、金属(たとえば、金、白金、銅または約3.5eVを上回る仕事関数を有する他の仕事関数の高い金属)によって金属化されたナノファイバーシートは100オーム/スクエアを下回るほど低いシート抵抗を有してもよい。
【0028】
[接着性ナノファイバー複合材]
本明細書で開示されているような接着性ナノファイバー複合材は1つ又は複数のナノファイバーシートとポリマーとで形成されてもよい。一部の実施形態では、ポリマーは接着剤を含む、または接着剤である。1つのナノファイバーシート102を含む接着性ナノファイバー複合材例100の上面斜視図を
図5にて示す。
図5は1つのナノファイバーシートを含んでいるが、接着性ナノファイバー複合材100には、たとえば、1、1を超える、5を超える、10を超える、15を超える、または20を超える任意の数のナノファイバーシートが含まれてもよい。一部の実施形態では、接着性ナノファイバー複合材は1〜20の間または5〜25の間のナノファイバーシートを含む。複数のナノファイバーシート102は互いに並べられてもよく、または整列の似ていない方向を有してもよい。たとえば、一部の実施形態では、ナノファイバーシート102はナノファイバーの平行な整列方向を有するように位置づけられてもよい。しかしながら、他の実施形態では、ナノファイバーシート102は、ある角度で向けられたナノファイバーの整列方向で位置づけられてよい。たとえば、隣接するナノファイバーシートは、互いから少なくとも1°、少なくとも5°、少なくとも10°、少なくとも15°、少なくとも20°、少なくとも25°、少なくとも45°、少なくとも60°、または少なくとも85°の角度でのナノファイバーの整列方向で位置づけられてもよい。
【0029】
図5に示される接着性ナノファイバー複合材例はまた、取り外し可能な基材106上にポリマー104、緩衝層110及び金属108も含む。緩衝層110は、ナノファイバーへの金属層108のさらに大きな接着を提供する、たとえば、チタン等の炭化物形成金属であることができる。
図5に示すように、ポリマー104はナノファイバーシート102に直接隣接する。
図5では異なる層として示されるが、ポリマー104はナノファイバーシート102の少なくとも一部に浸透し、ナノファイバー間の空隙を満たしてもよい。たとえば、一部の実施形態では、ナノファイバーシート102は多孔性であり、ポリマー104はナノファイバーシート102のナノファイバー間の孔に広がる。ポリマーはまた圧縮剤としても機能することができる。これらの及び他の実施形態では、ナノファイバーシート102の一部はポリマー104によって完全に絶縁されるわけではなく、ナノファイバー層の少なくとも一部は導電材料にさらされてもよく、それによって接着性ナノファイバー複合材が導電性にされてもよい。
【0030】
接着特性を持つ任意の種類の高分子材または非高分子材を用いて本明細書で開示されているような接着性ナノファイバー複合材のポリマー104を形成してもよい。たとえば、一部の実施形態では、ASTM D903及び/又はJISZ0237nに従ってステンレス鋼にて測定されたとき1〜50N/25mmの間の接着強度を有する接着剤を使用して接着性ナノファイバー複合材を形成してもよい。一部の特定の実施形態では、1〜30N/25mmの間のまたは1〜20N/25mmの間の接着強度を有する接着剤を使用して接着性ナノファイバー複合材を形成してもよい。一部の実施形態では、非反応性接着剤または反応性接着剤を使用してもよい。使用されてもよい非反応性接着剤例には、乾燥接着剤(たとえば、溶媒系接着剤またはエマルション接着剤)、感圧接着剤、接触接着剤及び/又は感熱接着剤が挙げられるが、これらに限定されない。使用されてもよい反応性接着剤例には一面接着剤及び多面接着剤が挙げられる。一部の特定の実施形態では、医療等級の接着剤が使用されてもよい。使用されてもよい接着剤例には、ゴム、エポキシ、ポリイミド、アクリル、シリコーン、ポリエステル、ポリビニルエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリビニルエーテル、及び/又はスチレン系ポリマーが挙げられる。たとえば、一部の特定の実施形態では、エチレン−酢酸ビニル、ポリビニルエステル、ブチルゴム、天然ゴム、ポリクロロプレン、スチレンブロックコポリマー及び/又はポリエステルが接着剤として使用されてもよい。一部の実施形態では、1つ又は複数の表面に対する複数の適用が可能である接着剤が使用されてもよい。粘着性を失うことなく少なくとも2、3、4または5回の適用が可能である接着剤が使用されてもよい。
