特許第6788041号(P6788041)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6788041電気音響変換器、電気音響変換器の位置合わせ要素、および電気音響変換器の組み立て方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6788041
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】電気音響変換器、電気音響変換器の位置合わせ要素、および電気音響変換器の組み立て方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 9/02 20060101AFI20201109BHJP
   H04R 31/00 20060101ALI20201109BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   H04R9/02 101B
   H04R31/00 B
   H04R9/02 101Z
   H04R1/10 104Z
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-565711(P2018-565711)
(86)(22)【出願日】2017年5月31日
(65)【公表番号】特表2019-518389(P2019-518389A)
(43)【公表日】2019年6月27日
(86)【国際出願番号】US2017035161
(87)【国際公開番号】WO2017218184
(87)【国際公開日】20171221
【審査請求日】2018年12月14日
(31)【優先権主張番号】15/182,014
(32)【優先日】2016年6月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・エー・ペア
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ダブリュー・ビヴァリー
【審査官】 大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−224892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/10
H04R 9/02
H04R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸に沿って延在するスリーブと、
前記スリーブの第1の端部で前記スリーブに結合された振動板と、
前記スリーブ内のサブ組立体と、
前記振動板から実質的に離れる方向において、前記サブ組立体から延在する位置合わせ要素と、
を備え
前記サブ組立体が、磁石及び背面板を備え、前記磁石が、前記振動板と前記背面板との間に位置付けられ、前記位置合わせ要素が、前記振動板から実質的に離れる方向において、前記背面板から延在しており、
前記背面板が、前記背面板の周辺部の周囲に複数の通気孔を含む、電気音響変換器。
【請求項2】
前記位置合わせ要素が、前記背面板の幅未満である幅を有し、前記位置合わせ要素が、前記背面板の中心領域から延在する、請求項に記載の電気音響変換器。
【請求項3】
前記位置合わせ要素が、前記第1の端部の反対側の前記スリーブの第2の端部の方向において、前記長手方向軸に沿って、前記背面板から延在する、請求項に記載の電気音響変換器。
【請求項4】
前記位置合わせ要素が、前記電気音響変換器の組み立て中に、前記サブ組立体を前記スリーブ内に位置合わせするための外部位置合わせ装置と連通するように構築及び配置されている、請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項5】
前記スリーブの前記第2の端部に回路基板を更に備え、前記回路基板が、開口部を含み、前記位置合わせ要素が、前記回路基板内の前記開口部を通って延在し、前記回路基板を前記スリーブの表面に対して位置合わせする、請求項に記載の電気音響変換器。
【請求項6】
前記回路基板と前記背面板との間に空洞部を更に備え、前記位置合わせ要素が、前記長手方向軸に沿って、前記背面板から、前記空洞部を通って、前記回路基板内の前記開口部まで延在している、請求項に記載の電気音響変換器。
【請求項7】
