(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6788022
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】リレーシナリオのためのデュアルコントロールシグナリングシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H04L 29/06 20060101AFI20201109BHJP
H04W 16/26 20090101ALI20201109BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20201109BHJP
H04W 72/12 20090101ALI20201109BHJP
【FI】
H04L13/00 305C
H04W16/26
H04W72/04 136
H04W72/12
【請求項の数】25
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-542214(P2018-542214)
(86)(22)【出願日】2017年3月2日
(65)【公表番号】特表2019-512912(P2019-512912A)
(43)【公表日】2019年5月16日
(86)【国際出願番号】US2017020345
(87)【国際公開番号】WO2017151853
(87)【国際公開日】20170908
【審査請求日】2018年10月3日
(31)【優先権主張番号】62/304,738
(32)【優先日】2016年3月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/302,657
(32)【優先日】2016年3月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】キュリーズ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】カルハン アミット
(72)【発明者】
【氏名】チャン ヘンリー
【審査官】
大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/137106(WO,A1)
【文献】
庄納 祟 他,WiMAX教科書 初版,インプレス標準教科書シリーズ,日本,株式会社インプレスR&D,2008年 7月21日,初版,pp90-94,167-178,186-202,262-283
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 29/06
H04W 16/26
H04W 72/04
H04W 72/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号転送装置が、第1のデータを発信装置から受信することと、
前記信号転送装置が、第1の制御情報を前記発信装置から受信することとであって、前記第1の制御情報は、前記信号転送装置が前記第1のデータを処理することによって転送データを生成するための第1の命令を含む、ことと、
前記信号転送装置が、前記第1の命令に従って前記第1のデータを処理することによって生成された前記転送データを、宛先装置に送信することと、
前記宛先装置が、前記宛先装置において前記転送データを処理するための第2の命令を含む第2の制御情報を前記発信装置から受信することとを含む、方法。
【請求項2】
前記第1の制御情報と前記第2の制御情報とは、前記発信装置によって送信される1つの制御信号に含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の制御情報は、前記発信装置によって送信される第1の制御信号に含まれており、
前記第2の制御情報は、前記発信装置によって送信される第2の制御信号に含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記宛先装置における前記第2の制御情報の受信と前記宛先装置における前記転送データの受信との間の予想される時間遅延を前記宛先装置に供給することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の制御情報は第1の空間ベクトルを用いて送信され、前記第2の制御情報は第2の空間ベクトルを用いて送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の制御情報は第1の符号化率で符号化されており、前記第2の制御情報は第2の符号化率で符号化されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の制御情報は第1の変調方法に従って変調されており、前記第2の制御情報は第2の変調方法に従って変調されている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の制御情報は、キャリア周波数を示す情報、リソース割り当てを示す情報、変調/符号化率を示す情報、多入力多出力(MIMO)方式の詳細を示す情報、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)関連情報、及び、発信元識別子及び/又は宛先識別子、のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の制御情報は、キャリア周波数を示す情報、リソース割り当てを示す情報、変調/符号化率を示す情報、多入力多出力(MIMO)方式の詳細を示す情報、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)関連情報、及び、発信元識別子及び/又は宛先識別子、のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記発信装置が、前記第2の制御情報を含む特定の制御信号と前記転送データを含む特定転送信号との対応付けを識別するための、関連付けシーケンス番号とnビット下り制御情報(DCI)インジケータとのうちの少なくとも一方を、前記特定の制御信号に割り当てることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の制御情報は、前記転送データを生成する際に使用すべき転送スキームを示す命令をさらに含み、