【0031】
図5に示されるように、接着性ナノファイバー複合材100は取り外し可能な基材106を含んでもよい。取り外し可能な基材106は、剛体材料及び非剛体材料の双方を含む好適な材料で形成されてもよい。たとえば、取り外し可能な基材106は、天然及び合成のゴム、ラテックス、ポリプロピレン、ポリエチレン、及び/又はシリコーンを含む高分子材で形成されてもよい。一部の特定の実施形態では、取り外し可能な基材106は伸縮可能であってもよい。一部の実施形態では、所望の接着強度を持つように特定の種類のポリマー104及び取り外し可能な基材106を選択してもよい。たとえば、複合材を損傷することなく、及び/又は基材上に接着剤の残留物を残すことなく、互いから取り外しできるようにポリマー104及び基材106が選択されてもよい。
【0032】
一部の実施形態では、接着性ナノファイバー複合材100のポリマー104は1つ又は複数の添加剤も含んでもよい。たとえば、ポリマー104は架橋剤、レオロジー調整剤、セラミック、充填剤、染料及び/又は顔料も含んでもよい。使用されてもよい架橋剤例には、エポキシ、イソシアネート、アジリジン及び/又は金属キレート剤が挙げられる。場合によっては、カーボンブラック、グラフェン、ダイヤモンド、カーボンナノチューブ、フラーレン、及び非晶質炭素、金属酸化物及び/又は金属粒子を含む炭素種等の電気的なまたは熱的な伝導性改善剤が添加されてもよい。一部の特定の実施形態では、二酸化チタン、リン酸リチウムイオン及び/又は二ホウ化マグネシウムが添加されてもよい。所望通りに、臭気放出剤及び/又は臭気吸収剤も使用されてもよい。
【0033】
一部の実施形態では、
図5で示されるように、接着性ナノファイバー複合材100は金属化されてもよい。金属化された接着性ナノファイバー複合材では、
図5で示されるように、金属108はナノファイバーシート(複数可)102におけるナノファイバーの外面を共形に被覆してもよい。たとえば、銀、金、銅、ニッケル、パラジウム、白金、アルミニウム、鉄、スズ、亜鉛、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオビウム、タンタル、クロム、リチウム、タングステンまたは他の導電性金属等の種々の種類の金属をナノファイバーシート102に適用してもよい。接着性ナノファイバー複合材100が金属化される実施形態では、金属108は接着性ナノファイバー複合材100に含まれる各ナノファイバーシート102に個々に適用されてもよく、または金属はナノファイバーシートの積み重ねられた配置に適用されてもよい。
図9A〜9Cに関して詳細に議論されているように、金属をナノファイバーシートまたは積み重ねられた配置の外側のナノファイバーシートに堆積させる一部の実施形態では、金属は少なくとも1つのナノファイバーシートを介して浸透してもよく、下にあるナノファイバーシート(複数可)におけるナノファイバーを少なくとも部分的に被覆してもよい。存在するならば、金属層108は一部の実施形態では、2nm〜300nmの間の厚さを有する。一部の特定の実施形態では、金属層は存在するのであれば、50〜250nmの間の膜厚を有してもよい。金属層は、ナノファイバー間での及びナノファイバーシートと電極、電源または接地のような外部接触との間での電気的導通を提供することができる。
【0034】
接着性ナノファイバー複合材100が金属化される一部の実施形態では、ナノファイバーシートと金属との間には緩衝層も存在してもよい。緩衝層110を含む金属化された接着性ナノファイバー複合材例100cは
図5に示されている。存在するならば、緩衝層110は任意の好適な厚さであってもよく、一部の実施形態では、30nm未満、20nm未満、10nm未満、2nm〜8nmの間、及び/又は一部の実施形態では、約5nmの厚さを有してもよい。緩衝層110は、ナノファイバーシート102と金属108との間の接着を高めてもよく、ナノファイバーシート102と金属108との間の電気伝導性を改善してもよい。緩衝層110は任意の適当な物質で形成されてもよく、炭素に対する親和性を有してもよい。炭化物形成金属等の物質は緩衝層として上手く機能することが見いだされている。たとえば、一部の実施形態では、金属層108の適用に先立ってチタン金属の薄層を適用してもよく、金属層108は緩衝層110に接着するのに対して、それはナノファイバー自体に直接接着しなくてもよい。金属層を適用するのに使用されるものと同じまたは類似する技法を用いて緩衝層を適用することができる。