前記背面板の周辺部と前記スリーブの内壁との間の間隙であって、その間の距離が、前記背面板の前記周辺部の周囲において、前記背面板の前記周辺部及び前記スリーブの前記内壁から一定である、間隙と、
前記背面板の前記周辺部を囲み、前記背面板を前記スリーブに固定する、前記間隙内の接着剤と、
を更に備える、請求項1に記載の電気音響変換器。
【請求項8】
前記接着剤が、硬質の、速硬化接着剤である、請求項に記載の電気音響変換器。
【請求項9】
電気音響変換器の位置合わせ要素であって、
前記電気音響変換器に結合するために、構築及び配置された第1の部分であって、前記第1の部分が、第1の延在方向に延在する実質的に平坦な表面を有し、前記第1の部分が、第1の幅を有する、第1の部分と、
前記第1の延在方向に垂直な第2の延在方向に、前記第1の部分から延在する長さを有する第2の部分であって、前記第2の部分が、前記第1の部分の前記幅未満である幅を有する、第2の部分と、
を備え
前記第1の部分が、前記電気音響変換器のスリーブに位置決めするために構築及び配置された背面板を含み、
前記背面板が、前記背面板の周辺部の周囲に複数の通気孔を含む、電気音響変換器の位置合わせ要素。
【請求項10】
前記背面板が、前記電気音響変換器のスリーブに直接当接し、かつ面一となる、請求項に記載の位置合わせ要素。
【請求項11】
前記背面板の周辺部と前記スリーブの内壁との間の間隙であって、その間の距離が、前記背面板の前記周辺部の周囲において、前記背面板の前記周辺部及び前記スリーブの前記内壁から一定である、間隙と、
前記背面板の前記周辺部を囲み、前記背面板を前記スリーブに固定する、前記間隙内の接着剤と、を更に備える、請求項に記載の位置合わせ要素。
【請求項12】
前記位置合わせ要素が、前記電気音響変換器の組み立て中に、前記第1の部分に結合されるモータ組立体を前記スリーブ内に位置合わせするための外部位置合わせ装置と連通するように構築及び配置されている、請求項10に記載の位置合わせ要素。
【請求項13】
前記位置合わせ要素が、変換器スリーブの端部で回路基板内の開口部を通って延在し、かつ前記回路基板を前記変換器スリーブの表面に対して位置合わせするように構築及び配置されている、請求項に記載の位置合わせ要素。
【請求項14】
電気音響変換器を組み立てるための方法であって、
振動板をスリーブに結合するステップと、
前記振動板にボイスコイルを取り付けるステップと、
前記振動板と前記ボイスコイルとを連通させるためのサブ組立体を提供するステップであって、前記サブ組立体が、磁石、背面板、及び前記背面板から延在する位置合わせ要素を含む、サブ組立体を提供するステップと、
前記位置合わせ要素を、前記スリーブ内の前記サブ組立体を前記ボイスコイル及び前記振動板に対して位置合わせするための位置合わせ装置に結合するステップと、を含む、方法。
【請求項15】
前記背面板又は前記スリーブの内部のうちの少なくとも1つに接着剤を塗布するステップと、前記接着剤の硬化前に、前記スリーブ内の前記サブ組立体を位置合わせステップことと、を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
プリント回路基板を前記スリーブに結合するステップを更に含み、前記位置合わせ要素が、前記プリント回路基板内の開口部を通って延在する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記位置合わせ要素が、前記振動板から離れる方向において、背面板から延在し、前記方法が、前記背面板を前記サブ組立体に結合するステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年6月14日出願の米国特許出願第15/182,014号、名称「Assembly Aid for Miniature Transducer」の優先権及び利益を主張し、その全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
本説明は、概して、ノイズキャンセリングヘッドホン用変換器に関し、より具体的には、電気音響変換器を組み立てるための精密位置合わせ技術及び補助具に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様によると、電気音響変換器は、長手方向軸に沿って延在するスリーブと、スリーブの第1の端部でスリーブに結合された振動板と、スリーブ内のサブ組立体と、振動板から実質的に離れる方向において、サブ組立体から延在する位置合わせ要素と、を備える。