前記方法は、前記宛先装置が、前記宛先装置と前記信号転送装置との間のチャネルの品質を示す情報を前記発信装置に送信することと、
前記発信装置が、前記チャネルの品質に基づいて、前記転送スキームを決定することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
システムであって、
第1のデータを送信する送信部を含む発信装置と、
受信部と送信部とを備える信号転送装置と、を備え、
前記信号転送装置の前記受信部は、第1の制御情報を前記発信装置から受信し、
前記第1の制御情報は、前記信号転送装置が前記第1のデータを処理することによって転送データを生成するための第1の命令を含み、
前記信号転送装置の前記送信部は、前記第1の命令に従って前記第1のデータを処理することによって生成された前記転送データを、宛先装置に送信し、
前記発信装置の前記送信部は、前記宛先装置において前記転送データを処理するための第2の命令を含む第2の制御情報を前記宛先装置に送信する、システム。
【請求項13】
前記第1の制御情報と前記第2の制御情報とは、前記発信装置によって送信される1つの制御信号に含まれる、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の制御情報は、前記発信装置によって送信される第1の制御信号に含まれており、
前記第2の制御情報は、前記発信装置によって送信される第2の制御信号に含まれる、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記宛先装置はさらに、前記宛先装置における前記第2の制御情報の受信と前記宛先装置における前記転送データの受信との間の予想される時間遅延を決定する制御部を備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の制御情報は第1の空間ベクトルを用いて送信され、前記第2の制御情報は第2の空間ベクトルを用いて送信される、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の制御情報は第1の符号化率で符号化されており、前記第2の制御情報は第2の符号化率で符号化されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の制御情報は、第1の変調方法に従って変調されており、前記第2の制御情報は、第2の変調方法に従って変調されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1の制御情報は、キャリア周波数を示す情報、リソース割り当てを示す情報、変調/符号化率を示す情報、多入力多出力(MIMO)方式の詳細を示す情報、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)関連情報、及び、発信元識別子及び/又は宛先識別子、のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記第2の制御情報は、キャリア周波数を示す情報、リソース割り当てを示す情報、変調/符号化率を示す情報、多入力多出力(MIMO)方式の詳細を示す情報、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)関連情報、及び、発信元識別子及び/又は宛先識別子、のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項21】
前記発信装置はさらに、関連付けシーケンス番号とnビット下り制御情報(DCI)インジケータとの少なくとも一方を、前記第2の制御情報を含む特定の制御信号に割り当てる制御部を備え、
前記発信装置の前記送信部はさらに、前記特定の制御信号に割り当てられた、前記関連付けシーケンス番号と前記nビットDCIインジケータとの前記少なくとも一方を、前記信号転送装置及び前記宛先装置に送信し、
前記信号転送装置の前記送信部はさらに、前記特定の制御信号に割り当てられた、前記関連付けシーケンス番号と前記nビットDCIインジケータとの前記少なくとも一方を、前記転送データを含む特定転送信号に含めて前記宛先装置に送信する、請求項12に記載のシステム。
【請求項22】
前記第1の制御情報は、前記転送データを生成する際に使用すべき転送スキームを示す命令をさらに含み、
前記宛先装置の前記送信部は、前記宛先装置と前記信号転送装置との間のチャネルの品質を示す情報を前記発信装置に送信し、
前記発信装置は、前記チャネルの品質に基づいて、前記転送スキームを決定する制御部をさらに含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項23】
信号転送装置であって、
第1のデータを発信装置から受信する受信部と、
送信部と、を備え、
前記受信部は、第1の制御情報を前記発信装置から受信し、前記第1の制御情報は、前記信号転送装置が前記第1のデータを処理することによって転送データを生成するための第1の命令を含み、
前記送信部は、前記第1の命令に従って前記第1のデータを処理することによって生成された前記転送データを、宛先装置に送信する、信号転送装置。
【請求項24】
発信装置であって、
第1のデータを信号転送装置へ送信する送信部と、
前記送信部は、第1の制御情報を前記信号転送装置へ送信し、前記第1の制御情報は、前記信号転送装置が前記第1のデータを処理することによって転送データを生成するための第1の命令を含み、
前記送信部は、第2の制御情報を宛先装置に送信し、前記第2の制御情報は、前記宛先装置が前記信号転送装置から受信した前記転送データを処理するための第2の命令を含む、発信装置。
【請求項25】
宛先装置であって、