【0035】
図6A〜6Dは、チタンの緩衝層がその上に配置されるカーボンナノチューブを示す、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて捕捉された画像である。示される例では、eBeam堆積を用いてチタン緩衝層をナノチューブ上に堆積させたが、チタン緩衝層は約3nmの厚さである。
【0036】
特定の一実施形態例では、California州、FremontのCHA Industriesの電子ビーム蒸発システム(「CHA Mark50」モデル)を用いて金属をナノファイバーシート上に堆積させた。堆積は、約10
−6〜約10
−7torr(測定の判別、正確度、及び精密度のために通常測定の許容範囲によって近似させた)の真空にて約10kW(測定の判別、正確度、及び精密度のために通常測定の許容範囲によって近似させた)の作動電圧にて実施した。eBeam堆積システムは堆積金属間の変化を自動的に許容するタレットを備えた。ドームの湾曲に従っているドーム形状の試料ホルダーに試料を加え、試料全体にわたる金属層の均一性を確保した。チタン、次いで銀の堆積速度は、それぞれ0.5Å/s及び10Å/s前後のレベルにて堆積コントローラによって一定に保った。堆積させたチタン薄膜は3〜20nmの厚さであり、銀金属は400〜500nmの間の厚さだった。
【0037】
上述の実験例とは別の例では、
図7A〜7Dは、eBeam堆積を用いて堆積させたチタンの緩衝層の上に配置された約60nmの厚さ(通常方法の変動のために近似値)である銅の金属層のTEM画像を示している。これらの図にて示されている例で具体化されたようなチタンの緩衝層と銅の金属層の組み合わせは約5オーム/スクエア(通常測定の許容範囲内)の抵抗を持つナノファイバーシートを生じた。
【0038】
図7A〜7Dにおける例の形態は、炭化物形成金属の緩衝層が存在しない他の例の形態とは対照的である。
図8のTEM画像で示されるように、炭化物形成緩衝層が下にないと、eBeam堆積を用いて約60nmの厚さの銅の層がナノファイバー上に共形で堆積している。示されるように、炭化物を形成しない銅共形金属層は多数の断絶を有する。この形態は同様に電気特性に影響を有する。特に、
図8で示される実施形態の抵抗は1790オーム/スクエアであると測定されたが、それは
図7A〜7Dで示された実施形態について測定された抵抗のほぼ600倍大きい。
【0039】
図9A〜9Cはそれぞれ1を超えるナノファイバーシート102を含む接着性ナノファイバー複合材例100a〜100cを示している。具体的に、
図9A〜9Cで示されている接着性ナノファイバー複合材例はそれぞれ3つのナノファイバーシート102a、102b及び102cを含む。本開示の一貫性と理解の容易さのために、別々に参照される場合を除いて、接着性ナノファイバー複合材100a〜100cは以後まとめて一般に接着性ナノファイバー複合材100と呼ばれてもよい。
【0040】
図9Aは、金属化されない接着性ナノファイバー複合材例100aを示している。金属化された接着性ナノファイバー複合材例100bは
図9Bにて説明されている。ナノファイバーシート102は多孔性を持ってもよいので、ナノファイバーシートの積み重ね配置の上に金属を堆積させると、金属は最上部のナノファイバーシート(たとえば、
図9Bで示される実施形態におけるナノファイバーシート102c)及び下にあるナノファイバーシート(たとえば、
図9Bで示される実施形態におけるナノファイバーシート102b及び102a)の双方で蓄積してもよい。一部のそのような実施形態では、最上部のナノファイバーシートにおける金属の厚さは下にあるナノファイバーシートにおける金属の厚さよりも大きくてもよい。本開示の観点で十分に理解されるように、下にあるナノファイバーシートへの金属の透過の程度は、場合によっては、使用される金属堆積法の種類に左右されてもよい。
図9Cは金属化され、緩衝層110を含む接着性ナノファイバー複合材例100cを示している。
図9Cで示されているように、存在するならば、緩衝材110は外側のナノファイバーシート、たとえば、ナノファイバーシート102c及び存在するならば、下にあるナノファイバーシート(複数可)にて形成されてもよい。多数の構成及び代替が本開示の観点から明らかであろう。