【0004】
態様は、下記の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。
【0005】
サブ組立体は、磁石及び背面板を備えてもよく、磁石は、振動板と背面板との間に位置付けられている。位置合わせ要素は、振動板から実質的に離れる方向において、背面板から延在してもよい。
【0006】
位置合わせ要素は、背面板の幅未満である幅を有してもよい。位置合わせ要素は、背面板の中心領域から延在してもよい。
【0007】
位置合わせ要素は、第1の端部の反対側のスリーブの第2の端部の方向において、長手方向軸に沿って、背面板から延在してもよい。
【0008】
位置合わせ要素は、電気音響変換器の組み立て中に、サブ組立体をスリーブ内に位置合わせするための外部位置合わせ装置と連通するように構築及び配置されてもよい。
【0009】
電気音響変換器は、スリーブの第2の端部で、回路基板を更に備えてもよい。回路基板は、開口部を含み得る。位置合わせ要素は、回路基板内の開口部を通って延在してもよく、回路基板をスリーブの表面に対して位置合わせする。
【0010】
電気音響変換器は、回路基板と背面板との間に空洞部を更に備えてもよい。位置合わせ要素は、背面板から空洞部を通って回路基板内の開口部に、長手方向軸に沿って延在してもよい。
【0011】
電気音響変換器は、背面板の周辺部とスリーブの内壁との間の間隙であって、その間の距離が、背面板の周辺部の周囲において、背面板の周辺部及びスリーブの内壁から一定である、間隙と、背面板の周辺部を囲み、背面板をスリーブに固定する、間隙内の接着剤と、を更に備えてもよい。
【0012】
接着剤は、硬質の速硬化接着剤であってもよい。
【0013】
別の態様によると、電気音響変換器の位置合わせ要素は、電気音響変換器に結合するために構築及び配置された第1の部分を備え、第1の部分が第1の延在方向に延在する実質的に平坦な表面を有し、第1の部分が第1の幅を有し、及び第2の部分が第1の延在方向に垂直な第2の延在方向に、第1の部分から延在する長さを有し、第2の部分が第1の部分の幅未満である幅を有する。
【0014】
態様は、下記の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。
【0015】
第1の部分は、電気音響変換器のスリーブに位置決めするために構築及び配置された背面板を含んでもよい。
【0016】
背面板は、背面板の周辺部の周囲に複数の通気孔を含んでもよい。
【0017】
背面板は、電気音響変換器のスリーブに直接当接し得、かつ面一となってもよい。
【0018】
位置合わせ要素は、背面板の周辺部とスリーブの内壁との間の間隙であって、その間の距離が、背面板の周辺部の周囲において、背面板の周辺部及びスリーブの内壁から一定である、間隙と、背面板の周辺部を囲み、背面板をスリーブに固定する、間隙内の接着剤と、を更に備えてもよい。
【0019】
位置合わせ要素は、電気音響変換器の組み立て中に、サブアセンブリをスリーブ内に位置合わせするための外部位置合わせ装置と連通するように構築及び配置されてもよい。
【0020】
位置合わせ要素は、変換器スリーブの端部で回路基板内の開口部を通って延在し、かつ回路基板を変換器スリーブの表面に対して位置合わせするように構築及び配置されてもよい。
【0021】
別の態様によると、電気音響変換器を組み立てるための方法は、振動板をスリーブに結合するステップと、振動板にボイスコイルを取り付けるステップと、振動板とボイスコイルとを連通させるためのサブ組立体を提供するステップであって、サブ組立体が、磁石、背面板、及び背面板から延在する位置合わせ要素を含む、提供するステップと、位置合わせ要素を、スリーブ内のサブ組立体をボイスコイル及び振動板に対して位置合わせするための位置合わせ装置に結合するステップと、を含む。
【0022】
態様は、下記の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。
【0023】
本方法は、背面板又はスリーブの内部のうちの少なくとも1つに接着剤を塗布するステップと、接着剤の硬化前に、スリーブ内のサブ組立体を位置合わせするステップと、を更に含んでもよい。
【0024】