受信部を備え、
前記受信部は、信号転送装置から転送データを受信し、前記転送データは、前記信号転送装置が発信装置から受信した第1のデータを第1の命令に従って処理することによって生成されたものであって、前記第1の命令は、前記発信装置から前記信号転送装置が受信した第1の制御情報に含まれ、
前記受信部は、第2の制御情報を前記発信装置から受信し、前記第2の制御情報は、前記宛先装置において前記転送データを処理するための第2の命令を含む、宛先装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、2016年3月2日に出願された「リレーシナリオのためのコントロールシグナリング」と題する仮出願第62/302,657号、及び2016年3月7日に出願された「リレーシナリオのためのデュアルコントロールシグナリングシステム及び方法」と題する仮出願第62/304,738号の優先権を主張し、それら両方はその譲受人に譲渡されており、またそれら両方は参照によりその全体が本明細書に明示的に援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に無線通信に関し、より詳細には、信号転送装置及び宛先装置に制御情報を供給することに関する。
【背景技術】
【0003】
通信システムの中には、リピータ局、リレー局、又は自己バックホール局などの信号転送装置を利用して、ユーザ機器(UE)装置とコアネットワークとの間の情報の転送を容易にするものがある。信号転送装置は、通常、コアネットワークに直接接続されてはいないものの、UE装置とコアネットワークに接続された基地局との間で情報を転送することによって、UE装置にサービスを提供する。信号転送装置がリピータである場合、リピータは、単に、他の基地局から受信した下り信号をUE装置に再送信し、UE装置から受信した上り信号を他の基地局に再送信する。リピータは、フィルタリング、周波数シフト、及び増幅などの限定された信号処理を着信信号に適用することができるが、リピータは、転送される着信信号を復号しない。リレー局及び自己バックホール局は、情報を再送信する前に、少なくともいくらかの信号処理を実行する。このような処理は、着信信号の部分的な復号化から完全な復号化まで様々であってもよい。例えば、着信信号は完全に復号されて、新たな信号を生成するために用いられてもよく、又は着信信号は完全には復号されずに、転送される出力信号を送信するために引き続き用いられてもよい。様々なレベルの処理(転送方法)の一部は、増幅転送(AF)、部分復号転送(PDF)、復号転送(DF)方式と呼ばれることがある。
【発明の概要】
【0004】
発信装置は、信号転送装置に「受信データ信号」を送信する。「受信データ信号」は第1のデータセットを含む。発信装置はまた、信号転送装置及び宛先装置に少なくとも1つの「受信制御信号」を送信する。少なくとも1つの「受信制御信号」は、第1の制御情報セット及び第2の制御情報セットを含む。第1の制御情報セット及び第2の制御情報セットは、両方とも第1のデータセットに関連付けられている。第1の制御情報セットは、信号転送装置が第1のデータセットを処理することに関する命令を含む。第2の制御情報セットは、宛先装置が第1のデータセットを処理することに関する命令を含む。信号転送装置は、宛先装置に「転送信号」を送信する。「転送信号」は、第1のデータセットに基づく転送データを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】発信装置と、信号転送装置と、宛先装置とを含む無線通信システムの一例のブロック図である。
【0006】
【
図2】
図1の無線通信システムを利用して信号転送装置及び宛先装置に制御情報を供給する方法の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
上述したように、通信システムは、リピータ、リレー装置及び自己バックホール基地局を利用して、基地局と基地局によりサービスされるUE装置との間で送信される信号を転送することが多い。信号は、基地局からUE装置に転送されるか、UE装置から基地局に転送されるか、又はそれら両方であってよい。システムによっては、信号転送装置(例えば、リピータ、リレー装置など)とUE装置との間の通信チャネルについての通信リソースのスケジューリングは、基地局のスケジューラ、又は基地局に接続された集中スケジューラによって実行される。本明細書で説明する例では、スケジューラは、信号転送装置が信号を転送する/転送される基地局に配置されるか、又は接続されるものとする。ただし、スケジューラは、物理的に基地局に配置されなくてもよく、他の適切な位置(例えば、信号転送装置、又は基地局が属する無線アクセスネットワーク内のどこか他の位置)に配置されてもよい。
【0008】
典型的なリレーシナリオでは、アンカー基地局は、リレーノードに適用可能な制御情報のみを送信する。リレーノードは、データを復号し、リレー装置とUE装置との間の通信リンクに関するUE装置のフィードバックに応じて、適切な制御チャネルを構成し、それ自身のスケジューラに基づいてデータを再割り当てする。ただし、本明細書で説明する例では、アンカー基地局が、両方とも同じデータに関連付けられた2つの制御情報セットを送信する様々な方法、装置、及びシステムについて説明する。
【0009】
信号転送装置は実施例の中心であるので、説明全体を通して使用される用語は、信号転送装置を中心とする。より具体的には、「発信装置」は、信号転送装置に信号を送信する装置であり、発信装置から信号転送装置で受信される信号を「受信信号」と呼ぶ。同様に、「宛先装置」は、信号転送装置が本明細書で「転送信号」と呼ぶ信号を送信する先の装置であり、。さらに、以下の例のほとんどは、基地局を「発信装置」、UE装置を「宛先装置」と呼ぶが、UE装置が「発信装置」であり、基地局が「宛先装置」であるように当該例を変更してもよい。
【0010】