【0041】
一部の実施形態では、接着性ナノファイバー複合材は伸縮可能であってもよい。たとえば、一部の実施形態では、接着性ナノファイバー複合材は弾性である、またはさもなければ伸縮可能である基材上で形成されてもよい。一部のそのような実施形態では、1つ又は複数のナノファイバーシートが、1つ又は複数の方向で同時に(たとえば、まるで拡大している球体上でのように等方性に)引っ張られている基材上に配置されてもよい。一部の実施形態では、変形可能な基材は、ナノファイバーシート(複数可)が基材上に位置付けられる前に、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも700%、少なくとも800%、少なくとも900%、または少なくとも1000%引き伸ばされてもよい。変形可能な基材は、1つ又は複数の方向で引き伸ばされてもよい。たとえば、基材は、ナノファイバーシート(複数可)が基材上に位置付けられる際、少なくとも2つの方向で引き伸ばされてもよい。
【0042】
弾性基材を引っ張ることまたは引き伸ばすことは、以下に記載されている追加の加工の後、弾性基材での引張りが解放される(すなわち、基材が「弛緩」するまたはその弾性的に引っ張られた状態または「拡張された」状態から「収縮した状態」に収縮させる)と、ナノファイバーシートまたはナノファイバーシートを含む複合材が「座屈する」のを可能にする。ナノファイバー複合材を座屈することは、ナノファイバーシートの追加の表面積を「蓄え」、ナノファイバーシートを損傷することなく、弾性基材及び弾性基材上に配置されたナノファイバーシート双方の反復されるその後の弾性拡張を促す。従って、複合材は繊維自体の弾性のせいではなく、シートの構造のゆえに伸縮することができる。一部の実施形態では、複合材は接着性ナノファイバー複合材の平面で単一方向に沿って移動する波形構造として形成されてもよい。具体的には、たとえば、1つ又は複数のナノファイバーシートを折り畳んで、複合材の表面に沿った単一方向(シートの厚さ方向に対して直交する平面)にて波進行方向に向かわせるように波形構造を形成してもよい。波形構造を形成する接着性ナノファイバー複合材は本明細書では「波形カーボンナノチューブ凝集体」とも呼ばれてもよい。本明細書で使用されるとき、「カーボンナノチューブ凝集体は波形構造を形成する」という表現は、接着性ナノファイバー複合材におけるナノファイバーシートが、異なるまたは同じ寸法の山と谷が不規則にまたは周期的に表れる波状形態を示すことを意味する。
【0043】
図10A及び10Bは、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて捕捉された伸縮可能な接着性ナノファイバー複合材例の断面図である。
図10A及び10Bは、座屈された又は伸張されていない位置での金属化された接着性ナノファイバー複合材のナノファイバーシートを示している。示されるようにナノファイバーシートと下にある弾性基材との間の接着は、座屈された(伸張されていない)立体構造でさえナノファイバーシートと弾性基材との間の接触を維持するのに十分である。一部の実施形態では、弾性基材は接着剤である。種々の実施形態では、ナノファイバー複合材は、その当初の長さ及び/又は幅の何倍もの倍数、伸縮可能であってもよい。たとえば、一部の特定の実施形態では、ナノファイバー複合材は破損することなく、1つ又は複数の方向で、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも700%、少なくとも800%、少なくとも900%、または少なくとも1000%引き伸ばされてもよい。一部の実施形態では、これらの同じシートは伸縮力が解放された後、元々の長さに戻るであろう。
【0044】
一部の実施形態では、接着性ナノファイバー複合材は1つ又は複数の追加の層も含んでもよい。たとえば、一部の実施形態では、追加のポリマー層が接着性ナノファイバー複合材に含まれてもよい。存在するならば、追加のポリマー層は接着剤を含んでもよく、ポリマー104としてナノファイバーシート(複数可)の反対側に位置づけられてもよい。多数の構成及び多様性が本開示の観点から明らかであろう。
【0045】