本方法は、プリント回路基板をスリーブに結合するステップを更に含んでもよく、位置合わせ要素が、プリント回路基板内の開口部を通って延在する。
【0025】
位置合わせ要素は、振動板から離れる方向において、背面板から延在してもよい。本方法は、背面板をサブ組立体に結合するステップを更に含んでもよい。
【0026】
本発明の概念の実施例の上記及び更なる利点は、添付の図面と共に下記の記述を参照することによって一層よく理解できるであろう。様々な図において同一の数字は同一の構造的要素及び機能を示す。図面は必ずしも縮尺どおりではなく、むしろ、実施形態の機能及び原理を説明することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】いくつかの実施例による、電気音響変換器の分解斜視図である。
図2図1の電気音響変換器の背面板及び位置合わせ要素の斜視図である。
図3】断面に沿った、図1の電気音響変換器の別の分解斜視図である。
図4】断面に沿った、図1〜3の電気音響変換器の組立斜視図である。
図5図4の電気音響変換器の組立斜視図である。
図6】いくつかの実施例による、別個のプリント回路基板(PCB)を含む、図1〜5の電気音響変換器の斜視図である。
図7】変換器に結合されたプリント回路基板(PCB)を含む、図6の電気音響変換器の斜視図である。
図8】断面に沿った、図6及び7の電気音響変換器の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
現代のインイヤ型ヘッドホン、又はイヤホンは、周囲の空気を押し、ユーザへの出力である、音響を作り出す振動板に取り付けられた、電気音響ドライバ又は変換器と称される、マイクロスピーカを典型的に含む。それを行う際、マイクロスピーカは、装置が使用される全周波数範囲にわたって、十分な音圧を生成しなければならない。
【0029】
インイヤ型ヘッドホンの電気音響変換器は、小型変換器の1つの個別構成部品の特徴を、隣接する別の構成部品の特徴と位置合わせすることによって典型的に組み立てられる。一実施例は、ボイスコイル、ボビン、サラウンド、及び/又は変換器の関連する要素に関して、磁石サブ組立体の変換器ハウジング内部への位置合わせである。多くの場合、シム等の内部組立ゲージが、構成部品を互いに位置合わせするために使用され得る。
【0030】
小型変換器に関して、例えば、それらは、インイヤ型ヘッドホンにおける能動ノイズ低減(ANR)において、個々の構成部品のサイズが、確実に一貫した嵌合状態を与えるためには、構成部品の特徴に依存するには小さすぎるということを見出した。位置合わせゲージは、小型変換器の内部の構成部品を位置合わせするために必要な小型サイズ要件に起因して、それらが壊れやすいため、不十分である。換言すれば、位置合わせゲージは、例えば、アクセスの不足に起因して、小型変換器ハウジング内のサブ組立体構成部品の正確な位置合わせを実行するための変換器ハウジング内の挿入が、制限され得るか、又は別様に、防止され得る。
【0031】
いくつかの実施例によれば、位置合わせ要素又は「ナブ」と称される、組立補助具が、変換器構造体の背面板から延在し、そのため背面板が、位置合わせ機器の大きいピースにより小型変換器のハウジング又はスリーブ内に固定、位置合わせ、較正、調整、又は別様に移動され得、変換器内への挿入のために位置合わせデバイスのサイズを低減させる必要性、及び上述された欠点となりやすくする傾向を無くす。「ブラインド」様式における小型変換器内のハウジング内へのサブ組立体の挿入は、位置合わせ要素の存在を必要とする。小型変換器に外部で位置合わせを実行するために、このようにマイクロサイズの構成部品特性から機器のマイクロサイズのピースに位置合わせの精度を移行することは、高性能の小型変換器に必要な高精度の位置合わせが必要とされる。
【0032】
別の利益は、変換器の組立が改善され、磁石組立体内の磁石が、組み立て前に事前磁化されることである。磁石上の大きい横力に起因して、硬質の、外部位置合わせ固定装置が、変換器スリーブに対する磁石組立体の正確な位置合わせを確実とするために重要である。
【0033】
図1を参照すると、電気音響変換器10は、スリーブ22と、振動板24と、サブ組立体30と、位置合わせ要素38と、を備える。スリーブ22は、長手方向軸(A)に沿って延在する。いくつかの例において、スリーブ22は、円筒状の形状又は同様のものを有するが、これに限定されるものではない。スリーブ22は、1つ以上の開口部45を含み得、それを通ってボイスコイル引出線(図示せず)が延在し得る。