図1は、発信装置と、信号転送装置と、宛先装置とを含む無線通信システム100の一例のブロック図である。発信装置110及び宛先装置114は、任意の種類の無線通信装置であってよく、固定式又は携帯型であってよい。本明細書で説明する例では、発信装置110は基地局であり、宛先装置114はハンドセットなどのユーザ機器(UE)装置である。ただし、装置110,114は、他の環境では異なるタイプの装置であってよい。例えば、両方の装置がUE装置であってよい。状況によっては、発信装置、信号転送装置、及び宛先装置はすべてUE装置である。
【0011】
図1の例では、発信装置110は、宛先装置114に下り無線通信サービスを提供する。したがって、宛先装置114は、直接、又は信号転送装置138を介して、発信装置110から下り信号(図示せず)を受信する。下り信号は、アンテナ124及び受信部130を介して宛先装置114で受信される。宛先装置114は、制御部128及び送信部126を更に備える。発信装置110は、アンテナ116及び送信部122を介して宛先装置114に下り信号を送信する。発信装置110は、制御部120及び受信部118を更に備える。
【0012】
スケジューラ132は、
図1に示す例では発信装置110に配置されている。ただし、システム100は、スケジューラ132が任意の他の適切な位置に配置されるように変更されてもよい。スケジューラは、発信装置110に直接接続されるか、又はバックホール又は他の通信リンクを介して接続された機器上で動作するアプリケーションであってよい。スケジューラ132の位置にかかわらず、システム100内の様々な通信リンクに関するチャネル品質情報(CQI)134は、システム100内の様々なエンティティによって使用される通信リソースをCQI134の使用によってスケジューリングするスケジューラ132に提供される。例えば
図1に示すように、スケジューラ132は、発信装置110と宛先装置114との間の通信リンクに関するCQIと、発信装置110と信号転送装置138との間の通信リンクに関するCQIと、信号転送装置138と宛先装置114との間の通信リンクに関するCQIとを利用する。スケジューラ132は、これら3つの通信リンクのうちの少なくとも1つについてのチャネル品質に基づいて、通信リソースをスケジューリングする。
【0013】
図1に示す例では、発信装置110は、受信データ信号136(例えば、下り信号)を信号転送装置138に送信し、信号転送装置138はアンテナ140及び受信部142を介して受信データ信号136を受信する。受信データ信号136は、第1のデータセットを含む。
【0014】
発信装置110はまた、少なくとも1つの受信制御信号137を信号転送装置138と宛先装置114との両方に送信する。場合によっては、少なくとも1つの受信制御信号137は、第1の制御情報セットと第2の制御情報セットとを含む1つの受信制御信号を含む。他の例では、少なくとも1つの受信制御信号137は、全体として第1の制御情報セットと第2の制御情報セットとを含む複数の受信制御信号を含む。例えば、第1の制御情報セットは第1の送信で送信されてもよく、かつ第2の制御情報セットは第2の送信で送信されてもよい。
【0015】
少なくとも1つの受信制御信号137を送信するのに用いられる信号/送信の数にかかわらず、少なくとも1つの受信制御信号137は第1の制御情報セット及び第2の制御情報セットを含む。第1の制御情報セットは、第1のデータセットに関連付けられており、信号転送装置138が第1のデータセットを処理すること(例えば、復調、復号など)に関する命令を含む。第2の制御情報セットは、同様に第1のデータセットに関連付けられており、宛先装置114が第1のデータセットを処理すること(例えば、復調、復号など)に関する命令を含む。このように、第1の制御情報セット及び第2の制御情報セットは、両方とも同じデータセットに関連付けられている。例において、第1の制御情報セットは、信号転送装置138において第1のデータセットを後処理することと、信号転送装置138において第1のデータセットを復号することと、信号転送装置138において第1のデータセットを後処理して、宛先装置114に送信される転送データを生成することとのうちの1つ以上に関する命令を含む。
【0016】
第1の制御情報セットは、キャリア周波数、リソース割り当て、変調/符号化率、多入力多出力(MIMO)方式の詳細、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)関連情報、及び発信元識別子及び/又は宛先識別子のうちの、1つ以上を含むことができる。信号転送装置138は、第1の制御情報セットから含まれる情報の任意のものを用いて、第1のデータセットを処理し、及び/又は宛先装置114に送信される転送データを生成することができる。同様に、第2の制御情報セットは、キャリア周波数、リソース割り当て、変調/符号化率、多入力多出力(MIMO)方式の詳細、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)関連情報、及び発信元識別子及び/又は宛先識別子を含む。宛先装置114は、第2の制御情報セットから含まれる情報の任意のものを用いて、第1のデータセットに基づいた、かつ信号転送装置138によって送信された転送データを処理することができる。
【0017】
例において、少なくとも1つの受信制御信号137は、1つ又は複数のビーム形成された下り信号として発信装置110によって送信される。このようなシナリオでは、発信装置110の送信部122は、第1の空間ベクトルを用いて第1の制御情報セットを送信し、かつ第2の空間ベクトルを用いて第2の制御情報セットを送信するように構成されている。より具体的には、例えば、第1の制御情報セットは空間ベクトルe1を用いて送信されてもよく、かつ第2の制御情報セットは空間ベクトルe2を用いて送信されてもよい。
【0018】
他の例において、少なくとも1つの受信制御信号137は、第1の制御情報セットと第2の制御情報セットとに対して異なる符号化率を用いて発信装置110により送信される。例えば、発信装置110は、第1の制御情報セットを第1の符号化率で符号化し、かつ第2の制御情報セットを第2の符号化率で符号化するように構成された符号器(図示せず)を有することができる。より具体的には、例えば、第1の制御情報セットは2/3の符号化率で符号化されてもよく、かつ第2の制御情報セットは1/3の符号化率で符号化されてもよい。