開示されているナノファイバー複合材は種々の特徴及び特性を持ってもよい。たとえば、接着性ナノファイバー複合材は一部の実施形態では、低い電気抵抗を有してもよい。具体的に、一部の実施形態では、接着性ナノファイバー複合材例の電気抵抗は1Ω/スクエア未満であってもよく、場合によっては、0.9Ω/スクエア未満、0.8Ω/スクエア未満、0.7Ω/スクエア未満、0.6Ω/スクエア未満、0.5Ω/スクエア未満、または0.1Ω/スクエア未満であってもよい。開示されているナノファイバー複合材は所望の厚さを有してもよい。たとえば、一部の実施形態では、開示されているナノファイバー複合材は、1ミクロン未満、0.5ミクロン未満、0.2ミクロン未満、0.1ミクロン未満、50nm未満、40nm未満または30nm未満の厚さを有する。ナノファイバーシートの接着剤に対する比は、容積で1:5未満、1:10未満、1:100未満、または1:1000未満であってもよい。ナノファイバーシートの接着剤に対する比は、質量で1:5未満、1:10未満、1:100未満、1:1,000未満、または1:10,000未満であってもよい。
【0046】
[接着性ナノファイバー複合材を製造する方法例]
接着性ナノファイバー複合材100は、本明細書に記載されている技法によることを含む任意の好適な技法によって製造されてもよい。
図11は、接着性ナノファイバー複合材100を形成するのに使用されてもよい方法例200を説明している。
図11で示されるように、方法200は、ナノファイバーシート(複数可)を提供すること202と任意でナノファイバーシート(複数可)を金属化すること204とを含む。ナノファイバーシートは、化学蒸着(CVD)、圧力補助化学蒸着(PCVD)、電子ビーム(eBeam)堆積、スパッタリング、原子層堆積(ALD)、及び/又は電気めっきを含むが、これらに限定されない既知の技法によって金属化されてもよい。ナノファイバーシートは一部の実施形態では、1を超えるナノファイバーシートの積み重ね配置にて個々にまたは全体として金属化されてもよい。ナノファイバーシートの積み重ね配置が金属化される一部のそのような実施形態では、金属は、最上部のナノファイバーシートだけでなく下にある1つ又は複数のナノファイバーシートにも堆積させてもよい。一部の実施形態では、1を超える金属層をナノファイバーシート(複数可)に堆積させてもよい。接着性ナノファイバー複合材が金属化される実施形態では、金属の堆積に先立って緩衝層をナノファイバーシート(複数可)上に堆積させてもよい。一部のそのような実施形態では、CVD、PCVD、eBeam堆積、スパッタリング、ALD及び/又は電気めっきを含む、ナノファイバーシートを金属化するのに使用される技法を用いて緩衝層を堆積させてもよい。種々の実施形態では、緩衝層は接着、摩耗、電気伝導性及び/又は反射性を改善することができる。緩衝層110に関して本明細書に記載されている任意の物質を用いて緩衝層を形成してもよい。
【0047】
方法200は、任意でナノファイバーシート(複数可)を基材上に位置付けること206によって継続する。一部の実施形態では、前に本明細書に記載されているように変形可能及び/又は伸縮可能である基材上にナノファイバーシート(複数可)を載せてもよい。変形可能または伸縮可能な基材が使用される実施形態では、基材が変形されるまたは引き伸ばされる場合、ナノファイバーシート(複数可)を基材上に位置付けてもよい。ナノファイバー複合材が伸縮可能なまたは変形可能な基材上で形成される実施形態では、得られるナノファイバー複合材は伸縮可能であってもよい。一部の特定の実施形態では、引き伸ばされた基材上で形成されるナノファイバー複合材は複合材の形成の間に基材を引き伸ばされたのとほぼ同じくらい多く引き伸ばされることができてもよい。たとえば、一部の実施形態では、基材は約700%引き伸ばされてもよい一方で、ナノファイバー複合材は引き伸ばされた基材上で形成され、得られるナノファイバー複合材は破損することなく、約700%引き伸ばされることができてもよい。
【0048】
一部の実施形態では、基材は実質的に平面的であってもよい一方で、他の実施形態では、基材は非平面的であってもよい。たとえば、一部の実施形態では、基材は頂上部及び/又は刻み目を含んでもよい。これらの及び他の実施形態では、基材は湾曲してもよく、円錐状、球状または円筒状であってもよい。一部の実施形態では、接着性ナノファイバー複合材は下にある基材の形状を採用してもよいことが本開示の観点から理解されるであろう。たとえば、接着性ナノファイバー複合材が球状基材上で形成される場合、一部の実施形態では得られる接着性ナノファイバー複合材は球状であってもよい。