【0034】
スリーブ22は、振動板24がその周囲に位置決めされる第1の端部41、及びサブ組立体30が挿入される第2の端部42を含む。振動板24は、ボンド、接着剤、又は他の周知の取り付け技術によってスリーブ22の第1の端部41に結合することができる。図示されない、他の実施例において、サラウンドと称されることもあるサスペンション要素は、スリーブ22の第1の端部41の周辺部で振動板24の間に配置されてもよい。振動板24は、実質的に平坦な形状を有して示されるが、それに限定されるものではない。例えば、振動板は、振動板24に望ましい音響を生成させるために、ドーム形状であってもよく、又は他の形状であってもよい。サラウンド及び振動板24は、単一の構成部品として、又は別個の構成部品として構築され得、スリーブ22内に位置決めされたボイスコイル35に印加される電流に応答して、振動板24が往復運動の様式で移動することを可能にする。他の実施例において、振動板24は、例えば、振動板24の中央領域が周辺領域よりもより剛性を有する等、異なる剛性又は同様のものを有してもよい。
【0035】
図4に示すように、モータ組立体40の磁石がボイスコイル35内に位置決めされるようないくつかの実施例において、スリーブ22の外径は、約8mm未満である。いくつかの実施例において、スリーブ22は、約4.5mm未満である外径を有する。他の実施例において、スリーブ22は、約3.0mm〜4.5mmの外径を有する。他の実施例において、スリーブ22は、約3.3mm〜4.2mmの外径を有する。他の実施例において、スリーブ22は、約3.6mm〜3.9mmの外径を有する。いくつかの実施例において、磁石は、約1.5mm〜4.5mmの径を有する。他の実施例において、磁石は、約2.0mm〜4.0mmの径を有する。他の実施例において、磁石は、約2.5mm〜3.5mmの径を有する。いくつかの実施例において、ドライバの放射面積の全断面積に対する比は、約0.7である。いくつかの実施例において、ドライバの放射面積の全断面積に対する比は、0.57〜0.7である。いくつかの実施例において、ドライバの放射面積の全断面積に対する比は、0.6〜0.67である。いくつかの実施例において、ドライバの放射面積の全断面積に対する比は、0.62〜0.65である。
【0036】
図4に示されるように、サブ組立体30の背面板20は、ボンド、接着剤、又は他の周知の取り付け技術、例えば、背面板20の周面及びスリーブ22の内部表面との間に接着剤を塗布することによって、スリーブ22の第2の端部42に結合することができる。背面板20は、背面板20の周辺部の周囲に形成された複数の通気孔21を含んでもよい。通気孔21と空洞部39との組み合わせが、変換器10の周波数応答に寄与し、又は周波数応答を具現化し得る。サブ組立体30は、背面板20及び/又はスリーブ22の内部のうちの少なくとも1つに塗布された接着剤が硬化する前に、接着剤が硬化するまで、例えば、位置合わせ要素38に取り外し可能に取り付けられた外部位置合わせデバイス(図示せず)によって、スリーブ22内に位置合わせされ得る。
【0037】
外部位置合わせデバイスの実施例は、実質的に共線的な主軸台及び心押台を有し、共線軸に沿って軸方向運動を可能にし、許容運動のみが共線の軸に沿っているように、共線の軸の周囲にセンタリングされた位置において、スリーブ及びハブの両方を固定するための設備を更に有する、位置合わせ固定具を含み得る。
【0038】
いくつかの実施例において、背面板20は、スリーブ22の内壁に直接当接し得、かつ面一となってもよい。他の実施例において、間隙が、背面板20の周辺部とスリーブ22の内壁との間に存在し得る。ここで、間隙は、接着剤により充填される。
【0039】
位置合わせ要素38と連通するとき、位置合わせデバイスは、背面板20の最も外側の縁、すなわち360度は、スリーブ22の内壁から一定の距離、すなわち等距離であるように、背面板20に位置合わせするように使用することができる。接着剤は、所定のかつ許容される公差内の所望の位置合わせが実現された後、硬化され得る。接着剤は、好ましくは、硬質の合理的な速硬化接着剤を含む。したがって、スリーブ22の内壁と背面板20の表面との間の接着剤の量は、背面板20の周辺部の周囲において実質的に一定である。スリーブ22は、例えば、ボビン33及びボイスコイル35を含む図3及び図4に示されるように、振動板24及び/又はスリーブ22内に位置決めされる他のドライバ要素から所定の固定距離及び配向でサブ組立体30を位置決めするように構築かつ配置される。