【0019】
さらなる例では、少なくとも1つの受信制御信号137は、第1の制御情報セットと第2の制御情報セットとに対して異なる変調方法を使用して発信装置110により送信される。例えば、発信装置110の送信部122は、第1の制御情報セットを第1の変調方法に従って変調し、かつ第2の制御情報セットを第2の変調方法に従って変調するように構成された変調器(図示せず)を有することができる。これに関して、任意の適切な変調方法を使用して、第1の制御情報セット及び第2の制御情報セットをそれぞれ変調することができる。
【0020】
信号転送装置138は、制御部144及び送信部146、ならびに他の電子機器、ハードウェア、及びコードを更に備える。信号転送装置138は、本明細書で説明する機能を実行する任意の固定式、移動式、又は携帯型の機器である。信号転送装置138を参照して説明されるブロックの種々の機能及び動作は、任意の数の装置、回路、又は素子において実施されてもよい。機能ブロックのうちの2つ以上は単一の装置に統合されてよく、任意の単一の装置において実行されるように説明される機能は、複数の装置にわたって実施されてよい。
【0021】
制御部144は、本明細書で説明される機能を実行し、かつ信号転送装置138の機能全体を促進する、ハードウエア、ソフトウエア、及び/又はファームウエアの任意の組み合わせを含む。適切な制御部144の一例は、メモリに接続されたマイクロプロセッサ又はプロセッサ装置上で動作するコードを含む。送信部146は、宛先装置114に無線信号を送信するように構成された電子装置を含む。状況によっては、送信部146は、複数の送信部を含むことができる。受信部142は、発信装置110から無線信号を受信するように構成された電子装置を含む。状況によっては、受信部142は、複数の受信部を含むことができる。受信部142及び送信部146は、それぞれ、アンテナ140を介して信号を受信及び送信する。アンテナ140は、別個の送信アンテナ及び受信アンテナを含むことができる。環境によっては、アンテナ140は、複数の送信アンテナ及び受信アンテナを含むことができる。
【0022】
図1の例の送信部146及び受信部142は、変調及び復調を含む高周波(RF)処理を実行する。したがって、受信部142は、低雑音増幅器(LNA)及びフィルタなどの構成要素を含むことができる。送信部146は、フィルタ及び増幅器を含むことができる。他の構成要素には、アイソレータ、整合回路、及びその他のRFコンポーネントが含まれてもよい。これらの構成要素は、他の構成要素と組み合わせて、又は協働して、信号転送機能を実行する。必要な構成要素は、利用される特定の信号転送方式に依存してもよい。以下により詳細に説明されるように、
図1に示す例では、受信データ信号136に含まれる第1のデータセットは、復調信号を復号することなく復調され、その結果のシンボルが、転送信号148の一部として変調及び送信される。しかし、他の例では、第1のデータセットに少なくとも部分的に基づく転送データを含んだ転送信号148を生成する前に、第1のデータセットを復号することもできる。
【0023】
送信部146は変調器(図示せず)を含み、受信部142は復調器(図示せず)を含む。変調器は、転送信号148の一部として送信される信号を変調し、複数の変調次数のうちの任意の1つを適用することができる。知られているように、変調次数は、デジタル変調に供される送信データを表すのに用いられる異なるシンボルの数を決定する。変調次数と、必要なエネルギーと、ビットエラーレート(BER)との間にはトレードオフが存在する。変調次数が増加するにつれて、同じBERを維持するためには、ビット当たりの平均エネルギーも増加させなければならない。復調器は、受信データ信号136及び少なくとも1つの受信制御信号137を、ともに複数の変調次数のうちの1つに従って復調する。ただし、宛先装置114への送信に対する変調次数は、スケジューラ132によって確立される。
【0024】
図1に示す例では、信号転送装置138は、固定された装置、又はシステム展開時に特定の位置に設置される装置であってよい。このような機器の例には、固定基地局又は固定トランシーバ局が含まれる。状況によっては、信号転送装置138は、特定の位置に一時的に設置される移動機器であってもよい。このような機器の例には、発電機、太陽光パネル、及び/又はバッテリなどの発電装置を含むことができる移動トランシーバ局が含まれる。大型及び大重量型のこのような装置は、トレーラーによって輸送されてもよい。
【0025】
さらに他の状況では、信号転送装置138は、任意の特定の位置に固定されない携帯型装置であってよい。したがって、信号転送装置138は、環境によっては、UE装置などの携帯型ユーザ装置であってもよい。実施態様によっては、信号転送装置138は、UE装置にサービスすることに加えて信号転送機能を実行する基地局、eNB、又はアクセスポイントであってよい。例えば、アンカーeNBに接続された自己バックホールeNBは、いくつかのUE装置に対しては、発信装置110(例えば、アンカーeNB)への無線バックホールを利用して他のUE装置に直接サービスすることに加えて信号転送機能を実行するように構成されてよい。
【0026】
信号転送装置138は、着信信号を転送するときに、以下で詳細に説明する信号転送方式のうちの1つ以上を適用することもできる。
図1に示す例では、信号転送装置138は、受信データ信号136に単一の信号転送方式を適用する。あるいは、信号転送装置138は、受信データ信号136又はその一部に対して1つ又は複数の信号転送方式を動的に適用することができる。例えば、信号転送装置138は、受信データ信号136の異なる部分に対して異なる信号転送方式を適用することができる。
【0027】