【0049】
方法200は1つ又は複数の接着剤にナノファイバーシート(複数可)を曝露すること208によって継続する。一部の実施形態では、接着剤は固形の接着膜としてナノファイバーシート(複数可)に適用される一方で、他の実施形態では、接着剤は接着剤の溶液または分散液としてナノファイバーシート(複数可)に適用されてもよい。固形の接着膜がナノファイバーシート(複数可)に適用される実施形態では、固形の接着膜は直接ナノファイバーシートに接着されてもよい。一部の実施形態では、1を超える接着膜が使用されてもよい。一部のそのような実施形態では、第1の接着膜が隣接するナノファイバーシート間に配置されてもよく、第2の接着膜はナノファイバーシートの1つの外面に接着されてもよいし、または別のナノファイバーシートに接着されてもよい。一部の精選実施形態では、接着性ナノファイバー膜がナノファイバー複合材の各ナノファイバーシート間に配置される。使用されてもよい接着膜例には、アクリル、ポリウレタン、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンブロックコポリマー、ポリエステル、シリコーン、ポリビニルエステル、及びそれらの組み合わせを含む膜が挙げられるが、これらに限定されない。接着膜(複数可)は、収縮の際にナノファイバーシート(複数可)に接着してもよく、または接着するまたは接着を向上させる処理を受けてもよい。たとえば、一部の実施形態では、ナノファイバーシート(複数可)及び接着膜(複数可)を押し固め、及び/又は加熱し、接着を促進してもよい。
【0050】
接着剤が接着剤の溶液または分散液としてナノファイバーシート(複数可)に適用される実施形態では、接着剤の溶液または分散液は、1つ又は複数のポリマー、架橋剤、溶媒及び/又は添加剤を含む種々の成分を含んでもよい。使用されてもよい架橋剤例には、エポキシ、イソシアネート、アジリジン及び/又は金属キレート剤が挙げられるが、これらに限定されない。たとえば、一部の実施形態では、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、ヘキサン及び/又はイソプロピルアルコール等の任意の種類の好適な溶媒が接着剤の溶液または分散液にて使用されてもよい。一部の実施形態では、接着剤の溶液または分散液は、10:1〜1:10の間の重量比でポリマーと溶媒を含む。一部の特定の実施形態では、接着剤の溶液または分散液におけるポリマーの溶媒に対する重量比は5:1〜1:5の間であり、一部の実施形態では、1:1〜1:4の間である。接着剤の溶液または分散液はまた、0.1〜10パーセントの間での重量比で架橋剤を、及び/又は0.1〜50パーセントの間の重量範囲で添加剤を含んでもよい。一部の実施形態では、1を超える添加剤が接着剤溶液で使用されてもよい。たとえば、一部の実施形態では、少なくとも2つの異なるまたは少なくとも3つの異なる添加剤が接着剤の溶液または分散液に含まれてもよい。一部の実施形態では、接着剤溶液の特性を調整してナノファイバーシートにおけるナノファイバー、または存在するならば、金属のいずれかに対する高い親和性を提供してもよい。たとえば、一部の実施形態では、接着剤溶液は上昇したまたは低下した親水性を有するように製剤化されてもよく、それによって金属に対する多いまたは少ない親和性を持つ溶液を提供する。
【0051】
接着剤の溶液または分散液は少なくとも2つの方法でナノファイバーシート(複数可)に導入されてもよい。一部の実施形態では、たとえば、接着剤の溶液または分散液は基材に適用されてもよく、次いでナノファイバーシート(複数可)を接着剤の溶液または分散液の上に置いてもよい。他の実施形態では、ナノファイバーシート(複数可)を先ず基材上に置いてもよく、次いで基材上に位置付ける一方で、接着剤の溶液または分散液をナノファイバーシート(複数可)に適用してもよい。シートは少なくともやや多孔性なので、接着剤の溶液または分散液をナノファイバーシートに浸透させてもよい。接着剤の溶液または分散液は回分工程または連続工程でナノファイバーシートに適用することができる。
【0052】