【0040】
図3及び図4の実施例内に示されるように、サブ組立体30は、一体ユニットを形成するために共に結合され得る、モータ組立体40、背面板20、及び位置合わせ要素38を備えてもよい。
【0041】
モータ組立体40は、振動板24と背面板20との間に位置決めするために構築かつ配置される。モータ組立体40は、1つ以上の永久磁石を備え、所望のスピーカ出力のための所定の磁界を提供するように構成される。
【0042】
背面板20は、延在方向、又はスリーブ22の長手方向軸(A)に実質的に垂直に位置合わせされる延在方向において、延在している実質的に平坦な表面を有する。位置合わせ要素38は、振動板24から実質的に離れる方向において、背面板20から延在する。位置合わせ要素38及び背面板20は、離れて形成されてもよく、かつ、例えば、ボンド、接着剤、ねじ付きねじ、又は同様のものにより、互いに結合されてもよい。代替的に、位置合わせ要素38及び背面板20は、例えば、共通の金属素材、射出成形型、などの形態で、一体化されてもよい。他の実施例において、背面板20及び位置合わせ要素38は、モータ組立体40と一体型である。例えば、背面板20は、振動板24に向かって、位置合わせ要素38の反対側の背面板20の側面から延在する磁極片(図示せず)を含むことができ、そのためボイスコイル35が磁極片を中心に位置決めされる。
【0043】
いくつかの実施例において、位置合わせ要素38は、位置合わせ要素38がスリーブ22の壁と実質的に平行である、及び/又は背面板20の延在方向がスリーブ22の延在方向(A)に垂直であるように、スリーブ22と同じ延在方向、又は長手方向軸(A)に沿って延在する。位置合わせ要素38は、電気音響変換器10の組立中に、サブ組立体30をスリーブ22内に位置合わせするために、位置合わせ装置と連通するように構築及び配置されてもよい。より具体的には、位置合わせ要素38は、サブ組立体をボイスコイル35及び振動板24に対してスリーブ内に位置決めするための、位置決め装置と取り外し可能に結合され、例えば、必要とされる深さ、角度、同軸度などで、サブ組立体30をスリーブ22の内部に位置決めし、モータ組立体40がスリーブ22内のボイスコイル35に対して適切に位置決めされていることを確実とする。位置合わせ要素38は、示されるように円筒状であってもよく、又は、例えば、本明細書に説明されるように、外部位置合わせ装置又はツールが、小型変換器のアセンブリに関して位置合わせ動作を実行することを可能にする別の形状であってもよい。
【0044】
図6及び図7に示されるように、プリント回路基板(PCB)60は、例えば、ボンド、接着剤、又は他の結合技術によって、スリーブ22の第2端部に結合することができる。PCB60は、例えば、PCB60の実質的な中心において、開口部61を含むことができ、位置合わせ要素38は、PCB60内の開口部を通って延在することができる。位置合わせ要素38は、例えば、PCB60の最も外側の縁全体、すなわち、360度が、スリーブ22から一定の距離であるように、PCB60に位置合わせされるように動作することができる。これを達成するため、位置合わせ要素38は、背面板20のものを下回る、幅、径、又は他の幾何学形状を有してもよい。
【0045】
電気音響変換器10は、PCB60及び背面板20を所定の距離だけ離間させる、空洞部39を含んでもよい。位置合わせ要素38は、背面板20から空洞部39を通ってPCB60まで、長手方向軸(A)に沿って延在する。
【0046】
いくつかの実装形態を説明してきた。それにもかかわらず、前述の説明が、請求項の範囲により規定される本発明の概念の範囲を図説するものであり、限定しないものであることが理解されるであろう。他の実施例は下記の特許請求の範囲内にある。
【符号の説明】
【0047】
10 変換器
20 背面板
21 通気孔
22 スリーブ
24 振動板
30 サブ組立体
33 ボビン
35 ボイスコイル
39 空洞部
40 モータ組立体
41 第1の端部
42 第2の端部
60 プリント回路基板(PCB)
61 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8