第1の制御情報セットはさらに、受信データ信号136を処理して転送信号148を生成するときに信号転送装置138によってどの信号転送方式が適用されるべきかに関する命令を含むことができる。例えば、信号転送方式は、増幅転送(AF)信号転送方式、復号転送(DF)信号転送方式、部分復号転送(PDF)信号転送方式、及び発信装置宛先装置間の直接信号転送方式のうちの1つ以上から選択することができる。
【0028】
信号転送装置138は、着信信号を転送するときに、少なくとも一種類の部分復号転送(PDF)信号転送方式を適用することが可能である。状況によっては、信号転送装置138は、一種類より多い信号転送方式を適用することができる。信号転送装置138は、例えば、増幅転送(AF)方式、復号転送(DF)方式、及びPDF方式のうちの少なくとも1つを適用することが可能である。本明細書で説明するように、信号転送方式は、着信信号に適用される処理のパラメータ、方法、及び/又はレベルに基づいて転送信号148を生成する。信号転送方式は、3つの基本グループに分類することができる。
【0029】
例えば、リピータ信号転送方式は、一般に、着信信号を受信して再送信する再送信方式を含む。最低でも、着信信号(例えば、受信データ信号136)は転送信号148として増幅及び再送信される。着信信号に何らかの処理が適用されるリピータ方式が存在する。例えば、着信信号は、フィルタリングされ、及び/又は周波数シフトされてもよい。しかし、一般的に、リピータ信号転送方式において着信信号は復調も復号もされない。リピータ方式は、増幅転送(AF)方式と呼ばれることがある。
【0030】
リレー信号転送方式は、転送信号を生成するための着信信号の少なくともいくらかの復号化を含み、その復号化レベルは、着信信号の最小限の復号化から完全な復号化まで及んでもよい。完全な復号には、着信信号を完全に復号してペイロードを抽出し、次いで復号されたデータを適用して新たな転送信号を生成することが含まれる。完全な復号方式は、復号転送(DF)方式と呼ばれることがある。いくつかの提案された技術は、信号からデータを抽出するための完全な復号を行わずに、転送信号を送信するための着信信号の部分的な復号化を含む。これらの方式は、部分復号転送(PDF)方式と呼ばれることがある。
【0031】
AF信号転送方式は、ベースバンド信号処理が行われないため、生じる処理遅延は比較的少ない。大抵の場合、この方式は、信号増幅時にノイズが増加するため、比較的に性能が劣る。一方、AF方式は、比較的低いレベルの処理であるためにレイテンシを最小にする。しかしながら、DF信号転送方式によって転送される信号は、信号を復号するために実行されるベースバンド処理に起因してノイズが大きく低下し、その結果、ノイズキャンセルが生じる。低ノイズ化の恩恵は、処理遅延の増加という代償を伴い、レイテンシが比較的高くなる結果となる。多くの場合、PDF信号転送方式は、DF方式及びAF方式と比較して、信号品質とレイテンシとの適切なトレードオフを有すると考えられている。
図1に示す例では、受信データ信号136に含まれる第1のデータセットは、復調信号を復号することなく復調され、その結果のシンボルは、転送信号148の一部として変調及び送信される。一方、第1のデータセットは完全には復号されないため、処理遅延はDF方式と比較して大幅に低減される。しかし、他の例では、第1のデータセットに少なくとも部分的に基づく転送データを含んだ転送信号148を生成する前に、第1のデータセットを復号することもできる。
【0032】
例示的な実施形態における信号転送装置138によって適用されるPDF方式は、再送信の前に、より少ない受信シンボルを蓄積して低次変調シンボルを形成することを含む。このシナリオは、信号転送装置138と宛先装置114との間の典型的なリンクが、発信装置110と信号転送装置138との間のリンクと比較して比較的低い信号対雑音比(SNR)を有するために生じる。状況によっては、例えば発信装置110と信号転送装置138との間の発信装置転送装置間(OD−SFD)チャネルは、通常、両方の装置が固定されているために静的であるが、信号転送装置138と宛先装置114との間の信号転送装置宛先装置間(SFD−DD)チャネルは、宛先装置114が移動可能であるため、一般に動的である。
【0033】
どの信号転送方式が受信データ信号136に適用されるかにかかわらず、発信装置110は少なくとも1つの受信制御信号137を信号転送装置138と宛先装置114との両方に送信する。少なくとも1つの受信制御信号137は、第1の制御情報セットと第2の制御情報セットとの両方を含むデュアル制御チャネルを介して送信され、少なくとも1つの受信制御信号137が、レイヤード変調、周波数分割多重、符号分割多重、時分割多重、又は空間分割多重アクセス(SDMA)などの様々なタイプのデータ処理システムに適用することができる。SDMAが使用される場合、第1のビーム形成下り信号は信号転送装置138に向けられ、第2のビーム形成下り信号は宛先装置114に向けられる。
【0034】
デュアル制御チャネルを介した少なくとも1つの受信制御信号137の送信は、(1)発信装置110の制御プレーン配信が、信号転送装置138と宛先装置114との両方に容易に到達することができ(例えば、より低い変調次数に起因する)、(2)発信装置110のデータプレーン配信は、宛先装置114に直接到達することができないシナリオにおいて有用である。さらに、物理下り制御チャネル(PDCCH)が第1の制御情報セット及び第2の制御情報セットの配信に使用される場合、信号転送装置138への制御情報の送信に関連付けられた探索空間は、宛先装置114への制御情報の送信に関連付けられた探索空間とは異なることがある。。この場合、2つの異なるPDCCH探索空間は、両方とも物理下り共有チャネル(PDSCH)内の同じデータリソースにマッピングされる。
【0035】
上述したように、信号転送装置138は、第1の制御情報セットに従って、受信データ信号136に含まれる第1のデータセットを処理する。信号転送装置138は、転送信号148を生成するように構成された制御部144を有する。転送信号148を生成する際、信号転送装置138は、転送データを生成するために、第1の制御情報セットに含まれた任意の前処理命令を第1のデータセットに適用することができる。転送信号148は、第1のデータセットに少なくとも部分的に基づいて、転送データを含む。