方法200は、接着剤溶液が使用されるならば、任意で接着剤溶液から溶媒を取り除くこと210によって継続する。任意の技法によって接着剤溶液から溶媒が取り除かれてもよい。たとえば、追加の処理を行うことなく、溶媒は接着剤溶液から蒸発してもよい。他の実施形態では、複合材を加熱し、または真空に曝露して溶媒を取り除いてもよい。溶媒の除去は場合によっては、ナノファイバーシート(複数可)を圧縮してもよい。たとえば、溶媒を取り除いた後、ナノファイバーシート(複数可)の総厚は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%減少してもよい。一部の実施形態では、圧縮のレベルは接着剤溶液から取り除かれた溶媒の量に比例してもよい。たとえば、1:2のポリマーの溶媒に対する重量比を持つ接着剤溶液に曝露したナノファイバーシートは、1:1のポリマーの溶媒に対する重量比を持つ接着剤溶液に曝露したナノファイバーシートよりも溶媒除去の際、さらに圧縮されてもよい。
【0053】
形成の後、接着性ナノファイバー複合材は所望の方法で包装されてもよい。たとえば、接着性ナノファイバー複合材はロールに巻き上げられてもよく、または基材上のままで包装されてもよい。或いは、接着性ナノファイバー複合材は基材から取り外され、その後包装されてもよい。たとえば、一部の特定の実施形態では、基材が接着性ナノファイバー複合材から取り外されてもよく、複合材はそれ自体巻き上げられてロールを形成してもよい。一部の実施形態では、接着性ナノファイバー複合材の露出した表面に剥離ライナーを置いてもよい。たとえば、一部の実施形態では、基材に対向する接着性ナノファイバー複合材の表面に剥離ライナーを置いてもよい。これらの及び他の実施形態では、基材は接着性ナノファイバー複合材から取り除かれてもよく、剥離ライナーで置き換えられてもよい。一部の実施形態では、剥離ライナーは加工の間にその寸法及び形状を維持するのに十分な機械的完全性を有するので、ナノファイバーシートに対する損傷の可能性を出来るだけ抑える。剥離ライナーは、シートがしっかりと、しかし、取り外し可能に剥離ライナーに固着されるようにナノファイバーシートとの十分な接着を有する。剥離ライナーと複合材との間の接着はさほど強くないので複合材を損傷することなくシートは剥離ライナーから取り外すことができない。剥離ライナー例には、プラスチックの膜(たとえば、シリコーン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン膜、ポリプロピレン膜、セロファン、ジアセチルセルロース膜、トリアセチルセルロース膜、アセチルセルロースブチレート膜、ポリ塩化ビニル膜、ポリ塩化ビニリデン膜、ポリビニルアルコール膜、エチレン−酢酸ビニルコポリマー膜、ポリスチレン膜、ポリカーボネート膜、ポリメチルペンテン膜、ポリスルホン膜、ポリエーテルエーテルケトン膜、ポリエーテルスルホン膜、ポリエーテルイミド膜、ポリイミド膜、フッ素樹脂膜、ポリアミド膜、アクリル樹脂膜、ノルボルネン樹脂膜、及びシクロオレフィン樹脂膜を含むが、これらに限定されない)、紙、シリコーン被覆の紙、金属ホイル及び/又はガラス膜が挙げられる。本開示の観点で多数の構成が明らかであろう。
【0054】
[実施例の方法]
多数の方法を用いて主題の開示に係る接着性ナノファイバー複合材を製造してもよい。一部の特定の実施例が本明細書に詳細に記載されている。
【0055】
第1の実施例プロセスでは、ナノファイバーシートがナノファイバーフォレストから引き出され、任意で金属化される。引き出しの後、次いでナノファイバーシートは基材の上に置かれ、接着剤溶液で被覆される。一部の実施形態では、追加のナノファイバーシートを(第1の)ナノファイバーシート上に置いてナノファイバーシートの積み重ねを形成してもよい。存在するならば、第1のナノファイバーシートの上に被覆された接着剤溶液と同じであってもよい、または異なっていてもよい接着剤溶液で追加のナノファイバーシートが被覆される。次いで接着剤溶液は存在するナノファイバーシートに浸透する。次いで、追加の処理があろうとなかろうと、接着剤溶液に存在する溶媒を蒸発させ、それによってナノファイバーシートを圧縮する。
【0056】
第2の実施例プロセスでは、第1のナノファイバーシートがナノファイバーフォレストから引き出され、任意で金属化され、基材上に置かれる。次いで1つ又は複数の追加のナノファイバーシートを第1のナノファイバーシート上に置き、ナノファイバーシートの積み重ねを形成する。接着剤溶液は積み重ねられたナノファイバーシートに適用される。シートに浸透させた後、接着剤溶液の溶媒が蒸発し、圧縮されたナノファイバーシートを生じる。