【0036】
信号転送装置138は、転送信号148を送信部146及びアンテナ140を介して宛先装置114に送信する。このようにして、信号転送装置138は、第1のデータセットを宛先装置114に送信する。本明細書で説明する例では、転送信号148は、SFD−DDチャネルの単一の周波数帯域内で送信される。受信された受信データ信号136は、単一の周波数帯域をも含む発信装置信号転送装置間チャネル(OD−SFDチャネル)内で送信される。ただし、OD−SFDチャネル及びSFD−DDチャネルには、周波数帯域と周波数サブ帯域との任意の組合せを用いることができる。
【0037】
図1に示す例では、宛先装置114は、宛先装置114における少なくとも1つの受信制御信号137の受信と宛先装置114における転送信号148の受信との間の予想される時間遅延を認識する。例えば、予想される時間遅延は、発信装置110と信号転送装置138との間の伝搬遅延と、信号転送装置138における処理遅延と、信号転送装置138と宛先装置114との間の伝搬遅延との和に等しくなってもよい。あるいは、予想される時間遅延は固定されてもよい(例えば、サブフレームの倍数とすることができる)。例えば、宛先装置114が転送信号148の受信前に少なくとも1つの受信制御信号137の1サブフレームを受信することがわかっている場合、予想される時間遅延は1サブフレームであってもよい。予期される時間遅延を決定するのに使用される方法にかかわらず、予想される時間遅延が、宛先装置114に供給されてよく、又は宛先装置114の制御部128によって決定されてよい。
【0038】
さらに他の例では、関連付けシーケンス番号又はnビットの下り制御情報(DCI)インジケータを用いて、特定の少なくとも1つの受信制御信号137を特定の転送信号148に関連付けることができる。より具体的には、発信装置110は、特定の受信制御信号137に割り当てられた関連付けシーケンス番号又はnビットDCIインジケータを、信号転送装置138及び宛先装置114に供給する。信号転送装置138は、転送信号148に、割り当てられた関連付けシーケンス番号又はnビットDCIインジケータを含む。したがって、宛先装置114は、受信制御信号137及び転送信号148に同じ関連付けシーケンス番号又はnビットDCIインジケータが割り当てられている場合、特定の受信制御信号137及び特定の転送信号148が互いに対応すると判定することができる。
【0039】
例において、宛先装置114の制御部128は、転送信号148の受信に応答して、転送信号148を測定して信号転送装置138と宛先装置114との間の信号転送装置宛先装置間(SFD−DD)チャネルに関連付けられたチャネル測定値を取得するように構成されている。転送信号148の測定後に、宛先装置114の送信部126は、SFD−DDチャネル測定値を発信装置110に送信する。SFD−DDチャネル測定値は、発信装置110に直接送信されてもよい。あるいは、SFD−DDチャネル測定値を、最初に信号転送装置138に送信することができ、次いで信号転送装置138がSFD−DDチャネル測定値を発信装置110に送信することができる。
【0040】
例において、宛先装置114は、フィードバック信号の一部として信号転送装置138を介して直接的又は間接的に発信装置110にSFD−DDチャネル測定値を送信することもできる。あるいは、SFD−DDチャネル測定値をフィードバック信号とは別個に送信することができる。例えば、フィードバック信号は、宛先装置114によって受信された1つ又は複数の下り信号に関連付けられた下りチャネル測定値を含む下りチャネルフィードバックレポートを含むことができる。例えば、下りチャネルフィードバックレポートは、発信装置110から受信した下り信号の下りチャネル測定値、及び/又は発信装置110以外の1つ又は複数の基地局から受信した1つ又は複数の下り信号の下りチャネル測定値を含むことができる。下りチャネルフィードバックレポートはさらに、下りチャネル測定が行われたリソース(例えば、タイムスロット、サブキャリア、参照信号など)の位置を含むことができる。
【0041】
下りチャネルフィードバックレポートは、下りチャネル測定が行われたキャリア、下り信号を送信した発信装置110に関連付けられたセル識別子、及び/又はビーム形成された下り信号に関連付けられた空間ベクトルを識別することもできる。例において、下りチャネルフィードバックレポートは、下り信号を送信した発信装置110以外の基地局に関連付けられたセル識別子を識別することができる。このシナリオは、下り信号が発信装置110以外の基地局から受信されるが、宛先装置114が発信装置110に配置されたスケジューラ132に下りチャネルフィードバックレポートを提出する必要がある場合に発生してもよい。
【0042】
さらに別のシナリオでは、宛先装置114は、第1の装置(例えば、発信装置110)からの下り信号を下り信号の主キャリアとして受信することができ、また第2の装置(例えば、信号転送装置138、又は発信装置110以外の基地局)からの下り信号を下り信号の副キャリアとして受信することができる。このようなシナリオでは、下りチャネルフィードバックレポートは、(1)下りチャネル測定が行われた主キャリア及び/又は副キャリアを特定し、(2)主キャリアを送信した第1の装置に関連付けられたセル識別子及び/又は副キャリアを送信した第2の装置に関連付けられたセル識別子及び/又は(3)1つ又は複数のビーム形成された下り信号のそれぞれに個別に関連付けられた空間ベクトルを含むことができる。
【0043】
あるいは、フィードバック信号は、肯定の確認応答(ACK)又は否定応答(NACK)のいずれかからなってもよい確認応答を含むことができる。ACKメッセージは、下り信号が宛先装置114によって正常に受信されたことを示す。NACKメッセージは、下り信号が宛先装置114によって正常に受信されなかったことを示す。状況によっては、ACK/NACKメッセージは、信号転送装置138によって発信装置110に転送されるメッセージである。他の状況では、ACK/NACKメッセージは、信号転送装置138用のメッセージである。さらに他の状況では、ACKメッセージは、信号転送装置138と発信装置110との両方への通知であってもよい。フィードバック信号が確認応答レスポンスを含むシナリオでは、フィードバック信号はさらに、下り信号が受信されたキャリア、下り信号を送信した発信装置110に関連付けられたセル識別子、下り信号を送信した発信装置110以外の基地局に関連付けられたセル識別子、及び/又はビーム形成された下り信号に関連付けられた空間ベクトルを特定することができる。
【0044】
フィードバック信号の内容にかかわらず、SFD−DDチャネル測定値は、直接、又は信号転送装置138を介して、発信装置110へのフィードバック信号とともに、又はフィードバック信号から分離して送信されてもよい。発信装置110の制御部120は、SFD−DDチャネル測定値の受信に応答して、SFD−DDチャネル測定値に少なくとも部分的に基づき、受信データ信号136及び/又は少なくとも1つの受信制御信号137を変更するように構成されている。例えば、少なくとも1つの受信制御信号137は、第1の制御情報セットか、第2の制御情報セットか、又はそれら両方を変更することによって変更されてもよい。同様に、発信装置110の制御部120は、SFD−DDチャネル測定値に少なくとも部分的に基づいて、上述の信号転送方式のうちの1つから信号転送方式を選択するように更に構成されてもよい。
【0045】
図2は、
図1の無線通信システムを利用して信号転送装置及び宛先装置に制御情報を供給する方法200の一例のフローチャートである。より具体的には、
図2の方法は、(1)信号転送装置を介して宛先装置に第1のデータセットを供給し、(2)信号転送装置及び宛先装置に、両方とも第1のデータセットに関連付けられた第1の制御情報セット及び第2の制御情報セットを供給する方法を説明している。この方法は202において開始し、信号転送装置138において少なくとも1つの受信データ信号136を受信する。少なくとも1つの受信データ信号136は、第1のデータセットを含む。
【0046】
ステップ204では、信号転送装置138及び宛先装置114において少なくとも1つの受信制御信号137を受信する。上述したように、少なくとも1つの受信制御信号137は、ただ1つの受信制御信号、又は複数の受信制御信号を含むことができる。少なくとも1つの受信制御信号137は、第1の制御情報セット及び第2の制御情報セットを含み、それらの両方が第1のデータセットに関連付けられている。第1の制御情報セットは、第1のデータセットに関連付けられており、かつ信号転送装置138が第1のデータセットを処理することに関する命令を含む。第1の制御情報セットは、第1のデータセットを後処理することと、第1のデータセットを復号することと、第1のデータセットを前処理して転送データを生成することとのうちの少なくとも1つに関する命令を含むこともできる。第2の制御情報セットは、第1のデータセットに関連付けられており、かつ宛先装置114が第1のデータセットを処理することに関する命令を含む。
【0047】
信号転送装置138は、受信データ信号136を受信すると、第1の制御情報セットに従って転送信号148を生成する。転送信号148は、第1のデータセットに少なくとも部分的に基づく転送データを含む。ステップ206では、転送信号148を宛先装置114に送信する。宛先装置114は、転送信号148を受信すると、少なくとも1つの受信制御信号137の一部として宛先装置114に事前に送信された第2の制御情報セットに従って、転送信号148を処理する。
【0048】
ステップ208において、宛先装置114に予想される時間遅延を供給する。予想される時間遅延は、宛先装置114における少なくとも1つの受信制御信号137の受信と、宛先装置114における転送信号148の受信との間の遅延である。予想される時間遅延は、宛先装置114に供給され、又は宛先装置114によって決定されてもよい。さらに、予想される時間遅延は、固定されてもよい、又は発信装置110と信号転送装置138との間の伝搬遅延と、信号転送装置138における処理遅延と、信号転送装置138と宛先装置114との間の伝搬遅延との予想/測定される和に基づいて決定されてもよい。
【0049】
図2には明示的に示されていないが、方法200は、宛先装置114が転送信号148を測定して信号転送装置宛先装置間(SFD−DD)チャネルのチャネル測定値を取得することを含むこともできる。続いて、宛先装置114は、SFD−DDチャネル測定値を、信号転送装置138を介して直接的又は間接的に、受信データ信号136を送信した発信装置110に送信する。上述したように、宛先装置114は、フィードバック/確認応答信号の一部として発信装置110にSFD−DDチャネル測定値を送信することもできる。
【0050】
他の例では、方法200はさらに、発信装置110が、宛先装置114から受信したSFD−DDチャネル測定値に基づいて、受信データ信号136及び/又は少なくとも1つの受信制御信号137を変更することを含むことができる。発信装置110はまた、上述したように、SFD−DDチャネル測定値に少なくとも部分的に基づいて信号転送方式を選択することもできる。
【0051】
当業者であれば、これらの教示に照らして、本発明の他の実施形態及び変更形態を容易に実施し得ることは明白である。上記の説明は、例示的なものであり、限定的なものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみ限定されるべきものであり、特許請求の範囲には、上述の詳細及び添付の図面を組み合わせて考慮した場合の、あらゆる実施形態及び変更形態が含まれる。したがって、本発明の範囲は、上記の説明を参照して判定されるのではなく、均等物の全範囲とともに、添付される請求の範囲を参照して判定されるべきである。