【0057】
第3の実施例プロセスでは、実施例プロセス1または2のいずれかを実施してもよく、ナノファイバーシート及び接着剤溶液を適用し、溶媒を蒸発させる間に、基材が1つ又は複数の方向に引き伸ばされる。
【0058】
第4の実施例プロセスでは、実施例プロセス1〜3のいずれかを実施してもよく、基材は、平面的、非平面的、湾曲状、円錐状、円筒状または球状であってもよい。
【0059】
第5の実施例プロセスでは、実施例プロセス1〜4のいずれかを実施してもよく、ナノファイバーシートの1つ又は複数に1つ又は複数の添加剤を加えてもよい。たとえば、一部の実施形態では、金属、ワイヤ、ナノ粒子、ナノファイバー、連続薄板、酸化金属、ポリマー、セラミック、顔料、染料、炭素物質、臭気放出化合物、及び/又は臭気吸収化合物の1つ又は複数がナノファイバーシート(複数可)に添加されてもよい。一部の特定の実施形態では、二ホウ化マグネシウム、二酸化チタン、ダイヤモンド、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、カーボンブラック、非晶質炭素及び/又はリン酸リチウムイオンがナノファイバーシート(複数可)に添加されてもよい。
【0060】
第6の実施例プロセスでは、実施例プロセス1〜5のいずれかを実施してもよく、ナノファイバーフォレスト、ナノファイバーシート及び/又は基材の一部の区分が添加剤(複数可)を含まず、他の区分が添加剤(複数可)で被覆されるまたは添加剤(複数可)に浸透されるように、1つ又は複数の添加剤をナノファイバーフォレスト、ナノファイバーシート及び/又は基材にて選択的にパターン形成させる。
【0061】
第7の実施例プロセスでは、実施例プロセス1〜6のいずれかを実施してもよく、ナノファイバーシートが基材の上に置かれる前にまたはその後で1つ又は複数の添加剤がナノファイバーシートに適用される。
【0062】
第8の実施例プロセスでは、実施例プロセス1〜7のいずれかを実施してもよく、1を超える種類の添加剤がナノファイバーシート(複数可)に添加されてもよい。たとえば、一部の実施形態では、第1の種類の接着剤溶液が第1のナノファイバーシートに適用されてもよく、第2の種類の接着剤溶液が複合材の第2のナノファイバーシートに適用されてもよい。一部の特定の実施形態では、感圧接着剤、熱活性化接着剤、樹脂及び/又はUV活性化接着剤が接着性ナノファイバー複合材のナノファイバーシート(複数可)に適用されてもよい。
【0063】
第9の実施例プロセスでは、実施例プロセス1〜8のいずれかを実施してもよく、基材は、ポリマー樹脂、プラスチック樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱収縮性樹脂、熱融解性樹脂、硬化樹脂、非硬化樹脂、天然ゴム、合成ゴム、シリコンゴム、エラストマー、繊維製品、電界紡糸膜、金属、複合材、木材、及び薄膜で形成されてもよい。一部の特定の実施形態では、基材は柔軟性であり、他の実施形態では、基材は柔軟性ではない。
【0064】
第10の実施例プロセスでは、実施例プロセス1〜9のいずれかを実施してもよく、積み重ねられたナノファイバーシートはナノファイバー整列の平行方向に向けられる。他の例では、積み重ねられたナノファイバーシートにおけるナノファイバーは互いに平行ではない。
【0065】
[実施例の実験]
20枚のナノファイバーシートと、ポリアクリル酸系の接着剤と、約150nmの厚さを有する銀金属層とを含む接着性ナノファイバー複合材例を形成した。この接着性ナノファイバー複合材例は測定された0.7Ω/スクエアの電気抵抗を有した。
【0066】
本開示の実施形態の前述の説明は、例示の目的で述べてきたものであり、網羅するものではないし、特許請求の範囲を開示の形態に厳密に限定することも意図していない。当該技術分野の当業者であれば、上述の開示を踏まえて、多くの変形例及び改変例が可能であることを理解できるであろう。
【0067】
本明細書で使用されている表現は、基本的には読みやすさ及び教示の目的のために選択されており、本発明の範囲について輪郭を描いたり、境界線を引くために選択されたものではない場合がある。そのため、本発明の範囲は、この詳細な説明によっては限定されず、本出願に基づいて発行される特許請求の範囲によって限定される。したがって、実施形態の開示は、特許請求の範囲で規定する本発明の範囲についての例示であって、限定することを意図したものではない。